説明

吸水性ポリマー粒子を後架橋する方法

本発明は、吸水性ポリマー粒子を後架橋するにあたり、酸化ガスの不存在下で後架橋を実施する方法、この方法により製造可能な吸水性ポリマー並びにその衛生用品及び包装材料における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、吸水性ポリマー粒子を後架橋するにあたり、酸化ガスの不存在下で後架橋を実施する方法、この方法により製造可能な吸水性ポリマー並びに衛生用品及び包装材料におけるその使用に関する。
【0002】
本発明の更なる実施態様は、特許請求の範囲、明細書及び実施例から得られるべきものである。前記し、かつ以下に更に説明されるべき本発明の主題の特徴は、そのつど挙げた組み合わせにおいてのみでなく、本発明の枠内を離れることなくその他の組み合わせにおいても使用可能であることが理解される。
【0003】
吸水性ポリマーは、特に(共)重合された親水性モノマーからのポリマー、好適なグラフト主鎖上の1種以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースエーテル又はデンプンエーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシド又は水性液体中で膨潤可能な天然製品、例えばグアール誘導体である。かかるポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、しかし、農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0004】
適用特性、例えばおむつ中での液体移送性(SFC)及び加圧下吸収量(AUL)を改善するために、吸水性ポリマー粒子は一般に後架橋される。この後架橋は、気相中で実施することができる。しかし、好ましくは微粉砕及び篩別されたポリマー粒子(ベースポリマー)の表面を後架橋剤で被覆し、乾燥させ、そして加熱により後架橋する。このために好適な架橋剤は、親水性ポリマーのカルボキシラト基と共有結合を形成することができるか、又はベースポリマーの少なくとも2個の異なるポリマー鎖の少なくとも2個のカルボキシル基若しくは他の官能基を互いに架橋することができる少なくとも2個の基を含有する化合物である。
【0005】
この後架橋は、文献"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L. Buchholz und A.T. Graham, Wiley-VCH, 1998, 97〜103頁に記載されている。慣用的に、吸水性ポリマー粒子を後架橋剤で湿潤させ、そして加熱により後架橋させ、その際、このポリマー粒子を高温空気か又は接触乾燥により加熱し、そして同時に乾燥させる。
【0006】
この後架橋の際に酸化剤を添加すると、更に改善された特性を有する吸水性ポリマー粒子がもたらされる。
【0007】
超薄型の衛生用品のために、高度の白色度を有する吸水性ポリマー粒子が必要とされている。超薄型のおむつの場合、薄い上層を介してわずかな色変化でも認識することができ、これは消費者には許容されない。しかし、厚型の衛生用品における超吸収体の使用も、消費者の許容理由から、可能な限り白色製品をしばしば必要とする。それというのも、黄変がしばしばと汚れ又は粗悪と結びつくからである。
【0008】
更に、吸水性ポリマー粒子は、特に液体負荷時に不快な臭いを与えない。
【0009】
従って本発明の課題は、高度の白色度を有するポリマー粒子を製造する吸水性ポリマー粒子の改善された製造方法を提供することであった。
【0010】
本発明の更なる課題は、特に液体負荷時に知覚可能な臭いを有さないポリマー粒子を製造する吸水性ポリマー粒子の製造方法を提供することであった。
【0011】
更に、本発明の課題は、衛生用品における使用のための高度の白色度を有する吸水性ポリマー粒子を提供することであった。
【0012】
前記本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子を後架橋する方法において、乾燥及び後架橋の間の吸水性ポリマーを覆う雰囲気中の1種以上の酸化ガスの全分圧が140mbar未満であることを特徴とする方法により解決された。
【0013】
この酸化ガスの全分圧は、好ましくは100mbar未満、特に50mbar未満、特に好ましくは10mbar未満、殊に好ましくは1mbar未満である。
【0014】
酸化ガスは、少なくとも1013mbarの23℃での蒸気圧を有し、かつ燃焼過程中で酸化剤として作用する物質、例えば酸素、酸化窒素、二酸化窒素であり、特に酸素である。
【0015】
乾燥及び後架橋反応の間の吸水性ポリマー粒子を覆う雰囲気中の酸素分圧は、好ましくは100mbar未満、特に50mbar未満、特に好ましくは10mbar未満、殊に好ましくは1mbar未満である。
【0016】
乾燥及び後架橋を周囲圧力、すなわち全圧が約1013mbarか又は750〜1250mbarの範囲内、好ましくは800〜1200mbarの範囲内、特に好ましくは850〜1150mbarの範囲内、殊に好ましくは900〜1100mbarの範囲内で実施する場合、この酸化ガスの全分圧はそれらの容量割合を介して規定する。この場合、酸化ガスの割合は、14容量%未満、好ましくは10容量%未満、特に5容量%未満、特に好ましくは1容量%未満、殊に好ましくは0.1容量%未満である。
【0017】
好ましくは、後架橋及び乾燥は、減圧、すなわち1013mbar未満の全圧で実施する。この全圧は、例えば670mbar未満、好ましくは480mbar未満、特に好ましくは300mbar未満、殊に好ましくは200mbar未満である。乾燥及び後架橋を、20.8容量%の酸素含有率を有する空気下で実施する場合、上述の全圧に対応する酸素分圧は、139mbar(670mbar)、100mbar(480mbar)、62mbar(300mbar)及び42mbar(200mbar)であり、その際、括弧はそれぞれの全圧を示す。
【0018】
架橋された吸水性ポリマー粒子は、例えば文献"Modern Superabsorbent Polymer Technology", F.L Buchholz und A. T. Graham, Wiley-VCH, 1998又はUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6版、35巻、73〜103頁中に記載されている。
【0019】
架橋された吸水性ポリマー粒子は、一般に、10〜60g/g、好ましくは少なくとも15g/g、特に好ましくは少なくとも20g/g、殊に好ましくは少なくとも25g/gの遠心分離器保持容量(CRC)を有する。この遠心分離保持能力(CRC)は、EDANA(欧州不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))により推奨される試験方法番号441.2−02「遠心分離保持能力(Centrifuge retention capacity)」により測定する。
【0020】
この吸水性ポリマー粒子は、一般的に、少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、特に好ましくは少なくとも25g/gの加圧下吸収量0.7psi(4.83kPa)を有する。この加圧下吸収量(AUL)は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨される試験方法番号442.2−02「加圧下吸収量(Absorption under pressure)」により測定する。
【0021】
吸水性ポリマー粒子は、
i)酸基を有するエチレン性不飽和モノマー少なくとも1種、
ii)架橋剤少なくとも1種、
iii)場合により、i)と共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマー1種以上、及び
iv)場合により、モノマーi)、ii)及び場合によりiii)が少なくとも部分的にグラフトされていてよい水溶性ポリマー1種以上、
を含有するモノマー溶液の重合により製造するにあたり、
その際得られるベースポリマーを乾燥させ、分級し、
v)後架橋剤少なくとも1種
を用いて後処理し、乾燥させ、そして加熱により後架橋させることにより製造することができる。
【0022】
好適なモノマーi)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸、又はこれらの誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルである。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。殊に好ましくは、アクリル酸である。
【0023】
このモノマーi)、特にアクリル酸は、好ましくは0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含有する。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0024】
トコフェロールは、以下の式
【化1】

【0025】
[式中、R1は、水素又はメチルであり、R2は、水素又はメチルであり、R3は、水素又はメチルであり、かつR4は、水素又は1〜20個の炭素原子を有する酸基である]の化合物と解する。
【0026】
好ましいR4の基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び生理学的に許容される他のカルボン酸である。カルボン酸は、モノ−、ジ−又はトリカルボン酸であってよい。
【0027】
好ましくは、R1=R2=R3=メチルで示されるアルファトコフェロール、特にラセミ体アルファトコフェロールである。R4は、特に好ましくは水素又はアセチルである。特に好ましくは、RRR−アルファトコフェロールである。
【0028】
このモノマー溶液は、アクリル酸に対して好ましくは多くとも130質量ppm、特に好ましくは多くとも70質量ppm、特に少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、とりわけ好ましくは約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩はアクリル酸として考慮し算出した。例えば、このモノマー溶液の製造のために、相応のヒドロキノン半エーテル含有率を有するアクリル酸を使用することができる。
【0029】
吸水性ポリマーは架橋させる、すなわち、重合を、ポリマー網目中にラジカル的に重合導入されることができる少なくとも2個の重合性基を有する化合物の存在下で実施する。好適な架橋剤ii)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、例えばEP−A530438に記載されているもの、ジ−及びトリアクリレート、例えばEP−A547847、EP−A559476、EP−A632068、WO93/21237、WO03/104299、WO03/104300、WO03/104301及びドイツ連邦共和国特許出願番号10331450.4に記載されているもの、アクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリレート、例えばドイツ連邦共和国特許出願番号10331456.3及び10355401.7に記載されているもの、又は架橋剤混合物、例えばDE−A19543368、DE−A19646484、WO90/15830及びWO02/32962に記載されているものである。
【0030】
適切な架橋剤ii)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミド及びN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸又はポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリレート又はトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート又はエチレングリコールジアクリレート、又はブタンジオールジメタクリレート又はエチレングリコールジメタクリレート並びにトリメチロールプロパントリアクリレート及びアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌラート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル並びに例えば、EP−A343427に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に好適な架橋剤ii)は、ペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトールトリ−及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル及びグリセリントリアリルエーテル、ソルビトール系のポリアリルエーテル並びにそのエトキシル化されたバリエーションである。本発明にかかる方法の場合に、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが使用可能であり、その際、使用されるポリエチレングリコールは300〜1000の分子量を有する。
【0031】
しかしながら、特に有利な架橋剤ii)は、3〜20箇所エトキシル化されたグリセリン、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタン、3〜20箇所エトキシル化されたトリメチロールエタンのジ−及びトリアクリレート、特に、2〜6箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、3箇所プロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、並びに混合して3箇所エトキシル化又はプロポキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、15箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、並びに少なくとも40箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートである。
【0032】
殊に好ましい架橋剤ii)は、例えば先願のドイツ連邦共和国特許出願番号10319462.2に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸でジアクリレート又はトリアクリレートにエステル化された、複数箇所エトキシル化された及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10箇所エトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリレートが特に有利である。殊に好ましくは、1〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジ−又はトリアクリレートである。3〜5箇所エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリレートが最も有利である。これは、吸水性ポリマー中の特に小さい残留物含有率(一般的には10ppm未満)を特徴とし、かつこれを用いて製造された吸水性ポリマーの水性抽出物は、同じ温度の水と比べてほとんど変わらない表面張力(一般的には少なくとも0.068N/m)を有する。
【0033】
モノマーi)と共重合可能なエチレン性及び/又はアリル性不飽和モノマーiii)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレート及びジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0034】
水溶性ポリマーiv)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコール及びデンプンを使用することができる。
【0035】
好適なベースポリマー並びに更なる好適な親水性エチレン性不飽和モノマーi)の製造は、DE−A19941423、EP−A686650、WO01/45758及びWO03/104300に記載されている。
【0036】
この反応は、好ましくは、例えばWO01/38402中に記載されているような混練機中で実施するか、又は例えばEP−A955086中に記載されているようなベルト反応器上で実施する。
【0037】
得られたヒドロゲルの酸基は、一般的には部分的に、好ましくは25〜95mol%、有利には27〜80mol%、特に好ましくは27〜30mol%又は40〜75mol%中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩か又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにこれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用してもよい。ナトリウム及びカリウムはアルカリ金属として特に好ましく、しかしながら殊に好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこれらの混合物である。通常、中和は、中和剤を水溶液として、溶融物としてか又は好ましくは固体として混合導入することによって達成される。例えば、50質量%を顕著に下回る含水率を有する水酸化ナトリウムが、23℃を上回る融点を有する蝋状の塊として存在していてよい。この場合、温度を高めて個々の物質又は溶融物として計量供給することが可能である。
【0038】
中和は、重合後、ヒドロゲルの段階で実施することができる。しかし、40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%の酸基を重合前に、中和剤の一部をモノマー溶液にも添加することにより中和すること、及び所望の最終中和度を重合の後に最初にヒドロゲルの段階で調節することも可能である。モノマー溶液は、中和剤の混合導入により中和することができる。このヒドロゲルは、例えば肉挽機を用いて機械的に粉砕することができ、その際、中和剤を噴霧するか、散布するか、又は注ぎ、次いで注意深く混合することができる。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。モノマー溶液を直接に最終中和度に中和することが好ましい。
【0039】
中和されたヒドロゲルを、次いでベルト−又はローラ乾燥器を用いて、残留湿分率が好ましくは15質量%未満、好ましくは10質量%になるまで乾燥させ、その際、この含水率は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨される試験法番号430.2−02「含水率(Moisture content)」により測定する。しかし選択的に、この乾燥のために、流動床乾燥器か又は加熱されたプローシェアミキサを使用することもできる。特に白色の製品を得るために、ゲルの乾燥の際に蒸発された水の急速な搬出を確保することが有利である。このために、空気供給及び空気排出を制御すべき乾燥器温度を最適化することを実施し、そしてそれぞれの場合に十分な通気を考慮しなければならない。この乾燥は、ゲルの固体含有率が可能な限り大きい場合に、当然に、より一層容易であり、かつ製品がより一層白い。従って、好ましくは、この乾燥前のゲルの固体含有率は30〜80質量%である。特に有利であるのは、乾燥器の窒素又は他の非酸化ガスでの通気である。しかし選択的に、酸化による黄変事象を回避するために、乾燥の間の酸素分圧のみ容易に下げることもできる。一般に、十分な通気及び水蒸気の排出によっても、なおも許容可能な製品がもたらされる。色及び製品の質に関しては、一般に、可能な限り短い乾燥時間が有利である。
【0040】
この場合、ゲル乾燥の更なる重要な機能は、超吸収体中でなおも生ずる残留モノマー含有率の減少である。それというのも、この乾燥の際に、場合によりなおも存在する開始剤の基が崩壊し、そしてなおも存在する残留モノマーの重合導入がもたらされるからである。更に、蒸発する水量がなおも存在する遊離の水蒸気揮発性モノマー、例えばアクリル酸を飛沫同伴させ、そして超吸収体中の残留モノマー含有率を同様に減らす。
【0041】
この後で、乾燥させたヒドロゲルを微粉砕し、そして篩別し、その際、微粉砕のために通常、1段階又は複数段階のロールミル、好ましくは2段階又は3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0042】
次いでベースポリマーを後架橋する。このために好適な架橋剤v)は、ポリマーのカルボキシラト基と共有結合を形成できる少なくとも2個の基を含有する化合物である。好適な化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−又はポリグリシジル化合物、例えばEP−A083022、EP−A543303及びEP−A937736に記載されているもの、多官能性アルコール、例えばDE−C3314019、DE−C3523617及びEP−A450922中に記載されているもの、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド、例えばDE−A10204938及びUS−A−6239230中に記載されているものである。混合官能価を有する更なる化合物、例えばグリシドール、3−エチル−3−オキセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)、例えばEP−A1199327中に記載されているもの、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又は第1の反応後に更なる官能価を形成する化合物、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、アジリジン、アゼチジン又はオキセタンが好適である。
【0043】
更にDE−A4020780では環状炭酸塩が、DE−A19807502中では2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンが、DE−A19807992中ではビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE−A198545732中では2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE−A19854574中ではN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE−A10204937中では環状尿素が、ドイツ連邦共和国特許出願番号10334584.1中では二環状アミドアセテートが、EP−A1199327中ではオキセタン及び環式尿素が、及びWO03/031482中のモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が好適な後架橋剤v)として記載されている。
【0044】
この後架橋は、一般的には、後架橋剤の溶液をヒドロゲル又は乾燥させたベースポリマー粒子上に噴霧することにより実施する。
【0045】
この噴霧に引続き、加熱乾燥を行い、その際、後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0046】
好ましい後架橋剤v)は、一般式I
【化2】

[式中、R1は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
2は、X又はOR6であり、
3は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリール又はXであり、
4は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、
5は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル、C1〜C12−アシル又はC6〜C12−アリールであり、
6は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル又はC6〜C12−アリールであり、かつ
Xは、基R2及びR3と同じカルボニル酸素であり、
その際、R1及びR4及び/又はR5及びR6は、架橋されたC2〜C6−アルカンジイルであってよく、かつ上述の基R1〜R6はなおも合計1〜2の自由原子価を有してよく、かつこれらの自由原子価を介して少なくとも1種の好適な基礎構造に結合していてよい]のアミドアセタール又はカルバミン酸エステル、又は
多価アルコール、この多価アルコールは、好ましくはヒドロキシル基当たり100g/mol未満、好ましくは90g/mol未満、特に好ましくは80g/mol未満、殊に好ましくは70g/mol未満の分子量を有し、並びに、ビシナル、ジェミナル、第2級又は第3級のヒドロキシル基を有さず、かつ多価アルコールは、一般式lla
HO−R6−OH (IIa)
[式中、R6は、式−(CH2)n−で示され、その式中、nは3〜20、好ましくは3〜12の整数であり、その際、4はそれほど好ましくない非分枝鎖状ジアルキル基であり、かつ両方のヒドロキシル基は末端であるか又はR6は、非分枝鎖状、分枝鎖状又は環状ジアルキル基である]のジオールか、又は一般式IIb
【化3】

[式中、基R7、R8、R9、R10は、互いに無関係に水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロパ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシブチルであり、かつ合計2個、3個又は4個、好ましくは2個又は3個のヒドロキシル基が存在してよく、かつ基R7、R8、R9又はR10の1つより多くがヒドロキシルでない]のポリオールの何れかであり、又は、
一般式III
【化4】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、互いに無関係に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はイソブチルであり、かつnは0又は1の何れかである]の環状カルボネート、又は、
一般式IV
【化5】

[式中、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、互いに無関係に水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はイソブチルであり、かつR25は、単結合、直鎖状、分枝鎖状又は環状C2〜C12−ジアルキル基又はポリアルコキシジイル基であり、これは1〜10個のエチレンオキシド−及び/又はプロピレンオキシド単位から構成され、例えばポリグリコールジカルボン酸を有する]のビスオキサゾリンである。
【0047】
好ましい後架橋剤v)は、極端に選択性を示す。揮発性、ひいては悪臭の化合物をもたらす副反応及び逐次反応は、最小化される。従って、好ましい後架橋剤v)を用いて製造された吸水性ポリマーは、湿潤した状態でも臭いを有さない。
【0048】
これに対して、エポキシ化合物は、高温で、かつ好適な触媒の存在下で、例えばアルデヒド又はケトンをもたらす種々の転移反応を受けることがある。これは、次いで更なる逐次反応を受けることがあり、これにより最終的に悪臭不純物が形成され、この臭いは衛生用品において不所望である。従って、エポキシ化合物は約140〜150℃を上回る温度では後架橋にそれほど好適ではない。アミノ−若しくはイミノ基を含有する後架橋剤v)の場合、同じ温度でなおも複雑な転移反応をもたらし、これによりわずかに悪臭の微量不純物及び褐色の生成物変色が生ずる。
【0049】
後架橋剤v)としての多価アルコールは、その低反応性に基づき、高い後架橋温度を必要とする。この場合、ビシナル、ジェミナル、第2級及び第3級のヒドロキシル基を有するアルコールは、衛生品分野において不所望な副生物を形成し、この副生物は、該当する衛生用品の不快な臭い及び/又は変色をその製造又は使用に際してもたらす。
【0050】
好ましい一般式Iの後架橋剤v)は、2−オキサゾリドン、例えば2−オキサゾリジノン及びN−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アシル−2−オキサゾリドン、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、二環状アミドアセテート、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン及び5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス−2−オキサゾリドン及びポリ−2−オキサゾリドンである。
【0051】
特に好ましい一般式Iの後架橋剤v)は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドン及びN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0052】
好ましい一般式IIaの後架橋剤v)は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,7−ヘプタンジオールである。式IIaの後架橋剤の更なる例は、1,3−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオールである。
【0053】
ジオールIIaは、好ましくは水溶性であり、その際、一般式IIaのジオールは、23℃で、少なくとも30質量%まで、好ましくは少なくとも40質量%まで、特に好ましくは少なくとも50質量%まで、殊に好ましくは少なくとも60質量%まで水中に溶解し、これは例えば1,3−プロパンジオール及び1,7−ヘプタンジオールである。更に好ましくは、25℃で揮発性を示す後架橋剤である。
【0054】
好ましい一般式IIbの後架橋剤v)は、ブタン−1,2,3−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、1分子当たり1〜3箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパン、及び1分子当たり1〜3箇所プロポキシル化されたグリセリン、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンである。更に好ましくは、2箇所エトキシル化又はプロポキシル化されたネオペンチルグリコールである。特に好ましくは、2箇所及び3箇所エトキシル化されたグリセリン、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及びトリメチロールプロパンである。
【0055】
好ましい多価アルコールIIa及びIIbは、23℃で3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、特に1000mPas未満、特に好ましくは500mPas未満、殊に好ましくは300mPas未満の粘度を有する。
【0056】
特に好ましい一般式IIIの後架橋剤v)は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートである。
【0057】
特に好ましい一般式IVの後架橋剤v)は、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0058】
少なくとも1種の後架橋剤v)は、一般に、ベースポリマーに対して多くとも0.30質量%、好ましくは多くとも0.15質量%、特に好ましくは0.001〜0.095質量%の量で水溶液として使用する。
【0059】
上述の選択肢からの個々の後架橋剤v)を使用するか又は種々の後架橋剤の任意の混合物を使用することができる。
【0060】
この後架橋剤水溶液は少なくとも1種の後架橋剤v)の他に一般に更に補助溶剤を含有していてよい。
【0061】
技術的に良好に好適な補助溶剤は、C1〜C6−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール又は2−メチル−1−プロパノール、C2〜C5−ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール又は1,4−ブタンジオール、ケトン、例えばアセトン又はカルボン酸エステル、例えば酢酸エチルエステルである。この多くの補助溶剤の欠点は、一般に固有臭を有することである。
【0062】
この補助溶剤それ自体は、反応条件下で理想的には後架橋剤ではない。しかしながら、しかし境界例では、かつ滞留時間及び温度に依存して、補助溶剤は部分的に架橋に寄与しうる。これは特に、後架橋剤v)が、比較的不活性であり、従ってそれ自体も、例えば一般式IIIの環状カーボネート、一般式IIaのジオール又は一般式IIbのポリオールを使用する際に、補助溶剤を形成することができる場合に該当する。かかる後架橋剤v)は、より反応性の後架橋剤v)との混合物としても、補助溶剤としての機能においても使用することができる。それというのも、本来の後架橋反応は、より反応性の架橋剤v)の不存在におけるよりも低い温度及び/又は短い滞留時間で実施することができるからである。補助溶剤は比較的大量で使用され、かつ部分的に生成物中に残留するので、毒性であってはならない。
【0063】
本発明にかかる方法において、一般式IIaのジオール、一般式IIbのポリオール、並びに一般式IIIの環状カーボネートが補助溶剤としても好適である。この機能は、一般式I及び/又はIVの反応性後架橋剤v)及び/又はジグリシジル架橋剤若しくはトリグリシジル架橋剤の存在下で充たされる。しかしながら、本発明にかかる方法において好ましい補助溶剤は、とりわけヒドロキシル基が反応において隣接基によって立体的に妨げられる場合には、特に一般式IIaのジオールである。かかるジオールは確かに原則として後架橋剤v)としても適切であるが、しかしこのために立体障害のないジオールよりも明らかにより高い反応温度又は場合により、より高い使用量を必要とする。
【0064】
本発明にかかる方法において特に好ましい更なる補助溶剤は、一般式IIbのポリオールである。このうち特に好ましくは、2〜3箇所アルコキシル化されたポリオールである。しかしまた、補助溶剤として特に好適であるのは、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリトリトールを基礎とする、3〜15箇所、殊に好ましくは5〜10箇所エトキシル化されたポリオールである。特に好適であるのは、7箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパンである。
【0065】
好適な立体障害及びひいては反応に不活性な多価アルコールは、ビシナル、ジェミナル又は第2級のヒドロキシル基を有さない任意の分子量を有する多価アルコールをも有する。
【0066】
一般式IIaのかかる立体障害ジオールひいては補助溶剤として特に好ましいジオールの例は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオールである。
【0067】
更なる好適な補助溶剤は、ジ(トリメチロールプロパン)並びに5−エチル−1,3−ジオキサン−5−メタノールである。
【0068】
補助溶剤としてそれほど反応性ではない後架橋剤v)及び反応性後架橋剤v)の特に好ましい組合せは、好ましい多価アルコール、一般式IIaのジオール及び一般式IIbのポリオールと、一般式Iのアミドアセタール又はカルバミン酸エステルとの組合せである。
【0069】
殊に好ましい組合せは、2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオール及びN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0070】
更に好ましい組合せは、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はグリセリンジ−又は−トリグリシジルエーテルと以下の溶剤、補助溶剤又は補助架橋剤:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール又はこれらの混合物との組合せである。
【0071】
この補助溶剤は、好ましくは高くとも160℃、特に好ましくは高くとも140℃、殊に好ましくは高くとも120℃の沸点を有するか、又は好ましくは少なくとも200℃、特に好ましくは少なくとも220℃、殊に好ましくは少なくとも250℃の沸点を有する。
【0072】
従って本発明にかかる方法において特に好適な補助溶剤は、水又は第二の補助溶剤との低沸点の共沸混合物を形成する補助溶剤である。好ましくは、この共沸混合物の沸点は高くとも160℃、特に好ましくは高くとも140℃、殊に好ましくは高くとも120℃である。更に好適であるのは、水蒸気揮発性の補助溶剤である。それというのも、この補助溶剤は完全に又は部分的に乾燥の際に蒸発する水と一緒に除去されるからである
後架橋乾燥器中の温度をそれほど上回らないか又は下回らない沸点を有する後架橋剤v)及び補助溶剤は、驚くべきことに、しばしば、不所望な化学臭を有する吸水性ポリマー粒子をもたらし、かつこのポリマーは強度に黄変し、そしてしばしば黒色の斑点及び他の不純物を含有する。
【0073】
しばしば後架橋剤水溶液中の補助溶剤の濃度は、この後架橋剤溶液に対して15〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。水と限定的に混和可能であるにすぎない補助溶剤の場合、有利には場合により補助溶剤の濃度を下げることにより1つの相のみが存在しているように後架橋剤水溶液を調整する。
【0074】
好ましい実施態様においては、補助溶剤は使用しない。この場合、少なくとも1種の後架橋剤v)を水中に溶液としてのみ、場合により解凝集助剤の添加下に適用する。
【0075】
後架橋剤水溶液中の少なくとも1種の後架橋剤v)の濃度は、この後架橋剤溶液に対して例えば1〜20質量%、好ましくは1.5〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0076】
後架橋剤溶液の全量はベースポリマーに対して通常、0.3〜15質量%、好ましくは2〜6質量%である。
【0077】
好ましい実施態様においては、ベースポリマーに、解凝集助剤として界面活性剤、例えばソルビタンモノエステル、例えばソルビタンモノココエート及びソルビタンモノラウレート、又はこれらのエトキシ化誘導体、例えばPolysorbat20(R)を添加する。その他の極めて好適な解凝集助剤は、2−プロピルヘプタノールのエトキシル化及びアルコキシル化誘導体であり、これらは商品名Lutensol XL(R)及びLutensol XP(R)で市販されている(BASF AG、DE)。この解凝集助剤は別個に計量供給するか、又は後架橋剤溶液に添加することができる。好ましくは、解凝集助剤を後架橋剤溶液に添加する。
【0078】
ベースポリマーに対する解凝集助剤の使用量は、例えば0〜0.1質量%、好ましくは0〜0.01質量%、特に好ましくは0〜0.002質量%である。好ましくは、膨潤したベースポリマー及び/又は膨潤した後架橋された吸水性ポリマーの水性抽出物の表面張力が23℃で少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、特に好ましくは少なくとも0.065N/m、有利には0.072N/mになるように解凝集助剤を計量供給する。
【0079】
本発明にかかる方法において使用される乾燥させたベースポリマーは、一般に乾燥後及び後架橋剤溶液の施与前に0〜13質量%、好ましくは2〜9質量%の残留含水率を有する。場合によりこの含水率は、例えば前接続された噴霧混合機中で水を施与することにより75質量%まで高めることができる。この吸水性ポリマーの含水率は、EDANA(欧州不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))により推奨された試験方法番号430.2−02「含水率(Moisture content)」により測定する。このように含水率を高めることによってベースポリマーが容易に前膨潤し、かつ表面上での架橋剤の分布並びに粒子の浸透が改善される。
【0080】
本発明による方法で使用することができる噴霧ノズルは限定されていない。好適なノズル及び噴霧系は、例えば以下の文献に記載されている:Zerstaeuben von Fluessigkeiten, Expert-Verlag, Bd. 660, Reihe Kontakt & Studium, Thomas Richter (2004)並びにZerstaeubungstechnik, Springer-Verlag, VDI-Reihe, Guenter Wozniak (2002)。単分散又は多分散噴霧系を使用可能である。多分散系の中では、1物質圧力ノズル(ジェット又は層を形成するノズル)、回転噴霧器、2物質噴霧器、超音波噴霧器及び衝撃ノズルが好適である。2物質ノズルの場合、内部だけでなく外部でも液相と気相との混合を実施することができる。このノズルの噴霧形成は重要ではなく、かつそれぞれ任意の形、例えば円形噴射−、平形噴射−、広角円形噴射−又は環形噴霧形成を採る。2物質噴霧器を使用する場合には、非酸化ガスを使用することが有利であり、特に好ましくは窒素、アルゴン又は二酸化炭素である。かかるノズルは噴霧すべき液体を加圧下で供給することができる。この場合、噴霧されるべき液体の分散は、前記液体が所定の最低速度に達した後にノズル穴中で放圧されることによって行うことができる。更に本発明による目的のために、1物質ノズル、例えばスリットノズル又は旋回ノズル(フルコーンノズル)を使用することもできる(例えばDuesen-Schlick GmbH, DE又はSpraying Systems Deutschland GmbH, DE)。かかるノズルは、EP−A534228及びEP−A1191051中にも記載されている。
【0081】
この噴霧に引続き、ポリマー粉末を加熱乾燥させ、その際、架橋反応は乾燥前、乾燥中にか又は乾燥後に生じうる。
【0082】
後架橋剤溶液の噴霧は、好ましくは可動混合器具を有するミキサ中で、例えばスクリューミキサ、パドルミキサ、ディスクミキサ、プローシェアミキサ及びブレードミキサ中で実施する。特に好ましくは、バーティカルミキサ、殊に好ましくはプローシェアミキサ及びブレードミキサである。好適なミキサは、例えばLoedige(R)ミキサ、Bepex(R)ミキサ、Nauta(R)ミキサ、Processall(R)ミキサ及びSchugi(R)ミキサである。
【0083】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、殊に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。好適な乾燥器は、例えばBepex(R)乾燥器及びNara(R)乾燥器である。更に、流動床乾燥器、例えばCarman(R)乾燥器を使用することもできる。
【0084】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱した不活性ガスの吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥器、例えば箱形乾燥器、回転管炉か又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。しかし、例えば共沸蒸留を乾燥方法として利用することもできる。
【0085】
特に好ましくは、後架橋剤溶液を高速ミキサ、例えばSchugi−Flexomix(R)又はTurbolizer(R)タイプ中でベースポリマー上に施与し、そして反応乾燥器、例えばNara−Paddle−Dryer(R)タイプ又はディスク型乾燥器中で加熱により後架橋する。使用されるベースポリマーは、先行する方法工程からなお10〜120℃の温度を有し、後架橋剤溶液は、0〜150℃の温度を有していてもよい。特に後架橋剤溶液は、粘度を低下させるために加熱してよい。この場合、好ましくは、後架橋及び乾燥のために、30〜220℃、特に120〜210℃、特に好ましくは145〜190℃の温度範囲が有利である。反応ミキサ又は乾燥器中のこの温度での好ましい滞留時間は100分未満、特に好ましくは70分未満、最も好ましくは40分未満である。流動床乾燥器を使用する場合、この滞留時間は、好ましくは30分未満、特に好ましくは20分未満、殊に好ましくは10分未満である。
【0086】
本発明にかかる方法においては、後架橋乾燥器に、好ましくは乾燥反応及び後架橋反応の間に不活性ガスを噴霧して蒸気を除去し、そして酸化ガス、例えば大気空気を排出する。乾燥を補助するために、乾燥器及び接続されている装置は良好に断熱し、そしてできる限り完全に加熱する。
【0087】
好適な不活性ガスは、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、水蒸気であり、窒素が好ましい。この不活性ガス量は、吸水性ポリマー粒子1kgに対して好ましくは、0.0001〜10m3であり、好ましくは0.001〜5m3、特に好ましくは0.005〜1m3であり、殊に好ましくは0.005〜0.1m3である。
【0088】
本発明における不活性ガスは、後架橋乾燥器中の後架橋温度及び所与の圧力でガス形で存在し、この条件下で乾燥する超吸収体の成分の酸化作用を示さない物質である。この場合、好ましくは、後架橋乾燥器内は主として大気圧であるが、選択的にわずかな減圧又は過圧であってもよい。
【0089】
本発明にかかる方法においては、可能な限り白色のポリマーを製造するために、この乾燥器中のガス室を、可能な限り酸化ガスを有さない状態で維持する。本発明によれば、ポリマー粉末を乾燥器中で接触表面を介してか、又は供給された温かい不活性ガス若しくは1種以上の不活性ガスと水蒸気との混合物若しくは水蒸気単独のみを用いて加熱することが可能である。接触表面を介する熱供給の場合、反応をわずかな又は完全な減圧で不活性ガス下で実施することが可能である。ポリマー粉末を直接加熱するために水蒸気を使用する場合、本発明によれば、乾燥器を常圧又は過圧で操作することが望ましい。この場合、後架橋工程を加熱工程と不活性ガス下であるが但し水蒸気を有さない反応工程とに分けることが重要であり得る。これは、1つ以上の装置中で実現することができる。本発明によれば、このポリマーは後架橋ミキサ内で既に水蒸気で加熱することができる。
【0090】
本発明にかかる方法においては、不活性ガスを、これが水蒸気を含有しない場合、ノズルを介して後架橋乾燥器中に吹き込むが、特に好ましくは不活性ガスを後架橋ミキサ中で又はそのすぐ上流でノズルを介してポリマー流に添加する。例えば、後架橋乾燥器又は後架橋ミキサの雰囲気中の酸素含有率は、酸素プローブにより制御することができる。
【0091】
無論、蒸気で排出された補助溶剤を反応乾燥器の外部で再び凝縮させ、そして場合により再循環させてよい。
【0092】
この反応乾燥の完了後、乾燥した吸水性ポリマー粒子を冷却する。好ましくは、このために熱及び乾燥ポリマーを連続操作で、後接続された冷却器中に導く。この冷却器は、例えばディスク冷却器、ナラ−パドル型冷却器(Nara−Paddle−Kuehler)又はスクリュー冷却器であってよい。この場合、好適な冷媒、例えば温水又は冷水により貫流させた冷却器の壁及び場合により撹拌エレメントを介して冷却するしかしながら、選択的に流動床冷却器を使用することもできる。適切には、この冷却器中で水か又は添加剤の水溶液を噴霧することができる;これにより、冷却(部分的な水の蒸発)の効率が高まり、かつ完成生成物中の残留含水率を0〜6質量%に、好ましくは0.01〜4質量%に、特に好ましくは0.1〜3質量%に調節することができる。残留含水率が高まることにより、生成物のダスト含有率が減少する。
【0093】
しかしながら、場合により冷却器中では冷却のみを行い、そして水及び添加剤の添加は後接続された別個のミキサ中で実施することもできる。冷却は、反応温度を下回ることにより反応を停止し、かつ温度は総じて、生成物が問題なくプラスチックバッグ又はサイロトラック中に包装することができる程度に低下させるだけでよい。
【0094】
あるいは場合により全ての公知の被覆、例えば皮膜形成ポリマー、デンドリマー、ポリカチオン性ポリマー(例えばポリビニルアミン、ポリエチレンイミン又はポリアリルアミン)、水不溶性多価金属塩、例えば硫酸カルシウム、水溶性多価金属塩、例えば硫酸アルミニウム、カルシウム塩又はマグネシウム塩、又はリン酸カルシウム、又は親水性の無機粒子、例えば粘土鉱物、熱分解法シリカ、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムを付加的に施与することもできる。これにより付加的な効果、例えば凝集傾向の低減、加工特性の改善か又は液体移送性(SFC)の更なる向上を達成することができる。添加剤を分散液の形で使用し、かつ噴霧する場合、好ましくは水性分散液として使用し、好ましくは更に付加的に添加剤を吸水性ポリマーの表面上に固定するために集塵剤を添加する。そしてこの集塵剤は、無機粉末状添加剤の分散液に直接添加するが、しかし場合により別個の溶液として、無機粉末状添加剤の被覆の前、被覆の間、又は被覆の後に噴霧により添加してよい。非常に好ましくは、表面後架橋において後架橋剤、集塵剤及び粉末状無機添加剤を同時に噴霧することである。更に好ましい変法においては、集塵剤を別個に冷却器中に、例えば噴霧により、上部、下部又は側部から添加する。粉末状無機添加剤を吸水性ポリマー粒子の表面上に固定するために利用できる特に好適な集塵剤は、400〜20000g/molの分子量を有するポリエチレングリコール、ポリグリセリン、3〜100箇所エトキシル化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール及びネオペンチルグリコールである。特に好適であるのは、7〜20箇所エトキシル化されたグリセリン又はトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP70(R)(Perstorp、SE)である。これらは特に、吸水性ヒドロゲルの水性抽出物の表面張力がわずかに減少するにすぎないという利点を有する。
【0095】
本発明の特に好ましい実施態様においては、リン酸カルシウム(例えばTCP130、Fa.Rhodia)、後架橋剤(好ましくは2−オキサゾリドン及び/又は1,3−プロパンジオール及び/又は1,2−プロパンジオール)、有機溶剤(好ましくはイソプロパノール)、集塵剤(好ましくは、少なくとも7箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールプロパン又はトリメチロールエタン)及び場合により所定の界面活性剤(好ましくはSpan(R)20)を水と撹拌して分散液を得て、次いで噴霧ミキサ(好ましくはSchugi−Mix)を用いてポリマー上に2物質ノズル又は1物質ノズルにより施与し、その際、この噴霧ミキサも後接続された後架橋乾燥器も、これらの装置中の酸素の容量割合が14容量%未満、好ましくは10容量%未満、非常に好ましくは高くとも8容量%未満になるように不活性ガス(好ましくは窒素)で洗浄する。
【0096】
本発明の更なる好ましい実施態様においては、成分の後架橋剤(好ましくは2−オキサゾリドン及び/又は1,3−プロパンジオール及び/又は1,2−プロパンジオール)、有機溶剤(好ましくはイソプロパノール)及び使用された全ての水の一部を、一方で溶液として製造し、成分のリン酸カルシウム(例えばTCP130、Fa.Rhodia)及び残余の水を、他方で処理して分散液を得て、そして残余の成分の集塵剤(好ましくは少なくとも7箇所エトキシル化されたグリセリン、トリメチロールプロパン又はトリメチロールエタン)及び場合により所定の界面活性剤(好ましくはSpan(R)20)を選択的に後架橋剤溶液中に又は分散液中に一緒に添加し、その際、このように製造された2種の溶液は、一緒に混合すると上述した実施態様と同じ組成を有することが望ましい。次いでこの両方の溶液を別個のノズルによりこの噴霧ミキサ中でベースポリマー上に同時に施与する。
【0097】
本発明にかかる方法によれば、高度の白色度を有する吸水性ポリマー粒子が得られる。
【0098】
従って本発明の対象は、本発明にかかる方法により得られる吸水性ポリマー粒子である。吸水性ポリマー粒子の白色度は、ハンター60値(Hunter 60 Wert)を介して決定し、その際、この値は好ましくは少なくとも60、好ましくは少なくとも70、特に好ましくは少なくとも80、殊に好ましくは少なくとも85である。
【0099】
更に、本発明にかかる吸水性ポリマー粒子は、特に使用の間に不快な臭いをもたらす化合物をほとんど有していない。
【0100】
本発明の更なる対象は、本発明にかかる吸水性ポリマー粒子を含有する衛生用品、好ましくは、50〜100質量%、有利には60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%、殊に好ましくは90〜100質量%の本発明にかかる吸水性ポリマー粒子からなる吸収層を含有し、その際、吸収層の被覆は無論考慮されない超薄型おむつである。
【0101】
殊に有利であるのは、本発明にかかる吸水性ポリマー粒子は、例えばUS−A20030181115並びにUS−A200400119342に記載されているような積層及び複合構造物の製造にも好適である。更にこの両方の文献中にかかる新規吸収性構造の製造のために記載された溶融接着剤及び特にUS−A20030181115に記載された、吸水性ポリマーが結合した溶融接着剤からの繊維に加えて、本発明にかかる吸水性ポリマー粒子は、例えばAC−Resin(R)(BASF AG、DE)として市販されているUV架橋性溶融接着剤の使用下で完全に同じ構造物の製造にも好適である。これらのUV架橋性溶融接着剤は、120〜140℃でも加工可能であり、ひいては多くの熱可塑性基材と良好な適合性を示すという利点を有する。更なる重要な利点は、UV架橋性溶融接着剤は、毒物学的に全く懸念がなく、かつ衛生用品中での放出も生じない。本発明にかかる吸水性ポリマー粒子との関連において特に重要な利点は、加工及び架橋の間に黄変する傾向を示さないというUV架橋性溶融接着剤の特性である。このことは特に、超薄型または部分的に透明な衛生用品を製造すべきである場合に有利である。従って本発明にかかる吸水性ポリマー粒子とUV架橋性溶融接着剤との組合せは特に有利である。好適なUV架橋性溶融接着剤は、例えばEP−A377199、EP−A445641、US5026806、EP−A655465及びEP−A377191に記載されている。
【0102】
後架橋の質を測定するために、乾燥させた吸水性ポリマーを以下に記載する試験法で試験する。
【0103】
方法:
この測定は、別に記載がない限り、23±2℃の環境温度及び50±10%の相対空気湿度で実施する。吸水性ポリマー粒子を測定前に十分に混合する。
【0104】
遠心分離機保持容量(CRC Centrifuge Retention Capacity)
この遠心分離機保持容量は、EDANA(欧州不織布協会(European Disposables and Nonwovens Association))により推奨される試験方法番号441.2−02「遠心分離保持能力(Centrifuge retention capacity)」により測定する。
【0105】
加圧下吸収量(AUL 荷重下吸収量(Absorbency Under Load))
加圧下吸収量(AUL)は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨される試験方法番号442.2−02「加圧下吸収量(Absorption under pressure)」により測定する。
【0106】
液体移送性(SFC 食塩水流れ誘導性(Saline Flow Conductivity))
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷下での膨潤されたゲル層の液体移送性は、EP−A640330中の記載と同様に、高吸収性のポリマーからなる膨潤したゲル層のゲル層浸透性(Gel-Layer-Permeability)として測定し、この場合上記の特許出願明細書第19頁及び図8に記載の装置は、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャー(39)が円筒体(37)と同様のプラスチック材料からなり、今や全載置面にわたって均一に分布するように21個の同じ大きさの孔を含むように十分に変更した。測定の方法及び評価は、EP−A640330に対して不変のままである。流量は自動的に把握される。
【0107】
液体移送性(SFC)は、次のように計算する:
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
この場合、Fg(t=0)は、g/秒でのNaCl溶液の流量であり、これは、流量測定のデータFg(t)の線形の回帰分析につきt=0に対する外挿法によって得られ、L0は、cmでのゲル層の厚さであり、dは、g/cm3でのNaCl溶液の密度であり、Aは、cm2でのゲル層の面積であり、WPは、dyn/cm2でのゲル層上の静水圧力である。
【0108】
抽出分 16h
吸水性ポリマー粒子の抽出可能な成分の含有率は、EDANA(欧州不織布協会)によって推奨された試験方法番号470.2−02「電位差滴定による抽出可能なポリマーの含有率の測定(Determination of extractable polymer content by potentiometric titration)」により測定することができる。
【0109】
ヒドロゲルの含水率
この吸水性ポリマーの含水率は、EDANA(欧州不織布協会)により推奨された試験方法番号430.2−02「含水率(Moisture content)」により測定する。
【0110】
CIE色数(L a b)
色測定を、CIELAB法(Hunterlab、第8巻、1996年、第7号、第1〜4頁)により実施した。この場合、色は三次元系の座標L*、a*及びb*により記載される。そして、L*は明度を表し、その際、かつL*=0は黒を意味し、L*=100は白を意味する。a*及びb*についての値は、色彩軸の赤/緑若しくは黄/青上での色の位置を示し、その際、+a*は赤色、−a*は緑色、+b*は黄色、かつ−b*は青色を表す。
【0111】
この色測定は、DIN5033−6による3領域法に相応する。
【0112】
ハンター60値は、表面の白色度の尺度であり、L*−3b*として定義される、すなわちこの値が低ければ低いほど、色が暗く、かつ黄色を帯びている。
【0113】
Hunterlab LS5100カロリメータを使用した。
【0114】
これらのEDANA試験法は、例えば、欧州不織布協会、アベニューユージーンプラスキー157、B1030、ブリュッセル、ベルギー(European Disposables and Nonwovens Association, Avenue Eugene Plasky 157, B-1030 Bruessel, Belgien)において得られる。
【0115】
実施例
例1
ビーカー中で1016.4gの水と705.1gの水酸化ナトリウム(50質量%)とを混合した。撹拌及び氷冷下で、634.6gのアクリル酸(200質量ppmのヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化)を滴加し、その際、温度を氷冷により35℃未満に維持した。この溶液に、5.08gの15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート中に溶解させた211.5gのアクリル酸(200質量%ppmのヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化)を添加した。この反応混合物を、Loedigeプローシェア型混練機 タイプVT 5R−MK(5リットル容量)中に供給し、そして20分にわたって窒素を導通させて不活性化させた。最後に、この混練機を運転させ、そして更に2.369gの過硫酸ナトリウム(13.42gの水中に溶解)、0.051gのアスコルビン酸(10.1gの水中に溶解)、そして0.141gの30質量%の過酸化水素(1.27gの水中に溶解)を、約20℃の温かい溶液に連続して迅速に添加した。この反応は急激に生じ、そして内部温度が30℃に達した際にジャケットを80℃の高温熱媒で加熱して、この反応を可能な限り断熱的に完了させた。この最大温度の達成後に、次いで冷却液体(−12℃)を用いて、生じたゲルを50℃未満に冷却し、次いで排出させた。
【0116】
このゲルを、ワイヤ底部を有する2つの薄板上に分布させ、そして140℃で250mbarで真空乾燥室中で乾燥させた。次いで、超遠心粉砕機を用いて粉砕し、そしてこの生成物を150〜850μmの粒度に篩別した。
【0117】
このように製造されたベースポリマーは以下の特性を有していた:
CRC=31.3g/g
AUL0.3psi=18.1g/g
抽出分 16h=6.8質量%
色数:
*=85.4
*=0.0
*=11.4
ハンター60=51.8
【0118】
例2
Loedigeプローシェア型混練機 タイプVT 5R−MK(5リットル容量)中に、134.9gの水、211.5gのアクリル酸(200質量ppmのヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化)、ヒドロキノンモノメチルエーテルの除去のために活性炭上で予め濾過された2221.1gの37.3質量%のナトリウムアクリレート溶液(100mol%中和)並びに5.08gの架橋剤の15箇所エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレートを装入し、そして窒素のバブリング下で20分にわたって不活性化させた。ヒドロキノンモノメチルエーテル含有量は、アクリル酸に対して50質量ppmである。この場合、反応混合物を後続の開始剤添加が約20℃で行われるように外部から冷却する。最後に、混練機中で撹拌しつつ、更に2.369gの過硫酸ナトリウム(13.42gの水中に溶解)、0.051gのアスコルビン酸(10.1gの水中に溶解)、そして0.141gの30質量%の過酸化水素(1.27gの水中に溶解)を連続して迅速に添加した。この反応は急激に生じ、そして内部温度が30℃に達した際にジャケットを80℃の高温熱媒で加熱して、この反応を可能な限り断熱的に完了させた。この最大温度の達成後に、次いで冷却液体(−12℃)を用いて、生じたゲルを50℃未満に冷却し、次いで排出させた。
【0119】
このゲルを、ワイヤ底部を有する2つの薄板上に分布させ、そして140℃で250mbarで真空乾燥室中で乾燥させた。次いで、超遠心粉砕機を用いて粉砕し、そしてこの生成物を150〜850μmの粒度に篩別した。
【0120】
このように製造されたベースポリマーは以下の特性を有していた:
CRC=29.1g/g
AUL0.3psi=25.7g/g
抽出分 16h=3.9質量%
色数:
*=87.0
*=−0.7
*=4.2
ハンター60=72.2
【0121】
例3〜12
製造例1若しくは2からのベースポリマー20gをWaring実験室ミキサ中に、0.02gの2−オキサゾリジノン若しくはジエタノールアミン、0.60gの水及び0.30gの1,2−プロパンジオールからなる後架橋剤溶液を、中程度の撹拌段階でシリンジを用いて噴霧した。この湿潤したポリマーをスパチュラで再び均一化し、次いで18.5cmの内径を有するペトリ皿中に分布させ、そして循環空気乾燥室(Heraeus UT12;Kendro Laboratory Products GmbH、DE)若しくは真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、GE)中で90分にわたって175℃で熱処理した。この後架橋されたポリマーを、850μmの篩を介して塊状物を除去し、そして特性決定した。これらの試験条件及び結果は、以下の第1表及び第2表中で得られる。
【0122】
第1表:試験条件
【表1】

【0123】
第2表:試験結果
【表2】

【0124】
周囲空気下の場合と比べて、真空中での乾燥の際に又は窒素下で、顕著に白色のポリマー粒子が得られることが認識される。この場合、わずかに安定化されたにすぎないアクリル酸から製造されたポリマーが特に有利な挙動を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー粒子を後架橋する方法において、乾燥及び後架橋反応の間の吸水性ポリマー粒子を覆う雰囲気中の1種以上の酸化ガスの全分圧が140mbar未満であることを特徴とする方法。
【請求項2】
酸化ガスが酸素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
後架橋を670mbar未満の全圧で実施することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
後架橋剤を少なくとも1種の補助溶剤と一緒に水溶液として使用し、その際、この補助溶剤の沸点は高くとも160℃であるか又は少なくとも200℃であることを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の後架橋剤を水溶液として、補助溶剤の不存在下で使用することを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種の後架橋剤が、アミドアセタール、開鎖状又は環状カルバミン酸エステル、環状炭酸エステル、ビスオキサゾリン及び/又は多価アルコールであり、その際、この多価アルコールは、ヒドロキシル基当たり100g/mol未満の分子量を有し、かつビシナル、ジェミナル、第2級又は第3級のヒドロキシル基を有さないことを特徴とする、請求項1から5までの何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
後架橋を150〜210℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から6までの何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
ベースポリマーの製造のために、0.013質量%のヒドロキノンの半エーテルを含有するアクリル酸を使用することを特徴とする、請求項1から7までの何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1項に記載の方法により得られる、吸水性ポリマー粒子。
【請求項10】
ハンター60値が少なくとも60である、請求項9に記載の吸水性ポリマー粒子。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の吸水性ポリマー粒子を含有する、衛生用品。

【公表番号】特表2008−521951(P2008−521951A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541860(P2007−541860)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012678
【国際公開番号】WO2006/058682
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】