説明

吐水装置

【課題】節水と水流のボリューム感を確保しながら、激しい水跳ねを防止することができる吐水装置を提供する。
【解決手段】本発明は、水道から供給された水を吐水させる吐水装置(10)であって、吐水装置本体(14)と、この吐水装置本体の内部に形成され、水道に接続された給水管路(14a)と、泡沫状の空気を含んだ、幅広に分布する泡沫シャワー吐水を形成するように、給水管路に連通して設けられた泡沫シャワー吐水部(20)と、この泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に分布するように配列された吐水口を備え、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆うように、泡沫シャワー吐水よりも細い線状の整流シャワー吐水を形成する整流シャワー吐水部(22)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐水装置に関し、特に、水道から供給された水を吐水させる吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実開平5−30257号公報(特許文献1)には、流し台の水栓装置が記載されている。この水栓装置は、一列に並べられた多数の噴水口を有し、この多数の噴水口から吐出される滝状のシャワー吐水を形成している。このように、幅広滝状のシャワー吐水により、大きな洗い物でも手数をかけずに容易に洗うことを可能にしている。
【0003】
【特許文献1】実開平5−30257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実開平5−30257号公報記載の水栓装置のように、幅広滝状のシャワー吐水を形成するために、大量の水道水が消費されてしまうという問題がある。水道水の消費量を減少させるには各噴水口の孔径を絞ることが考えられるが、小径の噴水口から吐出されるシャワー吐水では水流にボリューム感が乏しく、手を洗う際等の使用感が悪くなるという問題がある。
【0005】
一方、水流のボリューム感を確保しながら節水を行う技術として、水流の中に空気の泡を混入させながら吐水させる泡沫吐水が知られている。しかしながら、泡沫吐水をシャワー状のものに用いると、空気を含む容積が小さいため、水流中の空気の泡は吐水口から吐出されるとすぐに抜け出てしまい、洗面ボウルや流し台のシンクに流下したとき激しい水跳ねを起こすという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、節水と水流のボリューム感を確保しながら、激しい水跳ねを防止することができる吐水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、水道から供給された水を吐水させる吐水装置であって、吐水装置本体と、この吐水装置本体の内部に形成され、水道に接続された給水管路と、泡沫状の空気を含んだ、幅広に分布する泡沫シャワー吐水を形成するように、給水管路に連通して設けられた泡沫シャワー吐水部と、この泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に分布するように配列された吐水口を備え、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆うように、泡沫シャワー吐水よりも細い線状の整流シャワー吐水を形成する整流シャワー吐水部と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、水道から供給された水は、吐水装置本体の内部に形成された給水管路を通って泡沫シャワー吐水部に到達し、幅広に分布する線状の泡沫シャワー吐水が形成される。また、泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に分布するように配列された吐水口を備えた整流シャワー吐水部は、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆うように、泡沫シャワー吐水よりも細い線状の整流シャワー吐水を形成する。
【0009】
このように構成された本発明によれば、幅広に分布する泡沫シャワー吐水により水流のボリューム感を確保すると共に、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆うように泡沫シャワー吐水よりも細い線状の整流シャワー吐水が形成されているので、細い線状であって水跳ねの少ない整流シャワー吐水により、泡沫シャワー吐水から空気が抜けて洗面ボウル等に流下したときに生じる水跳ねが使用者の側へ飛び散るのを防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、泡沫シャワー吐水部の後方に設けられ、泡沫シャワー吐水に光を照射する照明手段を有する。
このように構成された本発明によれば、照明手段から照射された光が、泡沫シャワー吐水により乱反射されるので、幅方向に亘って均等に光る吐水を得ることができ、吐水を意匠性に優れたものにすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、泡沫シャワー吐水部は、幅広に分布する多数の小径吐水口が形成された細流吐水部と、この細流吐水部の小径吐水口から吐出された複数の線状の流れを合流させることにより空気を巻き込んで泡沫シャワー吐水を形成する泡沫形成手段と、を有し、整流シャワー吐水部は、細流吐水部から吐出された線状の流れをそのまま吐出させることにより整流シャワー吐水を形成する。
【0012】
このように構成された本発明によれば、細流吐水部の小径吐水口からの吐水に基づいて、泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水を形成することができる。また、各小径吐水口の口径を同一に形成した場合には、泡沫シャワー吐水部及び整流シャワー吐水部から偏りなく均一に吐水させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、細流吐水部の小径吐水口は、金属プレートにエッチング加工を施すことにより形成されている。
このように構成された本発明によれば、小径吐水口を容易に形成することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、さらに、金属プレートと吐水装置本体との間に配置された金属プレート用パッキンと、金属プレートを金属プレート用パッキンに押し付ける押し当て部材と、を有する。
このように構成された本発明によれば、金属プレートと吐水装置本体の間の水密性を、簡単な構造により確保することができる。
【0015】
また、本発明は、水道から供給された水を吐水させる吐水装置であって、吐水装置本体と、この吐水装置本体の内部に形成され、水道に接続された給水管路と、この給水管路から供給された水を吐出させる多数の小径吐水口が形成された細流吐水部、及びこの細流吐水部の小径吐水口から吐出された複数の線状の流れを合流させることにより空気を巻き込んで泡沫シャワー吐水を形成する泡沫形成手段を備えた泡沫シャワー吐水部と、この泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に位置するように配置され、細流吐水部から吐出された線状の流れをそのまま吐出させ、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆う整流シャワー吐水を形成する整流シャワー吐水部と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の吐水装置によれば、節水と水流のボリューム感を確保しながら、激しい水跳ねを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、図1乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態による吐水装置を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による吐水装置が組み込まれた洗面台全体を示す斜視図である。図2は、洗面台に組み込まれた本実施形態による吐水装置の断面図である。図3は、本実施形態による吐水装置の下面図である。また、図4は、本実施形態による吐水装置の分解斜視図である。
【0018】
図1に示すように、洗面台1は、洗面ボウル2と、この洗面ボウル2の上方に、洗面ボウル2の後壁面Wから突出するように設けられた棚部4と、この棚部4の下面に取り付けられた水栓装置6と、を有する。また、水栓装置6は、シングルレバー水栓8と、水栓装置6のほぼ中央に設けられた本発明の第1実施形態による吐水装置10と、を有する。
【0019】
水栓装置6は、シングルレバー水栓8のレバーを操作することにより、吐水装置10から吐出される湯水の流量及び温度を調整することができるように構成されている。また、吐水装置10は、その吐水部から前方斜め下方に向けて、洗面ボウル2内に吐水を行うように構成されている。さらに、吐水部の下側の後方には、照明手段であるLED照明12が設けられており、吐出された水流に光を照射するようになっている。なお、本明細書においては、吐水装置10に対し、後壁面Wの側を後方、その反対側を前方と呼んでいる。
【0020】
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態による吐水装置10の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、本実施形態の吐水装置10は、LED照明12と、吐水装置本体14と、この吐水装置本体14の先端部に設けられた凹部14bに受け入れられた細流吐水部16と、この細流吐水部16を覆うように凹部14bに嵌め込まれる吐水部形成部材18と、を有する。本実施形態の吐水装置10は、吐水部形成部材18の中央部からは泡沫状の空気を含んだ泡沫シャワー吐水がなされ、この泡沫シャワー吐水の周囲からは、泡沫シャワー吐水を取り囲むように整流シャワー吐水がなされるように構成されている。従って、吐水部形成部材18の中央部は泡沫シャワー吐水部20として機能し、その周囲の部分は整流シャワー吐水部22として機能する。
【0021】
LED照明12は、吐水装置本体14の下方、泡沫シャワー吐水部20の後方に配置されており、泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水に光を照射するように構成されている。
吐水装置本体14は、その内部に概ね水平方向に延びる給水管路14aが形成されている。また、吐水装置本体14の先端部には、前方、斜め下方に向けて開口した凹部14bが給水管路14aに連通するように形成されており、この凹部14bには、細流吐水部16が受け入れられている。さらに、給水管路14aは、シングルレバー水栓8を介して水道及び給湯装置(図示せず)に接続されている。
【0022】
細流吐水部16は、図4に示すように、概ね小判型の散水板部16aと、その周囲に形成された周縁部16bから形成されている。また、散水板部16aには、多数の小径吐水口16c、16dが幅広に分布するように形成されている。本実施形態においては、これらの小径吐水口は全て同一直径に形成されているが、周縁部に形成されている小径吐水口16cは、比較的高い密度で分布し、直線状に配列されており、小径吐水口16cに取り囲まれるように形成された小径吐水口16dは、比較的大きな間隔で分布している。後述するように、小径吐水口16cから吐出された線状の流れはそのまま整流シャワー吐水を形成し、小径吐水口16dから吐出された湯水は、泡沫シャワー吐水にされる。さらに、散水板部16aの周囲には隆起縁部16eが形成されており、この隆起縁部16eの一部には、切欠部16fが形成されている。吐水時においては、この切欠部16fを介して空気が吸い込まれて泡沫状にされ、泡沫シャワー吐水中に混入される。
【0023】
吐水部形成部材18は、図4に示すように、吐水装置本体14に固定されるフランジ部18aと、このフランジ部18aの裏側に形成された細流吐水部受入部18bと、フランジ部18aの表側に形成されたヘッド部18cから形成されている。フランジ部18aは、2本のビス24により、吐水装置本体14に固定される概ね小判型のプレートである。また、細流吐水部受入部18bは、細流吐水部16の側面を取り囲むように形成されている。細流吐水部受入部18bと細流吐水部16の周縁部16bの間には環状のパッキン26が配置され、両部材の間の水密性を確保している。さらに、細流吐水部受入部18bは、吐水装置本体14の凹部14bに受け入れられており、これらの間に配置された環状のパッキン28により、水密性が確保されている。
【0024】
ヘッド部18cは、フランジ部18aの表側に形成された直方体状の部分であり、直線状の長穴である4本のシャワー通路18dと、これらのシャワー通路18dに囲まれるように配置された泡沫形成手段である複数の泡沫形成ノズル18eが形成されている。また、フランジ部18aの一方の端には切欠部18fが形成されている。さらに、周縁部16bに面した部分には、切欠部18fに隣接するように吸気穴18g(図2)が形成されている。吐水時においては、切欠部18f、吸気穴18g、及び細流吐水部16の切欠部16fを通って空気が吸い込まれ、泡沫状にされ、泡沫シャワー吐水中に混入される。
【0025】
4本のシャワー通路18dは、各々直線状の長穴であり、長方形を形成するように配置されている。各シャワー通路18dは、細流吐水部16の散水板部16aに形成された小径吐水口16cと整合するように位置決めされている。このため、小径吐水口16cから吐出された多数の線状の水流は、シャワー通路18dを通ってそのまま整流シャワー吐水される。
【0026】
各泡沫形成ノズル18eは、図2に示すように、概ね円錐状の入口部と、この入口部と連続して形成された円筒部から形成されている。泡沫形成ノズル18eは、その直径が細流吐水部16の小径吐水口16dよりも大きく形成されており、円錐状の入口部が、夫々複数の小径吐水口16dと整合するように配置されている。本実施形態においては、各泡沫形成ノズル18eは、夫々3つの小径吐水口16dと整合するように形成されている。
【0027】
次に、本発明の第1実施形態による吐水装置10の作用を説明する。
まず、吐水装置10の使用者が、シングルレバー水栓8のレバーを後方に向かって操作すると、シングルレバー水栓8が開放され、水道及び給湯器(図示せず)からの湯水が、吐水装置10に供給される。吐水装置10に供給された湯水は、吐水装置本体14の給水管路14aに流入し、凹部14bに到達する。凹部14bに流入した湯水は、細流吐水部16に形成された小径吐水口16c、16dから吐出される。ここで、各小径吐水口16c、16dは、ほぼ同一の直径に形成されているので、各小径吐水口から偏ることなく、ほぼ同一の水勢で湯水が吐出される。
【0028】
シャワー通路18dと整合するように形成された各小径吐水口16cから吐出された湯水は、そのままシャワー通路18dを通過して、整流シャワー吐水として吐出される。一方、各泡沫形成ノズル18eと整合するように形成された小径吐水口16dから吐出された湯水は、3つの小径吐水口16dから吐出された線状の流れが、1つの泡沫形成ノズル18eの入口部壁面に衝突しながら流入して合流される。この際、エジェクター効果により切欠部18f、吸気穴18g、及び切欠部16fを介して空気が吸入され、流入した空気が巻き込まれて泡沫状にされる。泡沫状の空気が混入された湯水は、泡沫形成ノズル18eから泡沫シャワー吐水として吐出される。ここで、泡沫シャワー吐水は3つの小径吐水口16dから吐出された線状の流れが合流されたものであるため、泡沫シャワー吐水の各線状の流れは、整流シャワー吐水の各線状流れよりも太くなっている。
【0029】
これにより、幅広の滝状に分布する泡沫シャワー吐水を取り囲むように整流シャワー吐水が形成される。泡沫シャワー吐水に混入された泡沫状の空気は、吐水が洗面ボウル2に流下するまでには水流から抜け出ている。しかしながら、泡沫シャワー吐水の周囲には細い線状の整流シャワー吐水が形成されているので、泡沫シャワー吐水が洗面ボウル2に衝突した際に生じる水跳ねは周囲の整流シャワー吐水により遮断され、外部への飛散が防止される。
【0030】
泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水の吐水の流量は、シングルレバー水栓8のレバーを前後方向に回動操作することにより変化される。また、シングルレバー水栓8のレバーを左右方向に回動操作することにより吐出される湯水の温度が調節される。さらに、使用者が照明スイッチ(図示せず)を操作すると、LED照明12が点灯され、泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水に後方から光が照射される。泡沫シャワー吐水に照射された光は乱反射され、幅方向に亘って均等に光る吐水が実現され、意匠性に優れたものとなる。
【0031】
本発明の第1実施形態の吐水装置によれば、幅広に分布する泡沫シャワー吐水により水流のボリューム感を確保すると共に、泡沫シャワー吐水の周囲を取り囲むように整流シャワー吐水が形成されているので、激しい水跳ねが整流シャワー吐水の外部に飛散するのを防止することができる。
【0032】
また、本実施形態の吐水装置によれば、LED照明から照射された光が、泡沫シャワー吐水により乱反射されるので、幅方向に亘って均等に光る吐水を得ることができ、吐水を意匠性に優れたものにすることができる。
【0033】
さらに、本実施形態の吐水装置によれば、細流吐水部の小径吐水口からの吐水に基づいて、泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水を形成することができる。また、各小径吐水口の口径が同一に形成されているので、泡沫シャワー吐水部及び整流シャワー吐水部から偏りなく均一に吐水させることができる。
【0034】
また、上述した実施形態においては、整流シャワー吐水は、泡沫シャワー吐水の周囲を取り囲むように形成されていたが、少なくとも前方のみに整流シャワー吐水が形成されるように吐水装置を構成することもできる。即ち、整流シャワー吐水の吐水口を、泡沫シャワー吐水部の前方に分布するように配列しておき、泡沫シャワー吐水の少なくとも前方が整流シャワー吐水によって覆われるように構成することができる。これにより、吐水装置の使用者の側への水跳ねを防止することができる。
【0035】
次に、図5乃至図7を参照して、本発明の第2実施形態による吐水装置を説明する。本実施形態の吐水装置は、主に、細流吐水部の構成が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の点については説明を省略する。図5は、本実施形態の吐水装置を斜め下方から見た斜視図である。図6は、本実施形態の吐水装置の断面図である。また、図7は、本実施形態の吐水装置の分解斜視図である。
【0036】
図5乃至図7に示すように、本実施形態の吐水装置110は、吐水装置本体114と、細流吐水部116と、吐水部形成部材118と、吐水装置本体114と細流吐水部116の間に配置された金属プレート用パッキン126と、細流吐水部116と吐水部形成部材118の間に配置されたスペーサー128と、吐水装置本体114に固定される押し当て部材130と、を有する。本実施形態の吐水装置110は、吐水部形成部材118の中央部からは泡沫状の空気を含んだ泡沫シャワー吐水がなされ、この泡沫シャワー吐水の周囲からは、泡沫シャワー吐水を取り囲むように整流シャワー吐水がなされるように構成されている。従って、吐水部形成部材118の中央部は泡沫シャワー吐水部120として機能し、その周囲の部分は整流シャワー吐水部122として機能する。
【0037】
吐水装置本体114は、その内部に給水管路114aが形成されており、その先端部には、凹部114bが形成されている。この凹部114bには、金属プレート用パッキン126、細流吐水部116、スペーサー128、吐水部形成部材118が、この順序で収容されている。これらの部材を凹部114b内に配置した後、押し当て部材130を2本のビス124により吐水装置本体114に固定することにより、各部材が適所に取り付けられる。
【0038】
細流吐水部116は、図7に示すように、長方形状の薄い金属プレートにより構成されている。また、この金属プレートには、エッチング加工により多数の小径吐水口116c、116dが幅広に分布するように形成されている。本実施形態においては、細流吐水部116はステンレス製の薄板であり、小径吐水口は全て同一直径に形成されている。また、長方形の中央部に分布するように形成された小径吐水口116dは比較的大きな間隔で分布し、これを取り囲むように長方形状に分布する小径吐水口116cは、比較的高い密度で分布している。小径吐水口116cから吐出された線状の流れはそのまま整流シャワー吐水を形成し、小径吐水口116dから吐出された湯水は、泡沫シャワー吐水にされる。
【0039】
吐水部形成部材118は、図7に示すように、長方形の比較的厚いプラスチック製の板であり、直線状の長穴である4本のシャワー通路118dと、これらのシャワー通路118dに囲まれるように配置された泡沫形成手段である複数の泡沫形成ノズル118eが形成されている。また、吐水部形成部材118の一方の端には切欠部118fが形成されている。吐水時においては、この切欠部118fを通って空気が吸い込まれ、泡沫状にされ、泡沫シャワー吐水中に混入される。
【0040】
4本のシャワー通路118dは、各々直線状の長穴であり、長方形を形成するように配置されている。各シャワー通路118dは、細流吐水部116に形成された小径吐水口116cと整合するように位置決めされている。このため、小径吐水口116cから吐出された多数の線状の水流は、シャワー通路118dを通ってそのまま整流シャワー吐水される。
【0041】
各泡沫形成ノズル118eは、図6に示すように、概ね円錐状の入口部と、この入口部と連続して形成された円筒部から形成されている。泡沫形成ノズル118eは、その直径が細流吐水部116の小径吐水口116dよりも大きく形成されており、円錐状の入口部が、夫々複数の小径吐水口116dと整合するように配置されている。本実施形態においては、各泡沫形成ノズル118eは、夫々2つの小径吐水口116dと整合するように形成されている。
【0042】
金属プレート用パッキン126は、図7に示すように、長方形の枠状のパッキンであり、吐水装置本体114の凹部114bと細流吐水部116の間に挟まれて、これらの間の水密性を確保するように構成されている。
【0043】
スペーサー128は、一辺が開放された長方形枠状の部材であり、細流吐水部116と吐水部形成部材118の間に隙間を形成するように構成されている。長方形枠の開放された部分は、吐水部形成部材118の切欠部118fに隣接するように配置され、吐水時においては、この開放された部分を通って空気が吸い込まれる。
【0044】
押し当て部材130は、中央に長方形の開口130aが形成された概ね長方形の板であり、2本のビス124により吐水装置本体114の底面に固定されている。これにより、細流吐水部116が金属プレート用パッキン126に押し付けられ、金属プレート用パッキン126は、吐水装置本体114の凹部114bの底面に押し付けられる。また、吐水部形成部材118を通過した泡沫シャワー吐水及び整流シャワー吐水は、開口130aを通って吐出される。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態による吐水装置110の作用を説明する。
まず、水道及び給湯器(図示せず)から湯水が供給され、供給された湯水は、吐水装置本体114の給水管路114aに流入し、凹部114bに到達する。凹部114bに流入した湯水は、細流吐水部116に形成された小径吐水口116c、116dから吐出される。
【0046】
シャワー通路118dと整合する各小径吐水口116cから吐出された湯水は、そのまま整流シャワー吐水として吐出される。一方、各泡沫形成ノズル118eと整合するように形成された小径吐水口116dから吐出された湯水は、2つの小径吐水口116dから吐出された線状の流れが、1つの泡沫形成ノズル118eに流入して合流される。この際、切欠部118f及びスペーサー128の開放部を介して空気が吸入され、流入した空気が巻き込まれて泡沫状にされる。泡沫状の空気が混入された湯水は、泡沫形成ノズル118eから泡沫シャワー吐水として吐出される。
【0047】
これにより、幅広の滝状に分布する泡沫シャワー吐水を取り囲むように整流シャワー吐水が形成され、泡沫シャワー吐水が洗面ボウル2に衝突した際に生じる水跳ねは周囲の整流シャワー吐水により遮断され、外部への飛散が防止される。
【0048】
本発明の第2実施形態の吐水装置によれば、細流吐水部が金属プレートにより構成され、その小径吐水口が金属プレートにエッチング加工を施すことにより形成されているので、口径の小さい吐水口を容易に形成することができる。
【0049】
また、本実施形態の吐水装置によれば、金属プレートと吐水装置本体の間に金属プレート用パッキンが配置され、押し当て部材により金属プレートが金属プレート用パッキンに押し付けられているので、薄い金属プレートに対しても簡単な構造により水密性を確保することができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、照明手段としてLED照明が使用されていたが、白熱電球、蛍光灯等、任意の照明を照明手段として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態による吐水装置が組み込まれた洗面台全体を示す斜視図である。
【図2】洗面台に組み込まれた吐水装置の断面図である。
【図3】吐水装置の下面図である。
【図4】吐水装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態による吐水装置を斜め下方から見た斜視図である。
【図6】吐水装置の断面図である。
【図7】吐水装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 本発明の第1実施形態による吐水装置が組み込まれた洗面台
2 洗面ボウル
4 棚部
6 水栓装置
8 シングルレバー水栓
10 本発明の第1実施形態による吐水装置
12 LED照明(照明手段)
14 吐水装置本体
14a 給水管路
14b 凹部
16 細流吐水部
16a 散水板部
16b 周縁部
16c、16d 小径吐水口
16e 隆起縁部
16f 切欠部
18 吐水部形成部材
18a フランジ部
18b 細流吐水部受入部
18c ヘッド部
18d シャワー通路
18e 泡沫形成ノズル(泡沫形成手段)
20 泡沫シャワー吐水部
22 整流シャワー吐水部
24 ビス
26 パッキン
28 パッキン
110 本発明の第2実施形態の吐水装置
114 吐水装置本体
114a 給水管路
114b 凹部
116 細流吐水部(金属プレート)
116c、116d 小径吐水口
118 吐水部形成部材
118d シャワー通路
118e 泡沫形成ノズル
118f 切欠部
120 泡沫シャワー吐水部
122 整流シャワー吐水部
124 ビス
126 金属プレート用パッキン
128 スペーサー
130 押し当て部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道から供給された水を吐水させる吐水装置であって、
吐水装置本体と、
この吐水装置本体の内部に形成され、上記水道に接続された給水管路と、
泡沫状の空気を含んだ、幅広に分布する泡沫シャワー吐水を形成するように、上記給水管路に連通して設けられた泡沫シャワー吐水部と、
この泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に分布するように配列された吐水口を備え、上記泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆うように、上記泡沫シャワー吐水よりも細い線状の整流シャワー吐水を形成する整流シャワー吐水部と、
を有することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
さらに、上記泡沫シャワー吐水部の後方に設けられ、上記泡沫シャワー吐水に光を照射する照明手段を有する請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
上記泡沫シャワー吐水部は、幅広に分布する多数の小径吐水口が形成された細流吐水部と、この細流吐水部の上記小径吐水口から吐出された複数の線状の流れを合流させることにより空気を巻き込んで上記泡沫シャワー吐水を形成する泡沫形成手段と、を有し、上記整流シャワー吐水部は、上記細流吐水部から吐出された上記線状の流れをそのまま吐出させることにより上記整流シャワー吐水を形成する請求項1又は2記載の吐水装置。
【請求項4】
上記細流吐水部の上記小径吐水口は、金属プレートにエッチング加工を施すことにより形成されている請求項3記載の吐水装置。
【請求項5】
さらに、上記金属プレートと上記吐水装置本体との間に配置された金属プレート用パッキンと、上記金属プレートを上記金属プレート用パッキンに押し付ける押し当て部材と、を有する請求項4記載の吐水装置。
【請求項6】
水道から供給された水を吐水させる吐水装置であって、
吐水装置本体と、
この吐水装置本体の内部に形成され、上記水道に接続された給水管路と、
この給水管路から供給された水を吐出させる多数の小径吐水口が形成された細流吐水部、及びこの細流吐水部の上記小径吐水口から吐出された複数の線状の流れを合流させることにより空気を巻き込んで泡沫シャワー吐水を形成する泡沫形成手段を備えた泡沫シャワー吐水部と、
この泡沫シャワー吐水部の少なくとも前方に位置するように配置され、上記細流吐水部から吐出された線状の流れをそのまま吐出させ、上記泡沫シャワー吐水の少なくとも前方を覆う整流シャワー吐水を形成する整流シャワー吐水部と、
を有することを特徴とする吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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