説明

同期デジタルハイアラーキネットワーク、装置、そのトポロジー構築方法およびプログラム

【課題】アドレスを持たないSDH装置の存在やSDH網の規模に拘らず、精度の高いネットワークトポロジーを構築することができるようにする。
【解決手段】SDH装置は、NMSからの指示に基づいて、隣接するSDH装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、他のSDH装置から、前記他のSDH装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、NMSに対して、自装置の識別情報とともに、前記他のSDH装置の識別情報と、前記他のSDH装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える。NMSは、前記複数のSDH装置から選択した第1のSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部と、前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期デジタルハイアラーキネットワーク(以下、「SDH網」という。)、同期デジタルハイアラーキ装置(以下、「SDH装置」という。)、ネットワーク管理装置、SDH網のトポロジー構築方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SDH網を管理するためネットワーク管理システム(NMS)上にネットワークトポロジーを構築する場合、SDH装置間の接続情報を手動で登録を行っていた。このため、大規模ネットワークを管理するケースでは、NMS上に膨大な接続情報の登録を行う必要があり、ネットワークトポロジーを構築するのが容易ではなかった。この作業を省力化するために事前に構成ファイルを作成して、ファイル入力によるネットワークトポロジーの構築を行う方法が知られている。しかしながら、入力する構成ファイルと実ネットワークの構成が必ずしも一致しているという保証はなく、情報にずれが発生すると、NMS上に、誤ったネットワークトポロジーを構築してしまうという問題点がある。
【0003】
特許文献1には、各ネットワーク要素がネットワークトポロジーの自動検出を行う遠隔通信ネットワークが開示されている。同文献には、ネットワーク要素のポート内の各終端ポイントにはネットワーク又はサブネットワーク内でユニークなアドレスが割り当てられており、対応するネットワーク要素は、割り当てられたユニークなアドレスを表すメッセージを終端ポイントから出力トレールに放射し、メッセージはトレールの他方の端部の終端ポイントに向けられる。通信トレールの何れかの端部の各ネットワーク要素は、従って、他方の端部の要素の終端ポイントのアドレスを表すメッセージを受信する。この様にして、接続の各終端ポイントが、接続されている他方の終端ポイントを識別する情報をメッセージ内で受信する、と記載されている。
【0004】
特許文献2には、リングネットワークを構成するSDH伝送システムにおいて、各伝送装置が、送信ポートから送出されるSDHフレームのJ0バイトにそれぞれユニークなビット列を挿入するとともに、受信したSDHフレームに含まれるJ0バイトのビット列を各伝送装置100において検出し、挿入したJ0バイトのビット列および検出したビット列の双方を、監視装置200に通知する。これにより、監視装置200が各伝送装置100のパスごとの接続関係を認識し、その結果に基づいてネットワーク構成情報を生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−507575号公報
【特許文献2】特開2008−136250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。上記した特許文献1では、SDH装置等の各ネットワーク要素を識別するために、アドレスを用いており、アドレスを持たないSDH装置を含むネットワークには適用できないという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の発明は、すべてのノードのすべてのポートにおいてユニークな値をJ0バイトに設定しておく必要があり、多数のSDH装置を用いて、メッシュ状の大規模ネットワークを管理するケースでは適用できないという問題点がある。
【0008】
その他、SDH装置にルーティングプロトコルを持たせ、隣接装置を認識することでネットワークトポロジーを自動で構築する方法も知られているが、ネットワークの規模に比例してルーティングテーブルの更新処理が重たくなるため、大規模ネットワークには適さない。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アドレスを持たないSDH装置の存在やSDH網の規模に拘らず、精度の高いネットワークトポロジーを構築できるSDH網、SDH装置、ネットワーク管理装置、SDH網のトポロジー構築方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点によれば、ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接するSDH装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、他のSDH装置から、前記他のSDH装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他のSDH装置の識別情報と、前記他のSDH装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数のSDH装置と、前記複数のSDH装置から選択した第1のSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部と、前記隣接するSDH装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部と、を備えるネットワーク管理装置と、を含むSDH網が提供される。
【0011】
本発明の第2の視点によれば、ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接するSDH装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、他のSDH装置から、前記他のSDH装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他のSDH装置の識別情報と、前記他のSDH装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数のSDH装置が提供される。
【0012】
本発明の第3の視点によれば、上記した複数のSDH装置から選択した第1のSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部と、前記隣接するSDH装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部と、を備えるSDH網が提供される。
【0013】
本発明の第4の視点によれば、ネットワーク管理装置が、管理対象の複数のSDH装置から選択した第1のSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するステップと、前記SDH装置が、前記ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接するSDH装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信するステップと、前記隣接するSDH装置が、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他のSDH装置の識別情報と、前記他のSDH装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信するステップと、前記ネットワーク管理装置が、前記各SDH装置から受信した接続関係情報に基づいて、前記各SDH装置によって構成されるネットワークトポロジーを構築するステップと、を含むSDH網のトポロジー構築方法が提供される。本方法は、SDH網を構成するSDH装置およびネットワーク管理装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0014】
本発明の第5の視点によれば、上記したSDH装置およびネットワーク管理装置を構成するコンピュータに、それぞれ実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アドレスを持たないSDH装置の存在やSDH網の規模に拘らず、精度の高いネットワークトポロジーを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を表した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のSDH装置の詳細構成を表した図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作を表したシーケンス図である。
【図4】図3のステップS009で送信される接続関係情報の一例である。
【図5】接続関係情報から把握されるネットワークトポロジーの例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。本発明は、図1、図2に示すように、複数のSDH装置(図1、図2のSDH_A〜SDH_C参照)と、前記複数のSDH装置から選択した第1のSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部(図1のコマンド制御部11参照)と、前記隣接するSDH装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部(図1のネットワークトポロジー構築部13参照)と、を備えるネットワーク管理装置(図1、図2のNMS10参照)と、を含むSDH網にて実現できる。
【0018】
複数のSDH装置(図1、図2のSDH_A〜SDH_C参照)は、ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS10参照)からの指示(図2の送信指示コマンド)に基づいて、隣接するSDH装置とのリンクに関する情報を収集して、ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS10参照)に送信する隣接構成管理部23A〜23Cを備える。より具体的には、隣接構成管理部23A〜23Cは、隣接するSDH装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部(図2の第1送信部21A〜21C参照)と、他のSDH装置から、前記他のSDH装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS参照)に対して、自装置の識別情報とともに、前記他のSDH装置の識別情報と、前記他のSDH装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部(図2の第2送信部22A〜22C参照)とを含んで構成される。
【0019】
例えば、ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS10参照)が、SDH装置(SDH_B)に対して、隣接するSDH装置(SDH_A、SDH_C)への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示すると、SDH装置(SDH_B)は、自装置の識別情報(SDH_B)と、隣接するSDH装置(SDH_A、SDH_C)と接続するポート情報(#4、#8)とを隣接するSDH装置(SDH_A、SDH_C)に送信する。
【0020】
SDH装置(SDH_A、SDH_C)は、SDH装置(SDH_B)から受信した情報に、自装置の識別情報と、SDH装置(SDH_B)との接続ポート情報とを加えて、ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS参照)に対して接続関係情報として送信する。ネットワーク管理装置(図1、図2のNMS参照)は、前記接続関係情報に基づいて、ネットワークトポロジーを構築する。以上のようにして、アドレスを持たないSDH装置の存在してもネットワークトポロジーを構築することができる。また、従来のルーティングプロトコルを用いる方法と比べても、ルーティングテーブルの更新・管理が不要であるため、大規模ネットワークにも好適に適用することができる。
【0021】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の構成を表した図である。図1を参照すると、管理対象のSDH装置群50にSDH装置20A〜20Cに各種設定等を行うNMS10とを含むSDH網が示されている。
【0022】
NMS10は、SDH装置20A〜20Cから選択したSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置名とポート情報との送信を指示するコマンド制御部11と、前記隣接するSDH装置から接続関係情報を受信する通知受信部12と、前記受信した接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部13とを備えて構成されている。
【0023】
図2は、SDH装置20A〜20Cの詳細構成を表した図である。図2を参照すると、第1送信部21A〜21C、第2送信部22A〜22Cを含む隣接構成管理部23A〜23Cを備えたSDH装置20A〜20Cが示されている。なお、図2の第1送信部21B、第2送信部22A、22C間を接続する矢線に付された番号は、ポート番号を示している。
【0024】
SDH装置20A〜20Cの第1送信部21A〜21Cは、NMS10からの指示を受けると、それまで送信していたセクショントレースバイトを所定のバッファに保存する。その後、第1送信部21A〜21Cは、隣接するSDH装置に対して、自装置名と、自装置名の送信ポート情報とを送信する。また、このとき、SDH装置20A〜20Cは、SDH装置間で授受しているフレーム中のセクショントレースバイト(J0バイト)を利用して、前記自装置名または送信ポート情報を送信するものとする。ここで、セクショントレースバイト(J0バイト)は、SDH装置間をつなぐ光ファイバーが誤接続していないことを確認するために授受されるオーバーヘッド領域中の情報である。
【0025】
また、第1送信部21A〜21Cは、前記各情報の送信にあたって、以下のトレースパターンを、セクショントレースバイトに載せて送信する機能を有している。
(1)自装置名を送信することを知らせるトレースパターン(例えば、“AAAA”→“SSSS”→“ZZZZ”とのパターンを所定回送信する。)
(2)ポート情報を送信することを知らせるトレースパターン(例えば、“MORE”→“INFO”とのパターンを所定回送信する。)
(3)自装置名およびポート情報の送信が終了したことを知らせるトレースパターン(例えば、“QQQQ”→“TTTT”とのパターンを所定回送信する。)
【0026】
また、第1送信部21A〜21Cは、前記(3)の自装置名およびポート情報の送信終了することを知らせるトレースパターンの送信後、前記SDH装置20A〜20Cは、所定のバッファに保存しておいたそれまで送信していたセクショントレースバイトの送信を再開する。
【0027】
SDH装置20A〜20Cの第2送信部22A〜22C、上記トレースパターンを受信すると、その後に受信するセクショントレースバイト情報から、各トレースパターンに対応する情報を抽出する。
【0028】
また、第2送信部22A〜22Cは、NMS10に対して、前記抽出した他のSDH装置の装置名とポート情報に、自装置名と自装置側の前記多のSDH装置からの情報を受信する接続ポート情報を加えた接続関係情報(図4参照)を送信する。
【0029】
なお、SDH装置20A〜20Cは、前記(1)の自装置名を送信することを知らせるトレースパターンの受信後、前記(3)の自装置名およびポート情報の送信終了することを知らせるトレースパターンを受信するまで、セクショントレースバイトによるTIM(Trace Indication Mismatch)アラームの発出を抑止する機能を有する。
【0030】
また、図1、図2に示したNMS10およびSDH装置の各部(処理手段)は、これらの装置を構成するコンピュータに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0031】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の動作を表したシーケンス図である。
【0032】
図3を参照すると、まず、NMS10は、管理対象のSDH装置群50から選択したSDH装置に対して、隣接するSDH装置への自装置名とポート情報との送信を指示する(ステップS001;送信指示コマンド)。ここでは、NMS10は、SDH装置(SDH_B)に対して、送信指示コマンドを送信したものとする。
【0033】
SDH装置(SDH_B)は、送信中のセクショントレースバイトの内容を所定のバッファに保存する。(ステップS002)。
【0034】
次に、SDH装置(SDH_B)は、隣接するSDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)に対して、これから自装置名を送信することを知らせるトレースパターン(例えば、“AAAA”→“SSSS”→“ZZZZ”)を所定回数繰り返して送信する(ステップS003)。
【0035】
次に、SDH装置(SDH_B)は、SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)に対して、自装置名(SDH_B)をセクショントレースバイトに載せて所定期間(例えば、5秒)送信する(ステップS004)。
【0036】
SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)は、前記トレースパターン(例えば、“AAAA”→“SSSS”→“ZZZZ”)に基づいて、セクショントレースバイトからSDH装置(SDH_B)の自装置名(SDH_B)を取得する。
【0037】
次に、SDH装置(SDH_B)は、隣接するSDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)に対して、これからポート情報を送信することを知らせるトレースパターン(例えば、“MORE”→“INFO”)を所定回数繰り返して送信する(ステップS005)。
【0038】
次に、SDH装置(SDH_B)は、SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)に対して、ポート情報をセクショントレースバイトに載せて所定期間(例えば、5秒)送信する(ステップS006)。ここでは、SDH装置(SDH_B)は、SDH装置(SDH_A)に対して、ポート情報として、SDH装置(SDH_A)との接続ポート番号である#4を通知する。同様に、SDH装置(SDH_B)は、SDH装置(SDH_C)に対して、ポート情報として、SDH装置(SDH_C)との接続ポート番号である#8を通知する(図2参照)。
【0039】
SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)は、前記トレースパターン(例えば、“MORE”→“INFO”)に基づいて、セクショントレースバイトからSDH装置(SDH_B)側のポート情報を取得する。
【0040】
次に、SDH装置(SDH_B)は、隣接するSDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)に対して、自装置名およびポート情報の送信が終了したことを知らせるトレースパターン(例えば、“QQQQ”→“TTTT”)を所定回数送信する(ステップS007)。
【0041】
その後、SDH装置(SDH_B)は、ステップS002で保存したセクショントレースバイトを送信する(ステップS008)。
【0042】
SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)は、NMS10に対して、前記SDH装置(SDH_B)から受信した情報と接続関係情報として送信する(ステップS009)。
【0043】
図4は、図3のステップS009で送信される接続関係情報の一例である。その後、NMS10は、SDH装置(SDH_A)とSDH装置(SDH_C)から通知された接続関係情報に基づいて、ネットワークトポロジー情報を更新する(ステップS010)。
【0044】
図5は、接続関係情報から把握されるネットワークトポロジーの例を説明するための図である。以下、簡単のため、接続関係情報は、(送信元SDH装置名,送信元SDH装置ポート番号,受信SDH装置名,受信SDH装置ポート番号)というフォーマットを有しているものとする。例えば、図5に示すように、(SDH_B,#4,SDH_A,#5)、(SDH_B,#8,SDH_C,#1)という接続関係情報が得られている場合、SDH_BとSDH_Aと、SDH_BとSDH_Cがそれぞれ隣接していることが分かる。また、SDH_BのSDH_Aとの接続ポート番号は#4であり、SDH_Cとの接続ポート番号は#8であることが分かる。さらに、SDH_AのSDH_Bとの接続ポート番号は#5であり、SDH_CのSDH_Bとの接続ポート番号は#1であることが分かる。以上の結果、図5の下段に示すようなネットワークトポロジーが得られる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、NMS10からの送信指示コマンド送出をトリガに、各SDH装置が連携してネットワークトポロジーを構築するための情報を収集し、接続関係情報としてNMS10に返送する。NMS10は、各SDH装置から受信した接続関係情報を用いてネットワークトポロジーを構築する。従って、大規模ネットワークにおいても、NMS10は、容易に実際のネットワーク構成を構築することができる。また、接続関係情報は、SDH装置の実際の接続状態に基づいて生成されるため、NMS10が誤まったネットワークを構築することを防止することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、上記した実施形態では、3つのSDH装置の直列的に接続されている例を挙げて説明したが、これはあくまで本発明の理解を助けるために示したものであり、限定されるものではない。例えば、メッシュ状やリング状に接続されている場合においても、上述した接続関係情報を用いて、そのネットワークトポロジーを把握することが可能である。
【0047】
また、上記した実施形態では、NMS10がSDH装置(SDH_B)に対して送信指示コマンドを送信する例を挙げて説明したが、送信指示コマンドを送信するSDH装置は、NMS10が把握している複数またはすべてのSDH装置とすることができる。上述のように、本実施形態では、送信指示コマンドを受信したSDH装置が、それまで送信していたセクショントレースバイトの送出を抑止し、その他のSDH装置が前記(1)の自装置名を送信することを知らせるトレースパターンの受信後TIM(Trace Indication Mismatch)アラームの送信を抑止するようにしているので、大規模のネットワークにもそのまま適用することができる。
【0048】
また、上記した実施形態で示したSDH装置間の各情報の送信順序や、それに先だって送信されるトレースパターンは、適宜変更することができる。
【0049】
また、上記した実施形態では、SDH装置間で、自装置名とポート情報を授受するものとして説明したが、その他の付加情報、例えば、各SDH装置の能力情報や状態情報を授受するようにしてもよい。
【0050】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点によるSDH網参照)
[第2の形態]
第1の形態において、
前記第1の送信部は、前記隣接するSDH装置に対し、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの送信後、前記オーバーヘッド領域に、自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せて送信し、
前記第2の送信部は、前記トレースパターンに基づいて、前記オーバーヘッド領域から、前記他のSDH装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を取得するSDH網。
[第3の形態]
第1または第2の形態において、
前記各SDH装置は、
さらに、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファするメモリを備え、
前記ネットワーク管理装置から、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信指示を受けた場合、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファしてから、前記自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信処理を開始し、
前記ネットワーク管理装置に対し、前記接続関係情報を送信した後に、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定の終了通知トレースパターンの送信後、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報を再開するSDH網。
[第4の形態]
第3の形態において、
前記各SDH装置は、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの受信後、前記所定の終了通知トレースパターンを受信するまで、TIM(Trace Indication Mismatch)アラームの送信を抑止するSDH網。
[第5の形態]
(上記第2の視点によるSDH装置参照)
[第6の形態]
第5の形態において、
前記第1の送信部は、前記隣接するSDH装置に対し、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの送信後、前記オーバーヘッド領域に、自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せて送信し、
前記第2の送信部は、前記トレースパターンに基づいて、前記オーバーヘッド領域から、前記他のSDH装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を取得するのSDH装置。
[第7の形態]
第5または第6の形態において、
さらに、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファするメモリを備え、
前記ネットワーク管理装置から、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信指示を受けた場合、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファしてから、前記自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信処理を開始し、
前記ネットワーク管理装置に対し、前記接続関係情報を送信した後に、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定の終了通知トレースパターンの送信後、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報を再開するSDH装置。
[第8の形態]
(上記第3の視点によるネットワーク管理装置参照)
[第9の形態]
(上記第4の視点によるSDH網のトポロジー構築方法参照)
[第10の形態]
同期デジタルハイアラーキ装置に搭載されたコンピュータに、
ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する処理と、
他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する処理とを実行させるプログラム。
[第11の形態]
隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数の同期デジタルハイアラーキ装置によって構成されるネットワークを管理するネットワーク管理装置に搭載されたコンピュータに、
前記複数の同期デジタルハイアラーキ装置から選択した第1の同期デジタルハイアラーキ装置に対して、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示する処理と、
前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築する処理と、を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0051】
10 ネットワーク管理システム(NMS)
11 コマンド制御部
12 通知受信部
13 ネットワークトポロジー構築部
20A〜20C SDH装置
21A〜21C 第1送信部
22A〜22C 第2送信部
23A〜23C 隣接構成管理部
50 管理対象のSDH装置群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、
他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数の同期デジタルハイアラーキ装置と、
前記複数の同期デジタルハイアラーキ装置から選択した第1の同期デジタルハイアラーキ装置に対して、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部と、
前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部と、を備えるネットワーク管理装置と、を含むこと、
を特徴とする同期デジタルハイアラーキネットワーク。
【請求項2】
前記第1の送信部は、前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対し、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの送信後、前記オーバーヘッド領域に、自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せて送信し、
前記第2の送信部は、前記トレースパターンに基づいて、前記オーバーヘッド領域から、前記他のSDH装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を取得する請求項1の同期デジタルハイアラーキネットワーク。
【請求項3】
前記各同期デジタルハイアラーキ装置は、
さらに、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファするメモリを備え、
前記ネットワーク管理装置から、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信指示を受けた場合、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファしてから、前記自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信処理を開始し、
前記ネットワーク管理装置に対し、前記接続関係情報を送信した後に、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定の終了通知トレースパターンの送信後、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報を再開する請求項1または2の同期デジタルハイアラーキネットワーク。
【請求項4】
前記各同期デジタルハイアラーキ装置は、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの受信後、前記所定の終了通知トレースパターンを受信するまで、TIM(Trace Indication Mismatch)アラームの送信を抑止する請求項3の同期デジタルハイアラーキネットワーク。
【請求項5】
ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、
他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数の同期デジタルハイアラーキ装置。
【請求項6】
前記第1の送信部は、前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対し、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定のトレースパターンの送信後、前記オーバーヘッド領域に、自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せて送信し、
前記第2の送信部は、前記トレースパターンに基づいて、前記オーバーヘッド領域から、前記他のSDH装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を取得する請求項5の同期デジタルハイアラーキ装置。
【請求項7】
さらに、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファするメモリを備え、
前記ネットワーク管理装置から、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信指示を受けた場合、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報をバッファしてから、前記自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報との送信処理を開始し、
前記ネットワーク管理装置に対し、前記接続関係情報を送信した後に、伝送信号フレームのオーバーヘッド領域を用いた所定の終了通知トレースパターンの送信後、前記自装置の識別情報または該識別情報の送信ポート情報を載せる前のオーバーヘッド領域の情報を再開する請求項5または6の同期デジタルハイアラーキ装置。
【請求項8】
ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する第1の送信部と、他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する第2の送信部とを備える複数の同期デジタルハイアラーキ装置から選択した第1の同期デジタルハイアラーキ装置に対して、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するコマンド制御部と、
前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置から受信した前記接続関係情報に基づいてネットワークトポロジーを構築するネットワークトポロジー構築部と、を備えるネットワーク管理装置。
【請求項9】
ネットワーク管理装置が、管理対象の複数の同期デジタルハイアラーキ装置から選択した第1の同期デジタルハイアラーキ装置に対して、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置への自装置の識別情報とポート情報との送信を指示するステップと、
前記同期デジタルハイアラーキ装置が、前記ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信するステップと、
前記隣接する同期デジタルハイアラーキ装置が、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信するステップと、
前記ネットワーク管理装置が、前記各同期デジタルハイアラーキ装置から受信した接続関係情報に基づいて、前記各同期デジタルハイアラーキ装置によって構成されるネットワークトポロジーを構築するステップと、を含むこと、
を特徴とする同期デジタルハイアラーキネットワークのトポロジー構築方法。
【請求項10】
同期デジタルハイアラーキ装置に搭載されたコンピュータに、
ネットワーク管理装置からの指示に基づいて、隣接する同期デジタルハイアラーキ装置に対して、自装置の識別情報と、該識別情報の送信ポート情報と、を送信する処理と、
他の同期デジタルハイアラーキ装置から、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と送信ポート情報とを受信した場合、前記ネットワーク管理装置に対して、自装置の識別情報とともに、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報と、前記他の同期デジタルハイアラーキ装置の識別情報の送受信ポート情報と、を含んだ接続関係情報を送信する処理とを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26687(P2013−26687A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157128(P2011−157128)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】