説明

吸引回収装置及びそれを備えた吸引回収車

【課題】サイロに溜まった回収対象物を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのを防止する。
【解決手段】ルーツブロワ10(吸引手段)によって吸引負圧を生じさせ、吸引負圧により活性炭50を回収してサイロ15に収納する。サイロ15の下部の逆円錐部15a(先細形状部)を円筒状のスカート部材31で覆う。サイロ15の下面の回収用開口14を蓋部材14aで開閉自在に覆う。スカート部材31にサイロ15に収納され活性炭50を回収する回収容器16を密閉状に取付可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭、石炭、砂、セメント等の回収対象物を吸引負圧を利用して回収する吸引回収装置及びそれを備えた吸引回収車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、回収対象物を吸引ブロワ等により発生させた吸引負圧を利用して回収する吸引回収装置は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、真空吸引或いは空気輸送を利用した吸引装置及びこの吸引装置によって吸入ホースの先端から砂及び砂利を吸引して内部へ吸入するサイクロン式タンクを搭載する吸引装置付き車両が開示されている。この吸引装置付き車両では、サイクロン式タンクの下部にロータリーバルブが設けられている。
【0004】
特許文献2には、粉体状の土壌改良材を高所又は遠隔箇所に設置された排出タンクに移送し、この排出タンクに貯留された土壌改良材を排出することにより該土壌改良材を高所又は遠隔箇所に移送するようにした土壌改良材の移送装置が開示されている。この土壌改良材の移送装置は、排出タンクには土壌改良材側に設けられた真空吸引装置に連結された吸入パイプと土壌改良材に導かれた吸引パイプとが接続されると共に、該排出タンクは底部に開閉蓋を有し、真空吸引装置の作動に応じて排出タンク内が減圧されることにより開閉蓋が閉塞される一方、排出タンク内の減圧が回復することにより開閉蓋の自重又は土壌改良材の重量によって該開閉蓋が開放されることにより、排出タンク内の土壌改良材を排出するようにしている。
【特許文献1】特開平7−187404号公報
【特許文献2】特開2000−344344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の吸引回収装置では、サイロ内に溜められた回収対象物を回収容器に移して搬送する必要がある。しかしながら、サイロ下部から回収対象物を回収容器に移し替えるときに、サイロ下部と回収容器との間で隙間があるため、その隙間から粉塵が舞うという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サイロに溜まった回収対象物を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、サイロ下部にスカート部材を設け、このスカート部に回収容器を密閉状に取り付けるようにした。
【0008】
具体的には、第1の発明では、回収対象物を吸引して回収する吸引回収装置を対象とし、
上記吸引回収装置は、
吸引負圧を生じさせる吸引手段と、
上記吸引負圧により回収された回収対象物を収納する先細形状の密閉容器型サイロと、
上記サイロの下部の先細形状部を覆う円筒状のスカート部材と、
上記サイロの下面に設けられた回収用開口と、
上記回収用開口を開閉自在に覆う蓋部材とを備え、
上記スカート部材には、上記サイロに収納された回収対象物を回収する回収容器が密閉状に取付可能に構成されている。
【0009】
上記の構成によると、サイロに溜まった回収対象物は、サイロの下部に着脱自在に設けた回収容器に回収されるので、回収作業及び回収後の運搬が容易である。また、サイロ下部を覆うスカート部材に回収容器が密閉状に取り付けられるので、蓋部材を開いて回収用開口から回収された回収対象物を回収容器に移し替えるときに発生した粉塵は、外部に漏れず、大気が汚染されることはない。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記サイロの下部には、上記回収対象物の回収時に該スカート部材内で生じた粉塵を回収する粉塵回収路が設けられている。
【0011】
上記の構成によると、サイロに回収された回収対象物は、吸引負圧を開放させてサイロ下部から回収容器に回収される。このとき、回収対象物は、重力により回収容器内へ落下するため、サイロ内に粉塵が舞う。この粉塵をルーツブロワにより発生した吸引負圧を利用して粉塵回収路から回収するので、粉塵が飛び散って大気を汚すことはない。粉塵回収路で回収された粉塵は、例えば、下流側に設けた集塵装置を通過中に回収される。
【0012】
第3の発明では、第1又は2の発明において、
上記スカート部材の下端部には、上記回収容器の上端を密着させるためのフランジ部が形成されている。
【0013】
上記の構成によると、回収容器の上端がスカート部材のフランジ部に確実に取り付けられるので、回収対象物を回収容器に移し替えるときに発生した粉塵が大気中に飛び散るのがさらに効果的に防止される。
【0014】
第4の発明では、第1乃至第3の発明のいずれか1つにおいて、
上記蓋部材は、上記サイロの下端部に設けた蓋支持ピンに軸支され、該蓋支持ピンの反対側にウェイト部が設けられ、
上記ウェイトの重みにより、上記回収用開口を上記蓋部材で覆うように構成されている。
【0015】
上記の構成によると、蓋部材は、ウェイト部の重みで回収用開口を覆い、吸引負圧がなくなると、回収対象物の重みで開くことができるので、サイロの開閉装置の構造が簡略化される。
【0016】
第5の発明では、第4の発明において、
上記サイロの上部に設けられ、上記吸引負圧により吸引された回収対象物を含んだ吸引ガスから回収対象物を回収してサイロ下部に集めると共に、残りのガスを排気口から排出するサイクロンを備えている。
【0017】
上記の構成によると、サイクロンにより、質量の大きい回収対象物が下部に選別されてサイロ内に溜められ、残ったガスが排気口より排出される。サイロの上部側にサイクロンが設けられているので、サイロとサイクロンとを一体化したものに比べ、サイロ内の容積が大きくなり、サイロから回収容器へ回収対象物を移し替える回数が少なくてすむ。このため、回収対象物を回収容器に移し替えるときに発生した粉塵が外部に漏れるのがさらに効果的に防止される。
【0018】
第6の発明では、第5の発明において、
上記吸引手段は、ルーツブロワよりなり、
上記排気口の下流側には、第2のサイクロンが設けられ、該第2のサイクロンの下流側に湿式集塵装置が設けられている。
【0019】
すなわち、ルーツブロワは、大容量のガスを吸い込むことができるが、ガス内に粉塵が含まれていると、粉塵を吸い込んで故障が発生しやすい。しかし、上記の構成によると、排気口の下流側には、まず、第2のサイクロンが設けられているので、最初のサイクロンで回収しきれなかった回収対象物が回収される。さらにその下流に湿式集塵装置が設けられているので、排出ガス内の回収対象物の粉塵等の不純物が確実に回収される。このため、粉塵によりルーツブロワが故障するのが確実に防止される。
【0020】
第7の発明では、第6の発明において、
上記ルーツブロワの下流には、第2の湿式集塵装置が設けられている。
【0021】
すなわち、ルーツブロワにより吸引された排出ガスは、ルーツブロワ内に発生した熱で暖められるため、水蒸気を大量に含む。しかし、上記の構成によると、第2の湿式集塵装置を通る間に水蒸気が除去されるので、排出ガスによって周囲が水浸しになることはない。
【0022】
第8の発明では、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、
独立エンジンを備え、自走車に搭載可能にユニット構成されている。
【0023】
上記の構成によると、ユニット構成されているので、運搬及び設置が容易である。また、独立エンジンを備えているので、自走車で回収場所に運搬し、外部動力を用いることなく、その場で回収が可能である。
【0024】
第9の発明では、第1乃至第7のいずれか1つの吸引回収装置を備え、
上記吸引回収装置は、自走可能な台車上に一体に設けられている。
【0025】
上記の構成によると、容易に回収場所に移動可能であると共に、吸引回収装置を降ろして設置作業をすることなく、吸引回収車のエンジンを使用して回収作業が行える。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、上記第1の発明によれば、サイロ下部を覆うスカート部材に回収容器を密閉状に取り付けるようにしたことにより、サイロに溜まった回収対象物を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのを確実に防止することができる。
【0027】
上記第2の発明によれば、回収対象物の回収時にサイロ内に生じた粉塵を粉塵回収路から回収するようにしている。このため、回収時に粉塵が飛び散って大気を汚すのを極めて容易に防ぐことができる。
【0028】
上記第3の発明によれば、回収容器の上端をスカート部材のフランジ部に取り付けるようにしたことにより、サイロに溜まった回収対象物を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのをさらに確実に防止することができる。
【0029】
上記第4の発明によれば、ウェイトの重みにより、回収用開口を蓋部材で覆うようにしたことにより、サイロの開閉構造を簡略化することができる。
【0030】
上記第5の発明によれば、サイロの上部にサイクロンを設け、サイロ内の容積を大きくしてサイロから回収容器へ回収対象物を移し替える回数が少なくしている。このため、回収対象物を回収容器に移し替えるときに発生した粉塵が外部に漏れるのをさらに効果的に防止することができる。
【0031】
上記第6の発明によれば、排気口の下流側に第2のサイクロンを設け、その下流に湿式集塵装置を設けたことにより、排出ガス内の回収対象物等の粉塵を確実に回収してルーツブロワの故障を防止することができるので、排出ガスがクリーンで故障しにくい吸引回収装置が得られる。
【0032】
上記第7の発明によれば、ルーツブロワの下流に水蒸気を除去するための第2の湿式集塵装置を設けたことにより、水蒸気を含まないクリーンな排出ガスが得られるので、周囲を濡らすことなく快適に回収作業を行うことができる。
【0033】
上記第8の発明によれば、独立エンジンを備え、自走車に搭載可能なようにユニット構成したことにより、回収場所に載置すれば、外部動力を用いることなく容易に回収対象物の回収を行うことができる。
【0034】
上記第9の発明によれば、吸引回収車は、吸引回収装置が自走可能な台車に一体に設けられているので、容易に回収場所に移動可能であると共に、設置作業をすることなく、すぐに回収作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
図1〜図3は、本発明の実施形態にかかる吸引回収車の側面図、平面図及び背面図である。図4は、吸引回収車の装置構成を示す側面図である。図5は、吸引回収車のエア配管図である。図6は、サイロ及びその周辺の拡大側面図である。図7は、サイロ及びその周辺を拡大して示す底面図である。図8及び図9は、回収用開口周辺の拡大側面図である。図10は、回収容器の斜視図である。
【0037】
本発明の実施形態の吸引回収車1は、下部にエンジン2を有するキャブ3と、シャシフレーム4とを備えている。シャシフレーム4上には、サブフレーム4aで形成されたデッキ4bが搭載されている。
【0038】
上記デッキ4b上には、本発明の実施形態にかかる吸引回収装置5が一体に設けられている。エンジン2には、動力取出装置6が接続され、この動力取出装置6により、油圧ポンプ7及び後述するルーツブロワ10が駆動されるように構成されている。
【0039】
具体的には、サブフレーム4aの前後中央部分には、吸引負圧を生じさせる吸引手段としてのルーツブロワ10が搭載されている。ルーツブロワ10は、大容量のガスを吸い込むことができるものとなっている。このルーツブロワ10は、丸パイプ等で形成された接続配管9により、密閉状に吸引回収装置5内の各装置と連通されている。
【0040】
上記サブフレーム4aの後端には、第1サイクロン11が設けられている。図6に拡大して示すように、第1サイクロン11は、上側側面に吸入口12を備え、上面に排気口13を備えている。
【0041】
上記第1サイクロン11の下部には、密閉状の有底円筒容器型のサイロ15が設けられている。サイロ15の下部には、先細りとなった逆円錐部15aが形成されている。図7に示すように、サイロ15の下端部には、回収用開口14が形成されている。
【0042】
第1サイクロン11は、吸引負圧により吸引された回収対象物としての活性炭50を含んだ吸引ガスを吸入口12から吸入し、遠心分離作用によって質量の大きい活性炭50を回収してサイロ15内に集めると共に、残りのガスを排気口13から排出するように構成されている。活性炭50は、例えば、下水処理場で使用されて不純物が付着したものよりなる。
【0043】
図7乃至図9にも示すように、回収用開口14は、サイロ15の底壁中央に形成された円形開口よりなり、この回収用開口14を円盤状の蓋部材14aが開閉自在に覆っている。蓋部材14aは、蓋支持ピン14bに軸支され、この蓋支持ピン14bの反対側にウェイト部14cが設けられている。蓋支持ピン14bからウェイト部14cに連結部14dが延びている。連結部14dの長さとウェイト部14cの質量とは、蓋部材14aを回収用開口14に押さえ付ける程度に設定されている。吸引負圧が発生しているときには、蓋部材14aは回収用開口14に吸引されて密着しているが、吸引負圧がなくなると、サイロ15に蓄積された活性炭50の重力により、自動的に蓋部材14aが開くように構成されている。
【0044】
サイロ15の下部の逆円錐部15aは、スカート部材31で覆われている。このスカート部材31は、円筒形状を有し、サイロ15の下部に溶接されている。この開口部31aにより、蓋部材14aの開閉動作を阻害しないようになっている。スカート部材31の下端部には、フランジ部31cが形成されている。
【0045】
スカート部材31には、活性炭50を回収する回収容器16が着脱自在に設けられるようになっている。図10に示すように、この回収容器16は、円形開口を有する有底の伸縮自在のフレキシブルコンテナバッグで構成されている。例えば、この回収容器16は、上部に2本の吊り部16aと、上端を巾着状に縛り付ける絞り部16bとを備えている。図8及び図9に示すように、スカート部材31には、吊り部16aを引っ掛ける係止部32を設け、この係止部32に吊り部16aを引っ掛けた状態で絞り部16bを絞り、回収容器16の上端をスカート部材31のフランジ部31cに密着させるように構成されている。この状態で、回収容器16が蓋部材14aの開閉動作を阻害しないようになっている。この回収容器16により、サイロ15に蓄積した活性炭50を回収して別のトラックに回収容器16を搭載して再生場に運搬できるようになっている。回収された活性炭50は、焼結されて再利用が可能となっている。
【0046】
図1,図6及び図7に示すように、サイロ15は、サブフレーム4aの後端に載置されたサイロ傾動手段17によって傾動自在に支持されている。サイロ傾動手段17は、サイロ15を支持する骨組状の支持部17aとこの支持部17aを傾動させる油圧シリンダ17bとを備えている。この油圧シリンダ17bを縮めた状態で支持部17aに支持されたサイロ15がコンパクトな水平の格納状態となり、油圧シリンダ17bを伸ばした状態でサイロ15が起立されて回収状態となるように構成されている。
【0047】
図4及び図5に示すように、上記排気口13の下流側には、第2サイクロン19が設けられている。本実施形態では、サブフレーム4aの前後中央よりの左側と右側に第2サイクロン19が直列に並んでいる。第2サイクロン19は、第1サイクロン11と同様のものであるが、第1サイクロン11よりも下部の逆円錐状部が長くなり、下端部に取出口19aが設けられている。第2サイクロン19の下部に第1サイクロン11で回収されなかった微細な活性炭50等が蓄積され、取出口19aから活性炭や粉塵が回収されるようになっている。ルーツブロワ10の吸引力や回収対処物にあわせて、第2サイクロン19の数を調整すればよく、その数は限定されない。
【0048】
第2サイクロン19の下流側には、第1湿式集塵装置20が設けられている。この第1湿式集塵装置20は、排出ガスを直接液体と接触させ粉塵のみを捕捉するように構成されている。具体的には図示しないが、吸入口から吸入された排出ガスが直接水等の液体に触れ、この液体を通過するときに液体内に粉塵が溶け、又は底部に蓄積し、洗浄されたクリーンな排出ガスは、液体から第1湿式集塵装置20のケーシング内に浮き上がって充満した後、第1湿式集塵装置20外に排出され、接続配管9を通ってルーツブロワ10に吸引されるようになっている。
【0049】
ルーツブロワ10の下流には、第2湿式集塵装置21が設けられている。この第2湿式集塵装置21は、第1湿式集塵装置20と同様のもので、ルーツブロワ10によって加熱された排出ガス内の水蒸気が除去されて、排出口21aから水蒸気を含まないクリーンな排出ガスが排出されるようになっている。
【0050】
第2サイクロン19と第1湿式集塵装置20との間には、電磁エア式バタフライバルブ33が設けられ、その先には、サイレンサ30が設けられている。この電磁エア式バタフライバルブ33は、ルーツブロワ10を駆動したままで活性炭50の回収時に電磁エア式バタフライバルブ33よりも上流側の負圧を開放可能に構成されている。そのときの騒音は、サイレンサ30によって軽減される。
【0051】
図6及び図7にも示すように、サイロ15の下部には、活性炭50の回収時にサイロ15内で生じた粉塵を回収する粉塵回収路27が設けられている。粉塵回収路27は、サイロ15下部の2箇所と連通し、さらに、第1サイクロン11から第2サイクロン19に接続された接続配管9に第1手動式バタフライバルブ28を介して連通している。上記電磁エア式バタフライバルブ33が開放され、回収容器16に活性炭50を回収中にこの第1手動式バタフライバルブ28を開くと、スカート部材31内で生じた粉塵が吸い込まれて第2サイクロン19に回収されるようになっている。
【0052】
図1に示すように、サブフレーム4aの前端には、ホースリール22が設けられている。このホースリール22に吸引ホース8を巻き付けてコンパクトに収納できるようになっている。
【0053】
ホースリール22の後側には、コントロールパネル23が設けられている。このコントロールパネル23により、動力取出装置6、油圧ポンプ7、吸引回収装置5、電磁エア式バタフライバルブ33等が制御されるようになっている。コントロールパネル23に吸引回収装置5内の圧力を表示するようにしてもよい。
【0054】
−運転動作−
次に、本実施形態にかかる吸引回収装置5(吸引回収車1)の作動について説明する。
【0055】
まず、走行時には、エンジン2の駆動力により、吸引回収車1が走行する。このとき、サイロ傾動手段17により、サイロ15は、水平に傾けられ、サブフレーム4a上にコンパクトに載置されている。吸引ホース8は、ホースリール22に巻き付けられて収納されている。
【0056】
回収場所では、まず、エンジン2を駆動し、コントロールパネル23を操作して、動力取出装置6により、油圧ポンプ7及びルーツブロワ10を駆動し、油圧ポンプ7の高圧油により、油圧シリンダ17bを伸ばしてサイロ15を垂直に起立させる。
【0057】
次いで、吸引ホース8をホースリール22から繰り出し、短い吸引ホース8で第1サイクロン11と第2サイクロン19とを接続し、長い吸引ホース8の一端を第1サイクロン11の吸入口12に接続する。また、回収容器16の吊り部16aをスカート部材31の係止部32に掛け、絞り部16bを絞って回収容器16をスカート部材31のフランジ部31cに密着させ、作業姿勢が完成する。このように、自走可能なサブフレーム4aに吸引回収装置5が一体に設けられているので、容易に回収場所に移動可能であると共に、設置作業をすることなく、吸引回収車1のエンジン2を利用して回収作業が行える。
【0058】
回収作業においては、吸引ホース8の先端を下水処理場などで使用済みの不純物が付着した活性炭50に近付け、ルーツブロワ10によって発生した吸引負圧により、吸引する。
【0059】
すると、吸引力によって活性炭50が砕かれながら、第1サイクロン11の吸入口12から吸い込まれる。
【0060】
次いで、第1サイクロン11内で活性炭50が含有された吸引ガスから遠心力により、質量の大きい活性炭50が下部に選別され、残ったガスが排気口13より排出される。選別された活性炭50は、重力により下側に移動し、サイロ15内に堆積される。
【0061】
次いで、サイロ15内に一定量の活性炭50が溜まると、コントロールパネル23を操作して、電磁エア式バタフライバルブ33を開放する。
【0062】
次いで、サイロ15内の負圧が開放されると、ウェイト部14cの重力よりも蓋部材14a上に堆積した活性炭50の重力の方が大きいので、蓋部材14aが自動的に開いて回収容器16に活性炭50が回収される。回収後、この回収容器16を取り外して再生処理場へ運搬し、焼結して活性炭50を再生する。
【0063】
活性炭50を回収中に、活性炭50は、重力により落下するため、サイロ15下方に粉塵が舞う。しかし、回収容器16がスカート部材31のフランジ部31cに密着しているので、蓋部材14aの開閉動作を阻害することなく、大気中にこの粉塵が舞うのが確実に防止される。
【0064】
しかも、サイロ15下方で発生した粉塵は、ルーツブロワ10の吸引負圧を利用し、第1手動式バタフライバルブ28を開いて粉塵回収路27から回収する。このため、粉塵が飛び散って大気を汚すことはない。粉塵回収路27で回収された粉塵は、第2サイクロン19等を通過中に回収される。
【0065】
このようにして、活性炭50を効率よく回収しながら、活性炭50の粉塵が大気に排出されるのが防止される。
【0066】
一方、排気口13から排出された排出ガスは、第2サイクロン19に吸引される。この2つの第2サイクロン19を通過するうちに、さらに確実に排出ガス内から粉塵が取り除かれる。
【0067】
さらに、第2サイクロン19で、クリーンにされた排出ガスは、第1湿式集塵装置20に吸引され、第2サイクロン19で取りきれなかった微細な粉塵がさらに確実に回収される。このため、粉塵によりルーツブロワ10が故障するのが防止される。
【0068】
次いで、ルーツブロワ10により吸引された排出ガスは、ルーツブロワ10内で暖められるため、水蒸気が大量に含まれている。この水蒸気を含む排出ガスは、第2湿式集塵装置21を通過することによって、水蒸気が除去され、排出口21aから水蒸気が含まれないクリーンな排出ガスが排出される。このため、水蒸気により吸引回収車1が水浸しになることはない。
【0069】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる吸引回収車1によると、サイロ15下部を覆うスカート部材31に回収容器16を密閉状に取り付けるようにしたことにより、サイロ15に溜まった活性炭50を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのを確実に防止することができる。
【0070】
活性炭50の回収時にスカート部材31内に生じた粉塵を粉塵回収路27から回収するようにしている。このため、回収時に粉塵が飛び散って大気を汚すのを極めて容易に防ぐことができる。
【0071】
回収容器16の上端をスカート部材31のフランジ部31cに取り付けるようにしたことにより、サイロ15に溜まった活性炭50を回収する際に粉塵が飛び散って大気を汚すのをさらに確実に防止することができる。
【0072】
ウェイトの重みにより、サイロ15の底壁中央に形成された円形開口を蓋部材で覆うようにしたことにより、サイロの開閉構造を簡略化することができる。
【0073】
サイロ15の上部に第1サイクロン11を設け、サイロ15内の容積を大きくしてサイロ15から回収容器16へ活性炭50を移し替える回数が少なくしている。このため、活性炭50を回収容器16に移し替えるときに発生した粉塵が外部に漏れるのをさらに効果的に防止することができる。
【0074】
排気口13の下流側に第2サイクロン19を設け、その下流に第1湿式集塵装置20を設けたことにより、排出ガス内の活性炭50の粉塵を確実に回収してルーツブロワ10の故障を防止することができるので、排出ガスがクリーンで故障しにくい吸引回収車1が得られる。
【0075】
吸引回収装置5が自走可能なサブフレーム4aに一体に設けられているので、容易に回収場所に移動可能であると共に、設置作業をすることなく、すぐに回収作業を行うことができる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0077】
すなわち、上記実施形態では、吸引回収装置5が自走可能なサブフレーム4a上に一体に設けられた吸引回収車1について述べたが、独立エンジンを備え、自走車に搭載可能にユニット構成された吸引回収装置であってもよい。詳しくは図示しないが、上記実施形態と同様の構成の吸引回収装置をコンテナ状の台の上にユニット化して載置すれば、クレーン等により、自走車に搭載が可能となる。回収現場でこの吸引回収装置をクレーン等で降ろして設置することにより、容易に回収作業が行われる。
【0078】
このように構成すれば、独立エンジンを備えているので、自走車で回収場所に運搬し、外部動力を用いることなく、容易に活性炭50の回収を行うことができる。
【0079】
上記実施形態では、回収対象物は、活性炭50としたが、石炭、砂、セメント、各種廃棄物、豆等の穀物その他の粉体、粒状体、塊状体、片状体等であってもよい。
【0080】
上記実施形態では、係止部32に吊り部16aを引っ掛けた状態で回収容器16を支持しているが、係止部32のかわりに引っ張りバネを設けて回収容器16を吊り下げてもよい。
【0081】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明は、下水処理場で使用済みの活性炭等の回収対象物を吸引負圧を利用して回収する吸引回収装置及びそれを備えた吸引回収車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態にかかる吸引回収車の側面図である。
【図2】吸引回収車の平面図である。
【図3】吸引回収車の背面図である。
【図4】吸引回収車の装置構成を示す側面図である。
【図5】吸引回収車のエア配管図である。
【図6】サイロ及びその周辺の拡大側面図である。
【図7】サイロ及びその周辺の拡大底面図である。
【図8】回収用開口周辺の拡大側面図である。
【図9】回収用開口周辺の拡大側面図である。
【図10】回収容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
1 吸引回収車
5 吸引回収装置
10 ルーツブロワ(吸引手段)
11 第1サイクロン
13 排気口
14 回収用開口
15 サイロ
16 回収容器
19 第2サイクロン(第2のサイクロン)
20 第1湿式集塵装置
21 第2湿式集塵装置(第2の湿式集塵装置)
27 粉塵回収路
31 スカート部材
31a 開口部
31c フランジ部
50 活性炭(回収対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収対象物を吸引して回収する吸引回収装置であって、
吸引負圧を生じさせる吸引手段と、
上記吸引負圧により回収された回収対象物を収納する先細形状の密閉容器型サイロと、
上記サイロの下部の先細形状部を覆う円筒状のスカート部材と、
上記サイロの下面に設けられた回収用開口と、
上記回収用開口を開閉自在に覆う蓋部材とを備え、
上記スカート部材には、上記サイロに収納された回収対象物を回収する回収容器が密閉状に取付可能に構成されている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸引回収装置において、
上記サイロの下部には、上記回収対象物の回収時に上記スカート部材内で生じた粉塵を回収する粉塵回収路が設けられている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸引回収装置において、
上記スカート部材の下端部には、上記回収容器の上端を密着させるためのフランジ部が形成されている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の吸引回収装置において、
上記蓋部材は、上記サイロの下端部に設けた蓋支持ピンに軸支され、該蓋支持ピンの反対側にウェイト部が設けられ、
上記ウェイトの重みにより、上記回収用開口を上記蓋部材で覆うように構成されている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の吸引回収装置において、
上記サイロの上部に設けられ、上記吸引負圧により吸引された回収対象物を含んだ吸引ガスから回収対象物を回収してサイロ下部に集めると共に、残りのガスを排気口から排出するサイクロンを備えている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項6】
請求項5に記載の吸引回収装置において、
上記吸引手段は、ルーツブロワよりなり、
上記排気口の下流側には、第2のサイクロンが設けられ、該第2のサイクロンの下流側に湿式集塵装置が設けられている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項7】
請求項6に記載の吸引回収装置において、
上記ルーツブロワの下流には、第2の湿式集塵装置が設けられている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の吸引回収装置において、
独立エンジンを備え、自走車に搭載可能にユニット構成されている
ことを特徴とする吸引回収装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の吸引回収装置を備え、
上記吸引回収装置は、自走可能な台車上に一体に設けられている
ことを特徴とする吸引回収車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−184258(P2008−184258A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18330(P2007−18330)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】