吸脱着式濃縮装置
【課題】物質回収効率を高く確保しながら高い濃縮倍率を得られる吸脱着式濃縮装置を提供する。
【解決手段】吸着ロータ1を備える吸脱着式の濃縮装置において、再生域3に通過させる再生用空気RAを加湿する再生用加湿手段10や、パージ域4に通過させるパージ用空気PAを加湿するパージ用加湿手段13を設ける。
【解決手段】吸着ロータ1を備える吸脱着式の濃縮装置において、再生域3に通過させる再生用空気RAを加湿する再生用加湿手段10や、パージ域4に通過させるパージ用空気PAを加湿するパージ用加湿手段13を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質(例えば、種々の目的で溶剤等として使用された揮発性有機化合物や種々の処理等で発生した悪臭物質など)を処理対象空気から濃縮状態で回収する吸脱着式濃縮装置に関する。
【0002】
詳しくは(図1参照)、吸着剤Xを保持させた通気性の吸着ロータ1を設けるとともに、この吸着ロータ1の回転域に処理域2と再生域3とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータ1の回転より吸着ロータ1の回転方向における各部を処理域2と再生域3とにその順で繰り返し通過させる構成にした吸脱着式濃縮装置に関する。
【0003】
この吸脱着式濃縮装置において、処理域2では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気IAを通風することで、その処理対象空気IAに含まれるガス状の除去対象物質Vを域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xに吸着させて処理対象空気IAから分離除去する。
【0004】
また、再生域3では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気RAを通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤Xが処理域2で吸着した除去対象物質Vを処理対象空気IAより小風量の再生用空気RAに脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを再生する。
【0005】
つまり、処理域2において吸着剤Xへの吸着により処理対象空気IAから分離除去した除去対象物質Vを再生域3で吸着剤Xから脱着させて処理対象空気IAより小風量の再生用空気RAに移行させることで、処理対象空気IAに含まれるガス状の除去対象物質Vを処理対象空気と再生用空気との風量比率分だけ濃縮状態にして回収する。
【背景技術】
【0006】
従来、この種の吸脱着式濃縮装置では、例えば特許文献1(図15参照)に見られるように、処理域2において吸着剤Xが吸着した除去対象物質Vを再生域3において吸着剤Xから脱着させる再生用空気RAとして熱風あるいは蒸気(水蒸気)を再生域3に通風するものが知られている。
【0007】
また、特許文献1,2に見られるように(図15及び図16参照)、吸着ロータ1の回転域において再生域3のロータ回転方向下手側でかつ処理域2のロータ回転方向上手側にパージ域4を区画形成し、吸着ロータ1の回転により吸着ロータ1の回転方向における各部を処理域2と再生域3とパージ域4とにその順で繰り返し通過させるものも知られている。
【0008】
このパージ域4では、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域3を通過したロータ部分)にパージ用空気PAを通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを次の処理域2への移動に先立ち冷却する。
【0009】
そしてまた、このようなパージ域4を設けるものにおいて、同特許文献1,2(図15及び図16参照)に見られるように、パージ域4を通過した使用済のパージ用空気PA′を再生用空気RAとして再生用加熱手段5により加熱した状態で再生域3に通風するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭53−50069号公報
【特許文献2】特開平7−75714号公報
【特許文献3】特開昭54−26971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この種の吸脱着式濃縮装置における除去対象物質Vの濃縮倍率C(即ち、処理域2において処理対象空気IAから分離除去した処理対象物質Vの高濃度化率)は次式で表される。
【0012】
C=Qi/Qo
Qi:処理域2に通風する処理対象空気IAの風量
Qo:再生域3を通過して装置外に取り出される使用済再生用空気RA′の風量
【0013】
即ち、この種の吸脱着式濃縮装置において濃縮倍率Cを高めるには、再生域3に通風する再生用空気RAの風量を小風量にする必要がある。
【0014】
しかし、再生用空気RAの風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めるようとすると、図17に示されるように、処理域2において吸着により処理対象空気IAから除去対象物質Vを分離除去する効率(即ち、装置の物質回収効率η)そのものが低下してしまう問題があった。
【0015】
つまり、再生用空気RAの風量が小風量になるほど、再生域3において吸着剤Xから除去対象物質Vを脱着させるのが難しくなって、吸着状態にある除去対象物質Vのうちの相当量が脱着されないままで吸着剤Xに残る脱着不足の状態(換言すれば、再生不足の状態)が生じ、これが原因で、装置の物質回収効率η(換言すれば、処理対象空気IAの浄化効率)が低下する。
【0016】
また、このような物質回収効率ηの低下を回避するには、再生域3の温度tr(≒再生用空気RAの温度)を高めて上記の如き脱着不足の状態が生じるのを回避することが必要になるが、再生域3の温度trを高めるには、耐熱性や耐圧性の高い装置構成材が必要になるとともに断熱にも重厚なものが必要になり、装置コストが高くなる問題が生じる。
【0017】
さらにまた、耐熱性や耐圧性の高い装置構成材を使用するにしても、再生域3の温度trを高めることには耐熱性や耐圧性の面で限界があり、この為、物質回収効率ηの低下を回避し切れない場合もある。
【0018】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な装置構成を採ることで、装置の物質回収効率ηを高く確保しながら高い濃縮倍率Cを得られるようにするとともに、装置コスト面や運転コスト面でも有利な吸脱着式濃縮装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
吸脱着式濃縮装置に係る本発明の第1特徴構成は、
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生する吸脱着式濃縮装置であって、
前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある点にある。
【0020】
つまり、特許文献3に示されるように、再生域に通風する再生用空気として水蒸気を用いれば、その水蒸気成分(即ち、水分)を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着を再生域において生じさせることができ、これにより、吸着状態にある除去対象物質を水分により吸着剤から追い出す形態で、吸着状態にある除去対象物質を再生域において吸着剤から再生用空気へ効率良く脱着させることができる。
【0021】
即ち、この置換吸着を利用することで、再生用空気の風量を小風量にしながらも再生域において前述の如き脱着不足の状態が生じるのを効果的に回避することができる。
【0022】
しかし、再生用空気として水蒸気を用いるのでは、低温低圧の水蒸気(例えば、100℃の飽和水蒸気)であるとしても、相応の耐熱性及び耐圧性を備える装置構成材が必要になるとともに、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために、やはり重厚な断熱も必要になり、この点で先述した従来装置の問題を解消するには至らない。
【0023】
これに対し、本発明の発明者は実験等の結果、再生用空気として水蒸気を用いずとも、図14に示すように再生用空気RAを加湿状態(単に湿度を高めただけの未飽和の湿り空気状態)にするだけでも、再生域において上記の如き置換吸着を生じさせることができ、これにより、低温の再生用空気(当然ながら処理域温度やパージ域温度よりは高温)を用いながら、吸着状態にある除去対象物質を再生域において効率良く吸着剤から脱着させることができて脱着不足を回避できることを見出した。
【0024】
ここで、図14に示す例は、低温再生用空気(25℃)の水分濃度を0ppmにした場合(グラフ1:無加湿に相当)と、同温度(25℃)の低温再生用空気の水分濃度を8013ppm、15977ppm、23894ppm、31763ppmの夫々にした場合(グラフ2〜5:相対湿度25%、50%、75%、100%への加湿に相当)とを比較するものである。
【0025】
この例から分かるように、低温(25℃)の再生用空気をある程度以上の水分濃度を有する未飽和の加湿状態にするだけ(グラフ3〜5)でも、再生域出口の使用済再生用空気における除去対象物の濃度(即ち、再生域において吸着剤から脱着した除去対象物の濃度)を高く確保できており、言い換えれば、加湿により再生用空気に与えた水分を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着が生じ、これにより吸着状態にある除去対象物質(この例ではイソプロピルアルコール:IPA)が効率良く吸着剤から脱着されている。
【0026】
従って、上記構成において再生用加湿手段による加湿により再生用空気をある程度以上の水分濃度を有する未飽和の加湿状態にすることで、低温の再生用空気を用いながら、また、再生用空気の風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めながらも、再生域において脱着不足の状態が生じることを効果的に回避することができ、これにより、処理域において吸着剤(即ち、十分に再生された吸着剤)を処理対象空気中の除去対象物質に対し効率良く吸着機能させることができて、装置の物質回収効率ηも高く確保することができる。
【0027】
そしてまた、上記の如く低温の再生用空気を未飽和の加湿状態にするだけで済むことから、特許文献1,3に見られるように再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、装置構成材に要求される耐熱性や耐圧性を効果的に低減することができ、また、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために重厚な断熱が必要になることも回避することができ、これらのことで装置コストも効果的に低減することができる。
【0028】
しかも、再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、再生用空気の生成に要する熱量及び水量も低減することができ、これにより、運転コストを安価にするとともに省エネルギ面でも有利な装置にすることができる。
【0029】
なお、再生域での置換吸着により水分吸着状態になった吸着剤(即ち、除去対象物質が効果的に脱着されて十分に再生された吸着剤)を処理対象空気が通風される処理域に移動させると、再生域温度より低温の処理域温度での平衡吸着量の差などから処理対象空気中の除去対象物質が吸着水分と置換する状態で吸着剤に吸着される逆の置換吸着が生じ、これにより、上記の如く物質回収効率ηが高く確保される。
【0030】
上記構成の実施においては、吸着ロータの回転域に処理域と再生域とを設けるのに加え、再生域のロータ回転方向下手側でかつ処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を処理域と再生域とパージ域とにその順で繰り返し通過させるようにしてもよい。
【0031】
即ち、このパージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域を通過したロータ部分)を冷却してそのロータ部分の保持吸着剤を次の処理域への移行に先立ち冷却する。(なお、パージ域温度は再生域温度より低温で、処理域温度よりも高温ないし処理域温度と同等の温度である。)
【0032】
上記構成の実施において、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとは同じ向きないし逆向きのいずれにしてもよいが、物質回収効率ηをより高く確保するには、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとを互いに逆向きにするのが望ましい。
【0033】
即ち、再生域での前述の如き置換吸着による除去対象物質の脱着は再生域入口側(再生用空気の流入側)の方が出口側に比べ効果的に進行し、この為、処理域での除去対象物質に対する吸着効果も再生域入口側に相当する側の方が反対側に比べ高くなる。
【0034】
従って、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとを互いに逆向きにして、処理域を通過する処理対象空気における除去対象物質の濃度が次第に低くなる処理域出口側ほど高い吸着効果をもって除去対象物質を吸着する形態にする方が物質回収効率ηを高めることができる。
【0035】
上記構成の実施においては、再生域入口での再生用空気の湿度又は再生域出口での使用済の再生用空気の湿度を設定湿度に保つように再生用加湿手段での加湿量を調整する再生用の加湿量調整手段を設けたり、処理対象空気における除去対象物質の濃度や処理域での除去対象物質の吸着量などに応じて再生用加湿手段の調整目標である再生用空気の設定湿度を変更する再生用の設定湿度変更手段を設けるなどし、これにより、前述の如き効果を確実かつ安定的に得られるようにするのが望ましい。
【0036】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施において、
前記吸着ロータの回転域において前記再生域のロータ回転方向下手側でかつ前記処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、前記吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却し、
このパージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として、再生用加熱手段により加熱するとともに、その加熱に続き前記再生用加湿手段により加湿した状態で前記再生域に通風する構成にしてある点にある。
【0037】
つまり、パージ域を通過した使用済のパージ用空気を熱回収目的などで再生用空気に利用することは前述の特許文献1、2にも見られるが、第1特徴構成の実施において上記の如く使用済のパージ用空気を再生用空気として利用すれば、熱回収の他にも次の如き作用効果を得ることができる。
【0038】
即ち、再生域に通風する再生用空気を再生用加湿手段により加湿する構成では、再生域に通風された加湿状態の再生用空気のうちの一部が再生域から次のパージ域に移動するロータ部分に残存した状態でそのロータ部分とともにパージ域に移行する為、パージ域ではパージ用空気の通風により域内通過過程にあるロータ部分を冷却してそのロータ部分の保持吸着剤を冷却するのに伴い、そのロータ部分に残存する加湿状態の再生用空気もパージ用空気とともに持ち去られる。
【0039】
従って、パージ域を通過した使用済のパージ用空気はロータ部分の冷却で得た熱量とともに残存再生用空気の加湿水分を保有するものとなり、この使用済のパージ用空気を上記の如く再生用空気として利用することで、再生用加熱手段での必要加熱量(即ち、前述の如く低温の再生用空気でよいことから小さなもので済む必要加熱量)をパージ用空気がロータ部分の冷却で得た熱量分だけさらに低減することができる。
【0040】
また、再生用加湿手段での必要加湿量(即ち、前述の如く再生用空気を未飽和の加湿状態にするだけでよいことから小さなもので済む必要加湿量)もパージ用空気が得た残存再生用空気の加湿水分量だけさらに低減することができ、これらのことで、装置の運転コストを一層安価にするとともに省エネルギ面でも一層有利にすることができる。
【0041】
吸脱着式濃縮装置に係る本発明の第3特徴構成は、
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生し、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却する吸脱着式濃縮装置であって、
前記パージ域に通風するパージ用空気を加湿するパージ用加湿手段を設けてある点にある。
【0042】
つまり、この構成によれば、再生用空気を高温化せずに再生用空気の風量を小風量にすることで、再生域において前述の如き脱着不足の状態が生じるとしても、再生域の次のパージ域においてパージ用加湿手段により加湿状態(単に湿度を高めただけの未飽和の湿り空気状態)にしたパージ用空気を通風することで、そのパージ用空気の加湿水分を吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着をパージ域で生じさせることができる。
【0043】
そして、このパージ域での置換吸着により再生域で生じた脱着不足の状態をパージ域で解消して、吸着剤を次の処理域への移動に先立ち十分な水分吸着状態(即ち、除去対象物質が効果的に脱着されて十分に再生された状態)にすることができる。
【0044】
即ち、このことより、前述の第1特徴構成と同様、低温の再生用空気を用いながら、また、再生用空気の風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めながらも、処理域において吸着剤(即ち、十分に再生された吸着剤)を処理対象空気中の除去対象物質に対し効率良く吸着機能させることができて、装置の物質回収効率ηも高く確保することができる。
【0045】
そしてまた、上記の如く低温の再生用空気を用いながらパージ用空気を未飽和の加湿状態にするだけで済むことから、特許文献1,3に見られるように再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、装置構成材に要求される耐熱性や耐圧性を効果的に低減することができ、また、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために重厚な断熱が必要になることも回避することができ、これらのことで装置コストも効果的に低減することができる。
【0046】
しかも、再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、再生用空気及びパージ用空気の生成に要する熱量及び水量も低減することができ、これにより、運転コストを安価にするとともに省エネルギ面でも有利な装置にすることができる。
【0047】
なお、上記構成の実施において再生用空気には種々のものを使用することができるが、上記の如く再生域において脱着不足の状態が生じても、その脱着不足の状態をパージ域において解消できることから再生用空気の組成面や温度面などでの選択肢を増やすことができ、そのことで装置の汎用性も高めることができる。
【0048】
上記構成の実施において、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとは同じ向きないし逆向きのいずれにしてもよいが、物質回収効率ηをより高く確保するには、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとを互いに逆向きにするのが望ましい。
【0049】
即ち、パージ域での前述の如き置換吸着による残存除去対象物質の脱着はパージ域入口側(パージ用空気の流入側)の方が出口側に比べ効果的に進行し、この為、処理域での除去対象物質に対する吸着効果もパージ域入口側に相当する側の方が反対側に比べ高くなる。
【0050】
従って、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとを互いに逆向きにして、処理域を通過する処理対象空気における除去対象物質の濃度が次第に低くなる処理域出口側ほど高い吸着効果をもって除去対象物質を吸着する形態にする方が物質回収効率ηを高めることができる。
【0051】
上記構成の実施においては、パージ域入口でのパージ用空気の湿度又はパージ域出口での使用済のパージ用空気の湿度を設定湿度に保つようにパージ用加湿手段での加湿量を調整するパージ用の加湿量調整手段を設けたり、処理対象空気における除去対象物質の濃度や処理域での除去対象物質の吸着量などに応じてパージ用加湿手段の調整目標であるパージ用空気の設定湿度を変更するパージ用の設定湿度変更手段を設けるなどし、これにより、前述の如き効果を確実かつ安定的に得るようにするのが望ましい。
【0052】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成の実施において、
前記パージ域に通風するパージ用空気を前記パージ用加湿手段による加湿の前に加熱するパージ用加熱手段を設けてある点にある。
【0053】
つまり、この構成によれば、パージ用空気をパージ用加湿手段による加湿の前にパージ用加熱手段により加熱することで、その加熱を行なわない場合に比べ、パージ用加湿手段による加湿でのパージ用空気の許容加湿量(即ち、パージ用空気に保有させ得る加湿水分量)を増大させることができる。
【0054】
そして、このことでパージ域での前述の如き置換吸着による脱着不足状態の解消(即ち、吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質の脱着)を一層効果的かつ確実なものにすることができ、これにより、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保することを一層効果的かつ確実に達成することができる。
【0055】
本発明の第5特徴構成は、第3又は第4特徴構成の実施において、
前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として再生用加熱手段により加熱した状態で前記再生域に通風する構成にしてある点にある。
【0056】
つまり、パージ域を通過した使用済のパージ用空気を熱回収目的などで再生用空気に利用することは前述の如く特許文献1、2にも見られるが、第3又は第4特徴構成の実施において上記の如く使用済のパージ用空気を再生用空気として利用すれば、熱回収の他にも次の如き作用効果を得ることができる。
【0057】
即ち、バイパスファクタなどが原因でパージ用加湿手段によりパージ用空気に付与した加湿水分の一部が置換吸着されずにパージ域を通過した使用済のパージ用空気に残存する状態になったとしても、この使用済のパージ用空気を上記の如く再生用空気として利用することで、再生域において使用済パージ用空気の残存加湿水分を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着を生じさせることができる。
【0058】
そして、このことでパージ用空気に付与した加湿水分を一層効果的かつ確実に吸着剤からの除去対象物質の脱着に寄与させることができ、これにより、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保することをさらに効果的かつ確実に達成することができる。
【0059】
なお、パージ域を通過した使用済のパージ用空気にはパージ域での置換吸着より吸着剤から脱着された除去対象物質が含まれるが、上記構成によれば、この使用済のパージ用空気に含まれる除去対象物質も再生域で吸着剤から脱着される除去対象物質とともに使用済再生用空気に含ませた状態で再生域から回収することができる。
【0060】
本発明の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれかの実施において、
前記パージ用加湿手段とは別に、前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある点にある。
【0061】
つまり、この構成によれば、再生用加湿手段により再生用空気に付与した加湿水分を再生域で吸着剤に置換吸着させて吸着状態にある除去対象物質を再生域において効率良く再生用空気に脱着させる前述第1特徴構成と、パージ用加湿手段によりパージ用空気に付与した加湿水分をパージ域で吸着剤に置換吸着させて吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質をパージ域において効率良くパージ用空気に脱着させる前述第3特徴構成とを併用する運転形態を採ることができる。
【0062】
そして、この併用により、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保するという所期の目的を一層効果的かつ確実に達成することができ、この点で、処理対象空気における除去対象物質の濃度変化が大きいなど装置負荷の変動が大きい場合において特に好適な装置にすることができる。
【0063】
本発明の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれかの実施において、
前記再生用加湿手段又は前記パージ用加湿手段として気化式又は水噴霧式又は超音波式の加湿器を設けてある点にある。
【0064】
つまり、第1〜第6特徴構成のいずれかの実施において再生用加湿手段又はパージ用加湿手段には水を加熱して蒸気を発生させる水加熱式などの各種方式の加湿装置を用いることができるが、上記の如く再生用加湿手段又はパージ用加湿手段として、含浸材に含浸させた水を加湿対象空気中で蒸発させる気化式や、噴霧水を加湿対象空気中で蒸発させる水噴霧式、あるいは、水に超音波振動を付与して加湿対象空気中に水粒子を飛散させる超音波式の加湿器を使用すれば、熱源を要する水加熱式の加湿装置を用いるのに比べ、装置構成を簡略化して装置の製作を容易にするとともに、装置のメンテナンスも容易にすることができる。
【0065】
そして、このことにより、前述の如く低温の再生用空気で済むこととも相俟って、取り扱い性の面で一層優れた装置にすることができる。
【0066】
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施において、
前記再生域に通風する再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とする点にある。
【0067】
つまり、この構成では、前述の如く低温の再生用空気で済むことを活かして再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とするが、このように再生用空気の温度を100℃未満にすることで、取り扱いが極めて容易な装置することができ、特に、再生用加湿手段を設ける場合では、再生用空気の温度を水の沸点である100℃より低い温度にすることで、再生用空気の湿度管理なども容易にすることができる。
【0068】
本発明の第9特徴構成は、第2又は第5特徴構成の実施において、
前記再生用空気の全量について、前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を再生用空気として使用する構成にしてある点にある。
【0069】
つまり、この構成は、前述の如く再生用空気の風量を小風量にして高い濃縮倍率Cを得ながらも装置の物質回収効率ηを高く確保できることを活かしたものであるが、この構成によれば、例えば、パージ域を通過したパージ用空気と外気との混合空気を再生用空気として再生域に通過させる構成や、再生用空気の全量を外気としてパージ域を通過した使用済パージ用空気の全量を装置の別部分で処理する構成などに比べ、装置構成(特に風路構成)を簡略にすることができ、これにより、装置コストを一層低減し得るとともに取り扱い性の面で一層優れた装置にすることができる。
【0070】
なお、この構成の実施においては、再生用空気の風量と使用済パージ用空気の風量とを等しくする構成(換言すれば、使用済パージ用空気の全量を再生用空気の全量として再生域に通過させる構成)を採るのが最も望ましい。
【0071】
なお、本発明の実施においてパージ域に通風するパージ用空気には、外気、処理域で除去対象物質を分離除去した処理済浄化空気の一部あるいは処理対象空気の一部など種々のものを使用することができるが、装置の物質回収効率ηを極力高く確保するには、外気をパージ用空気とするのが最も有利であり、続いては処理域で除去対象物質を分離除去した処理済浄化空気の一部をパージ用空気とするのが次に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1実施形態を示す装置構成図
【図2】第2実施形態を示す装置構成図
【図3】第3実施形態を示す装置構成図
【図4】第4実施形態を示す装置構成図
【図5】第5実施形態を示す装置構成図
【図6】第6実施形態を示す装置構成図
【図7】第7実施形態を示す装置構成図
【図8】第8実施形態を示す装置構成図
【図9】第9実施形態を示す装置構成図
【図10】第10実施形態を示す装置構成図
【図11】第11実施形態を示す装置構成図
【図12】第12実施形態を示す装置構成図
【図13】第13実施形態を示す装置構成図
【図14】再生域出口における除去対象物質の濃度と再生用空気における水分濃度との相関を示すグラフ
【図15】従来装置の装置構成図
【図16】他の従来装置における装置構成図
【図17】従来装置における濃縮倍率と物質回収効率との相関を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1〜図13は夫々、本発明による吸脱着式濃縮装置の実施形態を示すが、各図において、1は活性炭やゼオライトなどの吸着剤Xを保持させたハニカム構造などの通気性の吸着ロータであり、各図では理解を容易にするためロータ周方向(ロータ回転方向)に展開した状態で示してある。
【0074】
また、この吸着ロータ1の回転域には、処理域2と再生域3とパージ域4とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成してあり、吸着ロータ1の回転により吸着ロータ1のロータ回転方向における各部(以下、ロータ部分と称す)を処理域2と再生域3とパージ域4とにその順で繰り返し通過させる。
【0075】
そして基本的に、処理域2では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気IAを通風することで、その処理対象空気IAに含まれる揮発性有機化合物などのガス状の除去対象物質Vを域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材Xに吸着させて処理対象空気IAから分離除去し、これにより、処理対象空気IAを浄化する。
【0076】
また、再生域3では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用ヒータ5(再生用加熱手段の一例)により加熱した再生用空気RAを通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤Xが先の処理域2で吸着した除去対象物質Vを再生用空気RAに脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを再生する。
【0077】
ここで、再生用空気RAの通風量Qoは、処理対象空気IAの通風量Qiより小風量(Qo<Qi)であり、これにより、この装置では処理対象空気IAに含まれる除去対象物質Vが高濃度化された濃縮状態で回収され、その濃縮倍率CはC=Qi/Qoで表される。
【0078】
一方、パージ域4では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気PAを通風することで、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域3を通過して昇温したロータ部分)を冷却して、そのロータ部分の保持吸着剤Xを次の処理域2への移動に先立ち冷却する。
【0079】
また、この吸着剤Xの冷却と併せて、ロータ部分に残存した状態でロータ部分とともに再生域3からパージ域4に持ち込まれた残存再生用空気RAをパージ用空気PAにより掃気する。
【0080】
(第1実施形態)
図1に示す装置では、処理対象空気路6を通じて処理域2に導く処理対象空気IAの一部をパージ用空気路7に分流し、この分流した処理対象空気IAをパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0081】
また、パージ域4を通過した使用済のパージ用空気PA′を導く使用済パージ用空気路8を再生用空気路9に接続し、使用済のパージ用空気PA′を再生用空気RAとして再生用ヒータ5により加熱した上で再生用空気路9を通じ再生域3に通過させるようにしてある。
【0082】
再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとは互いに逆向きにしてあり、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと同じ向きにしてある。
【0083】
再生用空気路9において再生用ヒータ5の下流側には再生用加湿器10(再生用加湿手段の一例)を装備してあり、再生用空気RA(使用済のパージ用空気PA′)は再生用ヒータ5により設定温度trに加熱するとともに、その加熱に続き再生用加湿器10により設定湿度hr(換言すれば、設定水分濃度)まで加湿した状態で再生域3に通過させるようにしてある。
【0084】
ここで加湿状態とは、単に湿度を上昇させただけの未飽和の湿り空気状態を言う(以下も同様)。
【0085】
つまり、この図1の装置では、再生域3において再生用空気RAの加湿水分(再生用加湿器10よる加湿で付与した水分)を先の処理域2で吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させ、この置換吸着により再生域3において除去対象物質Vを吸着剤Xから再生用空気RA中へ効率良く脱着させる。
【0086】
即ち、このように加湿による置換吸着をもって除去対象物質Vを再生域3において効率良く脱着させることで、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率η(処理域2において処理対象空気IAから除去対象物質Vを分離回収する効率)も高く確保するようにしてある。
【0087】
図中、11は処理域2を通過した処理対象空気IA′、即ち、除去対象物質Vが除去された処理済の浄化空気を導く処理済浄化空気路である。
【0088】
12は再生域3を通過した使用済の再生用空気RA′を導く使用済再生用空気路であり、使用済の再生用空気RA′に濃縮状態で含まれる除去対象物質V(即ち、脱着された除去対象物質)は凝縮装置で冷却液化するなどして回収する、ないしは、燃焼装置で燃焼処理する(以下も同様)。
【0089】
(第2実施形態)
図2に示す装置では、再生用加湿器10を再生用空気路9に装備するのに代えて、パージ域4に通過させるパージ用空気PAを設定湿度hp(換言すれば、設定水分濃度)まで加湿するパージ用加湿器13(パージ用加湿手段の一例)をパージ用空気路7に装備してある。
【0090】
その他については図1の装置を同じである。
【0091】
つまり、この図2の装置では、パージ域4においてパージ用空気PAの加湿水分(パージ用加湿器13による加湿で付与した水分)を先の再生域3で脱着されずに吸着剤Xに吸着されたままで残っている残存除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させ、この置換吸着によりパージ域4において再生域3からの残存除去対象物質Vを吸着剤Xからパージ用空気PA中へ効率良く脱着させる。
【0092】
即ち、このように加湿による置換吸着をもって再生域3からの残存除去対象物質Vをパージ域4において効率良く脱着させることで、図1の装置と同様、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率ηも高く確保する。
【0093】
なお、この図2の装置を実施するにあたっては、図2において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14(パージ用加熱手段の一例)をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0094】
(第3実施形態)
図3に示す装置では、図1の装置と同様、再生用空気RAを設定温度hrまで加湿する再生用加湿器10を再生用ヒータ5よりも下流側に配置して再生用空気路9に装備してある。
【0095】
また、図2の装置と同様、パージ用空気PAを設定湿度hpまで加湿するパージ用加湿器13をパージ用空気路7に装備してある。
【0096】
その他は図1の装置及び図2の装置と同じである。
【0097】
つまり、この図3の装置では、再生域3において再生用空気RAの加湿水分を先の処理域2で吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させる。
【0098】
また、パージ域4においてパージ用空気PAの加湿水分を先の再生域3で脱着されずに吸着剤Xに吸着されたままで残る残存除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)さる。
【0099】
即ち、これら再生域3での置換吸着及びパージ域4での置換吸着をもって先の処理域2において吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vをその吸着剤Xが再び処理域2に戻る前に吸着剤Xから再生用空気RA中やパージ用空気PA中へ効率良く脱着させ、これにより、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率ηも高く確保する。
【0100】
なお、この図3の装置を実施するにあたっては、図2の装置と同様、図3において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0101】
(第4〜第6実施形態)
図4〜図6に示す装置では、処理済浄化空気路11から処理済浄化空気IA′の一部をパージ用空気路7に分流し、この分流した処理済浄化空気IA′をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0102】
また、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと逆向きにしてある。
【0103】
その他については、図4の装置は図1の装置と同じであり、図5の装置は図2の装置と同じであり、図6の装置は図3の装置と同じである。
【0104】
なお、図5や図6の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図5及び図6において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0105】
(第7〜第9実施形態)
図7〜図9に示す装置では、外気をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0106】
その他については、図7の装置は図1の装置と同じであり、図8の装置は図2の装置と同じであり、図9の装置は図3の装置と同じである。
【0107】
なお、図8や図9の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図8及び図9において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0108】
(第10〜第12実施形態)
図10〜図12に示す装置では、図7〜図9の装置と同様、外気をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させるが、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと逆向きにしてある。
【0109】
その他については、図10の装置は図1の装置と同じであり、図11の装置は図2の装置と同じであり、図12の装置は図3の装置と同じである。
【0110】
なお、図11や図12の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図11及び図12において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0111】
(第13実施形態)
図13に示す装置は図7の装置を改良したものであり、この図13の装置では、ヒートポンプ15を装備し、このヒートポンプ15の吸熱作用によりパージ用空気PA及び処理対象空気IAを冷却する空気冷却器16を設けるとともに、再生用ヒータ5をヒートポンプ15の放熱作用により再生用空気RAを加熱するものにしてある。
【0112】
ここで、空気冷却器16はヒートポンプ15の蒸発器として機能する直膨式冷却器、あるいは、ヒートポンプ15の蒸発器との間で吸熱用熱媒を循環させる熱媒循環熱交換器のいずれであってよい。
【0113】
また、再生用ヒータ5もヒートポンプ15の凝縮器として機能する放熱器、あるいは、ヒートポンプ15の凝縮器との間で放熱用熱媒を循環させる熱媒循環熱交換器のいずれであってもよい。
【0114】
また、この例ではパージ用空気PA及び処理対象空気IAの両方をヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するようにしたが、パージ用空気PAと処理対象空気IAとのいずれか一方のみをヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するようにしてもよい。
【0115】
このようなヒートポンプ15を用いて空気の冷却と加熱を行なう構成は、図7の装置に限らず他図の装置にも適用でき、例えば図8の装置において処理対象空気IAをヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するとともに、再生用ヒータ5による再生用空気RAの加熱やパージ用ヒータ14によるパージ用空気PAの加熱としてヒートポンプ15の放熱作用により再生用空気RAやパージ用空気PAを加熱するようにしてもよい。
【0116】
(別の実施形態)
次に本発明による吸脱着式濃縮装置の別実施形態を列記する。
【0117】
前述の各実施形態では、使用済のパージ用空気PA′の全量を再生用空気RAの全量として再生域3に通過させる例を示したが、使用済のパージ用空気PA′と外気との混合空気を再生用空気RAとしたり、再生用空気RAの全量を外気にしてもよい。
【0118】
また、使用済パージ用空気PA′の一部又は全部を処理対象空気IAとともに処理域2に通過させるようにしてもよい。
【0119】
再生域3に通過させる再生用空気RAの温度trは所要の物質回収効率ηが得られる範囲で極力低くするのが望ましいが、本発明による吸脱着式濃縮装置では再生域3に通過させる再生用空気RAの温度trを100℃未満にしてもよい。
【0120】
前述の各実施形態では、再生用空気RAを再生域3に対して一過的に通過させる例を示したが、濃縮倍率Cを一層高めることを目的として再生用空気RAの一部を再生域3に対し循環的に繰り返して通過させるようにしてもよい。
【0121】
前述の各実施形態では、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとを逆向きにする例を示したが、場合によっては、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとを同じ向きにしてもよい。
【0122】
また、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きも、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと同じ向きないし逆向きにしたり、処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと同じ向きないし逆向きにするなど、場合に応じて好ましい向きを選択すればよい。
【0123】
再生用加湿器10(再生用加湿手段)やパージ用加湿器13(パージ用加湿手段)には、水加熱式、気化式、水噴霧式、超音波式など種々の方式の加湿装置を採用することができるが、望ましくは、加熱源を要さない気化式、水噴霧式、超音波式の加湿装置を用いるのがよい。
【0124】
本発明による吸脱着濃縮装置は、再生域3やパージ域4において水分の置換吸着により吸着剤Xから脱着させることができ、また、処理域2において水分吸着状態の吸着剤Xに対して置換吸着させることができるガス状物質であれば、揮発性有機化合物や悪臭物質など種々のガス状物質を除去対象物質Vとすることができる。
【0125】
また、処理対象空気IAも上記の如きガス状除去対象物質Vを含むものであれば、種々の施設や装置から排出される空気を初め、どのような空気であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
X 吸着剤
1 吸着ロータ
2 処理域
3 再生域
IA 処理対象空気
V 除去対象物質
RA 再生用空気
10 再生用加湿手段
4 パージ域
PA パージ用空気
PA′ 使用済のパージ用空気
5 再生用加熱手段
13 パージ用加湿手段
14 パージ用加熱手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質(例えば、種々の目的で溶剤等として使用された揮発性有機化合物や種々の処理等で発生した悪臭物質など)を処理対象空気から濃縮状態で回収する吸脱着式濃縮装置に関する。
【0002】
詳しくは(図1参照)、吸着剤Xを保持させた通気性の吸着ロータ1を設けるとともに、この吸着ロータ1の回転域に処理域2と再生域3とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータ1の回転より吸着ロータ1の回転方向における各部を処理域2と再生域3とにその順で繰り返し通過させる構成にした吸脱着式濃縮装置に関する。
【0003】
この吸脱着式濃縮装置において、処理域2では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気IAを通風することで、その処理対象空気IAに含まれるガス状の除去対象物質Vを域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xに吸着させて処理対象空気IAから分離除去する。
【0004】
また、再生域3では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気RAを通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤Xが処理域2で吸着した除去対象物質Vを処理対象空気IAより小風量の再生用空気RAに脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを再生する。
【0005】
つまり、処理域2において吸着剤Xへの吸着により処理対象空気IAから分離除去した除去対象物質Vを再生域3で吸着剤Xから脱着させて処理対象空気IAより小風量の再生用空気RAに移行させることで、処理対象空気IAに含まれるガス状の除去対象物質Vを処理対象空気と再生用空気との風量比率分だけ濃縮状態にして回収する。
【背景技術】
【0006】
従来、この種の吸脱着式濃縮装置では、例えば特許文献1(図15参照)に見られるように、処理域2において吸着剤Xが吸着した除去対象物質Vを再生域3において吸着剤Xから脱着させる再生用空気RAとして熱風あるいは蒸気(水蒸気)を再生域3に通風するものが知られている。
【0007】
また、特許文献1,2に見られるように(図15及び図16参照)、吸着ロータ1の回転域において再生域3のロータ回転方向下手側でかつ処理域2のロータ回転方向上手側にパージ域4を区画形成し、吸着ロータ1の回転により吸着ロータ1の回転方向における各部を処理域2と再生域3とパージ域4とにその順で繰り返し通過させるものも知られている。
【0008】
このパージ域4では、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域3を通過したロータ部分)にパージ用空気PAを通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを次の処理域2への移動に先立ち冷却する。
【0009】
そしてまた、このようなパージ域4を設けるものにおいて、同特許文献1,2(図15及び図16参照)に見られるように、パージ域4を通過した使用済のパージ用空気PA′を再生用空気RAとして再生用加熱手段5により加熱した状態で再生域3に通風するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭53−50069号公報
【特許文献2】特開平7−75714号公報
【特許文献3】特開昭54−26971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この種の吸脱着式濃縮装置における除去対象物質Vの濃縮倍率C(即ち、処理域2において処理対象空気IAから分離除去した処理対象物質Vの高濃度化率)は次式で表される。
【0012】
C=Qi/Qo
Qi:処理域2に通風する処理対象空気IAの風量
Qo:再生域3を通過して装置外に取り出される使用済再生用空気RA′の風量
【0013】
即ち、この種の吸脱着式濃縮装置において濃縮倍率Cを高めるには、再生域3に通風する再生用空気RAの風量を小風量にする必要がある。
【0014】
しかし、再生用空気RAの風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めるようとすると、図17に示されるように、処理域2において吸着により処理対象空気IAから除去対象物質Vを分離除去する効率(即ち、装置の物質回収効率η)そのものが低下してしまう問題があった。
【0015】
つまり、再生用空気RAの風量が小風量になるほど、再生域3において吸着剤Xから除去対象物質Vを脱着させるのが難しくなって、吸着状態にある除去対象物質Vのうちの相当量が脱着されないままで吸着剤Xに残る脱着不足の状態(換言すれば、再生不足の状態)が生じ、これが原因で、装置の物質回収効率η(換言すれば、処理対象空気IAの浄化効率)が低下する。
【0016】
また、このような物質回収効率ηの低下を回避するには、再生域3の温度tr(≒再生用空気RAの温度)を高めて上記の如き脱着不足の状態が生じるのを回避することが必要になるが、再生域3の温度trを高めるには、耐熱性や耐圧性の高い装置構成材が必要になるとともに断熱にも重厚なものが必要になり、装置コストが高くなる問題が生じる。
【0017】
さらにまた、耐熱性や耐圧性の高い装置構成材を使用するにしても、再生域3の温度trを高めることには耐熱性や耐圧性の面で限界があり、この為、物質回収効率ηの低下を回避し切れない場合もある。
【0018】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な装置構成を採ることで、装置の物質回収効率ηを高く確保しながら高い濃縮倍率Cを得られるようにするとともに、装置コスト面や運転コスト面でも有利な吸脱着式濃縮装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
吸脱着式濃縮装置に係る本発明の第1特徴構成は、
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生する吸脱着式濃縮装置であって、
前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある点にある。
【0020】
つまり、特許文献3に示されるように、再生域に通風する再生用空気として水蒸気を用いれば、その水蒸気成分(即ち、水分)を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着を再生域において生じさせることができ、これにより、吸着状態にある除去対象物質を水分により吸着剤から追い出す形態で、吸着状態にある除去対象物質を再生域において吸着剤から再生用空気へ効率良く脱着させることができる。
【0021】
即ち、この置換吸着を利用することで、再生用空気の風量を小風量にしながらも再生域において前述の如き脱着不足の状態が生じるのを効果的に回避することができる。
【0022】
しかし、再生用空気として水蒸気を用いるのでは、低温低圧の水蒸気(例えば、100℃の飽和水蒸気)であるとしても、相応の耐熱性及び耐圧性を備える装置構成材が必要になるとともに、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために、やはり重厚な断熱も必要になり、この点で先述した従来装置の問題を解消するには至らない。
【0023】
これに対し、本発明の発明者は実験等の結果、再生用空気として水蒸気を用いずとも、図14に示すように再生用空気RAを加湿状態(単に湿度を高めただけの未飽和の湿り空気状態)にするだけでも、再生域において上記の如き置換吸着を生じさせることができ、これにより、低温の再生用空気(当然ながら処理域温度やパージ域温度よりは高温)を用いながら、吸着状態にある除去対象物質を再生域において効率良く吸着剤から脱着させることができて脱着不足を回避できることを見出した。
【0024】
ここで、図14に示す例は、低温再生用空気(25℃)の水分濃度を0ppmにした場合(グラフ1:無加湿に相当)と、同温度(25℃)の低温再生用空気の水分濃度を8013ppm、15977ppm、23894ppm、31763ppmの夫々にした場合(グラフ2〜5:相対湿度25%、50%、75%、100%への加湿に相当)とを比較するものである。
【0025】
この例から分かるように、低温(25℃)の再生用空気をある程度以上の水分濃度を有する未飽和の加湿状態にするだけ(グラフ3〜5)でも、再生域出口の使用済再生用空気における除去対象物の濃度(即ち、再生域において吸着剤から脱着した除去対象物の濃度)を高く確保できており、言い換えれば、加湿により再生用空気に与えた水分を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着が生じ、これにより吸着状態にある除去対象物質(この例ではイソプロピルアルコール:IPA)が効率良く吸着剤から脱着されている。
【0026】
従って、上記構成において再生用加湿手段による加湿により再生用空気をある程度以上の水分濃度を有する未飽和の加湿状態にすることで、低温の再生用空気を用いながら、また、再生用空気の風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めながらも、再生域において脱着不足の状態が生じることを効果的に回避することができ、これにより、処理域において吸着剤(即ち、十分に再生された吸着剤)を処理対象空気中の除去対象物質に対し効率良く吸着機能させることができて、装置の物質回収効率ηも高く確保することができる。
【0027】
そしてまた、上記の如く低温の再生用空気を未飽和の加湿状態にするだけで済むことから、特許文献1,3に見られるように再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、装置構成材に要求される耐熱性や耐圧性を効果的に低減することができ、また、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために重厚な断熱が必要になることも回避することができ、これらのことで装置コストも効果的に低減することができる。
【0028】
しかも、再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、再生用空気の生成に要する熱量及び水量も低減することができ、これにより、運転コストを安価にするとともに省エネルギ面でも有利な装置にすることができる。
【0029】
なお、再生域での置換吸着により水分吸着状態になった吸着剤(即ち、除去対象物質が効果的に脱着されて十分に再生された吸着剤)を処理対象空気が通風される処理域に移動させると、再生域温度より低温の処理域温度での平衡吸着量の差などから処理対象空気中の除去対象物質が吸着水分と置換する状態で吸着剤に吸着される逆の置換吸着が生じ、これにより、上記の如く物質回収効率ηが高く確保される。
【0030】
上記構成の実施においては、吸着ロータの回転域に処理域と再生域とを設けるのに加え、再生域のロータ回転方向下手側でかつ処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を処理域と再生域とパージ域とにその順で繰り返し通過させるようにしてもよい。
【0031】
即ち、このパージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域を通過したロータ部分)を冷却してそのロータ部分の保持吸着剤を次の処理域への移行に先立ち冷却する。(なお、パージ域温度は再生域温度より低温で、処理域温度よりも高温ないし処理域温度と同等の温度である。)
【0032】
上記構成の実施において、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとは同じ向きないし逆向きのいずれにしてもよいが、物質回収効率ηをより高く確保するには、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとを互いに逆向きにするのが望ましい。
【0033】
即ち、再生域での前述の如き置換吸着による除去対象物質の脱着は再生域入口側(再生用空気の流入側)の方が出口側に比べ効果的に進行し、この為、処理域での除去対象物質に対する吸着効果も再生域入口側に相当する側の方が反対側に比べ高くなる。
【0034】
従って、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、再生域での吸着ロータに対する再生用空気の通風向きとを互いに逆向きにして、処理域を通過する処理対象空気における除去対象物質の濃度が次第に低くなる処理域出口側ほど高い吸着効果をもって除去対象物質を吸着する形態にする方が物質回収効率ηを高めることができる。
【0035】
上記構成の実施においては、再生域入口での再生用空気の湿度又は再生域出口での使用済の再生用空気の湿度を設定湿度に保つように再生用加湿手段での加湿量を調整する再生用の加湿量調整手段を設けたり、処理対象空気における除去対象物質の濃度や処理域での除去対象物質の吸着量などに応じて再生用加湿手段の調整目標である再生用空気の設定湿度を変更する再生用の設定湿度変更手段を設けるなどし、これにより、前述の如き効果を確実かつ安定的に得られるようにするのが望ましい。
【0036】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施において、
前記吸着ロータの回転域において前記再生域のロータ回転方向下手側でかつ前記処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、前記吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却し、
このパージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として、再生用加熱手段により加熱するとともに、その加熱に続き前記再生用加湿手段により加湿した状態で前記再生域に通風する構成にしてある点にある。
【0037】
つまり、パージ域を通過した使用済のパージ用空気を熱回収目的などで再生用空気に利用することは前述の特許文献1、2にも見られるが、第1特徴構成の実施において上記の如く使用済のパージ用空気を再生用空気として利用すれば、熱回収の他にも次の如き作用効果を得ることができる。
【0038】
即ち、再生域に通風する再生用空気を再生用加湿手段により加湿する構成では、再生域に通風された加湿状態の再生用空気のうちの一部が再生域から次のパージ域に移動するロータ部分に残存した状態でそのロータ部分とともにパージ域に移行する為、パージ域ではパージ用空気の通風により域内通過過程にあるロータ部分を冷却してそのロータ部分の保持吸着剤を冷却するのに伴い、そのロータ部分に残存する加湿状態の再生用空気もパージ用空気とともに持ち去られる。
【0039】
従って、パージ域を通過した使用済のパージ用空気はロータ部分の冷却で得た熱量とともに残存再生用空気の加湿水分を保有するものとなり、この使用済のパージ用空気を上記の如く再生用空気として利用することで、再生用加熱手段での必要加熱量(即ち、前述の如く低温の再生用空気でよいことから小さなもので済む必要加熱量)をパージ用空気がロータ部分の冷却で得た熱量分だけさらに低減することができる。
【0040】
また、再生用加湿手段での必要加湿量(即ち、前述の如く再生用空気を未飽和の加湿状態にするだけでよいことから小さなもので済む必要加湿量)もパージ用空気が得た残存再生用空気の加湿水分量だけさらに低減することができ、これらのことで、装置の運転コストを一層安価にするとともに省エネルギ面でも一層有利にすることができる。
【0041】
吸脱着式濃縮装置に係る本発明の第3特徴構成は、
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生し、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却する吸脱着式濃縮装置であって、
前記パージ域に通風するパージ用空気を加湿するパージ用加湿手段を設けてある点にある。
【0042】
つまり、この構成によれば、再生用空気を高温化せずに再生用空気の風量を小風量にすることで、再生域において前述の如き脱着不足の状態が生じるとしても、再生域の次のパージ域においてパージ用加湿手段により加湿状態(単に湿度を高めただけの未飽和の湿り空気状態)にしたパージ用空気を通風することで、そのパージ用空気の加湿水分を吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着をパージ域で生じさせることができる。
【0043】
そして、このパージ域での置換吸着により再生域で生じた脱着不足の状態をパージ域で解消して、吸着剤を次の処理域への移動に先立ち十分な水分吸着状態(即ち、除去対象物質が効果的に脱着されて十分に再生された状態)にすることができる。
【0044】
即ち、このことより、前述の第1特徴構成と同様、低温の再生用空気を用いながら、また、再生用空気の風量を小風量にして濃縮倍率Cを高めながらも、処理域において吸着剤(即ち、十分に再生された吸着剤)を処理対象空気中の除去対象物質に対し効率良く吸着機能させることができて、装置の物質回収効率ηも高く確保することができる。
【0045】
そしてまた、上記の如く低温の再生用空気を用いながらパージ用空気を未飽和の加湿状態にするだけで済むことから、特許文献1,3に見られるように再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、装置構成材に要求される耐熱性や耐圧性を効果的に低減することができ、また、放熱による水蒸気の凝縮を防止するなどのために重厚な断熱が必要になることも回避することができ、これらのことで装置コストも効果的に低減することができる。
【0046】
しかも、再生用空気として水蒸気を用いるのに比べ、再生用空気及びパージ用空気の生成に要する熱量及び水量も低減することができ、これにより、運転コストを安価にするとともに省エネルギ面でも有利な装置にすることができる。
【0047】
なお、上記構成の実施において再生用空気には種々のものを使用することができるが、上記の如く再生域において脱着不足の状態が生じても、その脱着不足の状態をパージ域において解消できることから再生用空気の組成面や温度面などでの選択肢を増やすことができ、そのことで装置の汎用性も高めることができる。
【0048】
上記構成の実施において、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとは同じ向きないし逆向きのいずれにしてもよいが、物質回収効率ηをより高く確保するには、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとを互いに逆向きにするのが望ましい。
【0049】
即ち、パージ域での前述の如き置換吸着による残存除去対象物質の脱着はパージ域入口側(パージ用空気の流入側)の方が出口側に比べ効果的に進行し、この為、処理域での除去対象物質に対する吸着効果もパージ域入口側に相当する側の方が反対側に比べ高くなる。
【0050】
従って、処理域での吸着ロータに対する処理対象空気の通風向きと、パージ域での吸着ロータに対するパージ用空気の通風向きとを互いに逆向きにして、処理域を通過する処理対象空気における除去対象物質の濃度が次第に低くなる処理域出口側ほど高い吸着効果をもって除去対象物質を吸着する形態にする方が物質回収効率ηを高めることができる。
【0051】
上記構成の実施においては、パージ域入口でのパージ用空気の湿度又はパージ域出口での使用済のパージ用空気の湿度を設定湿度に保つようにパージ用加湿手段での加湿量を調整するパージ用の加湿量調整手段を設けたり、処理対象空気における除去対象物質の濃度や処理域での除去対象物質の吸着量などに応じてパージ用加湿手段の調整目標であるパージ用空気の設定湿度を変更するパージ用の設定湿度変更手段を設けるなどし、これにより、前述の如き効果を確実かつ安定的に得るようにするのが望ましい。
【0052】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成の実施において、
前記パージ域に通風するパージ用空気を前記パージ用加湿手段による加湿の前に加熱するパージ用加熱手段を設けてある点にある。
【0053】
つまり、この構成によれば、パージ用空気をパージ用加湿手段による加湿の前にパージ用加熱手段により加熱することで、その加熱を行なわない場合に比べ、パージ用加湿手段による加湿でのパージ用空気の許容加湿量(即ち、パージ用空気に保有させ得る加湿水分量)を増大させることができる。
【0054】
そして、このことでパージ域での前述の如き置換吸着による脱着不足状態の解消(即ち、吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質の脱着)を一層効果的かつ確実なものにすることができ、これにより、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保することを一層効果的かつ確実に達成することができる。
【0055】
本発明の第5特徴構成は、第3又は第4特徴構成の実施において、
前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として再生用加熱手段により加熱した状態で前記再生域に通風する構成にしてある点にある。
【0056】
つまり、パージ域を通過した使用済のパージ用空気を熱回収目的などで再生用空気に利用することは前述の如く特許文献1、2にも見られるが、第3又は第4特徴構成の実施において上記の如く使用済のパージ用空気を再生用空気として利用すれば、熱回収の他にも次の如き作用効果を得ることができる。
【0057】
即ち、バイパスファクタなどが原因でパージ用加湿手段によりパージ用空気に付与した加湿水分の一部が置換吸着されずにパージ域を通過した使用済のパージ用空気に残存する状態になったとしても、この使用済のパージ用空気を上記の如く再生用空気として利用することで、再生域において使用済パージ用空気の残存加湿水分を吸着状態にある除去対象物質と置換させて吸着剤に吸着させる置換吸着を生じさせることができる。
【0058】
そして、このことでパージ用空気に付与した加湿水分を一層効果的かつ確実に吸着剤からの除去対象物質の脱着に寄与させることができ、これにより、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保することをさらに効果的かつ確実に達成することができる。
【0059】
なお、パージ域を通過した使用済のパージ用空気にはパージ域での置換吸着より吸着剤から脱着された除去対象物質が含まれるが、上記構成によれば、この使用済のパージ用空気に含まれる除去対象物質も再生域で吸着剤から脱着される除去対象物質とともに使用済再生用空気に含ませた状態で再生域から回収することができる。
【0060】
本発明の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれかの実施において、
前記パージ用加湿手段とは別に、前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある点にある。
【0061】
つまり、この構成によれば、再生用加湿手段により再生用空気に付与した加湿水分を再生域で吸着剤に置換吸着させて吸着状態にある除去対象物質を再生域において効率良く再生用空気に脱着させる前述第1特徴構成と、パージ用加湿手段によりパージ用空気に付与した加湿水分をパージ域で吸着剤に置換吸着させて吸着状態で吸着剤に未だ残っている除去対象物質をパージ域において効率良くパージ用空気に脱着させる前述第3特徴構成とを併用する運転形態を採ることができる。
【0062】
そして、この併用により、濃縮倍率Cを高くしながら装置の物質回収効率ηも高く確保するという所期の目的を一層効果的かつ確実に達成することができ、この点で、処理対象空気における除去対象物質の濃度変化が大きいなど装置負荷の変動が大きい場合において特に好適な装置にすることができる。
【0063】
本発明の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれかの実施において、
前記再生用加湿手段又は前記パージ用加湿手段として気化式又は水噴霧式又は超音波式の加湿器を設けてある点にある。
【0064】
つまり、第1〜第6特徴構成のいずれかの実施において再生用加湿手段又はパージ用加湿手段には水を加熱して蒸気を発生させる水加熱式などの各種方式の加湿装置を用いることができるが、上記の如く再生用加湿手段又はパージ用加湿手段として、含浸材に含浸させた水を加湿対象空気中で蒸発させる気化式や、噴霧水を加湿対象空気中で蒸発させる水噴霧式、あるいは、水に超音波振動を付与して加湿対象空気中に水粒子を飛散させる超音波式の加湿器を使用すれば、熱源を要する水加熱式の加湿装置を用いるのに比べ、装置構成を簡略化して装置の製作を容易にするとともに、装置のメンテナンスも容易にすることができる。
【0065】
そして、このことにより、前述の如く低温の再生用空気で済むこととも相俟って、取り扱い性の面で一層優れた装置にすることができる。
【0066】
本発明の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれかの実施において、
前記再生域に通風する再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とする点にある。
【0067】
つまり、この構成では、前述の如く低温の再生用空気で済むことを活かして再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とするが、このように再生用空気の温度を100℃未満にすることで、取り扱いが極めて容易な装置することができ、特に、再生用加湿手段を設ける場合では、再生用空気の温度を水の沸点である100℃より低い温度にすることで、再生用空気の湿度管理なども容易にすることができる。
【0068】
本発明の第9特徴構成は、第2又は第5特徴構成の実施において、
前記再生用空気の全量について、前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を再生用空気として使用する構成にしてある点にある。
【0069】
つまり、この構成は、前述の如く再生用空気の風量を小風量にして高い濃縮倍率Cを得ながらも装置の物質回収効率ηを高く確保できることを活かしたものであるが、この構成によれば、例えば、パージ域を通過したパージ用空気と外気との混合空気を再生用空気として再生域に通過させる構成や、再生用空気の全量を外気としてパージ域を通過した使用済パージ用空気の全量を装置の別部分で処理する構成などに比べ、装置構成(特に風路構成)を簡略にすることができ、これにより、装置コストを一層低減し得るとともに取り扱い性の面で一層優れた装置にすることができる。
【0070】
なお、この構成の実施においては、再生用空気の風量と使用済パージ用空気の風量とを等しくする構成(換言すれば、使用済パージ用空気の全量を再生用空気の全量として再生域に通過させる構成)を採るのが最も望ましい。
【0071】
なお、本発明の実施においてパージ域に通風するパージ用空気には、外気、処理域で除去対象物質を分離除去した処理済浄化空気の一部あるいは処理対象空気の一部など種々のものを使用することができるが、装置の物質回収効率ηを極力高く確保するには、外気をパージ用空気とするのが最も有利であり、続いては処理域で除去対象物質を分離除去した処理済浄化空気の一部をパージ用空気とするのが次に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1実施形態を示す装置構成図
【図2】第2実施形態を示す装置構成図
【図3】第3実施形態を示す装置構成図
【図4】第4実施形態を示す装置構成図
【図5】第5実施形態を示す装置構成図
【図6】第6実施形態を示す装置構成図
【図7】第7実施形態を示す装置構成図
【図8】第8実施形態を示す装置構成図
【図9】第9実施形態を示す装置構成図
【図10】第10実施形態を示す装置構成図
【図11】第11実施形態を示す装置構成図
【図12】第12実施形態を示す装置構成図
【図13】第13実施形態を示す装置構成図
【図14】再生域出口における除去対象物質の濃度と再生用空気における水分濃度との相関を示すグラフ
【図15】従来装置の装置構成図
【図16】他の従来装置における装置構成図
【図17】従来装置における濃縮倍率と物質回収効率との相関を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1〜図13は夫々、本発明による吸脱着式濃縮装置の実施形態を示すが、各図において、1は活性炭やゼオライトなどの吸着剤Xを保持させたハニカム構造などの通気性の吸着ロータであり、各図では理解を容易にするためロータ周方向(ロータ回転方向)に展開した状態で示してある。
【0074】
また、この吸着ロータ1の回転域には、処理域2と再生域3とパージ域4とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成してあり、吸着ロータ1の回転により吸着ロータ1のロータ回転方向における各部(以下、ロータ部分と称す)を処理域2と再生域3とパージ域4とにその順で繰り返し通過させる。
【0075】
そして基本的に、処理域2では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気IAを通風することで、その処理対象空気IAに含まれる揮発性有機化合物などのガス状の除去対象物質Vを域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材Xに吸着させて処理対象空気IAから分離除去し、これにより、処理対象空気IAを浄化する。
【0076】
また、再生域3では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用ヒータ5(再生用加熱手段の一例)により加熱した再生用空気RAを通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤Xが先の処理域2で吸着した除去対象物質Vを再生用空気RAに脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤Xを再生する。
【0077】
ここで、再生用空気RAの通風量Qoは、処理対象空気IAの通風量Qiより小風量(Qo<Qi)であり、これにより、この装置では処理対象空気IAに含まれる除去対象物質Vが高濃度化された濃縮状態で回収され、その濃縮倍率CはC=Qi/Qoで表される。
【0078】
一方、パージ域4では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気PAを通風することで、域内通過過程にあるロータ部分(即ち、再生域3を通過して昇温したロータ部分)を冷却して、そのロータ部分の保持吸着剤Xを次の処理域2への移動に先立ち冷却する。
【0079】
また、この吸着剤Xの冷却と併せて、ロータ部分に残存した状態でロータ部分とともに再生域3からパージ域4に持ち込まれた残存再生用空気RAをパージ用空気PAにより掃気する。
【0080】
(第1実施形態)
図1に示す装置では、処理対象空気路6を通じて処理域2に導く処理対象空気IAの一部をパージ用空気路7に分流し、この分流した処理対象空気IAをパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0081】
また、パージ域4を通過した使用済のパージ用空気PA′を導く使用済パージ用空気路8を再生用空気路9に接続し、使用済のパージ用空気PA′を再生用空気RAとして再生用ヒータ5により加熱した上で再生用空気路9を通じ再生域3に通過させるようにしてある。
【0082】
再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとは互いに逆向きにしてあり、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと同じ向きにしてある。
【0083】
再生用空気路9において再生用ヒータ5の下流側には再生用加湿器10(再生用加湿手段の一例)を装備してあり、再生用空気RA(使用済のパージ用空気PA′)は再生用ヒータ5により設定温度trに加熱するとともに、その加熱に続き再生用加湿器10により設定湿度hr(換言すれば、設定水分濃度)まで加湿した状態で再生域3に通過させるようにしてある。
【0084】
ここで加湿状態とは、単に湿度を上昇させただけの未飽和の湿り空気状態を言う(以下も同様)。
【0085】
つまり、この図1の装置では、再生域3において再生用空気RAの加湿水分(再生用加湿器10よる加湿で付与した水分)を先の処理域2で吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させ、この置換吸着により再生域3において除去対象物質Vを吸着剤Xから再生用空気RA中へ効率良く脱着させる。
【0086】
即ち、このように加湿による置換吸着をもって除去対象物質Vを再生域3において効率良く脱着させることで、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率η(処理域2において処理対象空気IAから除去対象物質Vを分離回収する効率)も高く確保するようにしてある。
【0087】
図中、11は処理域2を通過した処理対象空気IA′、即ち、除去対象物質Vが除去された処理済の浄化空気を導く処理済浄化空気路である。
【0088】
12は再生域3を通過した使用済の再生用空気RA′を導く使用済再生用空気路であり、使用済の再生用空気RA′に濃縮状態で含まれる除去対象物質V(即ち、脱着された除去対象物質)は凝縮装置で冷却液化するなどして回収する、ないしは、燃焼装置で燃焼処理する(以下も同様)。
【0089】
(第2実施形態)
図2に示す装置では、再生用加湿器10を再生用空気路9に装備するのに代えて、パージ域4に通過させるパージ用空気PAを設定湿度hp(換言すれば、設定水分濃度)まで加湿するパージ用加湿器13(パージ用加湿手段の一例)をパージ用空気路7に装備してある。
【0090】
その他については図1の装置を同じである。
【0091】
つまり、この図2の装置では、パージ域4においてパージ用空気PAの加湿水分(パージ用加湿器13による加湿で付与した水分)を先の再生域3で脱着されずに吸着剤Xに吸着されたままで残っている残存除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させ、この置換吸着によりパージ域4において再生域3からの残存除去対象物質Vを吸着剤Xからパージ用空気PA中へ効率良く脱着させる。
【0092】
即ち、このように加湿による置換吸着をもって再生域3からの残存除去対象物質Vをパージ域4において効率良く脱着させることで、図1の装置と同様、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率ηも高く確保する。
【0093】
なお、この図2の装置を実施するにあたっては、図2において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14(パージ用加熱手段の一例)をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0094】
(第3実施形態)
図3に示す装置では、図1の装置と同様、再生用空気RAを設定温度hrまで加湿する再生用加湿器10を再生用ヒータ5よりも下流側に配置して再生用空気路9に装備してある。
【0095】
また、図2の装置と同様、パージ用空気PAを設定湿度hpまで加湿するパージ用加湿器13をパージ用空気路7に装備してある。
【0096】
その他は図1の装置及び図2の装置と同じである。
【0097】
つまり、この図3の装置では、再生域3において再生用空気RAの加湿水分を先の処理域2で吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)させる。
【0098】
また、パージ域4においてパージ用空気PAの加湿水分を先の再生域3で脱着されずに吸着剤Xに吸着されたままで残る残存除去対象物質Vと置換させる形態で吸着剤Xに吸着(置換吸着)さる。
【0099】
即ち、これら再生域3での置換吸着及びパージ域4での置換吸着をもって先の処理域2において吸着剤Xに吸着させた除去対象物質Vをその吸着剤Xが再び処理域2に戻る前に吸着剤Xから再生用空気RA中やパージ用空気PA中へ効率良く脱着させ、これにより、再生用空気RAの必要温度trを低減しながら、また、再生用空気RAの必要風量Qoも低減して装置における除去対象物質Vの濃縮倍率Cを高くしながら、装置の物質回収効率ηも高く確保する。
【0100】
なお、この図3の装置を実施するにあたっては、図2の装置と同様、図3において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0101】
(第4〜第6実施形態)
図4〜図6に示す装置では、処理済浄化空気路11から処理済浄化空気IA′の一部をパージ用空気路7に分流し、この分流した処理済浄化空気IA′をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0102】
また、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと逆向きにしてある。
【0103】
その他については、図4の装置は図1の装置と同じであり、図5の装置は図2の装置と同じであり、図6の装置は図3の装置と同じである。
【0104】
なお、図5や図6の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図5及び図6において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0105】
(第7〜第9実施形態)
図7〜図9に示す装置では、外気をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させる。
【0106】
その他については、図7の装置は図1の装置と同じであり、図8の装置は図2の装置と同じであり、図9の装置は図3の装置と同じである。
【0107】
なお、図8や図9の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図8及び図9において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0108】
(第10〜第12実施形態)
図10〜図12に示す装置では、図7〜図9の装置と同様、外気をパージ用空気PAとしてパージ用空気路7を通じパージ域4に通過させるが、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きは処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと逆向きにしてある。
【0109】
その他については、図10の装置は図1の装置と同じであり、図11の装置は図2の装置と同じであり、図12の装置は図3の装置と同じである。
【0110】
なお、図11や図12の装置の実施にあたっては、図2や図3の装置と同様、図11及び図12において破線で示す如くパージ用加湿器13による加湿に先立ちパージ用空気PAを設定温度tpに加熱するパージ用ヒータ14をパージ用空気路7に装備するようにしてもよい。
【0111】
(第13実施形態)
図13に示す装置は図7の装置を改良したものであり、この図13の装置では、ヒートポンプ15を装備し、このヒートポンプ15の吸熱作用によりパージ用空気PA及び処理対象空気IAを冷却する空気冷却器16を設けるとともに、再生用ヒータ5をヒートポンプ15の放熱作用により再生用空気RAを加熱するものにしてある。
【0112】
ここで、空気冷却器16はヒートポンプ15の蒸発器として機能する直膨式冷却器、あるいは、ヒートポンプ15の蒸発器との間で吸熱用熱媒を循環させる熱媒循環熱交換器のいずれであってよい。
【0113】
また、再生用ヒータ5もヒートポンプ15の凝縮器として機能する放熱器、あるいは、ヒートポンプ15の凝縮器との間で放熱用熱媒を循環させる熱媒循環熱交換器のいずれであってもよい。
【0114】
また、この例ではパージ用空気PA及び処理対象空気IAの両方をヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するようにしたが、パージ用空気PAと処理対象空気IAとのいずれか一方のみをヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するようにしてもよい。
【0115】
このようなヒートポンプ15を用いて空気の冷却と加熱を行なう構成は、図7の装置に限らず他図の装置にも適用でき、例えば図8の装置において処理対象空気IAをヒートポンプ15の吸熱作用により冷却するとともに、再生用ヒータ5による再生用空気RAの加熱やパージ用ヒータ14によるパージ用空気PAの加熱としてヒートポンプ15の放熱作用により再生用空気RAやパージ用空気PAを加熱するようにしてもよい。
【0116】
(別の実施形態)
次に本発明による吸脱着式濃縮装置の別実施形態を列記する。
【0117】
前述の各実施形態では、使用済のパージ用空気PA′の全量を再生用空気RAの全量として再生域3に通過させる例を示したが、使用済のパージ用空気PA′と外気との混合空気を再生用空気RAとしたり、再生用空気RAの全量を外気にしてもよい。
【0118】
また、使用済パージ用空気PA′の一部又は全部を処理対象空気IAとともに処理域2に通過させるようにしてもよい。
【0119】
再生域3に通過させる再生用空気RAの温度trは所要の物質回収効率ηが得られる範囲で極力低くするのが望ましいが、本発明による吸脱着式濃縮装置では再生域3に通過させる再生用空気RAの温度trを100℃未満にしてもよい。
【0120】
前述の各実施形態では、再生用空気RAを再生域3に対して一過的に通過させる例を示したが、濃縮倍率Cを一層高めることを目的として再生用空気RAの一部を再生域3に対し循環的に繰り返して通過させるようにしてもよい。
【0121】
前述の各実施形態では、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとを逆向きにする例を示したが、場合によっては、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きとを同じ向きにしてもよい。
【0122】
また、パージ域4での吸着ロータ1に対するパージ用空気PAの通風向きも、再生域3での吸着ロータ1に対する再生用空気RAの通風向きと同じ向きないし逆向きにしたり、処理域2での吸着ロータ1に対する処理対象空気IAの通風向きと同じ向きないし逆向きにするなど、場合に応じて好ましい向きを選択すればよい。
【0123】
再生用加湿器10(再生用加湿手段)やパージ用加湿器13(パージ用加湿手段)には、水加熱式、気化式、水噴霧式、超音波式など種々の方式の加湿装置を採用することができるが、望ましくは、加熱源を要さない気化式、水噴霧式、超音波式の加湿装置を用いるのがよい。
【0124】
本発明による吸脱着濃縮装置は、再生域3やパージ域4において水分の置換吸着により吸着剤Xから脱着させることができ、また、処理域2において水分吸着状態の吸着剤Xに対して置換吸着させることができるガス状物質であれば、揮発性有機化合物や悪臭物質など種々のガス状物質を除去対象物質Vとすることができる。
【0125】
また、処理対象空気IAも上記の如きガス状除去対象物質Vを含むものであれば、種々の施設や装置から排出される空気を初め、どのような空気であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
X 吸着剤
1 吸着ロータ
2 処理域
3 再生域
IA 処理対象空気
V 除去対象物質
RA 再生用空気
10 再生用加湿手段
4 パージ域
PA パージ用空気
PA′ 使用済のパージ用空気
5 再生用加熱手段
13 パージ用加湿手段
14 パージ用加熱手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生する吸脱着式濃縮装置であって、
前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある吸脱着式濃縮装置。
【請求項2】
前記吸着ロータの回転域において前記再生域のロータ回転方向下手側でかつ前記処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、前記吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却し、
このパージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として、再生用加熱手段により加熱するとともに、その加熱に続き前記再生用加湿手段により加湿した状態で前記再生域に通風する構成にしてある請求項1記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項3】
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生し、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却する吸脱着式濃縮装置であって、
前記パージ域に通風するパージ用空気を加湿するパージ用加湿手段を設けてある吸脱着式濃縮装置。
【請求項4】
前記パージ域に通風するパージ用空気を前記パージ用加湿手段による加湿の前に加熱するパージ用加熱手段を設けてある請求項3記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項5】
前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として再生用加熱手段により加熱した状態で前記再生域に通風する構成にしてある請求項3又は4記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項6】
前記パージ用加湿手段とは別に、前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項7】
前記再生用加湿手段又は前記パージ用加湿手段として気化式又は水噴霧式又は超音波式の加湿器を設けてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項8】
前記再生域に通風する再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項9】
前記再生用空気の全量について、前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を再生用空気として使用する構成にしてある請求項2又は5記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項1】
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とをロータ回転方向で区画した状態に形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生する吸脱着式濃縮装置であって、
前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある吸脱着式濃縮装置。
【請求項2】
前記吸着ロータの回転域において前記再生域のロータ回転方向下手側でかつ前記処理域のロータ回転方向上手側にパージ域を区画形成し、前記吸着ロータの回転により吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却し、
このパージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として、再生用加熱手段により加熱するとともに、その加熱に続き前記再生用加湿手段により加湿した状態で前記再生域に通風する構成にしてある請求項1記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項3】
吸着剤を保持させた通気性の吸着ロータを設けるとともに、この吸着ロータの回転域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べる状態で区画形成し、この吸着ロータの回転より吸着ロータの回転方向における各部を前記処理域と前記再生域と前記パージ域とにその順で繰り返し通過させる構成にし、
前記処理域では、域内通過過程にあるロータ部分に処理対象空気を通風することで、その処理対象空気に含まれるガス状の除去対象物質を域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着材に吸着させて処理対象空気から分離除去し、
前記再生域では、域内通過過程にあるロータ部分に再生用空気を通風することで、そのロータ部分の保持吸着剤が前記処理域で吸着した除去対象物質を処理対象空気より小風量の再生用空気に脱着させて域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を再生し、
前記パージ域では、域内通過過程にあるロータ部分にパージ用空気を通風することで域内通過過程にあるロータ部分の保持吸着剤を冷却する吸脱着式濃縮装置であって、
前記パージ域に通風するパージ用空気を加湿するパージ用加湿手段を設けてある吸脱着式濃縮装置。
【請求項4】
前記パージ域に通風するパージ用空気を前記パージ用加湿手段による加湿の前に加熱するパージ用加熱手段を設けてある請求項3記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項5】
前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を前記再生用空気として再生用加熱手段により加熱した状態で前記再生域に通風する構成にしてある請求項3又は4記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項6】
前記パージ用加湿手段とは別に、前記再生域に通風する再生用空気を加湿する再生用加湿手段を設けてある請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項7】
前記再生用加湿手段又は前記パージ用加湿手段として気化式又は水噴霧式又は超音波式の加湿器を設けてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項8】
前記再生域に通風する再生用空気の温度を100℃未満の設定温度とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸脱着式濃縮装置。
【請求項9】
前記再生用空気の全量について、前記パージ域を通過した使用済のパージ用空気を再生用空気として使用する構成にしてある請求項2又は5記載の吸脱着式濃縮装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−61389(P2012−61389A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205800(P2010−205800)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】
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