説明

吸引密封式圧縮収納袋

【課題】初期の圧縮減容状態を長期に亘って可及的に維持することができる吸引密封式圧縮収納袋を提供する。
【解決手段】布団や衣類などの収納物を吸引密封状態で収納するための吸引密封式圧縮収納袋2において、重ね合わされた二枚の樹脂フィルム4,6の三辺が熱融着されて矩形の収納袋2に形成されるとともに、残る一辺に開閉ファスナー10が備えられて出し入れ口8として形成され、かつ該収納袋2には逆止弁16を有した吸引口14が設けられてなり、該樹脂フィルム4,6にはアルミ蒸着樹脂フィルムが用いられる。前記アルミ蒸着樹脂フィルム4,6には、アルミの非蒸着部分を所定形状で形成して、内部に収容した収納物を透視するための窓部を設けることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団や衣類などを圧縮減容して保管するための吸引密封式圧縮収納袋の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、押入や衣装ケース内などのスペースの有効利用のため、布団や衣類などの収納物を吸引密封式の収納袋内に入れて当該収納袋内の空気を電気掃除機などによって吸引排出することで、その体積をほぼ1/3程に圧縮減容した状態で保管することが行われている。また、この収納方法によれば省スペース化だけでなく、防カビ、防ダニなどの効果もある。
【0003】
この吸引密封式圧縮収納袋は、たとえば高密度ポリエチレン,低密度ポリエチレンおよびポリアミド(ナイロン)などの複数の樹脂フィルムをラミネートした気密性材料の樹脂フィルムを用いて矩形状の袋体に形成し、その開口部に密封機能を有した樹脂製の開閉ファスナーを設けたものであり、従来では、閉じられたファスナーの一部を開け、これに掃除機のノズルを挿通して真空吸引するようにしていたが、ノズルを抜き、ファスナを完全に閉めるタイミングで空気が袋内部に侵入して真空度が低下し易く、改善が求められていた。
【0004】
そこで、当該収納袋の一部に真空吸引口を開口し、かつこの吸引口には逆止弁機構を設け、ファスナにより袋内部を密封した後、逆止弁機構にノズルを接続して真空吸引する構造が開発されている。この構造では、吸引後はファスナーを開かない限りは真空状態に保持できる(特許文献1参照)。
【特許文献1】実願平5−44837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような吸引密封式圧縮収納袋に要求される機能としては、袋内の空気を外部に吸引排出することで収容物を圧縮減容化した状態を、ファスナーを開放するまで可及的に維持し得るようにする点である。
【0006】
しかしながら、従来の吸引密封式圧縮収納袋では、素材に複数の樹脂フィルムをラミネートした気密性のあるものを使用してはいたものの、当該樹脂フィルムのガスバリアー性が十分であったとは言い難く、これに起因して、その保管期間が長期に亘ると樹脂フィルムを透過して内部に徐々に空気が侵入してしまっていた。このため、長期に亘る保管であると、初期の圧縮減容化状態をそのまま維持しておくことが出来ずに、徐々に膨らんでいってしまうという課題があった。また、空気の侵入に伴って湿気も侵入してしまうという課題もあった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、初期の圧縮減容化状態を長期に亘って可及的に維持することができる吸引密封式圧縮収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明にあっては、重ね合わされた二枚の樹脂フィルムの三辺が熱融着されて矩形の収納袋に形成されるとともに、残る一辺に開閉ファスナーが備えられて出し入れ口として形成され、かつ該収納袋には逆止弁を有した吸引口が設けられてなる、布団や衣類などの収納物を吸引密封状態で収納するための吸引密封式圧縮収納袋において、該樹脂フィルムにアルミ蒸着樹脂フィルムを用いたことを特徴とする。
【0009】
また、前記アルミ蒸着樹脂フィルムにアルミの非蒸着部分を所定形状で形成して、内部に収容した収納物を透視するための窓部を設けた構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
アルミを表面に蒸着させた樹脂フィルムはガス・バリアー性に優れるので、吸引密封式圧縮収納袋の素材として用いることにより、空気が透過して内部に侵入してしまうことを可及的に防止することができ、もって初期の圧縮減容状態を可及的長期に亘って維持することができるようになるばかりか、湿気の侵入も可及的に防止出来るようになる。
【0011】
また、前記アルミ蒸着樹脂フィルムにアルミを部分的に非蒸着として形成した窓部を設けることによって、内部の収容物を当該窓部を通じて視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る吸引密封式圧縮収納袋を展開した状態を示す平面図であり、図2は図1において下方から見た状態の側面図、図3は出し入れ口の開閉ファスナー部の拡大断面図、図4は逆止弁を示すものあり、(a)は閉塞状態の縦断面図、(b)は開放状態の縦断面図、(c)は同図(b)中のc−c線矢視断面図、(d)は同図(b)中のd−d線矢視断面図である。
【0013】
図示するように、この吸引密封式圧縮収納袋2は矩形状の2枚の樹脂フィルム4,6が重ね合わされて、それらの三辺4a,6a、4b,6b、4c,6cが熱融着されることで袋状に形成されている。そして、この矩形の収納袋2はその残りの一辺4d,6dが収納物の出し入れ口8とされていて、当該出し入れ口8にはこれを密封する開閉ファスナー10が備えられている。
【0014】
当該開閉ファスナー10は矩形状をした樹脂製の一対のテープ体10a,10bからなり、これら各テープ体10a,10bには相互に咬合し合う凹条12aと凸条12bとがそれぞれ2条ずつ平行に対向形成されており、各テープ体10a,10bは収納袋2の出し入れ口8の内側に、その開口長さに対応されて全長に亘って熱融着されて一体的に設けられている。
【0015】
また、収納袋2の一側面の樹脂フィルム4には、吸引口14が円形に開口され、この吸引口14には樹脂製の逆止弁16が取り付けられている。図3に示すように、この逆止弁16は吸引口14の開口部を表裏から挟むようにして取り付けられており、収納袋2を挟んでその内面側に固着されて設けられる下部弁ケース18と、外面側に固定される上部弁ケース20と、両弁ケース18,20に対して上下に相対移動して下部弁ケースに18形成された弁孔22を開閉する弁体24とから概略構成されている。
【0016】
即ち、前記下部弁ケース18は硬質樹脂射出成形体からなるものであって、前記吸引口14外周部の収納袋2の内面側に、超音波あるいは高周波加工などの溶着2bにより気密に固着される円環状のフランジ18aを有する。このフランジ18aの内周部には、これに一体形成されて筒体部18bが設けられており、この筒体部18bの上端は前記吸引口を貫通して上方に突出し、かつ下端はフランジ18aの底面より下方に延びている。
【0017】
また、上記筒体部18bの下端には内方に延びる環状の遮蔽板18cを介して弁座筒18dが一体成型されて設けられているとともに、更にこの弁座筒18dの内側には90度の等間隔に配置された4本のリブ18eを介して支持されたガイド筒18fが一体形成されており、これらの筒体部18b、弁座筒18d、ガイド筒18fは同芯上に配置されている。また、上記弁座筒18dはその上端内周部が弁座面となっており、当該弁座筒18dの内側空間が吸引通路の一部をなす弁孔22となっている。
【0018】
上部弁ケース20は上記下部弁ケース18と同様に硬質樹脂射出成形体からなっており、下部弁ケース18のフランジ18aに対向するフランジ20aと、このフランジ20aの内周部に一体形成されて上方に突出し、下部弁ケース18の筒体部18b外周に嵌合する係止筒20bとを有している。係止筒20bの内周面には環状の係合溝20cが形成され、この係合溝20cが下部弁ケース18の筒体部18b外周に環状に形成されている突条18gに係合して上部弁ケース20が固定されるようになっており、収納袋2の樹脂フィルム4を当該上部弁ケース20と下部弁ケース18の両フランジ間に挟み込んでいる。また、係止筒20bの上端部は下部弁ケース18の筒体部18bの内周面よりも内方に向けてリング状に突出形成されており、当該突出部が弁体24のストッパー部20dとなっている。
【0019】
弁体24は下部弁ケース18のガイド筒18fの外周に嵌合して摺動自在に上下動する弁筒24aと、この弁筒24aの上端部に外方に向けて拡径されて一体形成された円板状の蓋部24bと、この蓋部24bの下面から下方に棒状に延出形成されたストッパー片24cと、弁筒24aの外周面下端部に形成された環状溝24dに取り付けられたゴム製のシールリング24eとからなる。上記ストッパー片24cは同一円周上に90度の等間隔で設けられており、その下端部に径方向外方に突出する係止爪24fが設けられていて、弁体24が上方にリフトされると当該係止爪24fが上部弁ケース20の係止筒20b上端部のストッパー部20d下面に当接して係止されることで弁体24の脱落が阻止されるようになっている。
【0020】
そして、上記リフト状態では、弁筒20aは弁座筒18dから離間して弁孔22を開放し、蓋部24bと上部弁ケース20の係止筒20bとの間から収納袋2内の空気を外部に吸引排出することが可能となっている。一方、弁体24が下降した状態では、弁筒20aの下端部先端が弁座筒18dの内部に嵌り込むとともにシールリングが弁座筒18dの上面に着座して密封性が保たれるようになっている。なお、逆止弁を密閉状態に保持する時には、弁座筒18dの上に着座している弁体24を軽く押し込んでシールリング24eを弁座筒18dの内周面部に圧入嵌合させてロック状態にする。
【0021】
ところで、上記吸引密封式圧縮収納袋2にあっては、その樹脂フィルム4,6にはアルミ蒸着樹脂フィルムが用いられている。即ち、当該アルミ蒸着樹脂フィルム4,6は従来と同様のポリエチレン,ポリエステル,ポリアミド(ナイロン)などの複数材料の樹脂フィルムをラミネートした気密性材料の樹脂フィルムを基材として、その表面にアルミ蒸着加工を施こしたものであり、当該吸引密封式圧縮収納袋2に使用するアルミ蒸着樹脂フィルム4,6としては、例えば、東洋紡績株式会社製のアルミ蒸着樹脂フィルムである「ハーデン」(登録商標)フィルム(N7070−12μm)等が適する。当該「ハーデン」フィルム(N7070−12μm)は二軸延伸ナイロンフィルムにアルミニウムを蒸着させたものであり、厚みが12μmであり、透湿度が10g/m・24hrs、酸素透過度が1cc/m・24hrsとなっている。
【0022】
ここで、上記のアルミ蒸着樹脂フィルム4,6には、その全面にアルミニウムを蒸着させたものを使用しても良いが、アルミの非蒸着部分を所定形状で形成して、内部に収容した収納物を透視して視認可能な窓部(図示せず)を設けるようにするのが好ましい。なお、当該窓部の形状は円形、矩形、星形等の如何なる形状であっても良い。
【0023】
以上の構成からなる吸引密封式圧縮収納袋2にあっては、収納袋2内に布団などの収納物を収納して、その開口部を開閉ファスナー10で閉止して密封する。その後、密閉状態にロックされて保持されている逆止弁16の弁体24を一旦上方にこじ開けて、弁筒24aのシールリング24eが弁座筒18dの弁座面から自在にリフトし得るように載置して弁筒24aのロック状態を解除する。
【0024】
爾後、図4(b)に示すように、電気掃除機のノズル26の先端を上部弁ケース20のフランジ20a表面外周部に凹設形成してある段部20eに押し当てて掃除機を吸引作動させてる。この吸引状態においては、弁体24はガイド筒18fに沿って上方にリフトして弁筒24aが弁座筒18dから離間する。そして、これにより弁孔22が開放されて収納袋2内の空気が当該弁孔22を通じて外部に排出されて減圧されていき、これに伴って収納物と収納袋2とがともに大気圧に押し潰されて順次平坦化されて減容化されていくことになる。
【0025】
そして、十分に減容化されたならば、掃除機のスイッチを切ってノズル26を取り外せば、弁筒24aは瞬時に弁座筒18d上にの座面に着座してシールリング24eが弁孔22を密封閉鎖する。次ぎに、弁体24を下方に押し込んで弁筒24aのシールリング24eを弾性変形させながら弁座筒18dの内周面に圧入させ、弁体24を閉鎖状態に確実に保持する。爾後、この収納物を圧縮減容化して収納した状態の吸引密封式圧縮収納袋2を押入や衣装ケース内などの収納スペースにて所望期間保管する。
【0026】
このようにアルミ蒸着樹脂フィルム4,6を袋体の素材に用いた吸引密封式圧縮収納袋2では、そのアルミ蒸着樹脂フィルム4,6はガス・バリアー性に極めて優れるので、当該アルミ蒸着樹脂フィルム4,6を透過して空気が収納袋2の内部に侵入してしまうことを可及的に防止することができ、もって初期の圧縮減容化状態を可及的長期間に亘って維持することができるようになるばかりか、湿気の侵入も可及的に防止出来るようになる。
【0027】
また、前記アルミ蒸着樹脂フィルム4,6にアルミを部分的に非蒸着として形成した窓部を設けることによって、内部の収容物を当該窓部を通じて容易に視認することができ、開閉ファスナー10の開放するに先だって、これに内包収納した収納物を予め確認することができ、誤開放を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る吸引密封式圧縮収納袋を展開した状態を示す平面図である。
【図2】図1において下方から見た状態の側面図である。
【図3】図1中のB−B線矢視断面を示すもので、出し入れ口の開閉ファスナー部の拡大断面図である。
【図4】図1中のA−A線矢視断面での逆止弁を示すものあり、(a)は閉塞状態の縦断面図、(b)は開放状態の縦断面図、(c)は同図(b)中のc−c線矢視断面図、(d)は同d−d線矢視断面図である
【符号の説明】
【0029】
2 収納袋
4,6 アルミ蒸着樹脂フィルム
8 出し入れ口
10 開閉ファスナー
14 吸引口
16 逆止弁
18 下部弁ケース
20 上部弁ケース
24 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた二枚の樹脂フィルムの三辺が熱融着されて矩形の収納袋に形成されるとともに、残る一辺に開閉ファスナーが備えられて出し入れ口として形成され、かつ該収納袋には逆止弁を有した吸引口が設けられてなる、布団や衣類などの収納物を吸引密封状態で収納するための吸引密封式圧縮収納袋において、
該樹脂フィルムにアルミ蒸着樹脂フィルムを用いたことを特徴とする吸引密封式圧縮収納袋。
【請求項2】
前記アルミ蒸着フィルムにアルミの非蒸着部分を所定形状で形成して、内部に収容した収納物を透視するための窓部を設けたことを特徴とする吸引密封式圧縮収納袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−204097(P2007−204097A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23645(P2006−23645)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(597006861)株式会社オリエント (10)
【Fターム(参考)】