説明

含窒素縮合複素環化合物の製造方法

【課題】収率が高く、選択性が高い含窒素縮合複素環化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】例えば、化合物1−1、化合物2−1、エチレングリコールジメチルエーテル、トリフェニルホスフィン、ルテニウム触媒を加え、85〜90℃で3時間反応した。THF、NaCl水溶液を加え、減圧濾過後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。留分をカラム精製し、再結晶して本発明化合物3−1(収率79.8%)を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物の合成中間体及び有機エレクトロルミネッセンス用材料として有用な含窒素縮合複素環化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含窒素縮合複素環化合物は、有機化合物の合成中間体及び有機エレクトロルミネッセンス用材料として有用である。
【0003】
アリールハライドと含窒素縮合複素環化合物からC−C結合を形成して含窒素縮合複素環化合物を得る製造方法として、Ni触媒またはPd触媒存在下で行う方法が広く知られている(非特許文献1、2、3参照)。また、安価なFe等の触媒を用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、Ru触媒存在下でフェニルピリジンとアリールハライドを反応させ、C−C結合を形成する方法が知られている(非特許文献4、特許文献2)。これ等の方法は比較的高い収率で生成物が得られるが、さらに高い収率が望まれ、無置換のフェニルピリジンを用いた場合、反応中心が2つ存在するため副生物の生成が高く、選択性が高い製造方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−229243号公報
【特許文献2】特開2008−222687号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K.Tamao et al.,J.Am.Chem.Soc.,94巻、4374ページ(1972年)
【非特許文献2】E.Negishi et al.,J.Org.Chem.,42巻、1821ページ(1977年)
【非特許文献3】N.Miyaura et al.,Tetrahedron Lett.,20巻、3437ページ(1979年)
【非特許文献4】S.Oi et al.,Org.Lett.,3巻、2579ページ(2001年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、収率が高く、選択性が高い含窒素縮合複素環化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0009】
1.下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物をルテニウム触媒及びグリコールエーテル類の存在下で反応することにより、下記一般式(3a)または一般式(3b)で表される含窒素縮合複素環化合物を得ることを特徴とする含窒素縮合複素環化合物の製造方法。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Z、Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは単なる結合手または2価の連結基を表す。Xはハロゲン原子を表す。R、Rは水素原子または置換基を表す。R、Rは置換基を表す。n1、n2は0〜4の整数を表す。)
2.下記一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物を反応することにより、下記一般式(5a)または一般式(5b)で表される含窒素縮合複素環化合物を得ることを特徴とする前記1に記載の含窒素縮合複素環化合物の製造方法。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Z、Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Xはハロゲン原子を表す。R、Rは水素原子または置換基を表す。R、Rは置換基を表す。n1、n2は0〜4の整数を表す。)
3.前記グリコールエーテル類が、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテルまたはエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることを特徴とする前記1または2に記載の含窒素縮合複素環化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、収率が高く、選択性が高い含窒素縮合複素環化合物の製造方法を提供することができた。この含窒素縮合複素環化合物は、有機化合物の合成中間体及び有機エレクトロルミネッセンス用材料として有用な化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、前記一般式(1a)または一般式(1b)で表される化合物と、前記一般式(2)で表されるフェニルピリジン化合物を、ルテニウム触媒及びグリコールエーテル類の存在下で反応することにより、前記一般式(3a)または一般式(3b)で表される含窒素縮合複素環化合物が、高収率で、高選択性で得られることを見出し、本発明に至った。
【0016】
以下、本発明の構成要素、及び本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
【0017】
〔一般式(1a)、(1b)、(3a)、(3b)、(4a)、(4b)、(5a)、(5b)、(2)で表される化合物〕
上記各一般式において、Z、Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0018】
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾジオフェン環、カルバゾール環が挙げられる。これらのうちで好ましいものはベンゼン環である。
【0019】
芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、オキサゾール環が挙げられる。これらのうちで好ましいものはピリジン環である。
【0020】
は単なる結合手または2価の連結基を表す。
【0021】
単なる結合手とは、連結する置換基同士を直接結合する単なる結合手である。Zで表される2価の連結基としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン等の炭化水素基の他、ヘテロ原子を含むものであってもよく、またチオフェン−2,5−ジイル基やピラジン−2,3−ジイル基のような芳香族複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物ともいう)に由来する2価の連結基であってもよく、酸素や硫黄等のカルコゲン原子であってもよい。また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のようなヘテロ原子を介して連結する基でもよい。これらのうちで好ましいものは単なる結合手である。
【0022】
Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子として好ましいものは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、さらに好ましくは臭素原子である。
【0023】
n1、n2は0〜4の整数を表す。n1は0が好ましい。n2は0が好ましい。
【0024】
、Rは水素原子または置換基を表す。R、Rは置換基を表す。
【0025】
〜Rで表わされる置換基として、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、複素環基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、イミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル、2−(2−ピリジル)フェニル基等の各基が挙げられる。R、Rにおいて好ましいものは水素原子である。
【0026】
上記の基は、さらに置換基によって置換されていてもよく、置換基としては上記の基と同様の基が挙げられる。
【0027】
以下に、本発明に用いられる一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(4a)及び一般式(4b)で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0028】
【化3】

【0029】
以下に、本発明に用いられる一般式(2)で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0030】
【化4】

【0031】
以下に、本発明の製造方法で得られる一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(5a)及び一般式(5b)で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0032】
【化5】

【0033】
一般式(2)で表される化合物は、一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物1molに対して1〜10molの範囲で用いることが好ましいが、3〜5molの範囲で用いることが特に好ましい。
【0034】
〔グリコールエーテル類〕
本発明でグリコールエーテル類とは、エチレングリコール骨格を有するエーテル類を言い、好ましくはエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。この中でさらに好ましいものは、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルであり、さらに好ましいものはエチレングリコールジエチルエーテルである。
【0035】
前記グリコールエーテル類の使用量は、一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物に対して、質量比で1〜20倍が好ましく、特に好ましくは3〜10倍である。
【0036】
〔ルテニウム触媒〕
本発明に用いられるルテニウム触媒としては特に限定はないが、例えばベンゼンルテニウム(II)クロリド(ダイマー)、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)(ダイマー)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)ポリマー、[2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル]ルテニウム(II)ジクロリド、トリス(2,2′−ビピリジル)ルテニウム(II)クロリド六水和物等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ベンゼンルテニウム(II)クロリド(ダイマー)である。
【0037】
ルテニウム触媒は一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物1molに対して、0.01〜0.3molの範囲で用いることが好ましいが、0.01〜0.1molの範囲で用いることが特に好ましい。
【0038】
〔有機リン化合物〕
本発明の製造では、有機リン化合物を併用するのが好ましい。有機リン化合物として特に限定されないが、例えばトリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリフリルホスフィン、1,1だ−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が挙げられる。これらのうちで好ましいものはトリフェニルホスフィンである。
【0039】
上記有機リン化合物は一般式(1a)、一般式(1b)、一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物1molに対して0.01〜1molの範囲で用いることが好ましいが、0.05〜0.2molの範囲で用いることが特に好ましい。
【0040】
また、塩基を併用するのが好ましい。塩基としては、例えばアルカリ金属塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、燐酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムt−ブトキサイド等)、アミン誘導体(トリエチルアミン、テトラメチルグアニジン等)等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは炭酸カリウムである。
【0041】
反応温度は通常70〜200℃で行なわれるのが好ましく、80〜130℃で行なわれるのが特に好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
比較例1
(例示化合物3−1の合成)
下記スキームにより、例示化合物3−1を合成した。
【0044】
【化6】

【0045】
窒素気流下、例示化合物1−1 10g(0.0405mol)、例示化合物2−1 18.8g(例示化合物1−1の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−1の2倍mol)、1−メチルピロリジン−2−オン(NMP)50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−1の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−1の0.03倍mol)を加え、85〜90℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率84%、二量体副生物14%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−1 9.19g(収率70.7%)を得た。
【0046】
例示化合物3−1及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0047】
実施例1(本発明)
下記スキームにより、例示化合物3−1を合成した。
【0048】
【化7】

【0049】
窒素気流下、例示化合物1−1 10g(0.0405mol)、例示化合物2−1 18.8g(例示化合物1−1の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−1の2倍mol)、エチレングリコールジメチルエーテル50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−1の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−1の0.03倍mol)を加え、85〜90℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率90%、二量体副生物8.0%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−1 10.3g(収率79.8%)を得た。
【0050】
例示化合物3−1及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0051】
例示化合物3−1のNMRスペクトル:
H NMR(400MHz,CDCl):δ=8.64(dd,1H),8.57(dd,1H),8.39(d,1H),8.24(s,1H),7.77−7.69(m,2H),7.59−7.55(m,1H),7.50−7.47(m,2H),7.33(dd,1H),7.28(dd,1H),7.20(dd,1H),7.10(dd,1H),7.16(td,1H),6.91(d,1H)
実施例2(本発明)
下記スキームにより、例示化合物3−1を合成した。
【0052】
【化8】

【0053】
窒素気流下、例示化合物1−1 10g(0.0405mol)、例示化合物2−1 18.8g(例示化合物1−1の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−1の2倍mol)、エチレングリコールジエチルエーテル50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−1の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−1の0.03倍mol)を加え、115〜120℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率91%、二量体副生物7.0%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−1 10.5g(収率81.0%)を得た。
【0054】
例示化合物3−1及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0055】
実施例3(本発明)
下記スキームにより、例示化合物3−1を合成した。
【0056】
《例示化合物3−1の合成》
【0057】
【化9】

【0058】
窒素気流下、例示化合物1−1 10g(0.0405mol)、例示化合物2−1 18.8g(例示化合物1−1の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−1の2倍mol)、ジエチレングリコールジメチルエーテル50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−1の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−1の0.03倍mol)を加え、115〜120℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率88%、二量体副生物10%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−1 9.9g(収率76.0%)を得た。
【0059】
例示化合物3−1及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0060】
実施例4(本発明)
下記スキームにより、例示化合物3−11を合成した。
【0061】
【化10】

【0062】
窒素気流下、例示化合物1−13 10g(0.0405mol)、例示化合物2−7 20.6g(例示化合物1−13の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−13の2倍mol)、エチレングリコールジエチルエーテル50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−13の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−13の0.03倍mol)を加え、115〜120℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率91%、二量体副生物7.1%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−11 11.0g(収率81.0%)を得た。
【0063】
例示化合物3−11及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0064】
実施例5(本発明)
下記スキームにより、例示化合物3−14を合成した。
【0065】
【化11】

【0066】
窒素気流下、例示化合物1−17 6.1g(0.0405mol)、例示化合物2−6 20.6g(例示化合物1−17の3倍mol)、KCO 11.2g(例示化合物1−17の2倍mol)、エチレングリコールジエチルエーテル50mlを20分間攪拌した。トリフェニルホスフィン(PPh)1.1g(例示化合物1−17の0.1倍mol)、ルテニウム触媒〔RuCl(C)〕 0.61g(例示化合物1−17の0.03倍mol)を加え、120〜130℃で3時間攪拌した。反応液をHPLCで測定した結果、反応率89%、二量体副生物8.5%であった。反応液にTHF250ml、NaCl水溶液250mlを加え、減圧濾過で不要分を除去後、有機層を分離し、溶媒を減圧留去した。得られた留分をカラム精製し、アセトニトリルで再結晶し例示化合物3−14 9.1g(収率79.0%)を得た。
【0067】
例示化合物3−14及び二量体副生物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行った。
【0068】
その他の例示化合物も上記の方法に準じて合成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物をルテニウム触媒及びグリコールエーテル類の存在下で反応することにより、下記一般式(3a)または一般式(3b)で表される含窒素縮合複素環化合物を得ることを特徴とする含窒素縮合複素環化合物の製造方法。
【化1】

(式中、Z、Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは単なる結合手または2価の連結基を表す。Xはハロゲン原子を表す。R、Rは水素原子または置換基を表す。R、Rは置換基を表す。n1、n2は0〜4の整数を表す。)
【請求項2】
下記一般式(4a)または一般式(4b)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物を反応することにより、下記一般式(5a)または一般式(5b)で表される含窒素縮合複素環化合物を得ることを特徴とする請求項1に記載の含窒素縮合複素環化合物の製造方法。
【化2】

(式中、Z、Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Xはハロゲン原子を表す。R、Rは水素原子または置換基を表す。R、Rは置換基を表す。n1、n2は0〜4の整数を表す。)
【請求項3】
前記グリコールエーテル類が、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテルまたはエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることを特徴とする請求項1または2に記載の含窒素縮合複素環化合物の製造方法。

【公開番号】特開2012−193123(P2012−193123A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56303(P2011−56303)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】