説明

吸上げパイプ付き容器

【課題】コスト低減が図れ、容器底部の強度向上と共に残量を減少させることが可能な吸上げパイプ付き容器を提供する。
【解決手段】胴部2上端から起立する口頸部3へ液体吐出ポンプ30を装着させ、該液体吐出ポンプ30から胴部内へ吸上げパイプ50を直線状に垂下し、液体吐出ポンプ30を作動させることで吸上げパイプ50を介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設けた吸上げパイプ50付き容器であって、前記胴部の底壁4は胴部下外方へ突出する第1形態Aと、胴部内へ折り返された第2形態Bとを有し、該第2形態Bは前記胴部下端から胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁上面を斜め下前方へ傾斜させると共に、該周壁上面6を凹設して液留め部7に形成し、前記周壁後部外面と前記胴部の後部内面との間隙Sに残留した液体が前記周壁5上端を乗越えて液留め部7内へ流入可能に設け、該液留め部7内へ前記吸上げパイプ50下端を垂下した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胴部へ装着させた液体吐出ポンプから胴部内へ吸上げパイプを垂下させた吸上げパイプ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
胴部上端から起立する口頸部へ液体吐出ポンプを装着させ、該液体吐出ポンプから胴部内へ吸上げパイプを垂下し、液体吐出ポンプを作動させることで吸上げパイプを介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設けた吸上げパイプ付き容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−194317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は胴部内液体の残量をできるだけ少なくするべく、吸上げパイプを折曲してその下端を胴部の底部周縁へ位置させるようにしているが、吸上げパイプを折曲するためには専用の設備が必要となってコスト増大をもたらすという課題がある。本発明はかかる課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところはコスト低減が図れ、容器底部の強度向上と共に残量を減少させることが可能な吸上げパイプ付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、胴部2上端から起立する口頸部3へ液体吐出ポンプ30を装着させ、該液体吐出ポンプから胴部内へ吸上げパイプ50を直線状に垂下し、液体吐出ポンプを作動させることで吸上げパイプを介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設けた吸上げパイプ付き容器であって、
前記胴部の底壁4は胴部下外方へ突出する第1形態Aと、胴部内へ折り返された第2形態Bとを有し、
該第2形態Bは前記胴部下端から胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁上面を斜め下前方へ傾斜させると共に、該周壁上面6を凹設して液留め部7に形成し、前記周壁5外面と前記胴部2内面との間隙Sに残留した液体が前記周壁5上端を乗越えて液留め部7内へ流入可能に設け、
該液留め部7内へ前記吸上げパイプ50下端を垂下したことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記第2形態Bにおいて、前記胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部部分を前記円錐台状の周壁5下部へ接触させて載置用の脚筒20に形成したことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、前記液留め部7は斜め下後方へ傾斜する底面8と、該底面の周縁から斜め上外方へ立ち上がって前記円錐台状の周壁5上端へ交わる周面9とから形成されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記第1形態Aは前記胴部2下端から円錐台状の周壁10を垂下して、該周壁下面11を斜め上前方へ傾斜させると共に、該周壁下面11を凹設して、斜め上前方へ傾斜する前記液留め部底面8形成用面12と、該底面形成用面の周縁から斜め上外方へ立ち上がって前記円錐台状の周壁10下端へ交わる前記液留め部周面9形成用面13とから形成されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記吸上げパイプ50下面の少なくとも後部を斜め上後方へ傾斜させたことを特徴する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、胴部の底壁は胴部下外方へ突出する第1形態と、胴部内へ折り返された第2形態とを有するため、製造時には、胴部底壁を製作容易な第1形態として製作し、製造後には吸上げパイプと協働して残量を極力減少させることが可能な形状で、かつ安定した載置状態を保持し得る第2形態にすることができる。
【0011】
また、本発明は、第2形態は円錐台状の周壁上面を凹設したので、胴部下部の強度が向上すると共に、液留め部の周囲に残留した液体が液留め部内へ流入可能に設け、該液留め部内へ吸上げパイプ下端を垂下したので、胴部内液体の残量を極力少なくすることができる。
【0012】
さらに、本発明は、吸上げパイプを直線状に垂下したので、該パイプを折曲する必要がなく、したがって、コスト低減を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明は、くびれ部より下方の胴部部分を脚筒に形成したので、脚筒を載置部とすることで容器を安定保持させることができると共に、脚筒は二重壁で構成されるため、胴部下部の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る吸上げパイプ付き容器の断面図である。
【図2】第2形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
1は容器で、胴部2上端から肩部を介して口頸部3を起立し、該口頸部3へ後述する液体吐出ポンプを装着させている。
【0017】
胴部2の下端面を閉塞する底壁4は、胴部下外方へ突出する第1形態Aと、胴部内へ折り返された第2形態Bとを有する。まず、第2形態Bについて説明する。
【0018】
第2形態Bにおける底壁4は、胴部2下端から該胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁5上面6を斜め下前方へ傾斜させ、さらに、該周壁上面6を凹設して液留め部7に形成する。
【0019】
液留め部7は斜め下後方へ傾斜する底面8と、該底面8の周縁から斜め上外方へ立ち上がって周壁5上端へ交わる周面9とから形成されている。
【0020】
周壁5は円錐台状であるから、周壁5外面と胴部2内面との間には間隙Sが形成され、該間隙Sに液体が残留するが、この残留液体は、周壁5上端が斜め下前方へ傾斜しているため、周壁5上端を乗越えて液留め部7内へ流入可能である。
【0021】
次に第1形態Aについて説明する。第1形態Aにおける底壁4は、胴部2下端から円錐台状の周壁10を垂下して、該周壁10下面11を斜め上前方へ傾斜させると共に、該周壁下面11を凹設して、斜め上前方へ傾斜する液留め部底面8形成用面12と、該底面形成用面12の周縁から斜め上外方へ立ち上がって周壁10下端へ交わる液留め部周面9形成用面13とから形成されている。
【0022】
20は脚筒で、胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部2部分を周壁5の下端部へ接触させることにより形成されている。脚筒20は容器を載置面へ載置させる際の載置部となる。
【0023】
30は液体吐出ポンプであってシリンダを備えている。シリンダは胴部2内へ垂下するシリンダ本体31の上部外面に付設された外向きフランジ32を口頸部3上端へ載置させ、さらにシリンダ本体31下部に吸込弁を付設すると共に、シリンダ本体31下端から吸上げパイプ嵌合用の嵌合筒33を垂下している。
【0024】
34はシリンダ31内へ上下動自在に嵌挿された作動部材で、シリンダ31内へ上下動自在に嵌合された筒状ピストン35からステム36を起立させている。
【0025】
40はノズルヘッドで、ステム36上端へヘッド本体41を嵌合させると共に、該ヘッド本体41からノズル42を前方へ突設している。45はキャップで、口頸部3外面へ螺合させた筒体上端に内向きフランジを設けて、該内向きフランジでシリンダ本体31の外向きフランジ32を口頸部3上端へ圧接している。
【0026】
50は吸上げパイプで、シリンダ本体31下端から垂下する嵌合筒33内へ上部を嵌合させて下端を底壁4の液留め部7内へ垂下させている。この吸上げパイプ50の下端は、残量をできるだけ少なくするという観点から液留め部7の最深部に位置させることが好ましい。吸上げパイプ50としては従来品のようなくの字状に屈曲したものではなく、直線状に伸長するものを用いる。また、吸上げパイプ50の下端後部は斜め上後方へ傾斜させるのが好ましい。
【0027】
次に作用について説明する。製造時においては、底壁4は第1形態Aとなるように形成する。製造後、第1形態Aにおける底壁4を胴部2内へ折り返す。すると底壁4は第2形態Bを取る。このように底壁4を胴部2内へ折り返すことにより底壁4が第2形態Bを取る条件としては、底壁4を薄肉すること、あるいは弾性反転可能なように底壁4の肉厚をやや厚くして折り返し線を形成することが代表的である。
【0028】
第2形態Bの状態でノズルヘッド40を押下げると、吸上げパイプ50および作動部材34を介してノズル42から胴部内液体が所望の態様で吐出する。胴部内液体が減少すると、液体は凹部からなる液留め部7に貯留し、かつ液留め部7の底面には吸上げパイプ50の下端が近接しているため、残量を極力減少させることができる。残量は周壁外面と胴部内面との間隙Sにも残留するが、この残量は周壁5上端を乗越えて液留め部7内へ流入するため、胴部2内へ残ることがない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明はポンプ等の吐出機構が装着された容器体内の残量を極力減少させるようにした容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
2 胴部
3 口頸部
4 底壁
5 周壁
7 液留め部
8 底面
9 周面
10 周壁
11 下面
12 液留め部底面
13 液留め部周面
20 脚筒
30 液体吐出ポンプ
50 吸上げパイプ
A 第1形態
B 第2形態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部2上端から起立する口頸部3へ液体吐出ポンプ30を装着させ、該液体吐出ポンプから胴部内へ吸上げパイプ50を直線状に垂下し、液体吐出ポンプを作動させることで吸上げパイプを介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設けた吸上げパイプ付き容器であって、
前記胴部の底壁4は胴部下外方へ突出する第1形態Aと、胴部内へ折り返された第2形態Bとを有し、
該第2形態Bは前記胴部下端から胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁上面を斜め下前方へ傾斜させると共に、該周壁上面6を凹設して液留め部7に形成し、前記周壁5外面と前記胴部2内面との間隙Sに残留した液体が前記周壁5上端を乗越えて液留め部7内へ流入可能に設け、
該液留め部7内へ前記吸上げパイプ50下端を垂下した
ことを特徴とする吸上げパイプ付き容器。
【請求項2】
前記第2形態Bにおいて、前記胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部部分を前記円錐台状の周壁5下部へ接触させて載置用の脚筒20に形成したことを特徴とする請求項1記載の吸上げパイプ付き容器。
【請求項3】
前記液留め部7は斜め下後方へ傾斜する底面8と、該底面の周縁から斜め上外方へ立ち上がって前記円錐台状の周壁5上端へ交わる周面9とから形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の吸上げパイプ付き容器。
【請求項4】
前記第1形態Aは前記胴部2下端から円錐台状の周壁10を垂下して、該周壁下面11を斜め上前方へ傾斜させると共に、該周壁下面11を凹設して、斜め上前方へ傾斜する前記液留め部底面8形成用面12と、該底面形成用面の周縁から斜め上外方へ立ち上がって前記円錐台状の周壁10下端へ交わる前記液留め部周面9形成用面13とから形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸上げパイプ付き容器。
【請求項5】
前記吸上げパイプ50下面の少なくとも後部を斜め上後方へ傾斜させたことを特徴する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の吸上げパイプ付き容器。






【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−173686(P2010−173686A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18058(P2009−18058)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】