説明

吸引式混合システム

【課題】簡易な構成でありながら、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整できる吸引式混合システムを提供する。
【解決手段】第1吸引混合ポンプY1は、分散質Pと液相分散媒Lとが攪拌されて第1吐出部12から吐出された混合流体Fを、第1再循環口71bと第1排出口71cとに分配して排出する第1分配部70を有し、第1吸引混合ポンプY1と第2吸引混合ポンプY2とは、第2吸引混合ポンプY2の第2吸引部11´の吸引力を第1排出口71cに直接作用させて、第1排出口71cから排出された混合流体Fを第2吸引部11´に吸引導入する形態で直列状に連結され、駆動制御部Eが、第1回転駆動手段M3及び第2回転駆動手段M3´を制御して第1回転翼6及び第2回転翼6´の回転速度を相対的に変化させ、第2吐出部12´から吐出される混合流体F´の分散状態を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散質及び液相分散媒を分散混合する第1吸引混合ポンプと、この第1吸引混合ポンプによって生成された混合流体をさらに分散混合する第2吸引混合ポンプとを有する吸引式混合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる吸引式混合システムでは、例えば、特許文献1に示すように、分散質及び液相分散媒を混合する第1吸引混合ポンプと、この第1吸引混合ポンプによって分散混合された混合流体をさらに分散混合する第2吸引混合ポンプとを有する構成が開示されており、第1吸引混合ポンプと第2吸引混合ポンプとの間には、第1吸引混合ポンプによって分散混合された混合流体を一時的に貯留する貯留手段が備えられた構成とされている。
【0003】
また、これらの第1吸引混合ポンプ及び第2吸引混合ポンプのそれぞれにおいては、回転翼の回転により生じる吸引力により、吸引部から混合対象物となる分散質及び液相分散媒が個別又は予備混合された状態で吸引混合ポンプの内部に導入される。そして、吸引混合ポンプの内部において回転する回転翼によって混合対象物の分散混合が行われ、混合流体が生成される。
【0004】
混合流体の例としては、例えば、液相分散媒に対して分散質として固相分散質を混合させた場合のスラリー、及び、液相分散媒に対して分散質として液相分散質を混合させた場合のエマルジョン等が挙げられる。スラリーは、例えば、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等の電極やセパレータ、塗料、トナー、研磨剤等の用途に多く利用される。一方、エマルジョンは、例えば、食品、シート材、エマルジョン燃料等に利用される。ちなみに、分散質としては、例えば、粉体等の固相分散質や油等の液相分散質が挙げられ、液相分散媒としては、例えば、水等の溶媒が挙げられる。
ここで、粉体としては、粉状のものであれば特に除外されるものではなく、例えば、電池電極材料の化学原料、脱脂粉乳や小麦粉等の食品原料、医薬原料等であって、顆粒、粉体、細粒等の粉体(これら粉体の混合物を含む)を例示することができる。粉体には、径が大きい、いわゆる粉粒体も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−56466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の吸引式混合システムでは、第1吸引混合ポンプと第2吸引混合ポンプとの間には貯留手段が備えられているから、第2吸引混合ポンプの吸引力が第1吸引混合ポンプの排出口に直接作用するものではない。また、第1吸引混合ポンプと第2吸引混合ポンプとの間に設けられた貯留手段には、貯留した混合流体の量を計測するレベル計が設けられており、そのレベル計からのレベル信号によって、貯留タンクの排出口と第2吸引混合ポンプの吸引口とを接続する混合流体の流路に設けられた開閉弁を開閉操作して、第2吸引混合ポンプに混合流体を供給するように構成されている。
【0007】
そのため、かかる吸引式混合システムでは、貯留手段としての貯留タンクや、混合流体のレベル計、開閉弁等が必要となり、装置構成が複雑となるという問題がある。
また、かかる吸引式混合システムでは、混合流体の分散状態や生成量を調節しようとすると、貯留手段に貯留される混合流体の量をレベル計で常に監視しながら、さらに、第1吸引混合ポンプから貯留手段に供給される混合流体の量及び貯留手段から第2吸引混合ポンプに供給される混合流体の量を個別に調整し、全体として適切な運転状態となるように連動させる必要が生じ、結果として各機器の制御が非常に複雑になるという問題がある。又、一方の分散状態が好適な状態から外れた場合は、当該一方及び他方の分散状態を連動させて直接的に調整しにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成でありながら、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整できる吸引式混合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る吸引式混合システムの特徴構成は、
第1回転駆動手段による第1回転翼の回転によって発生する吸引力により、分散質と液相分散媒とを吸引する第1吸引部と、前記第1回転翼の回転により前記第1吸引部を介して吸引された前記分散質と前記液相分散媒とを攪拌し当該攪拌された混合流体を第1吐出部から吐出する第1攪拌部と、前記第1吐出部から吐出された混合流体を第1再循環口と第1排出口とに分配して排出する第1分配部と、前記第1再循環口から排出される混合流体を前記第1攪拌部に戻す第1戻し部とを有する第1吸引混合ポンプを備えるとともに、
第2回転駆動手段による第2回転翼の回転によって発生する吸引力により、前記第1排出口から排出された混合流体を吸引する第2吸引部と、前記第2回転翼の回転により前記第2吸引部を介して吸引された混合流体を攪拌し当該攪拌された混合流体を第2吐出部から排出する第2攪拌部とを有する第2吸引混合ポンプを備え、
前記第1吸引混合ポンプと前記第2吸引混合ポンプとは、前記第2吸引部の吸引力を前記第1排出口に直接作用させて、前記第1排出口から排出された混合流体を前記第2吸引部に吸引導入する形態で直列状に連結され、
前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段の運転を制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部が、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御して前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させ、前記第2吐出部から吐出される混合流体の分散状態を調整する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、駆動制御部が、第1吸引混合ポンプの第1回転翼及び第2吸引混合ポンプの第2回転翼の回転速度を相対的に変化させて、第2吸引混合ポンプの第2吐出部から吐出される混合流体の分散状態を調整するので、簡易な構成でありながら、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整することができる。
【0011】
説明を加えると、まず、第1吸引混合ポンプの第1回転翼の回転で発生する吸引力により、分散質と液相分散媒とが第1吸引部を通して第1攪拌部に吸引導入され、当該第1攪拌部内において攪拌混合された混合流体が第1吐出部から吐出される。第1吐出部から吐出された混合流体は、第1再循環口と第1排出口とに分配して排出される。つまり、第1吐出部から吐出される混合流体の一部は、第1再循環口から第1吸引混合ポンプの第1戻し部を介して再び第1吸引混合ポンプの第1攪拌部内に吸引されて更に分散混合され、一方で、残部は、第1分配部の第1排出口から第1排出路に排出される。
また、第2吸引混合ポンプの第2回転翼の回転で発生する吸引力により、第1排出路に排出された混合流体が第2吸引部を通して第2攪拌部に吸引導入され、当該第2攪拌部内において攪拌混合された混合流体が第2吐出部から吐出される。
【0012】
そして、第1吸引混合ポンプと第2吸引混合ポンプとは、第2回転翼の回転で発生する吸引力を第1排出路を介して第1排出口に直接作用させて、前記第1排出口から排出された混合流体を第2吸引部に吸引導入する形態で直列状に連結されているので、第1排出路に排出された混合流体は、第2回転翼の回転速度に対応して変化する吸引力により、第2吸引部を通して第2吸引混合ポンプ内に吸引導入される。
このような状態で、駆動制御部が、第1回転駆動手段及び第2回転駆動手段を制御して、第1回転翼及び第2回転翼の回転速度を相対的に変化させるので、第1回転翼の回転により発生する吸引力及び第2回転翼の回転により発生する吸引力が相対的に変化して、第1吸引混合ポンプの第1排出口から排出され第2吸引混合ポンプの第2吸引部に吸引される混合流体の流量を調整でき、同時に、第1吸引混合ポンプの第1再循環口から排出され第1吸引混合ポンプの第1戻し部を介して再び第1攪拌部内に吸引される混合流体の流量を調整することができる。すなわち、第1吸引混合ポンプの第1攪拌部で分散混合され第1吐出部から吐出された混合流体のうち、第1吸引混合ポンプの第1攪拌部に再循環させて再度分散混合される混合流体の流量と、第2吸引混合ポンプの第2吸引部に供給させて第2攪拌部で分散混合される混合流体の流量とを相対的に調整することができ、再循環回数も調整されて、結果、第2攪拌部で分散混合され第2吐出部から吐出される混合流体の分散状態を調整することができる。
よって、第1回転翼に対する第2回転翼の回転速度を相対的に変化させることで、簡易な構成でありながら、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整することができる。
【0013】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、
前記第2吐出部から吐出された混合流体中における前記分散質及び前記液相分散媒の分散状態を計測する分散状態計測手段を備え、
前記駆動制御部は、前記分散状態計測手段によって計測された計測結果に基づいて、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御して前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させる点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、分散状態計測手段によって計測された混合流体中における分散質及び液相分散媒の分散状態に応じて、駆動制御部が、第1回転翼及び第2回転翼の回転速度を相対的に変化させるフィードバック制御を行うことができるので、混合流体中における分散質及び液相分散媒との分散状態を所望の分散状態に近づけることができる。
【0015】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、
前記分散状態計測手段により計測された計測結果が、予め設定された所定の分散状態に対して乖離している場合は、前記駆動制御部は、前記第1回転翼の回転速度に対して前記第2回転翼の回転速度を相対的に低下させる点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、分散状態計測手段により計測された分散状態が、予め設定された所定の分散状態に対し乖離している場合は、第1回転翼の回転速度に対して第2回転翼の回転速度を相対的に低下させるので、第1吸引混合ポンプに再循環され第1攪拌部において分散混合される混合流体の割合が上昇し、分散質及び液相分散媒がより均一に分散混合された混合流体を得ることができる。よって、分散混合の促進された混合流体が第2吸引混合ポンプにおいて分散混合されて混合流体として吐出されることとなり、分散状態が所定の分散状態に対し乖離している混合流体を、容易に所定の分散状態に近づけることができる。
説明を加えると、各吸引混合ポンプにおいては、各回転翼の回転速度の増減に伴って吸引力が増減し、吐出される混合流体の流量が増減するので、第1回転翼の回転速度に対して第2回転翼の回転速度を相対的に低下させることで、第1排出口に作用する吸引力が相対的に低下して、第1排出口から排出され第2吸引部に吸引される混合流体の流量が低下する。一方で、第1再循環口に作用する吸引力は相対的に上昇して、第1再循環口から排出され第1吸引部に吸引され第1攪拌部に再循環される混合流体の流量が増加する。
その結果、第1吸引混合ポンプの第1攪拌部で分散混合され第1吐出部から吐出された混合流体のうち、第2吸引混合ポンプの第2吸引部に供給される混合流体の流量に対して、第1吸引混合ポンプの第1攪拌部に再循環させて再度分散混合される混合流体の流量を相対的に増加させることができ、第1攪拌部において分散混合の促進された混合流体が第2吸引混合ポンプにおいて分散混合されて混合流体として吐出されることとなり、所定の分散状態に対し乖離している混合流体の分散状態を、容易に所定の分散状態に近づけることができる。
【0017】
更に、分散状態計測手段により計測された分散状態が、予め設定された所定の分散状態となっている場合は、第1回転翼の回転速度に対して第2回転翼の回転速度を相対的に上昇させることができる。第1回転翼の回転速度に対して第2回転翼の回転速度を相対的に上昇させると、第1吸引混合ポンプに再循環され第1攪拌部において分散混合される混合流体の割合が低下し、第2吸引混合ポンプに供給される混合流体の割合が増加する。すなわち、第1排出口に作用する吸引力が相対的に上昇して、第1排出口から排出され第2吸引部に吸引される混合流体の流量が増加する。一方で、第1再循環口に作用する吸引力は相対的に低下して、第1再循環口から排出され第1吸引部に吸引され第1攪拌部に再循環される混合流体の流量が低下する。
その結果、第1吐出部から吐出された混合流体のうち、第1吸引混合ポンプの第1攪拌部に再循環させて再度分散混合される混合流体の流量に対して、第2吸引混合ポンプの第2吸引部に供給される混合流体の流量を相対的に増加させることができ、十分に分散混合された状態の混合流体を、迅速に第2吸引混合ポンプに供給することができる。
よって、第1吸引混合ポンプにおいて分散混合された混合流体は、より迅速に第2吸引混合ポンプにおいて分散混合されて吐出されることとなり、所定の分散状態となって吐出される混合流体の流量を増加させることができ、所望の分散状態の混合流体をより迅速に生成でき、その生成量の増加を図ることができる。
【0018】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、
前記駆動制御部は、前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させる際、前記第1回転翼の回転速度を一定としつつ、前記第2回転翼の回転速度を変化させる点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、第1回転翼の回転速度を一定としつつ、第2回転翼の回転速度のみを変化させるので、駆動制御部において、第1回転駆動手段を制御する必要がなく、第2回転駆動手段を制御するだけの簡単な制御で、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整することができる。
ここで、第1吸引混合ポンプの第1吸引部を介して上流側に作用する吸引力により、第1攪拌部内に分散質及び液相分散媒を定量で吸引する場合、第1吸引混合ポンプの第1回転翼の回転速度が変化すると吸引力も変動して、第1攪拌部内に供給される分散質及び液相分散媒の供給量が変動することがある。このような場合であっても、第1回転翼の回転速度を一定とし第2回転翼の回転速度を変化させることで、吸引力の変動を防止して第1攪拌部内への分散質及び液相分散媒の定量供給を維持しながら、第2吸引混合ポンプの第2吐出部から吐出される混合流体の分散状態を調整することができる。
【0020】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、
前記分散状態計測手段は、前記第2吐出部から吐出された混合流体の濃度を計測する濃度計測手段及び当該混合流体の粘度を計測する粘度計測手段の一方又は両方とする点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、濃度計測手段により計測された混合流体の濃度や粘度計測手段により計測された混合流体の粘度を、混合流体における分散質と液相分散媒との分散状態を示す指標として用いることができる。よって、混合流体における分散質と液相分散媒との分散状態を容易且つ確実に計測でき、分散状態を容易に把握することができる。
【0022】
本発明に係る吸引式混合システムの更なる特徴構成は、
前記第1分配部が、上部に前記第1排出口を有し且つ下部に前記第1再循環口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底部から突入する状態で前記円筒状容器内に設けられて前記第1吐出部が接続された導入管とを備えて構成されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、第1吸引混合ポンプの第1吐出部から吐出された混合流体を、第1分配部において比重差により上下方向に分離して、気泡の含有率が低くて比重が大きい大比重分は第1再循環口から排出し、気泡の含有率が高くて比重が小さい小比重分は第1排出口から排出する状態で分配することができる。これにより、分散質と液相分散媒との分散状態が不十分な状態である大比重分は、第1吸引混合ポンプの第1戻し部から、再び第1吸引混合ポンプの第1攪拌部内に吸引されて更に分散混合され、分散質と液相分散媒との分散状態が比較的良好な状態である小比重分として、第1排出口を介して排出して、第2吸引混合ポンプに供給することができる。そして、第2吸引混合ポンプから排出された混合流体の分散状態を計測して、この分散状態に基づいて第1回転翼の回転速度及び第2回転翼の回転速度を相対的に調整することで、第1吸引混合ポンプに再循環され第1攪拌部において大比重分の割合が調整できるので、第2排出路において分散質と液相分散媒とがより均一に分散された混合流体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】吸引式混合システムの概略構成図
【図2】定量供給機構を示す縦断面図
【図3】図2のIII−III方向矢視図
【図4】吸引混合ポンプの縦断側面図
【図5】分配部の概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に、直列状に2基の吸引混合ポンプYが連結された吸引式混合システムを示す。
この吸引式混合システムは、分散質としての粉体Pと液相分散媒としての液体Lとを混合することにより、粉体Pを液体Lに分散混合させて混合流体を生成するものである。
本実施形態においては、例えば、粉体PとしてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を用い、液体Lとして水を用いた。
【0026】
図1に示すように、この吸引式混合システムは、粉体Pを定量供給する粉体供給装置Xと、液体Lを定量供給する液体供給装置50と、粉体供給装置Xから定量供給される粉体Pと液体供給装置50から定量供給される液体Lとを吸引して混合し、粉体Pを液体Lに溶解して、混合流体Fを吐出する第1吸引混合ポンプY1と、混合流体Fを吸引して混合し、混合流体F´を吐出する第2吸引混合ポンプY2と、各機器を制御する制御部Cとを備えて構成されている。
以下、第1吸引混合ポンプY1と第2吸引混合ポンプY2とは基本的に同様の構成を備えているので、機能の共通する構成に関しては同様の符号を付して「第1」、「第2」との文言を省略して記載する。この場合、第2吸引混合ポンプY2に関する構成には、第1吸引混合ポンプY1の構成に関する説明で用いた符号と同様の番号を付すが、当該番号に「´」を付して両者を区別する。例えば、第1吸引混合ポンプY1の第1回転翼は「回転翼6」とし、第2吸引混合ポンプY2の第2回転翼は「回転翼6´」として説明する。
【0027】
第1吸引混合ポンプY1は、回転駆動手段M3(第1回転駆動手段に相当)による回転翼6(第1回転翼に相当)の回転によって発生する吸引力により、粉体Pと液体Lとを又は粉体Pと液体Lとが混合された予備混合物Fpを吸引する吸引口11(第1吸引部に相当)と、回転翼6の回転により吸引口11を介して吸引された粉体Pと液体Lとを攪拌混合して、混合流体Fとしての1次スラリーFaを生成する翼室8(第1攪拌部に相当)と(図4参照)、1次スラリーFaを翼室8から吐出させる吐出口12(第1吐出部に相当)と、吐出口12から吐出されて、吐出路18を経由して流入する1次スラリーFaを、比重が小さい小比重分Fsと比重が大きい大比重分Frとに比重差により分離して、再循環口71b(第1再循環口に相当)と排出口71c(第1排出口に相当)とに分配して排出する分配部70(第1分配部に相当)と、再循環口71bから排出される大比重分Frを翼室8に戻す戻し口17(第1戻し部に相当)とを有している。
【0028】
また、第2吸引混合ポンプY2は、回転駆動手段M3´(第2回転駆動手段に相当)による回転翼6´(第2回転翼に相当)の回転によって発生する吸引力により、分配部70で分離及び分配されて、排出路22に排出された小比重分Fsを吸引する吸引口11´(第2吸引部に相当)と、回転翼6´の回転により吸引口11´を介して吸引された小比重分Fsを攪拌して混合流体F´としての2次スラリーFa´を生成する翼室8´(第2攪拌部に相当)と、2次スラリーFa´を翼室8´から吐出させる吐出口12´(第2吐出部に相当)とを有している。
【0029】
そして、第1吸引混合ポンプY1の場合と同様に、第2吸引混合ポンプY2の吐出口12´には、吐出路18´を介して、分配部70´が接続されており、吐出口12´から吐出された2次スラリーFa´を比重が小さい小比重分Fs´と比重が大きい大比重分Fr´とに比重差により分離して、再循環口71b´と排出口71c´とに分配して排出する分配部70´と、再循環口71b´から排出される大比重分Fr´を翼室8´に戻す戻し口17´とを有している。そして、排出口71c´から排出された小比重分Fs´が、排出路22´を介してスラリー供給先80に供給される。
【0030】
また、第1吸引混合ポンプY1と第2吸引混合ポンプY2とは、回転翼6´の回転によって発生する吸引力を排出路22を介して排出口71cに直接作用させて、小比重分Fsを第2吸引混合ポンプY2の吸引口11´に吸引導入する形態で直列状に連結されている。
【0031】
排出路22´には、吐出部12´から吐出された2次スラリーFa´中における粉体P及び液体Lの分散状態を計測する分散状態計測手段としての濃度計測手段Dが分配部70´の下流側において排出路22´に備えられており、これによって、小比重分Fs´中において溶解せずに残留する粉体Pの濃度が計測される。
また、濃度計測手段Dによる計測結果は、計測と同時に制御部Cの駆動制御部Eに出力するように構成されている。
【0032】
さらに、制御部Cには、回転駆動手段M3及び回転駆動手段M3´の回転速度を制御して、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を相対的に変化させ、吐出口12´から吐出される2次スラリーFa´の分散状態を調整する駆動制御部Eが設けられている。なお、制御部Cは、公知の情報演算処理手段からなり、例えば、CPU、メモリ等を備えて構成される。
【0033】
そして、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を相対的に変化させることによって、吸引口11に作用する吸引力、及び、吸引口11´に作用する吸引力の少なくとも一方が変化するとともに、翼室8及び翼室8´における分散混合効果も変化して、1次スラリーFa及び2次スラリーFa´の分散状態を調整することができるように構成されている。
【0034】
以下、吸引式混合システムの各部について説明を加える。
図1に示すように、粉体供給装置Xは、上部開口部31aから受け入れた粉体Pを下部開口部31bから排出させるホッパ31と、ホッパ31内の粉体Pを攪拌する攪拌機構32と、ホッパ31の上部開口部31aが室内に対し開放された状態で、下部開口部31bの下流側に接続された第1吸引混合ポンプY1の吸引により下部開口部31bに作用する吸引力によって、下部開口部31bから排出された粉体Pを第1吸引混合ポンプY1に定量供給する容積式の定量供給機構(以下、単に定量供給機構と記載する場合がある)40とを備えて構成されている。
【0035】
ホッパ31は、上部から下部へ向かうに連れて縮径する逆円錐形状に構成され、その中心軸A2が鉛直方向に沿う姿勢で配設されている。そのホッパ31の上部開口部31a及び下部開口部31b夫々の横断面形状(上面視)は、中心軸A2を中心とする円形状とされ、又、ホッパ31における逆円錐形状の内側壁面の傾斜角度は、水平面に対して略60度とされる。
【0036】
攪拌機構32は、ホッパ31内に配設されて、ホッパ31内の粉体Pを攪拌する攪拌羽根32Aと、当該攪拌羽根32Aをホッパ31の中心軸A2周りに回転させる攪拌羽根駆動モータM1と、攪拌羽根駆動モータM1をホッパ31の上部開口部31aの上方に位置させて支持する取付部材32Bと、攪拌羽根駆動モータM1の回転駆動力を攪拌羽根32Aに伝動させる伝動部材32Cとを備えて構成される。攪拌羽根駆動モータM1は、制御部Cによって制御されており、例えば、粉体Pの性質及び第1吸引混合ポンプY1の稼動状態などに基づいて制御部Cによって判断された回転速度で回転動作する。
【0037】
攪拌羽根32Aは、棒状部材を概略V字形状に屈曲して構成され、その一方の辺部がホッパ31の内側壁面に沿う状態で、他方の辺部の端部がホッパ31の中心軸A2と同軸で回転自在に枢支されて配設されている。また、当該攪拌羽根32Aは、横断面形状が三角形に形成されており、三角形の一辺を形成する面がホッパ31の内側壁面と略平行となるように配設されている。これにより、攪拌羽根32Aは、ホッパ31の内側壁面に沿って中心軸A2周りに回転可能に配設されている。
【0038】
図1から図3に示すように、定量供給機構40は、ホッパ31の下部開口部31bから供給される粉体Pを第1吸引混合ポンプY1に設定粉体供給量(単位時間当たり)で定量供給する機構である。
具体的には、ホッパ31の下部開口部31bに接続される導入部41と、粉体供給口43a及び粉体排出口43bを備えたケーシング43と、複数の桝室44bを外周部が開放された状態で周方向に等間隔で有して、ケーシング43内に回転可能に配設された計量回転体44と、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM2とを備えて構成される。この計量回転体駆動モータM2は、制御部Cによって制御されており、例えば、第1吸引混合ポンプY1の回転翼6の回転速度などに基づいて制御部Cによって判断された回転速度で回転動作する。
【0039】
導入部41は、ホッパ31の下部開口部31bとケーシング43の上部に形成された粉体供給口43aとを連通する筒状に形成され、最下端には、ケーシング43の粉体供給口43aと同形状のスリット状の開口が形成されている。この導入部41は、ケーシング43の粉体供給口43a側ほど細くなる先細り状に形成されている。当該スリット状の開口の形状は、ホッパ31の大きさ、粉体Pの供給量、粉体Pの特性等に応じて適宜設定することができるが、例えば、スリット状の開口の長さ方向の寸法を20〜100mm程度、幅方向の寸法を1〜5mm程度に設定するようにする。
【0040】
ケーシング43は、概略直方体形状に形成され、水平方向に対して45度傾斜した姿勢で、導入部41を介してホッパ31の下部開口部31bに接続されている。
図2及び図3に示すように、ケーシング43の上面には、導入部41のスリット状の開口に対応したスリット状の粉体供給口43aが設けられ、ホッパ31の下部開口部31bからの粉体Pをケーシング43内に供給可能に構成されている。傾斜状に配置されたケーシング43の下方側の側面(図2において右側面)の下部には、計量回転体44にて定量供給された粉体Pを膨張室47を介して第1吸引混合ポンプY1に排出する粉体排出口43bが設けられ、その粉体排出口43bには、粉体排出管45が接続されている。膨張室47は、粉体供給口43aから計量回転体44の桝室44bに供給された粉体Pが定量供給されるケーシング43内の位置に設けられ、粉体排出口43bから作用する吸引力によって、粉体供給口43aよりも低圧に維持される(例えば、−0.06MPa程度)。すなわち、粉体排出口43bは、第1吸引混合ポンプY1の吸引口11に接続されることによって、吸引力が膨張室47に作用し粉体供給口43aよりも低圧状態に維持されるようにしている。計量回転体44の回転に伴って、各桝室44bの状態が負圧状態(例えば、−0.06MPa程度)と当該負圧状態よりも高圧の状態に変化するように構成されている。
【0041】
計量回転体44は、計量回転体駆動モータM2の駆動軸48に配設した円盤部材49に、複数(例えば、8枚)の板状隔壁44aを円盤部材49の中心部を除いて放射状に等間隔に取り付けて構成され、周方向で等間隔に桝室44bを複数区画(例えば、8室)形成するように構成されている。桝室44bは、計量回転体44の外周部及び中心部において開口するように構成されている。計量回転体44の中心部には、開口閉鎖部材42が周方向に偏在して固定状に配設され、各桝室44bの中心部側の開口をその回転位相に応じて閉塞或いは開放可能に構成されている。なお、粉体Pの供給量は、計量回転体44を回転駆動する計量回転体駆動モータM2による計量回転体44の回転速度を変化させることで、調整できる。
【0042】
計量回転体44の回転に伴って、各桝室44bが、膨張室47に開放される膨張室開放状態、膨張室47及び粉体供給口43aと連通しない第1密閉状態、粉体供給口43aに開放される供給口開放状態、粉体供給口43a及び膨張室47と連通しない第2密閉状態の順で、その状態が繰り返して変化するように構成されている。なお、計量回転体44の外周面側の開口が第1密閉状態及び第2密閉状態において閉鎖されるようにケーシング43が形成されるとともに、計量回転体44の中心部側の開口が第1密閉状態、供給口開放状態及び第2密閉状態において閉鎖されるように、開口閉鎖部材42がケーシング43に固定して配設される。
【0043】
従って、粉体供給装置Xにおいては、ホッパ31内に貯留された粉体Pが攪拌羽根32Aにより攪拌されながら定量供給機構40に供給され、定量供給機構40により、粉体Pが粉体排出口43bから粉体排出管45を通して第1吸引混合ポンプY1に設定粉体供給量で定量供給される。
【0044】
具体的に説明すると、定量供給機構40の粉体排出口43bの下流側に接続された第1吸引混合ポンプY1からの吸引力により、ケーシング43内における膨張室47の圧力が負圧状態(例えば、−0.06MPa程度)となる。一方で、ホッパ31の上部開口部31aは室内に対して開放されているので、ホッパ31内は大気圧程度の状態となる。膨張室47と計量回転体44の隙間を介して連通する導入部41の内部及び下部開口部31bの近傍は、上記負圧状態と大気圧状態との間の圧力状態となる。
【0045】
この状態で、ホッパ31の内壁面及び下部開口部31bの近傍の粉体Pが、攪拌機構32の攪拌羽根32Aにより攪拌されることで、攪拌羽根32Aによるせん断作用によりホッパ31内の粉体Pが解砕され、一方、計量回転体44は計量回転体駆動モータM2により回転させられることで、空の桝室44bが次々と粉体供給口43aに連通する状態となる。そして、ホッパ31内の粉体Pは下部開口部31bから導入部41を流下し、次々と粉体供給口43aに連通する状態となる計量回転体44の桝室44bに収容されて、その桝室44bに収容された粉体Pは膨張室47に流下し、粉体排出口43bから排出される。従って、粉体供給装置Xにより、粉体Pを粉体排出管45を通して設定粉体供給量で連続して第1吸引混合ポンプY1の吸引口11に定量供給することができる。
【0046】
図1に示すように、粉体排出管45には、第1吸引混合ポンプY1の吸引口11への粉体Pの供給を停止可能なシャッタバルブ46が配設されている。
【0047】
図1に示すように、液体供給装置50は、液体源51からの液体Lを、設定液体供給量(単位時間当たり)で第1吸引混合ポンプY1の吸引口11に連続的に供給するように構成されている。
具体的には、液体供給装置50は、液体Lを送出する液体源51と、液体源51から液体Lが送出される液体供給管52と、液体源51から液体供給管52に送出される液体Lの供給量を設定液体供給量に調整する流量調整バルブ(図示せず)とを備えて構成されている。
又、第1吸引混合ポンプY1の吸引口11には、液体供給装置50から設定液体供給量で定量供給される液体Lと定量供給機構40から設定粉体供給量で定量供給される粉体Pとを混合するミキシング機構60が設けられている。
【0048】
図4に示すように、ミキシング機構60は、粉体排出管45と液体供給管52とを吸引口11に連通接続するミキシング部材61を備えて構成されている。
このミキシング部材61は、円筒状の吸引口11よりも小径に構成されて、吸引口11との間に環状のスリット63を形成すべく吸引口11に挿入状態で配設される筒状部62、及び、環状のスリット63に全周にわたって連通する状態で吸引口11の外周部に環状流路64を形成する環状流路形成部65を備えて構成されている。
ミキシング部材61には、粉体排出管45が筒状部62に連通する状態で接続されると共に、液体供給管52が環状流路64に対して液体Lを接線方向に供給するように接続される。
粉体排出管45、ミキシング部材61の筒状部62及び吸引口11は、それらの軸心が一連となりその一連の軸心A5を供給方向が下向きとなる傾斜姿勢(水平方向に対する角度が45度程度)となるように傾斜させて配置されている。尚、図2に示すように、計量回転体44の回転軸心A1も、軸心A5と平行に、即ち、水平方向に対する角度が45度程度になるように設定されている。
【0049】
つまり、定量供給機構40の粉体排出口43bから粉体排出管45に排出された粉体Pは、ミキシング部材61の筒状部62を通して軸心A5に沿って第1吸引混合ポンプY1の吸引口11に導入される。一方、液体Lは、環状流路64に接線方向から供給されるので、環状流路64の内周側に形成される環状のスリット63を介して、切れ目のない中空円筒状の渦流の状態で第1吸引混合ポンプY1の吸引口11に供給される。
従って、円筒状の吸引口11により、粉体Pと液体Lとが均一に予備混合され、その予備混合物Fpが第1吸引混合ポンプY1に吸引導入される。
【0050】
次に、図4および図5に基づいて、各吸引混合ポンプYについて説明を加える。各吸引混合ポンプYの構成は共通であるため、第1吸引混合ポンプY1に基づいて説明する。
第1吸引混合ポンプY1は、両端開口が前壁部2と後壁部3とで閉じられた円筒状の外周壁部4を備えたケーシング1と、そのケーシング1の内部に同心状で回転駆動自在に設けられたロータ5と、そのケーシング1の内部に同心状で固定配設された円筒状のステータ7と、ロータ5を回転駆動する回転駆動手段M3等を備えて構成されている。
【0051】
ロータ5は、その前面が概ね円錐台状に膨出する形状に構成され、このロータ5の径方向の外方側には、複数(この実施形態では10個)の回転翼6が、前壁部2側である前方側(図4の左側)に突出し且つ周方向に等間隔で並ぶ状態でロータ5と一体的に備えられている。
このロータ5が、ケーシング1内においてケーシング1と同心状に位置する状態で、後壁部3を貫通してケーシング1内に挿入された回転駆動手段M3の駆動軸19に連結されて、その回転駆動手段M3により回転駆動される。
【0052】
円筒状のステータ7には、複数の透孔7a,7bが周方向に夫々並べて備えられ、そのステータ7が、ロータ5の前方側で且つ回転翼6の径方向の内側に位置させて前壁部2に固定配設されて、そのステータ7とケーシング1の外周壁部4との間に、回転翼6が周回する環状の翼室8が形成される。
ケーシング1の前壁部2の内面に環状溝10が形成されると共に、その前壁部2に対向するロータ5の前方側には、掻き出し片9がその先端部9Tを環状溝10内に進入した状態でロータ5と一体的に周回可能に配設されている。
【0053】
そして、粉体Pと液体Lとが予備混合された予備混合物Fpを回転翼6の回転によりケーシング1の内部に吸引導入する吸引口11が、環状溝10と連通する状態で、前壁部2に設けられている。
又、粉体Pと液体Lとが混合されて生成された1次スラリーFaを吐出する円筒状の吐出口12が、翼室8に連通する状態で外周壁部4にその外周壁部4の接線方向に伸びるように設けられている。
【0054】
また、図4に示すように、ステータ7の内周側を前壁部2側の導入室13とロータ5側の戻し室14とに仕切る仕切体15が、ロータ5の前方側に当該ロータ5と一体回転する状態で設けられている。
そして、導入室13及び戻し室14夫々が、ステータ7の複数の透孔7a,7bを介して翼室8と連通されるように構成され、吸引口11が導入室13に連通し、戻し口17が戻し室14に連通するように構成されている。
具体的には、導入室13と翼室8とは、ステータ7における導入室13に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の導入室側透孔7aにて連通され、戻し室14と翼室8とは、ステータ7における戻し室14に臨む部分に周方向に等間隔で配設された複数の戻し室側透孔7bにて連通されている。
【0055】
仕切体15は、ステータ7の内径よりも僅かに小さい外径を有する概ね漏斗状に構成されている。この漏斗状の仕切体15は、具体的には、その中央部に、頂部が円筒状に突出する筒状摺接部15aにて開口された漏斗状部15bを備えると共に、その漏斗状部15bの外周部に、前面及び後面共にケーシング1の軸心A6に直交する状態となる環状平板部15cを備える形状に構成されている。
【0056】
掻き出し片9が、この仕切体15の前壁部2側に設けられている。この掻き出し片9は、同心状に、周方向において均等間隔で複数(この実施形態では4個)設けられている。
詳細な図示を省略するが、各掻き出し片9は棒状に形成され、ロータ5の径方向視で、当該棒状の掻き出し片9の先端側ほど前壁部2側に位置し、且つ、ロータ5の軸心方向視で、当該棒状の掻き出し片9の先端側ほどロータ5の径方向内方側に位置する傾斜姿勢で、当該棒状の掻き出し片9の基端部がロータ5と一体回転するように固定されている。そして、ロータ5が、その軸心方向視において掻き出し片9の先端が前側となる向きに回転駆動される。
【0057】
複数の掻き出し片9が設けられた仕切体15が、頂部の筒状摺接部15aがケーシング1の前壁部2側を向く姿勢で、周方向に等間隔を隔てた複数箇所(この実施形態では、4箇所)に配設された間隔保持部材20により、ロータ5の前面と間隔を隔てた状態でロータ5の前面に取り付けられる。そのように仕切体15が取り付けられたロータ5が、仕切体15の筒状摺接部15aが戻し口17に摺接回転可能に嵌めこまれた状態で、ケーシング1内に配設される。
すると、ロータ5の膨出状の前面と仕切体15の後面との間に、ケーシング1の前壁部2側ほど小径となる先細り状の戻し室14が形成され、戻し口17が仕切体15の筒状摺接部15aを介して戻し室14に連通するように構成されている。
又、ケーシング1の前壁部2と仕切体15の前面との間に、吸引口11に連通する環状の導入室13が形成される。
【0058】
そして、ロータ5が回転駆動されると、筒状摺接部15aが戻し口17に摺接する状態で、仕切体15がロータ5と一体的に回転することになり、ロータ5及び仕切体15が回転する状態でも、戻し口17が仕切体15の筒状摺接部15aを介して戻し室14に連通する状態が維持されるように構成されている。この戻し口17には、循環路16の内径よりも小径で且つ仕切体15の筒状摺接部15aよりも小径となり流路面積が小さな絞り部17aが形成されている。
【0059】
また、図5に示す分配部70は、円筒状容器71の底部に、1次スラリーFaを分離及び分配対象の流体として供給する供給口71aが円筒状容器71の軸心と同心状に設けられ、再循環口71bは、供給口71aの側方に設けられている。また、排出口71cは、円筒状容器71の頂部に設けられている。
また、導入管72は、その下端開口部が供給口71aに連通する状態で円筒状容器71内に配設されると共に、その導入管72の吐出端である上端開口部72aの上方に、その上端開口部72aから吐出される1次スラリーFaを旋回流動させる捻り板74が配設されている。
【0060】
次に、図1に基づいて、濃度計測手段Dについて説明を加える。濃度計測手段Dは排出路22´に配設されて、排出路22´を流れる小比重分Fs´中における粉体Pの濃度を計測するように構成される。
【0061】
濃度計測手段Dは、例えば、図示しない光源と受光器とを備えた吸光度計で構成されており、その光源から出た近赤外域の波長の光線を排出路22´を流れる小比重分Fs´に通過させ、その通過光量を受光器で受光させて、濃度検出位置の小比重分Fs´中の粉体Pの濃度に基づく光量を受光器で検出する。つまり、小比重分Fs´に粉体Pが含まれると、その含有される粉体Pの濃度に比例して受光器で検出される透過光量(散乱等による減光量の残分)が変化するので、この透過光量の変化量によって、含有される粉体Pの濃度が実質的に検出される。このように、濃度計測手段Dは送出路22´の小比重分Fs´の吸光度(透過率)の変化を所定時間ごとに検出して、その検出された吸光度より濃度が計測され、その計測結果を駆動制御部Eに出力する。
【0062】
なお、検出された吸光度から濃度を算出する際は、粉体Pは特定の光の波長において固有の吸光係数を有しているので、濃度計測手段Dによって計測された特定の波長における吸光度に基づいて濃度を算出することができる。その他、予め実験的に求められた相関関係に基づいて算出することができる。
【0063】
次に、図1に基づいて、駆動制御部Eについて説明を加える。駆動制御部Eは、濃度計測手段Dによって計測された粉体Pの濃度に基づいて、回転翼6の回転速度を一定としつつ、回転翼6´の回転速度を変化させること、すなわち、回転翼6の回転速度に対する回転翼6´の回転速度を相対的に変化させて、小比重分Fs´の分散状態を調整している。
また、制御部Cは、小比重分Fs´において許容される粉体Pの許容濃度範囲(所定の分散状態に相当)を予め設定又は記憶することができるように構成されている。この許容濃度範囲とは、粉体Pが液体L中に略均一に分散されたとする場合の、理想的な粉体Pの濃度を中心とし、小比重分Fs´の供給先において必要となる分散状態に応じて設定される濃度範囲である。
濃度計測手段Dによって計測された液体Lに含まれる粉体Pの濃度が、許容濃度範囲内にない場合(分散状態が所定の分散状態に対して乖離している場合に相当)は、駆動制御部Eは、粉体Pが液体Lに十分に分散していないと判断して、回転翼6´の回転速度を低下させて、小比重分Fs´の分散混合を促進させる。
一方、許容濃度範囲内にある場合は(分散状態が所定の分散状態となっている場合に相当)、駆動制御部Eは、粉体Pが液体Lに十分に分散していると判断して、回転翼6´の回転速度を上昇させて、小比重分Fs´の生成量を増加させることができる。
【0064】
次に、この吸引式混合システムの動作について説明する。操作盤(図示省略)の運転スイッチがオンされると、制御部Cによって、予め設定された設定回転速度により各吸引混合ポンプY内を負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となるように減圧する前処理運転が実施される。
【0065】
制御部Cは、前処理運転では、粉体供給装置Xを停止し、第1吸引混合ポンプY1に対応するシャッタバルブ46を閉止し、第2吸引混合ポンプY2夫々に対応するシャッタバルブ46´を開いた状態で、液体供給装置50から液体Lのみを供給しながら、各吸引混合ポンプYの回転駆動手段M3、M3´を作動させて、各吸引混合ポンプYの運転を開始して、前処理運転を開始する。所定の前処理用の運転時間が経過して、各吸引混合ポンプY内が、負圧状態(例えば、−0.06MPa程度の真空状態)となると、前処理運転を終了して、第1吸引混合ポンプY1に対応するシャッタバルブ46を開放すると共に、粉体供給装置X及び液体供給装置50を作動させて、通常運転を開始する。
【0066】
制御部Cは、通常運転では、各吸引混合ポンプYの回転駆動手段M3、M3´の作動を継続しながら、第1吸引混合ポンプY1への粉体Pの単位時間当たりの供給量が設定粉体供給量となるように粉体供給装置Xの作動を制御し、並びに、第1吸引混合ポンプY1への液体Lの単位時間当たりの供給量が設定液体供給量となるように液体供給装置50の作動を制御する。
ここで、設定粉体供給量及び設定液体供給量は、小比重分Fs´を生成するための粉体Pと液体Lとの混合比率に応じて設定される。
【0067】
ホッパ31内に貯留された粉体Pが、第1吸引混合ポンプY1の吸引力により、ホッパ31の下部開口部31bから定量供給機構40の膨張室47を介してミキシング機構60のミキシング部材61に設定粉体供給量で連続的に定量供給される。並行して、第1吸引混合ポンプY1の吸引力により、液体Lがミキシング機構60のミキシング部材61に設定液体供給量で連続的に定量供給される。
ミキシング機構60のミキシング部材61からは、粉体Pがミキシング部材61の筒状部62を通して吸引口11に供給されると共に、液体Lが、環状のスリット63を通して切れ目のない中空円筒状の渦流の状態で吸引口11に供給され、吸引口11により、粉体Pと液体Lとが予備混合され、その予備混合物Fpが環状溝10に導入される。
【0068】
第1吸引混合ポンプY1のロータ5が高速で回転駆動されて、そのロータ5と一体的に仕切体15が高速回転すると、その仕切体15に同心状に設けられた4個の掻き出し片9が環状溝10に先端部9Tが嵌め込まれた状態で高速で周回する。
すると、吸引口11を流動して環状溝10に導入された予備混合物Fpは、環状溝10に嵌め込まれて周回する掻き出し片9の先端部9Tにより掻き出され、その掻き出された予備混合物Fpは、概略的には、導入室13内を仕切体15における漏斗状部15bの前面と環状平板部15cの前面とに沿いながらロータ5の回転方向に流動し、更に、ステータ7の導入室側透孔7aを通過して翼室8に流入し、その翼室8内をロータ5の回転方向に流動して、1次スラリーFaとして吐出口12から吐出される。
【0069】
つまり、環状溝10に導入された予備混合物Fpは、掻き出し片9の先端部9Tにより掻き出されるときに、せん断作用を受けるので、予備混合物Fpが十分に細かく解砕されると共に、予備混合物Fpの流動に効果的に乱れが生じて、粉体Pが液体Lに効率良く溶解混合される。そして、予備混合物Fpが細かく解砕されて溶解混合され、更に、導入室側透孔7aの通過の際にもせん断作用を受けて解砕され、更に、高速で回転する回転翼6によりせん断作用を受けて解砕されて、ダマが極めて少ない1次スラリーFaが生成され、その1次スラリーFaが、戻し室14からの大比重分Frと混合されて吐出口12から吐出される。
【0070】
吐出口12から吐出された1次スラリーFaは、分離及び分配対象の流体として吐出路18を通して分配部70に供給される。
図5に示すように、その分配部70では、導入管72の上端開口部72aから吐出された1次スラリーFaは複数の捻り板74により旋回させられながら上方に流動する。すると、円筒状容器71内において、1次スラリーFaは、未溶解の粉体Pの含有率が高く且つ気泡の含有率が低くて比重が大きいものほど、円筒状容器71の外周側及び下方に流動し、並びに、未溶解の粉体Pの含有率が低く且つ気泡の含有率が高くて比重が小さいものほど上方に流動しつつ、円筒状容器71内の上方に向かいつつ旋回流動して、比重差及び遠心力により、大比重分Frと小比重分Fsとに分離される。
【0071】
そして、大比重分Frは再循環口71bから循環路16を通して再び第1吸引混合ポンプY1に供給され、小比重分Fsは、第2吸引混合ポンプY2の吸引力により、排出口71cから排出路22を通して、第2吸引混合ポンプY2に導入される。また、1次スラリーFa内に含有される空気Vの気泡については、小比重分Fsとともに、排出路22に排出される。
【0072】
大比重分Frは、第1吸引混合ポンプY1の戻し口17から戻し室14に導入され、その戻し室14内において、高速で回転する複数の攪拌羽根(図示せず)によりせん断作用を受けて、更に細かく解砕され、更に、戻し室側透孔7bの通過の際にもせん断作用を受けて解砕され、更に、高速で回転する回転翼6によりせん断作用を受けて解砕され、第1吸引混合ポンプY1の吐出口12から吐出される。
【0073】
そして、図1に示すように、第1吸引混合ポンプY1の分配部70で分配された小比重分Fsは、第2吸引混合ポンプY2の吸引力により、排出路22を通して、吸引口11´から環状溝10´に導入される。
第2吸引混合ポンプY2の環状溝10´に導入された小比重分Fsは、第1吸引混合ポンプY1と同様に、環状溝10´に嵌め込まれて周回する掻き出し片9´の作用により、細かく解砕されて攪拌され、そのように再攪拌された2次スラリーFa´が、戻し室14´からの大比重分Fr´と混合されて吐出口12´から吐出される。
【0074】
第2吸引混合ポンプY2の吐出口12´から吐出された2次スラリーFa´は、分離及び分配対象の流体として、吐出路18´を通して分配部70´に供給され、比重差と捻り板74の旋回作用により生じる遠心力とにより、大比重分Fr´と小比重分Fs´とに分離されて、大比重分Fr´は再循環口71b´から循環路16´を通して再び第2吸引混合ポンプY2に供給され、小比重分Fs´は、排出口71c´から排出路22´を通して、スラリー供給先80に送出される。
【0075】
また、濃度計測手段Dは、光源から出た光線を送出路22´を流れる小比重分Fs´に通過させ、その通過光量を受光器で受光させると、濃度検出位置の小比重分Fs´における粉体Pの濃度に基づく光量を受光器で検出する。つまり、小比重分Fs´に含まれる粉体Pの量の増減に比例して受光器で検出される透過光量が変化するので、この透過光量の変化量によって、小比重分Fs´に含まれる粉体Pの濃度を検出する。このように、濃度計測手段Dは送出路22´の小比重分Fs´の吸光度(透過率)の変化を所定時間ごとに(例えば10秒ごとに)検出して、その検出された吸光度より濃度が算出される。
【0076】
駆動制御部Eは、濃度計測手段Dによって計測される小比重分Fs´の粉体Pの濃度が、許容濃度範囲(所定の分散状態に相当する)となるように調整するため、回転翼6の回転速度を一定としつつ、回転翼6に対する回転翼6´の回転速度を相対的に変化させて、1次スラリーFaおよび2次スラリーFa´の分散状態を調整する。
【0077】
そして、濃度計測手段Dによって計測された粉体Pの濃度が、設定した許容濃度範囲外にある場合は、粉体Pが液体Lに十分に分散していないとして、粉体Pと液体Lとの分散状態が所望の分散状態に対して乖離していると判断することができる。この場合、駆動制御部Eは、回転翼6´の回転速度を低下させる。そうすると、第1吸引混合ポンプY1の翼室8で分散混合され吐出口12から吐出された1次スラリーFaのうち、第2吸引混合ポンプY2の吸引口11´に供給される小比重分Fsの流量に対して、第1吸引混合ポンプY1の翼室8に再循環させて再度分散混合される大比重分Frの流量を相対的に増加させることができ、再循環により翼室8において分散混合の促進された1次スラリーFaが第2吸引混合ポンプY2においてさらに分散混合されて2次スラリーFa´として吐出されることとなり、粉体Pと液体Lとの分散混合を促進させることができ、小比重分F´を所望の分散状態に近づけることができる。このように、計測された濃度によって、回転翼6´の回転速度をフィードバック制御して、容易に粉体Pと液体Lとの分散状態を所望の分散状態に調整することができる。
【0078】
一方、濃度計測手段Dによって計測された粉体Pの濃度が、設定した許容濃度範囲内にある場合は、粉体Pが液体Lに十分に分散しているとして、所望の分散状態に達したと判断することができる。この場合、駆動制御部Eは、回転翼6´の回転速度を上昇させる。そうすると、第1吸引混合ポンプY1の翼室8で分散混合され吐出口12から吐出された1次スラリーFaのうち、第1吸引混合ポンプY1の翼室8に再循環させて再度分散混合される大比重分Frの流量に対して、第2吸引混合ポンプY2の吸引口11´に供給される小比重分Fsの流量を相対的に増加させることができ、十分に分散混合された状態の小比重分Fsを、迅速に第2吸引混合ポンプY2に供給して吐出される小比重分Fs´の流量の増加を図ることができる。
【0079】
〔別実施形態〕
(A)上記の実施形態では、濃度計測手段Dによって小比重分Fs´の粉体Pの濃度を計測し、その濃度が設定した許容濃度範囲外にある場合は、粉体Pの液体Lに対する分散状態が予め設定した所定の分散状態に対し乖離しているとし、一方、その濃度が設定した許容濃度範囲内にある場合は、粉体Pの液体Lに対する分散状態が予め設定した所定の分散状態になっているとしたが、これに限らず、濃度計測手段Dによって小比重分Fs´の粉体Pの濃度を複数回連続して計測し、隣接する各検出濃度の変化率が、所定の許容濃度変化率(所定の分散状態の一例)よりも大きい場合は、粉体Pの液体Lに対する分散状態が予め設定した所定の分散状態に対し乖離しているとして、駆動制御部Eは、回転翼6の回転速度に対して回転翼6´の回転速度を低下させて、一方、所定の許容濃度変化率以下の場合は、粉体Pの液体Lに対する分散状態が予め設定した所定の分散状態になっているとして、駆動制御部Eは、回転翼6´の回転速度を上昇させるように構成してもよい。
【0080】
(B)上記の実施形態では、吸引混合ポンプYを直列状に連結した状態で2基設けたが、直列状に連結する吸引混合ポンプYは、3基以上でも良い。この場合、駆動制御部Eによって制御される吸引混合ポンプYは、少なくとも2基とされる。
【0081】
(C)上記の実施形態では、粉体Pとして単一種類のCMC粉体を用いたが、必要に応じて、複数種類の粉体を混合した混合粉体を粉体Pとして用いることができる。また、同様に、液体Lとして単一種類の水を用いたが、必要に応じて、複数種類の液体を混合した混合液体を液体Lとして用いることができる。
又、上記の実施形態では、分散質として粉体Pを用い、液相分散媒として水(溶媒の一例)を用いて、分散質を液相分散媒に溶解させる場合に本発明を適用したが、分散質を液相分散媒に溶解させずに分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
又、分散質としては、上記の実施形態において例示した粉体P(固相分散質の一例)に限定されるものではなく、例えば、液相分散質でも良い。例えば、液相分散質としての油を液相分散媒としての水に分散させる場合にも、本発明を適用することができる。
【0082】
(D)上記の実施形態では、回転翼6の回転速度を一定に固定して、回転翼6´の回転速度を増減することで、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を相対的に変化させたが、これに限らず、回転翼6´の回転速度を一定に固定して、回転翼6の回転速度を増減することで、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を相対的に変化させてもよい。また、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を同時に変化させて、回転翼6及び回転翼6´の回転速度を相対的に変化させてもよい。
【0083】
(E)上記実施形態においては、分散状態計測手段として吸光度計による濃度計測手段Dを使用したが、これに限らず、分散状態計測手段をインライン式の粘度計(粘度計測手段の一例)としてもよいし、粒度分布測定装置としてもよい。
【0084】
(F)上記実施形態においては、第1吸引混合ポンプY1及び第2吸引混合ポンプY2の両方に分配部70、70´を設けたが、これに限らず、第2吸引混合ポンプY2の分配部70´を省略してもかまわない。
【0085】
(G)上記実施形態においては、分配部70、において、1次スラリーFaを、比重差により小比重分Fsと大比重分Frとに分離して、それぞれ排出口71cと再循環口71bとに分配して排出する構成としたが、これに限らず、1次スラリーFaを、排出口71cと再循環口71bとに単に分配して排出する構成としてもよい。例えば、分配部70において1次スラリーFaを単に分配する2つの流路を形成し、これにより、排出口71cと再循環口71bとに一定の割合で1次スラリーFaを分配して排出する構成としてもよい。なお、分配部70´においても同様の構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、簡易な構成でありながら、容易且つ確実に混合流体の分散状態を調整できる吸引式混合システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0087】
6、6´ 回転翼(第1回転翼、第2回転翼)
8、8´ 翼室(第1攪拌部、第2攪拌部)
11、11´ 吸引部(第1吸引部、第2吸引部)
12、12´ 吐出口(第1吐出部、第2吐出部)
17、17´ 戻し口(第1戻し部、第2戻し部)
22、22´ 排出路(第1排出路、第2排出路)
70、70´ 分配部(第1分配部、第2分配部)
71b、71b´ 再循環口(第1再循環口、第2再循環口)
71c、71c´ 排出口(第1排出口、第2排出口)
D 濃度計測手段(分散状態計測手段)
E 駆動制御部
F、F´ 混合流体
Fr、Fr´ 大比重分(第1大比重分、第2大比重分)
Fs、Fs´ 小比重分(第1小比重分、第2小比重分)
L 液相分散媒
M3、M3´ 回転駆動手段(第1回転駆動手段、第2回転駆動手段)
P 分散質
Y1 吸引混合ポンプ(第1吸引混合ポンプ)
Y2 吸引混合ポンプ(第2吸引混合ポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転駆動手段による第1回転翼の回転によって発生する吸引力により、分散質と液相分散媒とを吸引する第1吸引部と、前記第1回転翼の回転により前記第1吸引部を介して吸引された前記分散質と前記液相分散媒とを攪拌し当該攪拌された混合流体を第1吐出部から吐出する第1攪拌部と、前記第1吐出部から吐出された混合流体を第1再循環口と第1排出口とに分配して排出する第1分配部と、前記第1再循環口から排出される混合流体を前記第1攪拌部に戻す第1戻し部とを有する第1吸引混合ポンプを備えるとともに、
第2回転駆動手段による第2回転翼の回転によって発生する吸引力により、前記第1排出口から排出された混合流体を吸引する第2吸引部と、前記第2回転翼の回転により前記第2吸引部を介して吸引された混合流体を攪拌し当該攪拌された混合流体を第2吐出部から排出する第2攪拌部とを有する第2吸引混合ポンプを備え、
前記第1吸引混合ポンプと前記第2吸引混合ポンプとは、前記第2吸引部の吸引力を前記第1排出口に直接作用させて、前記第1排出口から排出された混合流体を前記第2吸引部に吸引導入する形態で直列状に連結され、
前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段の運転を制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部が、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御して前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させ、前記第2吐出部から吐出される混合流体の分散状態を調整する吸引式混合システム。
【請求項2】
前記第2吐出部から吐出された混合流体中における前記分散質及び前記液相分散媒の分散状態を計測する分散状態計測手段を備え、
前記駆動制御部は、前記分散状態計測手段によって計測された計測結果に基づいて、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御して前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させる請求項1に記載の吸引式混合システム。
【請求項3】
前記分散状態計測手段により計測された計測結果が、予め設定された所定の分散状態に対して乖離している場合は、前記駆動制御部は、前記第1回転翼の回転速度に対して前記第2回転翼の回転速度を相対的に低下させる請求項2に記載の吸引式混合システム。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記第1回転翼及び前記第2回転翼の回転速度を相対的に変化させる際、前記第1回転翼の回転速度を一定としつつ、前記第2回転翼の回転速度を変化させる請求項2又は3に記載の吸引式混合システム。
【請求項5】
前記分散状態計測手段は、前記第2吐出部から吐出された混合流体の濃度を計測する濃度計測手段及び当該混合流体の粘度を計測する粘度計測手段の一方又は両方である請求項2から4のいずれか一項に記載の吸引式混合システム。
【請求項6】
前記第1分配部が、上部に前記第1排出口を有し且つ下部に前記第1再循環口を有する円筒状容器と、前記円筒状容器の底部から突入する状態で前記円筒状容器内に設けられて前記第1吐出部が接続された導入管とを備えて構成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の吸引式混合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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