説明

吐出容器

【課題】外容器に対する内容器の窓部の位置を周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができるうえ、外容器に対する内容器の回り止めも同時に図ること。
【解決手段】外筒40の上端部に上部開口部43を有する頂壁41が連設された透明な外容器2と、内筒10の上端部に口部12を有する透明な内容器3と、を備え、内容器には外周面に形成された転写膜によって区画され、内部を視認可能とさせる窓部が形成され、口部には周方向における1箇所に第1嵌合部16aが設けられ、上部開口部には周方向における1箇所に第1嵌合部が嵌り込む第2嵌合部44が設けられている吐出容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出容器の1つとして、外容器の内側に内容器が収容(内包)され、内容器の口部に、上方付勢された押下ヘッドを有するポンプ部が装着された二重容器タイプの吐出容器が知られている(特許文献1参照)。
この吐出容器を詳細に説明すると、内容器は、上端にネックリングを有する口部が形成された有底筒状に形成されている。口部は、内容器を外容器内に収容した際に、外容器の頂壁に形成された上部開口部から外容器の外側に突出するようになっている。そして、この突出した口部にポンプ部が装着されている。
【0003】
ところで、内容器を外容器内に収容した際に、内容器のネックリングは外容器の頂壁の下面に垂下された筒片内に嵌まり込むようになっている。この際、ネックリングは平面視正八角形状に形成され、筒片はネックリングの形状に合わせてやはり平面視正八角形状に形成されている。よって、ネックリングは、筒片内に嵌まり込んだ際に周方向への回転が防止されるようになっている。
つまり、内容器は、外容器に対して周方向への回転が規制された状態となっている。そのため、内容器の口部にポンプ部を着脱する際に、内容器が周方向に連られて共回りしてしまうことを防止できるようになっている。従って、ポンプ部の着脱操作が容易に行える設計となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−40304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような二重容器タイプの吐出容器において、近年、内容器内に充填されている内容物の残量を容易に確認することができるものが知られている。
具体的には、内容器の一部に内部が視認できるような透明或いは半透明な窓部が形成されている。これにより、窓部を通してのみ内容器の内部を外側から視認することができるようになっている。一方、外容器は、透明或いは半透明な材料で形成されている。これにより、内部に収容されている内容器の窓部を、外容器の外側から該容器を通じて視認することができるようになっている。つまり、外容器及び内容器の窓部を通し見ることで、内容物の残量を容易に確認することができるようになっている。
【0006】
ところで、外容器は、内容器を保護する役割がある一方、商品自体の外装体としての役割も果している。そのため、外容器の外周面には、商品や内容物等に関する様々な各種情報が印刷やシール貼付等によって表示されているのが一般的である。ところが、これら各種情報が表示されている裏側に内容器の窓部が位置してしまうと、表示が邪魔して窓部を明瞭に視認し難くなってしまう。従って、内容器と外容器とを組み立てる際に、窓部が表示から外れた位置にくるようにセットする必要がある。
【0007】
この点、従来の二重容器タイプの吐出容器は、単に外容器に対して内容器が周方向に回転しないように設計されているだけのものであるので、内容器と外容器とを組み立てる際に、外容器に表示されている各種情報の裏側に窓部が隠れてしまわないように注意を払う必要があった。従って、組み立てに手間がかかり、製造効率の低下を招くものであった。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、外容器に対する内容器の窓部の位置を周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができるうえ、外容器に対する内容器の回り止めも同時に図ることができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、外筒の上端部に上部開口部を有する頂壁が連設された透明な外容器と、内容物が充填される内筒の上端部に口部を有し、該口部が前記上部開口部を通じて上方に突出するように前記外容器内に収容される透明な内容器と、を備え、前記内筒には、外周面に形成された転写膜によって区画され、前記内容器の内部を視認可能とさせる窓部が形成され、前記口部には、周方向における1箇所に第1嵌合部が設けられ、前記上部開口部には、周方向における1箇所に前記第1嵌合部が嵌り込む第2嵌合部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る吐出容器においては、内容物の残量を確認する場合には、外容器及び内容器の窓部を通し見ることで、外容器の外側から残量を容易に確認することができる。ところで、内容器の口部に周方向における1箇所に第1嵌合部が設けられており、この第1嵌合部が上部開口部のやはり周方向における1箇所に設けられた第2嵌合部に嵌り込んでいる。従って、内容器と外容器とを組み立てる際に、外容器と内容器とを必ず決められた同じ向きで組み立てることができる。つまり、外容器と内容器とを予め決められた一方向に確実に位置合わせすることができる。その結果、外容器に対する内容器の窓部の位置を、周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができる。
これにより、内容器の窓部を通し見るための視認領域を外容器の外周面に確定させることができるので、窓部の視界を遮ることなく商品や内容物等に関する各種情報を外容器の外周面に表示することが可能である。特に、従来のように、表示の裏側に窓部が隠れてしまわないように注意を払いながら組み立てる必要がないので、短時間で効率の良い組み立てを行うことができる。
【0011】
また、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合することで、内容器の周方向への回転が規制され、外容器に対する内容器の回り止めが図られている。従って、内容器の口部に装着されるポンプ部やキャップ等を口部から着脱する場合においても、内容器が連られて共回りしてしまうことを防止することができる。従って、前記着脱操作を容易に行うこともできる。
【0012】
(2)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記内容器が、前記内筒と前記口部との間に肩部を有し、前記頂壁の下面には、前記上部開口部の周囲を囲むように垂下され、前記肩部に当接して前記外容器に対する前記内容器の上方移動を規制する環状壁が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る吐出容器においては、内容器と外容器とを組み立てる際、口部が上部開口部を通じて突出し、口部に設けられた第1嵌合部が上部開口部に設けられた第2嵌合部に嵌り込むと、頂壁の下面に形成された環状壁が肩部に当接する。これにより、それ以上の内容器の上方移動を規制することができる。従って、決められた高さだけ口部が確実に突出するように、外容器と内容器とを精度良く組み立てることができ、組み立て精度を高めることができる。
【0014】
(3)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記肩部には、外方に膨らむ突起部が設けられ、前記環状壁には、前記肩部が当接した際に前記突起部が係止される係止部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る吐出容器においては、環状壁が肩部に当接した際、単に当接するのではなく、肩部に設けられた突起部が環状壁に設けられた係止部に係止される。これにより、肩部は、周方向にすべることなく環状壁に当接する。つまり、肩部と当接部との間においても、内容器の周方向への回転を規制して外容器に対する内容器の回り止めを図ることができる。従って、前記着脱操作時に内容器の共回りをより効果的に防止することができる。
【0016】
(4)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記上部開口部の内周面には、径方向内方に膨らむように形成され、前記口部を下方側から支持して、外容器に対する内容器の下方移動を規制する段差部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る吐出容器においては、内容器と外容器とを組み立てる際、口部が上部開口部を通じて突出し、口部に設けられた第1嵌合部が上部開口部に設けられた第2嵌合部に嵌り込むと、口部は段差部によって下方側から支持される。これにより、内容器の下方移動を規制することができる。従って、内容器が外容器内に落ち込んでしまうことを防止しながら、外容器と内容器とを精度良く組み立てることができ、組み立て精度を高めることができる。
【0018】
(5)本発明に係る吐出容器は、上記本発明の吐出容器において、前記内容器には、前記内筒の内周面に上下摺動可能に嵌合された中皿が配置され、前記口部に上方付勢された押下ヘッドの上下動により前記内容物を吐出させるポンプ部が装着されていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る吐出容器においては、ポンプ部の押下ヘッドを上方付勢力に抗して押し下げることで、内容器の内筒内に充填されている内容物を吐出することができる。また、押下ヘッドの押し下げを解除すると、内筒内の内容物をポンプ部内に吸い上げることができ、次の吐出に備えることができる。この際、中皿は、内容物の移動に伴う圧力変動によって内筒内を上昇移動し、内容物の吐出を促している。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る吐出容器によれば、外容器に対する内容器の窓部の位置を周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができるうえ、外容器に対する内容器の回り止めも同時に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る吐出容器の一実施形態を示す外観図(一部断面図)である。
【図2】図1に示す状態から、ポンプ部を取り外した状態の断面図である。
【図3】図1に示す内容器の一側面図である。
【図4】図3に示す内容器を矢印A方向から見た側面図である。
【図5】図3に示す内容器を矢印B方向から見た側面図である。
【図6】図3に示す内容器を矢印C方向から見た上面図である。
【図7】図1に示す外容器の断面図である。
【図8】図7に示す外容器の上面図である。
【図9】図7に示す外容器の断面矢視D−D図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る吐出容器の一実施形態について、図1から図9を参照して説明する。本実施形態の吐出容器1は、図1に示すように、外容器2と、内容器3と、中皿4と、ポンプ部5と、を備えた中皿上昇式で且つ二重容器タイプの吐出容器であり、内容器3に充填されている内容物Wを必要に応じて所定量吐出することができるものである。
【0023】
なお、図1は、吐出容器1の外観図(一部断面図)である。また、上記各構成品のそれぞれの中心軸は共通軸上に位置している。本実施形態では、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
【0024】
まず、内容器3について説明する。
この内容器3は、透明又は半透明な材料で形成された容器であり、図2から図6に示すように、中心軸Oを中心に筒状に形成され、内容物Wが内部に充填される内筒10と、肩部11を介して内筒10の上端部に形成された口部12と、で一体的に構成されている。内容器3の下端部は開口しているが、上記中皿4によって閉塞された状態となっている。
【0025】
なお、図2は、図1の状態からポンプ部5を取り外した状態の断面図である。図3は、内容器3の一側面図である。図4は、図3に示す内容器3を矢印A方向から見た側面図である。図5は、図3に示す内容器3を矢印B方向から見た側面図である。図6は、図3に示す内容器3を矢印C方向から見た上面図である。
【0026】
内筒10の外周面には、略全面に亘って転写膜Mが形成されているが、図4に示すように、周方向の1箇所だけこの転写膜Mによって区画された(形作られた)窓部13が形成されており、内容器3の内部が視認可能とされている。つまり、窓部13を通して内容器3の内部を視認できるようになっている。本実施形態の窓部13は、内筒10の上端部から下端部に向かって、長さL、横幅Wの縦長の矩形状に形成されている。
【0027】
口部12は、図3から図6に示すように、ポンプ部5の装着筒20が螺着されるねじ部15と、このねじ部15と肩部11との間に形成されたフランジ部16と、を備えている。フランジ部16は、径方向外方に向けて延設された環状部材であり、周方向における1箇所が面カットされたカット部16aとなっている。
このカット部16aは、上述した窓部13の反対側に位置するように形成されており、後述する規制プレート44に対して嵌合する第1嵌合部として機能する。つまり、本実施形態では、窓部13とカット部16aとが中心軸Oを挟んで対向するように形成されている。
【0028】
ところで、肩部11には、外方に膨らむ3つの突起部17、18、19が形成されている。3つの突起部17、18、19のうち突起部17は、カット部16aの真下において、中心軸Oに沿った縦長の板片状に形成されている。残り2つの突起部18、19は、上記突起部17から周方向に時計回りに90度、半時計回りに90度離れた位置にそれぞれ形成されており、肩部11の斜面に沿って径方向外方に延在した板片状に形成されている。つまり、この2つの突起部18、19は、中心軸Oを挟んで対向するように形成されている。これら3つの突起部17、18、19は、後述する係止溝47及び凹部48にそれぞれ係止されている。
【0029】
このように構成された内容器3は、図2に示すように口部12が後述する上部開口部43を通じて上方に突出するように外容器2内に収容されるようになっている。具体的には、フランジ部16の上方に位置するねじ部15が所定量突出するように収容されている。
【0030】
次に、ポンプ部5について説明する。
ポンプ部5は、図1に示すように、外容器2から突出した口部12に装着される縦長のポンプであり、ねじ部15に螺着される装着筒20と、上方付勢された押下ヘッド21と、この押下ヘッド21の上下動により内容物Wを吐出させるノズル22と、を備えている。
装着筒20には、中心軸Oに沿って内筒10の上部付近まで垂下されるシリンダ筒23が一体的に形成されている。そして、押下ヘッド21は、装着筒20の上方において上下移動可能に装着筒20に対して組み合わされている。また、押下ヘッド21は、例えば余計な角部が取れた滑らかで若干の丸みを帯びた外形に仕上げられており、側面の一部に上記ノズル22が形成されている。
【0031】
また、シリンダ筒23内には、上方付勢状態の押下ヘッド21を押し下げることでシリンダ筒23内を下降し、シリンダ筒23の内部に溜められた内容物Wを加圧して該内容物Wをノズル22側に流したり、押し下げられた押下ヘッド21の上方復帰によって上昇し、シリンダ筒23の内部の圧力を負圧化して内筒10内から内容物Wを吸い上げたりするピストン部材が配置されている。
【0032】
シリンダ筒23の下端には、シリンダ筒23内の圧力が上昇すると閉じて内筒10の内部とシリンダ筒23の内部とを遮断すると共に、シリンダ筒23内の圧力が負圧化されると開いて内筒10の内部とシリンダ筒23の内部とを連通させる図示しない吸い込み弁が設けられている。
また、このように構成されたポンプ部5の押下ヘッド21及び装着筒20は、吐出容器1の未使用時、着脱可能に取り付けられるオーバーキャップ25によって覆われて保護されるようになっている。
【0033】
次に、中皿4について説明する。
中皿4は、図1及び図2に示すように内筒10の内周面に上下摺動可能に嵌合されており、内筒10内の内容物Wの減少に伴う負圧化によって内筒10内を上昇移動するようになっている。この中皿4は、内筒10の内周面に当接する筒状の外筒部30と、外筒部30の開口を塞いで内容物Wを内筒10内に閉じ込める仕切り部材31と、で構成されている。
外筒部30は、中間部分が径方向内方に若干凹み、上端側と下端側とが全周に亘って内筒10の内周面に当接するように設計されている。そのため、適度な摩擦力で内周面に接しており、滑らかに摺動移動できるようになっている。
なお、この場合に限られず、外筒部30の外周面全体が内筒10の内周面に当接したり、外筒部30の外周面の一箇所のみに全周に亘る当接部を形成したりしても構わない。
【0034】
本実施形態の仕切り部材31は、内筒部32とフランジ部33とで一体的に形成されている。内筒部32は、外筒部30の内側に配設されており、筒状の内周壁32aと、内周壁32aの略中間部分に形成され、内周壁32aの開口を塞ぐ隔壁32bと、で一体的に形成されている。フランジ部33は、環状に形成されており、内筒部32の上端部、即ち、内周壁32aの上端と外筒部30の上端とを全周に亘って一体的に連結している。
【0035】
次に、外容器2について説明する。
外容器2は、透明又は半透明な材料で形成された容器であり、内容器3を保護すると共に吐出容器1の外装体となるものである。この外容器2は、図7から図9に示すように、中心軸Oを中心に筒状に形成された外筒40と、この外筒40の上端部に連設された頂壁41と、で構成されている。
なお、図7は、外容器2の断面図である。図8は、外容器2の上面図である。図9は、図7に示す外容器2の断面矢視D−D図である。
【0036】
外筒40の外周面には、商品や内容物W等に関する各種情報(不図示)が印刷やシール貼付等によって表示されている。外筒40の下端部には、図2に示すように、底部42が嵌合固定されており下端部側の開口を閉塞している。
この底部42には、中皿4と底部42との間の隙間空間Sと、外部と、を連通させるための逃げ孔42aが形成されている。これにより、中皿4が内筒10内を上昇したとしても、隙間空間Sが負圧になることを抑制でき、中皿4を滑らかに上昇移動させることが可能とされている。
【0037】
図7から図9に示すように、頂壁41の略中心部には、内容器3の口部12を上方に突出させる上部開口部43が形成されている。本実施形態の上部開口部43は、内周面がフランジ部16の外周面に接するように開口サイズが設計されており、図2に示すように、フランジ部16を上部開口部43の内側にほぼ隙間なく配置させることが可能とされている。
ところで、この上部開口部43には、図7から図9に示すように、周方向における1箇所にフランジ部16のカット部16aが嵌り込む規制プレート(第2嵌合部)44が開口を一部塞ぐように形成されている。これにより、カット部16aと規制プレート44との位置を合わせ、両者を嵌合させない限り、フランジ部16を上部開口部43の内側に配置させることができないようになっている。
つまり、カット部16a及び規制プレート44は、内容器3の周方向への回転を規制すると共に、内容器3と外容器2とを予め決められた一方向に位置決めさせる役割を果している。
【0038】
また、上部開口部43の内周面には、径方向内方に膨らむように形成された段差部45が形成されている。本実施形態では、段差部45が4箇所に形成されている。これら段差部45は、フランジ部16を上部開口部43の内側に配置させた際に、フランジ部16を下方側から支持して外容器2に対する内容器3の下方移動を規制する役割を果している。
【0039】
また、頂壁41の下面には、上部開口部43の周囲を囲むように底部42側に向かって垂下された環状壁46が形成されている。この環状壁46は、図1及び図2に示すように、フランジ部16が上部開口部43の内側に配置された際に、下端部が外容器2の肩部11に当接するように設計されている。これにより、外容器2に対する内容器3の上方移動を規制できるようになっており、フランジ部16が上部開口部43よりも上方に移動してしまうことを防止している。
つまり、内容器3は、上述した段差部45と環状壁46とによって、外容器2に対する中心軸O方向への位置決めが確実にされており、ねじ部15が確実に所定量突出した状態となっている。
【0040】
また、環状壁46には、図7から図9に示すように、上述した内容器3の突起部17、18、19をそれぞれ係止させる係止溝47及び凹部48が設けられている。まず、環状壁46の内周面には、規制プレート44の下方に隠れる位置において、径方向内方に突出した2つの突起49が周方向に間隔を開けた状態で並ぶように形成されている。そして、この2つの突起49の間に形成された空間が上記係止溝47とされており、フランジ部16を上部開口部43の内側に配置した際に、突起部17が嵌り込んで係止されるようになっている。
また、環状壁46の下端部には、上記係止溝47から周方向に時計回りに90度、半時計回りに90度離れた位置において、凹部48がそれぞれ形成されている。つまり、中心軸Oを挟んで対向するように凹部48が形成されている。これら凹部48には、フランジ部16を上部開口部43の内側に配置した際に、突起部18、19がそれぞれ嵌り込んで係止されるようになっている。
【0041】
次に、このように構成された吐出容器1を利用して内容物Wを吐出する場合について説明する。
この場合には、図1に示すように、ポンプ部5の押下ヘッド21を上方付勢力に抗した力で押し下げる。すると、ピストン部材がシリンダ筒23内を下降移動する。これにより、シリンダ筒23内に溜められている内容物Wが加圧されると共に、吸い込み弁がシリンダ筒23の内部と内筒10の内部とを遮断する。これによって、加圧された内容物Wはノズル22に移動する。その結果、内容物Wを外部に吐出させることができる。
【0042】
一方、押下ヘッド21の押し下げを解除すると、押下ヘッド21はコイルバネ等の弾性部材の力により上方に付勢されているので、元の位置に復帰する。そのため、ピストン部材がシリンダ筒23内を上昇移動する。これにより、シリンダ筒23内の圧力を負圧化すると共に、吸い込み弁がシリンダ筒23内の内部と内筒10の内部とを連通させる。そのため、内筒10に充填されている内容物Wがシリンダ筒23内に吸い上げられる。これにより、シリンダ筒23内に再度内容物Wを溜め込むことができ、次の吐出に備えることができる。
【0043】
また、吸い上げによる内容物Wの減少に伴って内筒10内が負圧化されるので、中皿4が内筒10内を上昇移動する。これにより、内容物Wの吸い上げを促すことができ、仮に高粘度の内容物Wであってもシリンダ筒23内に確実に吸い上げさせることが可能となる。
【0044】
以上のようにして、内容器3に充填されている内容物Wを必要に応じて所定量吐出させながら使用することができる。また、使用中に、内容物Wの残量を確認する場合には、外容器2及び内容器3の窓部13を通し見ることで、外容器2の外側から残量を容易に確認することができる。
【0045】
次に、吐出容器1を組み立てて製造する場合の手順について、簡単に説明する。
まず、内容器3の内部に中皿4をセットした後、この内容器3を外容器2内に挿入して両容器2、3を組み合わせる。次いで、両容器2、3を組み合わせた後、外容器2の下端部に底部42を嵌合固定させる。次いで、内容器3内に内容物Wを充填させた後、外容器2から突出した内容器3のねじ部15にポンプ部5の装着筒20を螺着させることで、ポンプ部5を装着する。このようにして、吐出容器1を組み立てることができる。
【0046】
ところで、内容器3のフランジ部16には周方向における1箇所にカット部16aが形成され、外容器2の上部開口部43にはこのカット部16aを嵌合させる規制プレート44が形成されている。よって、内容器3と外容器2とを組み合わせる際に、カット部16aの位置と規制プレート44の位置とを一致させない限り、フランジ部16を上部開口部43の内側に配置することができない。そのため、外容器2と内容器3とを必ず決められた同じ向きで組み立てることができる。つまり、内容器3と外容器2とを予め決められた一方向に確実に位置合わせすることができる。その結果、外容器2に対する内容器3の窓部13の位置を、周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができる。
【0047】
これにより、内容器3の窓部13を通し見るための視認領域を外容器2の外周面に確定させることができるので、窓部13の視界を遮ることなく商品や内容物W等に関する各種情報を外容器2の外周面に表示することが可能である。特に、従来のように、表示の裏側に窓部13が隠れてしまわないように注意を払いながら組み立てる必要がないので、短時間で効率の良い組み立てを行うことができる。
【0048】
また、内容器3と外容器2とを組み合わせた際、カット部16aと規制プレート44とが嵌合した状態でフランジ部16が上部開口部43の内側に位置するので、内容器3の周方向への回転が規制され、外容器2に対する内容器3の回り止めが図られている。従って、ポンプ部5を口部12から着脱したとしても、内容器3が連られて共回りしてしまうことを防止することができる。従って、ポンプ部5の着脱操作を容易に行うことができる。
【0049】
また、内容器3と外容器2とを組み合わせる際、フランジ部16が上部開口部43の内側に位置し、カット部16aと規制プレート44とが嵌合すると、図2に示すように、外容器2の環状壁46が内容器3の肩部11に当接する。これにより、それ以上の内容器3の上方移動を規制することができる。しかも、フランジ部16が段差部45によって下側から支持されるので、内容器3の下方移動に関しても規制することができる。これらのことにより、決められた高さだけ口部12のねじ部15が確実に突出し、且つ、内容器3が外容器2内に落ち込んでしまうことを防止しながら、外容器2と内容器3とを精度良く組み立てることができる。従って、組み立て精度を高めることができる。
【0050】
更に、環状壁46が肩部11に当接した際、単に当接するのではなく、肩部11に設けられた突起部17、18、19が環状壁46に設けられた係止溝47及び凹部48に対してそれぞれ係止される。これにより、肩部11は、周方向にすべることなく環状壁46に当接する。つまり、肩部11と環状壁46との間においても、内容器3の周方向への回転を規制して外容器2に対する内容器3の回り止めを図ることができる。従って、ポンプ部5の着脱操作時に内容器3の共回りをより効果的に防止することができる。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態の吐出容器1によれば、外容器2に対する内容器3の窓部13の位置を周方向の決まった位置に容易且つ確実にセットすることができるうえ、外容器2に対する内容器3の回り止めも同時に図ることができる。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、上記のポンプ部5の構成は一例であり、適宜設計変更して構わない。例えば、中皿4を使用しない一般的な吐出ポンプや、空気シリンダ及び空気ピストンを構成に加え、内容物Wを泡状に吐出するフォーマーポンプとしても構わないし、内容物Wを霧状に吐出するスプレーポンプとしても構わない。
【0054】
また、内容器3の窓を縦長の矩形状に形成したが、縦長の楕円状であっても構わないし、縦長の三角状等に形成しても構わず、その形状及び個数は限定されない。
また、上記実施形態では、透明又は半透明な材料で外容器2及び内容器3を形成したが、内部が視認可能であれば良く、例えば光の透過率が40%や80%の材料で形成しても構わない。
【0055】
また、上記実施形態では、フランジ部16に形成したカット部16aと上部開口部43に形成した規制プレート44とで、内容器3の周方向への回転を規制すると共に、内容器3と外容器2とを予め決められた一方向に位置決めしたが、この場合に限定されるものではなく、一方向に位置決め可能であれば種々の構成を採用することができる。
つまり、口部12側の周方向における1箇所に設けた第1嵌合部と、上部開口部43側の周方向における1箇所に設けた第2嵌合部とで、内容器3と外容器2とを一方向に位置決めできれば、第1嵌合部及び第2嵌合部をどのように構成しても構わず、例えば、第1嵌合部を凸部、第2嵌合部を凹部としたり、第1嵌合部を円形フランジ部の一部に形成される複数のカット部からなる多角形状とし、第2嵌合部をこの多角形状に適応する形状にしたりしても良い。
【符号の説明】
【0056】
M…転写膜
W…内容物
1…吐出容器
2…外容器
3…内容器
4…中皿
5…ポンプ部
10…内筒
11…肩部
12…口部
13…窓部
16a…カット部(第1嵌合部)
17、18、19…突起部
21…押下ヘッド
40…外筒
41…頂壁
43…上部開口部
44…規制プレート(第2嵌合部)
45…段差部
46…環状壁
47…係止溝(係止部)
48…凹部(係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒の上端部に上部開口部を有する頂壁が連設された透明な外容器と、
内容物が充填される内筒の上端部に口部を有し、該口部が前記上部開口部を通じて上方に突出するように前記外容器内に収容される透明な内容器と、を備え、
前記内筒には、外周面に形成された転写膜によって区画され、前記内容器の内部を視認可能とさせる窓部が形成され、
前記口部には、周方向における1箇所に第1嵌合部が設けられ、
前記上部開口部には、周方向における1箇所に前記第1嵌合部が嵌り込む第2嵌合部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記内容器は、前記内筒と前記口部との間に肩部を有し、
前記頂壁の下面には、前記上部開口部の周囲を囲むように垂下され、前記肩部に当接して前記外容器に対する前記内容器の上方移動を規制する環状壁が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器において、
前記肩部には、外方に膨らむ突起部が設けられ、
前記環状壁には、前記肩部が当接した際に前記突起部が係止される係止部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記上部開口部の内周面には、径方向内方に膨らむように形成され、前記口部を下方側から支持して、外容器に対する内容器の下方移動を規制する段差部が形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出容器において、
前記内容器には、前記内筒の内周面に上下摺動可能に嵌合された中皿が配置され、前記口部に上方付勢された押下ヘッドの上下動により前記内容物を吐出させるポンプ部が装着されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−235132(P2010−235132A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83344(P2009−83344)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】