説明

吸着能力のある粒状物の包装装置、包装方法及び包装品の製造方法

本発明は、開封時に粒状物が飛び出さない、吸着能力のある粒状物の包装装置を提供することを目的とする。 吸着能力のある粒状物の包装装置は、吸着能力のある粒状物を加温する加温装置12と、一端が開放されている収容袋90に、粒状物を充填する充填装置30と、粒状物が充填された収容袋90の開放端をシールするシール装置40と、粒状物を収容袋91の下方に集めたまま冷却する冷却装置70とを備え、加温装置12は、粒状物の流れ方向に対して、シール装置40の上流側に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着能力のある粒状物の包装装置、包装方法及び包装品の製造方法に関する。特に、開封時に粒状物が飛び出さない包装品の包装装置、包装方法及び包装品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
球状吸着炭に代表される吸着能力の高い粒状物では、粒状物の吸着可能な空気量が多く、温度によってその量が大きく変化するため、包装後に温度上昇すると粒状物から空気が放出され、包装品は、体積膨張を生じ、大きく変形する。このような変形は、箱詰め、保存、運搬等において不都合を招いていた。そこで、球状吸着炭を高温にして充填したり、大気圧未満の圧力でシールをするなどの対策が提案されてきた(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2607422号公報(第3−4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吸着能力のある粒状物を高温にして充填しても、開封時に吸着能力のある粒状物が飛び出してしまうことがあることがわかった。高温にして充填しても、すぐに梱包してしまったり、あるいは横に寝かせてしまうと、包装品が冷却されて、中の空気量が減少し、粒状物が下部に安定する前に、粒状物が包装品の中で動き、開封時に飛び出してしまうことが、本発明者らにより見出された。そこで、本発明は、上記の知見に基づき、開封時に粒状物が飛び出さない、吸着能力のある粒状物の包装品の包装装置、包装方法及び包装品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る吸着能力のある粒状物の包装装置は、例えば図1に示すように、吸着能力のある粒状物を加温する加温装置12と;一端が開放されている収容袋90に、粒状物を充填する充填装置30と;粒状物が充填された収容袋90の開放端をシールするシール装置40と;粒状物を収容袋91の下方に集めたまま冷却する冷却装置70とを備え;加温装置12は、粒状物の流れ方向に対して、シール装置40の上流側に設置される。
【0006】
このように構成すると、吸着能力のある粒状物を加温した状態で収容袋をシールし、シール後に粒状物を下方に集めたまま冷却するので、粒状物は包装品の下部に安定して収まる。したがって、包装品を開封したときに、粒状物が飛び出すことを防ぐことができる。なお、「吸着能力のある」とは、球状吸着炭や活性炭のように、空気を初めとする気体等を保持する性質を有することをいう。
【0007】
また、本発明に係る吸着能力のある粒状物の包装装置は、例えば図1に示すように、上述の、吸着能力のある粒状物の包装装置において、冷却装置70が、下方に集められた粒状物が存在しない部分で、収容袋91の内面が密着するように急冷するように構成されていてもよい。
【0008】
このように構成すると、粒状物の存在しない部分の内面が密着するので、下方に集められた粒状物が包装品の中で移動することが防止される。
【0009】
また、本発明に係る吸着能力のある粒状物の包装装置は、例えば図1に示すように、上述の、吸着能力のある粒状物の包装装置において、加温装置12が、粒状物を55℃以上80℃以下に加温するものとしてもよい。
【0010】
このように構成すると、日常で上昇する最高温度以上となった粒状物を収容する収容袋をシールするので、シール後に温度上昇しても粒状物から空気が放出されず、包装品が膨張することがなく、粒状物は包装品の下部に安定したままとなる。また、粒状物の加温温度があまり高くないので、充填性能に悪影響を与えることもない。
【0011】
また、本発明に係る吸着能力のある粒状物の包装装置は、例えば図1に示すように、上述いずれかの、吸着能力のある粒状物の包装装置において、冷却装置70が、収容袋91を重力方向または重力方向に対し斜めに保持して冷却するものとしてもよい。
【0012】
このように構成すると、収容袋が重力方向または重力方向に対し斜めに保持されて冷却されるので、粒状物は包装品の下部に安定したままで冷却される。
【0013】
前記目的を達成するため、本発明に係る吸着能力のある粒状物の包装方法は、例えば図1に示すように、吸着能力のある粒状物を加温する加温工程と;一端が開放されている収容袋90に、粒状物を充填する充填工程と;粒状物が充填された収容袋90の開放端をシールするシール工程と;粒状物を収容袋91の下方に集めたまま冷却する冷却工程とを備え;加温工程は、前記シール工程に先立って行われる。
【0014】
このように構成すると、吸着能力のある粒状物を加温した状態で収容袋をシールし、シール後に粒状物を下方に集めたまま冷却するので、粒状物は包装品の下部に安定して収まる。したがって、包装品を開封したときに、粒状物が飛び出すことを防ぐことができる。
【0015】
更に、本発明に係る包装品の製造方法は、例えば図1に示すように、上述いずれかの、吸着能力のある粒状物の包装装置に吸着能力のある粒状物を供給する工程と;加温装置12で粒状物を加温する工程と;充填装置30で粒状物を収容袋90に充填する工程と;シール装置40で粒状物が充填された収容袋90をシールするシール工程と;冷却装置70でシールされた収容袋91を冷却する工程と;冷却した収容袋91を、包装装置から包装品として取り出す工程とを備える。
【0016】
このように構成すると、吸着能力のある粒状物を、包装品の下方に安定させ、開封時に粒状物が飛び出さない、包装品の製造方法となる。
【0017】
この出願は、日本国で2003年8月5日に出願された特願2003−205996号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が本発明の精神と範囲内で、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、粒状物を加温して充填し、シール後に粒状物を下方に保ったまま冷却するので、粒状物が包装品の下部に安定して収まり、常温時に開封した場合に、吸着能力のある粒状物が飛び出してしまうことが防止された包装品を製造する包装装置、包装方法及び包装品の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
先ず図1の模式図を参照して、本発明の実施の形態である包装装置について説明する。図1は、上から、ホッパー10及び加温装置12、計量装置20、充填装置30、シール装置40、挟圧装置50、切断装置60並びに冷却装置70を備える球状吸着炭の包装装置を示している。
【0021】
ホッパー10は、開口した上部が広く、下に行くにつれて、すぼまった形状をした容器で、下端は開口し、充填ノズル16に連接している。ホッパーには、加温装置としてのヒーター12が設置されており、ホッパーの内容物である球状吸着炭を60〜80℃に加温している。加温装置は、ホッパー10とは別体として備えてもよいが、球状吸着炭の流れる方向に対し、シール装置40の上流側に備える。すなわち、図1では、上から下に球状吸着炭が流れるので、図1中の上側となる。その場合には、ホッパー10の前、あるいは、ホッパー10と計量装置20との間に備えるのがよい。計量装置20より下流側に備えると、計量された球状吸着炭単位で加温しなければならず、少量の球状吸着炭を短時間で加温する必要があるからである。あるいは、ホッパー10中に加温装置からの温風を通して球状吸着炭を加温してもよい。
【0022】
ホッパー10の下の充填ノズル16は、細い管であって、ホッパーに貯留された球状吸着炭を少しずつ送り出すように構成されている。充填ノズル16の下端はホルダー22の貫通穴22aに入り込んで、開放されている。
【0023】
ホルダー22は、その下で水平に往復動する計量桝21とその下のシャッター24と組み合わされ、更にホルダー22を下の計量桝21に押し付けるばね23と組み合わされて、計量装置20を構成している。ばね23は、ホルダー22と計量桝21を密着させることにより、間に球状吸着炭が入り込み、表面を傷つけるのを防ぐために設けられている。ばね23は、設けられなくてもよい。
【0024】
計量桝21は、計量する球状吸着炭の体積に見合う容積の空間21aを有する。空間21aはホルダー22の貫通穴22aと連通し、また、計量桝21が水平に動いてシャッター24の貫通穴24aと連通する。
【0025】
計量装置20のシャッター24の貫通穴24aの下側開口部は、充填装置としてのシュートパイプ31に連接している。シュートパイプ31は、シャッター24の貫通穴24aから落下してくる球状吸着炭を受けるために、上が広がったじょうご形をしており、下部は細くなった管になっている。シュートパイプ31は、その下端が開口している。
【0026】
シュートパイプ31の下には、球状吸着炭を包装する管状のチューブ90が上方に口を開けた状態で置かれている。チューブ90は、平たいテープ状のシートをシュートパイプ31の下で管状に形成したものである。チューブ90は、後述のように、横断方向にシールされ、そのシールされた箇所を底にして袋のようになっている。
【0027】
シュートパイプ31の開口部より下にシート90を横断方向にシールするためのシール装置40が設けられている。シール装置40は、トップシールバー41で挟むことにより、球状吸着炭の入ったチューブ90を所定の長さで横断方向に加熱圧着する。トップシールバー41は、チューブ90を加熱圧着させるためにその先端が平たくなった2つの金属製のブロックが、ヒーターにより加熱されつつ、チューブ90を両側より挟むように構成されている。トップシールバー41は、該シールした箇所が球状吸着炭を入れるための次の袋の底の位置になるように、チューブ90を挟んだままで下方に引張る。
【0028】
シール装置40のトップシールバー41の動きに連動して、シール装置の直下に配置されている挟圧装置50が作動する。挟圧装置50は、包装後の包装品が温度上昇により膨張するのを防止するため、エア抜きガイド51でチューブ90のシール装置40で閉じられる部分を挟み込んで、チューブ90内の空気を押し出すための装置である。エア抜きガイド51は、球状吸着炭を入れたチューブ90の袋が、その底部に球状吸着炭を納め、上部は何も入らないようチューブ90を平たく押しつぶすように、上部が出っ張り、下部が引っ込んだ形状をしている。なお、トップシールバー41とエア抜きガイド51とは、同じ方向でチューブ90を挟むように配置されている。
【0029】
挟圧装置50の下には、球状吸着炭の入ったチューブ90をシールされた箇所で切断し、球状吸着炭の入った分包品91を1個ずつ、あるいは複数個ずつの包装物92にする切断装置60が備えられている。ここで、分包品とは、計量装置で計量された粒状物を内包しシールされた袋1つをいい、包装物とは、分包品が1毎に又は複数毎にシール箇所で切断され、包装装置から取り出される状態のものをいう。切断装置60は、2枚の刃がチューブ90を挟んで切断するよう構成されている。また、球状吸着炭の入った分包品91が複数個ずつ繋がった包装物92においては、切断されないシール箇所に人手で切り離しやすいようにミシン目を入れることがあり、切断装置60は、切断するための刃とは異なるタイミングで動作する、刃先に等間隔で切欠きが付けられた刃を併せて有していることもある。
【0030】
切断装置60の下には、受け台61が配置される。受け台61は、斜めに設置された平板で、切断された包装物92を斜めに落下させることにより、落下時の衝撃を緩和する。受け台61には、落下速度を更に下げるためのショック防止ローラ62が設けられている。ショック防止ローラ62は受け台61上を包装物92が滑って落下する時に、包装物92がその円筒形のローラ2個の間を通過するように設置されている。包装物92はその2個のローラの間を通過する時にローラを回転させるため、その落下速度が落ちる。なお、ショック防止ローラ62のローラは1個でもよく、また、ショック防止ローラ62を設ける代わりに、落下速度を下げるための方法、例えば受け台61上に摩擦を大きくするための措置を講じてもよい。
【0031】
受け台61の先には、冷却装置70が設置されている。冷却装置70では、コンベア71上に包装物92を斜めに立てた状態で保持する保持具72が配設され、コンベアの移動と一緒に移動する。図1では、コンベア71は直線としているが、小判形、円形あるいは楕円形などの他の形としてもよい。保持具72は、コンベア71上に斜めに立設された板であってもいいし、棒であってもよい。保持具72は、包装物92の薄い面を移動方向に対し垂直に保持する。このように保持することにより、同じコンベア長さで、多くの包装物92を保持することができる。受け台61の位置と反対側端部で、コンベア71が反転する位置で、包装物92は自然落下する。自然落下した包装物92は、包装物92を梱包するための容器に入り、梱包され、出荷される。
【0032】
冷却装置70には、不図示の冷風機より冷却空気が吹き付けられている。ここで、冷却空気とは常温または常温より低い温度の空気をいい、常温とは、包装品が通常使用される温度をいう。多くの場合、常温は包装品を開封する家庭あるいは職場の室温である。
【0033】
続いて、図1を参照して、球状吸着炭の包装物92の製造方法について説明する。球状吸着炭は、開口した上部よりホッパー10に供給され、ホッパー10にて一時貯留される。ホッパー10にて貯留される球状吸着炭は、貯留されている間に、ヒーター12により55〜80℃に加温される。この温度は、55℃から80℃の範囲内であれば、包装及び包装後において、シール後に温度上昇しても粒状物から空気が放出されず、分包品91が膨張することがなく、球状吸着炭は分包品91の下部に安定したままとなり、かつ、球状吸着炭の加温温度があまり高くないので、充填性能に悪影響を与えないという効果が得られる。なお、好ましくは65〜75℃に加温し、チューブ90への充填時の温度を約60℃である。これは、通常の流通過程で60℃に晒されることはほとんどないので、約60℃に加温しておけば、分包品91が膨張し、箱詰めされたものが膨張して箱を壊すなどの不都合を生ずることがなく、かつ、加温温度が高過ぎて、充填時の充填性能に影響を与え、良好な充填ができなくなることもないからである。
【0034】
球状吸着炭は、ホッパー10中を徐々に下がり、下端から充填ノズル16に流れていく。充填ノズル16の内径は、球状吸着炭が充填ノズル16が通過して、ホッパー10から送り出される量が適切になるように、選定されている。充填ノズル16中に、送り出される量を調節するためのバルブを設けてもよい。
【0035】
球状吸着炭は、充填ノズル16から、ホルダー22を通って、計量桝21の空間21aに貯留される。空間21aが球状吸着炭で満たされると、計量桝21が水平移動し、空間21a中の球状吸着炭は、シャッター24の貫通穴24aを通過して、シュートパイプ31へ送られる。球状吸着炭は、計量装置20により、空間21aの容積に計量される。
【0036】
球状吸着炭がホッパー10に供給されるのと同時に、ロールに巻かれたシートは所定の速さで引き出され、シュートパイプ31の下端部の辺りで円筒状に成形され、その重なる部分が加熱圧着されることにより、チューブ90が形成される。チューブ90は、後述の通り、シール装置40にて所定の箇所で横断方向にシールされる。チューブ90は、該シールされた箇所を底にして一端が開放された袋状になって、シュートパイプ31の下端開口部方向に口を開いた形に置かれる。なお、球状吸着炭の収容袋は、上記のようにチューブ90とするのが連続的に供給することができて好適であるが、チューブとして繋がっておらず一つ一つの一端が開放されている袋であってもよい。被包装物である粒状物を収容袋の重力方向である下方に集めたとき、広幅の側面の内面同士の上方部分の少なくとも一部が冷却により密着可能な収容袋が用いられる。このようなものとして三方シールが例示される。
【0037】
計量装置20で計量された球状吸着炭は、シュートパイプ31より、該袋状になったチューブ90中に投下され、袋状の下の部分に堆積する。すると、挟圧装置50のエア抜きガイド51が、袋状の部分を両側から挟み込み、中の空気を押し出す。挟圧装置50で空気を抜かれるのとほぼ同時に、挟圧装置50にて空気を抜かれた部分の直上の箇所が、シール装置40により横断方向にシールされる。なお、チューブ90は、シール可能なプラスティックフィルムを内層に持つ多層フィルムを材料としており、加熱したトップシールバー41で挟むことにより、加熱圧着することができる。なお、トップシールバー41は、加熱圧着ではなく、例えば超音波圧着等の他の圧着手段によりチューブ90を圧着する構成でもよい。
【0038】
トップシールバー41は、チューブ90を挟んだまま、球状吸着炭1袋の長さの分だけ下方に移動する。この動きにより、球状吸着炭を封じ込めたシール箇所が、チューブ90の次の袋状の部分の底になる。
【0039】
球状吸着炭を入れ、横断方向にシールされた分包品91は、例えば1袋あるいは3袋をまとめて、切断装置60によりシール箇所で切断される。複数の袋がまとめて1つとして切断される場合には、各袋の間のシール箇所に、刃先に等間隔で切欠きが付けられた刃で挟まれることにより、手で切り離しやすくするためのミシン目が付けられてもよい。
【0040】
切断装置60により切断された包装物92は、受け台61の上を滑り落ち、ショック防止ローラ62にて落下速度を減速された上で、冷却装置70へと落下する。ここで、外部との熱交換により、熱容量の大きい固体である球状吸着炭は徐冷され、より高温を維持しているが、分包品91内の気体は熱容量が小さく、冷却される。そこで、気体の冷却により分包品91は収縮する。それとともに落下による衝撃前に、重量の大きい球状吸着炭の重みで動力学的に分包品91下部に球状吸着炭が集まり、その反動で分包品91上部の内面同士は狭められ、接する。すなわち、重力により球状吸着炭が下部に集まる作用と内部の空気が収縮する作用とにより内面は密着する。その結果、落下時の衝撃があっても、その時点ではフィルム内面同士がくっついているので、球状吸着炭は落下時の衝撃によっても分包品91上部に移動することなく、冷却される。
【0041】
切断後、落下させることなく、傾斜面を滑らせ、傾斜角を徐々に小さくしながら、より長い時間を掛けて傾斜面との摩擦で停止させる方法をとれば、衝撃を与えることなく、冷却される。また、水などの液体の冷媒を用いて、切断された分包品91が液体の浮力で浮くような場合も、衝撃もなく、冷却され、液中で分包品91は垂直状態を維持できる。かかる場合には、衝撃がないので跳ね上がる前に内面同士を密着させる必要はない。
【0042】
包装物92の冷却装置70への落下速度が遅いので、落下時の衝撃により包装物92の底部のシールが損傷を受けるのを防止できる。冷却装置70へ送り込まれた包装物92は、保持具72により斜めに立った状態で保持されたまま、コンベア71により冷却装置上を移動させられる。その間に冷風機からの冷却空気を吹き付けられる。冷却装置70で包装物92は、重力方向あるいは重力方向に対して斜めとされ、球状吸着炭が分包品91の内部で下部に安定したままとなる角度に保持される。例えば、重力方向に対して、0度以上70度以下、好ましくは0度以上50度以下、更に好ましくは0度以上40度以下とする。冷却空気はチラーで室温より低い温度に冷却された空気である。そのため、冷却速度を上げ、生産性を高めることができる。その結果、ホッパー10で55〜80℃に加温され、温度を保持している球状吸着炭は、ほぼ室温に冷却される。冷却されることにより、分包品91はしぼみ、球状吸着炭は、分包品91の下部に収まったまま動かなくなる。なお、冷却空気は、包装物92が冷却装置70上にある間中、吹き付けられている必要はなく、冷却空気が吹き付けられた後に、室温中に晒されていてもよい。例えば、60℃に加温された球状吸着炭を2g内包する装置においては、25℃以下、好ましくは15℃以下の冷却空気中を約5秒間以上移動することにより、分包品91は充分に冷却される。
【0043】
コンベア71で端部まで移送されると、コンベア71の下側に回り込む動きにより、包装物92は自然落下する。落下した位置には、梱包用の箱が用意されており、所定の数量の包装物92が箱に収納されると、箱ごと運び出される。
【0044】
以上述べたように、本発明の実施の形態である包装装置では、球状吸着炭が、通常の保管中に考えられる最高温度より高い55〜80℃に加温されて充填されるので、包装後に温度上昇しても、球状吸着炭が内包している空気が放出されることがない。よって、分包品91の袋の中に空気が充満することもなく、球状吸着炭が分包品91の下部に安定して動くことがない。したがって、開封時に球状吸着炭が飛び出してしまうことが防止される。
【0045】
また、球状吸着炭が、室温より数10度高いだけの55〜80℃に加温されて充填されるので、冷却空気により急速に室温程度に冷却される。したがって、包装後短時間で梱包することができる。
【0046】
更に、冷却装置70にて室温より低温の冷却空気を吹き付けて冷却されるので、分包品91は急速に冷却される。加温された球状吸着炭の温度が下がると、球状吸着炭が空気を内包する量が増え、分包品91の袋の中が真空となり、分包品91がしぼんで、球状吸着炭が袋の下部で安定して動かなくなる。したがって、開封時に球状吸着炭が飛び出してしまうことが防止される。特に、急速に冷却されるので、球状吸着炭が冷える前に分包品91の袋の中で動いてしまうことが防止される。
【0047】
ここで、本発明の実施の形態の包装装置もしくは包装方法で包装され、あるいは、包装品として製造される球状吸着炭について説明する。球状吸着炭は、多孔性球状炭素質物質であり、その直径は0.05〜1mmであり、嵩密度は0.51±0.04g/mlである。球状吸着炭は、真球形状をしており、流動性が高いので、分包品を開封する際に飛び散りやすい。また、内包する空気量が多く、温度によってその量が大きく変化し、例えば、0℃から30℃までの昇温で、1g当たり約1.46mlの空気を放出する。よって、予め60〜80℃に加温し、充分に空気を抜いた上で分包品としてシールした後に、冷却しているので、分包品の袋の中は、真空状態となり、球状吸着炭は分包品の袋の中で安定して動かない。
【0048】
なお、これまでは計量され、また包装される粒状物として、球状吸着炭を取り上げて説明したが、特に、真球の形状を有し、且つ、吸着能力のある粒状物には好適に用いることができる。本発明に係る包装装置、包装方法および包装品の製造方法は、他の吸着能力のある粒状物にも適用できる。上記の実施の形態において、包装品の中の粒状物が冷却で減圧した後、加温すれば従来と同じように包装品の上部に球状吸着炭が移動し、開封時に飛散することが想定されうるが、上述のようにすることによって、70℃程度に加温しないと球状吸着炭は動く状態にならないのである。また、挟圧装置の代わりに、収容袋内部の空気を除くいかなる装置を用いてもよい。例えば、減圧装置が挙げられる。減圧する場合は、粒状物が減圧の際に飛散しないよう、例えば、収容袋の開放端は例えばメッシュ状のもので被覆した上で減圧する方法が採用される。この場合、メッシュの大きさはメッシュが変形したとしても粒状物が通過できないように、粒状体の大きさより小さいものでなければならない。また、計量装置で計量した粒状物を内包する分包品で説明したが、分包品に限られるわけではなく、通常の包装品に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態である包装装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0050】
12 加温装置
20 計量装置
30 充填装置
40 シール装置
50 挟圧装置
60 切断装置
61 受け台
62 ショック防止ローラ
70 冷却装置
92 包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着能力のある粒状物を加温する加温装置と;
一端が開放されている収容袋に、前記粒状物を充填する充填装置と;
前記粒状物が充填された収容袋の開放端をシールするシール装置と;
前記粒状物を収容袋の下方に集めたまま冷却する冷却装置とを備え;
前記加温装置は、前記粒状物の流れ方向に対して、前記シール装置の上流側に設置される;
吸着能力のある粒状物の包装装置。
【請求項2】
前記冷却装置が、前記下方に集められた粒状物が存在しない部分で、前記収容袋の内面が密着するように急冷する;
請求項1に記載の、吸着能力のある粒状物の包装装置。
【請求項3】
前記加温装置が、前記粒状物を55℃以上80℃以下に加温する;
請求項1または請求項2に記載の、吸着能力のある粒状物の包装装置。
【請求項4】
前記冷却装置が、前記収容袋を重力方向または重力方向に対し斜めに保持して冷却する;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の、吸着能力のある粒状物の包装装置。
【請求項5】
吸着能力のある粒状物を加温する加温工程と;
一端が開放されている収容袋に、前記粒状物を充填する充填工程と;
前記粒状物が充填された収容袋の開放端をシールするシール工程と;
前記粒状物を収容袋の下方に集めたまま冷却する冷却工程とを備え;
前記加温工程は、前記シール工程に先立って行われる;
吸着能力のある粒状物の包装方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の、吸着能力のある粒状物の包装装置に吸着能力のある粒状物を供給する工程と;
前記加温装置で前記粒状物を加温する工程と;
前記充填装置で前記粒状物を収容袋に充填する工程と;
前記シール装置で前記粒状物が充填された収容袋をシールするシール工程と;
前記冷却装置で前記シールされた収容袋を冷却する工程と;
前記冷却した収容袋を、前記包装装置から包装品として取り出す工程とを備える;
包装品の製造方法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/012095
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512579(P2005−512579)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011270
【国際出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】