説明

同期基準送信端末及び受信端末、同期基準送受信端末、同期システム、同期方法

【課題】 従来の時刻同期による複数の受信端末の同期方法では、各受信端末の内部時計の時刻を司るH/W(ハードウエア)クロックそのものの誤差について考慮されていない。また、H/Wクロック自体が受信端末の負荷上昇や温度、湿度、電圧といった諸条件で精度が変化するという問題点があった。
【解決手段】 基準となる、所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報に対して、受信端末側が、現在時刻情報の時刻の進み方に合わせてハードウエア割り込みに対する補正を行うので、時刻の進み方を所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報によって示される時刻の進度と同等に近づけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数端末に対する高精度な協調動作に関し、主に複数の受信端末間の同期をとるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各々の受信端末が同期して画像、映像、音声等を再生する場合、同期サーバが時刻情報を同報通信により複数の受信端末に同報送信し、各々の受信端末は、各々の内蔵時計を同期サーバからの同報送信により受信した時刻情報に合わせる。これにより、各々の受信端末が備える内部時計の時刻が合うので、各々の受信端末が備える内部時計が示す時刻に基づいて再生スケジュールを実行することで、多画面の同期再生を実現することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、地上デジタル放送などブロードキャストにおいて、放送データに時刻情報を組み込み、各過程の放送受信機の時刻を合わせる方法に他ならない。また、スケジュールに従って動画を再生することは、各受信機が録画予約に従って録画を行う動作と同等と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−252422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の時刻同期による複数の受信端末の同期方法では、各受信端末の内部時計の時刻を司るH/W(ハードウエア)クロックそのものの誤差について考慮されていない。また、H/Wクロック自体が受信端末の負荷上昇や温度、湿度、電圧といった諸条件で精度が変化する。
さらに、受信端末の時刻は、H/Wクロックに基づいて内蔵時計の時刻を決定しているが、H/Wクロックの時刻の算出は、H/W(ハードウエア)割込み、すなわち割り込みコントローラなどがCPUに信号を送り、実行中の処理を中断して強制的にあらかじめ指定された処理を実行させること、によって行われる。したがって、H/W(ハードウエア)割込み自体に、一定の処理時間を要するので、時刻を決定する際に、その時刻よりに所定の時間だけ進める補正を行うことによりH/W割込み処理に対する時刻補正が行われる。
すなわち、受信端末側のH/Wのクロック時刻は、個体誤差、受信端末の負荷上昇や温度、湿度、電圧、H/W割込み、といった諸条件で誤差を生じるため、特に映像表示などの高負荷稼動時には、ソフトウエア的に時刻を補正して合わせても必ず時刻の進度に誤差が発生する。このことは、時刻の送信間隔つまり、時刻情報を受信して内蔵時計を合わせてから、所定時間経過後の次の時刻情報受信までの間に例えば50msecの誤差が生じた場合、スケジューラなどにより各受信端末で同時に映像などの再生を実施したとしても、同期サーバ及び受信端末間で50msecの再生時間誤差が出ることを意味する。
【0005】
そこで、この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、他の受信機と内部時計を合わせてから、所定時間経過後の次の時刻情報受信までの間に発生する各々の受信端末間での内部時計の誤差の補正を行い、各々の受信端末間の時刻の進度による誤差を縮小することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を受信する時刻情報受信手段と、
ハードウエアクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段と、
現在時刻情報を受信時に、前記現在時刻情報とその前回に現在時刻情報として受信した過去時刻情報との差と、前記現在時刻情報受信時の前記内部時計手段が示す現在時刻と前記過去時刻情報との差から、ハードウエア割り込みに対する時刻補正としての調整加算値を算出する調整加算値算出手段と、
前記調整加算値が算出した調整加算値に基づいて前記内部時計手段の示す時刻を補正するために前記調整加算値を設定する時刻進度設定手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を、前記現在時刻情報を用いてハードウエア割り込みに対する時刻補正のために、受信端末に対して送信する時刻情報送信手段
を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、
基準となる、所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報に対して、受信端末側が、現在時刻情報の時刻の進み方に合わせてハードウエア割り込みに対する補正を行うので、時刻の進み方を所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報によって示される時刻の進度と同等に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1における同期システムのネットワーク構成図
【図2】実施の形態1における同期システムのうち、同期基準送信端末200及び受信端末100の構成を示す図
【図3】図3は、実施の形態1における受信端末100の動作を示すフローチャート
【図4】実施の形態1における同期基準送信端末200の時刻の進み方と受信端末100の時刻の進み方を示した図
【図5】実施の形態2における同期システムのネットワーク構成図
【図6】実施の形態2における同期システムのうち、同期基準送信表示端末300及び受信端末100の構成を示す図
【図7】実施の形態3における同期システムのネットワーク構成図
【図8】実施の形態3における同期システムのうち、同期基準送受信端末400の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における同期システムのネットワーク構成図である。
同期システムは、時刻情報を複数の受信端末100に送信する同期基準送信端末200と、同期基準送信端末200から送信される時刻情報を受信する複数の受信端末100から構成されている。
【0011】
図2は、実施の形態1における同期システムのうち、同期基準送信端末200及び受信端末100の構成を示す図である。
【0012】
同期基準送信端末200についてまず説明する。
図2において、同期基準送信端末200は、同期基準送信端末200におけるH/Wクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段204と、内部時計手段204に対し、修正された現在時刻や、補正時間によって補正することにより内部時計手段204の現在時刻を合わせる時刻合わせ手段203を備えている。補正する方法は従来からある方法で、内部時計を、ネットワークを介して正しく調整するNTP(Network Time Protocol)方式、GPSの電波に含まれる原子時計や、または直接電波時計から得た時刻情報を用いて補正を行う方式などにて行う。
【0013】
また、内部時計手段204から現在時刻情報を取り出す時刻取り出し手段202、時刻取り出し手段202によって取り出された現在時刻情報を受信端末100に送信する時刻情報送信手段201を備えている。時刻情報送信手段201は、現在時刻情報を同報送信などにより受信端末100に送出する。その際、時刻情報送信手段201は、現在時刻情報を所定間隔で送信する。唯一の受信端末100について時刻合わせを行いたい場合には、1対1での通信もあり得る。
【0014】
次に、受信端末100の構成について説明する。
受信端末100は、同期基準送信端末200の時刻情報送信手段201から所定間隔にて定期的に送信されている現在時刻情報を受信するための時刻情報受信手段101、受信した現在時刻情報を現在時刻として記憶するための現在時刻記憶手段102、前回時刻補正を行った際の時刻情報を記憶するための過去時刻記憶手段103、受信端末100の現在時刻を取り出すための現在時刻取り出し手段104、H/Wクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段109と、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段109が示す現在時刻の値にどれだけ時間の値を時刻補正すれば良いかを算出する調整加算値算出手段105、算出された調整加算値α(正の値の場合と負の値の場合がある)を記憶する調整加算値記憶手段106、調整加算値αを、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段109が示す現在時刻の時刻補正である調整加算値αとして設定する時刻進度設定手段107、動画などマルメディアの再生の基準とするクロックが内部時計手段109が示す現在時刻に基づくものではなく、同期再生用のクロックなどの別クロックであった場合、動画の再生尺(再生の長さ、時間)を、時刻用クロックと同期再生用のクロックとの関係に基づいて、調整加算値αとから算出した調整加算値βを用いてクロック単位もしくは動画のフレーム単位など調整し得る方法で設定する再生進度設定手段108、動画等、マルチメディアを再生する再生手段110から構成される。
受信端末100は、以上の手段を用いることにより、時刻情報を受信して定期的に送信される同期基準送信端末200の時刻の進み方に自端末の時刻の進み方を合わせていく機能を持つ。
【0015】
次に、動作について説明する。
図3は、実施の形態1における受信端末100の動作を示すフローチャートである。
まず、プログラムが開始されるとステップS100で時刻情報受信のための準備処理を行う。次にステップS101において、受信端末100の時刻情報受信手段101は、同期基準送信端末200の時刻情報送信手段201から送信された現在時刻情報の受信を行う。
【0016】
次に、ステップS102において、同期基準送信端末200から送信された現在時刻情報を、受信端末100の時刻受信手段101が受信すると、現在時刻取り出し手段104は、受信端末100自身の内部時計手段109から、現在時刻LTを取り出す。
次に、ステップS103において、同期基準送信端末200から送信された現在時刻情報そのものについては、現在時刻記憶手段102に記憶し、これを現在時刻STとする。このとき必要に応じて、例えば、現在時刻LTと現在時刻STとの時間差が所定値を超ええていた場合は、受信した現在時刻情報を受信端末100の内部時計手段109の現在時刻LTとして設定する。しかし、受信した現在時刻STが現在時刻LTと同一であれば時刻LTを設定し直さなくても良い。ここでは、処理に従い時刻が経過してしまうことから、即座に時刻を設定することとなる。
【0017】
次に、ステップS104において、前回補正した時刻である過去時刻記憶手段13を参照し、過去時刻記憶手段103に記憶されている過去時刻OTが入っていない場合は起動後初回であるため、ステップS105に進む。ステップS104で、過去時刻記憶手段13に過去時刻OTが記憶されている場合には、ステップS106に進む。
【0018】
次に、ステップS105において、受信した現在時刻STを、過去時刻OTとしてそのまま過去時刻記憶手段13に記憶させ、ステップS101の次の時刻情報受信待ちに戻る。
【0019】
ステップS104で、過去時刻記憶手段103に過去時刻OTが記憶されている場合、ステップS106において、調整加算値算出手段105は、現在時刻記憶手段102に記憶しされている現在時刻STと、内部時計手段109から取り出した時刻LTとの比較を行う。現在時刻STと現在時刻LTとが同一であれば、ステップS107へ進む。時刻STと時刻LTとが同一でない場合は、ステップS108へ進む。
【0020】
次に、ステップS107では、調整加算値算出手段15は、今回受信した現在時刻STと前回の補正したときの過去時刻OTとの差が所定時間を超えているか確認し、超えていない場合には何もせずにステップS101の次の時刻情報受信待ちに戻る。所定時間を越えていた場合には、今回受信した時刻STを、時刻OTとしてそのまま過去時刻記憶手段13に記憶させ、ステップS101の次の時刻情報受信待ちに戻る。これは、長時間の稼動でようやく誤差が発生するような場合、例えば1時間に対してクロック単位の割り込み加算調整値の算出結果は0に限りなく近づくことになる。これを継続させてしまうと、何時間経っても時刻誤差が広がるばかりとなってしまうため、所定の時間で上限を区切り、一旦リセットする意味合いを持つ。
【0021】
次にステップS108において、時刻STと時刻LTとが同一でない場合は、調整加算値算出手段105は、時刻進度を補正するための調整加算値αを求め、調整加算値記憶手段106に格納する。調整加算値の算出方法は一例として次に示す方法が考えられる。
【0022】
前回受信して時刻補正した場合の過去時刻OT、今回受信し、現在時刻記憶手段102に記憶された現在時刻ST、今回受信の際、受信端末100自身の内部時計手段109から取得した現在時刻LTを用いて、時刻進度を補正するための調整加算値αを求める。
前回受信して時刻補正した場合の過去時刻OTから、今回受信した時刻STまでの間に受信端末100がどれだけ狂ったのかを示す誤差をDiffTとすると、DiffT=時刻ST−時刻LTで示すことができる。
また過去時刻OTから今回受信した時刻STまでの間に、H/Wクロックの時刻の算出のためのH/W割込み発生回数をNHTとすると、H/W割込み発生回数NHTは下記のように示される。
H/W割込み発生回数NHT = (現在時刻ST−過去時刻OT)/クロックの割込み間隔時間
したがって、各受信端末100での加算すべき調整加算値αは、下記のように求められる。
調整加算値α = DiffT/H/W割込み発生回数NHT
【0023】
次に、ステップS109において、調整加算値算出手段105がステップS108で算出した調整加算値αが0かどうか確認する。ここで、調整加算値αが0であれば、ステップS107で現在時刻STと現在時刻OTが所定時間を越えていたかの判断に進む。調整加算値αが0でなければ、ステップS110に進む。
【0024】
ステップS110において、時刻進度設定手段107が、内部時計手段109における本来のH/Wクロックに基づいて算出される時刻にH/W割込みごとの補正として、調整加算値αを加えて受信端末100の内部時計手段109における時刻として設定する。
尚、受信端末100に、H/W割込みごとの補正として受信端末100内にデフォルト値などが元々設定されている場合があるが、この調整加算値αは、同期基準送信端末200との時刻の進みを合わせるための補正値であって、技術的には別のものである。
【0025】
次に、ステップS111において、現在動画再生中かどうか確認し、動画などマルメディアの再生が、内部時計手段109からの出力がもとになる時刻用クロックに基づくものではなく、オーディオクロックなどの別クロックに基づくものであった場合、動画再生中であればステップS113において、再生進度設定手段108は、同期再生用のクロックに対して、時刻用クロックと同期再生用のクロックとの関係に基づいて調整加算値αとから算出した調整加算値βを用いてクロック単位もしくは動画のフレーム単位など調整し得る方法で調整する。なお、内部時計手段109の時刻用クロックを用いて動画再生している場合には、ステップS111は不要である。
【0026】
次にステップS112にて受信した現在時刻STを、過去時刻OTとしてそのまま過去時刻記憶手段13に記憶させ、ステップS101の次の時刻情報受信待ちに戻る。
【0027】
したがって、調整加算値算出手段105が算出したこの調整加算値αを内部時計手段109におけるH/Wクロックに基づいて算出される時刻にH/W割込みごとの補正として、調整加算値αを加えることで、受信端末100は、H/W割込み毎ごとの補正として、同期基準送信端末200における時刻の進め方に応じた一定の加算値を時刻に加算することで時刻が進み、同期基準送信端末200と同期をとることができる。
【0028】
従って、受信端末100における時刻の進み方を同期基準送信端末200の内部時計手段204によって示される時刻の進度と同等に近づけることができる。
【0029】
以上の時刻調整による時刻の進度調整の効果につき、図4に示す。
図4は実施の形態1における同期基準送信端末200の時刻の進み方と受信端末100の時刻の進み方を示した図である。図4では所定の送信間隔あたり50msecの時刻誤差が発生する負荷(再生、温度条件、電圧条件などによる)を与えた場合の同期基準送信端末200と受信端末100の挙動を示したものである。
【0030】
1回目の受信では受信端末100は時刻を設定するのみの動作となるため、所定の送信間隔あたり50msecの時刻誤差が発生する負荷によって、受信端末100は同期基準送信端末200より時刻が遅れていく。
2回目の受信では、まず、ステップS103において、同期基準送信端末200から送信された時刻情報そのものについて、これを現在時刻STとして現在時刻記憶手段102に記憶する。
【0031】
また、現在時刻STを用いて、受信端末100自身の内部時計手段109から取得した現在時刻LTを補正する。
調整加算値算出手段105が、どれだけ誤差が発生したか認識し、調整加算値αを算出して、時刻進度設定手段107が、内部時計手段109における本来のH/Wクロックに基づいて算出される時刻にH/W割込みごとの補正として、調整加算値αを加えて受信端末100の内部時計手段109における時刻として設定する。
よって2回目の受信後は、同期基準送信端末200と同様の時刻進度を保つことを示している。
【0032】
これにより内部時計手段109における時刻の進み方は同期基準送信端末200の内部時計手段204に近づくため、いつスケジュールによるコンテンツ再生が開始されたとしても、全ての受信端末100は同期基準送信端末200が示す時刻で動作するので、多画面の高精度の同期が可能となる。また、負荷が変動することも考えられるが、調整加算値を適用済みの現在の時刻進度からの相対的な(負荷が減るとマイナス方向、更に増えればプラス方向)新しい調整加算値を所定時間毎に算出することになり、基準端末との緩やかな時刻進度の同期が可能である。
【0033】
従って、同期基準送信端末200の時刻情報送信手段201から定期的に送信されている時刻情報を受信するための時刻情報受信手段101、受信した現在時刻情報を現在時刻として記憶するための現在時刻記憶手段102、前回時刻補正を行った際の時刻情報を記憶するための過去時刻記憶手段103、受信端末100の現在時刻を取り出すための現在時刻取り出し手段104、H/Wクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段109と、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段109が示す現在時刻の値にどれだけ時間の値を時刻補正すれば良いかを算出する調整加算値算出手段105、算出された調整加算値α(正の値の場合と負の値の場合がある)を記憶する調整加算値記憶手段106、調整加算値αを、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段109が示す現在時刻に対して時刻補正である調整加算値αとして設定する時刻進度設定手段107を備えたので、受信端末100は、H/W割込み毎ごとの補正として、同期基準送信端末200における時刻の進め方に応じた一定の加算値を時刻に加算することで時刻が進み、同期基準送信端末200と同期をとることができる。
【0034】
以上は、1台の表示端末で1面の表示を行うことを前提に記載しているように見える可能性があるためあえて追記するが、市販の複数画面出力が可能なビデオカードを用いることにより、更に多面の同期表示を行うことが可能である。
【0035】
また、複数の表示端末による多画面同期再生例を示したが、動画などのコンテンツを再生するだけでなく、時刻同期を伴う制御システム、協調動作システムなどへも応用可能である。
【0036】
実施の形態2.
本実施の形態においては、実施の形態1の処理フローを基本としつつ、処理のバリエーションについて説明する。
【0037】
実施の形態1においては、同期基準送信端末200と受信端末100とに分割したが、同期基準送信端末200自体が受信端末100と同様の再生手段を備えれば、同期基準送信端末200単体の機能に表示機能を追加して持たせているので、同期基準送信端末200単体をシステムに備える必要を省くことができる。
【0038】
図5は、実施の形態2における同期システムのネットワーク構成図である。図5において、同期基準送信表示端末300と、受信端末100とが、並列にネットワークにつながっている。
【0039】
図6は、実施の形態2における同期システムのうち、同期基準送信再生端末300及び受信端末100の構成を示す図である。図6において、受信端末100側は、実施の形態1における受信端末100と同じであるため、図を部分的に省略している。
図6に示すように、同期基準送信再生端末300に対して同期基準送信端末200相当の時刻送信手段301、現在時刻取り出し手段302、従来技術による時刻合わせ手段303、内部時計手段304を搭載し、現在時刻情報を同期基準送信表示端末300から送出することを示している。実施の形態1との違いは、同期基準送信再生端末300自体に、受信端末100と同様に映像、音楽等の再生手段305が備えられていることである。すなわち、図5に示すように、同期基準送信再生端末300は受信端末100と同様に映像、音楽等の再生を行うと共に、受信端末100へ時刻情報を送信する基準の端末となるものである
【0040】
実施の形態2によれば同期基準送信再生端末300と複数の受信端末100によって同期基準送信端末200を用いずとも、多画面同期再生システムを実現することが可能である。
【0041】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、一つのネットワークに全ての端末が接続される形態を示していたが、複数のネットワークが必要な場合について説明する。
たとえば、ネットワークAに接続される任意の受信端末に対し、ネットワークBにも接続すると共にネットワークBに時刻情報を送出する基準端末相当の手段を付加することにより、基準端末を複数台用意することなく別のネットワークに接続された表示端末群も時刻合わせを行うことが可能である。
【0042】
図7は、実施の形態3における同期システムのネットワーク構成図である。
図7における同期基準送受信端末400は、受信端末100の機能と同期基準送信端末200の機能を同時に備えるものである。
【0043】
同期基準送信端末200と同期基準送受信端末400は、ネットワークAにて通信を行い、同期基準送受信端末400は、現在時刻情報を同期基準送信端末200から受信する。
また、同期基準送受信端末400と受信端末100とは、ネットワークBでの通信を可能とするように構築し、同期基準送受信端末400から現在時刻情報を受信端末100に送信する。
すると、ネットワークAでは、本発明による同期基準送信端末200、受信端末100および同期基準送受信端末400による同期システムが構築でき、ネットワークBでは同期基準送受信端末400と受信端末100とによる同期システムが構築される。
【0044】
同期基準送受信端末400の構成について説明する。
図8は、実施の形態3における同期システムのうち、同期基準送受信端末400の構成を示す図である。
同期基準送受信端末400は、同期基準送信端末200の時刻情報送信手段201から所定間隔にて定期的に送信されている時刻情報を受信するための時刻情報受信手段401、受信した現在時刻情報を現在時刻として記憶するための現在時刻記憶手段402、前回時刻補正を行った際の時刻情報を記憶するための過去時刻記憶手段403、現在時刻を取り出すための現在時刻取り出し手段404、H/Wクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段409と、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段409が示す現在時刻の値にどれだけ時間の値を時刻補正すれば良いかを算出する調整加算値算出手段405、算出された調整加算値α(正の値の場合と負の値の場合がある)を記憶する調整加算値記憶手段406、調整加算値αを、H/W割込みが発生するたびに、内部時計手段409が示す現在時刻の時刻補正である調整加算値αとして設定する時刻進度設定手段407、動画などマルメディアの再生の基準とするクロックが内部時計手段409が示す現在時刻に基づくものではなく、同期再生用のクロックなどの別クロックであった場合、動画の再生尺(再生の長さ、時間)を、時刻用クロックと同期再生用のクロックとの関係に基づいて、調整加算値αとから算出した調整加算値βを用いてクロック単位もしくは動画のフレーム単位など調整し得る方法で設定する再生進度設定手段408、動画等、マルチメディアを再生する再生手段410から構成される。
【0045】
また、送信側において説明する。基本的には、同期基準送信端末200の内部構成と同一である。
受信側と同じH/Wクロックに基づいて時刻を示す内部時計手段409に対し、修正された時刻や、補正時間によって補正することにより内部時計手段409の時刻を合わせる時刻合わせ手段413を備えている。
また、内部時計手段409から現在の時刻を取り出す時刻取り出し手段412、時刻取り出し手段412によって取り出された時刻情報を受信端末100に送信する時刻送信手段411を備えている。時刻送信手段411は、現在時刻情報を同報送信などにより受信端末100に送出する。その際、時刻送信手段411は、現在時刻情報を所定間隔で送信する。
【0046】
ここで、ネットワークAと接続されている同期基準送信端末200の内部時計手段204の時刻進度と、同期基準送受信端末400とは、調整加算値算出手段405が算出した調整加算値αによって時刻進度が補正されるため、内部時計手段409の時刻進度が同期される。また、同期基準送受信端末400は調整加算値算出手段405によって補正された時刻進度よる現在時刻情報を、時刻送信手段411によってその時刻進度にてネットワークBに送出し、接続された受信端末100に時刻情報を送信したうえ、受信端末100が調整加算値算出手段105を用いて、その時刻進度に調整する。したがって、ネットワークAに接続された全端末の時刻進度とネットワークBに接続された全端末の時刻進度は限りなく同一に近づくことができる。
【0047】
尚、本実施の形態においては、同期基準送受信端末400、時刻あわせ手段413を備えているが、同期基準送信端末200が送信する現在時刻情報を用いて内部時計手段409の時刻を補正してしまえば時刻あわせ手段413を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 受信端末
101 時刻情報受信手段
102 現在時刻記憶手段
103 過去時刻記憶手段
104 現在時刻取り出し手段
105 調整加算値算出手段
106 調整加算値記憶手段
107 時刻進度設定手段
108 再生進度設定手段
109 内部時計手段
110 再生手段
200 同期基準送信端末
201 時刻情報送信手段
202 時刻取り出し手段
203 時刻合わせ手段
204 内部時計手段
300 同期基準送信表示端末
301 時刻情報送信手段
202 時刻取り出し手段
303 時刻合わせ手段
304 内部時計手段
305 再生手段
400 同期基準送受信端末
401 時刻情報受信手段
402 現在時刻記憶手段
403 過去時刻記憶手段
404 現在時刻取り出し手段
405 調整加算値算出手段
406 調整加算値記憶手段
407 時刻進度設定手段
408 再生進度設定手段
409 内部時計手段
410 再生手段
411 時刻送信手段
412 時刻取り出し手段
413 時刻合わせ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を受信する時刻情報受信手段と、
ハードウエアクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段と、
現在時刻情報を受信時に、前記現在時刻情報とその前回に現在時刻情報として受信した過去時刻情報との差と、前記現在時刻情報受信時の前記内部時計手段が示す現在時刻と前記前回時刻情報との差から、ハードウエア割り込みに対する時刻補正としての調整加算値を算出する調整加算値算出手段と、
前記調整加算値が算出した調整加算値に基づいて前記内部時計手段の示す時刻を補正するために前記調整加算値を設定する時刻進度設定手段と、
を備えたことを特徴とする受信端末。
【請求項2】
受信した現在時刻情報を現在時刻として記憶するための現在時刻記憶手段と、
前回時刻補正を行った際の時刻情報を記憶するための過去時刻記憶手段と、
算出された調整加算値を記憶する調整加算値記憶手段と、
マルチメディアを再生する再生手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の受信端末。
【請求項3】
前記再生手段が基準としている同期再生用クロックが前記現在時刻を示すものと同一ではない場合に、前記調整加算値から同期再生用クロックに適した調整値を用いて調整する再生進度設定手段
をそなえたことを特徴とする請求項2に記載の受信端末
【請求項4】
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を、前記現在時刻情報を用いてハードウエア割り込みに対する時刻補正のために、前記受信端末に対して送信する時刻情報送信手段を備えたことを特徴とする同期基準送信端末。
【請求項5】
ハードウエアクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段と
前記内部時計手段の現在時刻を補正する時刻合わせ手段と、
前記内部時計手段から現在時刻情報を取り出す時刻取り出し手段と、
前記時刻取り出し手段よって取り出された現在時刻情報を前記受信端末に送信する時刻情報送信手段と、
をそなえたことを特徴とする請求項4に記載の同期基準送信端末。
【請求項6】
マルチメディアを再生する再生手段
をそなえたことを特徴とする請求項4乃至5に記載の同期基準送信端末。
【請求項7】
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を受信する時刻情報受信手段と、
ハードウエアクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段と、
現在時刻情報を受信時に、前記現在時刻情報とその前回に現在時刻情報として受信した過去時刻情報との差と、前記現在時刻情報受信時の前記内部時計手段が示す現在時刻と前記前回時刻情報との差から、ハードウエア割り込みに対する時刻補正としての調整加算値を算出する調整加算値算出手段と、
前記調整加算値が算出した調整加算値に基づいて前記内部時計手段の示す時刻を補正するために前記調整加算値を設定する時刻進度設定手段と、
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を、前記現在時刻情報を用いてハードウエア割り込みに対する時刻補正のために、受信端末に対して送信する時刻情報送信手段
を備えたことを特徴とする同期基準送受信端末。
【請求項8】
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を受信する時刻情報受信手段と、
ハードウエアクロックに基づいて現在時刻を示す内部時計手段と、
現在時刻情報を受信時に、前記現在時刻情報とその前回に現在時刻情報として受信した過去時刻情報との差と、前記現在時刻情報受信時の前記内部時計手段が示す現在時刻と前記前回時刻情報との差から、ハードウエア割り込みに対する時刻補正としての調整加算値を算出する調整加算値算出手段と、
前記調整加算値が算出した調整加算値に基づいて前記内部時計手段の示す時刻を補正するために前記調整加算値を設定する時刻進度設定手段と、
をからなる受信端末と、
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を、前記現在時刻情報を用いてハードウエア割り込みに対する時刻補正のために、前記受信端末に対して送信する時刻情報送信手段からなる送信端末と
を備えたことを特徴とする同期システム。
【請求項9】
所定間隔で定期的に送信される現在時刻情報を受信するステップと、
現在時刻情報を受信時に、前記現在時刻情報とその前回に現在時刻情報として受信した過去時刻情報との差と、前記現在時刻情報受信時の前記内部時計手段が示す現在時刻と前記前回時刻情報との差から、ハードウエア割り込みに対する時刻補正としての調整加算値を算出するステップと、
前記調整加算値が算出した調整加算値に基づいて前記内部時計手段の示す時刻を補正するために前記調整加算値を設定するステップと、
を備えたことを特徴とする同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−29756(P2011−29756A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171109(P2009−171109)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】