説明

吸収性樹脂粒子、これを用いてなる吸収体及び吸収性物品

【課題】
従来の消臭性の吸水性樹脂を用いた場合、悪臭の軽減は計れるものの、消臭効果があるのは一回目の排尿に対する悪臭に対してのみである。吸収性物品を使用する場合、一度の排尿ですぐに交換することは少なく、複数回排尿後に交換する場合が多いことから、従来の消臭性吸収性樹脂では消臭効果が不十分である。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と消臭性物質(C)とを含有してなる吸収性樹脂粒子であり、吸収性樹脂粒子の内部に(C)が(A)の重量に対して0.01〜5.0重量%存在してなる吸収性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂粒子、これを用いてなる吸収体及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性樹脂粒子は自重の数十倍から数百倍の液体を吸収する特徴から主に衛生用品などに広く使用されてきた。しかしながら吸収性樹脂粒子は尿、経血などの液体を吸収、保持するものの、それ自体は消臭機能をほとんど有していない。尿、血液、体液などの液体は特有の不快な臭気を有しており、更に空気および/またはバクテリアによって腐敗しやすく、腐敗により悪臭を発散することから、吸収性能と消臭性能の両方を満足する材料の出現が要望されてきた。この両方を満足させる方法として、吸水性樹脂とゼオライトとの粉体同士の混合物(特許文献1〜3)、活性炭を吸水性樹脂でコーティングした組成物(特許文献4)、吸水性樹脂と抗菌剤とから成る組成物(特許文献5)、重合溶液中にゼオライトスラリーを混合し重合した後、該溶液を不織布に噴霧し乾燥して得られる吸水性材料(特許文献6)、吸収性樹脂の粒子内部にゼオライト粉末を分散させた消臭性樹脂組成物(特許文献7)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−25813号公報
【特許文献2】特開昭59−179114号公報
【特許文献3】特開昭59−189854号公報
【特許文献4】特開昭56−31425号公報
【特許文献5】特公平3−14867号公報
【特許文献6】特開平2−84957号公報
【特許文献7】特開平8−176338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の吸水性樹脂(組成物)、吸水性材料又は消臭性樹脂組成物を用いた場合、悪臭の軽減は計れるものの、消臭効果があるのは一回目の排尿に対する悪臭に対してのみである。吸収性物品を使用する場合、一度の排尿ですぐに交換することは少なく、複数回排尿後に交換する場合が多いことから、従来の消臭性吸収性樹脂では消臭効果が不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題点を鑑みて、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と消臭性物質(C)とを含有してなる吸収性樹脂粒子であり、吸収性樹脂粒子の内部に(C)が(A)の重量に対して0.01〜5.0重量%存在してなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性樹脂粒子は、おむつやナプキン、ペットシートなどの吸収性物品に適用した場合、複数回排尿後も1回目と変わらない消臭性を発揮することができる。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収体又は吸収性物品は、複数回排尿し長時間使用した場合でも悪臭の発生を抑え、装着者及び周囲の人々への不快感を著しく低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
【0009】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0010】
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0011】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0013】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0014】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単量体とする単量体には、これらの他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を含むことができる
【0016】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
【0017】
その他のビニルモノマー(a3)を含む場合、その他のビニルモノマー(a3)の使用量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)を使用しないことが最も好ましい。
【0018】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単量体とする単量体を共重合し架橋重合体(A)を得る方法としては、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にしてできる。
【0019】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体(A)と水とからなる。}は、必要に応じて細断することができる。細断する場合、細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。
【0020】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0021】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0022】
消臭性物質(C)としては、ゼオライト、活性炭、フラボノイド化合物、シクロデキストリン及び複合ケイ酸金属塩等が含まれる。
【0023】
ゼオライトとしては、天然及び合成ゼオライトのどちらも用いることができる。ゼオライトは、三次元骨格構造をもち、一般式M2/n0・・NaO・Al・2.5SiO・xHOで表される(一般式中のxは結晶水の数を表す整数で、Mは陽イオン、nは陽イオンの原子価を示す)。陽イオンの種類としては、アルカリ金属(ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属(カルシウムイオン、マグネシウムイオン)、アンモニウムイオン等が挙げられる。
【0024】
フラボノイド化合物としては、イネ、松、ヒノキ及び笹等の植物からの抽出物質であり、市販品としては「フレシュライマツ」(白井松新薬社製)、「スメラル」(環境科学開発社製)等が挙げられる。
【0025】
シクロデキストリンとしては、α−又はβ−シクロデキストリン、ヒドロキシメチルシクロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン及びヒドロキシブチルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0026】
複合ケイ酸金属塩とは、シリカ、アルミナ及び金属酸化物から構成されるケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩であり、SiO・MOn/2 またはSiO・MOn/2 ・Al(Mは亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタン、バリウム、スズ、マグネシウム及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を表し、nは金属の原子価を表わす)等が挙げられる。
【0027】
消臭性物質として使用する複合ケイ酸金属塩は、市販品を使用することができる。市販の複合ケイ酸金属塩としては、セピオライト(楠本化成株式会社製)、ミズカナイト(水澤化学工業株式会社製)及びシュークレンズ(ラサ工業株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
消臭性物質(C)のうち、消臭および吸収性能の観点から、好ましくは複合ケイ酸金属塩であり、特に好ましくはミズカナイトである。
【0029】
本発明の吸収性樹脂粒子の内部には、消臭性物質(C)が、架橋重合体(A)の重量に対して、0.01〜5.0重量%存在してなる。内部に存在する量としては複数回使用時の消臭性能の観点から、0.01〜3.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.0重量%である。吸収性樹脂粒子の内部に存在する(C)の量が0.01重量%未満では消臭性能が悪くなり、5.0重量%を超えると吸収性能が悪くなる。
【0030】
なお、上述した消臭性物質(C)の吸収性樹脂粒子内部の含有量は下記の方法で測定される。
<吸収性樹脂粒子内部に存在する消臭性物質の含有量(重量%)の測定法>
ガラス製のビーカーに吸収性樹脂粒子1重量部とメタノール100重量部を加え、室温で10分間回転数600rpmにて攪拌する。攪拌終了後すぐに、上澄みメタノールをデカンテーションにて別の容器に移す。このビーカーに再びメタノール100重量部を加え、同様の操作をさらに4回行う。得られた上澄みメタノールを事前に秤量したナスフラスコに採取し、エバポレーターを用い40℃でメタノールを蒸発させた後、秤量する。メタノール蒸発後の重量から事前に秤量したナスフラスコの重量を減じたものを算出し蒸発乾固物の重量部を求める。吸収性樹脂粒子内部に存在する消臭性物質の含有量(重量%)は、消臭性物質の仕込重量%から蒸発乾固物の重量を100倍したものを引いた値とする。
【0031】
消臭性物質(C)の形状としては、消臭性能の観点から、粒子状であることが好ましい。消臭性物質(C)の重量平均粒子径は、製造時の作業性及び消臭性能の観点から、0.01〜100μmが好ましく、より好ましくは0.05〜50μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
【0032】
本発明の吸収性樹脂粒子は、無機質粉末(D)をさらに含有させることもでき、吸収性樹脂粒子の表面に含有させることが好ましい。無機質粉末(D)としては、親水性無機物粒子(d1)及び疎水性無機粒子(d2)等が含まれる。
親水性無機物粒子(d1)としては、ガラス、シリカゲル、シリカ及びクレー等の粒子が挙げられる。
疎水性無機物粒子(d2)としては、炭素繊維、カオリン、タルク及びシラス等の粒子が挙げられる。
これらのうち、親水性無機粒子(d1)が好ましく、最も好ましいのはシリカである。
【0033】
親水性無機粒子(d1)及び疎水性無機粒子(d2)の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、吸収性能の観点から、不定形(破砕状)及び真球状が好ましく、さらに好ましくは真球状である。
【0034】
吸収性樹脂粒子の無機質粉末(D)の含有量(重量%)は、吸収性能の観点から、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.1〜0.8、特に好ましくは0.2〜0.7、最も好ましくは0.3〜0.6である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。特に、吸収性樹脂粒子の表面に存在する無機質粉末(D)の含有量(重量%)が、この範囲であることが好ましい。
【0035】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0036】
本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0037】
微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。
【0038】
なお、重量平均粒子径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0039】
本発明の吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、吸収性能の観点から0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。
【0040】
本発明の吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ等に適用したとき、繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点及び吸収性能の観点から、不定形破砕状及びパール状が好ましく、不定形破砕状が特に好ましい。
【0041】
本発明の吸収性樹脂粒子は、以下の製造方法で好ましく製造することができる。すなわち、上述した架橋重合体(A)の製造方法において、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(a3)を必須構成単量体(a)とする単量体を共重合して架橋重合体(A)を得た後、(A)と消臭性物質(C)とを混合して架橋重合体(A)/消臭性物質複合体ゲルを得る工程(1)を含んでなり、(C)を吸収性樹脂粒子の内部に架橋重合体(A)の重量に基づき0.01〜5.0%重量含有する吸収性樹脂粒子の製造方法が好ましい。
【0042】
<工程(1)について>
架橋重合体(A)と消臭性物質(C)とを混合する方法としては、(1)架橋重合体(A)と水からなる含水ゲルと、消臭性物質(C)とを混合する方法;(2)架橋重合体(A)(乾燥粒子)と、消臭性物質(B)とを混合する方法が含まれる。これらのうち、吸収性能等の観点から、(1)の方法が好ましい。
【0043】
架橋重合体(A)と消臭性物質(C)との混合温度(℃)は、30〜150が好ましく、さらに好ましくは40〜120、特に好ましくは50〜100である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収性能がさらに良好となる。
【0044】
架橋重合体(A)と消臭性物質(C)との混合装置としては、公知の装置{双腕型ニーダー、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、ギアコンパウンダー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機、タービュライザー、円筒型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型混合機、粉砕型ニーダー、溝型混合機、鋤型混合機等}が使用できる。これらは複数個を組み合わせて使用できる。
【0045】
工程(1)において、混合する前の消臭性物質(C)の重量平均粒子径については、前述した重量平均粒子径と同様の範囲が好ましく、また、混合する前の消臭性物質(C)の性状についても同様に前述したものが好ましい。
【0046】
工程(1)で得た架橋重合体(A)/消臭性物質複合体ゲルは、後処理により吸収性樹脂粒子に導くことができる。
後処理としては、細断、溶媒留去(乾燥)、粉砕、粒度調節、表面架橋及び添加剤の混合等が含まれる。これらの後処理は組み合わせて行ってもよいし、いずれか一つだけ行ってもよい。また、後処理の順番に制限はなく、適宜決定されるが、上記の順序が好ましい。なお、これらの後処理のうち、乾燥を含むことが好ましい。また、水溶液重合を採用する場合、さらに、粉砕を含むことが好ましい。
【0047】
<細断>
細断は、公知の方法で行うことができ、公知の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0048】
細断する場合、細断後の複合体ゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、さらに取り扱いしやすくなることの他に、この後に溶媒を留去する場合、溶媒をさらに留去しやすくなり、また、その後に粉砕する場合、さらに粉砕しやすくなる。
【0049】
<溶媒留去(乾燥)>
架橋重合体(A)を製造する重合工程において、溶媒(有機溶媒及び水等)を使用した場合、この溶媒を留去することが好ましい。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0050】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜7、最も好ましくは0〜3である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後のハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0051】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器{株式会社ケット科学研究所製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0052】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法及び赤外線による乾燥法等が適用できる。
なお、溶媒留去に先立ち、デカンテーション及び濾過等により、溶媒を除くことができる。
【0053】
<粉砕>
粉砕は溶媒を留去した後に行うことが好ましい。
粉砕方法は特に限定がなく、公知の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等により粉砕できる。
【0054】
<粒度調節>
粉砕された粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調節される。
【0055】
<表面架橋>
裁断された細断ゲル又は粉砕された粒子は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。
表面架橋剤としては、公知{たとえば、特開昭59−189103号、特開昭58−180233号、特開昭61−16903号、特開昭61−211305号、特開昭61−252212号、特開昭51−136588号及び特開昭61−257235号等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収性能の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0056】
表面架橋をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋の条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収性能の観点等から、必須構成単量体(a)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0057】
表面架橋をする場合、表面架橋方法は、公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の方法が適用できる。
【0058】
<添加剤の混合>
細断ゲル、乾燥粒子、粉砕粒子又は表面架橋粒子等には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等}を混合することができる。
他の添加剤を混合する場合、均一混合できれば混合方法に制限はなく、公知の混合方法が適用できる。
【0059】
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。
【0060】
本発明の吸収性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)40/60〜70/30が好ましく、さらに好ましくは50/50〜60/40である。
【実施例】
【0061】
<製造例1>
水溶性ビニルモノマーとしてアクリル酸(a1−1)108.5部(1.51モル部)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル(b1)0.35部(0.0014モル部)及び脱イオン水389.9部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1重量%過酸化水素水溶液0.43部及び2重量%アスコルビン酸水溶液0.81部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が60℃に達した後、60±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体(A1)含水ゲル(G1)を得た。
【0062】
<製造例2>
水溶性ビニルモノマーとしてアクリル酸(a1−1)29.9部(0.41モル部)、アクリル酸ナトリウム(a1−2)100.3部(1.07モル部)、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(b2)0.23部(0.00134モル部)、及び脱イオン水492.2部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素ガスを流入させて、混合物中の溶存酸素量を1ppm以下とした後、1重量%過酸化水素水溶液0.43部及び2重量%アスコルビン酸水溶液0.80部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が60℃に達した後、60±2℃で約8時間重合することにより架橋重合体(A2)含水ゲル(G2)を得た。
【0063】
<実施例1>
製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(G1)400部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、35重量%水酸化ナトリウム水溶液99.2部を添加して混合・中和し、引き続き消臭性物質として{「ミズカナイトAP」(水澤化学工業株式会社製)}(C1)1.06部を添加して混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.5部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。
【0064】
<実施例2>
「{「ミズカナイトAP」(水澤化学工業株式会社製)}(C1)」を「{「ミズカナイトHP」(水澤化学工業株式会社製)}(C2)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0065】
<実施例3>
「{「ミズカナイトAP」(水澤化学工業株式会社製)}(C1)」を「{セピオライト『PANSIL』(楠本化成製)}(C3)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0066】
<実施例4>
「{「ミズカナイトAP」(水澤化学工業株式会社製)}(C1)」を「{『シュークレンズKD−311』(ラサ工業製)}(C4)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0067】
<実施例5>
「(C2)1.06部」を「(C2)0.01部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0068】
<実施例6>
「(C2)1.06部」を「(C2)5.30部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0069】
<実施例7>
製造例2で得た架橋重合体含水ゲル(G2)400部に消臭性物質(C)として{「ミズカナイトAP」(水澤化学工業株式会社製)}(C1)1.06部を加え、ミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で混合し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.5部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0070】
<比較例1>
製造例1で得た架橋重合体含水ゲル(G1)400部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら、35重量%水酸化ナトリウム水溶液99.2部を添加して混合・中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.5部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)を得た。
【0071】
<比較例2>
製造例2で得た架橋重合体含水ゲル(G2)400部を通気型バンド乾燥機{90℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、粉砕粒子を得た。ついで、粉砕粒子100部を高速攪拌(ホソカワミクロン株式会社製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度9重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール=70/30;重量比)}5.5部を添加し、均一混合した後、90℃で45分間静置して、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。
【0072】
<比較例3>
比較例1で得られた吸収性樹脂粒子(H1)100部と「「ミズカナイトHP」(C2)」1部を粉体混合して比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。
【0073】
<比較例4>
「(C2)1.06部」を「(C2)0.005部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H4)を得た。
【0074】
<比較例5>
「(C2)1.06部」を「(C2)10.60部」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H5)を得た。
【0075】
以下の方法で、吸収性樹脂粒子の複数回使用時の消臭性について評価した。
<複数回使用時の消臭性試験>
100ccの密閉容器に、吸収性樹脂粒子1.0gと成人新鮮尿15mlを入れて吸収させ密閉した後、40℃に設定した恒温槽内で1時間保管する。その後、無臭室内で容器の蓋を開けて臭いを嗅ぎ、1回目の臭気強度を評価する。評価後、容器の蓋を開けた状態で1時間放置し、再び成人新鮮尿15mlを入れて吸収させる。1回目と同様の操作を行い、2回目の臭気強度を評価する。この操作をもう一度行い、合計3回臭気強度を評価する。臭気強度は次の6段階で評価し、評価はT&Tオルファクトメーター法にて臭気判定能力確認済みの10人のパネラーで実施し、10人の平均値を求めた。
【0076】
0:無臭
1:やっと感知できる臭い(感知イキ値濃度)
2:何の臭いかわかる弱い臭い(認知イキ値濃度)
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
【0077】
【表1】

【0078】
表1から分かるように、実施例1〜7で得られた吸収性樹脂粒子は、複数回使用しても消臭性に優れていることがわかる。それに対し、比較例1〜5で得られた吸収性樹脂粒子は、1回目の消臭性には優れているものの、2回目以降は消臭効果が著しく低下しており、複数回使用時の消臭性に劣っていることがわかる。
【0079】
本発明の吸収性樹脂を、吸収性物品に適用したときの吸収特性を評価した。実施例1〜7及び比較例1、2で得た吸収性樹脂粒子を用いて、以下のようにして吸収性物品(紙おむつ)を調製し、SDME法による表面ドライネス値を評価し、この結果を表2に示した。
【0080】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製>
フラッフパルプ120部と評価試料{吸収性樹脂粒子}80部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/mとなるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cmの圧力で30秒間プレスし、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を調製した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は40/60であった。
【0081】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右{紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所}にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値をそれぞれ表面ドライネス値(1−1){中央}、表面ドライネス値(1−2){左}、表面ドライネス値(1−3){右}とした。
なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0082】
【表2】

【0083】
表2から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、比較用の吸収性樹脂粒子と同等の吸収特性を有している。
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、複数回使用時の消臭性能を有していても、吸収性物品に適用したとき、消臭性を持たない一般的な吸収性樹脂と変わらない吸収特性を持つことが示された。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を適用した吸収性物品を使用しても、カブレやモレ性能に問題ないということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と消臭性物質(C)とを含有してなる吸収性樹脂粒子であり、吸収性樹脂粒子の内部に(C)が(A)の重量に対して0.01〜5.0重量%存在してなる吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
消臭性物質(C)が複合ケイ酸金属塩である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
消臭性物質(C)が粒子状であり、(C)の重量平均粒子径が0.01〜100μmである請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
吸収性樹脂粒子の形状が不定形破砕状である請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載された吸収体を用いた吸収性物品。


【公開番号】特開2012−12455(P2012−12455A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148955(P2010−148955)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】