説明

吸収用品用のラミネート材およびその製造方法

本ラミネート材は、第1の液体透過性材料層(2)と、第2の液体透過性材料からなる離散的に配置された材料片(3)と、を具備してなり、ここで、当該材料層および不連続な材料片は内部で接合されている。本ラミネート材は、さらに、第1の液体透過性層および離散的に配置された材料片に対して接合された第2の液体透過性材料層(6)を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の液体透過性材料層と、第2の液体透過性材料からなる複数の離散的に配置された材料片とを具備し、材料層および離散材料片は離散接合跡において内部で接合されているラミネート材に関する。本発明はまたラミネート材を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一度しか使用されない吸収用品は、通常、液体透過性カバーシートを有するが、これは使用時に使用者の体に面するよう意図されている。そうしたカバーシートは、多くの場合、不織布材、すなわち構成繊維が製織以外の手法で一つに結合された繊維布から形成されている。
【0003】
カバーシートと用品中に含まれる吸収体との間に配置することも知られている。これは、大量の液体を受け入れ、この液体を拡散させ、そして液体がその下に存在する吸収体によって吸収される前に液体を一時的に蓄える機能を備えているべきである。これは特に最近の薄手の圧縮された吸収体(これは多くの場合、高吸収性高分子材料、いわゆる「超吸収体」を高い比率で含んでいる)にとって重要である。最近の吸収体は確かに高い吸収能力を有するが、その一方でそれは、多くの場合、たとえば排尿時に数秒の間に放出され得るような大量の液体の吸収に瞬時に対処するには受け入れ速度が遅すぎる。
【0004】
たとえば繊維ワッディングの形態の、多孔質の、比較的厚手の液体移送層、結合あるいは非結合毛羽立て繊維層、あるいはその他の種類の繊維素材は、優れた瞬間的液体受け入れ能力を有しており、したがって吸収コアがそれを吸収してしまうまで一時的に液体を蓄えておくことができる。同様の関係はまた、多くの多孔質フォーム素材にも見られる。
【0005】
吸収用品が繰り返し液体を吸収できるようにするために、液体移送層が各濡れの間に、実質的に液体を汲み出してしまうことが重要である。
【0006】
移送層の開いた粗い毛管構造は、これによって、適当な様式で、より細い毛管および/またはより親水性の吸収体と協働する。
【0007】
特許文献1は、上述したタイプの液体移送層を備えた吸収用品を開示している文献の一例である。さまざまなタイプの液体移送層を開示している文献のさらなる例としては、特許文献2および特許文献3が挙げられる。
【0008】
特許文献1〜3はまた、最も外側に存在するカバーシートと液体移送層との間の液体移送がどのようして改善できるかを開示している。当該文献は、異なるカバーシートと移送層とをどのようにして局所的に互いに接合できるかを開示している(それによって液体移送層の孔サイズが接合された領域に関連して局所的に低減される)。孔サイズの低減は、接合時に接合領域の周りで液体移送層を一緒に押し潰してしまう結果である。液体移送層の孔はそれによって、それがカバーシートの孔よりも小さくなるほど縮小され、これによって液体は毛管作用によってカバーシートから液体移送層へと移動する。試験によって、液体がカバーシートから放出されかつ接合領域の周りで液体移送層へとさらに輸送されるのと同時に、カバーシート内で接合領域の方向に毛管体に貯蔵された液体の効果的な輸送が生じることが判明している。
【0009】
この毛管作用は、僅かな量の液体しか、あるいは液体が全く、カバーシート、すなわち使用時に使用者の肌と接触状態で存在する層の毛管内に閉じ込められないことを意味する。この結果、用品が着用者から放出された体液を吸収した後でも、その着用者の肌に接触する面は極度に乾いたままである。液体移送層の内部に開口した孔構造は断続的に配置された接合領域間で実質的に維持される。
【0010】
超音波を用いて連続した材料ウエブを断続的に接合することも公知である。たとえば特許文献4には、特定のパターンで連続した材料ウエブを接合するために、回転するカウンターローラーと共に超音波ホーンを使用することが開示されている(ここで、パターンの目的は、連続した材料ウエブの断続的接合を実現することである)。回転するカウンターローラーは、超音波装置によって接合されるラミネート材に転写されるパターンを備えている。
【0011】
超音波は特に好適な技術の一例である。なぜなら、それは接合される材料を極めて局所的にしか加熱せず、材料の残部は熱の影響を受けないままとなるからである。カバーシートおよび液体移送層として使用される種類の材料への熱作用は、材料に望ましくない影響を与える。
【0012】
良好に機能する液体移送層は液体の瞬間的な量を一時的に蓄えることができるように、ある嵩を有している必要がある(これは、そうした層がある程度の厚みを有することが求められる理由である)。一方で、液体移送層は吸収用品の全面にわたって広がっている必要はない。むしろ、吸収用品の濡れ領域の部分に、すなわち使用時に液体を受け入れる領域に隣接して、必要な受け容量を設けるだけで十分である。吸収用品に関する材料コストを最小限に抑えるために、液体移送層のみが、たいてい液体を受ける用品の中央部分に延在部を有するように用品を設計することは公知である。
【0013】
特許文献5は別な構成の例を開示しているが、このものでは、使用時に使用者に面するよう意図された用品の全面を覆う層は存在しない。
【0014】
カバーシートから優先的に液体を吸収する小さな孔を局所的に具備してなると共に、さらに吸収用品の中央部分にのみ配置される液体移送層を形成すること(すなわち上記属性の組み合わせ)もまた望ましい。
【0015】
要するに、離散的な接合領域においてカバーシートに対して接合された、実質的に中心に配置された液体移送層を含むラミネートを提供することが求められていた。
【0016】
カバーシートと液体移送層との間の離散的な接合跡は、吸収用品が使用者に信頼性に関する印象を与えるよう、完成した用品において認識できることが重要である。このためには、接合パターンが、カバーシートを構成するラミネートの側から、すなわち吸収用品に配置された際に外部に面するよう意図されたラミネートの側から認識可能であることが必要となる。
【0017】
最も一般に見られる超音波技術、すなわち特許文献4に開示された技術を用いて認識可能なパターンを形成するために、ラミネート材へ転写されることになるパターンを具備してなる回転するカウンターローラーは、パターンが認識可能であるべきラミネート材の側に配置されるべきである。パターンは円形のカウンターローラーの表面から突出するパターン要素によって形成される。したがってパターン要素はラミネート材の対応する恒久的な圧こん(窪み)を形成する。回転するカウンターローラーはそれゆえ、カバーシートを具備してなるラミネート材の側に配置される必要があり、超音波ホーンは液体移送層が配置されるラミネート材の側に配置される必要がある。カバーシートなどの両方が連続した材料ウエブからなるラミネート材に関して、超音波ホーンのこの配置は問題を提起しない。
【0018】
だが、液体移送層が離散的な材料片から形成されたラミネート材に関しては問題が生じる。離散的な材料片の前縁部、すなわち超音波設備を通る輸送方向の前方に位置する縁部は、ラミネートのカバーシートと非回転超音波ホーンとの間の狭いスリットへは全く簡単には入っていかず、スリット内で固着し、そして装置内で障害(詰まり)を引き起こす。
【0019】
特許文献6に記載の発明においては、第2の超音波処理で認識可能なパターンが形成されるように、第1の逆側超音波処理でカバーシートに対して各離散的な材料片の前縁を縫い付けることによって、この問題を解決している。各離散的材料片の前縁部とは、移送方向に関して材料片の前縁部に配置された縁部を意味する。
【0020】
第1の逆向き超音波処理とは、回転するカウンターローラーが離散的な材料片と同じラミネートの側に配置され、離散的な材料片が、回転するカウンターローラーに追従してカバーシートとカウンターローラーとの間のスリット内へと自動的に入っていく超音波処理を意味する。この第1の超音波処理において、好ましくは、実質的に横向きの接合部がカバーシートと各材料片との間に付与され、そしてこれによって接合部は移送方向に関して各材料片の前縁に設けられる。第2の超音波処理において、離散的な材料片は超音波ホーンと同じ側に配置されるが、各材料片およびカバーシートは材料片の前縁部において接合されるので、材料片が狭いスリットに押し込まれるときに問題が生じない。各離散的な材料片は連続したカバーシート材によってスリット内へと引き込まれる。所望のパターンを具備してなるカウンターローラーは、その上にカバーシートが配置されるラミネートの側に配置されるので、パターンは完成した吸収用品の外部に面するラミネートの側から認識可能となる。
【0021】
特許文献6に開示された超音波装置は申し分なく機能するが、不必要に高価であり、しかも多くの状況において複雑である。しかしながら、この高価かつ複雑な装置は、当該装置が主として、異なる種類の用品への頻繁な切り替えを伴わずに、長期間にわたって、離散的な液体移送層を具備してなる用品を製造する場合には、容認することができる。
【0022】
その他の装置に関しては、さらに融通性があり、しかも異なる用品の製造のために繰り返して、より頻繁に装置を変更でき、しかも、たとえば、単に、離散的な液体移送層あるいはその他の種類の離散的に配置された材料層を具備してなる吸収用品を短期間だけ製造できることが求められている。
【0023】
材料片を縫合するための一つの超音波ユニットと、パターン形成のための一つの超音波ユニットとを具備してなる上記二段階装置は、不必要に複雑で、しかもそうした装置に関しては不必要に高価である。二段階装置の複雑さのために、液体移送層を具備してなる用品の製造への切り替え時のトリミング時間は不必要に長く、しかもコストがかかる。用品種間の長い切り替え時間に起因する損失生産量はまた、異なる種類の用品間で切り替わるよう構成された装置にとって、マイナス要因である。たとえば、液体移送層を持たない用品を主に製造し、短期間だけ液体移送層を持つ製品を供給することも普通である。
【特許文献1】欧州特許第0,685,214号明細書
【特許文献2】国際公開第99/49825号パンフレット
【特許文献3】国際公開第97/02133号パンフレット
【特許文献4】米国特許第3,939,033号明細書
【特許文献5】米国特許第4,908,026号明細書
【特許文献6】国際公開第00/02727号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、良好な液体移送特性を有し、かつ再濡れ(rewet)が起き難い吸収用品(これは複雑ではない製造工程によって製造可能である)用の表面材のためのラミネートが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、冒頭に説明したタイプのラミネート材に関するが、これは実質的に、従来公知のラミネート材に関連する問題を回避する。
【0026】
本ラミネート材は、それが、第1の液体透過性材料層と、第2の液体透過性材料からなる複数の離散的に配置された材料片とを具備し、材料層および離散的な材料片は離散的な接合跡において内部で接合されていることを特徴とする。ラミネート材は、主として、それが第2の液体透過性材料層を具備してなることによって特徴付けられるが、ここで、離散的に配置された材料片は、第1の液体透過性材料層と第2の液体透過性材料層との間に配置される。第2の材料層は、これによって、第1の液体透過性材料層および離散的に配置された材料片に対して接合跡において接合される。二つの液体透過性材料層および/または離散的に配置された材料片の少なくとも一部は熱可塑性物質を具備してなり、熱可塑性物質は少なくとも部分的に軟化するかあるいは溶融し、これによって二つの材料層と離散的に配置された材料片とを一つに結合するようになされている。
【0027】
本ラミネート材は長手方向ならびに横方向を有し、上記離散材料片は、ラミネート材の長手方向に、互いにある距離だけ離間した状態で配置される。
【0028】
本発明よって、製造時に障害のリスクを伴わずに簡単な方法で製造可能な離散的材料片を具備してなるラミネート材を得ることができる。製造の際の障害回避は特に有益である。なぜなら、ラミネート材は吸収用品用の装置で直接製造されるが、この装置において全ての処理ステップは、信頼できる製造に関して最適化される必要があるからである。
【0029】
ある実施形態によれば、ラミネート材の接合跡は離散的なポイントからなる。当該実施形態によれば、吸収用品上のパターンとして公的な魅力的パターンを有するラミネート材が得られる。
【0030】
他の実施形態によれば、ラミネート材の接合跡は線からなる。当該線は、破線または連続線からなっていてもよい。当該線はさらに直線または曲線からなっていてもよい。線の向きは、広い範囲で変更可能である。たとえば、線はラミネート材に沿ってあるいはそれを横断して延在していてもよい。交差線もまた、本実施形態の範囲内で実施可能である。
【0031】
ある実施形態によれば、ラミネート材の接合跡の形状は実質的に矩形であってもよく、そして他の実施形態によれば、ラミネート材の接合跡の形状は実質的に円形であってもよい。
【0032】
ある実施形態によれば、第1の液体透過性材料層は不織布素材を具備してなり、この不織布素材は、ある実施形態によれば毛羽立てられたサーマルボンド素材であってもよい。
【0033】
ある実施形態によれば、離散的に配置された材料片は、0.02kPa(20N/m)の面圧における厚みが0.5〜4mmである繊維ワッディングを具備してなる。離散的に配置された材料片が何のために使用されるかに応じて、それが適切な嵩を有することが望ましい。この嵩は、各材料片の厚みおよび表面積によって決まる。
【0034】
ある実施形態によれば、第2の液体透過性材料層は不織布素材を具備してなり、この不織布素材は、さらなる実施形態によれば毛羽立てられたサーマルボンド素材であってもよい。
【0035】
ある実施形態によれば、ラミネート材は吸収用品用のカバーシートとして使用されるが、カバーシートは使用時に使用者に面するようになっている。
【0036】
ある実施形態によれば、本ラミネート材はベビーおむつ用のカバーシートとして用いられ、そして別の実施形態によれば、本ラミネート材は、失禁おむつ用のカバーシートとして用いられる。
【0037】
本ラミネート材は、しばしば短時間のうちに大量の尿を受ける吸収用品にとって特に好適である。そうした状況においては、材料ラミネートの離散的材料片は、すぐ近くの吸収体が尿を吸収してしまう前に、尿のための一時的な貯蔵容積、液体移送層を提供する。
【0038】
さらなる実施形態によれば、本ラミネート材は、生理用ナプキン用のカバーシートとして用いられるものである。
【0039】
ある実施形態によれば、離散的に配置された材料片は熱可塑性物質を具備してなる。
【0040】
離散的に配置された材料片がまた熱可塑性物質を具備してなる場合には、接合跡における接合強度は増大する。
【0041】
本発明はさらにラミネート材の製造方法に関し、当該方法は、接合ステーションまで、第1の液体透過性材料層と、その上に離散的に配置された別な液体透過性材料からなる複数の材料片とを連続的に供給することを具備する。第2の連続した液体透過性材料層が、第1の液体透過性材料層に関して、離散的な材料片の反対側に配置され、そして離散的な材料片は第1および第2の材料層間に配置された状態で接合ステーションへと供給される。第1の液体透過性材料層および離散的に配置された材料片との第2の材料層の結合は、離散的な接合跡においてなされるが、ここで二つの液体透過性材料層および/または離散的に配置された材料片の少なくとも一部は熱可塑性物質を含む。熱可塑性物質は結合ステーションにおいて少なくとも部分的に軟化あるいは溶融するようになされ、これによって二つの材料層および両者間に離散的に配置された材料片が一つに結び付く。離散的な材料片は、ラミネート材の送り方向に互いにある間隔をおいて配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1に示すラミネート材は、第1の材料層2と、液体移送層としての離散材料片3と、を具備してなる。第1の材料層2は、好ましくは8〜40グラム/mの坪量を備えた不織布素材からなることが好都合である。
【0043】
不織布素材は数多くのさまざまな手法によって、たとえば、以後に結合される繊維ガーゼのカーディングあるいはスピニングによって製造可能である。いわゆるメルトブローン技術もまた、繊維マットの形態で短繊維を堆積させるのに使用できる。不織布材中で繊維を一つに結合するさまざまな手法が存在する。たとえば、異なる種類の結合剤を使用できる。さらに、繊維中のホットメルト成分は、超音波によるあるいは加熱による接合のために使用可能である。不織布材料に含まれる繊維は、いわゆる複合繊維から形成できるが、このものにあっては、各繊維は二つ以上の異なる種類の素材からなり、素材の一つが繊維中の他のものよりも低い温度で溶融する。最も低い融点を持つ素材が、最終不織布材を接合するのに使用される材料を作り上げている。異なる構成原料が隣り合って存在する複合繊維あるいは他の要素の周りにシースとしてある要素が配置された繊維が最も一般的な種類の複合繊維である。不織布材の製造のためのその他の可能な結合方法はニードリングおよび水流交絡である。さらに、異なる接合方法を互いに組み合わせることもできる。
【0044】
ラミネート材1が液体透過性表面シートとして吸収用品に配置される場合、第1の材料層2は使用者に面するように意図された層である。したがって、第1の材料層2が使用者にとって柔らかでかつ滑らかな表面を提供することが重要である。
【0045】
液体移送層4は好ましくは第1の材料2よりも厚みが大きく、しかも0.5〜4mmの厚みを備えた、多孔性の弾性繊維素材からなる。この厚みは、それゆえ、自由状態での、すなわちラミネートに組み込まれる前の液体移送層4の厚みである。厚みは、0.02kPa(20N/m)の面圧で測定されたものである。
【0046】
液体移送層4が吸収用品に利用された場合、各液体移送層4は、短時間に大量の液体を受け容れ、その面内で液体を拡散させ、そして液体移送層4の下に配置された吸収体に対して液体を放出する機能を有するべきである。液体移送層4はまた、下方に存在する吸収体によって吸収されなかった液体を一時的に蓄えることが可能であるべきである。
【0047】
弾性合成繊維ワッディング、毛羽立てられた結合あるいは非結合繊維層あるいは嵩のある不織布素材が特に、液体移送層4としての使用に適している。やはり好適である特別な種類の繊維素材は、天然の実質的に平行な連続した繊維を備えた、いわゆるトウ繊維である。別の種類の好適な素材は多孔質な、吸水性のフォーム材である。液体移送層4はまた、同一または異なる種類の素材からなる二つ以上の層を備えていてもよい。
【0048】
液体移送層4は離散材料片3を具備してなり、かつ実質的に前方の横方向縁部5を有している。ラミネート材の製造時、この前方の横方向縁部5は加工方向(MD)に関して前方に向けられる。
【0049】
本発明に基づくラミネート材1は主として、液体移送層4が第1の材料層2と第2の材料層6との間に位置するように配置された第2の材料層6を具備してなることによって特徴付けられる。
【0050】
第1の材料層2と同様、第2の材料層6は、第1の材料層2と同じ手法で製造・生産された、好ましくは8〜40グラム/mの坪量を有する不織布素材を具備してなることが好都合である。材料層2,6の両方は正確に同じ不織布素材からなっていてもよいが、異なる種類の不織布素材からなっていてもよい。
【0051】
図2は、第1の材料層2と第2の材料層6との間に、二つの独特の移送層4がどのように配置されているかを示している。理解を容易にするために、図2においては、材料層2,6の一部が切り欠かれている。
【0052】
図3は図2の線III‐IIIに沿った断面を示している。どのようにしてラミネートが形成されているかをより良く示すために、材料層2,6および液体移送層4の厚みは図3においては誇張されている。
【0053】
二つの材料層2,6およびその間に存在する液体移送層4は、多数の接合跡7において内部で結合されている。接合跡7は第1の実例ポイントにあり、しかも同時加圧およびラミネート材1へのエネルギー伝達によって形成されている。
【0054】
代替実施形態においては、接合跡は、線、線分、小さな模様などからなっていてもよい。
【0055】
材料層2,6の少なくとも一部は熱可塑性物質からなり、したがって接合跡7において熱可塑性物質は軟化するかあるいは溶融し、そしてこれによってラミネート1の構成要素を一つに結合するようになされている。好ましいことに、液体移送層4はまた、接合跡7において軟化するかあるいは溶融するようになされた熱可塑性物質を含んでいてもよい。好ましくは、ラミネート1のさまざまなコンポーネントの結合は、熱接合によってあるいは超音波接合によって行われる。
【0056】
接合跡7はラミネート1の全面にわたって均等に配されているが、代替実施形態では、これ以外の様式で配置することができる。たとえば、接合跡7はラミネート1の表面上に群をなすように配置可能であり、ここで、たとえば群中のポイント間の距離は二つの隣接する群間の距離よりも小さなものである。各接合跡7の幾何学的形状に関する変形例は、ラミネートの表面上の接合跡の位置の設計に関するのと同様に、本発明の範囲内において原則として無数に存在する。
【0057】
ラミネート1中の溶融あるいは軟化した熱可塑性物質が冷えたとき、それは固まり、結合剤として機能し、これによってラミネート材1の材料層2,6および4は一つに結合される。結合だけでなく、液体移送層4の永久的局所圧縮すなわちその密集(高密度化)がもたらされる。最もはっきりと認識できるのは、各接合跡7の周囲の液体移送層4の圧縮である。液体移送層4の圧縮は、液体移送層4の毛細管が密集状態となり、これによってその周囲の材料層2から水分を排出する能力が改善されることを意味する。
【0058】
材料層2,6の少なくとも一部は熱可塑性物質を具備してなるので、液体移送層を備えていないラミネート材1の面でさえ、熱接合または超音波接合によって一つに接合されている。
【0059】
代替実施形態においては、液体移送層4のみが熱可塑性物質を含んでいてもよい。そうした実施形態においては、液体移送層4の外側に配置された材料2,6の一部分は代替的手法で接合しなければならない。実施可能な接合方法の例としては接着あるいは縫合が挙げられる。
【0060】
上記実施形態においては、接合は、接合跡7に貫通孔が形成されることなく行われている。だが、接合跡7は液体透過性が低い表面を有しており、液体透過性の度合いは、接合跡7における熱可塑性物質の量に影響を受ける。代替実施形態では接合跡自体が液体不透過性を有していてもよいが、これはラミネートの液体受け容れ特性に目立った影響を及ぼさない。なぜなら、接合跡はラミネートの全表面の僅かな部分を占有するに過ぎないからである。
【0061】
代替実施形態では、接合時に接合ポイントに貫通孔が形成されてもよい。貫通孔を付与する一つの実施可能な手法は、圧縮力および/または供給エネルギーを増大することである。
【0062】
本発明に基づくラミネート1は、液体移送層4の両側に連続した材料層2,6を有しており、それによってラミネート材1の製造の簡素化に関して、著しい利益がもたらされる。
【0063】
図4は、本発明に基づくラミネート材1が超音波処理によって、どのようにして形成されるかを示している。離散的な液体移送層4を含む旧来公知のラミネートとは異なり、ラミネート1の外側に面する面8は加工方向(MD)に横方向縁部5が存在しない。ラミネート1はそれゆえ、液体移送層4の前縁5が固着状態となったり、接合プロセスに障害を引き起こしたりすることなく、接合ステーションを簡単に通過できる。本発明は、ラミネート1の層を接合するのに超音波技術が用いられる場合に特に有益である。上述したように超音波技術は、回転パターンローラー9を接合パターンが最も明瞭に認識可能であるべきラミネート1の側に配置し、そしてラミネート材1の厚み方向に振動する超音波ホーンをラミネート1の逆側に配置することを必要とする。
【0064】
上述したように、接合パターンは、ラミネート材1が吸収用品に対して、すなわち吸収用品の外面に適用されるとき、使用者に面するよう意図されている。
【0065】
代替実施形態では、吸収用品の吸収体に面するように配置されたパターン面を備えたラミネート材1を利用することも、もちろん可能であるが、パターンは吸収用品上でそれほど明瞭に目立つことはない。この代替実施形態に付随するリスクはまた、吸収コアとラミネート材1の窪みとの間に小さなエアポケット(図3参照)が形成されることであるが、これによってラミネート材1とその下に存在する吸収体との間での液体移送が僅かに妨げられるかもしれない。
【0066】
連続した材料層2,6はパターンロールおよび超音波ホーンの両方を通過するので、製造プロセスは、パターンロール9と超音波ホーン10との間の導入口において固着を生じかつ詰まりを引き起こす離間した材料片3に関して重大なものではない。
【0067】
本発明によるラミネート1によってさらに、二つの対向する温熱回転接合ローラーによる積層(ラミネーション)時、より高い信頼性のもと製造プロセスを実施することが可能となる。だが、この積層処理の有利性は、超音波を用いた積層ほど顕著なものではない。
【0068】
一般に、本発明に基づくラミネート1の製造は、ベビーおむつ、失禁用品、生理用品あるいはその他の吸収用品を製造するための装置内での処理ステップとして実施されている。そうした装置は数多くの処理ステップを含むので、各処理ステップでの製造において障害のリスクを最小限に抑えることは極めて重要である。こうした装置は多くの場合、大変な高速度で稼働し、そして個々の生産停止によって、時間を浪費しかつ複雑な始動操作を実行しなければならなくなる。生産高の損失だけでなく、不必要な製造停止はまた、大量の素材が無駄になることを意味する。
【0069】
本発明はまた、上記実施形態の全ての可能な組み合わせを含む。
【0070】
さらに、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、むろん、本発明の範囲に含まれる、その他の実施形態にとっても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】不連続な液体移送層を具備してなる材料ウエブの平面図である。
【図2】本発明に基づくラミネート材の上面図である。
【図3】図2のラミネート材を通る、線III‐IIIに沿った断面図である。
【図4】本発明に基づくラミネートの製造のための超音波処理の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ラミネート材
2 第1の材料層
3 離散材料片
4 液体移送層
5 横方向縁部
6 第2の材料層
7 接合跡
8 ラミネートの外側に面する面
9 回転パターンローラー
10 超音波ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体透過性材料層(2)と、第2の液体透過性材料からなる複数の離散的に配置された材料片(3)と、を具備し、前記材料層(2)および前記離散材料片(3)が離散的接合跡(7)において内部で接合されているラミネート材(1)であって、
ラミネート材(1)は第2の液体透過性材料層(6)を具備してなり、
前記離散的に配置された材料片(3)は、第1の液体透過性材料層(2)と第2の液体透過性材料層(6)との間に配置されており、
前記第2の材料層(6)は、前記第1の液体透過性材料層(2)および前記離散的に配置された材料片(3)に対して前記接合跡(7)において接合されており、
前記二つの液体透過性材料層(2,6)および/または前記離散的に配置された材料片(3)の少なくとも一部は熱可塑性物質を具備してなり、前記熱可塑性物質は少なくとも部分的に軟化するかあるいは溶融し、これによって前記二つの材料層(2,6)と、その間に離散的に配置された前記材料片(3)とを一つに結合するようになされていることを特徴とするラミネート材(1)。
【請求項2】
長手方向(X)ならびに横方向(Y)を有し、前記離散材料片(3)は、ラミネート材の前記長手方向(X)に互いに離間した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネート材(1)
【請求項3】
前記接合跡(7)は離散的なポイントからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート材(1)。
【請求項4】
前記接合跡(7)は線からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート材(1)。
【請求項5】
前記接合跡(7)の形状は実質的に矩形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート材(1)。
【請求項6】
前記接合跡(7)の形状は実質的に円形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート材(1)。
【請求項7】
前記第1の液体透過性材料層(2)は不織布素材を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項8】
前記不織布素材は毛羽立てられたサーマルボンド素材であることを特徴とする請求項7に記載のラミネート材(1)。
【請求項9】
前記離散的に配置された材料片(3)は、0.02kPa(20N/m)の面圧における厚みが0.5〜4mmである繊維ワッディングを具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項10】
前記第2の液体透過性材料層(6)は不織布素材を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項11】
前記不織布素材は毛羽立てられたサーマルボンド素材であることを特徴とする請求項10に記載のラミネート材(1)。
【請求項12】
前記離散材料片(3)は、ラミネートの前記長手方向(X)に互いに少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mmの間隔(a)をおいて配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項13】
ラミネート材は吸収用品用のカバーシートとして用いられるものであり、前記カバーシートは使用時に使用者に面するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項14】
ラミネート材はベビーおむつ用のカバーシートとして用いられるものであることを特徴とする請求項13に記載のラミネート材(1)。
【請求項15】
ラミネート材は失禁おむつ用のカバーシートとして用いられるものであることを特徴とする請求項13に記載のラミネート材(1)。
【請求項16】
ラミネート材は生理用ナプキン用のカバーシートとして用いられるものであることを特徴とする請求項13に記載のラミネート材(1)。
【請求項17】
前記離散的に配置された材料片(3)は熱可塑性物質を具備してなることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項18】
前記第1または第2の材料層(2;6)は前記使用者に面する表面シートを形成するのに用いられるものであり、かつ前記離散的に配置された材料片(3)のそれぞれは液体移送層(4)を形成するのに用いられるものであることを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載のラミネート材(1)。
【請求項19】
接合ステーション(9,10)への、第1の液体透過性材料層(2)と、その上に離散的に配置された別な液体透過性材料からなる複数の材料片(3)とを連続供給することを含むラミネート材(1)の製造方法であって、
前記第2の連続した液体透過性材料層(2)を、前記第1の液体透過性材料層(2)に関して前記離散的な材料片(3)の逆側に配置し、
前記離散的な材料片(3)を、前記第1および第2の材料層間に配された状態で接合ステーション(9,10)内へと供給し、
前記二つの液体透過性材料層(2,6)および/または前記離散的に配置された材料片(3)の少なくとも一部は熱可塑性材料を具備してなり、前記第1の液体透過性材料層(2)および前記離散的に配置された材料片(3)と、前記第2の材料層(6)との接合を離散的な接合跡(7)において行い、
前記接合ステーションにおいて前記熱可塑性材料を少なくとも部分的に軟化あるいは溶融するようにし、これによって前記二つの材料層(2,6)および両者間に離散的に配置された前記材料片(3)を一つに結び付けることを特徴とするラミネート材(1)の製造方法。
【請求項20】
前記不連続な材料片(3)は、前記ラミネート材(1)の前記送り方向(X)に互いに間隔(a)をおいて配置されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ラミネート材(1)は、吸収用品にカバーシートとして組み込まれることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1または第2の材料層(2;6)は、それが前記使用者に面する表面シートを形成するように前記吸収用品中に組み込まれ、かつ前記不連続な材料片(3)のそれぞれは各吸収用品中に液体移送層(4)として組み込まれることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−518202(P2009−518202A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544288(P2008−544288)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001855
【国際公開番号】WO2007/067104
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】