説明

含水粉末化粧料

【課題】、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が1〜10μmの範囲にある疎水化粉体を用いる事で、水を安定に含有し、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料を得る事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均粒子径が1〜10μmの範囲にある疎水化粉体と、水を含有することで、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品の形態としては粉末であるが、使用時に指等で圧力を加えることにより崩れ、水を放出する含水粉末化粧料が広く知られている。(特許文献1〜8)
【0003】
【特許文献1】特開平5−65212号公報
【特許文献2】特開平6−166611号公報
【特許文献3】特開平6−211620号公報
【特許文献4】特開平10−265367号公報
【特許文献5】特開平11−130614号公報
【特許文献6】特開2000−264813号公報
【特許文献7】特開2001−158716号公報
【特許文献8】特開2001−131528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の含水粉末化粧料では、比表面積の高い疎水化シリカや、撥水撥油性を有するフッ素化合物処理粉体を含有しており、滑らかな感触の面で、満足いくものではなかった。また、水性ゲルと撥水性粉体を含有する含水粉末化粧料では、凍結乾燥という特別な製造方法が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明人は鋭意検討した結果、平均粒子径が1〜10μmの範囲にある疎水化粉体を用いる事で、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料を調整できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、平均粒子径が1〜10μmの範囲にある疎水化粉体と、水を含有することで、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明するように、平均粒子径が1〜10μmの範囲にある、化粧品用粉体としては比較的小さい疎水化粉体を用いる事により、処方仲に水を安定に含有することができ、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有する含水粉末化粧料を得られることは明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料で用いる平均粒子径が1〜10μmの範囲にある疎水化粉体としては、従来公知の顔料が使用でき、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等が挙げられるが、滑らかな感触と透明性の面より、板状の体質粉体が特に望ましい。
【0009】
具体的には、無機粉体としては、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、シリコーンレジンパウダー、シリコーンエラストマー粉体、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、アクリルパウダー、アクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の微粒子粉体、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等から選ばれる粉体が挙げられる。また、タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。
【0010】
また、本発明の化粧料で用いる粉体に被覆される疎水化処理としては、従来公知の処理を使用でき、例えばアルキルシラン処理などのシラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛、アシル化アミノ酸金属塩処理などの金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理、N−ラウロイル−L−リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理又はアクリル酸アルキル処理などのアクリル処理などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0011】
本発明の化粧料では、疎水化粉体の粒子径として1〜10μmの範囲に分布しているものを用いることができ、より好ましくは、1〜5μmの範囲に分布している、疎水化処理された体質顔料が、安定性、感触、透明性の面から優れている。なお、複合顔料の粒度管理方法としては、電子顕微鏡観察、レーザー回折・散乱を用いた粒度分布測定法を用いることが好ましい。
【0012】
一方、本発明の化粧料には、剤形の安定化のため、水性ゲル化剤を用いる事ができ、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムなどを用いることができ、COVAGEL(LCW社製)として市販されている。
【0013】
本発明の化粧料では、上記の成分以外に、化粧料で使用される各種の素材、例えば
顔料、紫外線吸収剤、油剤、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。
【0014】
本発明の化粧料としては、メイクアップ化粧料、基礎化粧料、頭髪化粧料、香料、ボディ化粧料など各種の化粧料が該当するが、特にファンデーション、頬紅、白粉、フェイスパウダー、アイシャドウ、ボディパウダー、サンスクリーン、デオドラント料に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
〔実施例1〜2、比較例1〜2〕
表1の処方と製造方法に従い含水フェイスパウダーを得た。尚、配合量の単位は質量%である。また女性パネラー10名を用いて、試験品を使用してもらい、使用感をアンケート形式で回答してもらい、評価が悪い場合を0点、評価が良い場合を5点とし、パネラーの平均点数を以って評価結果とした。従って、点数が高い程評価に優れていることを示す。
【0017】
【表1】


【0018】
製造方法
成分Aミキサーを用いて、混合する。成分Bを成分Aに一度に添加し、混合攪拌し、容器に充填し、製品を得た。
【0019】
表1の結果より、本発明の実施例1、2は、平均粒子径が、4.6μmと3.3μmのオクチルシリル化体質粉体を用いることにより、安定に粉末状に剤形化でき、また、滑り性、清涼感の感触の面でも優れていた。また、比較例1では、平均粒子径が10.7μmと大きい粉体を使用したため、粉末状に剤形かすることができなかった。また疎水化処理シリカを配合した比較例2では、粉末状に剤形化はできたものの、滑り感の面で劣っていた。
【0020】
〔実施例3〕
表2の処方と製造方法に従い粉末状美白美容液を製造した。尚、配合量の単位は質量%である。
【0021】
【表2】

【0022】
製造方法
成分Aミキサーを用いて、混合する。成分Bを成分Aに一度に添加し、混合攪拌し、容器に充填し、製品を得た。
【0023】
得られた粉末状美白美容液は、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有していた。
【0024】
〔実施例4〕
表3の処方と製造方法に従って含水粉末状アイシャドーを試作した。尚、配合量の単位は質量%である。
【0025】
【表3】

【0026】
製造方法
成分Aミキサーを用いて、混合する。成分Bを成分Aに一度に添加し、混合攪拌し、容器に充填し、製品を得た。
【0027】
得られた含水粉末状アイシャドーは、清涼感に優れ、塗擦によりクリーム状に変化し、滑らかな感触を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1〜10μmの範囲にある、疎水化粉体を含有することを特徴とする含水粉末化粧料。
【請求項2】
請求項1記載の疎水化粉体が、疎水化処理された体質粉体であることとする請求項1記載の含水粉末化粧料。
【請求項3】
水性ゲル化剤を含有することを特徴とする請求項1〜2記載の含水粉末化粧料。

【公開番号】特開2011−79805(P2011−79805A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251297(P2009−251297)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(391015373)大東化成工業株式会社 (97)
【Fターム(参考)】