説明

吸排水マットとそれを用いた植物植栽機構と排水機構

【課題】大掛かりな設備工事は不要で、地盤面に敷設して、外につながるパイプに単に接続するだけで、溜まった水を滞留させることなく、速やかに、かつ強制的に、任意自在に系外に排出することができる新規な構造の吸排水マットとそれを用いた廃棄物集積場の排水機構を提供する。
【解決手段】廃棄物を集積する地盤の上に遮水層を設け、遮水層の上に吸排水マット1を敷設し、吸排水マット1の上に廃棄物を集積して、雨天時、吸排水マット1が吸収した水を吸排水マット1の濾過管2から吸引して遮水シートの外に排水することを特徴とする。また吸排水マット1の上に通水性を持つ保水層を、保水層の上に植物の培養層を配置して、培養層の水分を吸排水マット1の濾過管で吸引して外に排出、あるいは濾過管2あるいは/および保水層から培養層に水分を供給して、培養層の水分量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸排水マットとそれを用いた植物植栽機構と排水機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場では、地盤の上に直接遮水シートを敷設し、この遮水シートの上に廃棄物が投棄されて野積みされて保管されている。従って廃棄物から染み出た滲出水や雨水が遮水シートの上に溜まっており、雨量が多くなると、滲出水や雨水が遮水シートの外にあふれ出て、これが地下に浸透して地下水汚染を引き起こしたり、あるいは川に流れ込んだりして河川の汚染あるいは近隣地域に流れて近隣地域の環境汚染を引き起こす原因となっている。
【0003】
この問題を解決するためには、特許文献1に記載されているように、地盤の上を堅牢な壁で囲い、かつ汚染された水が地下に浸透しないように、地盤の表面に遮水膜を設け、溜まった水は揚水装置でくみ出して処理する設備が必要になるが、かかる設備を建設するためには莫大な建設費がかかる問題がある。
【0004】
また植物植栽基盤でも培養土に溜まった水を速やかに排出させるために、底面に排水口や排水マットが通常用いられている。たとえば特許文献2には、培養層の下に吸水性と保水性を持つ層を配置し、この吸水、保水層の下に空隙率が90%以上ある透水性に優れた保水マットを配置することが記載されている。
【0005】
しかしながら従来の排水マットの機能には下記の欠点がある。
第一の問題は、透水性に優れた材料でも全ての水分が素通りして外に排出されるわけではなく、空隙の中には水が残って溜まっている。つまり従来の排水マットは水を自然排出するだけで、強制排出する能力はないので、激しい雨の時には排出が追いつかず、雨水が大量に溜まって植栽基盤が水浸しになる場合もある。また逆に水分不足の時は、水分を補給する能力は存在しないために、培養土の中の水分量を任意自在に調節することは不可能である。
第二の問題は、排水マットから外に溢れ出た水は、植栽基盤の周囲に放出されることになるので、当然、この水を植栽基盤の周囲から外にくみ出すための設備が別途必要になる。
【0006】
一方、植栽基盤から植物への水遣り作業を軽減するため、あるいは渇水地域で植物に定常的に水分補給するために培養土の底面側に吸水ポリマーを含む保水マットを敷設することは特許文献3に記載されているように既に公知である。
【0007】
またこれら保水層の底面に接して潅水用パイプを設けて、潅水(給水)パイプから保水層に水を供給することは特許文献4に記載されており既に公知である。
【0008】
特許文献5(特開2010−115129)には、中空膜体を土壌中に敷設して、土壌中に空気を送気して酸素補給することが記載されている。
【0009】
特許文献6(特開2010−94126)には、植物の根の成長を妨げないように保水マットに貫通孔を設けることが記載されている。
【0010】
保水マットを使用する従来技術(特許文献3)は、水遣り作業の省力化あるいは雨の少ない地域における水の補給に利用されているだけで、前記した排水マットの場合と同じように、土壌や保水マットに水が溢れた時の対策に関してはまったく無力であるのが現状である。
【0011】
特許文献4では保水層に給水、特許文献5では土壌に送気する手段として潅水パイプ、中空膜体を使用することが記載されているが、何れも土壌や保水マットに水が溢れた時の対策に関してはまったく無力である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−100453
【特許文献2】特開2002−305959
【特許文献3】特開2007−82409
【特許文献4】特開2002−238379
【特許文献5】特開2010−115129
【特許文献6】特開2010−94126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、大掛かりな設備工事は不要で、地盤面に敷設して、外につながるパイプに単に接続するだけで、溜まった水を滞留させることなく、速やかに、かつ強制的に、任意自在に系外に排出することができる新規な構造の吸排水マットとそれを用いた廃棄物集積場の排水機構を提供することである。
【0014】
また第二の目的は、植物植生基盤の培養土の水分を強制的に排出のみならず必要に応じて給水も行い、その水分量を任意自在に調整することが出来る前記吸排水マットを用いた新規な植物植栽機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の目的は下記の手段で解決できる。
【0016】
即ち、本発明の第一の目的を達成するための吸排水マットは、吸通水体の中に濾過管を内蔵させた構造からなり、この吸通水体に吸収された水分を吸通水体に内蔵する濾過管で自在に吸引して外に排出することで吸排水マットに接する層の水分量を任意自在適量に調整することができる。
【0017】
本発明吸通水体は、無機、有機、あるいは天然植物繊維等の各種繊維をからませてマット状に集積させたもの、あるいは連通孔の多孔質無機質焼成体、あるいは連通孔の多孔質を持つスポンジのような樹脂等を総称するものである。
これらは縦横、両方向に、あるいは少なくともマットの厚さ方向に連通する多孔質孔を有しており、通気性、通水性と共に、水を吸収する特性を持っている。
【0018】
無機、有機、あるいは天然植物繊維等の繊維とは、たとえば下記のような繊維である。
無機繊維とは、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール等である、又有機質繊維とは、プラスチックの繊維全般、天然植物繊維とは、セルロース繊維、綿の繊維、椰子殻繊維等である。これらの繊維は、概ね数μm〜数百μm程度の繊維径のものを適宜使用できる。
【0019】
繊維が絡み合って形成される空隙と、空隙の大きさは、目付けという指標を用いて表示することができる。即ち、目付けとは、1m当りの単位厚さ(1mm)の繊維集積体の重さを意味し、空隙と、空隙の大きさを表すパラメーターとなる。
【0020】
本発明吸排水マットの目付けは、100〜3000g/m の範囲が好ましい。下限値未満では、十分な通水性が得られない。上限を超えると強度不足になるので上限以下が好ましい。
【0021】
連通孔の多孔質無機質焼成体とは、連通孔の多孔質ガラス発泡体、あるいは窯業原料に炭や有機質原料を加えて焼成すると、炭や有機質原料が焼失して焼成体に連通孔が形成される、このような無数の連通孔をもつ焼成体等を総称するものである。気孔径は、概ね数μm〜500μm程度、空隙率は30〜90%程度のものが好適に使用できる。
【0022】
本発明吸通水体に内蔵される濾過管は、吸水、給水が可能な数μm〜数百μm程度の孔径の多孔質パイプであればいかなる材料、構造のパイプでも好適に使用することが出来る。たとえば樹脂、金属、無機、天然繊維の織布、不織布構造のパイプ、あるいは樹脂、金属、無機粉末の多孔質焼結体、あるいは樹脂、金属の薄管に空孔を形成したもの、あるいは中空糸膜フィルターと称される微細多孔質高分子フィルター等々、いかなる構造のものでもよい。単位体積中に収納できる濾過管の濾過面積は、パイプ径を小さく、数を多くする程程大きくなるので、パイプ径を小さくして内蔵させる方がより好ましい。
【0023】
パイプ径の最も小さな濾過管としては中空糸膜フィルターが代表的である。本発明に適用できる中空糸膜フィルターには特別な制約は無く、全ての中空糸膜フィルターを適宜選択して使用することができる。たとえば、クラレ製の孔径2.0ミクロンのメガフロー等は低圧で水の出入が可能で、パイプ径も1.25φ程度で好適に使用できる。
【0024】
濾過管を吸通水体に内蔵させる構造は、上下二枚の通水体で濾過管を挟んで固定する構造でも良い。このとき片面のみ通水体で、もう片方は非通水体でも良い。あるいは濾過管を多孔質のバルク体に埋め込んだ構造、あるいは多孔質のバルク体を製造するときに同時に通水孔となる空洞部を形成して、空洞部そのものを濾過管にする構造でもよい。内蔵構造は、少なくとも濾過管から吸通水体に給水、吸水が可能な構造であればいかなる構造でも良い。
【0025】
本発明吸排水マットに溜まった余剰水分を外に排出するには、吸排水マットに内蔵された濾過管の外に突き出たジョイント部を、外の連結パイプと連結し、この連結パイプを外部のポンプに連結することでなされる。本発明吸排水マットと連結パイプとの接続には、簡易ワンタッチ型の接続器具が利用できるので、一台のポンプに多数のマットを、適宜、増減自在に接続することができる。また必要に応じて、ポンプからマットに水分補給も自在に行うことができる。
【0026】
本発明吸排水マットは、特に水が過剰に溢れる場所の排水手段として好適に使用できる。その一例が廃棄物処分場の地下水汚染の例である。廃棄物処分場では地盤の上に遮水シートを敷設して廃棄物が野積みにされて保管されているが、大雨の時、雨水が溜まり、遮水シートが敷設された隔離区域から水が溢れ出て、遮水シートの敷設されていない地盤の地下に染み込み、これが周辺の地下水汚染あるいは環境汚染を引き起こす例である。
【0027】
本発明の吸排水マットを廃棄物処分場の地盤の上に敷設された遮水シートの上に敷設して、吸排水マットの濾過管の外に突き出たジョイント部を連結パイプにつなぎ、連結パイプをポンプに連結して、雨天時、ポンプで吸引して溜まった水を隔離区域外の安全な場所に排水することで地下水汚染、環境汚染を防止することが出来る。
【0028】
他の例は、大量に人が出入りする場所に敷設された玄関マットへの適用例である。雨天時、玄関マットが水浸しになるために頻繁にマットの取替えを余儀なくされているのが現状であるが、本発明の吸排水マットを玄関に敷設して、ポンプで吸引して外に排出することで玄関マットの取替えが不要になる。
【0029】
本発明第二の目的を達成するための植物植栽機構は下記の手段で解決できる。
【0030】
即ち、本発明吸排水マットの上に通水性を持つ保水層を配置し、この保水層の上に植物の培養層を配置して、当該培養層の水分を吸排水マットの濾過管で吸引して外に排出することで培養層の余剰水分を外に排出することができる。あるいは吸排水マットの濾過管から、あるいは濾過管からの水分供給に保水層の保有する水分を併用することで、当該培養層に水分を供給することで、当該培養層の水分量を任意自在に調整することができる。
【0031】
前記植物植栽機構は、下記の構造でもよい。即ち、前記吸排水マットの上に植物の培養層を、吸排水マットの下に通水性を持つ保水層を配置して、当該培養層の水分を吸排水マットの濾過管で吸引して外に排出することで培養層の余剰水分を外に排出することができる。あるいは吸排水マットの濾過管から、あるいは濾過管からの水分供給に保水層の保有する水分を併用することで、当該培養層に水分を供給することで、当該培養層の水分量を任意自在に調整することができる。大雨の時のように、培養層の水分が急激に増える場合には、培養層の下に吸排水マットを配置する構造がより好適である。
【0032】
本発明で、濾過管は水の吸水、給水のほかに、培養層への養液成分や空気の補給にも利用できる。また空気と水を混ぜて供給して水を積極的に蒸発させることで、培養層の過昇温防止にも利用できる。空気と水の供給は、植物の根腐れ防止に著効がある。
【0033】
本発明保水マットには、通水性が必須である。つまり濾過管で培養層の水分を吸収したり、あるいは濾過管から水分、養液を培養層に供給するためには、保水マットは通水性である必要がある。本発明の保水マットは、少なくとも通水性、保水性があればいかなる構造、形状でも使用できる。たとえば下記のような構造、形状である。
通水構造のシートの中に粒状あるいは顆粒状の保水体を分散させたもの、あるいは吸水性ポリマー繊維のシートと吸水性のない繊維のシートを積層したもの、あるいは吸水性ポリマー繊維と吸水性のない繊維を適度に混ぜてシート状に成形したもの、あるいは吸水性ポリマー等の保水体のシートに貫通孔を開けて通水性、植物の根の通根性を持たせたもの、あるいは吸水性ポリマー等の保水体のシートに表面から裏まで貫通する切込みを形成して、使用時、切り込み方向と直角方向に引張って、切込みを横に開いて隙間を形成して、通水、通根性を持たせた構造等である。その形状も、二次元の面状、網目状、三次元の面状、網目状等特に制限は無く、適宜いかなる構造、形状も採用できる。
【0034】
保水層の通水性、通根性は、保水層の空隙の大きさ、および空隙率を調整することで調整することができる。
【0035】
前記した空隙率と、空隙の大きさは、目付けという指標を用いて表示することができる。目付けとは、1m当りの単位厚さ(1mm)の繊維集積体の重さを意味し、空隙率と、空隙の大きさを表すパラメーターとなる。繊維を集積して形成した通水体では、繊維の平均径と目付け値を与えると、空隙率と平均的な空孔径が推測できる。従って、保水層の通水性、通根性は、繊維径が一定の範囲であれば、目付けを調整することで任意自在に調整することができる。
本発明の保水層の好ましい目付けの範囲は、100〜1500g/m、そのとき通常用いられる紡績糸は、40〜4000デニールの範囲である。なお紡績糸の範囲は、通常用いられている経済的に取り扱える範囲の値であり、この範囲を逸脱すると、経済的に製造することが困難になる。目付け値が、下限値未満では、十分な通水性が得られない。上限を超えると保水能力が低下するので好ましくない。
【0036】
ここで保水体とは、吸水性ポリマー、火山岩のシラス、パーライト、鹿沼土、赤球土、親水加工した活性炭、珪藻土、素焼きの陶磁器等である。これらの中で火山岩のシラス、パーライト、鹿沼土、赤球土、親水加工した活性炭、珪藻土、素焼きの陶磁器等は、多孔質で適度の通水性も併せ持つのでそのままマット状に加工したものを通水性のある保水マットとして使用することも出来るが、吸水性ポリマーは通水性が乏しいので、前記したように通水性を付与する加工が必要になる。また植物の根は吸水性樹脂層を貫いて成長することが出来ないために、根の成長の障壁になるので、植物の根の成長に障壁にならないように通根性を付与する加工が必要になる。前記した通水構造もその好例である。
【0037】
従って本発明保水層の材料に吸水性樹脂を使用するときは、吸水性樹脂の存在が、根の成長の障壁にならないように、吸水性樹脂とは別の材料も組合わせて、吸水性樹脂が吸水膨張しても通根できる空間が保てる構造にすることが必要である。そのためには非吸水性樹脂の通水体の中に、吸水性樹脂を粒状あるいは/および網目状にして分散させるも好適である。あるいは吸水性樹脂の繊維とほかの材料の繊維を混ぜて織布、不織布にして吸水膨張しても通根できる隙間が保てる構造にすることも好適である。あるいは吸水性樹脂そのものの層に吸水膨張しても通根できる間隙を予め加工しておくのも好適である。
【0038】
本発明に適用できる吸水性樹脂は、繊維状、粒状、網目状に形成できるものであればいかなる組成のものでも特に制約無く使用することが出来る。たとえばポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリエーテル系等の合成高分子系のものから澱粉系、セルロース系等の天然高分子系のものまで適宜選択することができる。
【0039】
保水材料として吸水性樹脂単独で、非吸水性樹脂のシート部に混合する場合の混合割合は、15〜30%が好適である。下限値未満では、吸水保水量が少なくなり、植物への水分の供給能力が低くなると共に、土壌の凍害を抑制しがたくなる傾向が見られる。上限を超えると、吸水性樹脂の湿潤時の膨張分をシート部が吸収できず、保水シートが膨張し、植生基盤が崩壊したり、植物の根毛が切れたりする傾向が見られるので上限以下が好ましい。
【0040】
保水層中の吸水性樹脂の吸水時と乾燥収縮時の体積膨張差によって、培養層の土壌内に空隙が形成されると、夏季に土壌内の水分の蒸発を加速させて土壌の温度を上昇させ、冬季には、空隙に溜まった水分が凍結すると体積が膨張し、植物の根が切れる等の問題が生じる。シート部の目付や吸水性樹脂類の混合割合を調整することにより、乾燥時にシート部の繊維間に適度な空間を設け、更に吸水性樹脂を基材繊維によって周囲を囲い込みするので、吸水性樹脂が膨潤して増加した体積が繊維間の空間内に吸収されて、吸水性樹脂が膨潤した場合でも、シート部の全体が膨張して保水層の部分が不定形となるのを防止できる。これにより膨潤や乾燥収縮によって吸水性樹脂の作用範囲空間体積が変化しないために、基盤が崩壊するのを防止し、また土壌内に保水層の体積膨張差による空隙が形成されるのを防止することができる。また更に空気の層ができるので根腐れを防止することができる。
【0041】
本発明の培養層とは、天然の培養土のみならず人工土壌あるいは天然の培養土と同等の植物植栽機能を有する組成物全体を意味するものである。たとえば通常使用されている天然の培養土のほか、水耕栽培等で使用されている有機、無機の繊維の織布、不織布で形成したフェルト状の人工土壌あるいは無機質の多孔質植栽基盤等も好適に使用できる。
【0042】
吸排水マットと保水層を直接接触させ、保水層の保水材料として吸水ポリマーを使用する場合、吸水、膨潤化してゲル化した樹脂が染み出て、吸排水マットの網目の中に浸入して網目を塞ぐ場合がある。これを防ぐため、そして吸水による膨潤と乾燥による体積収縮の繰返しで保水層から吸水性樹脂が脱落するのを防ぐために、吸排水マットと保水層の間に、保水層の吸水性樹脂体のゲルが浸入できないゲル不透過層を設けることが好ましい。なおゲル不透過層には通水性は必須であるので、ゲル不透過層は通水性があってなおかつゲル不透過性であることが必要である。
【0043】
ゲル不透過層は、吸排水マットと保水層の、併せ面側、少なくともいずれか一方に一体的に設けても良いし、あるいは独立した層を併せ面の間に差込んで挟む構造でも良い。
【0044】
ゲル不透過層は、吸水性樹脂体のゲルが浸入して目詰りを起こさないように、空孔径を小さくした通水構造の層である。たとえば繊維を集積、積層させてゲルが浸入しない空孔径を持つように成形した層である。
【0045】
ゲル不透過層は、繊維径数μm〜数百μm程度の繊維を使用して形成し、吸水性樹脂体のゲルが網目に侵入して目詰りを起こさないようにするためには、目付けは、
30〜3000g/m2が好ましい。
目付けが下限未満では、通水性が阻害されてくるので好ましくない。上限を超えると吸水性樹脂体のゲルが網目に侵入して目詰りを起こすので好ましくない。
【0046】
保水層、ゲル不透過層、吸排水マットは、ニードルパンチ法、スパンボンド法等の方法で表面を波打たせて、この波打った面を互いに点接触させて、点接触面を接着剤で点接着すると良い。
【発明の効果】
【0047】
本発明は下記の効果を有する。
1 植物植栽基盤に適用して、培養層に水分、養分の供給、過剰の水分の排水を任意自在に行うことができ、水分、養分の調整が出来る。
2 培養層の過剰水分を排出する際、廃棄せずに貯水槽に貯水して、渇水時、培養層に供給することで、過剰水を有効に再利用できる。
3 土壌汚染が発生する場所に適用して、雨天や自然災害時、培養層に溢れた水を吸水して速やかに外に排水することができ、環境汚染を防止できる。
4 スポーツグラウンドの植生に適用して、雨天や自然災害時、培養層に溢れた過剰の水を吸水して外に排水することでグラウンドコンディションを速やかに回復させることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の実施の形態を図面によって説明する。なお本図面は、発明の実施の形態をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、本発明の実施の形態がこれのみに限定されるものでない。
【0049】
図1〜3は、本発明請求項1、2の発明を説明するための図面である。
図4〜5は、本発明請求項3、4の発明を説明するための図面である。
図6〜7は、本発明請求項5の発明を説明するための図面である。
図8は、本発明請求項11の発明を説明するための図面である。
図9は、本発明請求項12の発明を説明するための図面である。
図10は、本発明請求項13の発明を説明するための図面である。
図11は、本発明請求項14の発明を説明するための図面である。
【0050】
図1〜3で、吸排水マット1は、通水体3の中に濾過管2を内蔵した構造からなる。
濾過管を内蔵させる構造は、図2、3では、二枚の通水体の間に挟んで一体化させることで内蔵させたものである。図3は、図2のA−A断面図である。図1は、通水体3の片面に濾過管を埋め込むための溝を形成して、この溝に埋め込んで一体化したものである。
濾過管は相互に離隔して埋め込み、その埋め込むときの配列は、並列均等配列、短冊状、櫛の歯状、葉脈状、及びその他の配列を適宜選択できる。
なお本発明の濾過管を通水体に内蔵させる構造は、図1〜3に限定されるものではなく、多孔体を樹脂成形する時に濾過管を同時に埋め込む構造、あるいはセラミックスの多孔体に濾過管を埋め込んだ構造、あるいは樹脂類、セラミックスの多孔体の中に濾過管に相当する空洞部を形成して濾過管として代用させる構造等、いずれの構造でも良い。
【0051】
図1〜3の構造で、通水体3と濾過管2は、両者の接触面で、濾過管の通水孔がふさがれて、その通水性能が阻害されないように接触して一体化されている。
【0052】
図1〜3で、濾過管2の一方の端は封止され、もう一方の端にジョイント部4が接続されている。図8は、本発明の吸排水マットを多数敷設する時の吸水、給水パイプの配管の例を説明する図である。吸排水マットを多数敷設する時は、このジョイント部4を大きな基管8に接続するだけでよい。基管8はポンプにつながれ、基管8から多量の水分、養分を供給して各吸排水マットに枝分かれさせて供給し、また各吸排水マットから吸引した水分を基管8に集めて外に廃棄することなく貯水槽に貯水する。水の有効活用ができる。大掛かりな配管施設を設けることなく、また敷設する場所の変更にも臨機応変に対応でき、給水、排水を自在に行うことが出来る。
【0053】
図4〜7は、本発明の吸排水マットを植物植栽機構に適用した時の説明図である。
【0054】
図4で、吸排水マット1の上に通水性保水層5を配置し、保水層5の上に培養層6を、培養層6の上に植物植栽層が置かれて植物が植栽されている。
【0055】
図4で、中継管4から吸排水マット1に内蔵された濾過管2に水分あるいは植物栽培のための養分の水溶液が供給され、これら水分、養分は濾過管を通って通水性保水層5に流入して保水され、漸次、培養層6に供給されることになる。
【0056】
一方、保水層5の上に載置した培養層6に過剰の水分が流入した時、濾過管2を吸引することで、培養層の水分は保水層の通水孔を通って効率よく吸排水マット1の濾過管2に吸取られ、濾過管2からジョイント部4を介して外に排出されることとなる。
【0057】
図5は、吸排水マット1の上に直接培養層6を配置し、保水層5を吸排水マット1の下に配置した構造の説明図である。
図4の構造の吸排水マット1と保水層5の滋養下の位置を入れ替えた構造である。
【0058】
本構造は、植物植栽層と培養層に溜まった水を速やかに吸引して外に排出できるのが最大の特徴の一つである。図4の構造でも、植物植栽層と培養層に溜まった水を速やかに吸引して外に排出できることに代わりはないが、図4の構造では、吸排水マット1と培養層の間に保水層が存在するので、培養層より上に溜まった水の排出能力は、保水層の通水能力に依存することになる。つまり、吸排水マット1の吸水能力がいかに大きくても、保水層の通水能力が追いつかないとき、つまり大雨等の災害時、植物植栽層と培養層に水が滞留して溢れることも起こりうることである。かかる場合、図5の構造が好ましい。
【0059】
一方、図4の構造では、保水層は培養層に接しているので、保水層に保水した水分を培養層に伝達するのは好都合であるが、図5の構造では、保水層に保水した水分は吸排水マット1を介して培養層に伝達されるので、保水層の水を途切れることなく、培養層に伝達するためには、保水層を常に水で湿潤して、保水層と培養層の間に空隙ができないように濾過管で水分の給水を行って調整する必要がある。
【0060】
図5の構造で、保水層に保水した水を吸排水マット1に吸水させ、かつ吸排水マット1に吸水させた水を培養層に支障なく伝達するためには、吸排水マットは親水性であることが好ましい。保水層に水が保水されている限り、親水性の吸排水マットと保水層の接触面で、保水層の水分が吸排水マットに支障なく移動し、吸排水マットは水で湿潤された状態が維持でき、培養層にも水分が伝達されて培養層も水で湿潤された状態を維持できる。吸排水マットを親水性にするためには、素材そのものを親水性材料で形成する、あるいは素材表面を親水処理しても良い。
【0061】
図4、図5、いずれの構造でも、培養層6の過剰水分を吸排水マット1で吸収、不足水分を吸排水マット1から供給してなると共に、培養層に濾過管を通して排水マットに水分あるいは養液を供給することもできる。また濾過管から水と共に空気を供給することもでき、植物の根腐れを防ぐことができる。また水を積極的に蒸発させて培養層の過昇温を防止することもできる。
【0062】
本発明の濾過管として特別な制約はないが、とりわけ中空糸膜フィルターが最も好適である。
【0063】
中空糸膜フィルターは、その内部の体積と表面積との比が極めて大きいために通常使用されている樹脂や金属のパイプに比較して数千倍のスピードで水分を吸水、給水することが出来る。そのため数ミリ径の中空糸膜フィルターでも、数十ミリ径のパイプの、数百倍の給水吸水能力を発揮できる。また中空糸膜フィルターは親水性に優れているために、加圧給水することなく毛管現象を利用するだけでも水分を保水層に供給出来る特徴がある。
【0064】
図9、図10は、農地以外の地盤の上で本発明の保水マットを使って植物を栽培する時の植物植栽機構を説明する図である。
【0065】
図9は、土壌汚染が発生するクレー射撃場の植物植栽機構に適用した時の説明図である。即ち、クレー射撃場では、放置された鉛の弾丸が雨水に溶けて地盤に染み出し、近隣地域に鉛公害を起こるのを防ぐために、地盤の上に遮水シートを敷設し、遮水シートの上に培養土を敷設して芝生を植えているが、雨天時、鉛成分が雨水と一緒に遮水シートの外に流れ出し、近隣地域に鉛公害を引き起こしている。図9の例は、公害物質がしみこんだ土壌が雨水で外に流出するのを防ぐ植栽機構の説明図である。図9において、地盤10の上には遮水シート9が敷設され、遮水シート9の上に吸排水マット1が敷設される。吸排水マット1の上に保水マット5が、保水マット5の上には培養層6が、培養層6に芝生等の植物が植栽される。培養層には鉛の玉のような公害成分が溶け込んでいる。雨天、災害時、植物植栽層に過剰の水分が溢れた時、ジョイント部4に連結された濾過管を吸引することで、濾過管から植物植栽層の溢れた水を吸引して外に排出することで雨水の外への流出を防ぐことが出来る。 地盤10の上に排水マット1が、排水マット1の上に、保水マット5が載せられ、保水マット5の上には培養層6が載せられ、培養層では植物が植栽される。吸排水マット1の濾過管に接続したジョイント部4から水、養液、必要に応じて空気を供給する。水、養液、空気は濾過管から吸排水マット、吸排水マットから保水マット、保水マットから更に培養槽に供給される。これら水、養液、空気は植物の生育状況にあわせて適宜調整されることになる。一方、雨天、災害時、植物植栽層に過剰の水分が溢れた時、濾過管から植物植栽層の過剰の水分を吸引して外に排出して適量に復旧することが出来る。過剰水分に伴う植物の根腐れ等を防ぐことが出来る。
【0066】
図10は、スポーツグラウンドの排水と植物植栽に適用した時の説明図である。即ち、芝生等を植栽した従来のスポーツグラウンドでは、グラウンドの上に培養土を直接敷設し、培養土に芝生等を植栽しているが、雨天、培養土に雨水が染み込んだとき、グラウンドが再使用できる状態までは唯自然乾燥を待つしかないのが現状である。図10では、グラウンドの上に吸排水マットを敷設し、吸排水マットの上に保水マットを敷設し、保水マットの上に培養土を敷設することで、雨天時、しみ込んだ雨水を同時に、逐次吸排水マットの濾過管で吸水して外に排出することで、グラウンドのヌカルミ状態を防いで、グラウンドコンディションを速やかに復旧させることが出来る。また空気を送風することでしみ込んだ水分を速やかに蒸発させてグラウンドコンディションを速やかに乾燥、復旧させることが出来る。
【0067】
図11は、本発明の排水マットを廃棄物処分場の排水に利用した時の説明図である。吸排水マット1は、地盤10の上に敷設された遮水シート9の上に敷設する。各吸排水マットの濾過管の外に突き出たジョイント部4を図8に示した基管8につなぎ、基管8は吸水ポンプに繋いで、雨天時、ポンプで吸引して溜まった水を隔離区域外の安全な場所に貯水し、無害処理化して排水することで地下水汚染、環境汚染を防止することが出来る。
【実施例】
【0068】
実施例1
本発明吸排水マットを植物植栽機構に適用した時の実施例を説明する。植栽機構は、図6、図7に示す構造とし、吸水した水は、図8に示す貯水槽に貯水して給水に再利用することとした。なお比較例として吸排水マットなしの場合もテストした。
【0069】
吸排水マットの詳細:構造は、図2、3に示した上下二層を張合わせた構造とした。上下二層は下記方法で作製した。基材料として親水処理したポリエステル長繊維をニードルパンチ法で基材繊維ウェブを形成し、目付を400g/mにして厚さ3mmの不織布を作製した。上下二層とも同じ材料を使用した。下層の不織布に電熱コテを当てて溝を形成した後、溝の中に濾過管を沈設して、上層と下層の不織布の合わせ面にシリコン系の接着剤をローラー塗布して上下二層を張合わせ一体構造とした。なお濾過管は50mmの間隔で並列に配置した。
【0070】
濾過管の詳細:濾過管には、下記仕様の中空糸膜フィルターを使用した。
・ 孔径:内径0.75mm、外径1.25mm
・ 材質:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)
・ 透過孔径:2〜3μm
・ 潅水流入圧力:0.005MPa
・ 吸水、排水圧力:0.012MPa
・ 製作メーカー:(株)クラレ
・ 製品名:水道用外圧式中空糸膜モデュール メガフロー
【0071】
ゲル不透過層:素材は、親水処理したPET材料を使用し、スパンボンド法の紡糸直結法によって基材繊維ウェブを形成し、目付を900g/mにして厚さ2mmの不織布を作製した。
【0072】
保水層の詳細:帝人製繊維状吸水性樹脂ベルオアシスとPET繊維を30重量%:70重量%の割合で交互に多層に積層して形成した。目付けは900g/m、厚さは6.5mmである。
【0073】
培養層の詳細:培養層の土壌には、ピーストモス・イーストグリーン(植生材料)パーライト粉体を使用した。培養層の厚さは、100mmとし、培養層の上に芝生を植栽した。
【0074】
図6の構造では、吸排水マットの上にゲル不透過層、ゲル不透過層の上に保水層を置き、これらは接触面にシリコーンを点付けして固定した。図7の構造では、吸排水マットの下にゲル不透過層、ゲル不透過層の下に保水層を置き、これらは接触面にシリコーンを点付けして固定した。比較例の構造は、培養層の下にゲル不透過層、ゲル不透過層の下に保水層を置き、これらは接触面にシリコーンを点付けして固定した。
【0075】
〔植栽テスト〕
植栽機構は、晴天時には日光が照射する室内に設置してテストした。テストスタートに際して、芝生の上から静かに散水して培養層を湿潤させた。また単位面積当り、5リットル/m2の水を吸排水マットから保水層に給水して保水層を湿潤させた。以後培養層への潅水は吸排水マットからの給水だけで行った。なお吸排水マットなしの比較例では、図6、図7の場合と同量の水を芝生の上から静かに散水して培養層と保水層を湿潤させた。
【0076】
〔定期的潅水〕
1週間に1回、吸排水マットから3リットル/m2の水を補給した。試験は、夏季2ヶ月間続けた。比較例では、同量の水を芝生の上から静かに散水して培養層と保水層を湿潤させた。
【0077】
〔土中の乾湿状態〕
培養層の乾湿状態は、土壌乾湿度計を用いて測定した。土壌乾湿度計の電極を培養層に差込み、土中の乾湿状態を示す数値を読み取り、この数値で、培養層の乾燥状態を判定した。乾湿値の測定は、給水前と給水直後行った。
【0078】
〔比較例の結果〕
比較例は芝生の上から散水するために、散水直後は、数値は、常時最高の8を示し、以後、時間の経過と共に保水層が水分を吸収して、給水前には、数値は1〜2に変化していた。
〔図6の構造の結果〕
給水直後でも、数値は5〜6を示し、以後時間が経過して給水前でも4〜5とわずかに変化したに過ぎなかった。
〔図7の構造の結果〕
給水直後では、数値は5〜7を示し、図6の構造よりは数値が若干高くなる傾向があるが、以後時間が経過して給水前でも4〜5とわずかに変化したに過ぎなかった。
本発明の植物植栽機構は、培養層の乾湿値の変化が少なく、植物植栽には極めて好適であることが確認できた。
【0079】
〔雨天時の排水能力の比較〕
雨天時を想定して、下記4通りの雨量に相当する水を芝生の上から散水して、図6と図7と比較例の構造の排水能力を比較した。
並の雨(5mm/時間)に相当する水量を散水した時、
強い雨(50mm/時間)に相当する水量を散水した時、
猛烈な雨(100mm/時間)、に相当する水量を散水した時
【0080】
〔結果〕
比較例では、波の雨でも10分で培養層から水が溢れた。図6の構造では、強い雨に相当する水量は問題なく排出でき、培養層に水が溢れることは無かったが、猛烈な雨に相当する水量では排出が追いつかず、培養層に水が溢れた。図7の構造では、猛烈な雨に相当する水量でも問題なく排出できた。本発明の植物植栽機構は、強い雨〜猛烈な雨の時でも、培養層に水を溜めることなく水を排出出来ることが確認できた。そしてとりわけ激しい雨量の時は、図7の構造がより好適であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
・ 培養層の水分量は給水前、給水後でも大きな変化は無く、植物の生育環境に最適な水分範囲に保持できる。
・ 人工植栽基盤で、高速吸排水が出来るので、豪雨時でも水分を適量に保持でき、高品質、高収益性の緑化事業に有効である。
・ クレー射撃場等の汚染物質がしみ込んだ土壌から雨天時、汚染物質の外への流出を防止できるので、公害物質の流出阻止の観点から、公害物質がしみ込んだ土壌緑化に極めて有効である。
・ 高速排水、高速乾燥できるスポーツグラウンドとして極めて有効である。
・ 廃棄物処分場で、雨天時、汚染物質が溶け込んだ雨水の外への流出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明請求項1の発明を説明するための図面である。
【図2】図2は、本発明請求項2の発明を説明するための図面である。
【図3】図3は、図2のA−A断面図である。
【図4】図4は、本発明請求項3の発明を説明するための図面である。
【図5】図5は、本発明請求項4の発明を説明するための図面である。
【図6】図6は、図6は、本発明請求項5の発明を説明するための図面である。
【図7】図7は、図7は、本発明請求項5の発明を説明するための図面である。
【図8】図8は、本発明請求項11の発明を説明するための図面である。
【図9】図9は、本発明請求項12の発明を説明するための図面である。
【図10】図10は、本発明請求項13の発明を説明するための図面である。
【図11】図11は、本発明請求項14の発明を説明するための図面である。
【符号の説明】
【0083】
1 吸排水マット 2 濾過管 3 通水体
4 ジョイント部 5 保水層 6 培養層
7 ゲル不透過層 8 基管 9 遮水シート
10 地盤



【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸通水体の中に濾過管を内蔵させた構造からなる吸排水マットであって、該吸通水体に吸収された水分を該濾過管で吸引して外に排出することを特徴とする吸排水マット。
【請求項2】
前記吸排水マットが、上層基材と下層基材からなる上下二層の通水性シートの間に濾過管を挟んで、該二層のシートの接触面を点接着した構造からなることを特徴とする請求項1に記載の植物植栽機構。
【請求項3】
前記吸排水マットの上に通水性を持つ保水層を、該保水層の上に植物の培養層を配置して、該培養層の水分を該吸排水マットの濾過管で吸引して外に排出して、あるいは該濾過管あるいは/および該保水層から該培養層に水分を供給して、該培養層の水分量を調整することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の吸排水マットを使用する植物植栽機構。
【請求項4】
前記吸排水マットの上に植物の培養層を、吸排水マットの下に通水性を持つ保水層を配置して、該培養層の水分を該吸排水マットの濾過管で吸引して外に排出して、あるいは該濾過管あるいは/および該保水層から該培養層に水分を供給して、該培養層の水分量を調整することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の吸排水マットを使用する植物植栽機構。
【請求項5】
前記保水層の吸水材料の主材料が吸水性樹脂であって、前記保水層と前記吸排水マットの間に、通水性で該吸水性樹脂のゲル不透過層を設けてなることを特徴とする請求項3〜4のいずれか1項に記載の植物植栽機構。
【請求項6】
前記保水層が、通水構造の基材シートの中に、吸水性樹脂の粒を分散させた構造からなることを特徴とする請求項5に記載の植物植栽機構。
【請求項7】
前記保水層が、吸水性樹脂繊維を集積させたシートと、非吸水性樹脂繊維を集積させたシートを積層した構造からなることを特徴とする請求項5に記載の植物植栽機構。
【請求項8】
前記保水層が、吸水性樹脂繊維と、非吸水性樹脂繊維を混ぜてシートに成形した構造からなることを特徴とする請求項5に記載の植物植栽機構。
【請求項9】
前記吸排水マットの濾過管が中空糸膜フィルターであって、前記保水層の目付が、
100〜1500g/m、保水層に対する吸水性樹脂の混合割合が15〜70重量%であって、かつ前記ゲル不透過層の目付けが30〜3000g/mあることを特徴とする請求項5に記載の植物植栽機構。
【請求項10】
前記濾過管から水と空気を供給することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の植物植栽機構。
【請求項11】
前記濾過管から吸水して外に排出する水を、貯水槽に貯水して、渇水時、該貯水槽の水を該濾過管から培養層に給水することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の植物植栽機構。
【請求項12】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の植物植栽機構を、土壌汚染が発生する場所の植物植栽機構に適用するに際して、該場所の地盤の表面に遮水層を設け、該遮水層の表面に植物植栽基盤を敷設して、雨天時、該植物植栽基盤の培養層に溢れた水を該植物植栽基盤の濾過管から吸水して外に排水することを特徴とする植物植栽機構。
【請求項13】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の植物植栽機構をスポーツグラウンドの排水と緑化に適用するに際して、該スポーツグラウンドの地盤面に前記植物植栽基盤を敷設して、雨天時、該植物植栽基盤の培養層に溢れた水を該植物植栽基盤の濾過管から吸水して外に排水することを特徴とする植物植栽機構。
【請求項14】
前記吸排水マットを廃棄物集積場の排水に適用するに際して、該廃棄物を集積する地盤の上に遮水層を設け、該遮水層の上に該吸排水マットを敷設し、該吸排水マットの上に該廃棄物を集積して、雨天時、該吸排水マットが吸収した水を該吸排水マットの濾過管から吸引して該遮水シートの外に排水することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の吸排水マットを使用する廃棄物集積場の排水機構。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−85549(P2012−85549A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233400(P2010−233400)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(310011011)クリアーシステム株式会社 (4)
【Fターム(参考)】