説明

吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システム

【課題】処理容器に貯まったドレンを処理するための排水処理設備が不要となってシステムコストの削減を実現する。
【解決手段】処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を備え、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが並行して実施されるよう工程制御されると共に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、減圧工程側の処理容器に貯まったドレンを加温・加圧工程側の処理容器へ移送するドレン移送工程が実施されるよう工程制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、工場で使用されるトルエンやキシレン等の揮発性有機化合物の処理方法として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させることによって処理対象ガスから揮発性有機化合物を除去し、吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させ、その揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンの燃焼器で燃焼させる方法が開示されている。
【0003】
この特許文献1に記載の発明は、吸着剤を内蔵する処理容器(以下、塔と称す)を用意し、この塔において、1処理サイクル中に、吸着工程→加温・加圧工程→脱着工程→減圧工程→冷却工程(以下、吸着工程に戻る)の順番で各工程が実施されるように工程制御を行うことを基本原理としている。
【0004】
ここで、吸着工程とは、塔内に処理対象ガスを導入して吸着剤による揮発性有機化合物の吸着を行い、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガスを処理済みガスとして排出する工程を指す。加温・加圧工程とは、脱着工程の前処理として、塔内に水蒸気を導入して塔内の温度及び圧力を目標温度及び目標圧力まで上昇させる工程を指す。
【0005】
脱着工程とは、塔内に水蒸気を導入して吸着剤から揮発性有機化合物を脱着させ、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンへ送出する工程を指す。減圧工程とは、吸着工程の前処理として、塔内に残留する水蒸気を大気開放して塔内を大気圧まで減圧させる工程を指す。冷却工程とは、吸着工程の前処理として、塔内に冷却空気を導入して塔内を常温まで冷却させる工程を指す。
【0006】
また、従来では、複数の塔を使用する場合、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程を1バッチとし、1処理サイクル中で各塔のバッチが時間軸上で重ならないように工程制御を行う。従来では、このような複数塔の工程制御を行うことにより、揮発性有機化合物の連続処理を実現していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/019131号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
加温・加圧工程における塔内への水蒸気導入開始時点では、前工程の吸着操作時の通気により塔内が大気温度になっているため、水蒸気の塔内導入により水蒸気は冷却凝縮されてドレン化する。塔内に貯まったドレンは液化された揮発性有機化合物を含んでいるため、このドレンを塔内から外部へ抜き出して危険物として処理するための排水処理設備が必要となり、システムコストの増大を招く。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、処理容器に貯まったドレンを処理するための排水処理設備が不要となってシステムコストの削減を実現可能な吸脱着装置及び揮発性有機化合物処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、吸脱着装置に係る第1の解決手段として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を備え、1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが並行して実施されるよう工程制御されると共に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、減圧工程側の処理容器に貯まったドレンを加温・加圧工程側の処理容器へ移送するドレン移送工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、吸脱着装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記ドレン移送工程の実施後、前記加温・加圧工程側の処理容器に貯まったドレンを外部の熱交換器へ移送し、前記熱交換器における熱媒との熱交換によって加熱されたドレンを前記加温・加圧工程側の処理容器に再投入する加熱ドレン投入工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、吸脱着装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記加熱ドレン投入工程の実施後、前記減圧工程側の処理容器から前記加温・加圧工程側の処理容器への水蒸気の受け渡しによって両処理容器の均圧化を図る均圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、吸脱着装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記均圧工程の実施後、前記加温・加圧工程側の処理容器に水蒸気を投入して目標温度及び目標圧力まで加温及び加圧すると共に、前記減圧工程側の処理容器に残留する水蒸気を大気開放する最終調圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする。
【0014】
一方、本発明では、揮発性有機化合物処理システムに係る第1の解決手段として、吸脱着装置に係る第1の解決手段を有する吸脱着装置と、前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明では、揮発性有機化合物処理システムに係る第2の解決手段として、吸脱着装置に係る第2〜第4のいずれか1つの解決手段を有する吸脱着装置と、前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、前記燃焼装置の排ガスを熱媒とし、前記吸脱着装置から移送されるドレンを前記排ガスとの熱交換によって加熱し、加熱後のドレンを前記吸脱着装置に返送する熱交換器と、を具備することを特徴とする。
【0016】
また、本発明では、揮発性有機化合物処理システムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記燃焼装置から排出される排ガスの熱を利用して前記吸脱着装置に供給する水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理容器に貯まったドレンは、減圧工程側の処理容器と加温・加圧工程側の処理容器との間でやりとりされるだけで外部には排出されないため、処理容器に貯まったドレンを危険物として処理するための排水処理設備が不要となってシステムコストの削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。
【図2】吸脱着装置1の工程制御に用いるタイムスケジュールである。
【図3】図2中の期間T1における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図4】図2中の期間T2、T3における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図5】図2中の期間T4における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図6】図2中の期間T5、T6における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図7】図2中の期間T7における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図8】図2中の期間T8、T9における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図9】図2中の期間T10における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図10】図2中の期間T11、T12における各制御弁の開閉状態を示す図である。
【図11】本願発明者の試算結果に関する第1説明図である。
【図12】本願発明者の試算結果に関する第2説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの構成概略図である。この図1に示すように、本実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸脱着装置1、ガスタービン2、水蒸気生成装置3及び排ガス回収熱交換器4から構成されている。
【0020】
吸脱着装置1は、外部から供給される処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を内部の吸着剤に吸着させることによって処理対象ガスから揮発性有機化合物を除去し、吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる。吸着剤には、例えば活性炭が使用される。また、上記加圧環境は、後述の水蒸気生成装置3から水蒸気を吸脱着装置1に供給することによって実現される。
【0021】
この吸脱着装置1は、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガス(以下、処理済ガスと称す)を外部に排出すると共に、揮発性有機化合物が混合した水蒸気(以下、化合物混合水蒸気と称す)をガスタービン2へ送出する。また、吸脱着装置1には、図示するように吸着剤を冷却するための冷却空気が外部から供給される。
【0022】
詳細は後述するが、吸脱着装置1は、吸着剤を内蔵する4つの処理容器(以下、塔と称す)を有すると共に、これら塔の各々において、1処理サイクル中に、吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの塔の加温・加圧工程と減圧工程とが並行して(重なって)実施されるよう工程制御される。さらに、本実施形態の吸脱着装置1は、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施されるよう工程制御される。
【0023】
ここで、ドレン移送工程とは、減圧工程側の塔に貯まっているドレンを加温・加圧工程側の塔へ移送して塔内部に噴霧する工程を指す。また、加熱ドレン投入工程とは、上記ドレン移送工程の実施後に、加温・加圧工程側の塔に貯まったドレンを排ガス回収熱交換器4へ移送し、ガスタービン2の排ガスとの熱交換によって加熱されたドレン(加熱ドレン)を加温・加圧工程側の塔に再投入して塔内部に噴霧する工程を指す。
【0024】
また、均圧工程とは、上記加熱ドレン投入工程の実施後に、減圧工程側の塔から加温・加圧工程側の塔への水蒸気の受け渡しによって両塔の均圧化を図る工程を指す。また、最終調圧工程とは、上記均圧工程の実施後に、加温・加圧工程側の塔に水蒸気を投入して目標温度及び目標圧力まで加温及び加圧すると共に、減圧工程側の塔に残留する水蒸気を大気開放して大気圧まで減圧させる工程を指す。なお、このような吸脱着装置1における工程制御は、以下で説明するように、各塔の付帯制御弁と共用制御弁の開閉状態の制御によって実現されるものである。
【0025】
具体的には、吸脱着装置1は、第1塔10、第2塔20、第3塔30、第4塔40と、処理対象ガス供給弁11、21、31、41と、処理済みガス排出弁12、22、32、42と、水蒸気供給弁13、23、33、43と、水蒸気排出弁14、24、34、44と、冷却空気供給弁15、25、35、45と、均圧弁16、26、36、46と、ドレン排出弁17、27、37、47と、ドレン供給弁18、28、38、48と、均圧蒸気放蒸弁50と、ドレン回収遮断弁60と、ドレン抜き弁70と、加熱ドレン制御弁80と、水蒸気バイパス制御弁90と、水蒸気流量制御弁100とから構成されている。
【0026】
上記構成要素の内、符号が10番台の弁は第1塔10の付帯制御弁であり、符号が20番台の弁は第2塔20の付帯制御弁であり、符号が30番台の弁は第3塔30の付帯制御弁であり、符号が40番台の弁は第4塔40の付帯制御弁である。また、均圧蒸気放蒸弁50、ドレン回収遮断弁60、ドレン抜き弁70、加熱ドレン制御弁80、水蒸気バイパス制御弁90及び水蒸気流量制御弁100は、各塔の共用制御弁である。
【0027】
第1塔10、第2塔20、第3塔30及び第4塔40は、それぞれ内部に吸着剤が密閉状態で設置された処理容器である。これら第1塔10、第2塔20、第3塔30及び第4塔40は、処理対象ガス供給ラインL1、処理済みガス排出ラインL2、水蒸気供給ラインL3、水蒸気排出ラインL4、冷却空気供給ラインL5、均圧蒸気ラインL6、ドレン排出ラインL7及びドレン供給ラインL10に対して並列に配置されている。
【0028】
処理対象ガス供給弁11は、第1塔10の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給ラインL1との間に配置された制御弁であり、第1塔10への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁21は、第2塔20の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給ラインL1との間に配置された制御弁であり、第2塔20への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁31は、第3塔30の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給ラインL1との間に配置された制御弁であり、第3塔30への処理対象ガスの供給/遮断を行う。処理対象ガス供給弁41は、第4塔40の処理対象ガス入口と処理対象ガス供給ラインL1との間に配置された制御弁であり、第4塔40への処理対象ガスの供給/遮断を行う。
【0029】
処理済みガス排出弁12は、第1塔10の処理済みガス出口と処理済みガス排出ラインL2との間に配置された制御弁であり、第1塔10からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁22は、第2塔20の処理済みガス出口と処理済みガス排出ラインL2との間に配置された制御弁であり、第2塔20からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁32は、第3塔30の処理済みガス出口と処理済みガス排出ラインL2との間に配置された制御弁であり、第3塔30からの処理済みガスの排出/遮断を行う。処理済みガス排出弁42は、第4塔40の処理済みガス出口と処理済みガス排出ラインL2との間に配置された制御弁であり、第4塔40からの処理済みガスの排出/遮断を行う。
【0030】
水蒸気供給弁13は、第1塔10の水蒸気入口と水蒸気供給ラインL3との間に配置された制御弁であり、第1塔10への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁23は、第2塔20の水蒸気入口と水蒸気供給ラインL3との間に配置された制御弁であり、第2塔20への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁33は、第3塔30の水蒸気入口と水蒸気供給ラインL3との間に配置された制御弁であり、第3塔30への水蒸気の供給/遮断を行う。水蒸気供給弁43は、第4塔40の水蒸気入口と水蒸気供給ラインL3との間に配置された制御弁であり、第4塔40への水蒸気の供給/遮断を行う。
【0031】
水蒸気排出弁14は、第1塔10の水蒸気出口と水蒸気排出ラインL4との間に配置された制御弁であり、第1塔10からの水蒸気(揮発性有機化合物を含む水蒸気:化合物混合水蒸気)の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁24は、第2塔20の水蒸気出口と水蒸気排出ラインL4との間に配置された制御弁であり、第2塔20からの化合物混合水蒸気の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁34は、第3塔30の水蒸気出口と水蒸気排出ラインL4との間に配置された制御弁であり、第3塔30からの化合物混合水蒸気の排出/遮断を行う。水蒸気排出弁44は、第4塔40の水蒸気出口と水蒸気排出ラインL4との間に配置された制御弁であり、第4塔40からの化合物混合水蒸気の排出/遮断を行う。
【0032】
冷却空気供給弁15は、第1塔10の冷却空気入口と冷却空気供給ラインL5との間に配置された制御弁であり、第1塔10への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁25は、第2塔20の冷却空気入口と冷却空気供給ラインL5との間に配置された制御弁であり、第2塔20への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁35は、第3塔30の冷却空気入口と冷却空気供給ラインL5との間に配置された制御弁であり、第3塔30への冷却空気の供給/遮断を行う。冷却空気供給弁45は、第4塔40の冷却空気入口と冷却空気供給ラインL5との間に配置された制御弁であり、第4塔40への冷却空気の供給/遮断を行う。
【0033】
均圧弁16は、第1塔10の均圧蒸気出入口と均圧蒸気ラインL6との間に配置された制御弁である。均圧弁26は、第2塔20の均圧蒸気出入口と均圧蒸気ラインL6との間に配置された制御弁である。均圧弁36は、第3塔30の均圧蒸気出入口と均圧蒸気ラインL6との間に配置された制御弁である。均圧弁46は、第4塔40の均圧蒸気出入口と均圧蒸気ラインL6との間に配置された制御弁である。これら均圧弁16、26、36、46は、減圧工程側の塔から加温・加圧工程側の塔への水蒸気の受け渡しを行うために用いられる制御弁である。
【0034】
ドレン排出弁17は、第1塔10のドレン出口とドレン排出ラインL7との間に配置された制御弁であり、第1塔10からのドレンの排出/遮断を行う。ドレン排出弁27は、第2塔20のドレン出口とドレン排出ラインL7との間に配置された制御弁であり、第2塔20からのドレンの排出/遮断を行う。ドレン排出弁37は、第3塔30のドレン出口とドレン排出ラインL7との間に配置された制御弁であり、第3塔30からのドレンの排出/遮断を行う。ドレン排出弁47は、第4塔40のドレン出口とドレン排出ラインL7との間に配置された制御弁であり、第4塔40からのドレンの排出/遮断を行う。
【0035】
ドレン供給弁18は、第1塔10のドレン入口とドレン供給ラインL10との間に配置された制御弁であり、第1塔10へのドレンの供給/遮断を行う。ドレン供給弁28は、第2塔20のドレン入口とドレン供給ラインL10との間に配置された制御弁であり、第2塔20へのドレンの供給/遮断を行う。ドレン供給弁38は、第3塔30のドレン入口とドレン供給ラインL10との間に配置された制御弁であり、第3塔30へのドレンの供給/遮断を行う。ドレン供給弁48は、第4塔40のドレン入口とドレン供給ラインL10との間に配置された制御弁であり、第4塔40へのドレンの供給/遮断を行う。
【0036】
均圧蒸気放蒸弁50は、均圧蒸気ラインL6を大気開放させるために用いられる制御弁である。ドレン回収遮断弁60は、ドレン排出ラインL7に排出されたドレンを、第1ドレン移送ラインL8を介してドレン供給ラインL10へ移送するために用いられる制御弁である。ドレン抜き弁70は、ドレン排出ラインL7に排出されたドレンを吸脱着装置1の外部へ抜き出して排ガス回収熱交換器4へ送るために用いられる制御弁である。加熱ドレン制御弁80は、排ガス回収熱交換器4から第2ドレン移送ラインL9を介して移送されたドレン(高温の加熱ドレン)をドレン供給ラインL10へ送るために用いられる制御弁である。
【0037】
水蒸気バイパス制御弁90は、水蒸気供給ラインL3と水蒸気排出ラインL4との間に配置された制御弁であり、吸脱着装置1に供給される水蒸気の一部を第1塔10〜第4塔40を経由することなく水蒸気排出ラインL4に直接送るためのものである。水蒸気流量制御弁100は、水蒸気排出ラインL4とガスタービン2との間に配置された制御弁であり、ガスタービン2への水蒸気(水蒸気バイパス制御弁90を経由して送られる水蒸気、或いは各塔から排出される化合物混合水蒸気)の供給流量を規定するものである。
【0038】
ガスタービン2は、空気を加圧する圧縮機201と、加圧された空気に燃料ガスを供給して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器202と、燃焼ガスの運動エネルギおよび圧力エネルギによって回転駆動されて圧縮機201および外部の負荷5の駆動力を発生するタービン203とを備えている。このガスタービン2は、吸脱着装置1から供給される化合物混合水蒸気を加圧状態のまま燃焼器202の燃焼領域に供給し、燃料ガスとともに燃焼させる。負荷5は例えば発電機である。なお、吸脱着装置1から排出される揮発性有機化合物と水蒸気との混合流体、つまり化合物混合水蒸気を燃焼させる燃焼装置であれば、ガスタービン2に限定されず、ボイラ等の他の燃焼装置を用いても良い。
【0039】
水蒸気生成装置3は、ガスタービン2から排出される排ガスの熱を利用して水蒸気を生成する一種の熱交換器である。この水蒸気生成装置3は、例えば排熱回収ボイラである。水蒸気生成装置3で生成された加圧状態の水蒸気は、工場のプロセス用として他の設備に供給されると共に、水蒸気供給ラインL3を介して吸脱着装置1に供給される。排ガス回収熱交換器4は、吸脱着装置1からドレン抜き弁70を介して排出されるドレンを、ガスタービン2から排出される排ガスの熱を利用して加熱する熱交換器である。排ガス回収熱交換器4で加熱されたドレン(加熱ドレン)は、第2ドレン移送ラインL9を介して吸脱着装置1へ移送される。
【0040】
続いて、上記のように構成された本実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムを用いて処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を処理する方法について説明する。
【0041】
吸脱着装置1に設けられた各制御弁は、図2に示すタイムスケジュールに従って開閉状態が制御される。つまり、第1塔10においては、図中の期間T1で加温・加圧工程が、期間T2、T3で脱着工程が、期間T4で減圧工程が、期間T5で冷却工程が、期間T6〜T12で吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。また、第2塔20においては、期間T4で加温・加圧工程が、期間T5、T6で脱着工程が、期間T7で減圧工程が、期間T8で冷却工程が、期間T9〜T12、T1〜T3で吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。
【0042】
また、第3塔30においては、期間T7で加温・加圧工程が、期間T8、T9で脱着工程が、期間T10で減圧工程が、期間T11で冷却工程が、期間T12、T1〜T6で吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。さらに、第4塔40においては、期間T10で加温・加圧工程が、期間T11、T12で脱着工程が、期間T1で減圧工程が、期間T2で冷却工程が、期間T3〜T9で吸着工程が実施されるように各制御弁の開閉状態が制御される。
【0043】
このように、各塔において、1処理サイクル中に、吸着工程→加温・加圧工程→脱着工程→減圧工程→冷却工程(以下、吸着工程に戻る)の順番で各工程が実施され、且つ2つの塔について一方の加温・加圧工程と他方の減圧工程とが時間軸上で並列して実施されるように工程制御されることになる。図3〜図10は、1処理サイクルにおける各制御弁の開閉状態の変化を示している。これら図3〜図10の表内において、白抜き表示の制御弁は「閉状態」にあり、斜線ハッチング表示の制御弁は「開状態」にあるものとする。
【0044】
図3は、1処理サイクル中の期間T1における各制御弁の開閉状態を示している。この図3に示すように、本実施形態では、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施されるよう、各制御弁の開閉状態が制御される。
【0045】
この期間T1のドレン移送工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、ドレン供給弁18が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜17は「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁21及び処理済みガス排出弁22が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁23〜28は「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁31及び処理済みガス排出弁32が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁33〜38は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、ドレン排出弁47が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜46、48は「閉状態」に制御される。さらに、共用制御弁の内、ドレン回収遮断弁60が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、70〜90は「閉状態」に制御される。
【0046】
これにより、第2塔20及び第3塔30には、処理対象ガス供給弁21、31を介して揮発性有機化合物を含む処理対象ガスが導入され、吸着剤による揮発性有機化合物の吸着処理が行われる。そして、揮発性有機化合物が除去された処理対象ガスは、処理済みガスとして処理済みガス排出弁22、32及び処理済みガス排出ラインL2を介して第2塔20及び第3塔30から外部へ排出される。
【0047】
また、減圧工程の前工程である脱着工程中に第4塔40内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁47を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン回収遮断弁60、第1ドレン移送ラインL8、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁18を介して第1塔10へ移送される。第1塔10内の頂部には液体噴霧装置(図示省略)が設置されており、第1塔10に移送されたドレンは、この液体噴霧装置によって塔内に噴霧される。液体噴霧装置によって塔内に噴霧されたドレンはフラッシュ蒸気となって塔内に充満し、塔内の内壁及び吸着剤を加温する。
【0048】
例えば、図11(a)に示すように、ドレン移送工程の開始時において、第4塔40の内部に1.5MPa、198°C、48kgの飽和蒸気が残留し、塔内底部に1.5MPa、198°C、318kgのドレンが貯まっているものと仮定する(第1塔10の内部は大気圧でドレン無しの状態)。本願発明者の試算では、上述したドレン移送工程の実施によって、第4塔40から第1塔10へのドレンの移送及び塔内への噴霧が行われると、図11(b)に示すように、第1塔10の内部に0.15MPa、111°C、5kgの飽和蒸気(フラッシュ蒸気)が充満し、フラッシュ蒸気の一部が冷えて凝縮し、塔内底部に0.15MPa、111°C、313kgのドレンが貯まることになる。
【0049】
続いて、図3に戻り、期間T1の加熱ドレン投入工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、ドレン排出弁17及びドレン供給弁18が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜16は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の全ての付帯制御弁41〜48が「閉状態」に制御される。第2塔20及び第3塔30の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、ドレン抜き弁70及び加熱ドレン制御弁80が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、60、90は「閉状態」に制御される。
【0050】
これにより、ドレン移送工程の実施によって第1塔10内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁17を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン抜き弁70を介して排ガス回収熱交換器4へ送られる。排ガス回収熱交換器4においてガスタービン2の排ガスとの熱交換によって加熱されたドレン(加熱ドレン)は、第2ドレン移送ラインL9、加熱ドレン制御弁80、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁18を介して第1塔10へ投入される。
【0051】
第1塔10内に投入された加熱ドレンは、液体噴霧装置によって塔内に再び噴霧され、塔内はより一層加温される。第1塔10内に噴霧された加熱ドレンは塔底部に再びドレンとして貯まるが、上述した経路で再び排ガス回収熱交換器4を経由した後、第1塔10内に加熱ドレンとして再投入される。このようなドレンの循環によって、最終的には第1塔10の内部温度(吸着剤を含む)及び塔底部に貯まるドレンの温度は、ほぼガスタービン2の排ガス温度に近くなる。
【0052】
本願発明者の試算では、ガスタービン2の排ガスと加熱ドレンについて、図12(a)に示すような交換熱量対温度特性を想定すると、第1塔10から排ガス回収熱交換器4へ送られたドレンは、ガスタービン2の排ガス(温度145°C)との熱交換によって130°C、0.5MPaの加熱ドレンとなって第1塔10内へ再投入され、図12(b)に示すように加熱ドレン投入工程の開始から約500秒後に塔内温度は125°Cで平衡状態となる。そして、最終的には、図11(c)に示すように、第1塔10の内部に0.23MPa、125°C、10kgの飽和蒸気が充満し、フラッシュ蒸気の一部が冷えて凝縮し、塔内底部に0.23MPa、125°C、303kgのドレンが貯まることになる。
【0053】
続いて、図3に戻り、期間T1の均圧工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、均圧弁16が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜15、17、18は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、均圧弁46が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜45、47、48は「閉状態」に制御される。第2塔20及び第3塔30の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、全ての共用制御弁50〜90は「閉状態」に制御される。
【0054】
これにより、第1塔10と第4塔40との内部圧力差によって、第4塔40内の水蒸気の一部が均圧蒸気ラインL6を介して第1塔10へ供給され、第1塔10での加温・加圧処理に補助的に利用される。このような均圧蒸気ラインL6を介しての水蒸気の受け渡しは、第1塔10と第4塔40との内部圧力差がなくなるまで継続する。
【0055】
本願発明者の試算では、上記の均圧工程の実施により、図11(d)に示すように、第4塔40の内部に0.76MPa、169°C、25kgの飽和蒸気が残留し、第1塔10の内部に0.71MPa、166°C、24kgの飽和蒸気が充満し、塔内底部に0.71MPa、166°C、312kgのドレンが貯まることになる。このように、厳密には両塔の内部圧力、内部温度は完全に一致することはない。
【0056】
続いて、図3に戻り、期間T1の最終調圧工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁13が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11、12、14〜18は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、均圧弁46が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜45、47、48は「閉状態」に制御される。第2塔20及び第3塔30の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、均圧蒸気放蒸弁50が「開状態」に制御され、他の共用制御弁60〜90は「閉状態」に制御される。
【0057】
これにより、図11(e)に示すように、第4塔40内に残っていた25kgの水蒸気は均圧蒸気ラインL6を介して全て大気に開放され、第4塔40は完全に大気圧まで減圧されて減圧工程が完了する。また、図11(e)に示すように、第1塔10には水蒸気供給ラインL3を介して水蒸気生成装置3から1.5MPa、198°C、33kgの水蒸気が供給され、第1塔10は完全に目標温度及び目標圧力まで加温・加圧されて加温・加圧工程が完了する。最終的には、第1塔10の内部に1.5MPa、198°C、48kgの飽和蒸気が充満し、塔内底部に1.5MPa、198°C、318kgのドレンが貯まることになる。
【0058】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T1では、第1塔10及び第4塔40において加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施され、第2塔20及び第3塔30において吸着工程が継続して実施されることになる。
ここで、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の実施によって、ドレン移送工程の開始時に第4塔40に貯まっていた1.5MPa、198°C、318kgのドレンが、最終調圧工程の終了時には完全に第1塔10へ移動したことに留意されたい。
【0059】
図4は、1処理サイクル中の期間T2、T3における各制御弁の開閉状態を示している。期間T2では、第1塔10の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁13及び水蒸気排出弁14が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11、12、15〜18は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、処理済みガス排出弁42及び冷却空気供給弁45が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41、43、44、46〜48は「閉状態」に制御される。第2塔20及び第3塔30の付帯制御弁については期間T1と同様である。さらに、共用制御弁の内、水蒸気バイパス制御弁90が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50〜80は「閉状態」に制御される。
【0060】
これにより、第1塔10には、水蒸気供給弁13を介して水蒸気が導入されて、吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着処理が行われる。吸着剤から脱着された揮発性有機化合物は水蒸気と混合し、化合物混合水蒸気として水蒸気排出弁14を介して第1塔10からガスタービン2へ送出される。なお、水蒸気排出弁14の開度を徐々に大きくすることにより、ガスタービン2へ供給される化合物混合水蒸気の流量(脱着流量)が、ガスタービン2で許容される最大許容脱着流量を越えないようにしている。
【0061】
また、第4塔40には、冷却空気供給弁45を介して冷却空気が導入されて内部温度が常温になるよう冷却処理が行われる。第4塔40の冷却に使用された冷却空気は、処理済みガス排出弁42を介して外部に排出される。第2塔20及び第3塔30では、期間T1と同様に、吸着工程が継続して実施される。なお、水蒸気バイパス制御弁90は、第1塔10へ導入される水蒸気量が、2/3(t/h)+ドレン発生量分となるよう全開状態から徐々に開度が絞られる。
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T2では、第1塔10にて脱着工程が、第4塔40にて冷却工程が、第2塔20及び第3塔30にて吸着工程が実施されることになる。
【0062】
続いて、期間T3では、第4塔40の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁41及び処理済みガス排出弁42が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁43〜48は「閉状態」に制御される。第1塔10、第2塔20及び第3塔30の付帯制御弁の開閉状態は期間T2と同じである。このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T3では、第1塔10にて脱着工程が、第2塔20、第3塔30及び第4塔40にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0063】
図5は、1処理サイクル中の期間T4における各制御弁の開閉状態を示している。この期間T4では、期間T1と同様に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施されるよう、各制御弁の開閉状態が制御される。
【0064】
この期間T4のドレン移送工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、ドレン排出弁17が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜16、18は「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、ドレン供給弁28が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜27は「閉状態」に制御される。第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁の開閉状態は期間T3と同じである。さらに、共用制御弁の内、ドレン回収遮断弁60が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、70〜90は「閉状態」に制御される。
【0065】
これにより、減圧工程の前工程である脱着工程中に第1塔10内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁17を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン回収遮断弁60、第1ドレン移送ラインL8、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁28を介して第2塔20へ移送される。第2塔20内の頂部にも液体噴霧装置(図示省略)が設置されており、第2塔20に移送されたドレンは液体噴霧装置によって塔内に噴霧される。このようなドレンの噴霧によって第2塔20の内部の内壁及び吸着剤が加温される。
【0066】
続いて、期間T4の加熱ドレン投入工程では、第1塔10の全ての付帯制御弁11〜18が「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、ドレン排出弁27及びドレン供給弁28が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜26は「閉状態」に制御される。第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、ドレン抜き弁70及び加熱ドレン制御弁80が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、60、90は「閉状態」に制御される。
【0067】
これにより、ドレン移送工程の実施によって第2塔20内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁27を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン抜き弁70を介して排ガス回収熱交換器4へ送られる。排ガス回収熱交換器4においてガスタービン2の排ガスとの熱交換によって加熱されたドレン(加熱ドレン)は、第2ドレン移送ラインL9、加熱ドレン制御弁80、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁28を介して第2塔20へ投入される。
【0068】
第2塔20内に投入された加熱ドレンは、液体噴霧装置によって塔内に再び噴霧され、塔内はより一層加温される。第2塔20内に噴霧された加熱ドレンは塔底部に再びドレンとして貯まるが、上述した経路で再び排ガス回収熱交換器4を経由した後、第2塔20内に加熱ドレンとして再投入される。このようなドレンの循環によって、最終的には第2塔20の内部温度(吸着剤を含む)及び塔底部に貯まるドレンの温度は、ほぼガスタービン2の排ガス温度に近くなる。
【0069】
続いて、期間T4の均圧工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、均圧弁16が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜15、17、18は「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、均圧弁26が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜25、27、28は「閉状態」に制御される。第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、全ての共用制御弁50〜90は「閉状態」に制御される。
【0070】
これにより、第1塔10と第2塔20との内部圧力差によって、第1塔10内の水蒸気の一部が均圧蒸気ラインL6を介して第2塔20へ供給され、第2塔20での加温・加圧処理に補助的に利用される。このような均圧蒸気ラインL6を介しての水蒸気の受け渡しは、第1塔10と第2塔20との内部圧力差がなくなるまで継続する。なお、厳密には両塔の内部圧力及び内部温度は完全に一致することはない。
【0071】
続いて、期間T4の最終調圧工程では、第1塔10の付帯制御弁の内、均圧弁16が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11〜15、17、18は「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁23が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21、22、24〜28は「閉状態」に制御される。第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、均圧蒸気放蒸弁50が「開状態」に制御され、他の共用制御弁60〜90は「閉状態」に制御される。
【0072】
これにより、第1塔10内に残っていた水蒸気は均圧蒸気ラインL6を介して全て大気に開放され、第1塔10は完全に大気圧まで減圧されて減圧工程が完了する。また、第2塔20には水蒸気供給ラインL3を介して水蒸気生成装置3から水蒸気が供給され、第2塔20は完全に目標温度及び目標圧力まで加温・加圧されて加温・加圧工程が完了する。
【0073】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T4では、第1塔10及び第2塔20において加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施され、第3塔30及び第4塔40において吸着工程が継続して実施されることになる。なお、吸着工程の詳細については既に述べたので説明を省略する。
このように、この期間T4においても、期間T1と同様、ドレン移送工程の開始時に第1塔10に貯まっていた1.5MPa、198°C、318kgのドレンが、最終調圧工程の終了時には完全に第2塔20へ移動したことになる。
【0074】
図6は、1処理サイクル中の期間T5、T6における各制御弁の開閉状態を示している。期間T5では、第1塔10の付帯制御弁の内、処理済みガス排出弁12及び冷却空気供給弁15が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁11、13、14、16〜18は「閉状態」に制御される。また、第2塔20の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁23及び水蒸気排出弁24が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21、22、25〜28は「閉状態」に制御される。第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁については期間T4と同様である。さらに、共用制御弁の内、水蒸気バイパス制御弁90が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50〜80は「閉状態」に制御される。
【0075】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T5では、第1塔10にて冷却工程が、第2塔20にて脱着工程が、第3塔30及び第4塔40にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0076】
続いて、期間T6では、第1塔10の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁11及び処理済みガス排出弁12が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁13〜18は「閉状態」に制御される。第2塔20、第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁の開閉状態は期間T5と同じである。このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T6では、第2塔20にて脱着工程が、第1塔10、第3塔30及び第4塔40にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0077】
図7は、1処理サイクル中の期間T7における各制御弁の開閉状態を示している。この期間T7では、期間T1と同様に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施されるよう、各制御弁の開閉状態が制御される。
【0078】
この期間T7のドレン移送工程では、第2塔20の付帯制御弁の内、ドレン排出弁27が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜26、28は「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、ドレン供給弁38が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜37は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第4塔40の付帯制御弁の開閉状態は期間T6と同じである。さらに、共用制御弁の内、ドレン回収遮断弁60が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、70〜90は「閉状態」に制御される。
【0079】
これにより、減圧工程の前工程である脱着工程中に第2塔20内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁27を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン回収遮断弁60、第1ドレン移送ラインL8、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁38を介して第3塔30へ移送される。第3塔30内の頂部にも液体噴霧装置(図示省略)が設置されており、第3塔30に移送されたドレンは液体噴霧装置によって塔内に噴霧される。このようなドレンの噴霧によって第3塔30の内部の内壁及び吸着剤が加温される。
【0080】
続いて、期間T7の加熱ドレン投入工程では、第2塔20の全ての付帯制御弁21〜28が「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、ドレン排出弁37及びドレン供給弁38が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜36は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、ドレン抜き弁70及び加熱ドレン制御弁80が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、60、90は「閉状態」に制御される。
【0081】
これにより、ドレン移送工程の実施によって第3塔30内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁37を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン抜き弁70を介して排ガス回収熱交換器4へ送られる。排ガス回収熱交換器4においてガスタービン2の排ガスとの熱交換によって加熱されたドレン(加熱ドレン)は、第2ドレン移送ラインL9、加熱ドレン制御弁80、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁38を介して第3塔30へ投入される。
【0082】
第3塔30内に投入された加熱ドレンは、液体噴霧装置によって塔内に再び噴霧され、塔内はより一層加温される。第3塔30内に噴霧された加熱ドレンは塔底部に再びドレンとして貯まるが、上述した経路で再び排ガス回収熱交換器4を経由した後、第3塔30内に加熱ドレンとして再投入される。このようなドレンの循環によって、最終的には第3塔30の内部温度(吸着剤を含む)及び塔底部に貯まるドレンの温度は、ほぼガスタービン2の排ガス温度に近くなる。
【0083】
続いて、期間T7の均圧工程では、第2塔20の付帯制御弁の内、均圧弁26が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜25、27、28は「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、均圧弁36が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜35、37、38は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、全ての共用制御弁50〜90は「閉状態」に制御される。
【0084】
これにより、第2塔20と第3塔30との内部圧力差によって、第2塔20内の水蒸気の一部が均圧蒸気ラインL6を介して第3塔30へ供給され、第3塔30での加温・加圧処理に補助的に利用される。このような均圧蒸気ラインL6を介しての水蒸気の受け渡しは、第2塔20と第3塔30との内部圧力差がなくなるまで継続する。なお、厳密には両塔の内部圧力及び内部温度は完全に一致することはない。
【0085】
続いて、期間T7の最終調圧工程では、第2塔20の付帯制御弁の内、均圧弁26が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21〜25、27、28は「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁33が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31、32、34〜38は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第4塔40の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、均圧蒸気放蒸弁50が「開状態」に制御され、他の共用制御弁60〜90は「閉状態」に制御される。
【0086】
これにより、第2塔20内に残っていた水蒸気は均圧蒸気ラインL6を介して全て大気に開放され、第2塔20は完全に大気圧まで減圧されて減圧工程が完了する。また、第3塔30には水蒸気供給ラインL3を介して水蒸気生成装置3から水蒸気が供給され、第3塔30は完全に目標温度及び目標圧力まで加温・加圧されて加温・加圧工程が完了する。
【0087】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T7では、第2塔20及び第3塔30において加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施され、第1塔10及び第4塔40において吸着工程が継続して実施されることになる。なお、吸着工程の詳細については既に述べたので説明を省略する。
このように、この期間T7においても、期間T1と同様、ドレン移送工程の開始時に第2塔20に貯まっていた1.5MPa、198°C、318kgのドレンが、最終調圧工程の終了時には完全に第3塔30へ移動したことになる。
【0088】
図8は、1処理サイクル中の期間T8、T9における各制御弁の開閉状態を示している。期間T8では、第2塔20の付帯制御弁の内、処理済みガス排出弁22及び冷却空気供給弁25が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁21、23、24、26〜28は「閉状態」に制御される。また、第3塔30の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁33及び水蒸気排出弁34が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31、32、35〜38は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第4塔40の付帯制御弁については期間T7と同様である。さらに、共用制御弁の内、水蒸気バイパス制御弁90が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50〜80は「閉状態」に制御される。
【0089】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T8では、第2塔20にて冷却工程が、第3塔30にて脱着工程が、第1塔10及び第4塔40にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0090】
続いて、期間T9では、第2塔20の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁21及び処理済みガス排出弁22が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁23〜28は「閉状態」に制御される。第1塔10、第3塔30及び第4塔40の付帯制御弁の開閉状態は期間T8と同じである。このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T9では、第3塔30にて脱着工程が、第1塔10、第2塔20及び第4塔40にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0091】
図9は、1処理サイクル中の期間T10における各制御弁の開閉状態を示している。この期間T10では、期間T1と同様に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施されるよう、各制御弁の開閉状態が制御される。
【0092】
この期間T10のドレン移送工程では、第3塔30の付帯制御弁の内、ドレン排出弁37が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜36、38は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、ドレン供給弁48が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜47は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第2塔20の付帯制御弁の開閉状態は期間T9と同じである。さらに、共用制御弁の内、ドレン回収遮断弁60が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、70〜90は「閉状態」に制御される。
【0093】
これにより、減圧工程の前工程である脱着工程中に第3塔30内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁37を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン回収遮断弁60、第1ドレン移送ラインL8、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁48を介して第4塔40へ移送される。第4塔40内の頂部にも液体噴霧装置(図示省略)が設置されており、第4塔40に移送されたドレンは液体噴霧装置によって塔内に噴霧される。このようなドレンの噴霧によって第4塔40の内部の内壁及び吸着剤が加温される。
【0094】
続いて、期間T10の加熱ドレン投入工程では、第3塔30の全ての付帯制御弁31〜38が「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、ドレン排出弁47及びドレン供給弁48が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜46は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第2塔20の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、ドレン抜き弁70及び加熱ドレン制御弁80が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50、60、90は「閉状態」に制御される。
【0095】
これにより、ドレン移送工程の実施によって第4塔40内の底部に貯まったドレンは、ドレン排出弁47を介してドレン排出ラインL7へ排出された後、ドレン抜き弁70を介して排ガス回収熱交換器4へ送られる。排ガス回収熱交換器4においてガスタービン2の排ガスとの熱交換によって加熱されたドレン(加熱ドレン)は、第2ドレン移送ラインL9、加熱ドレン制御弁80、ドレン供給ラインL10及びドレン供給弁48を介して第4塔40へ投入される。
【0096】
第4塔40内に投入された加熱ドレンは、液体噴霧装置によって塔内に再び噴霧され、塔内はより一層加温される。第4塔40内に噴霧された加熱ドレンは塔底部に再びドレンとして貯まるが、上述した経路で再び排ガス回収熱交換器4を経由した後、第4塔40内に加熱ドレンとして再投入される。このようなドレンの循環によって、最終的には第4塔40の内部温度(吸着剤を含む)及び塔底部に貯まるドレンの温度は、ほぼガスタービン2の排ガス温度に近くなる。
【0097】
続いて、期間T10の均圧工程では、第3塔30の付帯制御弁の内、均圧弁36が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜35、37、38は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、均圧弁46が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41〜45、47、48は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第2塔20の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、全ての共用制御弁50〜90は「閉状態」に制御される。
【0098】
これにより、第3塔30と第4塔40との内部圧力差によって、第3塔30内の水蒸気の一部が均圧蒸気ラインL6を介して第4塔40へ供給され、第4塔40での加温・加圧処理に補助的に利用される。このような均圧蒸気ラインL6を介しての水蒸気の受け渡しは、第3塔30と第4塔40との内部圧力差がなくなるまで継続する。なお、厳密には両塔の内部圧力及び内部温度は完全に一致することはない。
【0099】
続いて、期間T10の最終調圧工程では、第3塔30の付帯制御弁の内、均圧弁36が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31〜35、37、38は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁43が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41、42、44〜48は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第2塔20の付帯制御弁についてはドレン移送工程と同様である。さらに、共用制御弁の内、均圧蒸気放蒸弁50が「開状態」に制御され、他の共用制御弁60〜90は「閉状態」に制御される。
【0100】
これにより、第3塔30内に残っていた水蒸気は均圧蒸気ラインL6を介して全て大気に開放され、第3塔30は完全に大気圧まで減圧されて減圧工程が完了する。また、第4塔40には水蒸気供給ラインL3を介して水蒸気生成装置3から水蒸気が供給され、第4塔40は完全に目標温度及び目標圧力まで加温・加圧されて加温・加圧工程が完了する。
【0101】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T10では、第3塔30及び第4塔40において加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、ドレン移送工程、加熱ドレン投入工程、均圧工程及び最終調圧工程の4つの工程が順番に実施され、第1塔10及び第2塔20において吸着工程が継続して実施されることになる。なお、吸着工程の詳細については既に述べたので説明を省略する。
このように、この期間T10においても、期間T1と同様、ドレン移送工程の開始時に第3塔30に貯まっていた1.5MPa、198°C、318kgのドレンが、最終調圧工程の終了時には完全に第4塔40へ移動したことになる。
【0102】
図10は、1処理サイクル中の期間T11、T12における各制御弁の開閉状態を示している。期間T11では、第3塔30の付帯制御弁の内、処理済みガス排出弁32及び冷却空気供給弁35が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁31、33、34、36〜38は「閉状態」に制御される。また、第4塔40の付帯制御弁の内、水蒸気供給弁43及び水蒸気排出弁44が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁41、42、45〜48は「閉状態」に制御される。第1塔10及び第2塔20の付帯制御弁については期間T10と同様である。さらに、共用制御弁の内、水蒸気バイパス制御弁90が「開状態」に制御され、他の共用制御弁50〜80は「閉状態」に制御される。
【0103】
このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T11では、第3塔30にて冷却工程が、第4塔40にて脱着工程が、第1塔10及び第2塔20にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0104】
続いて、期間T12では、第3塔30の付帯制御弁の内、処理対象ガス供給弁31及び処理済みガス排出弁32が「開状態」に制御され、他の付帯制御弁33〜38は「閉状態」に制御される。第1塔10、第2塔20及び第4塔40の付帯制御弁の開閉状態は期間T11と同じである。このように各制御弁の開閉状態が制御されることにより、期間T12では、第4塔40にて脱着工程が、第1塔10、第2塔20及び第3塔30にて吸着工程が実施される。各工程の詳細については既に述べたので、以下での説明は省略する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、塔に貯まったドレンは、減圧工程側の塔と加温・加圧工程側の塔との間でやりとりされるだけで外部には排出されないため、塔に貯まったドレンを危険物として処理するための排水処理設備が不要となってシステムコストの削減を実現することができる。
【0106】
また、本実施形態では、加温・加圧工程と減圧工程の実施時において、加温・加圧工程側及び減圧工程側の均圧弁の開放による均圧工程を同時に実施して、従来では減圧工程時に外部に排出・廃棄していた塔内の水蒸気の一部(全体の約1/2)を、加温・加圧工程側の塔内の加温・加圧に利用するため、新たに必要となる加温・加圧用の水蒸気量を半減させることができ、省エネに寄与することができる。
【0107】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更しても良いことは勿論である。例えば、上記実施形態では、処理容器(塔)が4つ設けられた吸脱着装置1を例示して説明したが、本発明はこれに限らず、2つ以上の処理容器が設けられた吸脱着装置について本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…吸脱着装置、2…ガスタービン(燃焼装置)、3…水蒸気生成装置、4…排ガス回収熱交換器、10…第1塔(処理容器)、20…第2塔(処理容器)、30…第3塔(処理容器)、40…第4塔(処理容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を水蒸気を用いて脱着させる吸脱着装置であって、
前記吸着剤を内蔵する複数の処理容器を備え、
1処理サイクル中に、前記処理容器の各々において吸着工程、加温・加圧工程、脱着工程、減圧工程及び冷却工程が順に実施され、且つ時間軸上で2つの処理容器の加温・加圧工程と減圧工程とが並行して実施されるよう工程制御されると共に、加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、減圧工程側の処理容器に貯まったドレンを加温・加圧工程側の処理容器へ移送するドレン移送工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする吸脱着装置。
【請求項2】
前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記ドレン移送工程の実施後、前記加温・加圧工程側の処理容器に貯まったドレンを外部の熱交換器へ移送し、前記熱交換器における熱媒との熱交換によって加熱されたドレンを前記加温・加圧工程側の処理容器に再投入する加熱ドレン投入工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする請求項1に記載の吸脱着装置。
【請求項3】
前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記加熱ドレン投入工程の実施後、前記減圧工程側の処理容器から前記加温・加圧工程側の処理容器への水蒸気の受け渡しによって両処理容器の均圧化を図る均圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする請求項2に記載の吸脱着装置。
【請求項4】
前記加温・加圧工程及び減圧工程の並行実施期間中に、前記均圧工程の実施後、前記加温・加圧工程側の処理容器に水蒸気を投入して目標温度及び目標圧力まで加温及び加圧すると共に、前記減圧工程側の処理容器に残留する水蒸気を大気開放する最終調圧工程が実施されるよう工程制御されることを特徴とする請求項3に記載の吸脱着装置。
【請求項5】
請求項1に記載の吸脱着装置と、
前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、
を具備することを特徴とする揮発性有機化合物処理システム。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の吸脱着装置と、
前記吸脱着装置から排出される前記揮発性有機化合物と前記水蒸気との混合流体を燃焼させる燃焼装置と、
前記燃焼装置の排ガスを熱媒とし、前記吸脱着装置から移送されるドレンを前記排ガスとの熱交換によって加熱し、加熱後のドレンを前記吸脱着装置に返送する熱交換器と、
を具備することを特徴とする揮発性有機化合物処理システム。
【請求項7】
前記燃焼装置から排出される排ガスの熱を利用して前記吸脱着装置に供給する水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の揮発性有機化合物処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−10058(P2013−10058A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142846(P2011−142846)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】