説明

吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品

【課題】
ゲル通液速度及び荷重下吸収量に優れた吸収性樹脂粒子を提供することである。
【解決手段】
アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
スメクタイト(B)とを含み、
(A)及び(B)の水分散体を混合する工程及び/又は(B)の水分散体の存在下、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を重合反応させる工程を含む製造方法により製造され、
(B)の水分散体積平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする吸収性樹脂粒子を用いる。スメクタイト(B)はヘクトライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト及びサポナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。スメクタイト(B)の含有量はアクリル酸(塩)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.01〜5重量%が好ましい。吸収性樹脂粒子の荷重下吸収量は15〜27g/g、またゲル通液速度は30〜250ml/分が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、この製造方法、これを含む吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲル通液速度に優れた吸収性樹脂粒子として、架橋重合体と水不溶性球状単粒子{酸化ケイ素やポリスチレン等}とからなる吸水剤(特許文献1)や、架橋重合体と無機微粒子{硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、(ポリ)塩化アルミニウム、シリカ、アルミナ、ベントナイト等}とからなる水性液吸収剤(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−225565号公報
【特許文献2】特開2005−288265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吸水剤や水性液吸収剤では荷重下吸収量が十分でなく、その結果、従来の吸収剤や水性液吸収剤を吸収性物品(紙おむつ等)に適用したとき、使用者が装着した状態で座ったり横になったような場合、被吸収液体の吸収性能が低下しカブレ等の問題を生じやすい。そして、このようなカブレ等の問題がない吸収性物品、これに使用し得る吸収性樹脂粒子が強く望まれている。
すなわち、本発明の目的は、ゲル通液速度及び荷重下吸収量に優れた吸収性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吸収性樹脂粒子の特徴は、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
スメクタイト(B)とを含み、
(A)及び(B)の水分散体を混合する工程及び/又は(B)の水分散体の存在下、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を重合反応させる工程を含む製造方法により製造され、
(B)の水分散体積平均粒径が10〜100nmである点を要旨とする。
【0006】
本発明の吸収体は、上記の吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる点を要旨とする。
【0007】
本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を備えてなる点を要旨とする。
【0008】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法の特徴は、スメクタイト(B)の水分散体の存在下、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を重合反応させて吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含み、
(B)の水分散体積平均粒径が10〜100nmである点を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性樹脂粒子は、ゲル通液速度及び荷重下吸収量が共に格段に優れる。
したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)に適用したとき、どのような状態においても優れた吸収性能(吸収量及び吸収速度)を発揮し、カブレが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ゲル通液速度を測定するための濾過円筒管を模式的に表した断面図である。
【図2】ゲル通液速度を測定するための加圧軸及びおもりを模式的に表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}のビニルモノマー等が使用できる。
【0012】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}のビニルモノマー等が使用できる。なお、加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0013】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0014】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0016】
吸収性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
【0017】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
【0018】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0019】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0020】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0021】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
スメクタイト(B)としては、ヘクトライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト及びサポナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれる。これらのうち、ヘクトライトが好ましい。これらのスメクタイト(B)は2種以上の混合物であってもよい。
【0023】
スメクタイトとして(B)の水分散体積平均粒径(nm)は、10〜100が好ましく、さらに好ましくは20〜50、特に好ましくは25〜30である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0024】
なお、水分散体積平均粒径は、測定試料を2重量%の水分散液にし{水の攪拌下、測定試料を少しずつ加えながら分散するのが一般的であるが、必要に応じて、加熱したり、高速分散機(ホモジナイザー等)や分散剤を用いてもよい。}、動的光散乱測定法により測定される{たとえば、株式会社堀場製作所製動的光散乱式粒径分布測定装置:LB−550、25℃}。
【0025】
スメクタイト(B)は、市場から容易に入手でき、たとえば、ヘクトライト{Rockwood社製のLaponite RD、Laponite XLG、Laponite D、Laponite DF、Laponite RS、Laponite XLS、Laponite DS、Laponite S及びLaponite JS等};モンモリロナイト{クニミネ工業株式会社製クニピアF(「クニピア」は同社の登録商標である。)};及びサポナイト{クニミネ工業株式会社製スメクトンSA(「スメクトン」は同社の登録商標である。)}等が好ましく例示できる。
【0026】
スメタイト(B)の含有量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0027】
本発明の吸収性樹脂粒子の荷重下吸収量(g/g)は、吸収特性の観点から、15〜27が好ましく、さらに好ましくは17〜25、特に好ましくは19〜23である。
【0028】
なお、荷重下吸収量は以下のようにして測定される。
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、250〜500μmの粒子径にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:310.6g、外径:24.5mm、)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
【0029】

荷重下吸収量(g/g)={(M2)−(M1)}/0.16

【0030】
本発明の吸収性樹脂粒子のゲル通液速度(ml/分)は、吸収特性の観点から、30〜250が好ましく、さらに好ましくは50〜150、特に好ましくは70〜100である。
【0031】
なお、ゲル通液速度は以下のようにして測定される(図1及び2参照)。
測定試料0.32gを150ml生理食塩水(1;食塩濃度0.9重量%)に30分間浸漬して含水ゲル粒子(2)を調製する。そして、垂直に立てた円筒(3){直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から40mlの位置及び60mlの位置に目盛り線(4、5)が設けてある。}の底部に、金網{6;目開き106μm、JIS Z8801−1:2006}と、開閉自在のコック{7;内径5mm、長さ10cm}とを有する濾過円筒管内に、コック(7)を閉鎖した状態で、調製した含水ゲル粒子(2)を生理食塩水と共に移した後、この含水ゲル粒子(2)の上に円形金網{8;目開き150μm、直径25mm}が金網面に対して垂直に結合する加圧軸(9;重さ22g、長さ47cm)を金網と含水ゲル粒子とが接触するように載せ、さらに加圧軸(9)におもり{10;88.5g}を載せ、1分間静置する。引き続き、コック(6)を開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線(4)から40ml目盛り線(5)になるのに要する時間(T1;秒)を計測し、次式よりゲル通液速度(ml/分)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
【0032】

ゲル通液速度(ml/分)=20ml×60/(T1−T2)

【0033】
なお、T2は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。
【0034】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等}を含むことができる。
【0035】
本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0036】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm及び150μm、並びに受け皿の順、又は上から500μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0037】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0038】
本発明の吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ等に適用したとき、繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点及び吸収性能の観点から、不定形破砕状及びパール状が好ましい。
【0039】
本発明の吸収性樹脂粒子は、<1>水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)及び必要に応じてその他のビニルモノマー(a3)を重合反応させて架橋重合体(A)を得る工程(1)と、架橋重合体(A)及びスメクタイト(B)を混合し、吸収性樹脂粒子を得る工程(2)とを含む方法;又は<2>スメクタイト(B)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)及び必要によりその他のビニルモノマー(a3)を重合反応させて吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含む方法等により製造することができる。
【0040】
工程(1)は、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にして達成できる。
【0041】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0042】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0043】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0044】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜2である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0045】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0046】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0047】
架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された吸収性樹脂粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0048】
架橋重合体の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0049】
架橋重合体(A)は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知{たとえば、特開昭59−189103号、特開昭58−180233号、特開昭61−16903号、特開昭61−211305号、特開昭61−252212号、特開昭51−136588号及び特開昭61−257235号等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0050】
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0051】
表面架橋処理をする場合、表面架橋処理の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の方法が適用できる。
【0052】
工程(2)において、架橋重合体(A)及びスメクタイト(B)を混合する方法(順序)としては、(2−1)架橋重合体(A)と水からなる含水ゲルと、スメクタイト(B)とを混合する方法;(2−2)架橋重合体(A)の乾燥粒子と、スメクタイト(B)とを混合する方法が含まれる。これらのうち、吸収特性の観点から、(2−2)が好ましい。
【0053】
スメクタイト(B)は、粉体又は分散体のいずれの形態で使用してもよいが、均一混合しやすさの観点等から、分散体で用いることが好ましい。分散体で用いる場合、溶媒としては水等が好ましい。分散濃度(重量%)としては、0.5〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜10である。
【0054】
スメクタイト(B)の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0055】
混合温度(℃)は、30〜150が好ましく、さらに好ましくは40〜120、特に好ましくは50〜100である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0056】
混合装置としては、公知の装置{双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機、タービュライザー、円筒型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型混合機、粉砕型ニーダー、溝型混合機、鋤型混合機等}が使用できる。これらは複数個を組み合わせて使用できる。
【0057】
(2−1)架橋重合体(A)と水からなる含水ゲルと、スメクタイト(B)とを混合したり、スメクタイト(B)を分散体の形態で使用する場合、混合後に、溶媒(有機溶媒、水等)を留去することが好ましい。
【0058】
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0059】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜2である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0060】
工程(3)において、スメクタイト(B)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)及び必要によりその他のビニルモノマー(a3)を重合反応させる方法としては、スメクタイト(B)を存在させる点を除いて、工程(1)の水溶液重合や逆相懸濁重合と同様である。なお、逆相懸濁重合の場合、スメクタイト(B)は水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)及び必要によりその他のビニルモノマー(a3)に混合しておくことが好ましい。
【0061】
スメクタイト(B)の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0062】
重合によって得られる含水ゲル{吸収性樹脂粒子と水とを含む}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。細断は上記と同様に公知の方法で行うことがでる。
【0063】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0064】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜2である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0065】
溶媒(有機溶媒、水等)を留去する方法としては上記と同様にして行うことができる。
工程(3)で得られる吸収性樹脂粒子は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については上記と同様である。粉砕された吸収性樹脂粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0066】
工程(3)で得られる吸収性樹脂粒子は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋処理は、架橋重合体(A)の表面架橋処理と同様にして行える。
【0067】
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号、特開2006−131767号及び特開2005−097569号等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、荷重下吸収量、ゲル通液速度は前述した方法により測定した。
【0069】
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}135部(1.88モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.44部(0.0017モル部)及び脱イオン水363部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.5部、2%アスコルビン酸水溶液1部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.3部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0070】
次にこの含水ゲル(1)をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{140℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、架橋重合体粒子{乾燥粒子}を得た。ついで、架橋重合体粒子{乾燥粒子}100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30)}5部とを添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、架橋重合体粒子(A1)を得た。架橋重合体粒子(A1)の重量平均粒子径は300μmであった。
【0071】
<製造例2>
「水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸}135部(1.88モル部)」を「水溶性ビニルモノマー(a1−2){アクリル酸ナトリウム}127部(1.35モル部)及び水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸}38部(0.53モル部)」に変更したこと、「架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.44部(0.0017モル部)」を「架橋剤(b2){N,N´−メチレンビス(アクリルアミド)}0.2部(0.0013モル部)」に変更したこと、及び「30%水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合・中和しなかったこと」以外、製造例1と同様にして、架橋重合体粒子(A2)を得た。架橋重合体粒子(A2)の重量平均粒子径は400μmであった。
【0072】
<製造例3>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B1){Laponite RD、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合して、ヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)を得た。
【0073】
<製造例4>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B1){Laponite RD、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合した後、さらにバイオミキサー(日本精機株式会社製ABM−2型)で30分間攪拌して、ヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径50nm、濃度2%}(B1−2)を得た。
【0074】
<製造例5>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B2){Laponite XLG、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合して、ヘクトライト(B2)の水分散液{分散体積平均粒径25nm、濃度2%}(B2−1)を得た。
【0075】
<製造例6>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B2){Laponite XLG、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合し、さらにバイオミキサー(日本精機株式会社製、ABM−2型)で30分攪拌して、ヘクトライト(B2)の水分散液{分散体積平均粒径10nm、濃度2%}(B2−2)を得た。
【0076】
<製造例7>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B3){Laponite RS、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合してヘクトライト(B3)の水分散液{分散体積平均粒径30nm、濃度2%}(B3−1)を得た。
【0077】
<製造例8>
脱イオン水490部を攪拌しながら、これにヘクトライト(B4){Laponite XLS、Rockwood社製会社製}10部を添加し、均一混合してヘクトライト(B4)の水分散液{分散体積平均粒径20nm、濃度2%}(B4−1)を得た。
【0078】
<実施例1>
製造例1で得られた架橋重合体粒子(A1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.01重量%}とを添加し、均一混合した後、80℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は300μmであった。
【0079】
<実施例2>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「製造例4で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径50nm、濃度2%}(B1−2)2.5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.05重量%}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒子径は305μmであった。
【0080】
<実施例3>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「製造例5で得られたヘクトライト(B2)の水分散液{分散体積平均粒径25nm、濃度2%}(B2−1)5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.1>重量%}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒子径は310μmであった。
【0081】
<実施例4>
「製造例1で得られた架橋重合体粒子(A1)100部」を「製造例2で得られた架橋重合体粒子(A2)100部」に変更したこと、及び「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「製造例6で得られたヘクトライト(B2)の水分散液{分散体積平均粒径10nm、濃度2%}(B2−2)5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.1重量%}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。吸収性樹脂粒子(4)の重量平均粒子径は410μmであった。
【0082】
<実施例5>
製造例1で得られた架橋重合体粒子(A1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、脱イオン水5部を添加し、均一混合した後、コニカルブレンダー(ホソカワミクロン製)に移し、これにヘクトライト(B1)1部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて1重量%}を添加し均一混合した後、80℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。吸収性樹脂粒子(5)の重量平均粒子径は310μmであった。
【0083】
<実施例6>
ヘクトライト(B1)を「1部」から「3部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて3重量%}」に変更したこと以外、実施例5と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。吸収性樹脂粒子(6)の重量平均粒子径は310μmであった。
【0084】
<実施例7>
製造例1で得た含水ゲル(1)をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部及びヘクトライト(B2)8.257部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて5重量%}を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{140℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、乾燥粒子を得た。ついで、乾燥粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30)}5部とを添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。吸収性樹脂粒子(7)の重量平均粒子径は400μmであった。
【0085】
<実施例8>
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸}133.8部(1.86モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.14部(0.00055モル部)、及び製造例5で得られたヘクトライト(B2)の水分散液{分散体積平均粒径25nm、濃度2%}(B2−1)359.46部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて4.4重量%}を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、2%ペルオキソ二硫酸カリウム水溶液3.38部、及び1%アスコルビン酸水溶液2.03部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(2)を得た。
【0086】
次にこの含水ゲル(2)をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液180部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{140℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、乾燥粒子を得た。ついで、乾燥粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30)}5部を添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。吸収性樹脂粒子(8)の重量平均粒子径は400μmであった。
【0087】
<実施例9>
シクロヘキサン121.2部及びソルビタンモノステアレート0.9部を均一溶解させた後、窒素ガスを吹き込んで、溶存酸素量を1ppm以下として、反応溶媒を調整した。一方、アクリル酸45部(0.63モル部)及び水6.4部の混合液に、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液70部を加えて、カルボキシ基の70モル%を中和した。次いで、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.0054部(0.000031モル部)、次亜リン酸ナトリウム0.0546部及び2,2‘−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド0.031部を加えて溶解させて、モノマー溶液を調整した。
【0088】
ついで、反応溶媒を攪拌しながら、これにモノマー溶液を分散させた後、窒素をバブリングしながら、分散液の温度を60℃に加熱して、引き続き60±2℃に保ちながら2時間重合させて、含水ゲル粒子を得た。引き続き、60℃から80℃に加熱して、シクロヘキサンと水との共沸により水を留去させて、含水ゲル粒子中の水分を約20%とした。ついで、沈降した含水ゲル粒子をデカンテーションによりシクロヘキサン相から分離した後、分離した含水ゲル粒子を減圧乾燥(80〜90℃、0.01MPa)して架橋重合体粒子{乾燥粒子}(A3)を得た。この架橋重合体粒子{乾燥粒子}(A3)30部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30)}5部と製造例7で得られたヘクトライト(B3)の水分散液{分散体積平均粒径30nm、濃度2%}(B3−1)1.5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.1重量%}とを添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。吸収性樹脂粒子(9)の重量平均粒子径は300μmであった。
【0089】
<実施例10>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「製造例8で得られたヘクトライト(B4)の水分散液{分散体積平均粒径20nm、濃度2%}(B4−1)5部{水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.1重量%}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。吸収性樹脂粒子(10)の重量平均粒子径は310μmであった。
【0090】
<比較例1>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「硫酸アルミニウム水和物{13〜14水和物、住友化学工業株式会社製}1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。吸収性樹脂粒子(H1)の重量平均粒子径は300μmであった。
【0091】
<比較例2>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「カリウムミョウバン{硫酸カリウムアルミニウム12水和物、高杉製薬株式会社製}1.6部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。吸収性樹脂粒子(H2)の重量平均粒子径は300μmであった。
【0092】
<比較例3>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「酸化ケイ素の水分散液(D1){MP−2040(酸化ケイ素の濃度40重量%、分散体積平均粒径は200nm)、日産化学工業株式会社製}0.75部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。吸収性樹脂粒子(H3)の重量平均粒子径は305μmであった。
【0093】
<比較例4>
「製造例3で得られたヘクトライト(B1)の水分散液{分散体積平均粒径100nm、濃度2%}(B1−1)0.5部」を「酸化ケイ素の水分散液(D2){KLEBOSOL 30CAL25(酸化ケイ素の濃度30重量%、分散体積平均粒径は25nm)、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製}1部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H4)を得た。吸収性樹脂粒子(H4)の重量平均粒子径は305μmであった。
【0094】
実施例1〜10及び比較例1〜4で得た吸収性樹脂粒子について、荷重下吸収量及びゲル通液速度の性能評価結果を表1に示した。
【0095】
【表1】

【0096】
表1から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子(実施例1〜9)は、比較例1〜4の吸収性樹脂粒子に比べ、荷重下吸収量及びゲル通液速度が著しく優れていた。
実施例1〜10及び比較例1〜4で得た吸収性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表2に示した。
【0097】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製>
フラッフパルプ100部と評価試料{吸収性樹脂粒子}100部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/m2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5Kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、吸収体を得た。この吸収体を14cm×36cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつを調製した。
【0098】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equpment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央にSDME検出器を載せて、表面ドライネス値を測定を開始し、測定開始から5分後の値を表面ドライネス値とした。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0099】
【表2】

【0100】
表2から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、比較用の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品に比べ、表面ドライネス値が著しく優れていた。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を適用した吸収性物品は漏れやカブレ等の心配がないことが容易に予測される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 生理食塩水
2 含水ゲル粒子
3 円筒
6 金網
7 コック
8 円形金網
9 加圧軸
10 おもり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
スメクタイト(B)とを含み、
(A)及び(B)の水分散体を混合する工程及び/又は(B)の水分散体の存在下、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を重合反応させる工程を含む製造方法により製造され、
(B)の水分散体積平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
スメクタイト(B)がヘクトライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト及びサポナイトからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
スメクタイト(B)の含有量がアクリル酸(塩)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.01〜5重量%である請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
荷重下吸収量が15〜27g/g、ゲル通液速度が30〜250ml/分である請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。
【請求項7】
スメクタイト(B)の水分散体の存在下、アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を重合反応させて吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含み、
(B)の水分散体積平均粒径が10〜100nmであることを特徴とする吸収性樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
スメクタイト(B)の使用量がアクリル酸(塩)及び架橋剤(b)の重量に基づいて0.01〜5重量%である請求項7に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49868(P2013−49868A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−260324(P2012−260324)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2007−291180(P2007−291180)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】