説明

吸収性物品用包装体

【課題】包装体を開封する際にそこに付されたミシン目等の破断誘導線を目視認識しやすく、開封後においても内部の吸収性物品の個装体を見つけて取り出しやすい包装体を提供する。
【解決手段】破断誘導線を開封面に有し、複数の板状個装体を密封収納してなる包装体であって、前記複数の板状個装体は積層して整列されており、前記板状個装体が折り畳まれてなす折り山部には着色が施され、その着色を有する折り山部を前記包装袋の開封面に向け配置され、前記着色は、前記破断誘導線が伸びる方向の着色長さについて該破断誘導線位置にあるものから離れるものにつれ徐々に短くされている吸収性物品の包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンやパンティライナーなどの吸収性物品を収納した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の包装は単にものを包み保管性を高めることはもとより、そのものの貯蔵や分配、運搬を容易にするために行われる。昨今包装の役割は大きく様変わりし、そうした包装本来の機能の範囲に留まらず、使用者の携帯に関する利便性の向上や、広告宣伝機能、さらには内部の製品品質や性能と関係した機能を担うようにもなってきている。生理用ナプキンやパンティライナーなどについても同様であり、単に梱包するというだけでなく、様々な工夫が凝らされている。例えば、この種の物品の包装において、利便性やデザインを重視した包装設計も提案され始めてきている。具体的には、包装体のデザインの一部として内部の生理用ナプキンに文字情報や図柄を施し、これを包装体の外側からでも視認できるようにしたものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−223757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の製品の包装体には、その開封を容易にし所定の位置のみが裂けるように破断を誘導するミシン目等が設けられたものがある。このミシン目は通常、極めて細く短い切込線からなるものであるため、開口色もなく周囲のフィルムと同化しなかなか見づらいことがある。そうすると急いでいるときになかなか見付けることができず使用者に焦燥感を与えることにもなりかねない。また、この種の包装体は清潔感のある乳白色を基調とすることが多いため、光が反射しやすく、ミシン目の認識はさらに難しくなる。このような包装体、特に生理用ナプキンの個装体を収納した包装体においてその生産性を大きく低下させることなく、しかも清潔感を損なわずにミシン目等の破断誘導線を見つけやすくすることが望まれる。
本発明は、上記の点に鑑み、包装体を開封する際にそこに付されたミシン目等の破断誘導線を目視認識しやすく、開封後においても内部の吸収性物品の個装体を見つけて取り出しやすい包装体を提供することを課題とする。また本発明は、上記のような包装形態の良化によるこの種物品の利便性及び付加価値の向上を、製造効率や製造コストを損なわずに実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、破断誘導線を開封面に有する包装袋に、複数の板状個装体を密封収納してなる包装体であって、前記複数の板状個装体は積層して整列されており、前記板状個装体は、吸収性物品に個装シートを重ね該個装シート側を折り山にして折り畳まれており、前記板状個装体が折り畳まれてなす折り山部には着色が施され、その着色を有する折り山部を前記包装袋の開封面に向け配置され、前記板状個装体の折り山部の着色は、前記破断誘導線が伸びる方向の着色長さについて該破断誘導線位置にあるものから離れるものにつれ徐々に短くされている吸収性物品の包装体を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装体は、包装体を開封する際にそこに付されたミシン目等の破断誘導線を目視認識しやすく、開封後においても内部の吸収性物品の個装体を見つけて取り出しやすいという作用効果を奏する。また本発明の包装体は、上記のような包装形態の良化によるこの種物品の利便性及び付加価値の向上を、製造効率や製造コストを損なわずに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態(実施形態1)に係る包装体についてその内部の吸収性物品の個装体とともに模式的に示す斜視図である。
【図2】実施形態1の包装体に収納される個装体の1つを展開した個装前駆体を模式的に示す説明図であり、(a)は個装シート側から見た状態を示す斜視図であり、(b)はb−b断面図である。
【図3】実施形態1の包装体の破断誘導線を破断して開封した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態(実施形態2)の包装体を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態(実施形態1)に係る包装体10についてその内部の吸収性物品である生理用ナプキンの個装体8とともに模式的に示す斜視図であり、該包装体10の右側面4rを破断誘導線(ミシン目)7を有する開封面として正面に示す。本実施形態1の包装袋1は全体が乳白色であるが、破断誘導線(ミシン目)7近傍には透明窓があってもよい。なお図1においては、生理用ナプキンの個装体8を破線で示し、該個装体における生理用ナプキンの着色部9の外形を実線で示す。
本実施形態1における包装体10は、生理用ナプキンを折り畳んでなる10個の板状個装体8(以下、単に個装体8ともいう。)を包装袋1に密封収納し封緘して形成されてなる。本実施形態1における包装袋1は、前面2、後面3、左右両側面4(4r,4l)、底面5、及び天面6からなる六面体状であり、右側面4rがミシン目7を有する開封面である。該右側面4rには前後方向(X方向)中央に天面から底面(Z方向)に延びるミシン目7が形成されている。本実施形態1の包装体10において、10個の板状個装体8をそれぞれ、その厚みk(図1参照)方向を前記ミシン目7の延びる方向に直交させ、かつ前記ミシン目7の左右(包装体のX方向)に広がるように積層して整列させている。本実施形態1において、詳細は後述するが、包装体10に収納された個装体8は着色部9を有し、その着色部9を前記包装袋1の乳白色の右側面4rに向けて配置することで該右側面4rを介して内部の着色部9が映し出されミシン目7をよりはっきりと目視認識させることができる。なお本実施形態1においては、前記天面6は底面5と平行にされておらず、図1に示すとおり、一方の側面4から見て前後方向(X方向)のほぼ中央でやや上方に隆起して全体として屋根型の包装形態とされている。すなわち、本発明において包装体の「面」とは包装形態として機能的に面を構成していればよく、1つの平面で構成されていなくてもよく、つまりいわゆる面一でなくともよい。
【0009】
図2は本実施形態1の包装体10に収納される個装体8の1つを展開した個装前駆体100を模式的に示す説明図である。図2(a)は個装シート側から見た状態を示す斜視図であり、図2(b)は個装前駆体100のb−b断面図である。図2(a)においては、個装シート81及び剥離シート83の一部を切欠して生理用ナプキン80の非肌面側を示し、その部分に配されるべき個装シート81の部分を二点鎖線で示し、また個装シート81を介して見える着色部9の外形を実線で示す。
本実施形態1の生理用ナプキン80は、図示しないが、肌面側に位置する液透過性の表面シート、非肌面側に位置する液不透過性の裏面シート、及び両シートの間に介在された液保持性の吸収体からなり、この種のものとして通常有する部材を用いることができる。生理用ナプキン80の非肌面側(裏面シートの非肌面側)には粘着層82が配設され、該粘着層82を透明色の剥離シート83で被覆する。さらに該剥離シート83の非肌面側を、接着剤あるいは粘着剤からなる接合部84を介して乳白色で透けている個装シート81を貼付して個装前駆体100となる(図2(b)参照)。本実施形態1において、個装シート81は生理用ナプキン80よりもやや大きめの長方形であり、剥離シート83は生理用ナプキン80の略砂時計形状と略同形状である。本実施形態1において、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、下着に接する側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。
【0010】
本実施形態1において、生理用ナプキン80の非肌面側、つまり裏面シートの非肌面側の折り目線k部分に着色部9を有する。本実施形態1においては、この着色部9が露出するように、生理用ナプキン80に個装シート81を背にして重ね該個装シート側を折り山にして折り目k及びkに沿って三つ折りし、個装テープ85で止着して個装体8とする。その折り目kに沿って折り返されてできる厚み(k)のある折り山部8aに、前記着色部9が表れる(図1参照)。本実施形態1において、着色部9の色は、前記個装シート81及び剥離シート83を通して透けて見えるようにされている。この着色部9には、包装体の外側から目視してミシン目7を目立たせる着色であれば種々採用することができ、包装袋1や個装シート81の色と同一あるいは同化しやすい色よりも補色関係にある着色とすることが実際的であり、有彩色及び無彩色の双方を包含する。また開封後の包装体10において、使用者が開口部17(図3参照)から個装体8を認識しやすいように、個装体8の色とは対照的な色相・明度・彩度の着色とすることが好ましく、例えば、L表示でa値やb値の符号が包装袋と異なっている、L値30以上低い、a値やb値のいずれかが30以上高いなど、具体的には濃青色、濃赤色、灰〜黒色などが好ましい。
本実施形態1において、このような着色部9の形成は、例えば生理用ナプキン80の非肌面側に直接顔料等を塗布してその上から透明な粘着層82を配設する方法、顔料等を混合した粘着剤を塗工して粘着層の一部を着色部9とする方法などがある。着色剤としては、染料、顔料などを一般的なバインダーと水や有機溶剤などの溶媒に溶かして混合された溶液などの着色剤が挙げられる。該着色剤を生理用ナプキン80の非肌面側などの折られた状態の折り山部8aに塗布し、乾燥して形成できる。また、使用者が個装体8を指で取り出しやすいように、着色部9を滑りにくい着色剤を塗布することが好ましい。滑りにくい着色剤を使用する場合は、特に背側折部のみに着色することが取り出し性と個装体8の滑り性の両立の観点から望ましい。このような着色剤としては、バインダーとしてゴム系やポリウレタン系の樹脂を配合した着色剤が好ましい。クロロプレン系ゴムが例として挙げられる。本実施形態1において、前記着色部9は、生理用ナプキン80の非肌面側に加えあるいはこれに換えて剥離シート83や個装シート81にあってもよい。
【0011】
本実施形態1の包装体10において、内部の各個装体8は、着色部9を有する折り山部8aを包装袋1の右側面部4rに向けさらに前記ミシン目7の延在する上下方向(Z方向)と平行にして配置されている。このように配置された10個の個装体8がミシン目7の左右(包装体のX方向)に広がり積層して整列されている。各個装体8の折り山部8aにおいて、前記ミシン目7が伸びる方向の着色部9の長さ(以下、単に着色部9の長さともいう。)が、ミシン目7の位置にある個装体8のものから離れるものにつれ徐々に短くなるように配される。このようにして各着色部9が連続して全体として横長の略楕円形状の着色領域90をなす(図1参照)。本実施形態1において、乳白色の右側面4rを介して内部の着色部分9及び着色領域90が目視可能である。前述のとおり、着色部9の色を包装袋1の全体の色(乳白色)とは異なる色、例えば膨張性の高い暖色系の色や明度の高い色とすることで、開封前のミシン目7を目立たせることができる。前記右側面4rが乳白色以外の透過色の場合でも、混色されることを前提に着色部9の色を施して前記と同様の作用を奏する。ここで前述の「ミシン目7の位置」とは、ミシン目7と完全に重なる位置に限らず、内部で整列する複数の個装体8の中で最もミシン目7に近い位置を含む意味である。また「透過色」とは透明及び色味のある半透明を含む意味である。このように本実施形態1においては、包装袋1の色に同化して目立ちにくいミシン目7の視認性を、内部の個装体8のわずかな着色で向上させることができる。このようなミシン目7の視認性は、包装袋1と内部の個装体8との密着性を高めて着色部9の色を鮮明に映し出すことで向上する。さらに本実施形態1の包装体10において、前記着色領域90を包装体10のデザインの一部として活かすこともできる。
【0012】
本実施形態1における前述の着色は、開封前の包装体10におけるミシン目7を目視可能にし、さらに開封後の包装体10における個装体8の取出しを容易にする。本実施形態1において、ミシン目7が破断されて開封されると図3に示すとおり、上下方向(Z方向)に軸をもつ提灯形の開口部17が形成される。この開口部17は、上下方向(Z方向)、つまり軸方向の長さdはさらにミシン目が破断されない限り一定とされ、他方該軸方向のほぼ中央における前後方向(X方向)、提灯の幅方向には伸縮自在とされる。この開口部17からは前述の着色領域90が見て取れる。この開口部17からみえる着色が着色領域90のほんの僅かな部分であっても、その着色によって内部の個装体8を容易に認識し取り出すことができる。例えば、外出先のかばんの中から取り出す場合や狭い室内で取り出す場面など、包装体全体あるいは開封面(右側面4r)全体を大きく広げて取り出せない場合であっても、その僅かな開口部17から内部の個装体8の着色部9を認識できるので、その着色部9を摘むとほぼ板状個装体8の中央を摘み上げることができ、開口部17の軸方向に沿って包装袋1との抵抗なく比較的容易に取り出すことができる。
【0013】
さらに本実施形態1においては、個装体8を取り出すごとに開口部17から覗く着色領域90の大きさの変化が使う者に残枚数の減少を印象付ける。つまり、前記開口部17から見える着色領域90の大きさが減り方サインの機能を果たす。具体的には、まず個装体8を1枚も抜き取らない状態では、この開口部17を大きく開くとその範囲がちょうど着色領域90の形状に近似し、開口部17の範囲いっぱいに着色領域90の色が見られる(図3参照)。その後、内部の個装体8が抜き取られ枚数が徐々に減少するにつれ、前記着色領域90の大きさが、開口部17の軸方向においても提灯形状の幅方向においても縮小されていく。このように、使うたびに開口部17から覗く着色領域90の大きさが、該開口部17の中心に向って小さく縮んでいくことで、使う者に視覚的な効果を与え、抜き取りやすさ感を提供し、残枚数を誤りなく知らせることができる。このような減り方サインの機能は、前記着色部9の着色を前述のとおり個装体の存在を認識させやすい色相・明度・彩度の色とすることでより効果的である。また特に着色領域90の左右両端縁の着色部9(以下、端縁着色部9aという。)を他とは異なる色、例えば、最も彩度の高い純色の赤や、黒と黄のストライプの着色とすることで「おわり」を強く印象付けることができる。あるいは逆に最後の2枚の個装体だけ着色部9をもうけないようにすると、その意外性から「おわり」を印象付け次の購入の喚起とでき効果的である。
【0014】
本実施形態1において、包装体10内部の個装体8の数が残り少なくなると、包装袋1の中で個装体8が傾いたり湾曲したり、あるいはかばんに入った包装体10においては包装袋1が前後方向(X方向)に押し潰され開口部17が縒れたりする。また包装体10の外形を、内部の板状包装体8の厚み方向に指で掴んで開口部17の幅が狭まることがある。その状態にあっても、個装体8に着色部が配されている場合、その着色部9が少なくとも開口部17の軸方向の中央付近から所定の長さにあることで、該着色部9を見つけてそこを中心に摘み上げれば、開口部17の軸方向の長さに沿って比較的容易に個装体8を取り出すことができる。また着色部9に前述のとおりポリウレタン又はゴム系の樹脂が含有されている場合は着色部9が滑らずに摘みやすいので、特にこのような使用場面において個装体8の取り出しを容易にすることができ好ましい。
【0015】
図4は、本発明の別の実施形態(実施形態2)の包装体20を模式的に示す斜視図である。本実施形態2の包装体20においても、前記実施形態1の包装体10と同様に、着色部9によって開封前のミシン目7を目視認識しやすい。また開封後の包装体20においても、開口部17から前記着色部9を容易に見つけて摘み内部の個装体8をとりだしやすく、また残数を意識させることができる。
本実施形態2の包装体20は、内部の10個の個装体8をそれぞれ、着色部9を開封面である右側面4rに向けさらに厚み方向をミシン目7の伸びる方向に沿って積層させてなる。本実施形態2においては、個々の個装体8を抜き取るにつれ、10個の着色部9からなる着色領域90の面積が上から下へ小さくなるようにして目盛りの機能を果たす。本実施形態2の包装体20は、その目盛り機能によって使う者に一目で残数を認識させることができる。さらに本実施形態2の包装体10において、内部の生理用ナプキンの個装体8の面状部分(図2における折り目kとkとに挟まれた部分)が底面に向けられ該底面5の形状を保持する構造なので、前記着色部9は最後の一枚まで開口部17と接した状態が維持されて着色部9の視認性に効果的である。このような本実施形態2の包装体20は陳列しやすく安定感があるので、包装袋の天面6にやや大きめの持ち手と成りうる部分(図示せず)を形成することができ、包装袋の側面3に吸収性物品の使用説明となる能書(図示せず)を記載することができるので好ましい。
【0016】
本実施形態1や2においては、ミシン目7は前述のような縦に直線形状なので、開封後に個装体8を取り出す際に破断したミシン目7を指で左右に押し広げて、菱形に近似した開口部17が形成される。一方、包装体内部の着色部9の長さが両端の個装体のものにいくに従い徐々に短くされているので、個装体8の着色部9が並んで菱形のパッケージ開封部形状に則して菱形形状に見えて、個装体8が満杯に入っている様子が視認できる。また包装体内部の個装体8の枚数が残り少なくなると、包装体の端部に着色長さの短い個装体8が開口部17から見えて残り少ないことがわかる。また特に実施形態1においては、個装体8の個数が残り少なくなった状態においては、端にある個装体8を取り出すために開口部17のミシン目7があった部位まで指で個装体8をスライドさせて取り出すことになるが、着色部9の配されていない方の背部(図2の折り目kを折り返してできる部分)は着色部9より滑りやすいことから、個装体8をミシン目7のあった部位までスライドさせるときに意外にも滑りやすく最後の個装体8までスムーズに取り出すことができる。
【0017】
前述のミシン目7はこの種の製品に適用される通常の方法により形成することができる。例えばその形成方法としては、図示しないが、包装袋1の素材であるチューブ状フィルムを用いて、その側面を内方へ谷折りしてガゼット折り部を形成し、該ガゼット折り部に沿って鋸歯を回転させてミシン目7を形成する方法がある。このようにして形成された前記ミシン目7は、個々の多数の切れ込み7aが上下方向zに間欠的に配置されることにより、全体として1条の線として形成される。前記切れ込み7aは通常の長さと間隔で形成することができるが、例えば長さd約0.5〜3.0mm、間隔d約1.0〜5.0mmで設けることが実際的である(図1参照)。
本実施形態においては、その後、該チューブ状フィルムの一端の開口部を接合して天面6を形成し、他端の開口部より個装体8を収納した後、該他端を折り畳んでキャラメル包装状に接着して包装体10が形成される(図示せず)。本実施形態の包装体10において、側面4の天面6付近には、内側へやや傾斜して天面と接合された斜面4aと、該斜面4aの基線となる側面稜4bが形成されている(図1参照)。該側面4に形成されるミシン目7は、底面5側から天部6へ向って前記側面稜4bを越え、斜面4aにまで至っている。このようなミシン目は、常法により形成され、例えば特公61−44738号公報、特開2006−290383号公報、特開2007−254011号公報を参照することができる。
【0018】
前記包装袋1の構成材料は、この種の製品に適用される通常のものを用いることができ、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムを用いることが好ましい。その厚さも特に制限されないが、例えば、前記包装袋1を構成するフィルム層の厚さが20〜100μm程度のものを使用することが実際的である。また、前記包装袋1に個装体8を収納して包装体10とする接着方法は特に限定されず、通常この種の包装体の封緘に適用される方法を使用することができ、例えばヒートシール法により接着することができる。
【0019】
本実施形態の生理用ナプキンの素材は、この種の製品に通常用いられるものを用いることができる。例えば、表面シートは、液透過性であり肌への当りのソフトな材料からなることが好ましく、コットン等の天然繊維を材料とする不織布や、各種合成繊維に親水化処理を施したものを材料とする不織布を用いることができる。裏面シートは、液不透過性のシート材からなることが好ましく、必要に応じて水蒸気の透過性のものであってもよい。具体的に十分な水蒸気透過性を得るために、炭酸カルシウム等のフィラーからなる微粉を分散させたポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムを延伸し、微細な孔をあけた多孔質フィルムを用いることが好ましい。吸収体は、例えば繊維集合体又はこれと高分子吸水ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m〜500g/mが好ましい。粘着層82を形成する粘着剤としては、例えばスチレン系ブロックポリマー、粘着付与剤及び軟化剤を主成分とし、スチレン相とゴム相との2相ブロック構造を保持しているものを用いることができる。個装シート81としては、例えばポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリビニルアルコール、不織布又は紙及びこれらの複合材料、SMS不織布を用いることができる。剥離シート83としては、例えば前記個装シート81と同様の素材を基材シートとして、片面又は両面に剥離処理を施したもの等を用いることができる。剥離処理は、基材シートの全面に施してもよく、粘着層82を被覆する部分のみに施してもよい。剥離処理としては、例えば、シリコーン樹脂系のものを塗布して加熱や紫外線処理により皮膜化する方法、スプレーによる吹き付けや各種コーターによる薄い皮膜を形成させる方法等を挙げることができる。あるいは剥離シート83を省略して個装シート81に剥離処理を施すようにしてもよい。
【0020】
このように本発明は、わずかな部分の着色で、前述のような視認性向上の効果を奏することができる。つまり、この種物品の高速連続生産に好適に対応し、製造コストや材料コストの大幅な上昇、製造効率の過度の低下をまねかずに、ミシン目等の破断誘導線を目視可能にすることができるので、低コスト化が図れて経済的である。また、着色部を絵柄等にしたり、また着色領域全体で1つの模様等をなすようにするなど、自由なデザイン設計も可能である。
【0021】
本発明おいては、内部の吸収性物品の包装体は、本実施形態の生理用ナプキンのものに限らず、例えばパンティライナー、おりものシート、失禁パッドや使い捨ておむつなどをこの種の包装体に収納されるよう折り畳んだものを含む。また本発明の包装体は、本実施形態の形状に限定されず、この種の包装体として用いられる形状、例えばピロー形状など必要に応じて任意に採用することができる。さらに、本発明においては、破断誘導線も上記のものに限定されず開口部となり得る位置、方向であれば任意に決めることができる。これに合わせて着色部が決められる。
【符号の説明】
【0022】
1 包装袋
2 前面
3 後面
4 側面
5 底面
6 天面
7 破断誘導線
8 生理用ナプキンの個装体
8a 折り山部
9 着色部
10、20 包装体
17 開口部
90 着色領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断誘導線を開封面に有する包装袋に、複数の板状個装体を密封収納してなる包装体であって、
前記複数の板状個装体は積層して整列されており、
前記板状個装体は、吸収性物品に個装シートを重ね該個装シート側を折り山にして折り畳まれており、前記板状個装体が折り畳まれてなす折り山部には着色が施され、その着色を有する折り山部を前記包装袋の開封面に向け配置され、
前記板状個装体の折り山部の着色は、前記破断誘導線が伸びる方向の着色長さについて該破断誘導線位置にあるものから離れるものにつれ徐々に短くされている吸収性物品の包装体。
【請求項2】
前記着色は、ポリウレタン又はゴム系の樹脂と染料を含む水系塗料を着色剤として塗布形成されている請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記吸収性物品は、表面シート、裏面シート、及び該両シートの間に介在された吸収体を有してなり、前記個装体は該吸収性物品の裏面シート側に前記個装シートを重ねて折り畳まれたものであり、その折り山部となる位置において、前記裏面シートには前記特定の着色長さの着色が施されている請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記吸収性物品は、表面シート、裏面シート、及び該両シートの間に介在された吸収体を有してなり、前記個装体は該吸収性物品の裏面シート側に剥離シートを介して前記個装シートを重ねて折り畳まれたものであり、その折り山部となる位置において、前記剥離シートには前記特定の着色長さの着色が施されている請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項5】
前記包装袋に収納された複数の個装体のうち前記破断誘導線位置から最も離れた位置にある個装体には、他の個装体の着色とは異なる着色が施されるか又は着色が施されない請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記包装体は六面体からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136741(P2011−136741A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298568(P2009−298568)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】