説明

吐出器

【課題】販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐこと。
【解決手段】吐出器本体15を覆うカバー体18は、頂部31及び頂部から下方に向けて延設され下端が天壁部16上に配置された周壁部32を備え、案内筒部22には、被係止部37が係止されることで吐出器本体に対するカバー体の上方に向けた移動を規制する係止部22cが形成され、カバー体には、押下ヘッド14に係合することで周壁部に形成された開口部33を吐出器本体の上側部分17が径方向に通過することを規制する係合片38が、破断可能なブリッジ部39を介して連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、押下ヘッドを押下してステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて吐出孔から吐出される吐出器本体、並びにこの吐出器本体のうち装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体を備える吐出器が知られている。
このようなカバー体として、例えば下記特許文献1に示されるように、不意に加えられた外力を受け止め、この外力がステムに伝わるのを防ぐことで内容物が吐出されることを防止する構成が知られている。
ところで近年では、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に加えられた外力によって内容物が吐出されてしまうことを防止でき、さらに未使用であることを容易に判別させることが可能な構成が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−327612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、前記カバー体が吐出器本体から外れ易く、しかも外された後に再度装着されると、カバー体が外れたことがあるか否かの判別が困難であり、前述の要望に対応し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出器は、内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うとともに該上側部分に装着されるカバー体を備え、このカバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、前記案内筒部には、前記周壁部に設けられた被係止部が係止されることで、前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する係止部が形成され、前記周壁部には、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部が形成され、前記カバー体および吐出器本体の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記カバー体に対して着脱され、前記カバー体には、前記押下ヘッドに係合することで、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する係合片が、破断可能なブリッジ部を介して連結されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、案内筒部に、前記係止部が形成されているので、この係止部に被係止部を係止させることで、カバー体の吐出器本体に対する上方に向けた移動を規制することが可能になり、カバー体が、吐出器本体に対して上方に向けて移動して吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
また、カバー体に、前記係合片が連結されているので、この係合片を押下ヘッドに係合させることで、前記上側部分が開口部を径方向に通過するのを規制することが可能になり、前記上側部分が開口部を径方向に通過することで周壁部から離脱してカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
以上より、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
【0008】
また、カバー体を吐出器本体から外すには、ブリッジ部を破断させるとともに係合片と押下ヘッドとの係合を解除した後、カバー体および吐出器本体を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体の前記上側部分にカバー体の開口部を径方向に通過させ前記上側部分をカバー体から離脱させる。
このように、カバー体を吐出器本体から外すためには、ブリッジ部を破断させなければならず、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを購入者に容易に判別させることができる。
【0009】
そして、購入者において内容物の使用後に保管する際には、カバー体の開口部と、吐出器本体の前記上側部分と、を径方向で互いに対向させた状態で、カバー体と吐出器本体とを相対的に径方向に接近移動させることにより、吐出器本体の前記上側部分にカバー体の開口部を径方向に通過させて前記上側部分にカバー体を装着させる。これにより、押下ヘッドは、頂部により上方から覆われるとともに周壁部により径方向の外側から覆われ、また、周壁部の下端は、装着キャップの天壁部上に配置される。
以上のように、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体を吐出器本体(前記上側部分)に装着した状態では、押下ヘッドが、頂部により上方から覆われるとともに、この頂部から下方に向けて延設される周壁部の下端が、装着キャップの天壁部上に配置されるので、吐出器に、この吐出器の上方から下方に向けて外力が加えられても、その力が、頂部および周壁部を介して装着キャップに伝達されて容器体により受け止められることとなり、押下ヘッドおよびステムの下方への移動を防止することができる。
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体が吐出器本体に装着されているときには、不意に加えられた外力によって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記係合片は、前記押下ヘッドと前記案内筒部との間に嵌入されることで前記押下ヘッドに係合されていても良い。
【0011】
この場合、係合片が、押下ヘッドと案内筒部との間に嵌入されているので、係合片を押下ヘッドに強固に係合させることが可能になり、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に不意に外力が加えられても、係合片と押下ヘッドとの係合が解除されるのを確実に抑えることができる。しかも、押下ヘッドに、係合片が係合される係合部(例えば突起や凹部など)を形成することなく係合片を係合させることが可能になり、既存の押下ヘッドを使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吐出器によれば、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吐出器の要部を示す側面図である。
【図2】図1に示す吐出器の部分断面図である。
【図3】図1に示す吐出器の正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図9】図8に示す吐出器が備えるカバー体および係合片を展開した状態を示す上面図である。
【図10】図8に示す吐出器が備えるカバー体および係合片を吐出器本体に装着する工程を説明する一工程図である。
【図11】図8に示す吐出器が備えるカバー体および係合片を吐出器本体に装着する工程を説明する一工程図である。
【図12】本発明の第7実施形態に係る吐出器の要部を示す部分側面図である。
【図13】図12に示す吐出器が備えるカバー体および係合片を吐出器本体に装着する工程を説明する一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出器を説明する。
図1から図3に示すように、本実施形態の吐出器10は、内容物が収容された容器体2の口部2aに装着される有頂筒状の装着キャップ11と、この装着キャップ11に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム12を有するポンプ13と、ステム12の上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッド14と、を備える吐出器本体15、並びに吐出器本体15のうち装着キャップ11の天壁部16よりも上方に位置する上側部分17を覆うとともに該上側部分17に装着されるカバー体18を備えている。
【0015】
そして、カバー体18を吐出器本体15から外した状態で、押下ヘッド14を押下してステム12を下方に移動させポンプ13を作動させることにより、容器体2内の内容物が移送されて吐出孔から吐出されるようになっている。
ここで、容器体2、装着キャップ11およびステム12それぞれの中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を中心軸Oといい、この中心軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿ってカバー体18の後述する頂部31側を上側、容器体2の底部(図示せず)側を下側といい、また中心軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに中心軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0016】
装着キャップ11は、中央部に円形の開口が形成された天壁部16と、天壁部16の外周縁部から下方に向けて延設された装着筒部21と、天壁部16に前記開口と同軸に配置されるとともに上方に向けて延設(立設)された案内筒部22と、を備えている。
装着筒部21内には、容器体2の口部2aが嵌合されており、これにより、装着キャップ11が容器体2に装着されている。
また、案内筒部22は、小径部22bと、小径部22bよりも大径な大径部22aと、が、下側から上側に向けてこの順に連結された多段の筒状に形成されている。これらの小径部22bと大径部22aとは、段部(係止部)22cを介して周方向の全周にわたって連結されている。
【0017】
ポンプ13は、前記ステム12と、内部にステム12の下部が上下動自在に配設されたシリンダ23と、シリンダ23の内部に上下摺動自在に配設されたピストン部材(図示せず)と、ステム12を上方に向けて付勢する付勢部材(図示せず)と、を備えている。
ステム12の上部は、シリンダ23の上端から上方に突出し、かつ装着キャップ11の案内筒部22内に配設され、さらにその上端部は案内筒部22の上端から上方に突出している。
シリンダ23は、円筒状に形成されるとともに前記中心軸Oと同軸に配設されている。シリンダ23の上端には、全周にわたってフランジ部23aが径方向の外側に向けて突設されており、このフランジ部23aが、装着キャップ11の天壁部16の下面と、容器体2の口部2aの開口端縁上のパッキン24と、により上下方向に挟み込まれている。シリンダ23の下端部(図示せず)内には、例えばパイプ(図示せず)の上端部が嵌合されており、このパイプの下端開口部が容器体2内の底部に位置している。
【0018】
押下ヘッド14は、頂壁部26と、頂壁部26の下面における中央部から下方に向けて延設された嵌合筒部27と、頂壁部26の外周縁から下方に向けて延設され嵌合筒部27を径方向の外側から囲繞する囲繞筒部28と、囲繞筒部28の外周面に径方向の外側に向けて突設された吐出筒29と、を備えている。嵌合筒部27および囲繞筒部28は、いずれも前記中心軸Oと同軸に配設されている。
【0019】
嵌合筒部27内にはステム12の上端部が嵌合されており、この嵌合筒部27内とステム12内とが連通している。吐出筒29の先端には前記吐出孔が形成され、また吐出筒29の内部は嵌合筒部27の内部と連通している。
囲繞筒部28において、上部28aの外周面は上方から下方に向かうに従い漸次縮径され、下部28bの外周面は上下方向における全長にわたって同等の外径となっている。囲繞筒部28の下部28bの外径は、上部28aの下端における外径と同等になっている。囲繞筒部28の下部28bにおける内径は、装着キャップ11の案内筒部22の大径部22aの外径よりも大きくなっており、押下ヘッド14の上下動に伴い、案内筒部22が囲繞筒部28内に下側から進退移動して押下ヘッド14の上下動を案内するようになっている。なお、図示の例では、案内筒部22の大径部22aの上端は、押下ヘッド14の押下時および非押下時の別を問わず常に囲繞筒部28内に位置している。
【0020】
以上の構成において、押下ヘッド14を押下すると、まずステム12が下方に向けて移動させられる。このステム12の移動に追従して、前記ピストン部材がシリンダ23の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ23内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ23内の内容物が、ステム12内に進入してこのステム12内を上方に向けて移動する。
その後、押下ヘッド14の押下を解除すると、前記ピストン部材が前記付勢部材の上方付勢力によりシリンダ23の内周面に摺接しつつ上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ23内が減圧され、容器体2内に収容されている内容物が前記パイプを通してシリンダ23内に吸い上げられる。
【0021】
そして、本実施形態では、カバー体18は、押下ヘッド14を上方から覆う頂部31と、この頂部31から下方に向けて延設され前記上側部分17を径方向の外側から覆うとともに下端が装着キャップ11の天壁部16上に配置された周壁部32と、を備えている。
頂部31は、平板状体で上面視円形状に形成され、押下ヘッド14の頂壁部26を上方から全域にわたって覆っている。また、頂部31と頂壁部26との間には、隙間が設けられている。
【0022】
周壁部32は、前記中心軸Oと同軸に配設されるとともに頂部31の外周縁部から下方に向けて延在している。また、本実施形態では、この周壁部32内に前記上側部分17が嵌合されることで、カバー体18が前記上側部分17に装着される。なお、図示の例では、周壁部32内には、押下ヘッド14の下端部が嵌合され、周壁部32と案内筒部22との間には、隙間があいている。
【0023】
また、周壁部32には、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部33が形成されている。開口部33は、周壁部32にその上下方向における全長にわたって形成されている。これにより、カバー体18および吐出器本体15の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分17が、開口部33が周方向に拡幅するように周壁部32を弾性変形させながら、開口部33を径方向に通過することで、周壁部32内に対して嵌合および離脱されカバー体18に対して着脱されるようになっている。
なお、図示の例では、周壁部32の上端部において開口部33に周方向で隣接する部分には、上下方向に延びる切り欠き部34が形成されている。切り欠き部34の上端は、上下方向において周壁部32の上端と一致し、切り欠き部34の下端は、押下ヘッド14の囲繞筒部28の下端よりも上側に位置している。
【0024】
また、周壁部32の上端部において前記中心軸Oを挟んで開口部33の反対側に位置する部分には、内部に押下ヘッド14の吐出筒29が収納される先端閉塞の収納体35が径方向の外側に向けて突設されている。
収納体35は、吐出筒29の下方に配置されるとともに吐出筒29の先端部から基端部まで径方向に延び周壁部32に連なる下壁部36を備えている。本実施形態では、下壁部36は、その径方向における中間位置よりも内側に位置する部分が、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、上側から下側に向かって湾曲している。
なお、収納体35の内面と吐出筒29の外面との間には隙間が設けられている。
【0025】
また、周壁部32には、案内筒部22の段部22cに係止される被係止部37が設けられている。本実施形態では、被係止部37は、周壁部32の内周面の下端に径方向の内側に向けて突設され、先端部が、案内筒部22の段部22cの下方まで延びている。これにより、被係止部37が段部22cに係止され、吐出器本体15に対するカバー体18の上方に向けた移動が規制される。なお、図示の例では、被係止部37は、開口部33側に向けて開口する上面視C字状に形成され、内部に案内筒部22の小径部22bが嵌合されている。
【0026】
そして、カバー体18には、押下ヘッド14に係合することで、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過することを規制する係合片38が、破断可能なブリッジ部39を介して連結されている。この係合片38は、押下ヘッド14と案内筒部22との間に嵌入されることで押下ヘッド14に係合されている。
係合片38は、板状体で形成された本体片部40と、本体片部40においてカバー体18の外側を向く表面に突設された摘み部41と、本体片部40に連結され押下ヘッド14に係合する第1係合部42と、を備え、カバー体18と一体に成形されている。
【0027】
本実施形態では、本体片部40は、カバー体18において前記中心軸Oを挟んで開口部33の反対側に位置する部分に形成された窓部43内に配設されるとともに、図3に示すように、その外周縁部が、カバー体18における窓部43の内周縁部にブリッジ部39を介して連結されている。また、本体片部40は、窓部43に対応した形状に形成され、その外周縁部がカバー体18における窓部43の内周縁部に沿うように配設されている。
【0028】
図2および図3に示すように、図示の例では、窓部43は、収納体35の下壁部36および周壁部32において下壁部36に連なる部分に跨るように上下方向に延在し、当該カバー体18を径方向の収納体35側から見た正面視で矩形状に形成されている。
また、本体片部40は、平面視矩形状に形成されるとともに、上側から下側に向かうに従い漸次、径方向の外側から内側に向かい、かつ径方向の内側に向けて突出する凸形状に湾曲されている。また、本体片部40の外周縁部は、その全周にわたって窓部43の内周縁部にブリッジ部39を介して連結されている。図3に示すように、ブリッジ部39は、本体片部40の外周縁部と窓部43の内周縁部との間に互いに間隔をあけて複数配置された破断可能な連結片39aにより構成されており、これらの連結片39aが前記外周縁部と前記内周縁部とを全周にわたって間欠的に連結している。
【0029】
図2に示すように、摘み部41は、平面視直角三角形に形成され、直角部をカバー体18の外側に向けて本体片部40の表面に突設された板状体であり、上下方向に沿って延びるように設けられている。
第1係合部42は、本体片部40において表面の反対側の面である裏面の下端部に径方向の内側に向けて突設されている。第1係合部42は、基端部が径方向の内側に向けて延在するとともに先端部が上方に向けて延在するように中間部で屈曲され、全体として略L字状となっており、前記先端部が押下ヘッド14の囲繞筒部28の下端部と装着キャップ11の案内筒部22との間に嵌入されることで、囲繞筒部28の下端部に下側から回り込んで径方向の内側から係合されている。なお、図示の例では、第1係合部42の基端部の上面は、囲繞筒部28の下端縁に当接している。
【0030】
以上のように構成された係合片38においては、第1係合部42が押下ヘッド14の囲繞筒部28に径方向の内側から係合することで、押下ヘッド14に対して径方向の外側に向けて移動することが規制される。ここで、この係合片38が、カバー体18に連結されるとともに窓部43内に配設されているので、前述のように係合片38の移動が規制されることで、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過するようにカバー体18および吐出器本体15が径方向に沿って相対的に離間移動することが規制される。したがって、係合片38が押下ヘッド14に係合することで、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過するのを規制することができる。
なお、仮にこの規制に反して、前述のようにカバー体18および吐出器本体15を径方向に沿って相対的に離間移動させようとした場合には、ブリッジ部39が破断してカバー体18から係合片38が分離されることとなる。
【0031】
次に、以上のように構成された吐出器10の作用について説明する。
はじめに、係合片38が連結されたカバー体18を吐出器本体15に装着させる際には、カバー体18の開口部33と、吐出器本体15の前記上側部分17と、を径方向で互いに対向させた状態で、カバー体18と吐出器本体15とを相対的に径方向に接近移動させることにより、吐出器本体15の前記上側部分17にカバー体18の開口部33を径方向に通過させて前記上側部分17にカバー体18を装着させる。またこの際、本実施形態では、第1係合部42の先端部と押下ヘッド14の囲繞筒部28の下端部とを径方向に互いに乗り越えさせて係合片38を押下ヘッド14に係合させる。
これにより、押下ヘッド14は、頂部31により上方から覆われるとともに周壁部32により径方向の外側から覆われ、また、周壁部32の下端は、装着キャップ11の天壁部16上に配置される。
【0032】
次いで、カバー体18を吐出器本体15から外すには、まず、例えば係合片38の摘み部41を指等で摘み、この摘み部41を介して本体片部40に、この本体片部40をカバー体18から引き離す力を加える等し、ブリッジ部39を破断させるとともに係合片38と押下ヘッド14との係合を解除して係合片38をカバー体18から分離させる。その後、カバー体18および吐出器本体15を相対的に径方向に沿って離間移動させることで、吐出器本体15の前記上側部分17にカバー体18の開口部33を径方向に通過させ前記上側部分17をカバー体18から離脱させる。
なおこの過程において、係合片38がカバー体18から分離されなくても良く、例えば、ブリッジ部39の一部が破断され、係合片38とカバー体18とがブリッジ部39の他の一部で連結されている状態であっても良い。
【0033】
そして、購入者において内容物の使用後に保管する際には、係合片38が連結されたカバー体18を吐出器本体15に装着させる際と同様にして前記上側部分17をカバー体18に装着させる。なおこの際、係合片38はカバー体18から分離されているので、第1係合部42と押下ヘッド14とを互いに乗り越えさせることはない。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器10によれば、案内筒部22に、前記段部22cが形成されているので、この段部22cに被係止部37を係止させることで、カバー体18の吐出器本体15に対する上方に向けた移動を規制することが可能になり、カバー体18が、吐出器本体15に対して上方に向けて移動して吐出器本体15から外れるのを防ぐことができる。
また、カバー体18に、前記係合片38が連結されているので、この係合片38を押下ヘッド14に係合させることで、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過するのを規制することが可能になり、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過することで周壁部32から離脱してカバー体18が吐出器本体15から外れるのを防ぐことができる。
以上より、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体18が吐出器本体15から外れるのを防ぐことができる。
【0035】
また、カバー体18を吐出器本体15から外すためには、ブリッジ部39を破断させなければならず、カバー体18が吐出器本体15から外されたことがあるか否かを購入者に容易に判別させることができる。
【0036】
さらに、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体18を吐出器本体15(前記上側部分17)に装着した状態では、押下ヘッド14が、頂部31により上方から覆われるとともに、この頂部31から下方に向けて延設される周壁部32の下端が、装着キャップ11の天壁部16上に配置されるので、吐出器10に、この吐出器10の上方から下方に向けて外力が加えられても、その力が、頂部31および周壁部32を介して装着キャップ11に伝達されて容器体2により受け止められることとなり、押下ヘッド14およびステム12の下方への移動を防止することができる。
したがって、カバー体18を吐出器本体15に装着することで、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時に他人により意図的に加えられた外力や、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態では、係合片38の第1係合部42が、押下ヘッド14と案内筒部22との間に嵌入されているので、係合片38を押下ヘッド14に強固に係合させることが可能になり、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に不意に外力が加えられても、係合片38と押下ヘッド14との係合が解除されるのを確実に抑えることができる。しかも、押下ヘッド14に、係合片38の第1係合部42が係合される係合部(例えば突起や凹部など)を形成することなく係合片38を係合させることが可能になり、既存の押下ヘッド14を使用することができる。
【0038】
また、本実施形態では、係合片38の第1係合部42が押下ヘッド14に係合することで、係合片38が押下ヘッド14に対して径方向の外側に向けて移動することが規制されているので、係合片38をカバー体18から分離させるために、係合片38に径方向の外側に向けて力を加えることで、前述のように係合片38が押下ヘッド14に強固に係合されていることと相俟って、係合片38に加えた力をブリッジ部39に効率的に伝えることが可能になり、カバー体18からの係合片38の分離を容易に行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る吐出器50では、窓部51が、カバー体52の周壁部32の下端部に、上下方向に延びるとともに下方に向けて開口する前記正面視矩形凹溝状に形成されている。
【0040】
また、係合片53の本体片部54は、上下方向に延びる平面視矩形状に形成されて窓部51内に配設されており、この本体片部54においてカバー体52の内側を向く裏面の上端部に、第1係合部42が径方向の内側に向けて突設されている。
摘み部55は、平板状体に形成され、本体片部54の裏面の反対側の面である表面の下端から径方向の外側に向けて径方向に沿って延設されている。摘み部55の先端は、装着キャップ11の装着筒部21よりも径方向の外側に位置している。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る吐出器50によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る吐出器60では、係合片61の本体片部62の外周縁部の一部である上端部62aのみが、窓部43の内周縁部においてこの上端部62aに対応する部分とブリッジ部63を介して連結されている。
【0043】
また、係合片61には、カバー体64に係合することで、当該係合片61がカバー体64の外側に向けて移動するのを規制する第2係合部65が備えられている。
本実施形態では、第2係合部65は、本体片部62においてカバー体64の内側を向く裏面の下端部に突設されるとともに下方に向けて延設され、窓部43の内周縁部においてこの下端部に対応する部分に径方向の内側から係合している。これにより、係合片61は、カバー体64に対して径方向の外側に向けて移動することが規制される。なお、図示の例では、第2係合部65の上端は、摘み部41の下端と上下方向に離間している。
【0044】
次に、以上のように構成された吐出器60の作用について説明する。
本実施形態の吐出器60においては、係合片61が連結されたカバー体64を、係合片61がカバー体64に係合されていない状態、例えば係合片61がブリッジ部63回りに径方向の外側に回動された状態(図示2点鎖線参照)で一体に成形する。
そこで、係合片61が連結されたカバー体64を吐出器本体15に装着させる際には、まず、前述したように前記上側部分17にカバー体64を装着させ、その後、例えばブリッジ部63を折曲変形させて係合片61をブリッジ部63回りに径方向の内側に向けて回動させ、第1係合部42および第2係合部65をそれぞれ押下ヘッド14およびカバー体64に係合させる。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る吐出器60によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る吐出器70では、カバー体71の周壁部72内には、前記上側部分17における押下ヘッド80の下端部および案内筒部22が嵌合されている。
窓部73は、収納体35の下壁部36に、その径方向における外端から内側に向けて中間部分まで延び、このカバー体71を下から見た底面視で矩形状に形成されている。
【0047】
係合片78の本体片部74は、径方向に延びる平面視矩形状に形成されて窓部73内に配設されており、その外周縁部において径方向の外側に位置する外側端部74aが、窓部73の内周縁部においてこの外側端部74aに対応する部分とブリッジ部75を介して連結されている。
摘み部76は、平面視台形状に形成されるとともに本体片部74においてカバー体71の外側を向く表面に下方に向けて突設されている。
第2係合部77は、本体片部74の外周縁部において径方向の内側に位置する内側端部に、径方向の内側に向けて突設され、窓部73の内周縁部において前記内側端部に対応する部分に上側から係合している。これにより、係合片78は、カバー体71に対して下側に向けて移動することが規制される。
【0048】
そして、本実施形態では、第1係合部79は、本体片部74において表面と反対側の裏面に上方に向けて突設され、押下ヘッド80の吐出筒29に設けられたノズル側係合部81に係合されている。
ノズル側係合部81は、吐出筒29の先端に、この吐出筒29の外側に向けて突設されたフランジ状体で構成されている。そして、第1係合部79は、本体片部74の外側端部74aの裏面に突設されており、ノズル側係合部81に径方向の内側から係合されている。
また、本体片部74の裏面には、上方に向けて突出するとともに上端が吐出筒29に当接するストッパ部82が設けられている。
【0049】
次に、以上のように構成された吐出器70の作用について説明する。
本実施形態の吐出器70においては、係合片78が連結されたカバー体71を、係合片78がカバー体71に係合されていない状態、例えば係合片78がブリッジ部75回りに上下方向の下側に回動された状態(図示2点鎖線参照)で一体に成形する。
そこで、係合片78が連結されたカバー体71を吐出器本体15に装着させる際には、まず、前述したように前記上側部分17にカバー体71を装着させ、その後、例えばブリッジ部75を折曲変形させて係合片78をブリッジ部75回りに上側に向けて回動させ、第1係合部79および第2係合部77をそれぞれ押下ヘッド80およびカバー体71に係合させる。この際、ストッパ部82の上端が吐出筒29に当接するまで係合片78を回動させる。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る吐出器70によれば、ストッパ部82の上端が、吐出筒29に当接しているので、係合片78をブリッジ部75回りに回動させることで前記ノズル側係合部81に第1係合部79を係合させる際に、係合片78をブリッジ部75回りに位置決めすることが可能になり、係合片78をブリッジ部75回りに過度に回転させるのを抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態では、第2係合部77がカバー体71に係合することで、係合片78がカバー体71に対して下側に向けて移動することが規制されているとともに、ストッパ部82の上端が吐出筒29に当接することで、係合片78がカバー体71に対して上側に向けて移動することが規制されているので、係合片78をカバー体71から分離させるために、係合片78に下側に向けて力を加えることで、係合片78に加えた力をブリッジ部75に効率的に伝えることが可能になり、カバー体71からの係合片78の分離を容易に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態では、ノズル側係合部81が、吐出筒29の先端に、この吐出筒29の外側に向けて突設されたフランジ状体で構成されるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、吐出筒を、その先端に向かうに従い漸次拡径するように形成し、吐出筒の先端でノズル側係合部を構成しても良い。
【0053】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る吐出器90では、カバー体91の収納体92の下壁部93は、その全長にわたって径方向に沿って真直に延びている。
【0054】
窓部94は、下壁部93の径方向における中間部分から内側に向けて周壁部72との連結部分まで延びている。
ノズル側係合部95は、吐出筒29の下面に下方に向けて突設されている。
係合片96の第1係合部97は、ノズル側係合部95に径方向の内側から係合するとともに、上端が吐出筒29に当接している。
【0055】
次に、以上のように構成された吐出器90の作用について説明する。
本実施形態の吐出器90においては、係合片96が連結されたカバー体91を、係合片96がカバー体91に係合されていない状態、例えば係合片96が、ブリッジ部75回りに上下方向の下側に回動された状態(図示2点鎖線参照)で一体に成形する。
そこで、係合片96が連結されたカバー体91を吐出器本体15に装着させる際には、まず、前述したように前記上側部分17にカバー体91を装着させ、その後、例えばブリッジ部75を折曲変形させて係合片96をブリッジ部75回りに上側に向けて回動させ、第1係合部97および第2係合部77をそれぞれ押下ヘッド80およびカバー体91に係合させる。この際、第1係合部97の上端が吐出筒29に当接するまで係合片96を回動させる。
【0056】
以上説明した本実施形態に係る吐出器90によれば、第1係合部97の上端が、吐出筒29に当接しているので、係合片96をブリッジ部75回りに回動させることで前記ノズル側係合部95に第1係合部97を係合させる際に、係合片96をブリッジ部75回りに位置決めすることが可能になり、係合片96をブリッジ部75回りに過度に回転させることを抑えることができる。
【0057】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第6実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8および図9に示すように、本実施形態に係る吐出器100では、カバー体101の周壁部102内には、前記上側部分17における押下ヘッド14の下端部および案内筒部が嵌合されている。
【0058】
そして、本実施形態では、係合片103の本体片部104は、開口部33内に配設されている。
本体片部104は、平面視矩形状に形成されるとともに開口部33の周方向の中央部に上下方向に延びて配設され、その上端は、カバー体101の頂部31の外周縁部(カバー体101における開口部33の周縁部)と上下方向に間隔をあけて配置されており、この外周縁部とブリッジ部105を介して連結されている。また、本体片部104の下端は、押下ヘッド14の囲繞筒部28の下端よりも下方に位置しており、この下端に、基端部が径方向の内側に向けて延在するとともに先端部が上方に向けて延在するように中間部で屈曲され、全体として略L字状に形成された第1係合部42が連設されている。
【0059】
そして、本体片部104においてブリッジ部105との連結部分(上端)および第1係合部42との連結部分(下端)の間に位置する中間部分104aは、前記上側部分17に径方向の外側から当接もしくは近接している。図示の例では、前記中間部分104aは、前記上側部分17に押下ヘッド14の囲繞筒部28の上部28aに径方向の外側から近接もしくは当接している。
摘み部106は、平面視矩形状に形成され、本体片部104の中央部に径方向の外側に向けて突設されている。
【0060】
次に、以上のように構成された吐出器100の作用について説明する。
本実施形態の吐出器100においては、本体片部104が、開口部33内に配設され、かつ前記中間部分104aが、押下ヘッド14に径方向の外側から近接もしくは当接しているので、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過するようにカバー体101および吐出器本体15を径方向に沿って相対的に離間移動させようとする力を加えると、押下ヘッド14と前記中間部分104aとが当接する。ここで、第1係合部42が、押下ヘッド14の囲繞筒部28に径方向の内側から係合しているので、この際に加えられる力を、押下ヘッド14と前記中間部分104aとの当接部分および第1係合部42で受け止めて前述の離間移動を規制することが可能になり、前記上側部分17が開口部33を径方向に通過するのを規制することができる。
【0061】
また、この吐出器100においては、図10に示すように、係合片103が連結されたカバー体101を、開口部33内に本体片部104が配設されていない状態、例えば係合片103がブリッジ部105回りに上下方向の上側に回動された状態(図示2点鎖線参照)で一体に成形する。
【0062】
そこで、係合片103が連結されたカバー体101を吐出器本体15に装着させる際には、まず、前述したように前記上側部分17にカバー体101を装着させ、その後、例えばブリッジ部105を折曲変形させて係合片103をブリッジ部105回りに上下方向の下側に向けて回動させ、第1係合部42を押下ヘッド14に係合させる。ここで、本実施形態では、カバー体101の頂部31と押下ヘッド14の頂壁部26との間に隙間が設けられていることから、この際まず、前記隙間が狭まるように頂部31を下方に向けて押し下げて弾性変形させつつ係合片103をブリッジ部105回りに下側に向けて回動させ、第1係合部42の先端部を、押下ヘッド14の囲繞筒部28の下方を径方向に通過させ、押下ヘッド14の囲繞筒部28と装着キャップ11の案内筒部22との間の隙間の下方に移動させる。次いで、図11に示すように、頂部31の押し下げを解除するとともに、第1係合部42を上方に向けて押し上げることで、第1係合部42の先端部を、前記隙間に進入させ押下ヘッド14と案内筒部22との間に嵌入させる。これにより、係合片103を押下ヘッド14に係合させることができる。なおこの際、頂部31の弾性復元力を利用することも可能である。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る吐出器100によれば、前記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
(第7実施形態)
次に、本発明に係る第7実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第7実施形態においては、第6実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態に係る吐出器110では、係合片111の本体片部104と第1係合部42とが、ヒンジ部112を介して回動可能に連結されている。図示の例では、本体片部104と第1係合部42とは、ヒンジ部112によって径方向に回動可能に連結されている。なお、ヒンジ部112の破断強度は、ブリッジ部105よりも大きく、少なくともこのヒンジ部112回りに本体片部104と第1係合部42とが回動する際に破断されない程度であることが好ましい。
また、本体片部104の下端部の内周面には、下方に向けて開口する位置決め凹溝113が形成され、第1係合部42の基端部には、位置決め凹溝113において径方向の内側を向く内面に当接する位置決め凸部114が上方に向けて突設されている。
【0065】
次に、以上のように構成された吐出器110の作用について説明する。
本実施形態の吐出器110においては、係合片111が連結されたカバー体101を、開口部33内に本体片部104が配置されていない状態、例えば係合片111が、ブリッジ部105回りに上下方向の上側に回動された状態(図示2点鎖線参照)で一体に成形する。さらに、本実施形態では、位置決め凸部114が位置決め凹溝113の内面と当接していない状態で一体に形成する。
そこで、図13に示すように、係合片111が連結されたカバー体101を吐出器本体15に装着させる際には、まず、前述したように前記上側部分17にカバー体101を装着させ、その後、例えばブリッジ部105を折曲変形させて係合片111をブリッジ部105回りに上下方向の下側に向けて回動させ、本体片部104を開口部33内に配設する。次いで、第1係合部42をヒンジ部112回りに径方向の外側から内側に向けて回動させることで、第1係合部42の先端部を、囲繞筒部28の下方を通過させた後、案内筒部22と囲繞筒部28との間の隙間に進入させ、押下ヘッド14と案内筒部22との間に嵌入させる。これにより、係合片111を押下ヘッド14に係合させることができる。
【0066】
以上説明した本実施形態に係る吐出器110によれば、係合片111と第1係合部42とがヒンジ部112を介して径方向に回転可能に連結されているので、第1係合部42をヒンジ部112回りに径方向の外側から内側に向けて回動させることで、囲繞筒部28の下方を径方向に通過させることができる。
【0067】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、案内筒部22に形成された係止部である段部22cおよび周壁部32に形成された被係止部37は、被係止部37が係止部に係止されることで、吐出器本体15に対するカバー体18、52、64、71、91、101の上方に向けた移動を規制するものであれば、前記各実施形態に示したものに限られない。
【0068】
また、ブリッジ部39、63、75、105は、カバー体18、52、64、71、91、101と係合片38、53、61、78、96、103、111とを破断可能に連結するものであれば、前記実施形態に示したものに限られない。例えば、ブリッジ部は、カバー体と係合片との間を全周にわたって、もしくはカバー体と係合片との間の一部分を連結する破断可能な薄肉部であってもよい。
【0069】
また、押下ヘッド14、80に吐出筒29を設けなくてもよい。さらに、カバー体18に収納体35、92を設けなくてもよい。
また、ポンプ13は、前記実施形態に限らず例えば、空気シリンダや空気ピストン等がポンプ13に付け加えられたいわゆるフォーマポンプや、霧化用のチップを吐出孔に設けたスプレーポンプ等としてもよい。
【0070】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2 容器体
2a 口部
10、50、60、70、90、100、110 吐出器
11 装着キャップ
12 ステム
13 ポンプ
14、80 押下ヘッド
15 吐出器本体
16 天壁部
17 上側部分
18、52、64、71、91、101 カバー体
22 案内筒部
22c 段部(係止部)
31 頂部
32、72、102 周壁部
33 開口部
37 被係止部
38、53、61、78、96、103、111 係合片
39、63、75、105 ブリッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、
この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、
前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、
前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うとともに該上側部分に装着されるカバー体を備え、
このカバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、
前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、
前記案内筒部には、前記周壁部に設けられた被係止部が係止されることで、前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する係止部が形成され、
前記周壁部には、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部が形成され、
前記カバー体および吐出器本体の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記カバー体に対して着脱され、
前記カバー体には、前記押下ヘッドに係合することで、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する係合片が、破断可能なブリッジ部を介して連結されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出器であって、
前記係合片は、前記押下ヘッドと前記案内筒部との間に嵌入されることで前記押下ヘッドに係合されることを特徴とする吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−274983(P2010−274983A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131002(P2009−131002)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】