説明

含フッ素オルガノポリシロキサン組成物及びその製造方法

【課題】撥水性、撥油性に優れ、他材料への親和性に優れている含フッ素シリコーン組成物であり、特に、低粘度シリコーン油に対して膨潤性を有する含フッ素シリコーン組成物、及びこの含フッ素シリコーン組成物を使用してなる均一なペースト状組成物を提供。
【解決手段】(A)下記式(1)で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ただし、少なくとも(A)、(B)のどちらかはパーフルオロアルキル基、もしくはパーフルオロポリエーテル基を含有する、(C)片末端に水素原子またはビニル基を有する反応性オルガノポリシロキサンを付加重合させて得られ、(A)〜(C)成分の合計質量に対し10質量%〜30質量%のフッ素原子を含有することを特徴とする、三次元架橋構造を有する含フッ素シリコーン重合物と、(D)低粘度シリコーン油を含有する含フッ素オルガノポリシロキサン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水性、撥油性に優れ、低粘度シリコーン油に膨潤性を有し、他材料との親和性に優れている新規の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素変性シリコーン化合物は、その表面エネルギーが非常に小さいために、撥水撥油性・耐薬品性・潤滑性・離型性・防汚性など特有の性質を有する。その性質を利用し、撥水撥油剤、撥水撥油防汚剤、ワックス添加剤、防油剤、離型剤、潤滑剤、化粧料、保護膜などに利用されている。しかし、フッ素変性シリコーン化合物の表面エネルギーの低さは、有機溶剤もしくは油剤、塗料、化粧料、各種コーティング材料などの他材料との相溶性、親和性が非常に低いことを示しており、フッ素変性シリコーン化合物を各種工業材料等に添加して上記特性を付与しようとすると、分散安定性などに問題が生じ、配合が困難であることが指摘されてきた。この為、他材料との親和性に優れているフッ素変性シリコーン化合物の開発が求められている。
【0003】
また、近年、低粘度シリコーン油が伸展性に優れ安全性が高いことから注目されており、諸分野において広く使用が検討されている。低粘度シリコーン油を基油として流動性のないペースト状の組成物を調製する場合、増粘剤の添加量を増加させる必要があり、滑らかで均一な組成物が得られがたく、また、安定性が低いという問題がある。特許文献1には、架橋構造の一部に側鎖を持たせたシリコーン重合物が有機オイルに対して膨潤性を有し均一なペースト状組成物を提供することが開示されている。しかし当該シリコーン組成物は塗布後に撥水性皮膜を形成するものの、撥油性には極めて乏しく、また、耐摩擦性の点でも満足できるものではなかった。
【0004】
特許文献2には、フッ素置換アルキル基含有量の高いフッ素変性シリコーン油(ペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンなど)に対して膨潤性を有し、撥水性、撥油性に優れた均一なペースト状組成物が開示されている。しかし、該組成物はフッ素置換アルキル基を含まないシリコーン材料や、他材料に対する親和性に乏しく、また経時での安定性が良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−115358号公報
【特許文献2】特許4341871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは以前に、架橋したパーフルオロポリエーテル重合物を低粘度含フッ素変性油の増粘剤として用いたペースト状組成物が、撥水性・撥油性に優れ、パーフルオロポリエーテルオイル特有のさらっとした使用感を有し、安定性が高いことを見出した(特願2009−037877)。ところが、該ペースト状組成物も有機溶剤もしくは塗料、化粧料、各種コーティング材料などの他材料との親和性が十分ではない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、撥水性、撥油性に優れ、有機溶剤もしくは油剤、塗料、化粧料、各種コーティング材料などの他材料への親和性に優れている含フッ素シリコーン組成物であり、特に、低粘度シリコーン油に対して膨潤性を有する含フッ素シリコーン組成物、及びこの含フッ素シリコーン組成物を使用してなる均一なペースト状組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子中に一定量のフッ素原子を含有し、かつ所定量のシリコーン側鎖を備えた、三次元架橋構造を有する含フッ素シリコーン重合物が、低粘度シリコーン油に対して優れた膨潤性を有し、均一なペースト状の組成物を提供することを見出し本発明に至った。
【0009】
(A)下記式(1)で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン;
【化1】

(式中、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、もしくは炭素数3〜30のパーフルオロポリエーテル基、Rは互いに独立に、炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、Rは互いに独立に、ビニル基または、炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、kは0〜10の整数であり、但し、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有し、Xは2価の有機基であり、mは0〜200の整数、nは0〜100の整数である)
(B)下記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン;
【化2】

(式中、Rは互いに独立に、水素原子または炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、pは0〜10の整数であり、但し、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、qは0〜200の整数、rは0〜100の整数であり、ただし、式(1)のn及び式(2)のrは同時に0とならず、式(1)中のケイ素原子に結合したビニル基あるいは式(2)中のケイ素原子に結合した水素原子の少なくとも一方が3以上であり、Rf、X、Rは前記と同じ基を意味する)
(C)下記式(3)で示される片末端反応性オルガノポリシロキサン;
【化3】

(式中、Rは水素原子またはビニル基であり、xは0〜100の整数であり、Rは前記と同じ基を意味する)
を付加重合させて得られ、(A)〜(C)成分の合計質量に対し10質量%〜30質量%のフッ素原子を含有することを特徴とする、三次元架橋構造を有する含フッ素シリコーン重合物と、
(D)25℃における動粘度が50mm/s以下の低粘度シリコーン油
を含有する含フッ素オルガノポリシロキサン組成物及び該組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の含フッ素シリコーン重合物は、所定量のシリコーン側鎖を有することにより、低粘度のシリコーン油に対する膨潤性を有し、均一かつ安定なペースト状シリコーン組成物を提供することが可能である。また、分子中に所定量のフッ素原子を有することにより、撥水性、撥油性に優れた組成物となり、非常に軽くなめらかな感触を与える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
含フッ素シリコーン重合物
本発明の含フッ素シリコーン重合物は、下記に示す(A)〜(C)成分のオルガノポリシロキサンを付加重合させることによって得られる、三次元架橋構造を有する重合体生成物であり、分子中に所定量のフッ素原子、及び、所定量のシリコーン側鎖を有することを特徴とする。
【0012】
(A)成分及び(B)成分は、それぞれ上記式(1)及び(2)においてRfで示す基を有するシロキサン単位を含んでいても、含まなくてもよいが、本発明の含フッ素シリコーン重合物は、(A)成分及び(B)成分中のフッ素原子の合計質量が(A)〜(C)成分の合計質量に対し10質量%〜30質量%、好ましくは15質量%〜27質量%となる量でフッ素原子を含有する。前記下限値よりフッ素含有率が低いと、含フッ素置換基で変性した効果が発現しにくく、フッ素化合物特有の軽さやすべり性などが得られにくくなってしまう。また、前記上限値よりフッ素含有率が高いと、(D)成分の低粘度シリコーン油との親和性が低下してしまうため、付加重合後の三次元架橋構造中に低粘度シリコーン油が包蔵されにくくなり、低粘度シリコーン油の分離排出が起こりやすくなってしまう。
【0013】
以下、各成分について詳述する。
【0014】
(A)ビニル基含有オルガノポリシロキサン
(A)成分は、下記式(1)で示され、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。
【化4】

【0015】
上記式(1)において、Rfは炭素数1〜10、好ましくは3〜6のパーフルオロアルキル基もしくは炭素数3〜30、好ましくは8〜20のパーフルオロポリエーテル基である。パーフルオロアルキル基としては、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ヘプタデカフルオロオクチル基などが挙げられ、特に好ましくは、ノナフルオロブチル基とトリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、下記式(4)及び(5)に示すものが挙げられ、特に式(4)で示すパーフルオロポリエーテル基であることが好ましい。
【化5】

(式中、s及びtはそれぞれ1〜9の整数であり、好ましくは2〜5の整数である。)
【0016】
上記式(1)において、kは0〜10、mは0〜200、nは0〜100の整数であり、好ましくは、kは1〜5、mは50〜120、nは5〜30の整数である。
【0017】
上記式(1)中、Xは2価の有機基である。特に、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の、酸素原子または窒素原子を有していてもよい2価の有機基であり、このようなXの具体例としては、下記に示すものが挙げられる。
【化6】

【化7】

【0018】
上記式(1)中、Rは互いに独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜4の、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、このような一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、等が挙げられる。好ましくはメチル基、n−ブチル基などが挙げられる。
【0019】
は、互いに独立に、ビニル基、あるいは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、このような一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、等が挙げられる。Rは、好ましくはビニル基であり、上記kが0の場合にはRはいずれもビニル基であり、kが1の場合にはRの少なくとも1はビニル基である。
【0020】
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(B)成分は、下記式(2)で示され、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する化合物であり、(A)成分と付加重合反応することによって架橋構造を形成する。
【化8】

【0021】
上記式(2)中、pは0〜10の整数、qは0〜200の整数、rは0〜100の整数であり、好ましくは、pは2〜5の整数、qは1〜50の整数、rは0〜20の整数である。ただし、上記式(1)のn及び上記式(2)のrは同時に0とならない。Rは互いに独立に、水素原子あるいは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。但し、pが0の時、Rはいずれも水素原子であり、pが1の時はRの少なくとも1は水素原子である。ただし、式(1)中のケイ素原子に結合したビニル基あるいは式(2)中のケイ素原子に結合した水素原子の少なくとも一方は3以上である。R、X及びRfは(A)成分の為に上述したものと同じ基を意味する。
【0022】
(C)片末端反応性オルガノポリシロキサン
(C)成分は側鎖形成用オルガノポリシロキサンであり、(A)成分及び/または(B)成分に結合してシリコーン側鎖を形成する。含フッ素シリコーン重合物がシリコーン側鎖を有することにより、低粘度シリコーン油に対するシリコーン重合物の膨潤性(増粘性)を向上させ、含フッ素オルガノポリシロキサン組成物の安定性を向上させることができる。本発明の(C)成分は、下記式(3)で示され、ケイ素原子に結合した水素原子またはビニル基のいずれか一方を有する片末端反応性オルガノポリシロキサンである。
【化9】

【0023】
式中、Rは水素原子またはビニル基である。Rは互いに独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜4の、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、このような一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、等が挙げられる。好ましくはメチル基、n−ブチル基などが挙げられる。xは0〜100、好ましくは5〜30の整数である。
【0024】
シリコーン側鎖は、(A)成分あるいは(B)成分のうち、フッ素含有量の高い方のオルガノポリシロキサンに導入することが好ましい。これにより、(D)低粘度シリコーン油に不溶であるが十分膨潤する性質を有するシリコーン重合物となり、(D)低粘度シリコーン油を良好に包蔵した含フッ素オルガノポリシロキサン組成物を得ることができる。シリコーン側鎖を(A)成分に導入する場合は、上記式(3)においてRが水素原子である(C)成分を(A)成分中のビニル基1モルに対し、(C)成分中のSiH基が0.1〜0.4モル、好ましくは0.15〜0.3モルとなる量で使用する。また、シリコーン側鎖を(B)成分に導入する場合は、上記式(3)においてRがビニル基である(C)成分を(B)成分中のSiH基1モルに対し、(C)成分中のビニル基が0.1〜0.4モル、好ましくは0.15〜0.3モルとなる量で使用する。(C)成分中の反応性基の量が前記下限値未満では、低粘度シリコーン油に対するシリコーン重合物の膨潤性が劣り、保存安定性が下がる。また、前記上限値超では、シリコーン側鎖を導入した後の(A)成分または(B)成分に十分な量の反応性基が残らず、三次元架橋構造の形成が不十分となり、(D)低粘度シリコーン油が三次元架橋構造中に包蔵されにくくなる。これによって、(D)低粘度シリコーン油の使用量が比較的多い場合や、含フッ素オルガノポリシロキサン組成物を剪断力下で処理する上で(D)低粘度シリコーン油と共に用いる場合に、含フッ素オルガノポリシロキサン組成物が(D)低粘度シリコーン油に溶解しやすくなり、得られるシリコーン組成物が十分な増粘性を獲得できなくなる為好ましくない。
【0025】
(A)成分と(B)成分は、シリコーン側鎖を導入した後の(A)成分及び/または(B)成分において、(A)成分が有するビニル基1モルに対し、(B)成分が有するSiH基が0.7〜1.3モル、好ましくは0.8〜1.1モルとなる量で反応させるのがよい。これにより所望の三次元架橋構造をとることができる。(A)成分または(B)成分は各成分中にビニル基またはSiH基を0.5〜50モル%で含有するのが望ましい。反応性基の含有量が前記上限値より多いと重合生成物の三次元架橋構造の架橋密度が高くなりすぎるため、(D)低粘度シリコーン油が三次元架橋構造中に包蔵されにくくなり、表面にブリードし易く安定性が低下するため好ましくない。
【0026】
含フッ素オルガノポリシロキサン組成物
(A)〜(C)成分の付加重合反応は、下記に示す(D)低粘度シリコーン油の存在下で行うことができる。本発明の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物は、(A)〜(C)成分を付加重合反応して得られるシリコーン重合物と該(D)低粘度シリコーン油よりなる組成物である。また、本発明の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物は、反応に使用した(D)低粘度シリコーン油とは別の(D)低粘度シリコーン油を、付加重合反応後に得られる組成物にさらに添加して得られる組成物であってもよい。
【0027】
(D)低粘度シリコーン油
(D)成分は、25℃における動粘度が50mm/s以下、好ましくは50mm/s〜0.65mm/s、より好ましくは10mm/s〜0.65mm/sの低粘度シリコーン油である。前記動粘度が50mm/sを超えると、表面にブリードし易い安定性の低い組成物となり、また、ベタツキ感が現れさっぱり感が低下するため好ましくない。低粘度シリコーン油は、無官能性の(即ち、ヒドロシリル化付加反応に関与し得るケイ素原子結合アルケニル基及びSiH基を分子中に含有しない)オルガノポリシロキサンであり、このような低粘度シリコーン油としては、低重合度の鎖状、または分岐状のメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン、環状のオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等があげられ、必要に応じてこれらの1種または2種以上が適宜選択して用いられる。
【0028】
(D)成分は、(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、10〜1000質量部、好ましくは20〜700質量部、より好ましくは50〜500質量部で使用するのがよい。低粘度シリコーン油の配合量が10質量部より少ないと、低粘度シリコーン油を共存させた効果が小さくなり得られる組成物の増粘性が低くなる。また、ゴム、プラスチックに配合する場合に柔軟性付与効果、潤滑性付与効果が低下するため好ましくない。さらに、得られるペースト状組成物の透明性が失われ易くなる。また、(D)低粘度シリコーン油の割合が1000質量部より多いと、(A)〜(C)成分の反応率が低下し十分な増粘性を有する組成物が得られなくなる。特に、(A)〜(C)成分の合計重量100質量部に対し、10〜200質量部、特に20〜100質量部を用いて付加重合反応することが好ましく、(D)低粘度シリコーン油を前記範囲の量で用いることにより、重合反応が進行するに従って反応生成物は次第に液状から軟かい塊状を経て粉末状となる。
【0029】
(D)低粘度シリコーン油存在下での(A)〜(C)成分の付加重合反応は、従来公知の方法を用いればよく、例えば、有機溶剤に可溶性の白金化合物(例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体等)又はロジウム化合物の存在下、室温あるいは加温下(約50〜150℃)で反応させればよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、フッ化塩化炭化水素等のハロゲン化炭化水素を使用することができる。
【0030】
触媒として、特に好ましくは、塩化白金酸、米国特許第3,159,601号、同第3,159,662号、同第3,775,452号明細書などに記載されているヒドロシリル化反応に用いられる白金化合物、例えば〔Pt(PPh 〕などが例示されるが、これは例えばビニルシロキサンと白金化合物との錯化合物、さらにこれをアルコール変性化したものが良い。その中でも特に、特公昭33−9969号公報記載の塩化白金酸、あるいはビニルシロキサンと塩化白金酸との錯化合物がより好ましい。
【0031】
付加重合の具体的な方法としては、例えば、撹拌装置を備えたプラネタリーミキサー等の反応器を用いて、所要量の(A)〜(D)成分を配合した後、さらに触媒を添加し、約50〜150℃程度の適当な温度で撹拌すればよい。その際に、まず、(A)成分及び(B)成分のうちフッ素含有率の高い方の成分と、(C)成分とを付加反応させてどちらか一方のオルガノポリシロキサン鎖にシリコーン側鎖を導入した後に、該オルガノポリシロキサンをもう一方のオルガノポリシロキサンと付加重合させることが好適である。このような2段階での方法を採ることにより(A)〜(C)成分の相溶性を損なうことがなく、付加重合反応を円滑に進めることができる。(A)成分と(B)成分を先に付加重合するとシリコーン側鎖形成の反応性が著しく低下し、(A)〜(C)成分を同時に仕込み一括で反応を行なうと、主鎖となるオルガノポリシロキサン骨格に所望量のシリコーン側鎖が導入される前に架橋結合が形成されてしまうため、シリコーン側鎖の特性が十分に発揮できなくなる傾向がある。
【0032】
本発明の組成物は重合反応が進行するに従って次第に液状から軟かい塊状を経て粉末状となる。微粉末状組成物を得る場合には、粉末状で得られた組成物を剪断力下で処理すればよい。この処理により、粉末状組成物はさらに粉砕され、微粉末状組成物を得ることができる。この微粉末状組成物は、表面にブリードが認められず均一な組成からなり、感触が滑らかで適度の柔軟性を備えた白色の粉体となる。
【0033】
また、ペースト状組成物またはグリース状組成物を得る場合には、塊状あるいは粉末状で得られた組成物に、さらに(D)低粘度シリコーン油を加え剪断力下で処理すればよい。当該低粘度シリコーン油は、含フッ素オルガノポリシロキサン組成物に含まれる低粘度シリコーン油の合計量が、(A)〜(C)成分の合計重量100質量部に対し、10〜1000質量部、好ましくは20〜500質量部となる量で添加する。前記処理により、混練された均一な含フッ素オルガノポリシロキサン組成物が得られる。低粘度シリコーン油が10質量部未満であると均一なペースト状とならず、また、1000質量部を超えると、最終生成物は十分な増粘性を獲得できず、良好なペースト状ないしグリース状にはならない。
【0034】
組成物を前記剪断力下で処理することにより、比較的高粘度で均一、かつ外観が滑らかなペースト状の組成物を得ることができる。剪断力が加わらない、あるいは不十分であると、低粘度シリコーン油への溶解が不十分となり、含フッ素シリコーン重合物と低粘度シリコーン油が混和せず不均一な組成物となるため、低粘度となり十分な増粘性を獲得することができない。また、膨潤不十分な含フッ素シリコーン重合物が最終組成物中に残留することから、ざらついた感触となり、外観に滑らかさがなくなる。剪断力下で行なう処理は、例えば、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドグラインダー、コロイドミル、ガウリンホモジナイザーなどで行うことができ、被処理物の性状等に応じて選択すればよい。なかでも、通常、三本ロールミルによる方法が好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0036】
[実施例1]
プラネタリーミキサーに下記式(6)
【化10】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率25.5質量%、ビニル基含有量2.96×10-2mol/100g)と、
下記式(7)
【化11】

で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン5.27g(SiH基含有量5.64×10−3mol/5.27g)、及びジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)165.8gを仕込む。白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.017g(Pt:0.17mg相当)を加えて80℃で1時間撹拌した。
【0037】
次に、前記反応生成物に下記式(8)
【化12】

で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン5.26g(フッ素含有率18.4質量%、SiH基含有量2.26×10−2mol/5.26g)と上記と同様の白金錯体0.017gを添加し、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のジメチルポリシロキサン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物1、ジメチルポリシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量23.9質量%)。
【0038】
前記シリコーン重合物1を100.0質量部、及びジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)150.0質量部を分散混合し、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をジメチルポリシロキサンに膨潤させて無色透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0039】
[実施例2]
プラネタリーミキサーに下記式(9)
【化13】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率20.6質量%、ビニル基含有量3.61×10−2mol/100g)と前記式(7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン6.43g(SiH基含有量6.88×10−3mol/6.43g)、デカメチルシクロペンタシロキサン(動粘度4mm/s)110.3gを仕込み、白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.017g(Pt:0.17mg相当)を加えて80℃で1時間撹拌した。
【0040】
次に、前記反応生成物に下記式(10)
【化14】

で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.83g(SiH基含有量2.75×10−2mol/3.83g)と上記白金錯体0.017gを加え、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のデカメチルシクロペンタシロキサン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物2、デカメチルシクロペンタシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量18.7質量%)
【0041】
シリコーン重合物2を100.0質量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン200.0質量部を分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をデカメチルシクロペンタシロキサンに膨潤させて無色透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0042】
[実施例3]
プラネタリーミキサーに下記式(11)
【化15】

で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン100.0g(フッ素含有率24.9質量%、SiH基含有量6.03×10−2mol/100g)と下記式(12)
【化16】

で示されるオルガノポリシロキサン8.90g(ビニル基含有量1.09×10−2mol/8.90g)、及びトリストリメチルシロキシメチルシラン(動粘度1.5mm/s)188.4gを仕込む。白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.028g(Pt:0.28mg相当)を加えて80℃で1時間撹拌した。
【0043】
次に、前記反応生成物に下記式(13)
【化17】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン79.5g(フッ素含有率20.4質量%、ビニル基含有量4.38×10−2mol/79.5g)と上記白金錯体0.028gを追加し、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のトリストリメチルシロキシメチルシラン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物3、トリストリメチルシロキシメチルシランを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量21.8質量%)
【0044】
前記シリコーン重合物3を100.0質量部と、トリストリメチルシロキシメチルシラン250.0質量部とを分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をトリストリメチルシロキシメチルシランに膨潤させて無色透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0045】
[実施例4]
プラネタリーミキサーに下記式(14)
【化18】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率25.9質量%、ビニル基含有量3.25×10−2mol/100.0g)と前記式(7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン6.57g(SiH基含有量6.88×10−3mol/6.57g)、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)109.9gを仕込み、白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.017g(Pt:0.17mg相当)を加えて80℃で1時間撹拌した。
【0046】
次に、前記反応生成物に前記式(10)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.36g(SiH基含有量2.42×10−2mol/3.36g)と上記白金錯体0.017gを加え、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のジメチルポリシロキサン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物4、ジメチルポリシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量23.6質量%)
【0047】
シリコーン重合物4を100.0質量部と、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)185.7質量部を分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をジメチルポリシロキサンに膨潤させて無色透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0048】
[比較例1]
プラネタリーミキサーに下記式(15)
【化19】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率20.6質量%、ビニル基含有量2.41×10−2mol/100.0g)と、上記式(10)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.19g(SiH基含有量2.29×10−2mol/3.19g)、デカメチルシクロペンタシロキサン(動粘度4mm/s)113.2gを仕込む。白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.034g(Pt:0.34mg相当)を加えて80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のデカメチルシクロペンタン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物5、デカメチルシクロペンタシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量20.0質量%)
【0049】
シリコーン重合物5を100.0質量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン200.0質量部とを分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をデカメチルシクロペンタシロキサンに膨潤させて無色透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0050】
[比較例2]
プラネタリーミキサーに下記式(16)
【化20】

で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率35.4質量%、ビニル基含有量2.19×10−2mol/100g)と、上記式(7)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.90g(SiH基含有量4.17×10−3mol/3.90g)、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)159.3gを仕込む。白金/ビニルシロキサン錯体トルエン溶液0.016g(Pt:0.16mg相当)を加えて80℃で1時間撹拌した。次に、上記式(10)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン2.32g(SiH基含有量1.67×10−2mol/2.32g)と上記白金錯体0.016gを追加し、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のジメチルポリシロキサン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物6、ジメチルポリシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量33.3質量%)
【0051】
シリコーン重合物6を100.0質量部と、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)150.0質量部とを分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をジメチルポリシロキサンに膨潤させて無色半透明のペースト状シリコーン組成物を得た。
【0052】
[比較例3]
ジメチルポリシロキサン重合物とデカメチルシクロペンタシロキサンとを混練・膨潤させたシリコーン組成物(信越化学工業製、商品名:KSG−15)。
【0053】
[比較例4]
プラネタリーミキサーに前記式(16)で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン100.0g(フッ素含有率35.4質量%、ビニル基含有量2.19×10−2mol/100g)と上記式(10)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.05g(SiH基含有量2.19×10−2mol/3.05g)、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)102.9gを仕込み、上記白金錯体0.012g(Pt:0.12mg相当)を加えて、80℃でさらに1時間攪拌して、シリコーン重合物のジメチルポリシロキサン分散物を得た。得られた該シリコーン重合物の分散物は白色の柔軟性を備えた粉体であった(シリコーン重合物7、ジメチルポリシロキサンを除く該シリコーン重合物中のフッ素基含有量34.4質量%)
【0054】
シリコーン重合物7を100.0質量部と、ジメチルポリシロキサン(動粘度2mm/s)150.0質量部とを分散混合した後、三本ロールミルにより剪断力下で十分混練し、シリコーン重合物をジメチルポリシロキサンに膨潤させようとしたが、該重合物は膨潤せずにジメチルポリシロキサンに粉体が分散したような状態のままであった。そのため、以下の評価の対象からは除外した。
【0055】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
実施例1〜4及び比較例1〜3のシリコーン組成物において下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
[撥水性・撥油性]
スライドガラス(26mm×76mm)に該シリコーン組成物0.20gを均一に塗布し、150℃で1時間加熱乾燥させる。乾燥後、室温まで放冷し、接触角計を用いて水に対する接触角を測定し、撥水性の評価とした。また、水のかわりにn-ヘキサデカンを用いて同様に接触角を測定し、撥油性の評価とした。
【0057】
[分散性]
該シリコーン組成物20.0gとデカメチルシクロペンタシロキサン80.0gを200ccビーカーに入れる。15分間ホモディスパー(プライミクス社製2.5型)で分散させ、その後30分間ビーカーを静置して、分散状態を目視観察して分散性の評価とした。
【0058】
[親和性]
該シリコーン組成物20.0gとイソドデカン80.0gを200ccビーカーに入れる。15分間ホモディスパー(プライミクス社製2.5型)で分散させ、その後30分間ビーカーを静置して分散状態を目視観察し、有機溶剤に対する親和性の評価とした。
【0059】
[保存安定性]
シリコーン組成物を密閉した容器に入れ、40℃で1週間保管後の組成物の外観を目視観察し、保存安定性の評価とした。
【0060】
[感触]
軽さ及びべたつき感について、パネラー20名により、該シリコーン組成物を手の甲に塗布した時の感触を官能評価した。
【0061】
【表1】

【0062】
表1より、シリコーン側鎖を有しない含フッ素シリコーン重合物よりなる比較例1の組成物は、低粘度シリコーン油に対する膨潤性が悪く保存安定性に劣る。また、フッ素含有量が多すぎる重合物よりなる比較例2の組成物は、低粘度シリコーン油との親和性が悪いため、分散性が悪く、油分の分離が起こる。また、有機溶剤との相溶性も劣る。フッ素を含有しない重合体より成る比較例3の組成物は、撥水性に劣る。これに対し、本願のシリコーン重合物より成るペースト状組成物は、保存安定性が良好であり、均一なペースト状組成物となり、非常に軽く滑らかな感触を与える。また、有機溶剤との親和性も良好である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物は、撥水性及び撥油性に優れ、かつ低粘度シリコーン油と好適に膨潤し、保存安定性が良好で均一なペースト状組成物を提供するため、特に化粧料基材として良好に使用することができる。また、本発明の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物は、他材料への親和性が優れているため、化粧品添加剤、家庭用品分野におけるクリーナ・ワックス品への添加剤、成型時の金型離型性を向上させる離型剤、グリースに撥水撥油性を付与するための添加剤、潤滑油の耐摩耗性向上のための添加剤、染料及び顔料工業分野における顔料の着色性及び分散性向上用助剤、塗料欠陥是正のための流展性及びへこみ防止性付与剤等としても有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で示されるビニル基含有オルガノポリシロキサン;
【化1】

(式中、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、もしくは炭素数3〜30のパーフルオロポリエーテル基、Rは互いに独立に、炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、Rは互いに独立に、ビニル基または、炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、kは0〜10の整数であり、但し、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有し、Xは2価の有機基であり、mは0〜200の整数、nは0〜100の整数である)
(B)下記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン;
【化2】

(式中、Rは互いに独立に、水素原子または炭素数1〜10の、脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、pは0〜10の整数であり、但し、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有し、qは0〜200の整数、rは0〜100の整数であり、ただし、式(1)のn及び式(2)のrは同時に0とならず、式(1)中のケイ素原子に結合したビニル基あるいは式(2)中のケイ素原子に結合した水素原子の少なくとも一方が3以上であり、Rf、X、Rは前記と同じ基を意味する)
(C)下記式(3)で示される片末端反応性オルガノポリシロキサン;
【化3】

(式中、Rは水素原子またはビニル基であり、xは0〜100の整数であり、Rは前記と同じ基を意味する)
を付加重合させて得られ、(A)〜(C)成分の合計質量に対し10質量%〜30質量%のフッ素原子を含有することを特徴とする、三次元架橋構造を有する含フッ素シリコーン重合物と、
(D)25℃における動粘度が50mm/s以下の低粘度シリコーン油
を含有する含フッ素オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A)〜(C)成分の合計100質量部に対し、(D)低粘度シリコーン油の含有量が10〜1000質量部である請求項1に記載の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
微粉末状、ペースト状又はグリース状である、請求項1または2に記載の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
(D)低粘度シリコーン油の存在下で前記(A)〜(C)成分を付加重合反応させる工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物を製造する方法。
【請求項5】
(D)低粘度シリコーン油の存在下で前記(A)〜(C)成分を付加重合反応させた後、さらに(D)低粘度シリコーン油を添加する工程を含む、請求項4に記載の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の工程の後、さらに剪断力下で処理する工程を含む、請求項4または5に記載の含フッ素オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。


【公開番号】特開2011−184527(P2011−184527A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49640(P2010−49640)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】