説明

吐出容器用のキャップ、そのキャップを備えた吐出製品、および、そのキャップの装着方法

【課題】十分な強度および容器との嵌合力を備えた厚さが薄い吐出容器用のキャップおよび吐出製品を提供する。
【解決手段】キャップ12は、筒状のキャップ本体12aと、そのキャップ本体の下端に設けられ、下方に向かってテーパー状に拡径する形状保持部12bと、その形状保持部の下端に設けられた係合部12cとを備えている。形状保持部12bは、吐出容器の上方に向かってテーパー状に縮径する支持部13cと斜面圧着し、係合部12cは、円筒状の容器本体のキャップ係止部13bと締まり嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器用のキャップ、そのキャップを備えた吐出製品、および、そのキャップの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、吐出製品は、内容物が充填された容器と、その内容物を容器から吐出するためのバルブと、バルブに取り付けられたノズルとからなる。そのため、そのバルブおよびノズルを外力から保護するためにキャップが取り付けられている(特許文献1の図11、参照)。このようなキャップは、バルブ等を外力から保護するために強度を有している。
また、一般的に特許文献2のように容器の上部を覆うキャップが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31158号公報
【特許文献2】特開2000−43921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、リサイクル問題、環境問題が挙げられる中、それぞれの部品の材料の削減、および、製造工程の短縮化が求められている。一般的に、強度の高いキャップは厚みを有しており、その場合、材料の使用量が多く、その分加熱に必要な熱量が大きくなり、製造に必要なエネルギーが大きくなる。また成型後の冷却期間が長くなり、製造にも時間がかかる。
そこでキャップの厚さを薄くすることが考えられるが、その場合、バルブ等を保護するための十分な強度が得られず、また、容器との嵌合力を十分に確保することができない。特許文献2のキャップは、容器の上端にバルブ等の部品を備えておらず、あくまでも容器の開口部を塞ぐ蓋として働いているものであり、保護キャップとしての作用はあまりない。
本発明は、十分な強度および容器との嵌合力を備えた厚さが薄い吐出容器用のキャップおよび吐出製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吐出容器用のキャップは、筒部を有する吐出容器に取り付けられるキャップであって、キャップ本体と、そのキャップ本体の下端に設けられ、下方に向かってテーパー状に拡径する形状保持部と、その形状保持部の下端に設けられた筒状の係合部とを備えており、前記形状保持部は、吐出容器の上方に向かってテーパー状に縮径する支持部と斜面圧着し、前記係合部は、吐出容器の筒部と締まり嵌合することを特徴としている。ここで斜面圧着とは、キャップを吐出容器の筒部に装着する際の下方へ押し付ける力によりキャップの形状保持部の上からキャップ支持部に対して圧力をかけ、形状保持部とキャップ支持部を面接触させることを言う。
【0006】
本発明の吐出容器用のキャップの第2の態様は、筒部を有する吐出容器に取り付けられるキャップであって、キャップ本体と、そのキャップ本体の下端に設けられた筒状の係合部とを備えており、前記係合部には、上下に延びる溝あるいはリブが形成されており、前記係合部は、吐出容器の筒部と締まり嵌合することを特徴としている。
【0007】
上述した本発明のキャップであって、前記キャップ本体が天面を有し、その天面に吐出容器の吐出部材のノズルと係合するノズル係合部が形成されたものが好ましい。また、前記キャップ本体が透明または半透明であり、前記キャップ本体の裏側に印刷物が設けられたものが好ましい。
【0008】
本発明の吐出製品は、本発明のキャップと、筒部を有する容器本体、その容器本体に取り付けられるバルブおよびそのバルブに取り付けられる吐出部材を備えた吐出容器とからなることを特徴としている。このような吐出製品であって、前記容器本体が筒状のキャップ係止部と、その上端に上方に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部とを有するものが好ましい。
【0009】
本発明のキャップの装着方法は、筒状のキャップ係止部と、その上端に上方に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部とが設けられた容器本体を有している吐出容器に取り付ける方法であって、前記キャップの係合部を拡径しながら、前記係合部を前記キャップ係止部に嵌入させると同時に、前記キャップの形状保持部の上から前記キャップ支持部に対して圧力をかけて、形状保持部とキャップ支持部とを斜面圧着させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吐出容器用のキャップは、キャップ本体の下端に下方に向かってテーパー状に拡径する形状保持部を備えており、その形状保持部を上方に向かってテーパー状に縮径する吐出容器の支持部と斜面圧着させることにより、上下方向から受ける外力をその形状保持部で吸収し、全体の圧縮強度が保たれる。また、形状保持部の下端に設けられ、吐出容器の筒部と締まり嵌合する係合部を備えているため、キャップを吐出容器に対して嵌合部の全周から均等な力で嵌合させることができ、キャップと吐出容器の嵌合力が保たれる。
【0011】
本発明の吐出容器用のキャップの第2の態様は、吐出容器の筒部と締まり嵌合する係合部を、キャップ本体の下端に設けられているため、キャップを吐出容器に対して強く固着することができる。また、係合部には、上下に延びる溝あるいはリブが形成されているため、上下方向の外力に対する強度が得られる。
【0012】
本発明のキャップであって、前記キャップ本体が天面を有し、その天面に吐出容器の吐出部材のノズルと係合するノズル係合部が形成されている場合、キャップを外した後、吐出部材に取り付けることにより、吐出部材のノズルから噴霧される内容物の噴射方向を規制することができる。また、前記キャップ本体が透明または半透明であり、前記キャップ本体の裏側に印刷物が設けられた場合、印刷物が剥がれにくい。さらに、その印刷物が前記キャップ本体の傾斜面に設けられている場合、その印刷物による視覚効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の吐出製品(エアゾール製品)の一実施形態を示す一部断面側面図である。
【図2】本発明の吐出製品(エアゾール製品)の他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図3】本発明の吐出製品(エアゾール製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図4】本発明の吐出製品(エアゾール製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図5】本発明の吐出製品(ポンプ製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図6】本発明の吐出製品(チューブ製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【図7】図7aは本発明の吐出製品(エアゾール製品)のさらに他の実施形態を示す断面側面図であり、図7bはそのキャップをノズルに係合したときの状態図である。
【図8】図8a、図8b、図8cは本発明の吐出容器用のキャップの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9a、図9dは本発明の吐出容器用のキャップのさらに他の実施形態を示す斜視図であり、図9b、図9cは本発明の吐出容器用のキャップの製造工程を示す概略図である。
【図10】本発明の吐出容器用のキャップの他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】図11aは本発明の吐出製品(2液吐出型エアゾール製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図であり、図11bはそのZ−Z線断面図であり、図11cはそのキャップの斜視図である。
【図12】本発明の吐出製品(エアゾール製品)のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1の吐出製品10は、エアゾール容器(吐出容器)11と、キャップ12とからなるエアゾール製品である。エアゾール容器11は、耐圧性の容器本体13と、その容器本体の開口部に取り付けられたエアゾールバルブ14と、そのエアゾールバルブに取り付けられた押しボタン15とからなる。エアゾールバルブ14および押しボタン(吐出部材)15は、従来公知のものである。
【0015】
キャップ12は、天面を有する円筒状のキャップ本体12aと、その下端から下に向かってテーパー状に拡径する円筒状の形状保持部12bと、その下端から下方に延びる円筒状の係合部12cとからなる。拡径する形状保持部12bは、キャップ本体12aにかかる上下方向の力を吸収し、キャップ12の強度を高める。その角度は、水平に対して10〜70度、特に、20〜60度が好ましい。係合部12cは、容器本体の外周と締り嵌合する。その容器本体の外周との径差は、0〜1mm、特に0.01〜0.8mmが好ましい。これにより容器との嵌合力を高めることができる。また、係合部12cは円筒状であるため、係合部12cの径を広げながら容器本体に挿入しても、全体に均等な力で容器本体との嵌合させることができる。またキャップ本体12a内の空気は外部に逃げにくく、キャップ本体は外力に対して強くなる。
【0016】
このキャップ12の厚さの平均は、0.1〜1.0mm、特に0.2〜0.8mmである。このように厚さを小さくすることにより、キャップの成形時において、成形後の冷却時間を短くすることができ、また、材料を削減することができる。また、キャップ12の座屈強度は、吐出容器に装着し、上から荷重をかけたときの状態で20N以上、特に30N以上である。
【0017】
このようなキャップ12は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂が用いられる。
キャップの製造方法としては、板状の樹脂シートを金型に押さえつけ、樹脂シートを加熱し、樹脂シートと金型との間を真空に近い状態にして、樹脂シートを金型に密着させる真空成形が好ましく挙げられる。この製造方法を用いることにより、上記のように平均厚さの小さいキャップの成形時間を短くすることができる。しかし、射出成形、プレス成形、ブロー成形等によって成形してもよい。
【0018】
容器本体13は、有底筒状のものであり、胴部13aと、その下端を閉じる底部13bと、胴部上端から上に向かってテーパー状に縮径する肩部13cと、その肩部から上方に延びる筒状のキャップ係止部13dと、そのキャップ係止部上端から上に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部13eと、キャップ支持部の上端に形成されたビード部(図示せず)とを備えている。キャップ支持部13eは、前記キャップ12の形状保持部12bと当接する部位である。その角度はキャップと同じように構成されている。キャップ係止部13dは吐出容器の筒部に該当し、前記キャップ12の係合部12cと締まり嵌合する部位である。
【0019】
このような容器本体13は、アルミニウムなどの金属板からインパクト成形や絞り・しごき加工で筒状体を成形し、その後、その上部にネッキング加工などを施し、肩部13c、キャップ係止部13d、キャップ支持部13eを形成し、キャップ支持部の上端にカーリング加工によりビード部を形成したものである。なお、合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材料を用いても良い。
【0020】
このエアゾール製品10は、エアゾール容器11の上からキャップ12を被せるようにして組み立てられる。この際、キャップ12の形状保持部12bが容器本体13のキャップ支持部13eと圧着するまでキャップ12の係合部12cの径を広げながらエアゾール容器のキャップ係止部13dに挿入する。この際、形状保持部12bの上からキャップ支持部13eに対して外力によって圧力(斜面圧着)をかけながら挿入する。このように係合部12cの弾性を残しながらキャップ12は容器本体13に取り付けられるため、キャップの平均厚さが小さく、キャップ自体の強度が弱くても容器との嵌合力を確保することができる。また、形状保持部12bは、キャップ支持部13eに対して斜面圧着しているため、つまり、キャップ支持部13eからの反力を受けるようにして係合しているため、吐出容器に装着することでキャップにかかる上下の外力に対する強度が向上する。さらに、キャップの係合部12cは円筒状であるため、キャップ12を容器本体13の円筒部に取り付けるとき、係合部12cを広げやすく、また、キャップ係止部13dへの挿入が容易である。また、挿入後も均等な力で全周が嵌合する。
なお、このエアゾール製品10をシュリンクフィルムでさらに包装してもよく、この場合、形状保持部12bとキャップ支持部13eの圧着力および係合部12cとキャップ係止部13dの嵌合力が高くなる。
【0021】
図2のエアゾール製品20は、エアゾール容器の容器本体21の肩部21aがキャップ支持部としてキャップ12の形状保持部12bと斜面圧着し、容器本体21の胴部21bがキャップ係止部としてキャップ12の係合部12cと嵌合するものである。他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
【0022】
図3のエアゾール製品25は、容器本体26の肩部26aと、ビード部(容器本体の上端)との間に首部26cを備えたものであり、図2のエアゾール製品20と同様に肩部26aがキャップ支持部としてキャップ12の形状保持部12bと斜面圧着し、容器本体26の胴部26dがキャップ係止部としてキャップ12の係合部12cと嵌合するものである。さらに、吐出部材27として、トリガー式の押しボタンが取り付けられている。他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。この形態では、押しボタンのレバーがビード部よりも外方に突出しているが、キャップ内に収容することができる。
【0023】
図4のエアゾール製品30は、スリーピースタイプの容器本体31を備えたエアゾール容器と、キャップ12とからなる。
容器本体31は、円筒状の胴部材32と、その上端に二重巻き締めにより固着した目金部材33と、胴部材の下端に二重巻き締めにより固着した底部材34とを備えている。胴部材32は、円筒状の胴部本体32aと、その胴部本体の上端から上に向かってテーパー状に縮径する上斜面部32bと、その胴部本体の下端から下に向かってテーパー状に縮径する下斜面部32cとを備えており、目金部材33は上斜面部32bの上端に固着され、底部材34は下斜面部32cの下端に固着される。このような容器本体31は、ブリキ、錫−ニッケル系鋼板(TNS)などの金属板から成形される。
【0024】
この容器本体31の上斜面部32bがキャップ支持部としてキャップ12の形状保持部12bと斜面圧着し、容器本体31の胴部本体32bがキャップ係止部としてキャップ12の係合部12cと嵌合する。また、容器本体31は、スリーピースタイプであるが、上斜面部32bおよび下斜面部32cを有しているため、その胴部材32の上下開口部の面積を小さくしており、目金部材33および底部材34の材料削減が実現されている。
このものも、トリガー式の噴射部材27が取り付けられている。他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
【0025】
これまでの実施形態では、吐出製品としてエアゾール製品を挙げてきた。次の実施形態ではポンプ製品を挙げる。
図5のポンプ製品35は、ポンプ容器36と、キャップ12とからなる。
ポンプ容器36は、容器本体37と、その容器本体にネジ嵌合によって取り付けられたポンプバルブ35aと、そのポンプバルブに取り付けられた吐出部材35bとからなる。ポンプバルブ35aおよび吐出部材35bは、従来公知のものである。
【0026】
容器本体37は、有底筒状のものであり、胴部37aと、その下端を閉じる底部37bと、胴部上端から上に向かってテーパー状に縮径する肩部37cと、肩部上端に形成された首部37dとを備えている。首部37dには、ポンプバルブ38と係合する雌ネジが形成されている(図示せず)。
このポンプ製品35は、容器本体37の肩部37cがキャップ支持部としてキャップ12の形状保持部12bと斜面圧着し、容器本体37の胴部37aがキャップ係止部としてキャップ12の係合部12cと嵌合するものである。また、図5bのようにキャップ12の裏面から印刷物(Shampoo)が設けられている。他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じである。
【0027】
次の実施形態ではチューブ製品を挙げる。
図6のチューブ製品38は、チューブ容器39と、キャップ12とからなる。
チューブ容器39は、下端が巻き締めにより閉じられたものであり、胴部39aと、胴部上端から上に向かってテーパー状に縮径する肩部39bと、肩部上端に形成された首部39cとを備えている。また、首部39cの上端に吐出口がある。この吐出口は、未使用時、アルミ箔などの薄膜で閉じられており、使用時に薄膜を剥がしたり、破断して内容物を吐出させる。
このチューブ製品38は、チューブ容器39の肩部39bがキャップ支持部としてキャップ12の形状保持部12bと斜面圧着し、チューブ容器39の胴部39aがキャップ係止部としてキャップ12の係合部12cと嵌合するものである。なお、キャップ12をチューブ容器39に装着すると、キャップの天面は吐出口を塞ぎ内容物の乾燥を防止する。他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じである。
【0028】
次に、本発明のキャップの他の実施形態を備えたエアゾール製品を挙げる。
図7aのエアゾール製品40は、エアゾール容器を使用するために取り外した後、エアゾール容器11の押しボタン15のノズル42に取り付け、内容物の飛び散りを防止するカバーとして使用できるキャップ41を備えたものである。
キャップ41は、図1のキャップ12と同様に、キャップ本体12aと、形状保持部12bと、円筒状の係合部12cとを備えており、キャップ本体12aの天面が上に向かってテーパー状に縮径しており、その天面の中心に上方に突出したノズル係合部41aが形成されている。ノズル係合部41aはキャップを成型した後で加工してもよい。
【0029】
このように構成されているため、エアゾール製品40からキャップ41を取り外して、ノズル係合部41a内にノズル42を挿入するようにキャップ41を押しボタン15に取り付ける(図7b、参照)。これにより、押しボタンのノズル42から噴霧される内容物を確実に目的物へ噴射することができる。
他の構成は、図1のエアゾール製品10と実質的に同じであり、キャップ41の形状保持部12bによりキャップ41の強度が保たれ、係合部12cにより容器への嵌合力が保たれる。
キャップ本体12aは円筒状でなくてもよく、図8aのキャップ44のようにキャップ本体12aを六角柱としてもよく、また、四角柱などの他の多角柱としてもよい。また、キャップ本体12aの形状は任意に形成することができ、例えば、図8b、図8cのキャップ45、46ようにキャップ本体12aの上端から天面にかけて複数の三角柱を切り欠いた形状でもよく、他の形状でもよい。
【0030】
次に、本発明のキャップのさらに他の形態を挙げる。
図9aのキャップ50は、文字等Xの表示が設けられた表示部51を備えたものである。キャップ50は、透明または半透明の天面を有するキャップ本体52と、その下端から下に向かってテーパー状に拡径する形状保持部12bと、その下端から下方に延びる円筒状の係合部12cとからなる。キャップ本体52の後部は、円筒状のものを斜面で切り欠いたように傾斜面となっており、この傾斜面が表示部51となっている。この表示部51の裏面に印刷が設けられており、印刷物が透明または半透明のキャップ本体を透かして見えるものである。
【0031】
その製造方法は、図9bのように、予めキャップの内面となる樹脂シート53の面(内面53)に文字等Xを印刷あるいは貼り付け、図9cのように、その内面53aがキャップの内部となるように真空成形する。これにより、内側に印刷が施されたキャップ50を成形できる。
また、図9dのキャップ55は、予め金型に文字等のエンボスを設け、樹脂シートを真空成形すると同時に、キャップ本体12aの天面51aに文字等Xを表示部51に刻印したものである。これにより、文字等Xを突出させたキャップ50が得られる。
【0032】
図10のキャップ60は、天面を有する円筒状のキャップ本体61からなり、中部から下端にかけた下部61aに等間隔で環状に設けられた上下に延びる溝62が形成されている。
このキャップ本体61の下部61aは、容器本体の外周に固定される部位であり、容器本体の外周と締り嵌合で取り付けられる。その容器本体の外周との径差は、0〜1mm、特に0.01〜0.8mmが好ましい。これにより容器との嵌合力を高めることができる。下部61aに溝62が環状に設けられているため、溝62がリブ的作用を奏し、かつ、下部61aは拡径動作に対して弾性力を奏するため、容器本体への挿入が一層行いやすい。また、この溝62は、キャップの上下の外力に対して強度も与えている。
【0033】
図11の2液吐出型エアゾール製品70は、2液吐出型エアゾール容器71と、キャップ72とからなる。
2液吐出型エアゾール容器71は、2本のエアゾール容器73と、それらを連結する連結部材74とからなる。エアゾール容器73は、容器本体の直径が25〜35mmと細く、2本を連結しても把持できる大きさである。
連結部材74は、それぞれのエアゾール容器73と係合する2つの係合部75を備えた長円状のものであり、上端にエアゾール容器73を押さえる抑え板76が設けられている。また、係合部75の下端には、外側に突出したフランジ部77が形成されている。この連結部材74の係合部75の外周が、筒部としてキャップ72と締まり嵌合する。
キャップ72は、天面を有する長円筒状のキャップ本体72aからなり、中部から下端にかけて上下に延びるリブ78が外周に4本形成されている。このキャップ本体72aの内面と連結部材74の外周とが締まり嵌合する。そして、リブ78が上下方向の外力に対する強度を与える。
【0034】
図12のエアゾール製品80は、エアゾール容器81と、その下端を保護し、エアゾール容器を立てるキャップ82とからなる。
エアゾール容器81は、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製の容器本体83と、その上端を閉じるエアゾールバルブ84と、吐出部材85とからなる。エアゾールバルブ84と吐出部材85は、従来公知のものが使用される。
容器本体83は、円筒状の胴部83aと、その胴部下端から下に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部83bと、その下端を閉じる球状の底部83cと、胴部上端から上に向かってテーパー状に縮径する肩部83dと、その肩部から上方に延びる首部83eとからなる。このような容器本体83は、ブロー成形等により成形される。
キャップ82は、図1のキャップ12と実質的に同じものであるが、容器本体の底部83dを保護するものであり、キャップ支持部83bにキャップ82の形状保持部12bを斜面圧着させ、胴部83aの下端(キャップ係止部)にキャップ82の係合部12cを嵌合させるものである。他の構成は図1のエアゾール製品10と実質的に同じものである。
【符号の説明】
【0035】
10 吐出製品
11 エアゾール容器
12 キャップ
12a キャップ本体
12b 形状保持部
12c 係合部
13 容器本体
13a 胴部
13b 底部
13c 肩部
13d キャップ係止部
13e キャップ支持部
14 エアゾールバルブ
15 押しボタン
20 エアゾール製品
21 容器本体
21a 肩部
21b 胴部
25 エアゾール製品
26 容器本体
26a 肩部
26c 首部
26d 胴部
27 吐出部材
30 エアゾール製品
31 容器本体
32 胴部材
32a 胴部本体
32b 上斜面部
32c 下斜面部
33 目金部材
34 底部材
35 ポンプ製品
36 ポンプ容器
37 容器本体
37a 胴部
37b 底部
37c 肩部
37d 首部
35a ポンプバルブ
35b 吐出部材
38 チューブ製品
39 チューブ容器
39a 胴部
39b 肩部
39c 首部
40 エアゾール製品
41 キャップ
41a ノズル係合部
42 ノズル
44、45、46 キャップ
50 キャップ
51 表示部
51a 天面
52 キャップ本体
53 樹脂シート
53a 内面
55 キャップ
60 キャップ
61 本体
61a 下部
62 溝
70 エアゾール製品
71 2液吐出型エアゾール容器
72 キャップ
73 エアゾール容器
74 連結部材
75 係合部
76 抑え板
77 フランジ部
78 リブ
80 エアゾール製品
81 エアゾール容器
82 キャップ
83 容器本体
83a 胴部
83b キャップ支持部
83c キャップ係止部
83d 底部
83e 肩部
83f 首部
84 エアゾールバルブ
85 吐出部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部を有する吐出容器に取り付けられるキャップであって、
キャップ本体と、
そのキャップ本体の下端に設けられ、下方に向かってテーパー状に拡径する形状保持部と、
その形状保持部の下端に設けられた筒状の係合部とを備えており、
前記形状保持部は、吐出容器の上方に向かってテーパー状に縮径する支持部と斜面圧着し、
前記係合部は、吐出容器の筒部と締まり嵌合する、吐出製品用のキャップ。
【請求項2】
筒部を有する吐出容器に取り付けられるキャップであって、
キャップ本体と、
そのキャップ本体の下端に設けられた筒状の係合部とを備えており、
前記係合部には、上下に延びる溝あるいはリブが形成されており、
前記係合部は、吐出容器の筒部と締まり嵌合する、吐出製品用のキャップ。
【請求項3】
前記キャップ本体が天面を有し、その天面に吐出容器の吐出部材のノズルと係合するノズル係合部が形成された、請求項1または2記載の吐出製品用のキャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体が透明または半透明であり、
前記キャップ本体の裏側に印刷物が設けられた、請求項1または2記載の吐出製品用のキャップ。
【請求項5】
前記キャップ本体が傾斜面を有し、傾斜面に印刷物が設けられた、請求項4記載の吐出製品用のキャップ。
【請求項6】
請求項1または2記載のキャップと、筒部を有する容器本体、その容器本体に取り付けられるバルブおよびそのバルブに取り付けられる吐出部材を備えた吐出容器とからなる吐出製品。
【請求項7】
前記容器本体が、筒状のキャップ係止部と、その上端に上方に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部とを有する、請求項6記載の吐出製品。
【請求項8】
請求項1記載のキャップを吐出容器に取り付ける装着方法であって、
前記吐出容器が、筒状のキャップ係止部と、その上端に上方に向かってテーパー状に縮径するキャップ支持部とが設けられた容器本体を有しており、
前記キャップの係合部を拡径しながら、前記係合部を前記キャップ係止部に嵌入させると同時に、
前記キャップの形状保持部の上から前記キャップ支持部に対して圧力をかけて、形状保持部とキャップ支持部とを斜面圧着させる、装着方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−102145(P2011−102145A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258439(P2009−258439)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】