説明

含窒素化合物の製造方法

【課題】脂肪酸アミドを無溶媒下、温和な条件で水素化還元し、副生成物の少ない高純度の脂肪族3級アミンを、高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】銅及びアルミニウムを含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるスポンジ銅触媒を含む触媒の存在下、アミド化合物を還元して第3級アミンを製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素化合物の製造方法、特に、脂肪酸アミドから高純度の脂肪族3級アミンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族3級アミンは、家庭用や工業用分野における重要な中間体であって、例えば繊維柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、ガソリン添加剤、シャンプー、リンス、殺菌剤、洗浄剤など、幅広い用途に用いられている。
脂肪族3級アミンの製造方法として、安価で再生可能な脂肪酸から得られるアミドを原料とする、アミド還元法が知られている。このアミド還元法として、これまでコバルト系触媒、貴金属系触媒などを用いる方法が知られているが、これらの方法は、いずれも溶媒を使用するため、生産性に劣るという問題がある。
また、銅−クロム系触媒を用いる方法も知られており、例えば、特許文献1では、銅−クロム−マンガン触媒をバッチ式反応器で用いて、1−10MPaの反応圧力で原料アミドに対して水素とジメチルアミンを流通して行う第3級アミンの製造方法が開示されている。特許文献2では、銅−クロムなどの水素化触媒を固定床反応器で用い、水素と任意のアミン源が存在する雰囲気下で圧力0.2−5MPaで行うアミンの製造方法が開示されている。しかしながら、これらの触媒は、廃処理時における安全性など取扱いに充分な注意が必要で、脱クロム触媒の開発が望まれている。また、水素とアミン源(ジメチルアミン)の混合ガスを流通させてアミド化合物を還元する方法に関して、特許文献1においては、目的とする第3級アミン選択性の点、あるいは特許文献2においては、原料アミドに対して大過剰の水素流通が必要な点で、いずれも改善の余地がある。
その他の銅系触媒として、銅―亜鉛、銅―亜鉛―ルテニウム又は銅―ニッケル―ルテニウム触媒を用いて、アミド化合物を水素雰囲気下で還元する第3級アミンの製造法(特許文献3参照)が開示されているが、この方法では、アルコールなどの副生成物が多く、未だ十分なものではなかった。また、粒状ラネー銅又は粒状ラネーコバルト触媒を用いて直鎖状第3級アミンを製造する方法(特許文献4参照)が開示されているが、この方法は出発原料がアルコールであり、アミド化合物からの第3級アミン製造技術にスポンジ銅系触媒が有用であるかどうかは知られていなかった。
【0003】
【特許文献1】特表平3−500300号公報
【特許文献2】米国特許公開2006−287556号公報
【特許文献3】特開2001−302596号公報
【特許文献4】特開昭62−51646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クロムを含有しない銅系触媒を用いて、脂肪酸アミドを無溶媒下、温和な条件で水素化還元し、副生成物の少ない高純度の脂肪族3級アミンを高収率で製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、銅及びアルミニウムを含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるスポンジ銅触媒の存在下、一般式(I)
【化1】

(式中、R1は炭素数5〜23の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、R2及びR3は各々炭素数1〜6の直鎖状又は分岐のアルキル基を示し、これらは同一又は異なっていてもよい。)
で表されるアミド化合物を還元する工程(a)を有する、一般式(2)
【化2】

(式中、R1 、R2及びR3はいずれも前記と同じ意味を示す。)
で表される第3級アミンの製造方法、に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、脂肪酸アミドを無溶媒下、温和な条件で水素化還元して、副生成物の少ない高純度の脂肪族3級アミンを高収率で製造することができる。またクロムを含有しない触媒を使用するため、使用済み触媒の廃処理における安全性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第3級アミンの製造方法は、銅及びアルミニウムとを含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるスポンジ銅触媒の存在下、上記一般式(I)で表されるアミド化合物を還元する工程(a)を有する。
前記一般式(1)及び(2)の各々において、R1は炭素数5〜23の直鎖状又は分岐を有する脂肪族炭化水素基を示す。なお、分岐を有する脂肪族炭化水素基には脂環式基も包含する。上記脂肪族炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれも包含することができる。
【0008】
このR1としては、第3級アミンの有用性の点から、炭素数が5〜21、更には炭素数が7〜21の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的には、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコサニル基、各種ヘンエイコサニル基、各種トリコサニル基、各種ヘプテニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基、各種ヘンエイコセニル基、各種ベヘニル基などを挙げることができ、好ましくは、各種ヘプチル基、各種ノニル基、各種ウンデシル基、各種トリデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘプタデシル基、各種ノナデシル基、各種ヘンエイコサニル基、各種ヘプテニル基、各種ノネニル基、各種ウンデセニル基、各種トリデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種ヘンエイコセニル基である。ここで、「各種」とは上記直鎖状若しくは分岐を有するものをいずれも含むことを示す。
【0009】
前記一般式(1)及び(2)の各々において、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基を示す。なお、分岐を有するアルキル基には、シクロアルキル基も包含する。このR2及びR3の各々としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができるが、これらの中で、第3級アミンの有用性の点から、メチル基、エチル基又は、プロピル基が好ましい。前記R2及びR3は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0010】
前記一般式(1)で表されるアミド化合物としては、例えば、N,N−ジメチルカプリルアミド、N,N−ジメチル2−エチルヘキサンアミド、N,N−ジメチルカプリンアミド、N,N−ジメチルラウロイルアミド、N,N−ジメチルミリストイルアミド、N,N−ジメチルパルミトイルアミド、N,N−ジメチルステアロイルアミド、N,N−ジメチルイソステアロイルアミド、N,N−ジメチルオレイルアミド、N,N−ジメチルベヘニルアミドなどのN,N−ジメチル脂肪酸アミド、これらの脂肪酸アミドのN,N−ジメチルをN,N−ジエチル、N,N−ジプロピル、N−エチル−N−メチル、N−メチル−N−プロピル又はN−エチル−N−プロピルに置換えた化合物などを挙げることができる。
【0011】
一方、前記一般式(2)で表される第3級アミンとしては、前記一般式(1)で例示したアミド化合物に対応する化合物として、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチル2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルイソステアリルアミン、N,N−ジメチルオレイルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミンなどのN,N−ジメチル脂肪族アミン、これらの脂肪族アミンのN,N−ジメチルをN,N−ジエチル、N,N−ジプロピル、N−メチル−N−プロピル、N−エチル−N−メチル、N−メチル−N−プロピル又はN−エチル−N−プロピルに置換えた化合物などを挙げることができる。
【0012】
本発明の第3級アミンの製造方法に用いられる触媒は、銅及びアルミニウムを含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるスポンジ銅触媒を含む。アルミニウムの一部に珪素を用いても良い。また、触媒活性、選択性の観点から、これに、更に亜鉛、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、ルテニウム、及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましい。また、スポンジ銅触媒は、触媒活性、選択性の観点から、前記合金粒子を展開した後、酸素又は空気雰囲気下で乾燥して得られるものであることが更に好ましい。
一般に、「スポンジ触媒」とは、古くは「ラネー触媒」とも呼ばれ、化学工業日報社発行「15107の化学商品」にその定義や一般的調製法が記載されているが、本発明の「スポンジ銅触媒」とは、上記合金粒子を展開及び乾燥して得られるものである。ここで、「展開」とは、上記合金をアルカリを用いて触媒として不活性な部分(合金に含有するアルミニウムや珪素)を溶出させ、触媒活性を発現させる操作をいい、これにより比表面積の大きな触媒を得ることができる。
【0013】
上記合金粒子は、少なくとも銅及びアルミニウムを含有し、合金粒子中における銅に対するアルミニウムの質量比(アルミニウム/銅)は、得られる触媒の活性、選択性及び耐久性の観点から、0.2〜6.0であることが好ましく、より好ましくは0.3〜2.5であり、更に好ましくは0.4〜1.5である。
【0014】
本発明においては、スポンジ銅触媒は、銅とアルミニウムに加えて、触媒活性、選択性の観点から、更に助触媒として他の元素を含有することができ、亜鉛、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、ルテニウム、及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが好ましい。助触媒としては、上記観点から、より好ましくは、亜鉛、マグネシウム、鉄及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の元素であり、より好ましくは、銅、アルミニウム、及び亜鉛を含むスポンジ銅触媒であり、更に好ましくは、銅、アルミニウム、亜鉛及びマグネシウムを含むスポンジ銅触媒である。本発明においては、前記合金粒子が、上記助触媒となる金属成分を含有することが好ましく、より好ましくは、亜鉛、マグネシウム、鉄及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、より好ましくは、合金粒子が銅、アルミニウム、及び亜鉛を含有し、更に好ましくは、合金粒子が銅、アルミニウム、亜鉛及びマグネシウムを含む。
【0015】
本発明におけるスポンジ銅触媒は、上記合金粒子を展開及び乾燥して得られるものであるが、展開は、具体的には、上記合金粒子を水中に懸濁させた後、アルカリ等で溶解させて触媒として不活性な部分を溶出させることによって行うことができる。
【0016】
上記展開に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等を用いることができ、製造コストの点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、これらは水溶液として使用することができる。上記アルカリの使用量は、該アルカリで溶解するアルミニウムや珪素の金属1モルに対して0.1〜4モルであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3モルである。また、当該アルカリによって上記合金粒子からアルミニウム等を溶解させる割合は、合金中のアルミニウム等の量に対し、40〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.5質量%である。
【0017】
上記展開の際の温度は、アルミニウム等がアルカリに溶解しうる温度であれば特に制限はないが、該溶解性の観点から、室温〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜95℃である。
本発明においては、展開の後、乾燥前に、必要に応じ、アルミニウム等の不活性部分の残存量制御を目的として所定の条件で熟成を行うことができ、また未反応のアルカリや、アルカリとアルミニウム等との反応生成物を除去するため、必要に応じ、水洗及び/又はろ過を行うこともできる。
【0018】
本発明におけるスポンジ銅触媒は、上記展開の後、乾燥を行うことにより得られる。展開粒子の乾燥は触媒活性、選択性及び耐久性の観点から、酸素又は空気雰囲気下で行って金属表面を酸化させることが好ましい。乾燥温度は、触媒活性、選択性及び耐久性の観点から、60〜500℃であることが好ましく、より好ましくは100〜400℃である。
本発明におけるスポンジ銅触媒は、例えば、前記合金粒子をイオン交換水中に懸濁させたものに上記アルカリ水溶液を添加して所定条件で展開し、次いで必要に応じ、上記熟成、水洗及び/又はろ過等を行った後に、所定温度で空気流通下、乾燥を行うことにより得られる。
【0019】
本発明におけるスポンジ銅触媒は、活性、選択性及び耐久性の観点から、銅を、金属銅として20〜90質量%含有することが好ましく、より好ましくは30〜85質量%、更に好ましくは35〜85質量%である。また、スポンジ銅触媒中における銅に対するアルミニウムの質量比(アルミニウム/銅)は、触媒活性、選択性及び耐久性の観点から、0.003〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.7であり、更に好ましくは0.007〜0.7である。本発明に用いるスポンジ銅触媒は、上記観点から、銅含有量とアルミニウム/銅の質量比のいずれの範囲も充足するものであることが好ましい。
【0020】
上記のようにして得られた本発明におけるスポンジ銅触媒には、前述の通り、助触媒として銅以外の他の元素を含有することができる。
本発明においては、上記助触媒は、触媒調製の際、前述のように、銅及びアルミニウムを含有する合金粒子に含有されていてもよいが、銅及びアルミニウムを含有する合金粒子と別に添加されてもよい。本発明においては、上記同様の観点から、銅、アルミニウム及び亜鉛を含有する合金粒子を展開及び焼成して得られるスポンジ銅触媒を使用することが好ましい。
上記助触媒のスポンジ触媒中おける含有量は、触媒活性、選択性の観点から、銅に対する助触媒の質量比(助触媒/銅)で、0.002〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.6であり、更に好ましくは0.003〜0.5である。
【0021】
上記各金属の含有量は、波長分散型蛍光X線装置を用いて定量することができる。具体的には、各元素を含む試料0.1gに四ホウ酸リチウム5g及び剥離剤(LiCO3:LiBr:LiNO3=5:1:5)を加えて、1050℃でアルカリ溶融し、ガラスビードを作成する。これを波長分散型蛍光X線装置(理学電機製ZSX100e)を使用して評価する。得られたX線強度を高純度の各元素試料を目的濃度に合わせて混合したものから得た検量線に照合して各金属の含有量を求める。
また、白金族元素については、硬質ガラス試験管に試料0.5gとその数十倍量の硫酸水素アンモニウムを入れて加熱分解した後、分解物を水で加温溶解し、溶液中の元素をICP発光分析法により測定する。
【0022】
本発明の第3級アミンの製造方法は、前記のようにして調製された触媒の存在下に、一般式(1)で表されるアミド化合物を水素雰囲気下で還元する工程(工程(a))を有する。以下、本発明の第3級アミンの製造方法について説明する。
本発明においては、前記のようにして調製された触媒の存在下に、一般式(1)で表されるアミドを水素化還元する。
この水素化還元反応は、生産性向上又は製造設備の負荷低減の点から、通常無溶媒下で行われ、水素雰囲気下、常圧又は水素加圧下で、また水素流通下、常圧又は加圧下で実施することができる。反応形式は、連続式、回分式のいずれであってもよく、回分式の場合、触媒の使用量は、反応性、選択性及び製造コスト低減などの観点から、一般式(1)のアミド化合物に対して、スポンジ銅触媒として0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは、1〜10質量%である。本発明に使用する触媒は、製造コスト低減の点から、反応終了後、回収再使用することができる。
【0023】
反応温度は、反応速度及び副生成物の抑制などの観点から、通常140〜300℃程度、好ましくは160〜280℃、更に好ましくは180℃〜270℃である。また、水素の流通量は、反応性、副生成物抑制及び生成水除去などの点から、前記一般式(1)で表わされるアミド化合物に対し、毎時0.1〜15倍モル量であることが好ましく、毎時0.3〜10倍モル量であることがより好ましく、更に好ましくは毎時0.5〜5倍モル量である。反応圧力は、反応速度及び設備負荷の抑制などの観点から、通常常圧乃至25MPaG(G:ゲージ圧)程度、好ましくは0.1〜10MPaG、より好ましくは0.1〜5MPaGである。
【0024】
上記反応は、反応を促進させる観点から、反応により生成する反応生成水を除去しながら行うことが好ましい。生成水を除去する方法としては、上記の水素流通あるいは水素/不活性ガス混合流通による反応系外への追い出し、共沸法等、通常脱水処理に用いられる方法がいずれも使用できる。このようにして、前記一般式(1)で表されるアミドを無溶媒下、温和な条件で水素化還元し、副生成物の少ない高純度の前記一般式(2)で表される3級アミンを高収率で製造することができる。
【0025】
本発明においては、上記工程(a)で得られた第3級アミンを、より一層選択性よく高純度化させる観点から、更に触媒の存在下、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を持つジアルキルアミンと水素を導入して処理することが好ましい(以下、「工程(b)」ということがある)。本発明においては、上記触媒として、生産性、製造コスト低減等の観点から、前記工程(a)で使用したスポンジ銅触媒を用いることが好ましい。
【0026】
この工程においては、上記得られた反応生成物に、更に炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を持つジアルキルアミンを導入して処理する。上記工程(a)においては、目的物の第3級アミンとともにアルコールが副生する。このアルコールは目的物の第3級アミンと沸点が近いことから、蒸留等による分離が困難である。従って、工程(b)においては、第3級アミンを更に高純度化するために、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するジアルキルアミンを導入して副生物のアルコールをジアルキル第3級アミンに転化する。工程(a)から工程(b)への移行は、生産性、副生成物抑制などの観点から、工程(a)で原料のアミド化合物がガスクロマトグラフィー測定で5質量%以下で実施するのが好ましく、1質量%以下で実施するのがより好ましい。
【0027】
工程(b)において使用するジアルキルアミンが有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、前記一般式(1)又は(2)におけるR2及びR3の各々として挙げられたものがいずれも挙げられ、第3級アミンの有用性の点から、好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基である。
この工程(b)の処理は、水素雰囲気下、常圧又は水素加圧下で、また水素流通下、常圧又は加圧下でも実施することができる。また、ジアルキルアミンの流通量は、反応性及び副生成物抑制の点から、原料のアミド化合物に対して、毎時0.001〜1倍モルであることが好ましく、より好ましくは毎時0.005〜0.5倍モル、更に好ましくは毎時0.01〜0.3倍モルである。
【0028】
処理温度は、反応性及び副生成物抑制の観点から、140〜270℃が好ましく、より好ましくは160〜260℃、更に好ましくは180℃〜250℃である。また、水素の流通量は、反応性、副生成物抑制及び生成水除去などの点から、アミド化合物に対し、毎時0.1〜15倍モル量であることが好ましく、より好ましくは毎時0.3〜10倍モル量、更に好ましくは毎時0.5〜5倍モル量である。処理圧力は、反応速度及び設備負荷の抑制などの観点から、常圧乃至15MPaGであることが好ましく、より好ましくは常圧乃至5MPaG、更に好ましくは常圧乃至3MPaGである。
【0029】
上記のような工程(b)を設けることにより、工程(a)とは異なる好ましい反応条件を選定することが可能なため、工程(a)において脂肪酸アミドを温和な条件で水素化還元して、得られた第3級アミンを更に高純度化することができる。この結果、副生成物の少ない高純度の脂肪族3級アミンを高収率で製造することができる。
【実施例】
【0030】
以下に本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、以下の製造例において、触媒中のRuを除く金属量は、波長分散型蛍光X線装置(理学電機製ZSX100e)を用い、Ru量については、IPC発光分析装置(JobinYbon製JY238)を用いて、前述の方法で行った。また、ガスクロマトグラフィーによる組成分析は下記装置を用いて行った。
・ガスクロマトグラフ装置:HEWLETT PACKARD Series 6890 ・カラム:J & W製DB−17(内径×長さ×フィルム厚さ:15m×0.25mm×0.5μm)
【0031】
触媒製造例1
Cu/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.0)30gを300mlのイオン交換水に懸濁させ、これを攪拌しながら、80℃まで昇温した。所定温度に到達後、合金粒子中のAlに対してNaOHとして2倍モルに相当する量の25質量%NaOH水溶液を滴下し、滴下終了後、同温度で2時間熟成して展開を行った。次いで、水洗(デカンテーション)及びろ過を行い、得られた展開粒子を空気雰囲気下、300℃で乾燥し、スポンジ銅触媒Aを得た。得られたスポンジ銅触媒Aの組成は、金属としてCuが79.5質量%、Alが0.8質量%(Al/Cu[質量比]:0.01)であった。
【0032】
触媒製造例2
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Zn/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.1、Zn/Cu[質量比]:0.1)30gを用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Bを得た。得られたスポンジ銅触媒Bの組成は、金属としてCuが74.0質量%、Znが7.1質量%、Alが0.6質量%(Al/Cu[質量比]:0.008、Zn/Cu[質量比]:0.1)であった。
【0033】
触媒製造例3
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Zn/Mg/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.18、Zn/Cu[質量比]:0.04、Mg/Cu[質量比]:0.007)30gを用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Cを得た。得られたスポンジ銅触媒Cの組成は、金属としてCuが73.4質量%、Znが3.2質量%、Mgが0.5質量%、Alが0.9質量%(Al/Cu[質量比]:0.01、Zn/Cu[質量比]:0.04、Mg/Cu[質量比]:0.007)であった。
【0034】
触媒製造例4
触媒製造例3において、組成の異なるCu/Zn/Mg/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.24、Zn/Cu[質量比]:0.23、Mg/Cu[質量比]:0.006)30gを用い、25質量%NaOH水溶液添加量を、合金粒子中のAlに対して1.5倍モルのNaOHに相当する量とし、展開温度を70℃とした以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Dを得た。得られたスポンジ銅触媒Dの組成は、金属としてCuが51.9質量%、Znが11.9質量%、Mgが0.3質量%、Alが10.8質量%(Al/Cu[質量比]:0.21、Zn/Cu[質量比]:0.23、Mg/Cu[質量比]:0.006)であった。
【0035】
触媒製造例5
触媒製造例4において、展開温度を80℃とした以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Eを得た。得られたスポンジ銅触媒Eの組成は、金属としてCuが56.6質量%、Znが13.8質量%、Mgが0.3質量%、Alが4.4質量%(Al/Cu[質量比]:0.08、Zn/Cu[質量比]:0.23、Mg/Cu[質量比]:0.005)であった。
【0036】
触媒製造例6
触媒製造例3において、組成の異なるCu/Zn/Mg/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.33、Zn/Cu[質量比]:0.3、Mg/Cu[質量比]:0.03)30gを用い、25質量%NaOH水溶液添加量を、合金粒子中のAlに対して1.3倍モルのNaOHに相当する量とした以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Fを得た。得られたスポンジ銅触媒Fの組成は、金属としてCuが43.3質量%、Znが13.1質量%、Mgが1.3質量%、Alが16.7質量%(Al/Cu[質量比]:0.39、Zn/Cu[質量比]:0.3、Mg/Cu[質量比]:0.03)であった。
【0037】
触媒製造例7
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Zn/Ru/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.02、Zn/Cu[質量比]:0.02、Ru/Cu[質量比]:0.004)30gを用い、15質量%NaOH水溶液を用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Gを得た。得られたスポンジ銅触媒Gの組成は、金属としてCuが79.0質量%、Znが1.4質量%、Ruが0.3質量%、Alが1.2質量%(Al/Cu[質量比]:0.02、Zn/Cu[質量比]:0.02、Ru/Cu[質量比]:0.004)であった。
【0038】
触媒製造例8
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Zn/Mo/Mn/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.19、Zn/Cu[質量比]:0.03、Mo/Cu[質量比]:0.01、Mn/Cu[質量比]:0.01)30gを用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Hを得た。得られたスポンジ銅触媒Hの組成は、金属としてCuが74.6質量%、Znが2.6質量%、Moが0.9質量%、Mnが0.9質量%、Alが0.7質量%(Al/Cu[質量比]:0.009、Zn/Cu[質量比]:0.04、Mo/Cu[質量比]:0.01、Mn/Cu[質量比]:0.01)であった。
【0039】
触媒製造例9
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Zn/V/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.19、Zn/Cu[質量比]:0.04、V/Cu[質量比]:0.01)30gを用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Iを得た。得られたスポンジ銅触媒Iの組成は、金属としてCuが71.3質量%、Znが2.9質量%、Vが1.0質量%、Alが1.1質量%(Al/Cu[質量比]:0.02、Zn/Cu[質量比]:0.04、V/Cu[質量比]:0.01)であった。
【0040】
触媒製造例10
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Fe/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.12、Fe/Cu[質量比]:0.13)30gを用い、得られた展開粒子を空気雰囲気下、400℃で乾燥した以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Jを得た。得られたスポンジ銅触媒Jの組成は、金属としてCuが56.6質量%、Feが7.1質量%、Alが1.0質量%(Al/Cu[質量比]:0.02、Fe/Cu[質量比]:0.13)であった。
【0041】
触媒製造例11
触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Mg/Fe/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.09、Mg/Cu[質量比]:0.007、Fe/Cu[質量比]:0.08)30gを用いた以外は同様の操作を行ってスポンジ銅触媒Kを得た。得られたスポンジ銅触媒Kの組成は、金属としてCuが73.4質量%、Mgが0.5質量%、Feが5.7質量%、Alが0.9質量%(Al/Cu[質量比]:0.01、Mg/Cu[質量比]:0.007、Fe/Cu[質量比]:0.08)であった。
なお、触媒製造例1〜11のいずれの触媒の金属組成においても、100から各金属の質量%の総和を差し引いた値は酸素の質量%に相当する。
【0042】
比較触媒製造例1
Cu/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:1.0)30gを300mlのイオン交換水に懸濁させ、これを攪拌しながら、80℃まで昇温した。所定温度に到達後、合金粒子中のAlに対してNaOHとして1.8倍モルに相当する量の25質量%NaOH水溶液を滴下し、滴下終了後、同温度で2時間熟成して展開を行った。次いで、水洗(デカンテーション)して水に懸濁した状態の触媒Lを得た。得られた触媒Lの組成は、金属としてCuが93.0質量%、Alが3.0質量%(Al/Cu[質量比]:0.03)であった。
【0043】
比較触媒製造例2
比較触媒製造例1において、Cu/Al合金粒子に代えて、Cu/Mo/Al合金粒子(Al/Cu[質量比]:0.82、Mo/Cu[質量比]:0.001)を用い、展開温度を70℃にした以外は同様の操作を行って水に懸濁した状態の触媒Mを得た。得られた触媒Mの組成は、金属としてCuが92.0質量%、Moが0.1質量%、Alが2.0質量%(Al/Cu[質量比]:0.02、Mo/Cu[質量比]:0.001)であった。
【0044】
実施例1〜10及び比較例1、2
回転式オートクレーブに、N,N−ジメチルラウロイルアミド300g、触媒製造例1〜10及び比較触媒製造例1、2の各々で調製した触媒A〜J及び触媒L、Mをそれぞれ5質量%(対原料アミド化合物)仕込み、窒素置換後、水素を導入し1.5MPaGまで昇圧した。その後、1.5MPaGの圧力を維持しながら、40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)の速度で水素を反応系内に導入した後250℃まで昇温し、水素還元反応を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで経時のアミド量及び組成分析を行い、反応開始後6時間時点での反応速度と原料アミドが5%まで減少した際のN,N−ジメチルラウリルアミンの生成量(質量%)を算出した。その結果を表1に示す。なお、触媒L及びMはいずれもシンタリングによる活性低下が著しくて反応が途中で停止したため、反応を追い詰めることができなかった。
【0045】
実施例11
実施例1において、N,N−ジメチルラウロイルアミド300gに代えてN,N−ジメチルステアロイルアミド300g、及び触媒Aに代えて触媒Kを用いた以外は同様の操作を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで経時のアミド量及び組成分析を行い、反応速度とN,N−ジメチルステアリルアミンの生成量(質量%)を算出した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例12
実施例2において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで0.5質量%になったことを確認した後、引き続いて温度、圧力、及び水素の導入速度を維持しつつ、加えてジメチルアミンを2〜1L/h(毎時0.07〜0.03倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して3時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。 なお、得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料アミドは検出限界以下であった。
【0048】
実施例13
実施例3において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで検出限界以下になったことを確認した後、引き続いて温度を220℃、圧力を常圧に変更し、水素の導入速度を40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)に維持しつつ、加えてジメチルアミンを6〜4L/h(毎時0.20〜0.14倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して3時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。
【0049】
実施例14
実施例5において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで0.6質量%になったことを確認した後、引き続いて温度は250℃のままで、圧力を0.5MPaGに変更し、水素の導入速度を40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)に維持しつつ、加えてジメチルアミンを2〜1L/h(毎時0.07〜0.03倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して2時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。なお、得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料アミドは検出限界以下であった。
【0050】
実施例15
実施例8において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで検出限界以下になったことを確認した後、引き続いて圧力を常圧に変更し、反応温度250℃、水素の導入速度を40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)に維持しつつ、加えてジメチルアミンを9〜8L/h(毎時0.30〜0.27倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して2時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。
【0051】
実施例16
実施例9において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで検出限界以下になったことを確認した後、引き続いて温度を220℃、圧力を常圧に変更し、水素の導入速度を40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)に維持しつつ、加えてジメチルアミンを6〜4L/h(毎時0.20〜0.14倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して3.5時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。
【0052】
実施例17
実施例10において、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで検出限界以下になったことを確認した後、引き続いて温度を220℃、圧力を常圧に変更し、水素の導入速度を40L/h(毎時1.35倍モル対原料アミド化合物)に維持しつつ、加えてジメチルアミンを3〜2L/h(毎時0.10〜0.07倍モル対原料アミド化合物)の速度で導入して2.5時間処理を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表2示す。
【0053】
【表2】

【0054】
比較例3
回転式オートクレーブに、N,N−ジメチルラウロイルアミド300g、市販のCu−Cr触媒(N.E.CHEMCAT社製Cu1800p)を仕込み、窒素置換後、水素を導入し圧力1.5MPaGまで昇圧した。その後1.5MPaGの圧力を維持しながら、水素を40L/h(毎時1.4倍モル対原料アミド化合物)の速度及びジメチルアミンを2〜1L/h(毎時0.07〜0.03倍モル対原料アミド化合物)の速度で反応系内に導入し、反応を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。反応生成物の組成はN,N−ジメチルラウロイルアミドが検出限界以下であり、N,N−ジメチルラウリルアミン82.9%、N,N−ジラウリルメチルアミン、12.4%、ラウリルアルコール0.6%であった。また、反応6時間時点における反応速度は36.4(×10-2mol/(kg・H))で、原料アミドが5%まで減少した際のN,N−ジメチルラウリルアミン生成量は78.4(質量%)であった。
【0055】
実施例18
実施例14において、反応生成物から濾別した触媒を全量回収した後、それを用いて実施例5と同様の操作を行った。その時の反応速度は57.3(×10-2mol/(kg・H))で、N,N−ジメチルラウリルアミン生成量は82.9(%)であった。また、反応生成物中に原料アミドがガスクロマトグラフィーで0.6質量%になったことを確認した後、引き続いて実施例14と同様の操作を行った。得られた反応生成物は触媒を濾別した後、ガスクロマトグラフィーで組成分析を行った。その結果を表3示す。得られた反応生成物中の原料アミドはガスクロマトグラフィーの分析から検出限界以下であり、回収した触媒を繰返し反応使用しても活性、選択性共に問題はみられなかった。
【0056】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の第3級アミンの製造方法は、副生成物の少ない高純度の脂肪族3級アミンを製造するものであり、本発明の方法により得られた脂肪族3級アミンは、家庭用や工業用分野における重要な中間体であって、例えば繊維柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、ガソリン添加剤、シャンプー、リンス、殺菌剤、洗浄剤など、幅広い用途に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅及びアルミニウムを含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるスポンジ銅触媒の存在下、一般式(I)
【化1】

(式中、R1は炭素数5〜23の直鎖状又は分岐の脂肪族炭化水素基、R2及びR3は各々炭素数1〜6の直鎖状又は分岐のアルキル基を示し、これらは同一又は異なっていてもよい。)
で表されるアミド化合物を還元する工程(a)を有する、一般式(2)
【化2】

(式中、R1 、R2及びR3はいずれも前記と同じ意味を示す。)
で表される第3級アミンの製造方法。
【請求項2】
スポンジ銅触媒が、更に亜鉛、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、ルテニウム、及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1記載の第3級アミンの製造方法。
【請求項3】
スポンジ銅触媒が、銅、アルミニウムに加えて、亜鉛、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄、ルテニウム及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する合金粒子を展開及び乾燥して得られるものである、請求項1又は2に記載の第3級アミンの製造方法。
【請求項4】
スポンジ銅触媒が、合金粒子を展開し、酸素又は空気雰囲気下で乾燥して得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の第3級アミンの製造方法。
【請求項5】
スポンジ銅触媒中の銅の含有量が金属銅として20〜90質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の第3級アミンの製造方法。
【請求項6】
スポンジ銅触媒の使用量が、一般式(1)で表わされるアミド化合物に対して0.1〜20質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の第3級アミンの製造方法
【請求項7】
工程(a)で得られた第3級アミンを、更に請求項1〜5のいずれかに記載のスポンジ銅触媒の存在下、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を持つジアルキルアミンと水素を導入して処理する工程(b)を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の第3級アミンの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の第3級アミンの製造方法に用いられる触媒。

【公開番号】特開2009−62328(P2009−62328A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232478(P2007−232478)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】