説明

吸収性物品の包装体

【課題】視覚障害者が所望の吸収性物品を容易に選択することができる包装体を提供する。
【解決手段】包装体1は、包装袋3の内部に複数の吸収性物品9を収容したものである。略直方体の包装袋3の上面11、前面13、後面14および側面15,16には、吸収性物品9の種類やサイズ、収容枚数等を示す製品情報が視認可能に表示された第1情報表示部21が配置される。また、吸収性物品9の製品情報が点字により表示された第2情報表示部22が、包装袋3の上面11に接続される把持部17に配置される。第2情報表示部22は、点字が形成されたシート状の情報部材が把持部17に貼付されることにより設けられる。これにより、視覚障害者が、把持部17に触れることにより包装袋3の内部に収容された吸収性物品9の製品情報を入手し、所望の吸収性物品9を容易に選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつや使い捨ておむつの内側に取り付けられる補助吸収具(例えば、尿取りパッド)等の吸収性物品は、複数個が積層されて積層方向に圧縮された状態で包装袋に収容されて販売されている。包装体の形状は通常、略直方体となっており、当該包装体の前面、後面および両側面には、内部に収容された吸収性物品の種類やサイズ、収容枚数等の情報が視認可能に表示されている。
【0003】
一方、特許文献1および特許文献2では、スナック菓子等の食品や散薬等を包装するフィルム製の包装袋において、商品名や賞味期限、開封方法等の情報を点字にて熱シール部に表示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−292091号公報
【特許文献2】特開平11−301700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような吸収性物品は、視覚障害者が自分で着用することがあまり想定されておらず、内部に収容された吸収性物品の種類やサイズ、収容枚数等の情報は、包装袋の外面に視認可能に印刷されているのみであった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、視覚障害者が所望の吸収性物品を容易に選択することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、吸収性物品の包装体であって、包装シート部材にて形成された包装袋と、前記包装袋に収容された複数の吸収性物品とを備え、前記包装袋の形状が、前面、後面、2つの側面、上面および下面を有する略直方体であり、前記包装袋が、前記上面またはその周囲の部位に接続される把持部を有し、前記吸収性物品の製品情報が触覚により認識可能な凸部により表示された触覚表示部が前記把持部に設けられる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品の包装体であって、前記把持部が、前記上面から上方に伸びるシートであり、把持する際に指が挿入される開口を有し、前記触覚表示部が、前記把持部の前記開口の上側の部位に配置される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品の包装体であって、前記凸部が形成されたシート状の情報部材が前記把持部の前記開口の前記上側の部位に貼付されることにより前記触覚表示部が設けられる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品の包装体であって、前記把持部を熱硬化させることにより前記凸部が形成される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品の包装体であって、前記把持部に塗布した発泡インクを膨張させることにより前記凸部が形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、視覚障害者が所望の吸収性物品を容易に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一の実施の形態に係る包装体の斜視図である。
【図2】他の包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る包装体1を示す斜視図である。包装体1は、吸収性物品9のパッケージであり、包装袋3の内部に複数の吸収性物品9を収容した構造を有する。包装袋3は、包装シート部材にて袋状に形成されたものであり、包装袋3には、複数の吸収性物品9が図1中のX方向に積層されて圧縮された状態で収容される。包装シート部材としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂製の柔軟な可撓性フィルムが利用される。吸収性物品9は、使い捨ておむつや使い捨ておむつの内側に取り付けられる補助吸収具(例えば、尿取りパッド)、生理用品等であり、図1では、それぞれ2つ折りにされた約20枚の吸収性物品9が包装袋3に収容されている。なお、包装体1では、例えば、複数の吸収性物品9が上下方向に2段以上積み重ねられた状態で包装袋の内部に収容されてもよい。
【0015】
複数の吸収性物品9を収容した状態における包装袋3の形状は略直方体である。包装袋3は、複数の吸収性物品9の(+Z)側および(−Z)側をそれぞれ覆う上面11および下面12、複数の吸収性物品9の(−Y)側および(+Y)側をそれぞれ覆う前面13および後面14、並びに、複数の吸収性物品9の(+X)側および(−X)側をそれぞれ覆う2つの側面15,16を有する。なお、包装袋3の上面11、下面12、前面13、後面14および側面15,16は、包装体1の上面、下面、前面、後面および側面でもある。
【0016】
前面13は、通常、商品名や商品の特徴が大きく記載される面であり、前面13および後面14の水平方向(X方向)の幅は、2つの側面15,16の水平方向(Y方向)の幅よりも大きい。前面13および後面14の双方に大きく商品名等が記載される場合は、いずれの面が前面または後面と捉えられてもよい。上面11は、複数の吸収性物品9の周囲を囲む前面13、後面14および2つの側面15,16により下面12に接続される。
【0017】
包装袋3は、さらに、上面11のY方向のおよそ中央に接続される把持部17を有する。把持部17は、上面11から上方(すなわち、(+Z)方向)に伸びるシートであり、上面11のX方向のおよそ全長に亘って設けられる。把持部17のX方向のおよそ中央には開口171が形成されている。包装体1の使用者等が把持部17を把持する際には、使用者等の指が開口171に挿入され、把持部17の開口171の上側の部位(すなわち、上面11から離れている側の部位)が把持される。
【0018】
包装袋3では、第1情報表示部21が上面11、前面13、後面14、並びに、(+X)側および(−X)側の側面15,16に配置されており、第1情報表示部21には、吸収性物品9の製品情報や、購買意欲の向上を図る模様等の装飾が視認可能に表示される。製品情報とは、吸収性物品9の種類やサイズ、収容枚数等、包装体1を購入したり使用する際に購入者や使用者が通常必要とする様々な情報を指す。第1情報表示部21は、包装袋3を形成する包装シート部材の外面に、通常のインクにより製品情報を印刷することにより設けられる。
【0019】
包装袋3では、また、第2情報表示部22が、把持部17の(+Y)側および(−Y)側の面に設けられ、開口171の周囲の全周に亘って配置される。第2情報表示部22には、吸収性物品9の製品情報が点字により表示される。点字による情報の表示とは、当該情報が触覚により認識可能とされることであり、視覚による認識を可能とする通常の情報表示とは異なる。第2情報表示部22に表示される製品情報は、通常、第1情報表示部21に表示される製品情報の一部(例えば、吸収性物品9の種類とサイズ)である。
【0020】
第2情報表示部22は、点字が形成されたシート状の情報部材が、把持部17の開口171の周囲にホットメルト接着剤等により貼付されることにより設けられる。当該情報部材としては、好ましくは、包装シート部材に比べて厚くて丈夫な樹脂製のシート部材が利用される。包装体1では、第2情報表示部22の製品情報は、必ずしも点字により表示される必要はなく、触覚により認識可能な凸部により表示されていればよい。凸部による表示とは、例えば、凸部の形状や複数の凸部の配置の違いにより製品の種類やサイズ等を判別可能とすることを指す。また、凸部による表示には、第2情報表示部22内の所定箇所における凸部の有無により製品の種類やサイズ等を判別可能とすることも含む。
【0021】
ところで、吸収性物品の着用者の居宅等において複数種類の吸収性物品(例えば、テープタイプおよびパンツタイプの使い捨ておむつ、並びに、昼用および夜用の補助吸収具)がそれぞれ包装袋に収容された状態で床上に載置されたり、棚上にて横倒しにして(すなわち、前面13、後面14および側面15,16のうちの一の面を下にした状態で)保管されている場合、視覚障害者である着用者が吸収性物品を取り出そうとすると、着用者は包装袋3の上面11から突出する把持部17に触れる可能性が高い。包装体1では、把持部17の第2情報表示部22が、上述のように、吸収性物品9の製品情報が触覚により認識可能な凸部により表示される触覚表示部となっているため、視覚障害者が複数種類の包装体1の把持部17に触れることにより、各包装袋3の内部に収容された吸収性物品9の製品情報を入手する(すなわち、触覚により読み取る)ことができる。その結果、視覚障害者が、所望の吸収性物品9を容易に選択することができる。
【0022】
包装体1では、吸収性物品9を包装袋3から取り出すための取り出し開口は、包装袋3の上面11近傍に設けられる(例えば、前面13から上面11にかけて設けられる)ことが多い。包装体1は、通常、当該取り出し開口が着用者の手の届きやすい位置に位置するように置かれるため、上面11に接続される把持部17も着用者の手の届きやすい位置に位置する。したがって、着用者は把持部17に設けられた第2情報表示部22に容易に触れることができる。その結果、視覚障害を有する着用者が、所望の吸収性物品9をより容易に選択することができる。さらに、把持部17が包装袋3の上面11から突出しているため、着用者が触れた際に把持部17であることを容易に認識することができる。このように、認識が容易な把持部17に第2情報表示部22を設けることにより、視覚障害者が、所望の吸収性物品9をさらに容易に選択することができる。
【0023】
包装袋3では、把持部17を把持する際に手が触れる可能性が高い開口171の周囲に第2情報表示部22が配置される。これにより、視覚障害者による吸収性物品9の製品情報の入手をより容易とすることができる。第2情報表示部22は、開口171の周囲であればどの部位に配置されてもよいが、把持部17を把持する際に手が触れる可能性がより高い把持部17の上側の部位に少なくとも配置されることがより好ましい。これにより、視覚障害者による吸収性物品9の製品情報の入手をさらに容易とすることができる。
【0024】
また、包装袋3では、点字等の凸部が形成されたシート状の情報部材が、把持部17に貼付されることにより、第2情報表示部22を容易に形成することができる。さらに、情報部材が把持部17の開口171の周囲に貼付されることにより、把持部17の開口171近傍の部位の強度を向上することができる。第2情報表示部22となる情報部材は、開口171の周囲であればどの部位に貼付されてもよいが、把持部17を把持して包装体1を運搬する際に最も大きい荷重が加わる把持部17の上側の部位に少なくとも貼付されることがより好ましい。これにより、包装体1の運搬時に吸収性物品9の重量等により把持部17が破損することを抑制することができる。
【0025】
包装袋3では、第2情報表示部22として、必ずしもシート状の情報部材が把持部17に貼付される必要はない。例えば、点字等の凸部に対応する突起が形成された加熱ツールと、当該突起に対応する窪みが形成された加熱ツールとにより把持部17を挟み、把持部17の外面を熱硬化させることにより第2情報表示部22の凸部が形成されてもよい。この場合も、情報部材の貼付と同様に、第2情報表示部22を容易に形成することができる。また、情報部材を使用する必要がないため、包装袋3の材料コストを低減することができる。
【0026】
第2情報表示部22の凸部は、把持部17の外面にインクジェットプリンタ等により発泡インクを塗布し、当該発泡インクを加熱して膨張させることにより形成されてもよい。この場合も、第2情報表示部22を容易に形成することができる。また、凸部の形状や配置等を容易に変更することができるため、発泡インクによる凸部の形成は、複数種類の包装袋に対して第2情報表示部22を形成する場合に特に適している。さらに、発泡インクとして有色インクが利用され、第2情報表示部22において凸部が視認可能な装飾とされてもよい。これにより、第2情報表示部22を、晴眼者の購買意欲を向上させる領域として利用することができる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0028】
把持部17の形状は必ずしも包装袋3の上面11から上方に伸びるシート状である必要はなく、例えば、図2に示すように、1本の細い帯状(または、紐状)の部材の両端部が包装袋3の前面13の上部(すなわち、上面11の周囲の部位)に熱圧着等により接続され、もう1本の同様の部材の両端部が包装袋3の後面14の上部に熱圧着等により接続されることにより、把持部17aが形成されてもよい。この場合であっても、把持部17aの2本の帯状部材のうち少なくとも一方に(より好ましくは、両方に)、図中において平行斜線を付す第2情報表示部22が設けられることにより、視覚障害者が、所望の吸収性物品9を容易に選択することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 包装体
3 包装袋
9 吸収性物品
11 上面
12 下面
13 前面
14 後面
15,16 側面
17,17a 把持部
21 第1情報表示部
22 第2情報表示部
171 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の包装体であって、
包装シート部材にて形成された包装袋と、
前記包装袋に収容された複数の吸収性物品と、
を備え、
前記包装袋の形状が、前面、後面、2つの側面、上面および下面を有する略直方体であり、
前記包装袋が、前記上面またはその周囲の部位に接続される把持部を有し、
前記吸収性物品の製品情報が触覚により認識可能な凸部により表示された触覚表示部が前記把持部に設けられることを特徴とする吸収性物品の包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品の包装体であって、
前記把持部が、前記上面から上方に伸びるシートであり、把持する際に指が挿入される開口を有し、
前記触覚表示部が、前記把持部の前記開口の上側の部位に配置されることを特徴とする吸収性物品の包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品の包装体であって、
前記凸部が形成されたシート状の情報部材が前記把持部の前記開口の前記上側の部位に貼付されることにより前記触覚表示部が設けられることを特徴とする吸収性物品の包装体。
【請求項4】
請求項2に記載の吸収性物品の包装体であって、
前記把持部を熱硬化させることにより前記凸部が形成されることを特徴とする吸収性物品の包装体。
【請求項5】
請求項1または2に記載の吸収性物品の包装体であって、
前記把持部に塗布した発泡インクを膨張させることにより前記凸部が形成されることを特徴とする吸収性物品の包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−184077(P2011−184077A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52177(P2010−52177)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】