説明

同軸型LPF及びLPF内蔵同軸ケーブル

【課題】LPFの配置上、新たな場所を必要とせず回路の大型化が防止でき、構造が簡単で製造容易な同軸型LPFを提供する。
【解決手段】同軸型ケーブル30の内導体10と外導体20間の絶縁体30、31、32、33を線路方向に異なる複数の誘電率の誘電体の組み合わせ構造とし、内導体は均一な径、又は形状差の少ない径として低域通過フィルタを形成する。基本的に誘電体の誘電率を変える構成であり、誘電体の誘電率の組み合わせにより等価的にコンデンサ及びインダクタンスを形成するものであるから、内導体の径の極端なサイズの差を持たせる必要がないから、構造が簡単であり十分良好なLPF特性を実現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は同軸ケーブル構成の低域通過フィルタ(LPF)に関し、特にセミリジットケーブル等の同軸ケーブルに形成した同軸型LPF及びLPF内蔵同軸ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
無線送受信装置においては不要波を減衰させるために信号路等に個別の帯域通過フィルタ(BPF)を設けることが一般的に行われており、このBPFは通過帯域以外の周波数において減衰特性を有するように構成するものの、高調波成分が抜ける(通過する)周波数帯域、例えば信号周波数の2倍や3倍の周波数帯等が生じてしまうことが多々ありうる。
【0003】
図8は、一般的な無線送受信装置の周波数コンバーター回路及びその出力回路を示す図である。中間周波(IF)AMP8、シンセサイザー16をローカル信号(LO)とするミキサ9、BPF11、高周波(RF)AMP12で構成されたコンバーター回路13と、その出力を増幅するパワーアンプ14、不要波を減衰させるBPF15から構成される一般的な無線送信機であり、かかる無線送信機においては、シンセサイザー16とミキサ9の接続部A、コンバーター回路13とパワーアンプ14の接続部B、パワーアンプ14とBPF15の接続部C、BPF15と無線送信機の出力の接続部Dは通常のセミリジットケーブルで接続される。
【0004】
このような回路においては、BPF11、BPF15は理想的には必要な帯域以外の信号を減衰させる特性を有するべきであるが、実際には2倍、3倍の周波数や、ある共振周波数の信号に対する減衰量は十分には期待出来ないことが多い。このような場合、前記回路の各部に更に当該周波数の信号の抜けを防止するための信号減衰用のLPFを追加する必要が生じる。
【0005】
ところで、無線送受信装置等の信号系統において不要信号の減衰に使用可能なLPFとしては、極力装置の大型化を抑制でき、製造の容易なものとする必要があり、例えば、同軸ケーブル構造の低域通過フィルタ(特許文献1参照)の使用が考えられる。
【特許文献1】特開昭57−150202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように周波数コンバーター回路等に同軸ケーブル構造の低域通過フィルタを使用する場合、少なくともLPFの周波数特性としては、信号帯域の2倍、3倍の周波数帯域に−10dB程度以上の減衰特性が要求される。
【0007】
図9は本願の発明者により構成した前記特性を充足する同軸ケーブル構造のLPFの構成例を示す図である。同軸ケーブルとしてセミリジットケーブルを使用しその内導体(中心導体)の径をケーブル本来の径に対しLPF構成箇所で変化させることによりLPF特性を与えるものである。
【0008】
図10は図9に示すLPFの周波数特性を示す図である。S11は入力信号に対する入力側へのリターン信号の比(リターンロス)を示し、S21は入力信号に対する出力信号の比(減衰量)を示している。同図のS21に示すように使用周波数5GHzに対しその2倍以上の周波数である10GHz以上に対し、要求される減衰特性を満たしている。
【0009】
ところが、このような特性を実現する同軸型LPFの内導体の形状は、ケーブルの絶縁体(誘電体)106の誘電率εr106=10とすると、入出力側の容量形成用の導体102、104の長さL102=L104=0.5mm、径φ102=φ104=0.65mm、導体103の長さL103=1.6mm、径φ103=0.0065mmとなる。ここで入出力側が50Ωとなる中心導体101、105の径φ101、φ105は、φ101、φ105=0.072mmである。
【0010】
この内導体の形状から分かるように、複数の内導体間(101、102、103、104、105等)の径に大きな形状差があり、例えば径φ103=0.0065mmの導体103はきわめて細く、径φ102、φ103と比較した形状差もあり製作及び装荷が困難であるとともに特性の再現性上にも問題がある。
【0011】
したがって、図9のように内導体の形状によりLPFを実現するのは製作精度上、特性の精度上等に問題があり、好適なLPF特性を実現するには困難である。
【0012】
以上のように、無線送受信装置等の信号路に設けるBPFの特性により通過帯域以外の周波数の信号の抜けが発生する場合、装置内への新たなLPFを追加すると装置規模が増大し価格アップ上の問題がある。そこで、セミリジットケーブルのようなケーブル内にLPFを構成するとしてもケーブルの径が小さいので、構造が簡単で製作精度の困難性を伴わず特性の再現性を高めることが重要である。
【0013】
(目的)
そこで、本発明の目的は、以上の課題を解決するものであり、LPFの配置上、新たな場所を必要とせず回路の大型化が防止でき、構造が簡単で製造容易な同軸型LPFを提供することにある。
本発明の他の目的は、高い製作精度を不要とし、周波数特性を再現性よく実現可能な同軸型LPFを提供することにある。
本発明の他の目的は、無線送受信系等に適用可能で、新たな場所を必要とせず構造簡単、製造容易及び良好な周波数特性を有するLPFを内蔵するLPF内蔵同軸ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の同軸型LPFは、同軸型ケーブルの内導体と外導体間の絶縁体を線路方向に異なる複数の誘電率の誘電体の組み合わせ構造として低域通過フィルタを形成したものであり、同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の誘電率との関係では、該誘電率より小さい誘電率の誘電体とその両端に設けた前記誘電率より大きい誘電率の誘電体の組み合わせでなることを特徴とする。
【0015】
また、前記内導体は均一な径を有すること、又は、大きい誘電率の誘電体の領域の内導体の径は、同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の領域の内導体の径より大きく、小さい誘電率の誘電体の領域の内導体は、同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の領域の内導体の径より小さいこと、を特徴とする。
【0016】
更に、異なる誘電率の誘電体の組み合わせにより多段構成の低域通過フィルタを形成し、また、キャパシタンス成分を形成する領域の誘電体の誘電率はインダクタンス成分を形成する領域の誘電体の誘電率より大きいことを特徴とし、同軸ケーブル自体として、セミリジットケーブルを使用したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のLPF内蔵同軸ケーブルは以上の異なる誘電率の誘電体の組み合わせにより低域通過フィルタを形成した領域を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の同軸型LPFはセミリジットケーブル内に構成されるため、高周波回路の接続部に使用すれば、元々必要な各部間の接続ケーブル内に構成されるため、LPFを接続するための新たな場所を必要とせず構造も単純なため、回路が大きくなるのを防ぎコストアップにつながらないという利点がある。
【0019】
特に、基本的に誘電体の誘電率を変える構成であり、誘電体の誘電率の組み合わせにより等価的にコンデンサ及びインダクタンスを形成するものであるから、内導体の径の極端なサイズの差を持たせる必要がないから、従来例と比較しても構造が簡単であり、十分良好なLPF特性を実現可能なLPF内蔵の同軸ケーブルを実現することが可能である。勿論、回路間を接続するケーブルとしてケーブル外に空間を占有することがなく、装置の小型化に十分寄与し低コストで不要信号の遮断性能が向上する。
【0020】
また、ケーブルの内導体として不均一の径を採用したとしても、異なる誘電率の絶縁体の使用により内導体の径の組み合わせに極端な差を与える必要がないから、製造が容易であり高い製作精度を必要とせず、周波数特性も向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のLPFの一実施の形態について、ケーブルとしてセミリジットケーブルの使用例を説明する。
図1はセミリジットケーブルを示す図である。セミリジットケーブルはマイクロ波以上で最も多く使われている同軸ケーブルであり、通常のセミリジットケーブルは外導体7の内部に絶縁体6と50Ωの伝送線路となる内導体1があり、回路間を50Ωで接続するために使用される。例えば、内導体は鋼線に銀メッキされ、また、外導体は銅パイプ等が用いられ、外部への信号の漏洩が少ない構造が採用されている。一般に、鋼線は導体損失が大きいが、マイクロ波では表皮効果により、信号は表面部分の銀メッキ部分しか流れないため損失が低く伝送効率が良好である。このように、外導体自体はその内側の表面部分が信号の伝送に寄与することから、以下の実施の形態において外導体の厚みの表記は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
(構成の説明)
図2は本発明の同軸型LPFの一実施の形態を示す図であり、(a)はLPFの構成を示し、(b)は等価回路を示す。同軸型LPFの構成は、セミリジットケーブル自体の構造として外導体20と、内導体10と、外導体20と内導体10の間の絶縁体(誘電体)30と、で構成され、絶縁体30と内導体10により、例えば50Ωの伝送線路を構成する。また、セミリジットケーブルのLPFを構成するケーブル領域には、ケーブルの伝送線路方向に複数の異なる種類の誘電率の誘電体が交互に配置され、内部導体10は同一径のまま各誘電体の中心を貫通し延在する構造でなる。同図の同軸型LPFは、少なくとも誘電率の異なる3つの誘電体31、32、33であって、誘電体32の両端にそれぞれ誘電体31、33が配置された構造を備える。
【0023】
特に、セミリジットケーブルの同軸型LPFを構成するケーブル領域の絶縁体は、伝送線路方向に長い誘電体32と、その両端に配置された2つの短い誘電体31、33の組み合わせの対称構造に構成され、それぞれの誘電体はセミリジットケーブル自体の誘電体の誘電率と異なる誘電率を有している。
【0024】
また、同軸型LPFを構成するケーブル領域の誘電体31、32及び33のそれぞれの軸方向の長さL31、L32及びL33の関係は、L32>L31=L33、セミリジットケーブル自体の絶縁体の誘電率εr30、前記誘電体31、32及び33のそれぞれの誘電率εr31、εr32及びεr33の関係は、εr32<εr30<εr31=εr33に設定される。
【0025】
より具体的には、L31=L33=0.27mm、L32=8.5mm、φ10=0.3mm、φ20=1.0mm、誘電体31、33の誘電率εr31=εr33=50、誘電体32の誘電率εr32=1に設定することにより、誘電体31、33を有する内部導体には容量が形成され、誘電体32を有する内部導体にはインダクタンスが形成される。また、LPFの入力側及び出力側の誘電体30として誘電率εr30=2.1の誘電体を使うことによりφ30=0.3mmの内部導体が50Ωの伝送線路となる。
【0026】
(動作の説明)
以上の構成により、キャパシタンス(容量)を形成する内部導体とインダクタンスを形成する内部導体とで、等価回路として図2(b)に示すπ型のLPF回路が構成される。
図3は前述の設定による同軸型LPFの周波数特性を示す図である。同図において特性S11(実線)は信号の入力側へのリターンロスを示し、特性S21(点線)は信号の減衰特性を示している。このLPFは5GHz帯を通過帯域として設計されたものであり、この通過帯域の2倍の10GHz帯で約10dB以上の減衰量の特性が実現され、それより高い周波数領域では更に大きな減衰量の特性が実現される。
【0027】
本実施の形態によれば、ケーブルの内導体が均一の径でなり、3つの絶縁体の誘電率を変えるのみでケーブル内にLPFが構成されるので構造が簡単であり、製造が容易であり、特性の再現性がよいLPF内蔵のケーブルを実現することが可能である。また、回路間を接続するケーブルとして使用した場合、ケーブル外にLPFのための空間を占有することがないから、装置の小型化に好適であり、低コストで不要信号の遮断性能を向上させることが可能である。
【0028】
(実施の形態2)
図4は本発明の他の実施の形態2を示す図である。本実施の形態では、図2に示すLPF構成を直列の多段構成としたものである。LPF構成として、容量を形成する絶縁体と、インダクタンスを形成する絶縁体の数を増やすことによりLPFの段数を増やして、減衰量を増やすように構成したものである。内導体は径が均一であり外導体との間に誘電率の異なる絶縁体を交互に配置して構成する。
【0029】
同軸型LPFの構成は、セミリジットケーブル自体の構造として外導体20と、内導体10と、外導体20と内導体10の間の絶縁体(誘電体)40で構成され、絶縁体40と内導体10により、例えば、50Ωの伝送線路を構成する。また、セミリジットケーブルのLPFを構成するケーブル領域には、ケーブルの線路方向に複数の種類の異なる誘電率の誘電体41、42、43、44、45により、交互に配置した構成とし、内部導体10は同一径のまま誘電体41、42、43、44、45の中心を貫通し、延在する構造でなる。
【0030】
特に、セミリジットケーブルのLPFを構成するケーブル領域の絶縁体は、長い誘電体42、44の間に配置した短い誘電体43と、長い誘電体42、44の反対側の両端に配置した短い誘電体41、45の組み合わせで構成され、それぞれの誘電体はセミリジットケーブル自体の誘電体の誘電率と異なる誘電率として構成する。
【0031】
また、LPFを構成するケーブル領域の誘電体41、42、43、44、45のそれぞれの長さL41、L42、L43、L44及びL45、セミリジットケーブルに使用される絶縁体の誘電率εr40、誘電体41、42、43、44、45のそれぞれの誘電率εr41、εr42、εr43、εr44、εr45の関係は、L41=L45<L43<L42=L44、εr42=εr44<εr40<εr41=εr43=εr45に設定される。
【0032】
具体的には、L41=L45=0.24mm、L43=0.39mm、L42=L44=10mm、φ10=0.3mm、φ20=1.0mm、誘電体41、43、45の誘電率εr41=εr43=εr45=50、誘電体42、44の誘電率εr42=εr44=1に設定することにより、誘電体41、43、45を有する内部導体には容量が形成され、誘電体42、44を有する内部導体にはインダクタンスが形成される。また、LPFの入力側及び出力側の誘電体40の誘電率εr40=2.1の誘電体を使うことによりφ40=0.3mmの内部導体が50Ωの伝送線路となる。
【0033】
図5は本実施の形態2のLPFの周波数特性を示す図である。容量を形成する内部導体とインダクタンスを形成する内部導体とで2段構成のLPF回路が形成され、LPFの2段構成により、S11の特性のように2つのリターンロスの極が生じるが、例えば5GHz帯を通過帯域として使用することができ、S11の特性のように通過帯域の2倍の10GHz帯での減衰量は約20dBを越える特性が実現される。
【0034】
本実施の形態2もケーブルの内導体が均一の径によりLPFが構成されるので構造が簡単であり、製造が容易あり特性の再現性がよいLPF内蔵のケーブルを実現することも可能である。また、回路間を接続するケーブルとして使用した場合、ケーブル外に空間を占有することがないから、装置の小型化が可能であり、低コストで不要信号の遮断性能を向上することが可能である。
【0035】
(実施の形態3)
図6は本発明の他の実施の形態3を示す図である。本実施の形態は、絶縁体の誘電率に加えて、内導体の径も軸心方向に変えて構成したLPFである。LPFの段数は2段とし、また、インダクタンスを形成する領域の内導体の径を容量を形成する領域の径より細く設定し、分布定数の値を大きくし遮断領域の減衰特性を向上させている。
【0036】
LPFの構成は、セミリジットケーブル自体の構造として外導体20と、内導体10と、外導体20と内導体10の間の絶縁体(誘電体)50で構成され、絶縁体50と内導体10により、例えば、50Ωの伝送線路を構成する。また、セミリジットケーブルのLPFを構成するケーブル領域には、ケーブルの線路方向に複数の種類の異なる誘電率の誘電体51、52、53、54、55を交互に配置した構成とし、内部導体10は、誘電率の大きい誘電体領域は大きい径とし、誘電率の小さい誘電体領域は小さい径とし、それぞれ誘電体51、52、53、54、55の中心を貫通し、隣接する内導体は接続された又は同一材料で構成された構造を備える。
【0037】
つまり、セミリジットケーブルのLPFを構成するケーブル領域の絶縁体は、長い誘電体52、54と、その境界の短い誘電体53と、両端に配置された2つの短い誘電体51、55とでなる組み合わせで構成され、それぞれの誘電体はセミリジットケーブル自体の誘電体の誘電率と異なる誘電率を有している。
【0038】
LPFを構成するケーブル領域の誘電体51、52、53、54及び55のそれぞれの長さL51、L52、L53、L54及びL55、誘電率εr51、εr52、εr53、εr54及びεr55、セミリジットケーブルに使用される絶縁体の誘電率εr50、LPFを構成する領域の内導体の径φ51、φ52、φ53、φ54及びφ55の関係は、L51=L55<L53<L52=L54、εr52=εr54<εr50<εr51=εr53=εr55、φ10=φ52=φ54<φ51=φ53=φ55に設定すると好適である。
【0039】
具体的には、L51=L55=0.5mm、L53=0.8mm、L52=L54=10mm、φ10=0.3mm、φ20=1.0mm、εr51=εr53=εr55=50、εr52=εr54=1に設定することにより、誘電体51、53、55を有する内部導体には容量が形成され、誘電体52、54を有する内部導体にはインダクタンスが形成される。また、LPFの入力側及び出力側の誘電体50の誘電率εr50=2.1の誘電体を使うことによりφ50=0.3mmの内部導体が50Ωの伝送線路となる。
【0040】
図7は実施の形態3の周波数特性を示す図である。図4に示す実施の形態2と同様にS11の特性に2つのリターンロスの極が生じるが、例えば5GHz帯を通過帯域として使用することができ、S21の特性のように通過帯域の2倍の10GHz帯での減衰量は約20dBを越える良好な特性が実現される。
【0041】
本実施の形態3ではケーブルの内導体が不均一の径を採用することによるLPFの構成上の複雑性が生じうるが、基本的に誘電体の誘電率を変える構成により、内導体の径の極端なサイズの差を持たせる必要がないから、従来例と比較しても構造が簡単であり、十分良好なLPF特性を実現可能なLPF内蔵のケーブルが構成できる。勿論、回路間を接続するケーブルとしてケーブル外に空間を占有することがなく、装置の小型化に十分寄与し低コストで不要信号の遮断性能が向上する。
【0042】
以上の実施の形態においては、1段及び2段構成のLPFの構成を説明したが、容量を形成する内部導体と、インダクタンスを形成する内部導体の数を増やすことにより、LPFの段数を更に増やして、減衰量をより増大させるように構成することが可能である。
【0043】
また、セミリジットケーブルの使用例を示したが、例えば、3D−2V、5D−2V等の他の同軸ケーブルに本発明を適用することが可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】通常のセミリジットケーブルを示す図である。
【図2】本発明のLPFの実施の形態を示す図であり、(a)はその構成を示し、(b)は等価回路を示す。
【図3】本実施の形態の周波数特性を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態2を示す図である。
【図5】実施の形態2の周波数特性を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態3を示す図である。
【図7】実施の形態3の周波数特性を示す図である。
【図8】一般的な無線送信機の構成を示す図である。
【図9】従来技術を示す図である。
【図10】従来技術の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1、10 内導体(内部導体)
3 キャパシタンス(容量)
5 インダクタンス
6 絶縁体(誘電体)
7、20 外導体
8 IF AMP(中間周波増幅器)
9 ミキサ
11、15 BPF(帯域通過フィルタ)
12 RF AMP(高周波増幅器)
13 コンバーター回路
14 パワーアンプ
16 シンセサイザー
30、31、32、33、40、41、42、43、44、45、50、51、52、53、54、55 絶縁体(誘電体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸型ケーブルの内導体と外導体間の絶縁体を線路方向に異なる複数の誘電率の誘電体の組み合わせ構造として低域通過フィルタを形成したことを特徴とする同軸型LPF。
【請求項2】
同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の誘電率に対し、前記誘電率より小さい誘電率の誘電体とその両端に設けた前記誘電率より大きい誘電率の誘電体の組み合わせでなることを特徴とする請求項1記載の同軸型LPF。
【請求項3】
前記内導体は均一な径を有することを特徴とする請求項1又は2記載の同軸型LPF。
【請求項4】
大きい誘電率の誘電体の領域の内導体の径は、同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の領域の内導体の径より大きく、小さい誘電率の誘電体の領域の内導体は、同軸型ケーブル自体の内導体と外導体間の絶縁体の領域の内導体の径より小さいことを特徴とする請求項1又は2記載の同軸型LPF。
【請求項5】
異なる誘電率の誘電体の組み合わせにより多段構成の低域通過フィルタを形成したことを特徴とする請求項1ないし4の何れかの請求項記載の同軸型LPF。
【請求項6】
キャパシタンス成分を形成する領域の誘電体の誘電率はインダクタンス成分を形成する領域の誘電体の誘電率より大きいことを特徴とする請求項1ないし5記載の同軸型LPF
【請求項7】
セミリジットケーブルを使用したことを特徴とする請求項1ないし6の何れかの請求項記載の同軸型LPF。
【請求項8】
異なる誘電率の誘電体の組み合わせにより低域通過フィルタを形成した領域を含むことを特徴とする請求項1ないし7の何れかの請求項記載の同軸ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−229782(P2006−229782A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43174(P2005−43174)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】