説明

吐出容器

【課題】未開封状態における内容物の漏出を防止し易い吐出容器を提供すること。
【解決手段】内容物が収容される容器体2と、容器体の口部2aに装着されると共に、容器体の内部に連通する連通開口45が形成された天壁部44を有する吐出体3と、天壁部の上面に被覆され連通開口を覆う被覆体60と、を備え、被覆体が、連通開口を囲繞すると共に少なくとも周方向の一部分が開口した固着部を介して天壁部の上面に固着され、被覆体のうちの固着部の内側に位置する非固着部が、天壁部の上面に離間可能に密接して連通開口を開閉可能にシールし、非固着部の上面のうち、少なくとも固着部の開口位置(62)と連通開口との間に位置する部分には、被覆体よりも剛性が高い保護体70が剥離自在に被覆されている吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の内容物が収容される吐出容器において、天壁部上に設けられたフィルム部材の変形を利用して内容物の吐出及びその遮断を切り替える容器が知られている(特許文献1参照)。
この容器によれば、フィルム部材が天壁部に形成された流出開口を通じて流出してきた内容物に押圧されて変形し、フィルム部材において流出開口上に密接している密接部分が天壁部から離反して上側に浮き上がった状態となり、内容物をこの浮き上がった部分を通じて吐出口から外部に吐出することができる。
その後、流出を停止してフィルム部材に付与されていた押圧力を解除すると、前記浮き上がっていた部分が元の状態に戻って天壁部に再度密接するので、流出開口を再びシールして容器の密閉性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−198300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の容器では、製品輸送時や流通時等の未開封状態において、フィルム部材が例えば内容物に押圧される等して変形する恐れがあり、それにより内容物が漏出されてしまう恐れがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、未開封状態における内容物の漏出を防止し易い吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器体と、該容器体の口部に装着されると共に、容器体の内部に連通する連通開口が形成された天壁部を有する吐出体と、前記天壁部の上面に被覆され、前記連通開口を覆う被覆体と、を備え、前記被覆体が、前記連通開口を囲繞すると共に少なくとも周方向の一部分が開口した固着部を介して前記天壁部の上面に固着され、前記被覆体のうちの前記固着部の内側に位置する非固着部が、前記天壁部の上面に離間可能に密接して前記連通開口を開閉可能にシールし、前記非固着部の上面のうち、少なくとも前記固着部の開口位置と前記連通開口との間に位置する部分には、前記被覆体よりも剛性が高い保護体が剥離自在に被覆されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出容器によれば、まず使用するにあたって保護体を被覆体から剥離して取り除く。その後、容器体を傾けたりスクイズ変形させたり等して、内容物を連通開口から流出させる。これにより、連通開口から流出する内容物によって被覆体が押圧され、被覆体のうちの非固着部が天壁部の上面から離間して上側に凸となるドーム状に膨出する。このため、被覆体と天壁部との間に連通開口に連通する流路が画成されると共に、固着部の開口部分に外側に向けて開口された吐出口が画成される。従って、連通開口から流出した内容物を、上記流路を通じて上記吐出口から外部に吐出することができる。
その後、容器体を元の正立姿勢に戻したりスクイズ変形を解除したり等して、連通開口からの内容物の流出を停止させると、被覆体に付与されていた内容物からの押圧力が解除され、天壁部の上面から離間していた被覆体の非固着部が元の状態に復元されて天壁部の上面に密接する。これにより、上記吐出口及び上記流路が閉塞されると共に連通開口がシールされて、容器体の密閉性を確保することができる。
【0008】
ところで、製品輸送時や流通時等の未開封状態では、被覆体における非固着部の上面に保護体が被覆されているので、該保護体の剛性により非固着部を変形し難くさせている。しかもこの保護体は、非固着部の上面のうち少なくとも固着部の開口位置と連通開口との間に位置する部分に被覆されているので、何らかの理由により内容物が連通開口から流出してしまったとしても、非固着部のうち保護体に覆われている部分はこの流出した内容物による押圧によって天壁部から離間してしまい難い。そのため、上記流路が完全に画成されてしまうことを防ぐことができ、流出した内容物が流路を通じて外部に漏出してしまうことを抑制することができる。
また、被覆体の固着部の上面に被覆されている保護体の有無によって、未開封状態であることを容易且つ確実に視認させることもできる。
(2)上記本発明に係る吐出容器において、前記保護体が、前記被覆体の全面に亘って被覆されていると共に、該被覆体よりも径方向外側に突出する剥離操作片を有していても良い。
【0009】
この場合には、保護体が被覆体の全面に亘って被覆されているので、未開封状態において内容物が連通開口から流出してしまったとしても、被覆体の非固着部の全体がこの流出した内容物による押圧によって天壁部から離間してしまうことを防ぐことができる。従って、内容物の漏出をより効果的に抑制することができる。
また、保護体を剥離する場合には、剥離操作片を利用して被覆体からスムーズに剥離することができるので、剥離操作性を向上でき、使い易い。
【0010】
(3)上記本発明に係る吐出容器において、前記被覆体を径方向の外側から囲繞する環状の囲繞部を備え、該囲繞部が、容易破断部を介して前記被覆体の周縁部に全周に亘って接続され、前記保護体が、前記囲繞部の上面に被覆されていても良い。
【0011】
この場合には、囲繞部が容易破断部を介して被覆体に接続されているので、未開封状態において、例えば保護体に外力が作用したとしても、囲繞部が存在することにより保護体をより剥がれ難くすることができる。
一方、保護体を剥離する場合には容易破断部を僅かな力で破断できるので、囲繞部を被覆体から切り離しながら、これと同時に保護体を被覆体からスムーズに剥離することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吐出容器によれば、未開封状態における内容物の漏出を抑制することができ、製品信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る吐出容器の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す状態からオーバーキャップを離脱させた状態での上面図である。
【図3】図1に示す吐出容器を構成する吐出ヘッドの天壁部の拡大断面図である。
【図4】図2に示す状態から保護体を被覆体から剥離して取り外した状態を示す図である。
【図5】図4に示す状態の後、容器体を傾けて内容物を吐出している状態を示す図である。
【図6】内容物を吐出した後、容器体を元の姿勢に戻した状態を示す図である。
【図7】本発明に係る吐出容器の変形例を示す図であって、吐出ヘッドの天壁部の拡大断面図である。
【図8】図7に示す吐出容器の上面図であって、オーバーキャップを離脱させた状態における上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
(吐出容器の構成)
本実施形態の吐出容器1は、図1に示すように、図示しない液体状の内容物が収容される容器体2と、この容器体2の口部2aに装着される吐出体3と、この吐出体3を覆うオーバーキャップ4と、を備えている。なお、本実施形態では容器体2の一例として二重容器を例に挙げて説明する。
【0015】
上記各構成品は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、吐出容器1の正立状態において容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿ったオーバーキャップ4側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
容器体2は、例えば外容器(外層)10に対して内容器(内層)11が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。なお、二重容器も採用することもできる。
容器体2の口部2aは、内容器11の口部11aと外容器10の口部10aとが積層された構成とされ、上側に位置する上筒部12と、上筒部12の下側に位置し該上筒部12よりも大径に形成された中間筒部13と、中間筒部13の下側に位置し上筒部12と略同径に形成された下筒部14と、を有する三段筒状に形成されている。
【0017】
上筒部12のうち、外容器10の口部10aで構成された部分の外周面には第1ねじ部15が全周に亘って形成されていると共に、この第1ねじ部15の下側に、外容器10と内容器11との間に外気を吸入させる吸気孔16が形成されている。なお、第1ねじ部15において、吸気孔16と周方向の位置が一致する部分には、上下方向に延びる縦溝17が形成されている。
【0018】
吐出体3は、容器体2の口部2aに装着されると共に該口部2a上に配設された内装部20と、容器体2の口部2aに装着されると共に該口部2a及び内装部20を径方向の外側から囲繞する外装部30と、該外装部30に装着されると共に内装部20及び外装部30の上方に配設された吐出ヘッド40と、を備えている。
【0019】
内装部20は、容器体2の口部2aの内側に嵌合された第1シール筒部21と、第1シール筒部21の上端部から径方向の外側に向けて突設され容器体2の口部2a上に配設された環状の外フランジ部22と、外フランジ部22の外周縁部から下方に向けて延設され容器体2の口部2aの外側に嵌合された第2シール筒部23と、第1シール筒部21の下端部から径方向の内側に向けて突設された環状の内フランジ部24と、内フランジ部24の内周縁部から上方に向けて延設された内筒部25と、内筒部25と第1シール筒部21との間に位置し内フランジ部24から上方に向けて延設された外筒部26と、を備えている。
なお、外筒部26は第1シール筒部21と略同じ高さとされ、内筒部25は外筒部26の略2倍程度の高さとされている。
【0020】
外装部30は、上下両方向に開口する筒状に形成され、その内周面には容器体2の口部2aに形成された第1ねじ部15に螺合された第2ねじ部31が形成されている。外装部30の上端側の外周面には、オーバーキャップ4の下端部が嵌合する段部32が形成されていると共に、この段部32の下側に位置する部分にはオーバーキャップ4を開閉可能に連結するヒンジ部33が形成されている。
【0021】
外装部30の上端部には、径方向の内側に向けて突設され内装部20の外フランジ部22上に配設された環状のフランジ部33が連設されている。そして、このフランジ部33には、内周縁部から上方に向けて突設された装着筒部34が連設されている。この装着筒部34は、内装部20の内筒部25を径方向の外側から囲繞しており、その上端部は内筒部25の上端部と略同じ高さとされている。また、装着筒部34には、径方向の外側に向けて突設する複数の第1凸リブ35が周方向に間隔を開けて形成されている。
【0022】
ところで、外装部30において第2ねじ部31よりも下側に位置する下端部は、容器体2の口部2aの中間筒部13に気密状態で外嵌しており、外装部30の下側を通した吸気孔16と吐出容器1の外部との連通を遮断している。また、内装部20の第2シール筒部23及び外フランジ部22において、吸気孔16と周方向の位置が一致する部分には、吸気孔16及び縦溝17に連通する連通溝36が連続的に形成されている。
【0023】
吐出ヘッド40は、外装部30の装着筒部34を径方向の外側から囲繞して該装着筒部34に外嵌された嵌合筒部41と、嵌合筒部41の上端部から径方向の内側に向けて突設され、内装部20の外筒部26及び内筒部25の上方を覆う環状の頂壁部42と、頂壁部42の内周縁部から上方に向けて延設された吐出筒部43と、吐出筒部43の上端部に連設され、該吐出筒部43の上方開口部を塞ぐ天壁部44と、を備えている。
【0024】
天壁部44は、図1及び図2に示すように、吐出筒部43の全周に亘って径方向の外側に突出していると共に、平面視略D字状で且つ凹曲面状に形成されているうえ、容器軸Oに対して傾斜している。
具体的にこの天壁部44は、一方側が容器軸Oを挟んで該一方側とは反対側に位置する他方側よりも上方に位置するように上向き傾斜している。以下、上記一方側を天壁部44の先端部44a側といい、上記他方側を天壁部44の基端部44b側という。
【0025】
天壁部44の先端部44a側は、基端部44b側と先端部44a側とを結ぶ前後軸L1及び容器軸Oに対してそれぞれ直交する左右軸L2に沿って略平行に延びる外形形状とされている。これに対して、天壁部44の基端部44b側は、平面視半円形状に形成されている。これにより、天壁部44全体としては、上記したように平面視略D字状に形成されている。
【0026】
また、天壁部44は、上記左右軸L2に沿って中央から外側に向かうに従い漸次せり上がって縦断面視弓形状に湾曲している。そして、この天壁部44には、後述する連通路Rを介して容器体2の内部に連通する平面視円形状の連通開口45が形成されている。この際、連通開口45は天壁部44のうちで最も窪んだ最深部に容器軸Oと同軸上に形成されている。なお、図示の例では、連通開口45が吐出筒部43の内径と同径とされた場合を例にしているが、吐出筒部43の内径よりも小さい開口としても構わない。
【0027】
嵌合筒部41は、図1に示すように、下端部が外装部30の装着筒部34に形成された第1凸リブ35に対してアンダーカット嵌合されている。また、嵌合筒部41には、上記アンダーカット嵌合されている部分よりも上側に位置する部分に、径方向の内側に突出する複数の第2凸リブ46が周方向に間隔を開けて形成されている。
そして、嵌合筒部41と装着筒部34とは、これら第1凸リブ35と第2凸リブ46との当接により、周方向への相対的な回転が規制された状態で組み合わされている。これにより、吐出ヘッド40は装着筒部34に容器軸O回りに回転不能に装着されていると共に、周方向の向きが位置決めされている。具体的には、天壁部44の先端部44a側が容器軸Oを挟んで外装部30に形成されたヒンジ部33とは反対側に向くように位置決めされている。
【0028】
また、吐出ヘッド40は、頂壁部42から下方に向けて延設され外装部30の装着筒部34の内側に嵌合された外側筒部50と、頂壁部42の内周縁部から下方に向けて延設され内装部20の内筒部25の内側に嵌合された内側筒部51と、外側筒部50と内側筒部51との間に位置し頂壁部42から下方に向けて延設され内装部20の外筒部26の外側に当接した中間筒部52と、を備えている。
【0029】
吐出ヘッド40の内側筒部51及び吐出筒部43の内側は、上記連通開口45に連通すると共に容器体2の内部に連通する連通路Rとして機能する。なお、これら内側筒部51及び吐出筒部43の内周面において天壁部44の先端部44a側に位置する部分には、連通開口45から流出した内容物を容器体2内に戻し易くしたり、内容物の流出を促したりするための縦溝43aが、連通開口45から内側筒部51の下端部に亘って形成されている。
吐出ヘッド40の中間筒部52や外装部30の装着筒部34等で画成された環状空間は、上記連通溝36に連通する内部空間E1として機能する。
【0030】
内装部20の内筒部25や吐出ヘッド40の中間筒部52等で画成された環状空間は、吐出ヘッド40の中間筒部52と内装部20の外筒部26とが当接している間(隙間)を通じて上記内部空間E1に連通する内部空間E2として機能する。例えば、中間筒部52と外筒部26との当接部分に、凸リブや凹溝等による空気通路(隙間)を形成する。また、容器体2をスクイズ変形させることで内容物を吐出させる場合には、容器体2のスクイズ時に後述する内容器(内層)11と外容器(外層)10との間に導入された空気を介して、内容器(内層)11が減容可能な隙間に設定する。
また、吐出ヘッド40の頂壁部42には、この内部空間E2と外部とを連通させる連通孔53が形成されている。
【0031】
これにより、オーバーキャップ4が外装部30から離脱された際、容器体2の口部2aに形成された吸気孔16は、縦溝17、連通溝36、内部空間E1、内部空間E2及び連通孔53からなる外気流入路54を通して外部に連通することとなる。
【0032】
上記のように構成された吐出ヘッド40の天壁部44の上面には、図1から図4に示すように、可撓性の被覆体60が被覆されており、天壁部44に形成された連通開口45を覆っている。なお、図4は、図2から後述する保護体70を取り外した状態を示す図である。
【0033】
被覆体60は、天壁部44の外周縁に沿った形状に形成されており、天壁部44を全面に亘って被覆していると共に該天壁部44の上面に固着部61を介して固着されている。固着部61は、連通開口45を囲繞していると共に天壁部44の先端部44a側の中央において開口している。そのため、被覆体60は、天壁部44の先端部44a側における中央部分を除いて天壁部44の外周縁に沿って該天壁部44の上面に固着されている。
これにより、天壁部44の先端部44a側には、固着部61が開口して被覆体60と天壁部44とが固着されていない部分が形成され、その部分(固着部61の開口部分)が吐出口62とされている。
【0034】
また、被覆体60は、天壁部44の湾曲に倣って湾曲されており、該被覆体60のうちの上記固着部61の内側に位置する部分が非固着部63とされ、天壁部44の上面に密接されている。これにより、連通開口45が非固着部63によってシールされ、容器体2の密閉性が確保されている。被覆体60の非固着部63は、天壁部44の上面から離間する方向に例えば弾性的に膨出(反転変形)することで、天壁部44の上面から離間可能とされている。つまり、被覆体60の非固着部63は、連通開口45を開閉自在にシールしている。
【0035】
なお、天壁部44の上面に対する被覆体60の固着方法としては、例えば接着用シーラントや接着剤等による接着や、熱溶着等の溶着が考えられる。また、被覆体60としては、破れ難い一般的なフィルム(伸縮性の有無に関係なく適用可能である)や、可撓性を有する樹脂製シート或いは金属箔等が挙げられ、層構成としても単層や積層のものが挙げられる。
【0036】
更に、上記のように構成された被覆体60の上面には、図1から図3に示すように、該被覆体60の全面に亘って保護体70が被覆されている。この保護体70は、被覆体60よりも剛性の高い材料によって該被覆体60と同形状に形成されており、剥離層71を介して被覆体60の上面に剥離自在に被覆されている。また、この保護体70は、天壁部44の基端部44b側にて被覆体60よりも径方向の外側に突出する剥離操作片72を有している。
【0037】
なお、保護体70としては、被覆体60よりも剛性が高い材料で形成されていれば良く、例えばフィルムや、金属製、紙製或いは樹脂製のシート等である。また、保護体70は、単層でも積層としても良い。なお、保護体70の“剛性”とは、内容物の自重が作用したり、その他の吐出操作によって内容物の負荷が作用したりしても、それらによって変形しない程度の剛性である。
【0038】
オーバーキャップ4は、図1及び図2に示すように、周壁部80と天板部81とで有頂筒状に形成されており、吐出体3を覆うように外装部30に装着されている。このオーバーキャップ4は、ヒンジ部33を介して外装部30に接続されており、ヒンジ部33回りに開閉することで外装部30に対して着脱される。なお、周壁部80の下端部が外装部30の段部32に嵌り込むことで、オーバーキャップ4は安定した状態で装着されている。
周壁部80には、ヒンジ部33とは容器軸Oを挟んで径方向の反対側に位置する部分に、径方向外側に向けて突設する摘み片82が形成されており、この摘み片82を利用してオーバーキャップ4の開閉操作(特に開操作)を容易に行うことが可能とされている。
【0039】
天板部81には、長さの異なる2つの押付板83、84が下方に向けて突設されており、被覆体60及び保護体70を天壁部44の上面に押し付けている。これら2つの押付板83、84は、オーバーキャップ4の装着時に、連通開口45を間にして前後軸L1方向に向かい合うように配置されており、それぞれ左右軸L2方向に平行で且つ下端が天壁部44の湾曲に倣って湾曲している。そして、一方の押付板83が、連通開口45と吐出口62との間において保護体70を介して被覆体60の非固着部63を天壁部44の上面に押し付けており、他方の押付板84が、連通開口45と天壁部44の基端部44b側との間において保護体70を介して被覆体60の非固着部63を天壁部44の上面に押し付けている。
【0040】
(吐出容器の使用)
次に、上述したように構成された吐出容器1の使用について説明する。
吐出を行う場合には、まず図2に示すようにオーバーキャップ4をヒンジ部33回りに回動させて外装部30から離脱させた後、図4に示すように被覆体60の全面を覆っている保護体70を剥離して被覆体60から取り外す。この際、例えば剥離操作片72を摘みながら保護体70をスムーズに剥離できるので、剥離操作性に優れ、使い易い。
【0041】
そして、保護体70を取り除いた後、図5に示すように、容器体2を傾けて該容器体2内の内容物を、連通路Rを通じて連通開口45から流出させる。これにより、連通開口45から流出する内容物によって被覆体60が押圧され、被覆体60の非固着部63が天壁部44の上面から離間する上側に向けて例えば反転変形して、上側に凸となるドーム状に膨出する。このため、被覆体60と天壁部44の上面との間に連通開口45に連通する流路R1が画成されると共に、固着部61の開口部分に形成された吐出口62が画成される。従って、連通開口45から流出した内容物を、上記流路R1を通じて吐出口62から吐出させることができる。
【0042】
また、内容物の吐出を停止する際には、図6に示すように、容器体2を元の正立姿勢に戻して連通開口45からの内容物の流出を停止させる。これにより、被覆体60に付与されていた内容物からの押圧力が解除され、天壁部44の上面から離間していた被覆体60の非固着部63が例えば弾性や容器体2の内圧(負圧)によって元の状態に復元されて天壁部44の上面に密接する。これにより、上記吐出口62及び流路R1が閉塞されると共に連通開口45がシールされて、容器体2の密閉性を確保することができる。
【0043】
なお、本実施形態の容器体2はデラミボトルであるので、内容物の吐出によって内容器11が減容変形し、内容器11と外容器10との間に負圧が発生する。すると、図6の矢印に示すように、外部から外気流入路54に外気が流入され、この外気が吸気孔16から内容器11と外容器10との間に吸入される。
従って、吐出容器1から内容物を吐出した後は、内容器11が外容器10から剥離して両者の間に隙間空間E3が画成される。そのため、内容器11を減容変形させたまま、外容器10をスムーズに復元変形させることができる。
【0044】
ところで、製品輸送時や流通時等の未開封状態では、図1から図3に示すように、被覆体60の上面に該被覆体60の全面に亘って保護体70が被覆されており、保護体70の剛性により被覆体60を変形し難くさせている。従って、例えば吐出容器1が倒れる等して、オーバーキャップ4の外れやガタツキ等が生じたうえで容器体2内の内容物が連通開口45に流出してしまったとしても、被覆体60の非固着部63の全体がこの流出した内容物による押圧によって天壁部44の上面から離間してしまうことを防ぐことができる。これにより、流路R1及び吐出口62が画成されてしまうことを防ぐことができ、連通開口45に流出した内容物が外部に漏出してしまうことを抑制することができる。
【0045】
このように、本実施形態の吐出容器1によれば、未開封状態における内容物の漏出を抑制することができ、製品信頼性を高めることができる。
しかも、未開封状態では、オーバーキャップ4に形成された2つの押付板83、84が保護体70を介して被覆体60を天壁部44の上面に押し付けている。特に、一方の押付板83が、連通開口45と吐出口62との間において保護体70を介して被覆体60の非固着部63を天壁部44の上面に押し付けているので、より一層内容物が外部に漏出してしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、吐出容器1を使用して内容物の吐出が終了した場合であっても、オーバーキャップ4を外装部30に装着させることで、2つの押付板83、84を利用して被覆体60を天壁部44の上面に押し付けることができる。従って、保護体70を取り外した後であっても、これら2つの押付板83、84を利用して内容物が漏出してしまうことを引き続き抑制することができる。
【0047】
更に、吐出容器1を使用するにあたって、オーバーキャップ4を外装部30から取り外した際、図2に示すように、被覆体60の上面に保護体70が被覆されていることで、製品が未開封状態であることを視覚によって容易且つ明確に認識することができる。この点においても、製品信頼性を高めることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、容器体2を傾けることで内容物を吐出させたが、傾けながら容器体2を径方向の内側に押し込んで圧搾(スクイズ変形)することで容器体2の内圧を上昇させ、内容物の吐出を促すようにしても構わない。更には、容器体2を傾けずに、容器体2をスクイズ変形させることで内容物を吐出させても構わない。
【0049】
また、上記実施形態において、容器体2内と連通開口45との間における内容物の連通及びその遮断を切り替える弁体を例えば内装部20の内筒部25の内側に設けても構わない。
【0050】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、容器体2を内容器11と外容器10とからなるデラミボトルとしたが、この場合に限られず、一般的な有底筒状の容器としても構わない。
また、オーバーキャップ4は外装部30にヒンジ部33を介して接続されているものとしたが、これに限られるものではなく、外装部30に着脱可能にアンダーカット嵌合された構成等を採用することもできる。さらにオーバーキャップ4はなくても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、天壁部44の先端部44a側が基端部44b側よりも上側に位置するように、天壁部44が容器軸Oに対して上向きに傾斜していたが、容器軸Oに対して平行に形成しても構わないし、天壁部44の先端部44a側が基端部44b側よりも下側に位置するように下向きに傾斜していても構わない。更に、天壁部44を凹曲面状としたが、平坦面形状や凸曲面状としても構わない。
【0053】
また、上記実施形態では、被覆体60の全面に亘って保護体70を剥離自在に被覆したが、この場合に限られず、被覆体60の非固着部63の上面のうち、少なくとも吐出口62が画成される固着部61の開口部分と連通開口45との間に位置する部分に被覆されていれば構わない。
こうすることで、何らかの理由により内容物が連通開口45から流出してしまったとしても、非固着部63のうち保護体70に覆われている部分が流出した内容物による押圧によって天壁部44から離間し難くなる。従って、流路R1が完全に画成されてしまうことを防ぐことができ、内容物の漏出を抑制することができる。
【0054】
また、上記実施形態において、図7及び図8に示すように被覆体60を径方向の外側から囲繞する囲繞部90を設け、該囲繞部90をさらに保護体70で上から覆うように構成しても構わない。
囲繞部90は、容易破断部91を介して被覆体60の周縁部に全周に亘って接続されている。図示の例では、容易破断部91はハーフカットによって形成された薄肉部とされている。但し、被覆体60の周縁部に沿って間欠的に形成されるミシン目であっても構わない。
【0055】
保護体70は、被覆体60及び囲繞部90の全体を覆うように形成されており、これら被覆体60及び囲繞部90のそれぞれに対して剥離層71を介して剥離自在に被覆されている。なお、図示の例では、囲繞部90の下面にも固着部61が形成されている場合を例にしているが、囲繞部90の下面には固着部61を形成しなくても構わない。また、囲繞部90の下面に固着部61を形成した場合には、該固着部61を例えば加熱によって粘着性を発現するものを利用し、被覆体60と天壁部44aとの間に介在する固着部61を加熱によって適宜粘着性を発現させ、囲繞部90の下面に形成された固着部61については粘着性を発現させなければ良い。
【0056】
上記のように囲繞部90を設けた場合には、囲繞部90が容易破断部91を介して被覆体60に接続されているので、未開封状態において、例えば保護体70に外力が作用したとしても、囲繞部90が存在することにより保護体70をより剥がれ難くすることができる。
一方、保護体70を剥離する場合には、容易破断部91を僅かな力で破断できるので、囲繞部90を被覆体60から切り離しながら、これと同時に保護体70の剥離をスムーズに行うことができる。
【0057】
なお、図示の例では、保護体70が剥離層71を介して剥離自在に囲繞部90に被覆されている場合を示したが、保護体70と囲繞部90とを固着させて一体化しても構わない。この場合には、保護体70の剥離操作片72の下面に囲繞部90を形成する必要がない。また、囲繞部90と保護体70とを別部材にしたが、両者を一体的に形成しても構わない。
【符号の説明】
【0058】
1…吐出容器
2…容器体
2a…容器体の口部
3…吐出体
44…天壁部
45…連通開口
60…被覆体
61…被覆体の固着部
63…被覆体の非固着部
70…保護体
72…剥離操作片
90…囲繞部
91…容易破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器体と、
該容器体の口部に装着されると共に、容器体の内部に連通する連通開口が形成された天壁部を有する吐出体と、
前記天壁部の上面に被覆され、前記連通開口を覆う被覆体と、を備え、
前記被覆体は、前記連通開口を囲繞すると共に少なくとも周方向の一部分が開口した固着部を介して前記天壁部の上面に固着され、
前記被覆体のうちの前記固着部の内側に位置する非固着部が、前記天壁部の上面に離間可能に密接して前記連通開口を開閉可能にシールし、
前記非固着部の上面のうち、少なくとも前記固着部の開口位置と前記連通開口との間に位置する部分には、前記被覆体よりも剛性が高い保護体が剥離自在に被覆されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記保護体は、前記被覆体の全面に亘って被覆されていると共に、該被覆体よりも径方向外側に突出する剥離操作片を有していることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器において、
前記被覆体を径方向の外側から囲繞する環状の囲繞部を備え、
該囲繞部は、容易破断部を介して前記被覆体の周縁部に全周に亘って接続され、
前記保護体は、前記囲繞部の上面に被覆されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−126445(P2012−126445A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281809(P2010−281809)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】