説明

吐出器

【課題】支持板の出っ張り量を抑えつつ、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受ける。
【解決手段】装着キャップ20の第2天壁部17に、ガイド筒部19よりも大径でかつ装着周壁部18よりも小径の被挟持筒部30が上方に向けて延設され、この被挟持筒部30の上端に、径方向外方に向けて突出するとともに第1天壁部13よりも下方に位置する支持板31が設けられ、第2天壁部17、装着周壁部18、ガイド筒部19、被挟持筒部30および支持板31は一体に形成されるとともに、被挟持筒部30において第2天壁部17に連なる下端部に貫通孔34が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出器として、従来から、容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、第1天壁部、および第1天壁部から下方に向けて延設されて内部に前記ステムが嵌合された嵌合筒部を備えるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、第2天壁部、第2天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部、および第2天壁部に貫設されるとともに内部に前記ステムが上下動自在に挿入されたガイド筒部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体が前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出される構成が知られている。
この吐出器においては一般に、その使用に際し、一方の手のひらをノズル孔の開口部にその下側から添えつつ、他方の手で押下ヘッドを押し下げて、一方の手のひらでノズル孔から吐出された容器体内の液体を受けているが、近年では、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受けられる構成が提案されている。
この構成として、例えば下記特許文献1に示されるような、装着キャップの装着周壁部に径方向外方に向けて支持板を突設した構成が知られている。
【特許文献1】特開2003−165591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の吐出器では、装着キャップの装着周壁部に支持板を突設していたので、支持板の出っ張り量が大きくなり、例えば搬送時に支持板同士が引っ掛かったり、あるいは店頭での陳列時に占有スペースが嵩張ったりする等、取り扱い性が低下するおそれがあった。さらにこのように支持板の出っ張り量が大きくなると、この吐出器の装着された容器が把持し難くなるので、装着キャップの外径を小さくして、この容器の把持のし易さを確保しなければならなくなり、例えば吐出容量等といった吐出器の性能上、さらにはデザイン上の制約が生ずるおそれもあった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、支持板の出っ張り量を抑えつつ、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受けることができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の吐出器は、容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、第1天壁部、および第1天壁部から下方に向けて延設されて内部に前記ステムが嵌合された嵌合筒部を備えるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、第2天壁部、第2天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部、および第2天壁部に貫設されるとともに内部に前記ステムが上下動自在に挿入されたガイド筒部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体を前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出する構成とされた吐出器であって、前記装着キャップの第2天壁部に、ガイド筒部よりも大径でかつ装着周壁部よりも小径の被挟持筒部が上方に向けて延設され、この被挟持筒部の上端に、径方向外方に向けて突出するとともに前記第1天壁部よりも下方に位置する支持板が設けられ、前記第2天壁部、装着周壁部、ガイド筒部、被挟持筒部および支持板は一体に形成されるとともに、前記被挟持筒部において第2天壁部に連なる下端部に貫通孔が形成されていることを特徴とする。
この発明では、装着キャップの第2天壁部に被挟持筒部が立設されるとともに、この被挟持筒部の上端に径方向外方に向けて支持板が突設されているので、例えば一方の手のひらをノズル孔の開口部にその下側から添えつつ、その手の中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部をその径方向に挟み込んだ状態で、この手を上昇させると、前記中指と人指し指、または薬指と中指等により支持板がその下面側から支持されることによって、当該吐出器の装着された容器体が持ち上げられることになる。さらにこの状態で、前記一方の手の親指で押下ヘッドを押し下げることにより、ノズル孔から吐出された容器体内の液体が前記一方の手のひらで受け止められる。
以上より、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受けることができる。
さらに、被挟持筒部が装着周壁部よりも小径に形成され、この被挟持筒部の上端に支持板が設けられているので、支持板が装着周壁部よりも径方向外側に大きく出っ張るのを抑えることが可能になり、前述の作用効果を奏する吐出器の取り扱い性が低下するのを防ぐことができる。
さらにまた、被挟持筒部が装着周壁部よりも小径に形成されていることから、需要者の手の大小を問わず、前述のようにして中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部をその径方向に強固かつ確実に挟み込むことが可能になる。
また、第2天壁部、装着周壁部、ガイド筒部、被挟持筒部および支持板が一体に形成されているので、この吐出器が高コストになるのを抑えることができる。
さらに、被挟持筒部において第2天壁部に連なる下端部に貫通孔が形成されているので、被挟持筒部に支持板を設けたことにより、この支持板の上面を介して、装着キャップにおいて第2天壁部、ガイド筒部および被挟持筒部で画成された空間内に例えば水等が侵入し易くなったとしても、この侵入物を前記貫通孔を通して外部に排出し易くすることが可能になる。また、このように貫通孔が形成されていることから装着キャップを形成する材料の使用量を低減することも可能になる。
【0006】
ここで、前記貫通孔は、被挟持筒部の下端部にその周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、前記第2天壁部の上面は、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜してもよい。
この場合、貫通孔が被挟持筒部の下端部にその周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、第2天壁部の上面が、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜しているので、前述の侵入物を確実に前記空間内から外部に排出し易くすることができる。
【0007】
また、前記押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、第1天壁部と支持板との間に、上面視C字状に形成されたストッパ筒部が離脱可能に介装され、このストッパ筒部は、その内側に前記押下ヘッドにおいて前記支持板の上面から上方に突出した部分が嵌合されるとともに、第1天壁部と支持板とにより上下方向に挟まれてもよい。
この場合、押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、第1天壁部と支持板との間に、上面視C字状に形成されたストッパ筒部が離脱可能に介装され、このストッパ筒部は、その内側に前記押下ヘッドにおいて前記支持板の上面から上方に突出した部分が嵌合されるとともに、第1天壁部と支持板とにより上下方向に挟まれているので、需要者が容器体内の液体を使用する前の段階で、押下ヘッドが不用意に押し下げられ液体が吐出されるのを防ぐことが可能になる。
【0008】
さらに、前記ガイド筒部の上端部外周面にリング部材が嵌合されるとともに、前記第1天壁部には、嵌合筒部をその径方向外方から囲繞するとともに前記ガイド筒部よりも大径でかつ被挟持筒部よりも小径の囲繞筒部が設けられ、前記押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、前記リング部材が、前記囲繞筒部の下端部における内側に近接若しくは当接してもよい。
この場合、押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、リング部材が、囲繞筒部の下端部における内側に近接若しくは当接しているので、ガイド筒部と囲繞筒部との間を通して外部から例えば水等が侵入するのを抑制することが可能になる。
また、前述のように第2天壁部、装着周壁部、ガイド筒部、被挟持筒部および支持板が一体に形成されるとともに、リング部材がガイド筒部の上端部外周面に嵌合されてガイド筒部と一体に形成されていないので、このような作用効果を有する吐出器の装着キャップを金型内に樹脂を供給して成形する場合に、この金型の構造が複雑になるのを防ぐことができる。
【0009】
また、前記押下ヘッドおよびステムに連係した液用ピストンが内部を上下方向に摺動する液用シリンダと、前記押下ヘッドに連係した空気用ピストンが内部を上下方向に摺動するとともに、前記装着キャップの内側に取り付けられた空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、容器体の口部に装着した状態で前記押下ヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させて前記ノズル孔から吐出する構成とされてもよい。
この場合、液用ピストンおよび液用シリンダのみならず空気用ピストンおよび空気用シリンダをも備えているので、装着キャップの装着周壁部を大径にしなければならないため、前述の作用効果のうち、支持板の出っ張り量を抑える効果、および需要者の手の大小を問わず中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部をその径方向に強固かつ確実に挟み込ませる効果が顕著に奏功されることになる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る吐出器によれば、支持板の出っ張り量を抑えつつ、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係る吐出器10には、図示されない容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステム11と、第1天壁部13、および第1天壁部13から下方に向けて延設されて内部にステム11が嵌合された嵌合筒部14を備えるとともに、ノズル孔12が形成された押下ヘッド15と、第2天壁部17、第2天壁部17の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部18、および第2天壁部17に貫設されるとともに内部にステム11が上下動自在に挿入されたガイド筒部19を備え、容器体の口部に装着される装着キャップ20と、が備えられている。なお、図示の例では、ガイド筒部19内には、内部にステム11が嵌合された嵌合筒部14も上下動自在に挿入されている。
【0012】
また、本実施形態では、吐出器10に、押下ヘッド15およびステム11に連係した液用ピストン21と、内部をこの液用ピストン21が上下方向に摺動する液用シリンダ22と、押下ヘッド15に連係した空気用ピストン23が内部を上下方向に摺動するとともに、装着キャップ20の内側に取り付けられた空気用シリンダ24と、液用シリンダ22からの液体と空気用シリンダ24からの空気とが合流する気液混合室25と、ノズル孔12と気液混合室25との間に設置された発泡部材26と、が備えられている。
【0013】
そして、以上の吐出器10を、図示されない容器体の口部に装着した状態で押下ヘッド15をステム11とともに押し下げて液用シリンダ22内の液体および空気用シリンダ24内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室25に移送して合流させ発泡部材26を通して発泡させてノズル孔12から吐出するようになっている。
なお、以上のステム11、押下ヘッド15、装着キャップ20、液用ピストン21、液用シリンダ22、空気用ピストン23、空気用シリンダ24および発泡部材26は全て、筒状体とされるとともに、共通軸と同軸上に位置させられて吐出器10に備えられている。
【0014】
ここで、押下ヘッド15の第1天壁部13には、嵌合筒部14をその径方向外方から囲繞するとともに、装着キャップ20のガイド筒部19よりも大径の囲繞筒部27が下方に向けて延設されるとともに、第1天壁部13の外周縁部には下方に向けて環状凸部28が突設されている。また、第1天壁部13の下面には、その径方向に沿って延在し囲繞筒部27および環状凸部28を貫通するノズル筒部29が設けられており、このノズル筒部29の一端開口部は嵌合筒部14の内部に開口し、他端開口部は環状凸部28よりも径方向外方に位置させられて前述のノズル孔12となっている。
【0015】
さらに、囲繞筒部27の下端部は、嵌合筒部14の下端部よりも上方に位置し、かつ押下ヘッド15およびステム11が上昇端位置に位置した状態で、径方向内側で装着キャップ20のガイド筒部19の上端部と対向している。
そして、本実施形態では、ガイド筒部19の上端部外周面には、リング部材35が嵌合されている。図示の例では、ガイド筒部19の外周面において上端部には他の部分よりも小径になるように環状凹部が形成されており、リング部材35はこのガイド筒部19の上端部外周面に下側から支持された状態で嵌合している。さらに、このリング部材35は、ガイド筒部19における前記他の部分の外周面よりも径方向外方に突出している。
【0016】
また、押下ヘッド15の囲繞筒部27の下端部内周面には、筒部材32が嵌合されている。図示の例では、囲繞筒部27の内周面において下端部には他の部分よりも大径になるように環状凹部が形成されており、筒部材32はこの囲繞筒部27の下端部内周面に上側から支持された状態で嵌合している。さらに、この筒部材32は、囲繞筒部27における前記他の部分の内周面よりも径方向内方に突出している。
【0017】
以上より、押下ヘッド15およびステム11がその上昇端位置に位置した状態で、リング部材35が筒部材32(囲繞筒部の下端部における内側)に近接若しくは当接するようになっている。なお、リング部材35および筒部材32を形成する各材質としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルなどの一般的な合成樹脂や、オレフィン系、スチレン系、若しくはポリエステル系等の熱可塑性のエラストマ材料などのゴム状弾性体等が挙げられる。
【0018】
そして、本実施形態では、装着キャップ20の第2天壁部17に、ガイド筒部19よりも大径でかつ装着周壁部18よりも小径の被挟持筒部30が上方に向けて延設され、この被挟持筒部30の上端に、径方向外方に向けて突出するとともに第1天壁部13よりも下方に位置する支持板31が設けられている。
図示の例では、支持板31はフランジ状に形成され、被挟持筒部30の上端にその全周にわたって突設されるとともに、水平方向に沿って延びている。また、支持板31の外径は、装着周壁部18の外径と同等になっている。さらに、支持板31の外周縁は、ノズル孔12よりも径方向内方に位置している。
以上の第2天壁部17、装着周壁部18、ガイド筒部19、被挟持筒部30および支持板31は同一の材質で一体に形成されている。
【0019】
また、被挟持筒部30は、押下ヘッド15の囲繞筒部27よりも径方向外方に位置しており、押下ヘッド15を押し下げた際、囲繞筒部27が装着キャップ20のガイド筒部19と被挟持筒部30との間に進入するようになっている。
【0020】
ここで、押下ヘッド15の環状凸部28(第1天壁部の外周縁部)は、装着キャップ20の支持板31の上面に上下方向で対向している。そして、環状凸部28と支持板31の上面との間に、押下ヘッド15およびステム11がその上昇端位置に位置した状態で、上面視C字状に形成されたストッパ筒部33が離脱可能に介装されている。このストッパ筒部33は、その内側に押下ヘッド15において支持板31の上面から上方に突出した部分、つまり囲繞筒部27が嵌合されるとともに、環状凸部28と支持板31とにより上下方向に挟まれている。
【0021】
図示の例では、ストッパ筒部33は、上面視C字状で概略筒状に形成された本体部33aと、本体部33aの内周面に径方向内方に向けて突設された複数の突起板33bと、本体部33aの外周面においてその周方向の中央部に径方向外方に向けて突設されたつまみ部33cと、が備えられ、これら33a〜33cが一体に形成されている。複数の突起板33bは、本体部33aの周方向に間隔をあけて配置されている。そして、このストッパ筒部33が前述のように環状凸部28と支持板31の上面との間に介装された状態で、突起板33bの先端が押下ヘッド15における囲繞筒部27の外周面に当接し、かつ本体部33aの上下端縁がそれぞれ、環状凸部28の下端および支持板31の上面に当接するようになっている。なお、突起板33bは、本体部33aの内周面に、その軸方向に沿って延在している。
【0022】
さらに、本実施形態では、被挟持筒部30において第2天壁部17に連なる下端部に貫通孔34が形成されている。図示の例では、貫通孔34は、被挟持筒部30の下端部にその周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、第2天壁部17の上面は、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜している。なお、貫通孔34は、被挟持筒部30の側面視で、上下方向に長い長方形状を呈している。
【0023】
以上説明したように本実施形態に係る吐出器10によれば、装着キャップ20の第2天壁部17に被挟持筒部30が立設されるとともに、この被挟持筒部30の上端に径方向外方に向けて支持板31が突設されているので、例えば一方の手のひらをノズル孔12の開口部にその下側から添えつつ、その手の中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部30をその径方向に挟み込んだ状態で、この手を上昇させたときに、前記中指と人指し指、または薬指と中指等により支持板31がその下面側から支持されることによって、当該吐出器10の装着された容器体を持ち上げることが可能になる。さらにこの状態で、前記一方の手の親指で押下ヘッド15を押し下げることにより、ノズル孔12から吐出された容器体内の液体を前記一方の手のひらで受け止めることが可能になる。
以上より、片手だけを用いて押下ヘッド15を押し下げかつノズル孔12から吐出された液体を受けることができる。
【0024】
さらに、被挟持筒部30が装着周壁部18よりも小径に形成され、この被挟持筒部30の上端に支持板31が設けられているので、支持板31が装着周壁部18よりも径方向外側に大きく出っ張るのを抑えることが可能になり、前述の作用効果を奏する吐出器10の取り扱い性が低下するのを防ぐことができる。
さらにまた、被挟持筒部30が装着周壁部18よりも小径に形成されていることから、需要者の手の大小を問わず、前述のようにして中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部30をその径方向に強固かつ確実に挟み込むことが可能になる。
また、第2天壁部17、装着周壁部18、ガイド筒部19、被挟持筒部30および支持板31が一体に形成されているので、この吐出器10が高コストになるのを抑えることができる。
【0025】
さらに、被挟持筒部30において第2天壁部17に連なる下端部に貫通孔34が形成されているので、被挟持筒部30に支持板31を設けたことにより、この支持板31の上面を介して、装着キャップ20において第2天壁部17、ガイド筒部19および被挟持筒部30で画成された空間内に例えば水等が侵入し易くなったとしても、この侵入物を貫通孔34を通して外部に排出し易くすることが可能になる。また、このように貫通孔34が形成されていることから装着キャップ20を形成する材料の使用量を低減することも可能になる。
【0026】
特に本実施形態では、貫通孔34が被挟持筒部30の下端部にその周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、第2天壁部17の上面が、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜しているので、前述の侵入物を確実に前記空間内から外部に排出し易くすることができる。
【0027】
また、本実施形態では、押下ヘッド15およびステム11がその上昇端位置に位置した状態で、第1天壁部13と支持板31との間に、上面視C字状に形成されたストッパ筒部33が離脱可能に介装され、このストッパ筒部33は、その内側に押下ヘッド15の囲繞筒部27が嵌合されるとともに、第1天壁部13と支持板31とにより上下方向に挟まれているので、需要者が容器体内の液体を使用する前の段階で、押下ヘッド15が不用意に押し下げられ液体が吐出されるのを防ぐことが可能になる。
【0028】
さらに、本実施形態では、押下ヘッド15およびステム11がその上昇端位置に位置した状態で、ガイド筒部19の上端部外周面に設けられたリング部材35が、囲繞筒部27の下端部内周面に設けられた筒部材32に近接若しくは当接しているので、ガイド筒部19と囲繞筒部27との間を通して外部から例えば水等が侵入するのを抑制することが可能になる。ここで、例えばリング部材35および筒部材32のうちの少なくとも一方をゴム状弾性体で形成し、他方に当接させると、この効果が確実に奏功されることになる。
また、前述のように第2天壁部17、装着周壁部18、ガイド筒部19、被挟持筒部30および支持板31が一体に形成されるとともに、リング部材35がガイド筒部19の上端部外周面に嵌合されてガイド筒部19と一体に形成されていないので、このような作用効果を有する吐出器10の装着キャップ20を金型内に樹脂を供給して成形する場合に、この金型の構造が複雑になるのを防ぐことができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、吐出器10が、液用ピストン21および液用シリンダ22のみならず空気用ピストン23および空気用シリンダ24をも備えているので、装着キャップ20の装着周壁部18を大径にしなければならないため、前述の作用効果のうち、支持板31の出っ張り量を抑える効果、および需要者の手の大小を問わず中指と人指し指、または薬指と中指等で被挟持筒部30をその径方向に強固かつ確実に挟み込ませる効果が顕著に奏功されることになる。
【0030】
また、本実施形態では、支持板31が被挟持筒部30の上端にその全周にわたって突設されているので、容器やノズル孔12の周方向位置を支持板31に対して合わせる必要がなくなり、組み立て時間が長くなるのを抑えることができるとともに、吐出器10の操作性を向上することができ、さらに、ストッパ筒部33を吐出器10に装着する際にこのストッパ筒部33の周方向位置を支持板31に対して合わせる手間を省くことが可能になり、ストッパ筒部33を備えたことによってこの吐出器10の組み立て時間が長くのを確実に防ぐことができる。
【0031】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、吐出器10として、ノズル孔12から泡状の液体を吐出するいわゆるフォーマポンプを示したが、これに代えて例えば、空気用ピストン23、空気用シリンダ24、気液混合室25、および発泡部材26等を有さず、液体を泡立たせずにノズル孔12から吐出するポンプにも適用可能である。
さらにまた、液用ピストン21および液用シリンダ22を有するポンプ式の吐出器に代えて、例えば液用ピストン21および液用シリンダ22を有さない、いわゆるエアゾール式の吐出器においても適用可能である。
【0032】
また、前記実施形態で示したストッパ筒部33に代えて、例えば図3および図4に示されるような、上面視C字状に概略筒状に形成された本体部41aと、本体部41aの外周面に周方向に間隔をあけて複数、径方向外方に向けて突設された突起板41bと、本体部41aの外周面においてその周方向の中央部に突設されたつまみ部41cと、が備えられ、これら41a〜41cが一体に形成されたストッパ筒部41を採用してもよい。なお、図示の例では、突起板41bは、本体部41aの外周面にその軸方向の全長にわたって延在している。
このように構成されたストッパ筒部41においては、環状凸部28と支持板31の上面との間に介装された状態で、本体部41aの内周面が囲繞筒部27の外周面に当接し、かつ突起板41bの上下端縁がそれぞれ、環状凸部28の下端および支持板31の上面に当接するようになっている。
【0033】
さらに、前記実施形態では、貫通孔34を被挟持筒部30に複数形成したが、1つ形成してもよい。また、前記実施形態では、第2天壁部17の上面を、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜させたが、上下方向に直交する方向に延びる平坦面としてもよい。
さらにまた、前記実施形態では、吐出器10としてストッパ筒部33または41を有する構成を示したが、ストッパ筒部33または41を有しない構成においても適用可能である。
【0034】
また、押下ヘッド15に囲繞筒部27を設けたが、この囲繞筒部27は設けなくてもよい。さらに、ガイド筒部19にリング部材35を嵌合させて、これら19、35を別部材とした構成を示したが、一体に形成してもよい。さらにまた、環状凸部28を有しない押下ヘッド15を採用してもよい。また、囲繞筒部27の下端部内周面に筒部材32を設けたが、この筒部材32を設けなくてもよい。さらに、囲繞筒部27と筒部材32とを一体に形成してもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、支持板31として、フランジ状に形成されて被挟持筒部30の上端にその全周にわたって突設された構成を示したが、1枚若しくは周方向に間隔をあけて配置された複数枚の支持板を採用してもよい。この構成においては、装着キャップ20と押下ヘッド15との間に押下ヘッド15の装着キャップ20に対する軸線回りの回転を防止する回転防止手段を設けた上で、支持板が少なくとも、吐出器10の上面視においてノズル孔12の配置位置から吐出器の軸線を中心に右回りおよび左回りにそれぞれ90°ずつ離れた各位置に配置されていればよい。
【0036】
さらに、前記実施形態では、支持板31を水平方向に沿って延在させたが、これに代えて例えば、挟持筒部30の上端から径方向外方に向かうに従い漸次上方に向けて傾斜させてもよいし、あるいは挟持筒部30の上端から径方向外方に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
支持板の出っ張り量を抑えつつ、片手だけを用いて押下ヘッドを押し下げかつノズル孔から吐出された液体を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した吐出器を示す一部縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出器の上面図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態として示した吐出器を示す一部縦断面図である。
【図4】図3に示す吐出器の上面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 吐出器
11 ステム
12 ノズル孔
13 第1天壁部
14 嵌合筒部
15 押下ヘッド
17 第2天壁部
18 装着周壁部
19 ガイド筒部
20 装着キャップ
21 液用ピストン
22 液用シリンダ
23 空気用ピストン
24 空気用シリンダ
25 気液混合室
26 発泡部材
27 囲繞筒部
30 被挟持筒部
31 支持板
32 筒部材
33、41 ストッパ筒部
34 貫通孔
35 リング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口部に上方付勢状態で立設されるステムと、
第1天壁部、および第1天壁部から下方に向けて延設されて内部に前記ステムが嵌合された嵌合筒部を備えるとともに、ノズル孔が形成された押下ヘッドと、
第2天壁部、第2天壁部の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部、および第2天壁部に貫設されるとともに内部に前記ステムが上下動自在に挿入されたガイド筒部を備え、容器体の口部に装着される装着キャップと、が備えられ、
前記押下ヘッドをステムとともに押し下げることにより、容器体内の液体を前記ステムの内部を通してノズル孔から吐出する構成とされた吐出器であって、
前記装着キャップの第2天壁部に、ガイド筒部よりも大径でかつ装着周壁部よりも小径の被挟持筒部が上方に向けて延設され、この被挟持筒部の上端に、径方向外方に向けて突出するとともに前記第1天壁部よりも下方に位置する支持板が設けられ、
前記第2天壁部、装着周壁部、ガイド筒部、被挟持筒部および支持板は一体に形成されるとともに、前記被挟持筒部において第2天壁部に連なる下端部に貫通孔が形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出器であって、
前記貫通孔は、被挟持筒部の下端部にその周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、前記第2天壁部の上面は、その径方向中央部側から外側に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜していることを特徴とする吐出器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出器であって、
前記押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、第1天壁部と支持板との間に、上面視C字状に形成されたストッパ筒部が離脱可能に介装され、
このストッパ筒部は、その内側に前記押下ヘッドにおいて前記支持板の上面から上方に突出した部分が嵌合されるとともに、第1天壁部と支持板とにより上下方向に挟まれていることを特徴とする吐出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の吐出器であって、
前記ガイド筒部の上端部外周面にリング部材が嵌合されるとともに、前記第1天壁部には、嵌合筒部をその径方向外方から囲繞するとともに前記ガイド筒部よりも大径でかつ被挟持筒部よりも小径の囲繞筒部が設けられ、
前記押下ヘッドおよびステムがその上昇端位置に位置した状態で、前記リング部材が、前記囲繞筒部の下端部における内側に近接若しくは当接することを特徴とする吐出器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の吐出器であって、
前記押下ヘッドおよびステムに連係した液用ピストンが内部を上下方向に摺動する液用シリンダと、
前記押下ヘッドに連係した空気用ピストンが内部を上下方向に摺動するとともに、前記装着キャップの内側に取り付けられた空気用シリンダと、
前記液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、
前記ノズル孔と気液混合室との間に設置された発泡部材と、を備え、
容器体の口部に装着した状態で前記押下ヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を加圧することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させて前記ノズル孔から吐出する構成とされたことを特徴とする吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−56404(P2009−56404A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226530(P2007−226530)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】