説明

向上した洗浄効率を有するアルカリ性の殺菌および洗浄組成物

【課題】硬い表面、特に食品工業及び病院セクターにおける器具及び作業表面のためのアルカリ性の殺菌及び洗浄組成物を提供する。
【解決手段】a)1ないし50重量%の式[R1R2R3(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は同一または異なり、O、S、NおよびPから選択される1以上の原子を有していてもよいC1ないしC30アルキル、C1ないしC30アルケニル及び混合基から選択される)の1以上の第4級アンモニウム塩と、b)0.5ないし15重量%以上のC9ないしC13アルコールアルコキシレートと、c)1ないし30重量%の1以上のアルキルアミンとを含む濃縮物。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、硬い表面、特に食品工業および病院セクターにおける器具および作業表面のための、アルカリ性の殺菌および洗浄組成物に関する。本発明はさらに、脂肪性の汚染および血液を除去するための、ならびにリステリア菌およびサルモネラ菌を駆除するための組成物の使用に関する。
【0002】
食品工業および病院セクターにおける器具および作業表面のための、アルカリ性の殺菌および洗浄組成物は知られている。たとえば、ベンズアルコニウムクロリド、フェノキシプロパノールおよびアルキルアミンをベースとする市販製品があり、これは良好な微生物学的活性を示すが、わずかに満足な洗浄能力しか示さない。しかし、良好なアルカリ性の殺菌および洗浄組成物は、
−非常に良好な殺菌活性および高い洗浄効率を示し、容易にリンスすることができる、
−脂肪質の汚染または残渣および血液を除去する、
−殺細菌、殺真菌および殺ウイルス活性であり、特にサルモネラ菌およびリステリア菌に対しても活性である、
−低温(たとえば約10℃)でも高度に汚染された区域でも活性である、および
−使用後および水でのリンス後に、全く残渣を残してはならないまたは実質的に残渣を残してはならない、
という必要がある。
【0003】
本発明の目的は、希釈したすぐに使える溶液として、良好な洗浄活性および良好な殺菌活性を示し、濃縮物として調製でき、さらに上述した要求にも合致する、アルカリ性の組成物を提供することであった。
【0004】
驚くべきことに、この目的は、濃縮物の形態のアルカリ性の殺菌および洗浄組成物であって、
a)1ないし50重量%の式[R123(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は同一または異なり、O、S、NおよびPから選択される1以上の原子を有していてもよいC1ないしC30アルキル、C1ないしC30アルケニルおよび混合基から選択される)の1以上の第4級アンモニウム塩と、
b)0.5ないし15重量%の1以上のC9ないしC13アルコールアルコキシレートと、
c)1ないし30重量%の1以上のアルキルアミンと
を含む濃縮物によって達成されることがわかった。
4級アンモニウム塩
本発明により用いられる4級アンモニウム塩は、式[R123(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は同一または異なり、O、S、NおよびPから選択される1以上の原子を有していてもよいC1ないしC30アルキル、C1ないしC30アルケニルおよび混合基から選択され、R1ないしR3は、たとえば、C8ないしC14アルキルまたはメチル、好ましくはC9ないしC12アルキルまたはメチル、たとえばC10アルキルまたはメチルである。Xは(無機酸または有機酸の)アニオンである。4級アンモニウム塩のアニオンだけでなくカチオンも多価イオンでよく、化学量論[A(n+)m[A(m+)nを示す。
【0005】
本発明により好ましく用いられる第4級アンモニウム塩は、式[R1N(CH33+[X]-、[R12N(CH32+[X]-および[R123(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は互いに独立にC8ないしC14アルキルおよび−(CH2−CHR4O)n−R5から選択され、nは1ないし20、好ましくは1ないし5の整数であり、R4およびR5は同一または異なっていてもよくHおよび/またはC1ないしC4アルキル、好ましくはHである)の化合物である。
【0006】
本発明によれば、好適な第4級アンモニウム塩は従来技術において知られている上述した式の全ての第4級アンモニウム塩であり、たとえばWO 00/63337に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。しかし、好ましくはジアルキルジメチルアンモニウム塩が用いられ、たとえばジアルキルジメチルアンモニウムクロリドであり、そのアルキル鎖は互いに独立に、C8ないしC14アルキル、好ましくはC9ないしC12アルキル、たとえばC10アルキルから選択される。ジアルキルジメチルアンモニウム塩において、メチル基の1つはアルコキシル化たとえばエトキシ化したヒドロメチル基であってもよく、たとえば1ないし5EO基を有するジアルキル(ポリ(オキシエチル)メチル)メチルアンモニウム塩であり、そのアルキル基はデシル基であり、その中にプロピオネートがアニオンとして存在している。これはLonzaからBardac26(登録商標)として入手できる。
【0007】
本発明に用いられる第4級アンモニウム塩の代表的なアニオンおよびアニオン類は、ヒドロキシド、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、メトスルフェート、エトスルフェート、ラウリルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート、セルローススルフェート、スルファメート、ハライド(フルオリド、クロリド、ブロミド、アイオダイド)、ナイトライト、ナイトレート、ハイドロジェンカーボネート、ホスフェート、アルキルホスフェート、メタホスフェート、ポリホスフェート、チオシアネート(ローダニド)、カルボン酸塩たとえばベンゾエート、ラクテート、アセテート、プロピオネート、シトレート、スクシネート、グルタレート、アジペート、トルエンスルフォネート(トシレート)およびサリチレートである。特に好ましいアニオンはクロリドおよびプロピオネートである。
【0008】
好ましい第4級アンモニウム塩の例は、上述したジデシルメチルポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネート(Bardac(登録商標)26)およびジデシルジメチルアンモニウムクロリドである。特に好ましい第4級アンモニウム化合物は、Lonzaから約40%強度の水溶液としてBARDAC(登録商標)2240として得られるジデシルジメチルアンモニウムクロリドである。少量のアルコールに溶解した第4級アンモニウム化合物を含む市販製品を用いることもできる。たとえば、約50重量%のジデシルジメチルアンモニウムクロリドおよび19.5ないし24.5重量%のイソプロパノールを水溶液中に含むBARDAC(登録商標)22である。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は濃縮物の形態で2ないし30重量%、好ましくは5ないし25重量%、特に7.5ないし15重量%、たとえば約10重量%の第4級アンモニウム塩(または2種、3種、4種などの第4級アンモニウム塩)を含む。本明細書における第4級アンモニウム塩の量は本発明によれば第4級アンモニウムクロリドとして示される。好ましい組成物はベンズアルコニウム化合物(たとえばベンズアルコニウムクロリド)を含まない。好ましい実施形態において、本発明は、第4級アンモニウム塩としてジアルキルジメチルアンモニウム塩(たとえばジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、特にジデシルジメチルアンモニウムクロリド)を含み、ベンズアルコニウムクロリドを含まない、アルカリ性の殺菌および洗浄組成物に関する。また、ジデシルジメチルアンモニウムクロリドに加えて、別の第4級アンモニウム塩を含まない組成物が好ましい。
【0010】
驚くべきことに、第4級アンモニウム化合物/アルキルアミンの系におけるベンズアルコニウムクロリドは脂肪質の汚れに対する洗浄効率に関して本発明により用いられる第4級アンモニウム塩よりかなり弱く、相応して、組成物がベンズアルコニウム化合物(特にベンズアルコニウムクロリド)を含まず第4級アンモニウム化合物として上述した第4級アンモニウム塩のみを含む場合には、脂肪質の汚れを除去するのに必要な第4級アンモニウム化合物の要求量はより少ない。
【0011】
9ないしC13アルコールアルコキシレート
本発明に用いられるC9ないしC13アルコールアルコキシレート(アルキルアルコールアルコキシレート)は非イオン性界面活性剤であり、濃縮物として第4級アンモニウム塩とアルキルアミンの混合物が均質で液体で透明な混合物であることを保証し、加えて、すぐに使える溶液を安定化する。好ましいアルコールアルコキシレートは、5ないし13のEO単位を有するアルコールエトキシレートであり、好ましくは5ないし12のEO単位、たとえば7ないし12のEO単位を有するC10ないしC13アルコールエトキシレートである。特に好ましいのはイソトリデカノール−12EO(たとえばMarlipal(登録商標)013/120)である。
【0012】
一般的には、非イオン性界面活性剤としてのアルコールアルコキシレートについて良好な洗浄効率が知られている。したがって、quat/アルキルアミンの系における洗浄効率が、例に示すように、比較的多量のアルコールアルコキシレートによって阻害されるということは驚くべきであった。
【0013】
本発明の濃度範囲の選択は殺菌活性および洗浄効率を保証し、また濃縮物の安定性およびすぐに使える溶液の安定性(均質性および透明性)も保証する。アルコールアルコキシレートは濃縮物中において好ましくは0.75ないし10重量%、より好ましくは1ないし8重量%、特に1.5ないし5重量%、たとえば2.5重量%で用いられる。しかし、好ましい実施形態において、濃縮物中のアルコールアルコキシレートの量は<7.5重量%、好ましくは<6重量%、より好ましくは<5重量%に限定される。
【0014】
アルキルアミン
本発明の組成物は1以上のアルキルアミンを含む。特に好ましいアミンはN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミン(Lonzabac 12.100)である。加えて、アルキルプロピレンジアミン(Genamin LAP 100 D(登録商標))が好適である。
【0015】
本発明の組成物は8.5ないし9.2のpHをもつ濃縮物として存在する。すぐに使える溶液においては、初期濃度(0.25ないし2体積%)に依存して、EURO規格に明示されているように標準化された硬度の水中で測定して、pHは8.0ないし8.7である。
【0016】
本発明の組成物は好ましくはアルデヒドフリーで、フェノールおよび/またはフェノール誘導体を含まず、および/または活性酸素化合物たとえば過酸化水素を含まない。加えて、本発明の組成物は、1以上の機能性添加剤、たとえば緩衝剤、洗浄向上剤、溶剤、ヒドロトロープ、腐食防止剤、錯化剤、臭気吸収剤、安定化剤、消泡剤、ケア成分およびpH補正剤、香料および染料を含んでいてもよい。しかし、本発明の組成物は、香料および/または染料と調合する必要はなく、したがって好ましくは香料および/または染料を含まない。
【0017】
特に好ましい濃縮物の形態の組成物は、
a)10ないし20重量%のジアルキルジメチルアンモニウム塩、たとえばジデシルジメチルアンモニウムジクロリドと、
b)1.5ないし5重量%の7ないし12のEO単位を有するC10ないしC13イソアルキルアルコールエトキシレートと、
c)1ないし30重量%のアルキルアミンと
を含むことを特徴とする。
さらに、本発明は、0.1ないし10体積%、好ましくは0.25ないし5体積%、たとえば2体積%の上述した濃縮物を含むすぐに使える水溶液の形態のアルカリ性の殺菌および洗浄組成物に関する。
【0018】
さらに、本発明は、特に食品工業および病院セクターにおける器具および作業表面から脂肪質の汚染および血液を除去するための、濃縮物またはすぐに使える水溶液の使用に関する。加えて、本発明は、細菌および真菌、特にサルモネラ菌およびリステリア菌を駆除するための、濃縮物またはすぐに使える水溶液の使用に関する。
【0019】
本発明の濃縮物は以下の利点がある。
【0020】
−濃縮物は、別の活性成分を含むベンズアルコニウムクロリド含有組成物と比較して、活性成分として比較的低含有量の第4級アンモニウム化合物を含む。したがって、(希釈した)すぐに使える水溶液の全活性成分含有量は同じ初期濃度の濃縮物について低く、このことはコストおよび環境面の利点をもたらし、一方で本発明の濃度の殺細菌および殺真菌活性は保持される。
【0021】
−これらの殺細菌および殺真菌活性は、同じ初期濃度のすぐに使える溶液中の濃縮物について、ベンズアルコニウムクロリドを含む以前に既知の濃縮物と比較して損なわれない。
【0022】
−これらは比較的少量の非イオン性界面活性剤(アルコールアルコキシレート)を用いて調製し透明な溶液を生成することができるが、同時に、すぐに使える水溶液を用いて優れた洗浄効率がやはり達成される。
【0023】
−これらは良好な貯蔵安定性を示す。
【0024】
これらの利点は、希釈したすぐに使える水溶液においても達成される。
【0025】

格別に記載していなければ、パーセンテージは重量%である。
【0026】
方法A 様々な試験汚損を用いる洗浄活性の測定
この方法は、様々な種類の試験汚損に対する溶液の静的および動的洗浄効率を測定するのに役立つ。この方法は、洗浄剤および殺菌組成物の洗浄効率を評価するのに特に好適である。汚損を与えた顕微鏡スライドを、その後、オプションで攪拌される溶液中にある時間保持する。
1.試験汚損:
1.1 ウシ血液:
脱線維素ウシ血液はFiebig-Naehrstoff-technikから入手可能である。量は顕微鏡スライドあたり10mgである。
【0027】
1.2 牛脂:
50gの牛脂を0.5gのFettrotで染色し、この牛脂を塗布前に溶融する。量は顕微鏡スライドあたり約25mgである。
【0028】
1.3 ラード:
50gのラードを0.02gのFettrotで染色する。ラードを塗布前に溶融する。量は顕微鏡スライドあたり約50mgである。
【0029】
1.4 卵黄(DIN44990、第2部に基づく):
100mlの卵黄の試験汚損を与えるために、約15個の卵を30分間20℃の温水中で温め、沸騰水中に4.5分間入れ、それから5分間20℃の温水中で冷却し、殻をむき、まだ液体の卵黄を取り出す。卵黄を、ねじふた付きガラス器の中に入れて冷凍庫で貯蔵する。量は顕微鏡スライドあたり約50mgである。
1.5 セモリナペースト:
100mlのセモリナペーストの試験汚損を与えるために、10gの脱脂粉乳、5gの砂糖、4gのバターおよび4gの硬質小麦セモリナを要する。脱脂粉乳を100mlの水道水に入れて攪拌する。粉乳の溶解後、砂糖とバターを加え、混合物を水浴中で沸騰させる。セモリナを沸騰液中で攪拌し、沸騰水浴中で20分間ときおり攪拌しながら加熱する。セモリナペーストの試験汚損をねじふた付きガラス器の中に入れて冷凍庫で貯蔵する。量は顕微鏡スライドあたり約20mgである。
2.手順:
ガラスの顕微鏡スライド(76×26mm)を、後の確認のため彫るか鉛筆を用いてラベルする。顕微鏡スライドをアセトン、石油エーテルおよび再び石油エーテルで連続的に洗浄し、その後に計量する。
洗浄した顕微鏡スライドをセルロースクロスで覆ったトレー上に互いに隣り合わせに置く。10mm幅の硬毛のブラシを試験汚損にディップし、容器の縁で軽くはき取る。ついで、均一な試験汚損層を頂部から底部への速い動きで塗布する。全側面上で少なくとも5mmの縁をそのままにしておいたほうがよい。室温での約1時間の初期乾燥時間の後、顕微鏡スライドを貯蔵ボックスに入れる。開放したボックスを、試料体の完全な乾燥のためにデシケーター中においてシリカゲル上で終夜保持する。その後、乾燥した試験汚損層を有する顕微鏡スライドをもう一度計量する。
2.1 静的洗浄試験
ガラスビーカー(100ml、細長タイプ)を約100mlの試験溶液で注意深く満たす。その間に溶液の表面を泡なしのままにするのがよい。顕微鏡スライドを、試験汚損層を上向きにして、ピンセットを用いて溶液に注意深く入れる。試験時間終了後、顕微鏡スライドをピンセットによって溶液から注意深く取り出し、脱塩水中に注意深く浸漬して傾けることによりリンスする。それから顕微鏡スライドを空気中で垂直にして乾燥し、約1時間の乾燥後、貯蔵ボックス中に入れる。開放した貯蔵ボックスをデシケーター中においてシリカゲル上で終夜保持してさらに乾燥する。その後、3回目の計量を行う。二重の測定を行うのがよい。
2.2 動的洗浄試験
ガラスビーカー(250ml、細長タイプ)を約200mlの試験溶液で満たし、マグネティックスターラーバー(直径30mm)を用意し、マグネティックスターラ上に置き、攪拌のコースが中心になるようにする。試験管チャンバによって保持した顕微鏡スライドを溶液に浸漬する。次いで、マグネティックスターラを起動する(約430rpm)。試験時間の終了後、顕微鏡スライドを溶液から取り出し、脱塩水中に注意深く浸漬して傾けることによりリンスする。それから顕微鏡スライドを空気中で垂直にして乾燥し、約1時間の乾燥後、貯蔵ボックス中に入れる。開放した貯蔵ボックスをデシケーター中においてシリカゲル上で終夜保持してさらに乾燥する。その後、3回目の計量を行う。二重の測定を行うのがよい。
洗浄効率を、除去された試験汚損の重量パーセンテージを記録することにより評価する。試験汚損の種類、試験時間および試験温度を記録しなければならない。
方法B:組成物の殺真菌および殺細菌活性
殺真菌活性および殺細菌活性を、DIN EN 1650(1997)、DIN EN 1276(1997)およびDIN EN 13697(2001)によって明示されているように試験した。
方法C:リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)に対する活性
たんぱく質負荷による殺細菌活性を、Deutsche Veterinaermedizinische Gesellschaft, 3rd edition, 2000の"Richtlinien fuer die Pruefung chemischer Desinfektionsmittel (Methoden zur Pruefung von Desinfektionsmitteln gegen Bakterien und Pilze in Bereichen des Herstellens, Inverkehrbringens und Behandelns von Tieren stammender Lebensmittel)"[化学殺菌組成物を試験するためのガイドライン(製造分野において細菌と真菌に対する殺菌組成物を試験し、商業化し、動物起源の食品を処理するための方法)]に基づいて試験した。用いた試験微生物はATCC35152であり、用いた栄養培地は(1)カゼイン−大豆引き割ペプトン−寒天+1%グルコース+1%脱線維素ヒツジ血液、(2)ブレインハートインフュージョン(difco 237400)および(3)ブレインハートインフュージョン コロンビア血液寒天(Bd 4007708)であった。対照試験のための試験調製物を希釈するために、各々の使用の前に一時的に沸騰させた標準硬度の水を使用した。全ての試験を20±1℃で実施した。UNIPATH GmbH, Wesel.からの、65℃で30分不活性化した10%無菌ウシ血清によってタンパク質負荷を達成した。有機負荷としての10%ウシ血清中における定量懸濁試験で殺細菌活性を測定した。用いた不活性化培地は、3%Tween80+3.0%サポニン+0.1%ヒスチジン+0.1%システインを入れたブレインハートインフュージョン(TSHC)であった。
【0030】
方法D:サルモネラ・コレラスイス(Salmonella choleraesuis)に対する活性
DIN EN 1276(1997)(ATCC 43974)に明示されているように試験を実施した。
【表1】

【0031】
例1:洗浄効率
以下の条件下での洗浄試験において、
−試験汚損:牛脂、
−方法:室温、水中2体積%濃度での動的洗浄試験、
以下の結果が得られた:
組成物I 100%
組成物II 1%
組成物III 78%
組成物IV 6%。
【0032】
これらの結果は、その成分が互いにぴったり調和した本発明の濃縮物の使用による有利な洗浄効率を実証している。本発明の濃縮物Iは非常に良好な洗浄効率を示しているが、比較例の濃縮物II、IIIおよびIVの使用による洗浄効率は著しく劣っている。
【0033】
例2:濃縮物Iの殺細菌および殺真菌活性
2.1 リステリア・モノサイトゲネスに対する活性(方法C)
本発明の濃縮物Iは、試験温度20℃で0.25体積%のすぐに使える溶液として5分間の暴露時間で、リステリア・モノサイトゲネス(ATCC 35152)に対して完全に活性である(10の4乗以上の微生物数の減少)。
【0034】
2.2 サルモネラ・コレラスイスに対する活性(方法D)
本発明の濃縮物Iは、0.5体積%の希釈した溶液として、タンパク質負荷で15分後に、菌株サルモネラ・コレラスイス ATCC 43974に対して十分な殺細菌活性を有する。
【0035】
2.3 殺真菌および殺細菌活性
高負荷=3.0g/lのウシアルブミン、
低負荷=0.3g/lのウシアルブミン、
殺真菌活性=C.アルビカンス(C. albicans)およびA.ニガー(A. niger)に対する活性
殺細菌活性=P.エルギノーサ(P. aeruginosa)、E.コリ(E. coli)、S.アウレウス(S. aureus)およびE.ヒラエ(E. hirae)に対する活性
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮物の形態のアルカリ性の殺菌および洗浄組成物であって、
a)1ないし50重量%の式[R123(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は同一または異なり、O、S、NおよびPから選択される1以上の原子を有していてもよいC1ないしC30アルキル、C1ないしC30アルケニルおよび混合基から選択される)の1以上の第4級アンモニウム塩と、
b)0.5ないし15重量%の1以上のC9ないしC13アルコールアルコキシレートと、
c)1ないし30重量%の1以上のアルキルアミンと
を含む濃縮物。
【請求項2】
第4級アンモニウム塩が、式[R1N(CH33+[X]-、[R12N(CH32+[X]-および[R123(CH3)N]+[X]-(式中、R1ないしR3は互いに独立にC8ないしC14アルキルおよび−(CH2−CHR4O)n−R5から選択され、nは1ないし20、好ましくは1ないし5の整数であり、R4およびR5は同一または異なっていてもよくHおよび/またはC1ないしC4アルキルである)の塩から選択され、たとえばジデシルジメチルアンモニウムクロリドであることを特徴とする請求項1記載の濃縮物。
【請求項3】
アルコールアルコキシレートが、5ないし13のEO単位を有するアルコールエトキシレートであり、好ましくは5ないし12のEO単位を有するC10ないしC13アルコールエトキシレートであることを特徴とする請求項1または2記載の濃縮物。
【請求項4】
アルキルアミンが、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミンおよびアルキルプロピレンジアミンから選択され、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミンが好ましいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項5】
アルデヒド、フェノールまたはフェノール誘導体および/または活性酸素化合物を含まないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項6】
ベンズアルコニウム化合物(たとえばベンズアルコニウム塩)を含まないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項7】
a)7.5ないし15重量%のジアルキルジメチルアンモニウム塩、たとえばジデシルジメチルアンモニウムジクロリドと、
b)1.5ないし5重量%の7ないし12のEO単位を有するC10ないしC13イソアルキルアルコールエトキシレートと、
c)1ないし15重量%のN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミンと
を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項8】
香料および/または染料を含まないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項9】
ジデシルジメチルアンモニウムクロリドを単一の第4級アンモニウム化合物として含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項10】
加えて、香料、染料、緩衝剤、洗浄向上剤、溶剤、ヒドロトロープ、腐食防止剤、錯化剤、臭気吸収剤、安定化剤、消泡剤、ケア成分およびpH補正剤から選択される1以上の機能性添加剤を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項11】
0.1ないし10体積%、好ましくは0.25ないし5体積%、たとえば2体積%の請求項1ないし10のいずれか1項記載の濃縮物を含むすぐに使える水溶液の形態のアルカリ性の殺菌および洗浄組成物。
【請求項12】
脂肪質の汚染および血液を除去するための、請求項1ないし10のいずれか1項記載の濃縮物の使用、または請求項11記載のすぐに使える水溶液の使用。
【請求項13】
細菌および真菌、特にサルモネラ菌およびリステリア菌を駆除するための、請求項1ないし10のいずれか1項記載の濃縮物の使用、または請求項11記載のすぐに使える水溶液の使用。

【公開番号】特開2007−224298(P2007−224298A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−30388(P2007−30388)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(399035504)エール・リキード・サンテ(アンテルナスィオナル) (26)
【Fターム(参考)】