説明

吐出回復装置、画像形成装置

【課題】清掃部材がインク吐出部を安定して走査することができるようにすることにある。
【解決手段】本発明では、吐出回復装置67において、吐出回復部6の位置決め部材263が、インク吐出部20に当接させられる。すると、清掃部材261が、インク吐出部20に対して位置決めされる。この状態において、吐出回復部20が、移動機構72によってインク吐出部20に対して相対的に移動させられる。これにより、インク吐出部20に付着したインクが清掃部材261により除去され、インク吐出部20が清掃される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出回復装置、特に、インクを吐出するインク吐出部を清掃する吐出回復装置に関する。また、本発明は、吐出回復装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドを採用した画像形成装置は、主に、画像形成部と、この画像形成部に用紙を搬送する用紙搬送部とを有している。また、画像形成部は、複数のインクジェットヘッドを有しており、各インクジェットヘッドにはインク吐出口が形成されている。
【0003】
このような画像形成装置では、用紙が用紙搬送部によって画像形成部の下方へと搬送される。そして、画像情報に基づいてインクジェットヘッドのインク吐出口からインクが用紙に噴射され、用紙表面に画像が形成される。そして、画像が表面に形成された用紙が、用紙搬送部によって排出部に搬送される。
【0004】
一方で、画像形成装置において、画像形成動作が終了し待機状態が長く続くと、インク吐出口のインクが乾燥してインク吐出口付近が詰まったり、インク吐出口の周囲に埃が付着してしまったりするおそれがある。このため、画像形成装置が待機状態であるときには、たとえば、キャップによりインク吐出口が保護されることがある。
【0005】
特に、インク吐出口のインクが乾燥してインク吐出口付近が詰まるのを防止するため、およびインクの粘度が乾燥によって高くなり正常なインクの吐出に支障をきたすのを防止するために、インク吐出口からのインクの吐出を正常状態に維持するための吐出回復動作が、画像形成装置において実行される。この吐出回復動作では、まず、インクがインク吐出口から吐出される。具体的には、吐出回復動作では、約1秒の間、ポンプを用いてノズルに圧力をかけることにより、ノズルからインクが押し出される。続いて、インクが吐出された後に、インク吐出面がワイパーで拭き取られる。このようにして、インク吐出口付近の目詰まりが解消され、インク吐出面が清掃される(特許文献1を参照)。なお、吐出回復動作は、インク吐出口の目詰まり防止を図る時だけでなく、画像形成装置の起動時や印刷開始時にも実行される。
【特許文献1】特開2007−253592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の画像形成装置では、吐出回復動作が実行されると、インクジェットヘッドのインク吐出口からインクが吐出され、インク吐出面に残留したインクがワイパーにより拭き取られる。
【0007】
一般的には、吐出回復動作時にインク吐出口から吐出されるインク量は、印刷時にインク吐出口から吐出されるインク量より多い。このため、吐出回復動作が実行されると、吐出されたインクが、インク吐出面に残留してしまうおそれがある。このような問題を解決するために、上記のように、インク吐出面に残留したインクが、ワイパーにより拭き取られる。
【0008】
たとえば、ライン記録方式の画像形成装置では、インクジェットヘッドの長手方向にワイパーを走査することにより、インク吐出面に残留したインクが、ワイパーにより拭き取られる。一般的には、ワイパーが走査する長さ(ワイパー走査長)は、インクジェットヘッドの長さ以上、たとえばA4横幅の1/3以上又はA3横幅の1/3以上になる。このような長いワイパー走査長に渡ってワイパーを走査させようとした場合、状況によっては、ワイパーとインク吐出面との間に隙間が生じてしまい、インクがインク吐出面に残留してしまうという問題点があった。
【0009】
本発明の目的は、清掃部材がインク吐出部を安定して走査することができる吐出回復装置を提供することにある。また、本発明の目的は、清掃部材がインク吐出部を安定して走査することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る吐出回復装置は、インクを吐出するインク吐出部を清掃する吐出回復装置である。この吐出回復装置は、吐出回復部と移動機構とを備えている。吐出回復部は、インク吐出部を清掃する清掃部材と、インク吐出部に対して清掃部材を位置決めするための位置決め部材と、を有している。移動機構は、位置決め部材をインク吐出部に当接させインク吐出部に対して清掃部材を位置決めした状態において、吐出回復部をインク吐出部に対して相対的に移動させる。
【0011】
この吐出回復装置では、吐出回復部の位置決め部材が、インク吐出部に当接させられる。すると、清掃部材が、インク吐出部に対して位置決めされる。この状態において、吐出回復部が、移動機構によってインク吐出部に対して相対的に移動させられる。これにより、インク吐出部に付着したインクが清掃部材により除去され、インク吐出部が清掃される。
【0012】
このように、この吐出回復装置では、吐出回復部の位置決め部材をインク吐出部に当接させることにより、清掃部材をインク吐出部に位置決めすることができる。そして、この状態で、吐出回復部を移動機構によりインク吐出部に対して相対的に移動させることにより、インク吐出部を清掃部材によって安定して走査することができる。すなわち、インク吐出部を清掃部材によって確実に清掃することができる。
【0013】
請求項2に係る吐出回復装置では、請求項1に記載の吐出回復装置において、吐出回復部が、前記清掃部材および前記位置決め部材を前記インク吐出部に向けて付勢する付勢部材を、さらに有している。
【0014】
この場合、付勢部材により、清掃部材および位置決め部材をインク吐出部に向けて付勢することができる。このため、位置決め部材をインク吐出部に確実に当接させることができる。そして、清掃部材をインク吐出部に確実に位置決めすることができる。これにより、吐出回復部を移動機構によりインク吐出部に対して相対的に移動させたときに、インク吐出部を清掃部材によって安定して走査することができる。すなわち、インク吐出部を清掃部材によって確実に清掃することができる。
【0015】
請求項3に係る吐出回復装置では、請求項1又は2に記載の吐出回復装置において、インク吐出部が、段差部が形成されたインクヘッドと、インクヘッドが装着されるインクヘッド用の本体部材とを有している。そして、吐出回復部の位置決め部材をインクヘッドの段差部に当接させることにより、清掃部材はインクヘッドに位置決めされる。
【0016】
この場合、吐出回復部の位置決め部材をインクヘッドの段差部に当接させることにより、清掃部材をインクヘッドに位置決めすることができる。これにより、インクヘッドにインクが付着した状態において、吐出回復部が移動機構によりインクヘッドに対して相対的に移動したとしても、位置決め部材に対するインクヘッドのインクの付着を防止することができる。すなわち、位置決め部材が、インクヘッドに付着したインクによって汚れないようにすることができる。
【0017】
請求項4に係る吐出回復装置では、請求項1又は2に記載の吐出回復装置において、インク吐出部が、インクヘッドとインクヘッド用の本体部材とを有している。ここでは、インクヘッドのヘッド面とインクヘッド用の本体部材とが所定の段差を有するように、インクヘッドはインクヘッド用の本体部材に装着される。そして、吐出回復部の位置決め部材をインクヘッド用の本体部材に当接させることにより、清掃部材はインクヘッドに位置決めされる。
【0018】
この場合、吐出回復部の位置決め部材を、インクヘッドのヘッド面との間に段差を有するインクヘッド用の本体部材に当接させることにより、清掃部材をインクヘッドに位置決めすることができる。これにより、インクヘッドにインクが付着した状態において、吐出回復部が移動機構によりインクヘッドに対して相対的に移動したとしても、位置決め部材に対するインクヘッドのインクの付着を防止することができる。すなわち、位置決め部材が、インクヘッドに付着したインクによって汚れないようにすることができる。
【0019】
請求項5に係る吐出回復装置では、請求項1から4のいずれかに記載の吐出回復装置において、吐出回復部は、清掃部材が装着される清掃部材用の本体部材を、さらに有している。ここで、位置決め部材は、清掃部材用の本体部材に回転自在に装着される回転部材である。
【0020】
この場合、位置決め部材が、清掃部材用の本体部材に回転自在に装着される回転部材になっている。たとえば、この位置決め部材をインク吐出部に当接させることにより、清掃部材をインク吐出部に位置決めすることができる。そして、この状態で、吐出回復部を移動機構によりインク吐出部に対して相対的に移動させると、位置決め部材が回転しながら、インク吐出部を清掃部材によってより安定的に走査することができる。すなわち、インク吐出部を清掃部材によってより確実に清掃することができる。
【0021】
請求項6に係る画像形成装置は、請求項1から5のいずれかに記載の吐出回復装置と、インク吐出部を有し画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、インク吐出部に対向する位置に記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、を備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る吐出回復装置では、吐出回復部の位置決め部材をインク吐出部に当接させることにより、清掃部材をインク吐出部に位置決めすることができる。そして、この状態で、吐出回復部を移動機構によりインク吐出部に対して相対的に移動させることにより、インク吐出部を清掃部材によって安定して走査することができる。すなわち、インク吐出部を清掃部材によって確実に清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態としての画像形成装置1の概略構成を示す。ここに示す画像形成装置1は、外部のコンピュータから送信された画像情報に基づいて記録媒体の一例である用紙に画像を形成可能なインクジェットプリンタである。このような画像形成装置1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、用紙搬送部4と、搬送ユニット移動機構5と、吐出回復装置67と、用紙保持機構8と、排出部9とを備えている(吐出回復装置67については図2を参照)。
【0024】
画像形成部2は、画像情報に基づいて用紙に画像を形成する部分である。この画像形成部2は、複数のインク吐出部20を備えている。
【0025】
インク吐出部20は、インクジェットヘッド21と、インクジェットヘッド用の本体部材24(図8を参照)とを備えている。インクジェットヘッド21は、インクを吐出するインク吐出面22と、インク吐出面22との間に段差を有する2つの段差面23(図8を参照)とを有している。段差面23は、インク吐出面22の短手方向の両側に設けられたL形状の切欠部に形成されている。また、2つの段差面23は、インク吐出面22の長手方向に互いに平行に形成されている。
【0026】
複数のインクジェットヘッド21は、インクジェットヘッド用の本体部材24に装着されている。複数のインクジェットヘッド21は、後述する搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dの上方に並べて配置されており、図示しない上部装置からの画像情報に基づいてインクを用紙に吐出する部分である。ここで用いられるインクジェットヘッド21は、用紙搬送方向に垂直な方向にインクを吐出して画像を形成することが可能なラインタイプのヘッドである。
【0027】
ここでは、たとえば、4組のインクジェットヘッド(12個のインクジェットヘッド)21が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dの上方に並べて配置されている。4組のインクジェットヘッド21には、各組ごとに異なる色のインクが収納されている。4組のインクジェットヘッド21それぞれのインク吐出面22には、インクを吐出する複数の孔(図示しない)が設けられている。図1では、インク吐出面22の1つにのみ符号を付して他は省略している。インク吐出面22は、インクジェットヘッド21の下面に設けられている。インク吐出面22は、用紙搬送方向に直交する方向に長い矩形状に形成されている。このインク吐出面22からインクを吐出させることによって、用紙上に画像が形成される。
【0028】
なお、ここで、本実施形態で用いられる方向を示す文言の定義を示しておく。以下では、「前後方向」という文言が用いられることがある。この文言は、図1において紙面に垂直な方向(用紙搬送方向に直交する方向に対応)を示す文言である。また、以下では、「前方(前側)」という文言および「後方(後側)」という文言が用いられることがある。「前方(前側)」という文言は、図1の紙面に垂直な方向において手前側を示す文言である。「後方(後側)」という文言は、図1の紙面に垂直な方向において奥側を示す文言である。さらに、以下では、「左右方向」という文言および「上下方向」という文言が用いられることがある。「左右方向」という文言は、図1における左右方向(用紙搬送方向に対応)を示す文言である。「上下方向」という文言は、図1における上下方向を意味している。
【0029】
用紙収納部3は、画像を形成する用紙を収納可能な部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙が収納される給紙カセット31と、搬送ユニット4Aに用紙を供給するための用紙供給ローラ32とを有している。
【0030】
用紙搬送部4は、用紙収納部3から排出部9まで用紙を搬送する部分であって、用紙を搬送する複数のローラ33と用紙を一旦停止させて斜め補正等を行った後再度用紙を搬送ユニット4Aへ送り出すレジストローラ対34と搬送ユニット4Aを主に有する。搬送ユニット4Aは、画像形成部2の下方において画像形成部2に対向して配置されている。この搬送ユニット4Aは、画像形成部2により表面に画像が形成された用紙を排出部9に搬送する。具体的には、搬送ユニット4Aは、画像形成部2のインク吐出面22に対向してインク吐出面22の下方に配置されている。この搬送ユニット4Aは、インク吐出面22に対向する位置に用紙を搬送し、用紙に画像が形成されると、この用紙を排出部9に搬送する。
【0031】
なお、用紙がレジストローラ34により搬送されると、用紙の先端が、インクジェットヘッド21の右方に配置された光学式の用紙先端検知センサ35により検知される。そして、用紙の先端が用紙先端検知センサ35により検知された時間を基準として、インクジェットヘッド21からインクが吐出され画像形成が行われる。
【0032】
搬送ユニット4Aは、フレーム本体41aと、ローラ41b,41cと、搬送ベルト41dとを有している。フレーム本体41aは、インクジェットヘッド21の下方に配置されている。ローラ41b,41cは、用紙搬送方向に所定の間隔を隔ててフレーム本体41aに回転自在に装着されている。搬送ベルト41dは、無端ベルトになっており、ローラ41b,41cに架け渡されている。この搬送ベルト41dには、空気が通過可能な複数の孔が設けられている。これらの孔は、例えば直径4mm程度の大きさであり、20mm程度の間隔を隔てて搬送ベルト41d上に一様に設けられている。なお、搬送ベルト41dをローラ41b,41cを介して支持するフレーム本体41aの上面にも、搬送ベルト41dに設けられた孔と同様の孔(空気通過用の孔)が、設けられている。
【0033】
なお、ここでは、搬送ベルト41dの上面が、搬送面47として定義されている。この搬送面47は、複数のインクジェットヘッド21のインク吐出面22の下方においてインク吐出面22に対向している。
【0034】
搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4Aを上下方向に移動させることにより、搬送面47をインク吐出面22に近接させたり、搬送面47をインク吐出面22から離反させたりするための装置である。搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4Aの下方に配置されている。この搬送ユニット移動機構5によって、搬送ユニット4Aは、インク吐出面22に近接する方向およびインク吐出面22から離反する方向に移動させられる。
【0035】
搬送ユニット移動機構5は、搬送ユニット4A移動用の一対の偏心カム5a,5bを有している。一対の偏心カム5a,5bのうち図1において左側に位置する偏心カム5a(以下、「第1偏心カム」と呼ぶ)は、軸部を中心に回転可能に設けられており、図示しない駆動モータによって回転駆動される。第1偏心カム5aには複数のベアリング51aが設けられており、第1偏心カム5aは、ベアリング51aを介して搬送ユニット4Aのフレーム本体41aを支持している。
【0036】
図1において右側に位置する偏心カム5b(以下、「第2偏心カム」と呼ぶ)は、第1偏心カム5aと同様の構造であり、図1における第1偏心カム5aと左右に鏡像関係になるように配置されている。第2偏心カム5bには複数のベアリング51bが設けられており、第2偏心カム5bは、ベアリング51bを介して搬送ユニット4Aのフレーム本体41aを支持している。図1は、搬送ユニット4Aが上昇した状態を示している。この状態から、一対の偏心カム5a,5bが互いに内側に向けて回転すると、搬送ユニット4Aが下降する(図3を参照)。
【0037】
搬送ユニット移動機構5は、画像形成部2により用紙上に画像が形成される際に、搬送ユニット4Aを上昇させて図1に示す位置(画像形成位置、近接位置)に移動させる。搬送ユニット4Aが画像形成位置に位置した状態では、インクジェットヘッド21のインク吐出面22と用紙との間の間隔が、印刷に最適な間隙たとえば約1.0mmに設定される。一方で、搬送ユニット移動機構5が、運転停止時にインクジェットヘッド21のインク吐出面22をキャップ部材61によって保護する場合や、搬送ベルト41d上で発生した用紙詰まりの処理を行う場合には、搬送ユニット4Aを下降させて図3に示す位置(離反位置)に移動させる。
【0038】
吐出回復装置67は、インクを吐出するインク吐出面22を清掃するための装置である。また、吐出回復装置67は、インク吐出面22を埃や乾燥等から保護することにより、インクを吐出するインク吐出面22を清潔に保持するための装置でもある。このような吐出回復装置67は、図2に示すように、吐出回復部6と回復部移動機構7とを備えている。
【0039】
吐出回復部6は、第1吐出回復部260と、第2吐出回復部60と、第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を支持する支持部材62とを有している。
【0040】
支持部材62は、後述する、第1吐出回復部260の複数のワイパー装着部材262(清掃部材用の本体部材:図8を参照)と、第2吐出回復部60の複数のキャップ部材61(図5を参照)を支持している。支持部材62は、図2および図3に示すように、8個のワイパー装着部材262と12個のキャップ部材61とを支持する支持部62aと、支持部62aの両側において互いに対向する1対の壁部62bと、1対の壁部62bから外方に延びる1対のフランジ部62cとを有している。
【0041】
支持部62aは、2層構造になっており、第1支持部162a(図3において上方に位置する支持部)および第2支持部162b(図3において下方に位置する支持部)を有している。第1支持部162aは、第2支持部162bの上方において第2支持部162bに支持されている。具体的には、第1支持部162aと第2支持部162bとは、矩形板状に形成されている。第1支持部162aは、第2支持部162bの上方において、第2支持部162bに設けられた間隔保持部材65を介して、第2支持部162bに支持されている。また、第1支持部162aには、キャップ部材61を装着するための貫通孔262aが形成されている(図5を参照)。
【0042】
1対の壁部62bは、第2支持部162bの両端部において第2支持部162bと一体に形成されている。また、一対の壁部62bそれぞれには、支持部材用の回転部材たとえば支持部材用のコロ部材64が回転自在に装着されている(図2,図6,図7を参照)。ここでは、2個の支持部材用のコロ部材64が、各壁部62bに所定の間隔を隔てて回転自在に装着されている。1対のフランジ部62cは、回復部移動機構7に係合している(図2,図4,図6,図7を参照)。
【0043】
第1吐出回復部260は、図8に示すように、ワイパー装着部材262(ワイパー用の本体部材)と、清掃部材であるワイパー261と、位置決め部材であるワイパー用のコロ部材263とを有している。
【0044】
ワイパー装着部材262は、第1装着部材362と第2装着部材462と付勢部材562とを有している。第1装着部材362は、支持部材62の支持部62a(162a)に装着されている。第1装着部材362には、第2装着部材462を装着するための装着部たとえば2つの装着孔362aが設けられている。
【0045】
第2装着部材462は、第1装着部材362に装着されている。たとえば、第2装着部材462は、凹状に形成された凹部462aと、凹部462aの下面から外方に突出して設けられた2つの突出部462bとを有している。2つの突出部462bそれぞれには、付勢部材562たとえばワイパー用のバネ部材562が嵌合され装着される。そして、2つの突出部462bが、第1装着部材362の2つの装着孔362aに挿通される。そして、第1装着部材362の装着孔362aに挿通された突出部462bの先端部が、係止部材たとえばEリングにより抜け止めされる。このようにして、第2装着部材462は、第1装着部材362に装着される。
【0046】
ここで用いられるワイパー用のバネ部材562は、ワイパー261およびワイパー用のコロ部材263をインク吐出部20に向けて付勢するための部材である。たとえば、ワイパー用のバネ部材562は、第1装着部材362と第2装着部材462との間に配置されている。このワイパー用のバネ部材562は、ワイパー用のコロ部材263がインクジェットヘッド21に当接したときに、第2装着部材462に装着されるワイパー261とワイパー用のコロ部材263とを、インクジェットヘッド21に向けて付勢する役割を担っている。
【0047】
ワイパー261は、インク吐出面22に付着したインクを除去しインク吐出面22を清掃するための部材である。ワイパー261は、板状のワイパー本体261aと、ワイパー本体261aの一端部を支持する基端部261bとを有している。ワイパー本体261aは、弾性部材たとえばEPDMを用いて形成されている。ワイパーの基端部261bは、ワイパー装着部材262の第2装着部材462に装着されている。ここでは、ワイパーの基端部261bが、第2装着部材462の凹部462aの底部に装着されている。
【0048】
ここで、ワイパー用のコロ部材263がインクジェットヘッド21に当接してない状態における凹部462aの底部からワイパー261の先端部(ワイパー本体261aの先端部)までの長さが、ワイパー用のコロ部材263がインクジェットヘッド21に当接した状態における凹部462aの底部からインク吐出面22までの距離より長くなるように、ワイパー261は構成されている。
【0049】
言い換えると、ワイパー用のコロ部材263がインクジェットヘッド21に当接することによりワイパー本体261aが撓んだ後の、凹部462aの底部からインク吐出面22までの距離に対する、ワイパー本体261aが撓む前の、凹部462aの底部からワイパー本体261aの先端部までの長さの比hが、1.0より大きくなるように、ワイパー261は構成されている。
【0050】
たとえば、ワイパー本体261aが撓む前の、凹部462aの底部からワイパー本体261aの先端部までの長さを、記号「Lp(mm)」で表すと、ワイパー本体261aが撓んだ後の凹部462aの底部からインク吐出面22までの距離が「Lp−0.5(mm)」となるように、ここでは設定されている。これにより、上記の比は「h=Lp/(Lp−0.5)」と表すことができる。また、このことは、インク吐出面22に対するワイパー261の突き出し量が、約0.5mmに設定されていることを示している。
【0051】
ワイパー用のコロ部材263は、インクジェットヘッド21に対してワイパー261を位置決めするための部材である。ワイパー用のコロ部材263は、円盤状に形成されている。このワイパー用のコロ部材263は、インクジェットヘッド21に当接可能になっている。たとえば、このワイパー用のコロ部材263の外周は、インクジェットヘッド21の段差面23に当接可能になっている。ワイパー用のコロ部材263をインクジェットヘッド21の段差面23に当接させることにより、ワイパー261がインクジェットヘッド21のインク吐出面22に対して位置決めされる。この状態において、吐出回復部6は、回復部移動機構7によりインク吐出部20に対して相対的に移動させられる。ワイパー用のコロ部材263は、ワイパー装着部材262の第2装着部材462に回転自在に装着されている。ここでは、ワイパー用のコロ部材263が、第2装着部材462の凹部462aにおいて、互いに対向する内壁面に装着されている。
【0052】
第2吐出回復部60は、図2から図3および図5に示すように、画像形成部2のインク吐出面22を保護するためのキャップ部材61と、キャップ部材61を支持部材62から離反する方向に付勢するバネ部材63と、キャップ部材61を支持部材62に係止するための係止部材68とを有している。
【0053】
キャップ部材61は、インク吐出面22を覆うことによりインク吐出面22を保護するための部材である。このキャップ部材61は、プレート部61aと側壁部61bと軸部61cとを有する。プレート部61aは、インク吐出面22に対向する部分であり、インク吐出面22の形状に対応した矩形板状に形成されている。側壁部61bは、プレート部61aの上面すなわちインク吐出面22と対向する面に立設されている。具体的には、側壁部61bは、プレート部61aの外周に沿って立設されている。側壁部61bは、プレート部61aがインク吐出面22のインク吐出用の孔に接触しないようにプレート部61aの全周にわたって設けられている。軸部61cは、プレート部61aにおいて側壁部61bが形成された面とは反対側の面から外方に突出して設けられている。具体的には、プレート部61aの下面から外方に突出して設けられている。
【0054】
バネ部材63は、図5に示すように、キャップ部材61と支持部材62(162a)との間に配置される。ここでは、バネ部材63の一端が支持部材62の上面に当接し、バネ部材63の他端がキャップ部材61の下面に当接する。具体的には、バネ部材63の一端が、第1支持部162aの第1面(以下、「第1支持部の上面」と呼ぶ)に当接し、バネ部材63の他端が、プレート部61aにおける側壁部61bが形成された面とは反対側の面(以下、「プレート部の下面」と呼ぶ)に当接する。このようにして、バネ部材63は、キャップ部材61と支持部材62との間で挟持される。
【0055】
係止部材68は、図5に示すように、支持部材62からのキャップ部材61の抜け出しを防止するための抜け止め部材である。この係止部材68は、キャップ部材61の軸部61cの先端部に装着される。ここでは、抜け止め部材すなわち係止部材68として、たとえばEリングが用いられている。この係止部材68は、支持部材62の貫通孔262aの直径より大きな直径を有している。このため、係止部材68がキャップ部材61の軸部61cの先端部に装着されたときに、支持部材62の貫通孔262aからの軸部61c抜け出しを防止することができる。
【0056】
このような第2吐出回復部60では、まず、バネ部材63の中心と第1支持部162aの貫通孔262aの中心とが一致するように、バネ部材63の一端が第1支持部162aの上面に当接させられる。次に、キャップ部材61の軸部61cが、バネ部材63の他端側からバネ部材63に挿通される。続いて、プレート部61aの下面が、バネ部材63の他端に当接させられる。そして、第1支持部162aの上面とキャップ部材61のプレート部61aの下面との間でバネ部材63が圧縮された状態で、キャップ部材61の軸部61cの先端部が、第1支持部162aの貫通孔262aに嵌合される。すると、キャップ部材61の軸部61cの先端部が、第1支持部162aの貫通孔262aを通過して、第1支持部162aの第1面と反対側の第2面(以下、「第1支持部の下面」と呼ぶ)から外方に突出する。次に、第1支持部162aの下面側において、係止部材68が、キャップ部材61の軸部61cの先端部に装着される。これにより、キャップ部材61が、支持部材62に装着される。
【0057】
回復部移動機構7は、吐出回復部6を、搬送面47により定義される面上において用紙搬送方向と直交する方向(A方向、およびA方向とは反対の方向)、および搬送面47により定義される面に直交する方向に移動させるための装置である。具体的には、回復部移動機構7は、吐出回復部6を水平方向(前後方向)および上下方向に移動させるための装置である。
【0058】
この回復部移動機構7により、吐出回復部6は、キャップ部材61によりインク吐出面22を保護可能な位置(保護位置)と、キャップ部材61によるインク吐出面22の保護を解除した位置(保護解除位置)と、キャップ部材61によりインク吐出面22を保護せず画像形成動作の実行中に待機する位置(待機位置)とに移動させられる。
【0059】
回復部移動機構7は、図2、図6、および図7に示すように、フレーム本体71と、第1回復部移動機構72と、第2回復部移動機構73とを有している。
【0060】
フレーム本体71は、吐出回復部6を水平方向および上下方向に移動可能に支持する。フレーム本体71は、吐出回復部6の移動をガイドするための1対のガイドレール71aを有している。1対のガイドレール71aは、用紙搬送方向に直交する方向に互いに平行に配置されている。また、1対のガイドレール71aそれぞれは、吐出回復部6の支持部材62と後述する回復部用の偏心カム73aとの間に配置される。
【0061】
ここでは、1対のガイドレール71aそれぞれは、略Z字形状の断面を有している。このような断面を有するガイドレール71aは、一方向に長く形成されている。また、1対のガイドレール71aそれぞれには、図6および図7に示すように、回復部用の偏心カム73aをガイドレール71aに干渉することなく支持部材62に当接させることができるように、スリット171aが設けられている。このスリット171aは、回復部用の偏心カム73aの軸心に直交する面がガイドレール71aに交わる位置においてガイドレール71aに設けられている。このような1対のガイドレール71aそれぞれには、支持部材62の壁部62bに回転自在に装着された支持部材用のコロ部材64が載置される。
【0062】
第1回復部移動機構72は、吐出回復部6を水平方向に移動させるための装置であり、フレーム本体71に設けられている。この第1回復部移動機構72により、吐出回復部6が、待機位置と保護解除位置との間を水平方向に移動させられる。第1回復部移動機構72は、吐出回復部6の支持部材62に係合する係合部72aと、係合部72aに駆動力を入力するための駆動モータ72bとを有している。係合部72aは、搬送ユニット4Aが画像形成位置から離反した位置(離反位置)に停止した状態において、用紙の搬送方向に直交する方向に吐出回復部6の支持部材62を移動させる。言い換えると、係合部72aは、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動し停止した状態において、水平方向(前後方向)に吐出回復部6の支持部材62を移動させる。
【0063】
なお、ここでは、搬送ユニット4Aが離反位置に停止した状態において、吐出回復部6が、用紙の搬送方向に直交する方向に移動する場合の例が示されている。しかしながら、搬送ユニット4Aの離反位置とインク吐出面22との間に十分な距離を確保できるような場合は、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動している状態で、吐出回復部6を、用紙の搬送方向に直交する方向に移動させることができる。すなわち、搬送ユニット4Aと吐出回復部6とが衝突しなければ、搬送ユニット4Aがインク吐出面22から離反する方向に移動している最中に、吐出回復部6を、用紙の搬送方向に直交する方向に移動させるようにしても良い。
【0064】
駆動モータ72bは、フレーム本体71に装着されている。図2では、駆動モータ72bは、フレーム本体71の隅角部(図2の右奥の隅角部)の内部に固定されている。この駆動モータ72bのモータ軸先端には、歯車が取り付けられている。
【0065】
係合部72aは、フレーム本体71に装着されている。係合部72aは、第1プーリ172aと、第2プーリ172bと、第3プーリ172cと、第4プーリ172dと、第5プーリ172eと、1対の移動用ベルト272(272a,272b)と、伝達用ベルト372と、を有している。
【0066】
第1プーリ172aは、駆動モータ72bのモータ軸に取り付けられた歯車に噛み合う図示しない歯車を有している。図2では、第1プーリ172aは右奥隅に配置されており、第2プーリ172bは左奥隅に配置されている。また、図2では、第3プーリ172cは左前隅に配置されており、第4プーリ172dは右前隅に配置されている。さらに、図2では、第5プーリ172eは右奥に配置されており、第1プーリ172aに並べて配置されている。
【0067】
1対の移動用ベルト272は、各ガイドレール71aに沿って循環可能なように設けられている。一方の移動用ベルト272(272a)は、第1プーリ172aと第4プーリ172dとに架け渡されている。他方の移動用ベルト272(272b)は、第2プーリ172bと第3プーリ172cとに架け渡されている。また、1対の移動用ベルト272(272a,272b)それぞれは、吐出回復部6の支持部材62に係合している。たとえば、1対の移動用ベルト272(272a,272b)それぞれの内側のベルトが、吐出回復部6の支持部材62のフランジ部62cの下面に固定されている。
【0068】
伝達用ベルト372は、駆動モータ72bからの駆動力を、上記の一方の移動用ベルト272aに伝達するためのものである。伝達用ベルト372は、第5プーリ172eと第2プーリ172bとに架け渡されている。なお、駆動モータに取り付けられたギア(図示しない)と第5プーリ172eとの間には、アイドルギア172fが配置されている。このアイドルギア172fを介して、駆動モータ72bからの駆動力が第5プーリ172eへと伝達される(第5プーリ172eにはアイドルギア172fと噛合う図示しないギアが設けられている)。具体的には、駆動モータ72bからの駆動力は、駆動モータに取り付けられたギアからアイドルギア172fを経て第5プーリ172eに伝達される。
【0069】
第2回復部移動機構73は、吐出回復部6を上下方向に移動させるための装置であり、フレーム本体71に設けられている。この第2回復部移動機構73により、吐出回復部6が、保護位置と保護解除位置との間を上下方向に移動させられる。たとえば、第2回復部移動機構73は、吐出回復部6が画像形成部2に対向する位置に位置した状態において、画像形成部2に近接する方向および画像形成部2から離反する方向に吐出回復部6を移動させる。具体的には、第2回復部移動機構73は、吐出回復部6の支持部材62がインク吐出面22に対向する位置に位置した状態において(保護解除位置又は保護位置に位置した状態において)、インク吐出面22に近接する方向およびインク吐出面22から離反する方向に、吐出回復部6の支持部材62を移動させる。
【0070】
第2回復部移動機構73は、図6および図7に示すように、回復部用の複数の偏心カム73aと、回復部用の複数の偏心カム73aを回転駆動するための駆動モータ装置(図示しない)とを有している。
【0071】
4個の回復部用の偏心カム73aは、フレーム本体71の前側に設けられている。ここでは、2個の回復部用の偏心カム73aが、一方のガイドレール71aの長手方向に所定の間隔を隔てて配置され(図4を参照)、残りの2個の回復部用の偏心カム73aが、他方のガイドレール71aの長手方向に所定の間隔を隔てて配置されている。なお、図4は、吐出回復部6、ガイドレール71a、および1対の移動用ベルト272を取り外したときの図を示している。
【0072】
4個の回復部用の偏心カム73aは、フレーム本体71に回転自在に装着されている。ここでは、4個の回復部用の偏心カム73aは、回転軸方向とガイドレール71aが伸びる方向(ガイドレール71aの長手方向)とが平行になるように、フレーム本体71に回転自在に装着されている。
【0073】
回復部用の偏心カム73aは、吐出回復部6の支持部材62に当接可能になっている。たとえば、回復部用の偏心カム73aは、ガイドレール71aに形成されたスリット171aを通過して、吐出回復部6の支持部材62のフランジ部62cの下面に当接可能になっている。
【0074】
用紙保持機構8は、用紙を搬送面47上に保持させるための機構である。用紙保持機構8は、図1に示すように、吸引装置81たとえば複数の送風ファンと、これらの送風ファン81を回転駆動するモータ(図示せず)を有している。用紙保持機構8は、送風ファン81によって搬送ベルト41dに設けられた孔を上方から下方に通過する空気の流れを生じさせる。これにより、用紙が、搬送面47上に吸引され保持される。
【0075】
排出部9は、画像形成部2で画像が形成された用紙を排出するための部分であって、画像形成装置1の上部に設けられている。排出部9は、複数のローラ91を備えており、画像形成部2により画像が形成された用紙が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dおよび排出部9のローラ91によって搬送され、排出口92から機外へ排出される。
【0076】
<動作>
ここでは、画像形成動作について説明する。
【0077】
まず、外部に接続されたコンピュータから画像を形成するための命令が発行されると、用紙収納部3から搬送ユニット4Aへと用紙が送り出される。そして、用紙が、搬送ユニット4Aの搬送ベルト41dで搬送されているときに、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、用紙上に画像が形成される。そして、画像が形成された用紙は、排出部9のローラ91によって搬送され、排出口92から機外へ排出される。このようにして、画像形成動作が実行される。
【0078】
次に、インクジェットヘッド21の保護動作の概要について説明する。
【0079】
画像形成動作が終了した後に、所定時間の間、画像形成命令が発行されなかった場合や、電源スイッチ(図示しない)がオフされた場合等には、画像形成装置1は、画像を形成可能な状態から待機状態へと移行する。
【0080】
このときには、搬送ユニット4Aが、搬送ユニット移動機構5により、画像形成位置(近接位置)から離反位置へと移動させられる。そして、搬送ユニット4Aが離反位置に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、待機位置から搬送ユニット4Aと画像形成部2との間の所定の位置に移動させられる。そして、吐出回復部6が保護解除位置に位置すると、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護解除位置から保護位置へと移動させられる。すると、インクジェットヘッド21が、吐出回復部6のキャップ部材61により保護される。
【0081】
なお、ここでは、搬送ユニット4Aが離反位置に位置した後に、吐出回復部6が移動を開始する場合の例が示されているが、搬送ユニット4Aが離反位置に位置する前に、吐出回復部6が移動を開始するようにしても良い。
【0082】
一方で、吐出回復部6のキャップ部材61によりインク吐出面22がキャッピングされている状態において、画像形成命令が発行されたり電源スイッチがオンされたりした場合には、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。そして、吐出回復部6が保護解除位置に位置すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと移動させられる。このようにして、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が解除される。続いて、吐出回復部6が待機位置に位置すると、搬送ユニット4Aが、搬送ユニット移動機構5により、離反位置から画像形成位置へと移動させられる。そして、搬送ユニット4Aが画像形成位置に位置すると、画像形成部2により用紙上に画像を形成可能になる。
【0083】
なお、ここでは、吐出回復部6が待機位置に位置した後に、搬送ユニット4Aが移動を開始する場合の例が示されているが、吐出回復部6が待機位置に位置する前に、搬送ユニット4Aが移動を開始するようにしても良い。
【0084】
最後に、インクジェットヘッド21の吐出回復動作の詳細について説明する。
【0085】
インクジェットヘッド21が吐出回復部6(第1吐出回復部260および第2吐出回復部60を含む)のキャップ部材61により保護されている状態において、吐出回復命令が発行された場合、吐出回復部6が、第2回復部移動機構73により、保護位置から保護解除位置へと移動させられる。すると、吐出回復部6のキャップ部材61によるインクジェットヘッド21の保護が、解除される。すると、インクジェットヘッド21からインクが吐出され、吐出されたインクは、キャップ部材61に受け取られる。
【0086】
続いて、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向に移動させられる。すなわち、第1吐出回復部260が、第1回復部移動機構72により、保護解除位置から待機位置へと水平方向(A方向)に移動させられる。すると、ワイパー用のコロ部材263が、インクジェットヘッド21すなわちインクジェットヘッド21の段差面23に当接する。そして、ワイパー261の先端部が、インクジェットヘッド21のインク吐出面22に当接する。すると、ワイパー261が、撓んだ状態でコロ部材263により位置決めされる。そして、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、さらに水平方向に移動させられると、ワイパー261がインク吐出面22をワイプしながら水平方向に移動する。このようにして、インク吐出面22が、ワイパー261により清掃される。そして、清掃動作が終了すると、吐出回復部6が、第1回復部移動機構72により、さらに水平方向に移動させられる。そして、吐出回復部6が、待機位置に配置される。
【0087】
<特徴>
本画像形成装置1では、吐出回復部6のコロ部材263(位置決め部材)をインク吐出面22に当接させることにより、ワイパー261をインク吐出面22に位置決めすることができる。そして、この状態で、吐出回復部6を第1回復部移動機構72によりインク吐出面22に対して水平方向に相対的に移動させることにより、インク吐出面22をワイパー261によって安定して走査することができる。すなわち、インク吐出面22をワイパー261によって確実に清掃することができる。
【0088】
また、本画像形成装置1では、ワイパー用のバネ部材562により、ワイパー261およびコロ部材263をインク吐出面22に向けて付勢することができる。このため、コロ部材263をインク吐出面22に確実に当接させることができる。そして、ワイパー261をインク吐出面22に確実に位置決めすることができる。これにより、吐出回復部6を第1回復部移動機構72によりインク吐出面22に対して水平方向に相対的に移動させたときにインク吐出面22をワイパー261によって安定して走査することができる。すなわち、インク吐出面22をワイパー261によって確実に清掃することができる。
【0089】
さらに、吐出回復部6のコロ部材263をインクジェットヘッド21の段差面23に当接させることにより、ワイパー261をインクジェットヘッド21に位置決めすることができる。これにより、インクジェットヘッド21にインクが付着した状態において、吐出回復部6が第1回復部移動機構72によりインクジェットヘッド21に対して水平方向に相対的に移動したとしても、コロ部材263へのインクの付着を、防止することができる。すなわち、コロ部材263が、インクジェットヘッド21に付着したインクによって汚れないようにすることができる。
【0090】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、第1回復部移動機構72において、ベルトおよびプーリを用いることにより、吐出回復部6が水平方向に移動するようになっている。しかしながら、上記とは異なる機構を用いて、吐出回復部6を水平方向に移動させるようにしても良い。
【0091】
(b)前記実施形態では、搬送面47の用紙側から反対側へと向かう空気の流れを生成して用紙を吸引することによって、用紙を搬送面47上に保持している。しかしながら、電気的な吸着方法を用いる等の上記とは異なる機構を用いて、用紙を搬送面47上に保持しても良い。
【0092】
(c)前記実施形態では、画像形成装置の一実施形態として、カラープリンターの例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する複合機やコピー機能のみを備えたものでも良い。また、カラー画像を形成可能なものに限らずモノクロ画像のみを形成可能な画像処理装置であっても良い。
【0093】
(d)前記実施形態では、インクジェットヘッド21に段差面23を設け、この段差面23にコロ部材263が当接する場合の例を示した。しかしながら、コロ部材263が当接する部分および部材は、前記実施形態によらず、どのようにしても良い。
【0094】
たとえば、インクジェットヘッド21に段差面23が設けられていない場合にも、本発明は適用できる。たとえば、図9に示すように、インク吐出面22の短手方向の両側にコロ部材263を当接させるようにしても良い。このようにコロ部材263をインク吐出面22に当接させても、ワイパー261をインクジェットヘッド21に位置決めすることができる。
【0095】
また、たとえば、図10に示すように、インクジェットヘッド用の本体部材24にコロ部材263を当接させるようにしても良い。ここでは、インクジェットヘッドのインク吐出面22とインクジェットヘッド用の本体部材24とが段差dを有するような構成になっている。この構成では、コロ部材263をインクジェットヘッド用の本体部材24に当接させることにより、ワイパー261をインクジェットヘッド21に位置決めすることができる。この場合においても、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、図9および図10に示された構成は、基本的に前記実施形態と同じ構成であるため、図9および図10には前記実施形態と同じ図面番号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】回復部移動機構の構成を示す斜視図。
【図3】画像形成部、吐出回復部、用紙搬送部、および搬送ユニット移動機構を側方から見た図。
【図4】回復部用の偏心カムの位置、およびコロ部材の位置を示す部分拡大図。
【図5】吐出回復部の断面図。
【図6】第2回復部移動機構を側方から見た図(保護解除位置)。
【図7】第2回復部移動機構を側方から見た図(保護位置)。
【図8】第1吐出回復部の構成を示す図。
【図9】他の実施形態における第1吐出回復部の構成を示す図。
【図10】他の実施形態における第1吐出回復部の構成を示す図。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
2 画像形成部
20 インク吐出部
21 インクジェットヘッド
22 インク吐出面
23 段差面(段差部)
24 インクジェットヘッド用の本体部材
4 用紙搬送部
5 搬送ユニット移動機構
67 吐出回復装置
6 吐出回復部
260 第1吐出回復部
261,261a,261b ワイパー
262 ワイパー装着部材
263 コロ部材
7 回復部移動機構
72 第1回復部移動機構(移動機構)
562 バネ部材
d 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインク吐出部を清掃する吐出回復装置であって、
前記インク吐出部を清掃する清掃部材と、前記インク吐出部に対して前記清掃部材を位置決めするための位置決め部材と、を有する吐出回復部と、
前記位置決め部材を前記インク吐出部に当接させ前記インク吐出部に対して前記清掃部材を位置決めした状態において、前記吐出回復部を前記インク吐出部に対して相対的に移動させる移動機構と、
を備える吐出回復装置。
【請求項2】
前記吐出回復部は、前記清掃部材および前記位置決め部材を前記インク吐出部に向けて付勢する付勢部材を、さらに有している、
請求項1に記載の吐出回復装置。
【請求項3】
前記インク吐出部は、段差部が形成されたインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが装着されるインクジェットヘッド用の本体部材とを有しており、
前記吐出回復部の前記位置決め部材を前記インクジェットヘッドの前記段差部に当接させることにより、前記清掃部材は前記インクジェットヘッドに位置決めされる、
請求項1又は2に記載の吐出回復装置。
【請求項4】
前記インク吐出部は、インクジェットヘッドとインクジェットヘッド用の本体部材とを有しており、
前記インクジェットヘッドのヘッド面と前記インクジェットヘッド用の本体部材とが所定の段差を有するように、前記インクジェットヘッドは前記インクジェットヘッド用の本体部材に装着され、
前記吐出回復部の前記位置決め部材を前記インクジェットヘッド用の本体部材に当接させることにより、前記清掃部材は前記インクジェットヘッドに位置決めされる、
請求項1又は2に記載の吐出回復装置。
【請求項5】
前記吐出回復部は、前記清掃部材が装着される清掃部材用の本体部材を、さらに有しており、
前記位置決め部材は、前記清掃部材用の本体部材に回転自在に装着される回転部材である、
請求項1から4のいずれかに記載の吐出回復装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の吐出回復装置と、
前記インク吐出部を有し画像情報に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記インク吐出部に対向する位置に記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−196259(P2009−196259A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41776(P2008−41776)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】