吸音構造体、吸音構造体集合体およびこれらの製造方法
【課題】薄型、軽量、コンパクトで低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シート2、3が2枚重ねられた吸音構造体1であって、前記吸音構造体1は、吸音部6と外周部4とから構成され、前記外周部4において、前記吸音素材シート2、3は互いに接合されており、前記吸音部6において、前記吸音素材シート2、3のうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シート2、3の間に中空部5が形成されていることを特徴とする吸音構造体1によって、上記課題を解決できる。
【解決手段】有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シート2、3が2枚重ねられた吸音構造体1であって、前記吸音構造体1は、吸音部6と外周部4とから構成され、前記外周部4において、前記吸音素材シート2、3は互いに接合されており、前記吸音部6において、前記吸音素材シート2、3のうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シート2、3の間に中空部5が形成されていることを特徴とする吸音構造体1によって、上記課題を解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造法に関するものであり、特に、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、グラスウール等の繊維系材料、多孔質材料または制振性樹脂組成物等からなるシートの背面側に空気層を設けた吸音材等が知られている。近年、吸音特性をより向上させた吸音構造体が開発されている。たとえば、特許文献1においては、板状振動体を枠に取り付けた吸音構造体が開示されており、特許文献2においては、膜状振動体を枠体に取り付けた吸音構造体が開示されている。
【0003】
図21は、従来の吸音構造体の一例を示す図であって、図21(a)は平面模式図であり、図21(b)は図21(a)のC−C’線における断面模式図である。図21(a)および図21(b)に示されるように、吸音構造体81は、樹脂からなるシート状の膜状振動体82と、中空部85を有する枠体89とから概略構成されている。膜状振動体82は、枠体89の中空部85を覆うように枠体89に貼り合わされている。これにより、中空部85が膜状振動体82の背後に配置された背後空気室とされている。この背後空気室とよばれる中空部85と膜状振動体82とによって吸音部86が構成されている。また、図22は、上記の吸音構造体81の中空部85にグラスウール等の繊維系吸音材88が充填された吸音構造体91の一例を示す断面模式図である。
【0004】
しかしながら、図21または図22に示す従来の吸音構造体は様々な問題を有していた。まず、吸音構造体は広範囲の周波数の音を吸音することが好ましいが、従来の吸音構造体81、91は吸音ピークの幅が狭いという問題があった。また、従来の吸音構造体81、91はいずれも枠構造を必要とするが、膜状振動体82と枠体89との接合部分は吸音に寄与しないので、吸音構造体81、91の有効面積が低下する場合があった。さらに、上記の吸音構造体81、91は一定の厚みを有する枠体89を有するので、吸音構造体81、91の薄型化が困難であるという問題があった。吸音構造体81、91を無理に薄型化しようとすると、中空部85の空気層を薄くする必要があり、低音域の吸音が困難になる場合があった。さらにまた、個室、車室、SP内、電子機器内などの比較的小さな空間に吸音構造体81、91を取り付ける場合は、空間の内壁が複雑な凹凸面形状を有する場合があるが、その形状に合わせた枠体89の加工が困難であった。また、枠体89の加工を行う場合には、専用金型による個別設計が必要になるので、製造コストも高くなるという問題もあった。
【0005】
そこで、複雑な凹凸面を有する内壁にも設置することができ、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストで製造することができ、中低域の吸音特性に優れた吸音構造体が求められている。
【特許文献1】特開2005−134653号公報
【特許文献2】国際公開第W004/107313号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の吸音構造体は、有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シートが2枚重ねられた吸音構造体であって、前記吸音構造体は、吸音部と外周部とから構成され、前記外周部において、前記吸音素材シートは互いに接合されており、前記吸音部において、前記吸音素材シートのうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シートの間に中空部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の吸音構造体は、前記中空部に吸音材が配置されたことが好ましい。
【0009】
本発明の吸音構造体は、前記吸音素材シートに、有機低分子材料または無機低分子材料のいずれか一方または両方が添加されていることが好ましい。
【0010】
本発明の吸音構造体集合体は、先に記載の吸音構造体が、平面視したときに格子状になるように複数配置された吸音構造体集合体であって、隣接する前記吸音構造体同士の外周部が互いに連結され、前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材が配置されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の吸音構造体の製造方法は、有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に別の吸音素材シートを配置し、前記吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シート同士を接合させる際に、前記吸音素材シート同士の間に吸音材を配置することが好ましい。
【0013】
本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シートに有機低分子材料あるいは無機低分子材料が添加されていることが好ましい。
【0014】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、先に記載の吸音構造体を、平面視したときに格子状になるように複数配置し、隣接する前記吸音構造体同士の外周部を互いに連結する工程を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材を配置する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成によれば、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す図であって、図1(a)は平面模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面模式図である。
【0018】
図1(a)に示されるように、吸音構造体1は、平面視したときに略矩形状の外形を有する構造体として構成されており、吸音部6とそれを取り囲んで形成された外周部4が備えられている。この吸音構造体1は、一対の吸音素材シート2、3と、吸音素材シート2、3の間に配置された中空部5とからなり、吸音素材シート2、3の外周部2a、3a同士が接合されて外周部4が形成されている。また、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aに囲まれた部分が膨出部2b、3bとされており、この膨出部2b、3bの間に中空部5が設けられている。膨出部2b、3bと中空部5とによって、吸音部6が構成されている。
図1(b)に示されるように、吸音素材シート2、3は、各膨出部2b、3bの突出方向がそれぞれ中空部5と反対側を向くように重ねあわされており、その外周部2a、3aにおいて互いに接合されている。2枚の吸音素材シート2、3で囲まれた部分が中空部5とされている。
【0019】
吸音素材シート2、3は、前述のように膨出部2b、3bと、この膨出部2b、3bを取り囲む外周部2a、3aとから構成されている。膨出部2b、3bは、たとえば、シート材をプレス成形、真空成形などの手段で加工することにより形成される。吸音素材シート2、3を構成するシート材は、有機高分子材料あるいは無機高分子材料からなることが好ましく、さらに、有機低分子化合物あるいは無機低分子化合物などの添加剤が添加されていてもよい。これにより、剛性に優れた吸音素材シート2、3とすることができ、吸音構造体1の耐久性を向上できる。
【0020】
有機高分子材料としては、C−C単結合が連なった骨格を持つ鎖状高分子であって、そのC−C単結合まわりの分子内回転が起きやすい「屈曲性高分子」材料、およびその「屈曲性高分子」材料が広義の架橋構造をとったエラストマー材料であることが好ましく、たとえば、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン(以下、CPEという)、ポリ塩化ビニル(以下、PVCという)、ポリエチレン(以下、PEという)、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリエステルなどの合成樹脂、イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブタジエンスチレン共重合体、その他共重合ポリマーなどの合成ゴム、熱可塑性エラストマーあるいはこれらのポリマーアロイなどを挙げることができる。
また、無機高分子材料としては、鎖状高分子で屈曲性を有する無機高分子材料、およびその無機高分子材料が広義の架橋構造をとったエラストマー材料であることが好ましく、たとえば、シリコンゴムなどを挙げることができる。
【0021】
有機低分子化合物としては、たとえば、可塑剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、酸化防止剤、加硫剤、スコーチ防止剤などを挙げることができる。可塑剤としては、フタル酸エステル系の可塑剤を挙げることができる。架橋促進剤としては、スルフェンアミド系有機低分子化合物あるいはチウラム系有機低分子化合物が好ましく、たとえば、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DCBS)、N−−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアゾールー2−スルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)などを挙げることができる。老化防止剤、酸化防止剤としては、ビスフェノール系有機低分子化合物が好ましく、たとえば、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール(TBMTBP)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール(以下、MBETB)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール(MBMTB)、4,4’−ブチリデンビス(3−エチル−6−tert−ブチルフェノール(BBMTBP)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物などを挙げることができる。加硫剤としては、硫黄、過酸化物、p−キノンジオキシム(QO)などを挙げることができる。スコーチ防止剤としては、N−ニトロジフェニルアミン、70%無水フタル酸、無水フタル酸、N−シクロヘキシルチオフタルイミドなどを挙げることができる。
また、無機低分子化合物としては、たとえば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカなどを挙げることができる。
【0022】
吸音素材シート2、3のヤング率は、109dyn/cm2>E>107dyn/cm2が好ましい。
109dyn/cm2以上の場合には、吸音ピーク周波数を低周波数域に下げることが困難となり、逆に、107dyn/cm2以下の場合には、吸音素材シート2、3が自重のため変形し、取り扱いが困難となるためである。
【0023】
吸音素材シート2、3の厚さは、0.3mm〜3mmが好ましく、0.7mm超〜2mmがより好ましい。厚さが0.3mm未満の場合には、吸音素材シート2、3の剛性が低下するとともに、吸音特性が低下する場合があり、前記厚さが3mmを超える場合には、薄型、軽量、コンパクトな吸音構造体を構成できなくなるので好ましくない。
また、吸音素材シート2、3の大きさは、たとえば、平面視略正方形状のシートの場合には一辺の長さが50mm〜500mmであることが好ましく、100mm〜300mmであることがより好ましい。一辺の長さが50mm未満の場合には、相対的に中空部5の大きさが小さくなって吸音特性が低下するので好ましくなく、一辺の長さが500mmを超える場合には、複雑な形状の壁面等への取り付けが難しくなる場合があるので好ましくない。
特に、吸音素材シート2、3の厚さが0.1mm以下であり、一辺の長さが10mm以下の場合には、中低域の吸音特性が悪くなるので好ましくない。
【0024】
また、吸音構造体1の最大厚みは、5mm〜50mmとすることが好ましく、8mm超〜20mmとすることがより好ましい。5mm以下の場合には、低域の吸音特性が悪くなり、逆に、50mm以上の場合には、嵩高くなり、車室内やSP内などの小空間での設置が困難となるためである。
【0025】
中空部5には、空気が封入されていればよい。これにより、外部から吸音素材シート2、3を介して中空部5に伝搬される音を減衰させることができる。
【0026】
また、図2には、中空部5に吸音材8が備えられた吸音構造体11の一例を断面模式図で示す。図2に示す吸音構造体11は、中空部5に吸音材8が備えられていること以外は、図1に示す吸音構造体1と同様の構成である。
吸音材8としては、グラスウール(以下、GWという)、吸音ウレタンスポンジ、不織布状の有機繊維からなる多孔質吸音材などを挙げることができる。不織布状の有機繊維としては、PE、PET、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、PVC、TPUなど熱可塑性エラストマーの不織布などを挙げることができる。また、材質の異なる吸音材5を組み合わせて用いても良い。たとえば、GWと吸音ウレタンスポンジを重ねて中空部に配置しても良い。
これらの材料を中空部5に備えた場合には、音響インピーダンスが高くなり、外部から吸音素材シート2、3を介して中空部5に伝搬された音が、さらに吸音材8から内部において減衰されるので、吸音特性を向上することができる。
【0027】
次に、図3(a)は、吸音構造体の別の例を示す断面模式図である。図3(a)に示す吸音構造体21は、膨出部22bを有する吸音素材シート22と、膨出部を有しない平板状の吸音素材シート23とが重ねあわされて構成されている。
各吸音素材シート22、23は外周部22a、23a同士が接合されて一体化されている。また、膨出部22bと吸音素材シート23との間には中空部25が設けられている。膨出部22bは、中空部25の反対側に突出するように配置されている。このように、膨出部22bと吸音素材シート23と中空部25とによって吸音部26が構成されており、また、外周部22a、23aが接合されることによって、吸音部26を囲む外周部24が構成されている。このように、吸音素材シート22、23のいずれか一方に膨出部が形成され、他方は平板状であってもよい。また、中空部25にGWなどの吸音材が配置されていてもよい。
【0028】
次に、図3(b)は、吸音構造体のさらに別の例を示す断面模式図である。図3(b)に示す吸音構造体31は、膨出部32bを有する吸音素材シート32の凹面側に、膨出部33bを有する吸音素材シート33の凹面側が対向するように重ね合わされ、各吸音素材シート32、33の外周部32a、33a同士が接合されて一体化されている。また、膨出部32bの高さは膨出部33bの高さより高く形成されているため、膨出部32bと吸音素材シート33との間には中空部35が形成されている。吸音部36は、膨出部32b、33bと中空部35とによって構成されており、また、外周部32a、33aが接合されることによって、吸音部36を囲む外周部34が構成されている。このように、凸状に膨出させた2枚の吸音素材シート32重ねてもかまわない。また、中空部35にGWなどの吸音材が配置されていてもよい。
【0029】
吸音構造体1においては、吸音素材シート2、3の形状として平面視したときに略矩形状の外形を有するものを用いたが、吸音素材シート2、3の形状はどのような形状でもかまわない。たとえば、円形を含む楕円形、あるいは三角形、正方形、六角形などの多角形を挙げることができる。また、前記形状を2種類以上組み合わせた形状でもかまわない。さらに、これらの吸音構造体の内部に設けられた中空部に吸音材を配置して、吸音構造体を構成しても良い。
図4(a)〜(d)には、前記吸音素材シート2、3のその他の平面形状の一例を示してある。
図4(a)は、前記吸音素材シート2、3の形状が円形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体41は、円形の吸音部47とその周りを取り囲む外周部44とから構成されている。
図4(b)は、前記吸音素材シート2、3の形状が楕円形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体51は、楕円形の吸音部57とその周りを取り囲む外周部54とから構成されている。
図4(c)は、前記吸音素材シート2、3の形状が六角形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体61は、六角形の吸音部67とその周りを取り囲む外周部64とから構成されている。
図4(d)は、前記吸音素材シート2、3の形状が八角形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体71は、八角形の吸音部77とその周りを取り囲む外周部74とから構成されている。
【0030】
次に、吸音構造体の製造方法について説明する。
図5は、吸音構造体1の製造方法の一例を説明する工程図である。
まず、図5(a)に示すように、真空成型により、シート材15に凸状に膨出させた膨出部15bを複数形成する。次に、図5(b)に示すように、シート材15を膨出部15bごとに分割して、膨出部2b、3bと膨出部2b、3bを取り囲む外周部2a、3aを有する吸音素材シート2、3を製造する。
最後に、図5(c)に示すように、各吸音素材シート2、3の外周部2a、3aの貼り合わせ面9に接着剤を塗布し、それぞれの凹面側を対向させて重ね合わせ、プレス機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部2a、3aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aが接着剤で固定されて、吸音構造体1が製造される。
【0031】
この吸音構造体の製造方法においては、外周部2a、3aを接着剤により固定して吸音構造体1を製造したが、吸音素材シート2、3の接合手段としては、たとえば、両面テープ、熱融着、ネジ、ホッチキス、縫製などの手段を用いても良い。
【0032】
図6は、図2に示す吸音構造体11の製造方法の一例を説明する工程図である。
この方法では、図5(a)および図5(b)で説明した方法と同様にして、吸音素材シート2、3を製造した後、図6に示すように吸音素材シート2、3の間にGWなどの吸音材8を配置する。そして、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aの張り合わせ面9に接着剤を塗布し、それぞれの凹面側を対向させて重ね合わせ、プレス機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部2a、3aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aが接着剤で固定されて、吸音構造体11が製造される。
【0033】
図7は、図2に示す吸音構造体11の製造方法の別の一例を説明する工程図である。
まず、吸音構造体11の大きさに対応する大きさのシート材16を2枚用意する。そして、2枚のシート材16の間にGW等の吸音材8を配置する。次に、シート材16、16の外周部16a、16aの張り合わせ面9に接着剤を塗布しプレス成形機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部16a、16aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音材8の形状に合わせてシート材16、16が変形し、膨出部2b、3bが形成される。このようにして、吸音構造体11が製造される。
【0034】
次に、本実施形態の吸音構造体集合体について説明する。
図8は、本発明の実施形態である吸音構造体集合体100の一例を示す図であって、図8(a)は平面模式図であり、図8(b)は図8(a)のB−B’線における断面模式図である。
図8(a)および図8(b)に示すように、吸音構造体11が平面視したときに格子状になるように複数配置され、吸音構造体集合体100が構成されている。隣接する前記吸音構造体11同士の間では、前記吸音構造体11の外周部2a、3aが互いに連結面101によって連結されている。また、隣接する前記吸音構造体11が連結される角部にはGW等からなる吸音材108が配置されて構成されている。
なお、吸音材108は、接着剤で固定して配置するが、両面テープ、熱融着、ネジ、ホッチキス、縫製などの方法を用いて固定しても良い。
【0035】
前記吸音構造体集合体100においては、吸音部6だけでなく、前記吸音部6に囲まれた領域に配置された吸音材108によっても吸音することが可能となるので、吸音効果を増大させることができる。
また、前記吸音部6に囲まれた領域は凹部となっているので、吸音材108を配置しても、吸音構造体集合体100の嵩高さは、吸音材108を配置しない場合と変わらないようにすることができる。
【0036】
図9は、前記吸音構造体集合体100の製造方法の一例を説明する工程図である。
まず、図9(a)に示すように、前記吸音構造体11を平面視したときに格子状になるように複数配置する。
次に、隣接する前記吸音構造体11同士の間で対向する連結面101に接着剤を塗布し、前記連結面101同士を押し付けて接着することにより、前記吸音構造体11を互いに連結し、吸音構造体集合体前駆体103を形成する。
さらに、図9(b)に示すように、前記吸音構造体集合体前駆体103の前記外周部4の上であって前記吸音部6に囲まれた領域に接着剤を塗布して吸音材108を固定することによって、吸音構造体集合体100を製造する。
以下、本発明の効果について説明する。
【0037】
本発明の吸音構造体は、有機低分子あるいは無機低分子が添加された有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートが2枚重ねられた構成なので、薄型、軽量、コンパクトな吸音構造体を形成することができる。
【0038】
本発明の吸音構造体は、中空部を有し、前記中空部に吸音材を備えることができる構成なので、吸音効果を増加させることができる。
【0039】
本発明の吸音構造体集合体は、平面視したときに格子状になるように複数配置された前記吸音構造体が外周部で連結される構成なので、薄型、軽量、コンパクト、かつ低コストである吸音構造体とすることができる。
【0040】
本発明の吸音構造体集合体は、吸音部だけでなく、吸音部に囲まれた領域にも吸音材を備えることができる構成なので、吸音効果を増加させることができる。
【0041】
本発明の吸音構造体の製造方法は、有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材に有機低分子あるいは無機低分子を添加して製造した前記吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に他の吸音素材シートを対峙させ重ね合わせた後、前記2枚の吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程からなるので、容易に前記吸音構造体を製造することができる。
【0042】
さらに、本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シートの間に吸音材を簡単に挿入することができるので、吸音構造体の吸音特性を容易に向上させることができる。
【0043】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、平面視したときに格子状になるように複数並べた前記吸音構造体を外周部で連結する構成なので、容易に前記吸音構造体集合体を製造することができる。
【0044】
さらに、本発明の吸音構造体集合体の製造方法において、前記外周部の上に吸音材を簡単に挿入することができるので、前記吸音構造体集合体の吸音特性を容易に向上させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
ポリ塩化ビニル(以下、PVC)に可塑剤である「フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)」(以下、DEHP)を添加して吸音素材シートを製造し、150mm×150mm、厚さ1mmの正方形に加工した。
次に、前記吸音素材シートの中央部分を凸状に膨出させ、膨出された部分からなる吸音部とその周りを取り囲む外周部とを形成した。前記外周部の張り合わせ面に接着剤を塗布し、同様の方法で作製した吸音素材シートを、互いに凹面側が対峙するように重ねあわした後、プレス機に搬入し、上下から20kg/cm2の圧力を前記外周部に加え、15分間保持し、吸音構造体を製造した。前記吸音構造体の厚みは30mmであった。
【0046】
(比較例1)
PVCに可塑剤であるDEHPを添加して吸音素材シートを製造し、150mm×150mm、厚さ1mmの正方形に加工した。
次に、平面形状が正方形の木枠格子を用意した。前記木枠格子大きさは、縦150mm×横150mm×高さ40mmであり、桟の幅は9mm、底板の厚さは9mmである。前記木枠格子は、上面部のみが開放されている。
前記木枠格子の上面部に前記吸音素材シートを接着した。前記吸音構造体の厚みは40mmであった。また、前記木枠格子の桟の幅があるので、吸音に寄与する吸音素材シートの有効面積は縦141mm×横141mmであった。
【0047】
実施例1と比較例1で作成した吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図10に示すような結果が得られた。実施例1では、200Hz〜1600Hzの広い周波数領域で0.3以上の吸音率が得られるのに対し、比較例1では、250〜500Hzの範囲でしか0.3以上の吸音率が得られないことが分かった。
【0048】
なお、ランダム入射吸音率とは、残響室法吸音率とも呼ばれるもので、JIS A 1409に準じた方法により、残響室内で音を出して急に止めた際の、残響音の減衰時間から算出したものである。
図23は、ランダム入射吸音率の測定室を示す模式図である。図23に示すように、容積(V)64m3、表面積(S)100m2、V/S=0.64の残響室110内の床面110aのほぼ中央に、実施例1で作成した吸音構造体1を設置し、吸音構造体1の周囲には20mmの厚さのアクリル板からなる高さ800mmの拡散板枠112を設置した。そして、音源113を吸音構造体1から離れた位置に配置した。このようにして、吸音構造体1の膨出部2bに対して、ランダムな方向から音(音による空気振動)が入射するようにした。
以下、他の実施例および比較例についても、同様の構成で、ランダム入射吸音率を測定した。
【0049】
(実施例2)
前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0050】
(実施例3)
前記吸音素材シートの厚さを0.5mmとし、前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0051】
(実施例4)
前記吸音素材シートの材料として、合成ゴムであるアクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBR)シート(タイガースポリマー株式会社製)を用いたほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0052】
(実施例5)
前記吸音素材シートの材料として、CPEである「エラスレン」(昭和電工株式会社製)を用いたほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0053】
(実施例6)
前記吸音素材シートの材料として、CPEである「エラスレン」(昭和電工株式会社製)を用い、前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0054】
(実施例7)
実施例2で製造した吸音構造体を、平面視したときに縦に3つ、横に3つとなるように格子状に並べて9つ配置し、それぞれ隣接する吸音構造体同士を外周部の連結面に接着剤を塗布し、連結した。さらに、前記外周部の上で、吸音部に囲まれる領域にグラスウールを配置し、接着剤で固定し、吸音構造体集合体を製造した。
【0055】
(実施例8)
実施例6で製造した吸音構造体を、平面視したときに縦に3つ、横に3つとなるように格子状に並べて9つ配置し、それぞれ隣接する吸音構造体同士を外周部の連結面に接着剤を塗布し、連結した。さらに、前記外周部の上で、吸音部に囲まれる領域にグラスウールを配置し、接着剤で固定し、吸音構造体集合体を製造した。
【0056】
(実施例9)
吸音素材シートの大きさを、200mm×200mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0057】
(実施例10)
吸音素材シートの大きさを、50mm×50mm、厚さ0.3mmとし、吸音構造体の厚さを10mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0058】
(実施例11)
吸音素材シートの大きさを、300mm×300mm、厚さ1.5mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0059】
(実施例12)
吸音素材シートの大きさを、500mm×500mm、厚さ3mmとし、吸音構造体の厚さを50mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0060】
(実施例13)
吸音素材シートの大きさを、100mm×100mmとしたほかは、実施例6と同様にして吸音構造体を製造した。
【0061】
(実施例14)
PVCに可塑剤であるDEHPを添加して吸音素材シートを製造し、対角150mm、厚さ1mmの正六角形に加工したほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0062】
(比較例2)
前記吸音素材シートを張り合わせる前に、木枠格子の内部にグラスウールを挿入したほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0063】
(比較例3)
吸音素材シートの厚さを0.5mmとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0064】
(比較例4)
前記吸音素材シートの材料を合成ゴムとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0065】
(比較例5)
前記吸音素材シートの材料をCPEとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0066】
(比較例6)
前記吸音素材シートの材料をCPEとし、前記吸音素材シートを張り合わせる前に、木枠格子の内部にグラスウールを挿入したほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0067】
(比較例7)
前記木枠格子大きさを、縦100mm×横100mm×高さ40mmとしたほかは、比較例6と同様にして吸音構造体を製造した。
【0068】
(比較例8)
吸音素材シートの大きさを、50mm×50mm、厚さ4mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0069】
(比較例9)
吸音素材シートの大きさを、10mm×10mm、厚さ0.1mmとし、吸音構造体の厚さを5mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0070】
実施例2、実施例7および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図11に示すような結果が得られた。比較例2では、250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例2では200〜2500Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例7では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0071】
実施例3および比較例3で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図12に示すような結果が得られた。比較例3では、315〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例3では250〜2000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0072】
実施例4および比較例4で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図13に示すような結果が得られた。比較例4では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例4では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0073】
実施例5および比較例5で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図14に示すような結果が得られた。比較例5では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例5では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0074】
実施例6、実施例8および比較例6で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図15に示すような結果が得られた。比較例6では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例6では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例8では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0075】
実施例9、実施例10および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図16に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例9では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例10では250〜315Hzの周波数領域では比較例2に比べて吸音率が小さいが、400〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0076】
実施例11、実施例12および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図17に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例11では160〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例12では125〜1250Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0077】
実施例13および比較例7で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図18に示すような結果が得られた。比較例7では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例13では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0078】
実施例14および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図19に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例14では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0079】
比較例8および比較例9で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図20に示すような結果が得られた。比較例8ではいずれの周波数領域においても0.3以上の吸音率が得られず、また比較例9は1000〜1250Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られたのみであった。
【0080】
前記実施例および比較例の製造条件および実験結果について、表1にまとめた。なお、実験結果の吸音率については、1000Hzの周波数領域の吸音率が0.40以上のものを○、0.40未満のものを×と評価した。
【0081】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面模式図である。
【図2】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す平面模式図である。
【図5】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図8】本発明の実施形態である吸音構造体集合体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のB−B’線における断面模式図である。
【図9】本発明の実施形態である吸音構造体集合体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図10】実施例1および比較例1の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図11】実施例2、実施例7および比較例2の吸音構造体および吸音構造体集合体の吸音率のグラフである。
【図12】実施例3および比較例3の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図13】実施例4および比較例4の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図14】実施例5および比較例5の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図15】実施例6、実施例8および比較例6の吸音構造体および吸音構造体集合体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図16】実施例9、実施例10および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図17】実施例11、実施例12および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図18】実施例13および比較例7の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図19】実施例14および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図20】比較例8および比較例9の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図21】従来の吸音構造体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のC−C’線における断面模式図である。
【図22】従来の吸音構造体の別の一例を示す断面模式図である。
【図23】ランダム入射吸音率の測定室を示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1、11、12、13、21、31、41、51、61、71…吸音構造体、2、3、22、22、32、33…吸音素材シート、4、24,34、44,54、64、74…外周部、5、25、35…中空部、6、26、36、46、56、66、76…吸音部、8…吸音材、9…張り合わせ面、15、16…シート材、81、91…吸音構造体、82…膜状振動体、85…中空部、87…吸音部、88…吸音材、89…枠体、100…吸音構造体集合体、101…連結面、103…吸音構造体集合体前駆体、108…吸音材、110…残響室、110a…床面、112…拡散板枠、113…音源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造法に関するものであり、特に、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、グラスウール等の繊維系材料、多孔質材料または制振性樹脂組成物等からなるシートの背面側に空気層を設けた吸音材等が知られている。近年、吸音特性をより向上させた吸音構造体が開発されている。たとえば、特許文献1においては、板状振動体を枠に取り付けた吸音構造体が開示されており、特許文献2においては、膜状振動体を枠体に取り付けた吸音構造体が開示されている。
【0003】
図21は、従来の吸音構造体の一例を示す図であって、図21(a)は平面模式図であり、図21(b)は図21(a)のC−C’線における断面模式図である。図21(a)および図21(b)に示されるように、吸音構造体81は、樹脂からなるシート状の膜状振動体82と、中空部85を有する枠体89とから概略構成されている。膜状振動体82は、枠体89の中空部85を覆うように枠体89に貼り合わされている。これにより、中空部85が膜状振動体82の背後に配置された背後空気室とされている。この背後空気室とよばれる中空部85と膜状振動体82とによって吸音部86が構成されている。また、図22は、上記の吸音構造体81の中空部85にグラスウール等の繊維系吸音材88が充填された吸音構造体91の一例を示す断面模式図である。
【0004】
しかしながら、図21または図22に示す従来の吸音構造体は様々な問題を有していた。まず、吸音構造体は広範囲の周波数の音を吸音することが好ましいが、従来の吸音構造体81、91は吸音ピークの幅が狭いという問題があった。また、従来の吸音構造体81、91はいずれも枠構造を必要とするが、膜状振動体82と枠体89との接合部分は吸音に寄与しないので、吸音構造体81、91の有効面積が低下する場合があった。さらに、上記の吸音構造体81、91は一定の厚みを有する枠体89を有するので、吸音構造体81、91の薄型化が困難であるという問題があった。吸音構造体81、91を無理に薄型化しようとすると、中空部85の空気層を薄くする必要があり、低音域の吸音が困難になる場合があった。さらにまた、個室、車室、SP内、電子機器内などの比較的小さな空間に吸音構造体81、91を取り付ける場合は、空間の内壁が複雑な凹凸面形状を有する場合があるが、その形状に合わせた枠体89の加工が困難であった。また、枠体89の加工を行う場合には、専用金型による個別設計が必要になるので、製造コストも高くなるという問題もあった。
【0005】
そこで、複雑な凹凸面を有する内壁にも設置することができ、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストで製造することができ、中低域の吸音特性に優れた吸音構造体が求められている。
【特許文献1】特開2005−134653号公報
【特許文献2】国際公開第W004/107313号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明の吸音構造体は、有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シートが2枚重ねられた吸音構造体であって、前記吸音構造体は、吸音部と外周部とから構成され、前記外周部において、前記吸音素材シートは互いに接合されており、前記吸音部において、前記吸音素材シートのうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シートの間に中空部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の吸音構造体は、前記中空部に吸音材が配置されたことが好ましい。
【0009】
本発明の吸音構造体は、前記吸音素材シートに、有機低分子材料または無機低分子材料のいずれか一方または両方が添加されていることが好ましい。
【0010】
本発明の吸音構造体集合体は、先に記載の吸音構造体が、平面視したときに格子状になるように複数配置された吸音構造体集合体であって、隣接する前記吸音構造体同士の外周部が互いに連結され、前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材が配置されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の吸音構造体の製造方法は、有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に別の吸音素材シートを配置し、前記吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シート同士を接合させる際に、前記吸音素材シート同士の間に吸音材を配置することが好ましい。
【0013】
本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シートに有機低分子材料あるいは無機低分子材料が添加されていることが好ましい。
【0014】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、先に記載の吸音構造体を、平面視したときに格子状になるように複数配置し、隣接する前記吸音構造体同士の外周部を互いに連結する工程を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材を配置する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成によれば、薄型、軽量、コンパクトかつ低コストな中低域の吸音特性に優れた吸音構造体、吸音構造体集合体およびそれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す図であって、図1(a)は平面模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面模式図である。
【0018】
図1(a)に示されるように、吸音構造体1は、平面視したときに略矩形状の外形を有する構造体として構成されており、吸音部6とそれを取り囲んで形成された外周部4が備えられている。この吸音構造体1は、一対の吸音素材シート2、3と、吸音素材シート2、3の間に配置された中空部5とからなり、吸音素材シート2、3の外周部2a、3a同士が接合されて外周部4が形成されている。また、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aに囲まれた部分が膨出部2b、3bとされており、この膨出部2b、3bの間に中空部5が設けられている。膨出部2b、3bと中空部5とによって、吸音部6が構成されている。
図1(b)に示されるように、吸音素材シート2、3は、各膨出部2b、3bの突出方向がそれぞれ中空部5と反対側を向くように重ねあわされており、その外周部2a、3aにおいて互いに接合されている。2枚の吸音素材シート2、3で囲まれた部分が中空部5とされている。
【0019】
吸音素材シート2、3は、前述のように膨出部2b、3bと、この膨出部2b、3bを取り囲む外周部2a、3aとから構成されている。膨出部2b、3bは、たとえば、シート材をプレス成形、真空成形などの手段で加工することにより形成される。吸音素材シート2、3を構成するシート材は、有機高分子材料あるいは無機高分子材料からなることが好ましく、さらに、有機低分子化合物あるいは無機低分子化合物などの添加剤が添加されていてもよい。これにより、剛性に優れた吸音素材シート2、3とすることができ、吸音構造体1の耐久性を向上できる。
【0020】
有機高分子材料としては、C−C単結合が連なった骨格を持つ鎖状高分子であって、そのC−C単結合まわりの分子内回転が起きやすい「屈曲性高分子」材料、およびその「屈曲性高分子」材料が広義の架橋構造をとったエラストマー材料であることが好ましく、たとえば、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン(以下、CPEという)、ポリ塩化ビニル(以下、PVCという)、ポリエチレン(以下、PEという)、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリエステルなどの合成樹脂、イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ブタジエンスチレン共重合体、その他共重合ポリマーなどの合成ゴム、熱可塑性エラストマーあるいはこれらのポリマーアロイなどを挙げることができる。
また、無機高分子材料としては、鎖状高分子で屈曲性を有する無機高分子材料、およびその無機高分子材料が広義の架橋構造をとったエラストマー材料であることが好ましく、たとえば、シリコンゴムなどを挙げることができる。
【0021】
有機低分子化合物としては、たとえば、可塑剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、酸化防止剤、加硫剤、スコーチ防止剤などを挙げることができる。可塑剤としては、フタル酸エステル系の可塑剤を挙げることができる。架橋促進剤としては、スルフェンアミド系有機低分子化合物あるいはチウラム系有機低分子化合物が好ましく、たとえば、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DCBS)、N−−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアゾールー2−スルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)などを挙げることができる。老化防止剤、酸化防止剤としては、ビスフェノール系有機低分子化合物が好ましく、たとえば、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール(TBMTBP)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール(以下、MBETB)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール(MBMTB)、4,4’−ブチリデンビス(3−エチル−6−tert−ブチルフェノール(BBMTBP)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物などを挙げることができる。加硫剤としては、硫黄、過酸化物、p−キノンジオキシム(QO)などを挙げることができる。スコーチ防止剤としては、N−ニトロジフェニルアミン、70%無水フタル酸、無水フタル酸、N−シクロヘキシルチオフタルイミドなどを挙げることができる。
また、無機低分子化合物としては、たとえば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、雲母(マイカ)、カーボンブラック、PZT、シリカなどを挙げることができる。
【0022】
吸音素材シート2、3のヤング率は、109dyn/cm2>E>107dyn/cm2が好ましい。
109dyn/cm2以上の場合には、吸音ピーク周波数を低周波数域に下げることが困難となり、逆に、107dyn/cm2以下の場合には、吸音素材シート2、3が自重のため変形し、取り扱いが困難となるためである。
【0023】
吸音素材シート2、3の厚さは、0.3mm〜3mmが好ましく、0.7mm超〜2mmがより好ましい。厚さが0.3mm未満の場合には、吸音素材シート2、3の剛性が低下するとともに、吸音特性が低下する場合があり、前記厚さが3mmを超える場合には、薄型、軽量、コンパクトな吸音構造体を構成できなくなるので好ましくない。
また、吸音素材シート2、3の大きさは、たとえば、平面視略正方形状のシートの場合には一辺の長さが50mm〜500mmであることが好ましく、100mm〜300mmであることがより好ましい。一辺の長さが50mm未満の場合には、相対的に中空部5の大きさが小さくなって吸音特性が低下するので好ましくなく、一辺の長さが500mmを超える場合には、複雑な形状の壁面等への取り付けが難しくなる場合があるので好ましくない。
特に、吸音素材シート2、3の厚さが0.1mm以下であり、一辺の長さが10mm以下の場合には、中低域の吸音特性が悪くなるので好ましくない。
【0024】
また、吸音構造体1の最大厚みは、5mm〜50mmとすることが好ましく、8mm超〜20mmとすることがより好ましい。5mm以下の場合には、低域の吸音特性が悪くなり、逆に、50mm以上の場合には、嵩高くなり、車室内やSP内などの小空間での設置が困難となるためである。
【0025】
中空部5には、空気が封入されていればよい。これにより、外部から吸音素材シート2、3を介して中空部5に伝搬される音を減衰させることができる。
【0026】
また、図2には、中空部5に吸音材8が備えられた吸音構造体11の一例を断面模式図で示す。図2に示す吸音構造体11は、中空部5に吸音材8が備えられていること以外は、図1に示す吸音構造体1と同様の構成である。
吸音材8としては、グラスウール(以下、GWという)、吸音ウレタンスポンジ、不織布状の有機繊維からなる多孔質吸音材などを挙げることができる。不織布状の有機繊維としては、PE、PET、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、PVC、TPUなど熱可塑性エラストマーの不織布などを挙げることができる。また、材質の異なる吸音材5を組み合わせて用いても良い。たとえば、GWと吸音ウレタンスポンジを重ねて中空部に配置しても良い。
これらの材料を中空部5に備えた場合には、音響インピーダンスが高くなり、外部から吸音素材シート2、3を介して中空部5に伝搬された音が、さらに吸音材8から内部において減衰されるので、吸音特性を向上することができる。
【0027】
次に、図3(a)は、吸音構造体の別の例を示す断面模式図である。図3(a)に示す吸音構造体21は、膨出部22bを有する吸音素材シート22と、膨出部を有しない平板状の吸音素材シート23とが重ねあわされて構成されている。
各吸音素材シート22、23は外周部22a、23a同士が接合されて一体化されている。また、膨出部22bと吸音素材シート23との間には中空部25が設けられている。膨出部22bは、中空部25の反対側に突出するように配置されている。このように、膨出部22bと吸音素材シート23と中空部25とによって吸音部26が構成されており、また、外周部22a、23aが接合されることによって、吸音部26を囲む外周部24が構成されている。このように、吸音素材シート22、23のいずれか一方に膨出部が形成され、他方は平板状であってもよい。また、中空部25にGWなどの吸音材が配置されていてもよい。
【0028】
次に、図3(b)は、吸音構造体のさらに別の例を示す断面模式図である。図3(b)に示す吸音構造体31は、膨出部32bを有する吸音素材シート32の凹面側に、膨出部33bを有する吸音素材シート33の凹面側が対向するように重ね合わされ、各吸音素材シート32、33の外周部32a、33a同士が接合されて一体化されている。また、膨出部32bの高さは膨出部33bの高さより高く形成されているため、膨出部32bと吸音素材シート33との間には中空部35が形成されている。吸音部36は、膨出部32b、33bと中空部35とによって構成されており、また、外周部32a、33aが接合されることによって、吸音部36を囲む外周部34が構成されている。このように、凸状に膨出させた2枚の吸音素材シート32重ねてもかまわない。また、中空部35にGWなどの吸音材が配置されていてもよい。
【0029】
吸音構造体1においては、吸音素材シート2、3の形状として平面視したときに略矩形状の外形を有するものを用いたが、吸音素材シート2、3の形状はどのような形状でもかまわない。たとえば、円形を含む楕円形、あるいは三角形、正方形、六角形などの多角形を挙げることができる。また、前記形状を2種類以上組み合わせた形状でもかまわない。さらに、これらの吸音構造体の内部に設けられた中空部に吸音材を配置して、吸音構造体を構成しても良い。
図4(a)〜(d)には、前記吸音素材シート2、3のその他の平面形状の一例を示してある。
図4(a)は、前記吸音素材シート2、3の形状が円形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体41は、円形の吸音部47とその周りを取り囲む外周部44とから構成されている。
図4(b)は、前記吸音素材シート2、3の形状が楕円形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体51は、楕円形の吸音部57とその周りを取り囲む外周部54とから構成されている。
図4(c)は、前記吸音素材シート2、3の形状が六角形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体61は、六角形の吸音部67とその周りを取り囲む外周部64とから構成されている。
図4(d)は、前記吸音素材シート2、3の形状が八角形である場合の一例を示す平面模式図である。吸音構造体71は、八角形の吸音部77とその周りを取り囲む外周部74とから構成されている。
【0030】
次に、吸音構造体の製造方法について説明する。
図5は、吸音構造体1の製造方法の一例を説明する工程図である。
まず、図5(a)に示すように、真空成型により、シート材15に凸状に膨出させた膨出部15bを複数形成する。次に、図5(b)に示すように、シート材15を膨出部15bごとに分割して、膨出部2b、3bと膨出部2b、3bを取り囲む外周部2a、3aを有する吸音素材シート2、3を製造する。
最後に、図5(c)に示すように、各吸音素材シート2、3の外周部2a、3aの貼り合わせ面9に接着剤を塗布し、それぞれの凹面側を対向させて重ね合わせ、プレス機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部2a、3aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aが接着剤で固定されて、吸音構造体1が製造される。
【0031】
この吸音構造体の製造方法においては、外周部2a、3aを接着剤により固定して吸音構造体1を製造したが、吸音素材シート2、3の接合手段としては、たとえば、両面テープ、熱融着、ネジ、ホッチキス、縫製などの手段を用いても良い。
【0032】
図6は、図2に示す吸音構造体11の製造方法の一例を説明する工程図である。
この方法では、図5(a)および図5(b)で説明した方法と同様にして、吸音素材シート2、3を製造した後、図6に示すように吸音素材シート2、3の間にGWなどの吸音材8を配置する。そして、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aの張り合わせ面9に接着剤を塗布し、それぞれの凹面側を対向させて重ね合わせ、プレス機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部2a、3aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音素材シート2、3の外周部2a、3aが接着剤で固定されて、吸音構造体11が製造される。
【0033】
図7は、図2に示す吸音構造体11の製造方法の別の一例を説明する工程図である。
まず、吸音構造体11の大きさに対応する大きさのシート材16を2枚用意する。そして、2枚のシート材16の間にGW等の吸音材8を配置する。次に、シート材16、16の外周部16a、16aの張り合わせ面9に接着剤を塗布しプレス成形機に挟み込む。次に、上下から100Paの圧力を前記外周部16a、16aに加え、1〜15分間保持する。これにより、吸音材8の形状に合わせてシート材16、16が変形し、膨出部2b、3bが形成される。このようにして、吸音構造体11が製造される。
【0034】
次に、本実施形態の吸音構造体集合体について説明する。
図8は、本発明の実施形態である吸音構造体集合体100の一例を示す図であって、図8(a)は平面模式図であり、図8(b)は図8(a)のB−B’線における断面模式図である。
図8(a)および図8(b)に示すように、吸音構造体11が平面視したときに格子状になるように複数配置され、吸音構造体集合体100が構成されている。隣接する前記吸音構造体11同士の間では、前記吸音構造体11の外周部2a、3aが互いに連結面101によって連結されている。また、隣接する前記吸音構造体11が連結される角部にはGW等からなる吸音材108が配置されて構成されている。
なお、吸音材108は、接着剤で固定して配置するが、両面テープ、熱融着、ネジ、ホッチキス、縫製などの方法を用いて固定しても良い。
【0035】
前記吸音構造体集合体100においては、吸音部6だけでなく、前記吸音部6に囲まれた領域に配置された吸音材108によっても吸音することが可能となるので、吸音効果を増大させることができる。
また、前記吸音部6に囲まれた領域は凹部となっているので、吸音材108を配置しても、吸音構造体集合体100の嵩高さは、吸音材108を配置しない場合と変わらないようにすることができる。
【0036】
図9は、前記吸音構造体集合体100の製造方法の一例を説明する工程図である。
まず、図9(a)に示すように、前記吸音構造体11を平面視したときに格子状になるように複数配置する。
次に、隣接する前記吸音構造体11同士の間で対向する連結面101に接着剤を塗布し、前記連結面101同士を押し付けて接着することにより、前記吸音構造体11を互いに連結し、吸音構造体集合体前駆体103を形成する。
さらに、図9(b)に示すように、前記吸音構造体集合体前駆体103の前記外周部4の上であって前記吸音部6に囲まれた領域に接着剤を塗布して吸音材108を固定することによって、吸音構造体集合体100を製造する。
以下、本発明の効果について説明する。
【0037】
本発明の吸音構造体は、有機低分子あるいは無機低分子が添加された有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートが2枚重ねられた構成なので、薄型、軽量、コンパクトな吸音構造体を形成することができる。
【0038】
本発明の吸音構造体は、中空部を有し、前記中空部に吸音材を備えることができる構成なので、吸音効果を増加させることができる。
【0039】
本発明の吸音構造体集合体は、平面視したときに格子状になるように複数配置された前記吸音構造体が外周部で連結される構成なので、薄型、軽量、コンパクト、かつ低コストである吸音構造体とすることができる。
【0040】
本発明の吸音構造体集合体は、吸音部だけでなく、吸音部に囲まれた領域にも吸音材を備えることができる構成なので、吸音効果を増加させることができる。
【0041】
本発明の吸音構造体の製造方法は、有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材に有機低分子あるいは無機低分子を添加して製造した前記吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に他の吸音素材シートを対峙させ重ね合わせた後、前記2枚の吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程からなるので、容易に前記吸音構造体を製造することができる。
【0042】
さらに、本発明の吸音構造体の製造方法は、前記吸音素材シートの間に吸音材を簡単に挿入することができるので、吸音構造体の吸音特性を容易に向上させることができる。
【0043】
本発明の吸音構造体集合体の製造方法は、平面視したときに格子状になるように複数並べた前記吸音構造体を外周部で連結する構成なので、容易に前記吸音構造体集合体を製造することができる。
【0044】
さらに、本発明の吸音構造体集合体の製造方法において、前記外周部の上に吸音材を簡単に挿入することができるので、前記吸音構造体集合体の吸音特性を容易に向上させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
ポリ塩化ビニル(以下、PVC)に可塑剤である「フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)」(以下、DEHP)を添加して吸音素材シートを製造し、150mm×150mm、厚さ1mmの正方形に加工した。
次に、前記吸音素材シートの中央部分を凸状に膨出させ、膨出された部分からなる吸音部とその周りを取り囲む外周部とを形成した。前記外周部の張り合わせ面に接着剤を塗布し、同様の方法で作製した吸音素材シートを、互いに凹面側が対峙するように重ねあわした後、プレス機に搬入し、上下から20kg/cm2の圧力を前記外周部に加え、15分間保持し、吸音構造体を製造した。前記吸音構造体の厚みは30mmであった。
【0046】
(比較例1)
PVCに可塑剤であるDEHPを添加して吸音素材シートを製造し、150mm×150mm、厚さ1mmの正方形に加工した。
次に、平面形状が正方形の木枠格子を用意した。前記木枠格子大きさは、縦150mm×横150mm×高さ40mmであり、桟の幅は9mm、底板の厚さは9mmである。前記木枠格子は、上面部のみが開放されている。
前記木枠格子の上面部に前記吸音素材シートを接着した。前記吸音構造体の厚みは40mmであった。また、前記木枠格子の桟の幅があるので、吸音に寄与する吸音素材シートの有効面積は縦141mm×横141mmであった。
【0047】
実施例1と比較例1で作成した吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図10に示すような結果が得られた。実施例1では、200Hz〜1600Hzの広い周波数領域で0.3以上の吸音率が得られるのに対し、比較例1では、250〜500Hzの範囲でしか0.3以上の吸音率が得られないことが分かった。
【0048】
なお、ランダム入射吸音率とは、残響室法吸音率とも呼ばれるもので、JIS A 1409に準じた方法により、残響室内で音を出して急に止めた際の、残響音の減衰時間から算出したものである。
図23は、ランダム入射吸音率の測定室を示す模式図である。図23に示すように、容積(V)64m3、表面積(S)100m2、V/S=0.64の残響室110内の床面110aのほぼ中央に、実施例1で作成した吸音構造体1を設置し、吸音構造体1の周囲には20mmの厚さのアクリル板からなる高さ800mmの拡散板枠112を設置した。そして、音源113を吸音構造体1から離れた位置に配置した。このようにして、吸音構造体1の膨出部2bに対して、ランダムな方向から音(音による空気振動)が入射するようにした。
以下、他の実施例および比較例についても、同様の構成で、ランダム入射吸音率を測定した。
【0049】
(実施例2)
前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0050】
(実施例3)
前記吸音素材シートの厚さを0.5mmとし、前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0051】
(実施例4)
前記吸音素材シートの材料として、合成ゴムであるアクリロニトリルブタジエンゴム(以下、NBR)シート(タイガースポリマー株式会社製)を用いたほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0052】
(実施例5)
前記吸音素材シートの材料として、CPEである「エラスレン」(昭和電工株式会社製)を用いたほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0053】
(実施例6)
前記吸音素材シートの材料として、CPEである「エラスレン」(昭和電工株式会社製)を用い、前記吸音素材シート張り合わせる前に、吸音素材シートの凹面部にグラスウールを挿入したほかは、実施例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0054】
(実施例7)
実施例2で製造した吸音構造体を、平面視したときに縦に3つ、横に3つとなるように格子状に並べて9つ配置し、それぞれ隣接する吸音構造体同士を外周部の連結面に接着剤を塗布し、連結した。さらに、前記外周部の上で、吸音部に囲まれる領域にグラスウールを配置し、接着剤で固定し、吸音構造体集合体を製造した。
【0055】
(実施例8)
実施例6で製造した吸音構造体を、平面視したときに縦に3つ、横に3つとなるように格子状に並べて9つ配置し、それぞれ隣接する吸音構造体同士を外周部の連結面に接着剤を塗布し、連結した。さらに、前記外周部の上で、吸音部に囲まれる領域にグラスウールを配置し、接着剤で固定し、吸音構造体集合体を製造した。
【0056】
(実施例9)
吸音素材シートの大きさを、200mm×200mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0057】
(実施例10)
吸音素材シートの大きさを、50mm×50mm、厚さ0.3mmとし、吸音構造体の厚さを10mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0058】
(実施例11)
吸音素材シートの大きさを、300mm×300mm、厚さ1.5mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0059】
(実施例12)
吸音素材シートの大きさを、500mm×500mm、厚さ3mmとし、吸音構造体の厚さを50mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0060】
(実施例13)
吸音素材シートの大きさを、100mm×100mmとしたほかは、実施例6と同様にして吸音構造体を製造した。
【0061】
(実施例14)
PVCに可塑剤であるDEHPを添加して吸音素材シートを製造し、対角150mm、厚さ1mmの正六角形に加工したほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0062】
(比較例2)
前記吸音素材シートを張り合わせる前に、木枠格子の内部にグラスウールを挿入したほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0063】
(比較例3)
吸音素材シートの厚さを0.5mmとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0064】
(比較例4)
前記吸音素材シートの材料を合成ゴムとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0065】
(比較例5)
前記吸音素材シートの材料をCPEとしたほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0066】
(比較例6)
前記吸音素材シートの材料をCPEとし、前記吸音素材シートを張り合わせる前に、木枠格子の内部にグラスウールを挿入したほかは、比較例1と同様にして吸音構造体を製造した。
【0067】
(比較例7)
前記木枠格子大きさを、縦100mm×横100mm×高さ40mmとしたほかは、比較例6と同様にして吸音構造体を製造した。
【0068】
(比較例8)
吸音素材シートの大きさを、50mm×50mm、厚さ4mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0069】
(比較例9)
吸音素材シートの大きさを、10mm×10mm、厚さ0.1mmとし、吸音構造体の厚さを5mmとしたほかは、実施例2と同様にして吸音構造体を製造した。
【0070】
実施例2、実施例7および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図11に示すような結果が得られた。比較例2では、250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例2では200〜2500Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例7では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0071】
実施例3および比較例3で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図12に示すような結果が得られた。比較例3では、315〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例3では250〜2000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0072】
実施例4および比較例4で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図13に示すような結果が得られた。比較例4では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例4では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0073】
実施例5および比較例5で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図14に示すような結果が得られた。比較例5では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例5では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0074】
実施例6、実施例8および比較例6で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図15に示すような結果が得られた。比較例6では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例6では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例8では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0075】
実施例9、実施例10および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図16に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例9では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例10では250〜315Hzの周波数領域では比較例2に比べて吸音率が小さいが、400〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0076】
実施例11、実施例12および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図17に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例11では160〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られ、実施例12では125〜1250Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0077】
実施例13および比較例7で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図18に示すような結果が得られた。比較例7では250〜500Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例13では200〜5000Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0078】
実施例14および比較例2で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図19に示すような結果が得られた。比較例2では250〜630Hzの周波数領域でしか0.3以上の吸音率が得られないのに対し、実施例14では200〜1600Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られることが分かった。
【0079】
比較例8および比較例9で作成した前記吸音構造体を用いて、ランダム入射吸音率を測定した。図20に示すような結果が得られた。比較例8ではいずれの周波数領域においても0.3以上の吸音率が得られず、また比較例9は1000〜1250Hzの周波数領域で0.3以上の吸音率が得られたのみであった。
【0080】
前記実施例および比較例の製造条件および実験結果について、表1にまとめた。なお、実験結果の吸音率については、1000Hzの周波数領域の吸音率が0.40以上のものを○、0.40未満のものを×と評価した。
【0081】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面模式図である。
【図2】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態である吸音構造体の一例を示す平面模式図である。
【図5】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態である吸音構造体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図8】本発明の実施形態である吸音構造体集合体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のB−B’線における断面模式図である。
【図9】本発明の実施形態である吸音構造体集合体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図10】実施例1および比較例1の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図11】実施例2、実施例7および比較例2の吸音構造体および吸音構造体集合体の吸音率のグラフである。
【図12】実施例3および比較例3の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図13】実施例4および比較例4の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図14】実施例5および比較例5の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図15】実施例6、実施例8および比較例6の吸音構造体および吸音構造体集合体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図16】実施例9、実施例10および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図17】実施例11、実施例12および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図18】実施例13および比較例7の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図19】実施例14および比較例2の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図20】比較例8および比較例9の吸音構造体の吸音率と周波数の関係を示すグラフである。
【図21】従来の吸音構造体の一例を示す図であって、(a)は平面模式図であり、(b)は(a)のC−C’線における断面模式図である。
【図22】従来の吸音構造体の別の一例を示す断面模式図である。
【図23】ランダム入射吸音率の測定室を示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1、11、12、13、21、31、41、51、61、71…吸音構造体、2、3、22、22、32、33…吸音素材シート、4、24,34、44,54、64、74…外周部、5、25、35…中空部、6、26、36、46、56、66、76…吸音部、8…吸音材、9…張り合わせ面、15、16…シート材、81、91…吸音構造体、82…膜状振動体、85…中空部、87…吸音部、88…吸音材、89…枠体、100…吸音構造体集合体、101…連結面、103…吸音構造体集合体前駆体、108…吸音材、110…残響室、110a…床面、112…拡散板枠、113…音源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シートが2枚重ねられた吸音構造体であって、
前記吸音構造体は、吸音部と外周部とから構成され、
前記外周部において、前記吸音素材シートは互いに接合されており、
前記吸音部において、前記吸音素材シートのうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シートの間に中空部が形成されていることを特徴とする吸音構造体。
【請求項2】
前記中空部に吸音材が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
【請求項3】
前記吸音素材シートに、有機低分子材料または無機低分子材料のいずれか一方または両方が添加されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の吸音構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造体が、平面視したときに格子状になるように複数配置された吸音構造体集合体であって、
隣接する前記吸音構造体同士の外周部が互いに連結され、
前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材が配置されたことを特徴とする吸音構造体集合体。
【請求項5】
有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、
凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に別の吸音素材シートを配置し、前記吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程を有することを特徴とする吸音構造体の製造方法。
【請求項6】
前記吸音素材シート同士を接合させる際に、前記吸音素材シート同士の間に吸音材を配置することを特徴とする請求項5に記載の吸音構造体の製造方法。
【請求項7】
前記吸音素材シートに有機低分子材料あるいは無機低分子材料が添加されていることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の吸音構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造体を、平面視したときに格子状になるように複数配置し、隣接する前記吸音構造体同士の外周部を互いに連結する工程を有することを特徴とする吸音構造体集合体の製造方法。
【請求項9】
前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材を配置する工程を有することを特徴とする請求項8に記載の吸音構造体集合体の製造方法。
【請求項1】
有機高分子材料または無機高分子材料からなる吸音素材シートが2枚重ねられた吸音構造体であって、
前記吸音構造体は、吸音部と外周部とから構成され、
前記外周部において、前記吸音素材シートは互いに接合されており、
前記吸音部において、前記吸音素材シートのうち少なくとも一方が凸状に膨出されて前記吸音素材シートの間に中空部が形成されていることを特徴とする吸音構造体。
【請求項2】
前記中空部に吸音材が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
【請求項3】
前記吸音素材シートに、有機低分子材料または無機低分子材料のいずれか一方または両方が添加されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の吸音構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造体が、平面視したときに格子状になるように複数配置された吸音構造体集合体であって、
隣接する前記吸音構造体同士の外周部が互いに連結され、
前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材が配置されたことを特徴とする吸音構造体集合体。
【請求項5】
有機高分子あるいは無機高分子からなる吸音素材シートを凸状に膨出させる工程と、
凸状に膨出させた前記吸音素材シートの凹面側に別の吸音素材シートを配置し、前記吸音素材シートの外周部を互いに接合する工程を有することを特徴とする吸音構造体の製造方法。
【請求項6】
前記吸音素材シート同士を接合させる際に、前記吸音素材シート同士の間に吸音材を配置することを特徴とする請求項5に記載の吸音構造体の製造方法。
【請求項7】
前記吸音素材シートに有機低分子材料あるいは無機低分子材料が添加されていることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の吸音構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造体を、平面視したときに格子状になるように複数配置し、隣接する前記吸音構造体同士の外周部を互いに連結する工程を有することを特徴とする吸音構造体集合体の製造方法。
【請求項9】
前記外周部の上であって前記吸音部に囲まれた領域に別の吸音材を配置する工程を有することを特徴とする請求項8に記載の吸音構造体集合体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【公開番号】特開2009−139462(P2009−139462A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313355(P2007−313355)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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