説明

吹き矢型デバイスおよびそれを用いたゲーム装置

【課題】においを入力とするインタフェースデバイスを提供する。
【解決手段】吹き矢型デバイス10が提供される。入力部14は、ユーザ2が息を吹き込みあるいは空気を吸い出すための開口部を有する。流露16は、入力部14の開口部と連通する。においセンサ20は、入力部14に吹き込まれた息のにおいを検出し、においに関連する情報を示すにおいデータDSを出力する。呼吸センサ30は、流露16を流通する空気の流量を検出し、検出した流量を示す流量データDFを出力する。温度センサ50は、流露16を流通する空気の温度を検出し、検出した温度を示す温度データDTを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の息のにおいを入力とするエンタテインメント用のデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
嗅覚は化学物質を対象とし、定量化しにくいという特性を有する。現状、においに関する研究は、においの呈示についてなされており、たとえば、空気砲の原理を利用した香りプロジェクタによる香り場生成(非特許文献1)や、車室内の快適性向上のための香りを研究(非特許文献2)が成されている。非特許文献3には、嗅覚提示装置から呈示される香りとHMD(Head Mounted Display)に映し出される食べ物の映像が一致しているか判断するゲームを提案している。
【0003】
このように、嗅覚に関する研究は、においの呈示が一般的であり、においの入力に関する研究はあまり進んでいないのが現状であり、においセンサは、種々のその他のセンサに比べて開発が遅れているのが実情である。
【0004】
非特許文献4は、環境の香りに反応して場の映像が変化する空間演出システムを提案している。このように、においの呈示だけではなく、香りやにおいを入力とした研究が今後の嗅覚デバイスを開発する上で避けては通れない要素であり、においを入力とした研究が望まれている。近年では、においを利用したエンタテインメントゲームも提案されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−024622号公報
【特許文献2】特開2003−290546号公報
【特許文献3】特開2003−290547号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】柳田康幸、北野啓一、「消臭機能付き小型空気砲の開発と想定される応用展開」、エンタテイメントコンピューティング2007講演論文集、2007年、pp.135−136
【非特許文献2】松尾典義、土屋英明、「香りプロジェクタによる香り場生成」、エンタテイメントコンピューティング2007講演論文集、2007年、pp.123−126
【非特許文献3】望月有人、天田 崇、木田周作、沢小百合、武田直之、本屋敷尚吾、神山和宏、井村誠考、千原國宏、「能動的な匂い知覚のための嗅覚提示装置の研究」、インタラクション2004、2004年、pp.33−34
【非特許文献4】筧康明、近森基、久納鏡子、「香りを入力とするインタラクティブ映像システムhanahaの基礎検討」、情報処理学会インタラクション2007 論文集、2007年、pp153−154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、においを入力としたエンタテインメント用のインタフェースデバイスの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、吹き矢型デバイスに関する。吹き矢型デバイスは、ユーザが息を吹き込みあるいは空気を吸い出すための開口部を有する入力部と、入力部の開口部と連通する流露と、入力部に吹き込まれた息のにおいを検出し、においに関連する情報を示すにおいデータを出力するにおいセンサと、流露を流通する空気の流量を検出し、検出した流量を示す流量データを出力する呼吸センサと、流露を流通する空気の温度を検出し、検出した温度を示す温度データを出力する温度センサと、を備える。
【0009】
この態様によると、ユーザが息を吸ったのか吐いたのかを判定でき、さらにその息の強さ、息のにおいを取得することができる。
【0010】
ある態様の吹き矢型デバイスは、当該吹き矢型デバイスの向きを検出し、検出した方向を示すデータを出力するための方向センサをさらに備えてもよい。
【0011】
流露のにおいセンサの近傍には、においが滞留しないように、においを除去するための換気穴が設けられてもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、ゲーム装置である。この装置は、ディスプレイと、上述の吹き矢型デバイスと、吹き矢型デバイスおよびディスプレイと接続され、吹き矢型デバイスから出力されるデータにもとづいて、所定のプログラムを実行するコンピュータと、を備える。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を、方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、においを入力としたインタフェースデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る吹き矢型デバイスの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るゲーム装置の構成を示す図である。
【図3】ディスプレイに表示される映像を示す図である。
【図4】送風用ファンとユーザの関係を示す上方平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
図1は、実施の形態に係る吹き矢型デバイス10の構成を示す図である。吹き矢型デバイス10は、入力部14、流露(ホース)16、換気穴18、においセンサ20、呼吸センサ30、方向センサ40、温度センサ50を備える。
【0018】
入力部14は、ストローのような管であり、内部に開口を有している。流露16は、入力部14の開口部と連通している。ユーザ2が入力部14を口3に加えた状態で呼吸をすることにより、流露16に息が吹き込まれ、あるいは空気が吸い出される。異なるユーザが吹き矢型デバイス10を共有する際の衛生面を考慮し、入力部14はユーザごとに交換可能であることが好ましい。
【0019】
流露16は、筐体12内部の部分16aと、筐体12の外部の部分16bとからなる。流露16bの経路上あるいはその終端部には、においセンサ20が設けられる。においセンサ20は、市販品を利用すればよく、たとえば神栄テクノロジー株式会社製OMX−SRなどが利用できる。においセンサ20は、入力部14の開口部を介して吹き込まれた息のにおいを検出し、においに関連する情報を示すにおいデータDSを出力する。
【0020】
呼吸センサ30は、エアフローセンサ30aとマイコン30bを含む。エアフローセンサ30aは、流露16の経路上に設けられ、流露16内を通過する気体の流量を測定し、測定された流量を示す流量データDFを出力する。なお、流量とは流速と同義であり、言い換えれば、ユーザ2がはき出した息の量、あるいはユーザ2が吸い込んだ空気の量に対応する。たとえばエアフローセンサ30aとしては、市販されている芝浦電子製F6201−1が利用できる。マイコン30bは、エアフローセンサ30aとコンピュータ4とのインタフェースユニットであり、流量データDFをコンピュータ4へと出力する。
【0021】
温度センサ50は、流露16を流通する空気の温度を検出し、検出した温度を示す温度データDTを出力する。温度データDTはコンピュータ4へと入力される。温度センサ50としては例えば熱電対が利用できる。
【0022】
方向センサ40は、吹き矢型デバイス10の筐体12向きを検出し、検出した方向を示す方向データDDを出力する。方向データDDも、コンピュータ4へと入力される。たとえば方向データDDは、ブルートゥースなどを利用してコンピュータ4へと伝送されてもよい。方向センサ40としては、外部の所定の方向から放射される赤外線を受光する赤外線カメラを利用することができる。方向センサ40が受光する赤外線の指向性や強度を演算処理することにより、筐体12の方向を識別するものである。あるいはこれに代えて、ジャイロセンサなどを利用してもよい。
【0023】
流露16上の、においセンサ20の近傍、つまり流露16の端部には、においが滞留しないように、においを除去するための換気穴18が穿設されている。
【0024】
なお、においセンサ20および呼吸センサ30は、筐体12の外部に設けられる場合を示しているが、においセンサ20や呼吸センサ30として小型のものを利用できる場合、筐体12に内蔵することもできる。
【0025】
以上が吹き矢型デバイス10の構成である。続いて、その動作を説明する。
ユーザ2が、吹き矢を吹くことに模して、入力部14に対して息を吹き込むと、その息のにおいがにおいセンサ20によって検出され、息の流量が呼吸センサ30によって検出される。呼吸センサ30に用いられる一般的なエアフローセンサ30aは、指向性を有さず、その内部に流れる気体の流量の絶対値のみを検出するものであり、その方向までは判別できない場合が多い。ユーザ2が息を吐き出しているのか、あるいは吸い込んでいるのかを判定するために、温度センサ50から出力される温度データDTを利用することができる。
【0026】
一般的に人間が呼吸をする場合、はき出される息の温度T1と、吸い込まれる空気の温度T2は、総じて前者の方が高い。したがって、予め温度にしきい値を設定しておけば、温度データDTが所定のしきい値以上のとき、ユーザ2が息を吐き出しているものと判定し、しきい値以下のとき、息を吸い込んでいるものと判定することができる。
【0027】
このように、図1の吹き矢型デバイス10によれば、
1a. ユーザ2が息を吐き出すアクション
1b. ユーザ2が空気を吸い込むアクション
を判別できる。
【0028】
また、各アクションそれぞれにおいて、ユーザ2が息を吐く強さ、空気を吸い込む強さを検出することができる。
さらに、ユーザ2が吐き出した息のにおいを判定することができる。
さらには、吹き矢型デバイス(筐体12)の方向を判定することができる。
【0029】
以上が吹き矢型デバイス10の動作である。
【0030】
続いて、吹き矢型デバイス10を用いたゲーム装置について説明する。
図2は、実施の形態に係るゲーム装置100の構成を示す図である。ゲーム装置100は、コンピュータ4、ディスプレイ102、飲食物104、テーブル106、構造体108、送風用ファン110、赤外線LED40bを備える。各ユーザ2は、それぞれが吹き矢型デバイス10を保持している。なお、このゲームは、単一のユーザを対象としてもよいし、複数のユーザを対象としてもよい。以下では説明の簡潔化のため、単一のユーザ2に関して説明をする。
【0031】
はじめに、このゲーム装置の概要を説明する。ディスプレイ102には、モンスターなどの敵キャラクタの画像が表示される。ユーザ2は、吹き矢型デバイス10をキャラクタの方向に向け、吹き矢を吹くことに模して、息を吐き出す。
【0032】
モンスターには、予め弱点となるにおいの種類が設定されており、ユーザが吐いた息が、弱点となるにおいと一致した場合のみ、モンスターにダメージを与えることができる。ディスプレイ上に次々に表示されるモンスターは、弱点となるにおいがそれぞれ異なっている。そこでユーザ2は、モンスターが弱点とするにおいを与えるために、モンスターに適した飲食物を口にする必要がある。
【0033】
以上がゲームの概要である。続いて、具体的な処理を説明する。
【0034】
コンピュータ4は、ディスク装置に格納されたゲームプログラムをメモリにロードし、プロセッサはロードされたプログラムを実行する。
【0035】
コンピュータ4と吹き矢型デバイス10は有線もしくは無線で接続されており、コンピュータ4は、吹き矢型デバイス10から出力される各データが入力されている。ディスプレイ102は、プロジェクタとスクリーンのセットである。これに代えて、液晶ディスプレイなどを用いることもできる。スクリーン上には、赤外線LED40bのアレイが設けられており、ユーザ2の立ち位置に向けて、赤外線を放射している。吹き矢型デバイス10の筐体12の先端に取り付けられた赤外線カメラ40aは、赤外線LED40bからの赤外線の強度や方向を判定することにより、筐体12の向きを判定し、方向データDDを生成する。
【0036】
コンピュータ4は、一般的なプロセッサ、メモリ、ディスク装置、インタフェース部を備える電子計算機であってもよいし、ゲーム専用機器であってもよい。
【0037】
図3は、ディスプレイ102に表示される映像を示す。ディスプレイ102には、ターゲットとなるモンスター200と、吹き矢型デバイス10の方向を示す照準202、モンスター200のライフパラメータ206、残り時間208、スコア210および背景204が表示されている。
【0038】
コンピュータ4のプロセッサは、ディスプレイ102上にモンスター200を描画する。モンスター200は、仮想空間内を移動しており、コンピュータ4はモンスター200の位置をそのつど更新する。ディスプレイ102に表示される映像は、3次元コンピュータグラフィックスを利用して描画してもよいし、単なる2次元アニメーションであってもよい。
【0039】
また、コンピュータ4のプロセッサは、吹き矢型デバイス10からの方向データDDにもとづき、仮想的な吹き矢の軌道を計算し、得られた軌道上に照準202を描画する。ユーザは、照準202の位置がモンスター200と一致するように、吹き矢型デバイス10の向きを調節する。
【0040】
仮想空間内には、仮想的な環境風が吹いている。この環境風をユーザ2に呈示するために、ユーザ2の周囲を取り囲むようにして複数の送風用ファン110が設けられている。送風用ファン110は構造体108に取り付けられており、ユーザ2の身長にあわせて上下方向に移動可能となっている。
【0041】
図4は、送風用ファン110とユーザ2の関係を示す上方平面図である。コンピュータ4と複数の送風用ファン110は接続されており、コンピュータ4は各送風用ファン110の回転数を制御し、仮想空間内の環境風を再現する。コンピュータ4には、プログラムにしたがって、環境風の方向と強さ(風速)を示す環境風データが生成される。環境風データが、たとえば仮想空間内で右から左に向かって風速10mの環境風を示す場合、コンピュータ4は図4の送風用ファン110a、110bを、風速10mに応じた回転数で回転させる。その結果、ユーザ2は実際に右から左に吹く風を知覚する。
【0042】
この環境風は吹き矢の軌道に影響を及ぼす。ユーザ2は自ら知覚した送風用ファン110からの風の方向と強さを考慮して、照準202の位置を調節する必要がある。
【0043】
また、送風用ファン110からの風は、ユーザ2の付近に滞留する空気を拡散させる機能も果たす。上述のように、吹き矢型デバイス10の流露16には換気穴18が穿設されており、ユーザ2が吐き出した息は換気穴18から排気され、送風用ファン110によって運び去られる。
【0044】
照準202が定まると、ユーザ2は、吹き矢型デバイス10をディスプレイ102上に表示されるモンスターなどのキャラクタの画像に向け、吹き矢を吹くことに模して、息を吐き出す。
【0045】
コンピュータ4のプロセッサは、このときの吹き矢型デバイス10からの流量データDF、温度データDT、においデータDSにもとづいて、以下の演算処理を行う。
【0046】
まずプロセッサは、温度データDTと流量データDFにもとづき、ユーザ2が息を吐いたのか吸ったのかを判別する。この処理は上述した。
【0047】
そして、ユーザ2が息を吐き出したと判定すると、方向データDDと流量データDFにもとづいて吹き矢の軌道を計算する。当然ながら、軌道計算に際しては環境風データも考慮される。流量データDFが示す値が大きければ、吹き矢は遠くに飛び、小さければ吹き矢はモンスター200に届かずに落下するであろう。ユーザ2は、モンスター200までの距離に応じて、息の強さを調節する必要がある。プロセッサは、計算した軌道上を飛ぶ吹き矢の画像(図3には不図示)を描画する。
【0048】
画像演出としてプロセッサは、吹き矢の画像を、においデータDSに応じて変化させてもよい。プログラム上には、何種類かの吹き矢の画像が用意されている。においに応じて、吹き矢が火をまとったり、ミサイルに変形したりすると、においを視覚化することができるため、遊技性を高めることができる。
【0049】
プロセッサは、吹き矢の軌道が、モンスター200の仮想空間内における座標と一致した場合、吹き矢がモンスターにヒットしたものとし、以下の処理を行う。
【0050】
プロセッサは、においデータDSを参照し、そのユーザ2が吐いた息のにおいが、現在表示されているモンスター200に対して有効なデータであるか否かを判定する。プログラム中には、モンスターごとの、有効なにおいの特性を示すデータベース(においデータベース)が用意されている。プロセッサはにおいデータDSをこのにおいデータベースと照合することにより、上記判定を行う。
【0051】
なお、ユーザ2があらゆるにおいの食べ物や飲み物を同時に口にして、吹き矢を吹くという反則技を無効とするために、においデータベースの生成には以下の配慮が施される。すなわち各モンスター200に対して有効なにおいは、ひとつ、もしくは2つ程度であり、混ざっていないにおいのみがモンスター200にダメージを与えることができる。この配慮によって、ユーザ2がすべての食べ物を食べたからといって、全てのモンスター200に通用するとは限らない。ユーザ2は、においが混じりあうのを防止するために、食べ物や飲み物を変更するごとに、口をすすぎ、口臭をリセットする。
【0052】
その結果、ユーザがはき出した息が、そのモンスター200に対して有効であると判定された場合、モンスター200にダメージを与えることとなり、プロセッサはモンスター200のライフパラメータを所定幅だけ減少させる。プロセッサは、ディスプレイ102上に現在のライフパラメータを示す画像(数値またはインジケータ)206を描画する。ユーザがモンスター200にダメージを与えるごとに、ライフパラメータ206の表示は更新される。
【0053】
また、遊技性を高めるために、コンピュータ4のプロセッサは、スコア管理を行う。つまり、モンスター200にダメージを与えるごと、および/またはモンスター200を倒すごとに、ユーザ2の得点が加算される。プロセッサはスコアデータを保持しており、所定の条件を満たすたびに、スコアデータを増減させるとともに、スコアを示す画像(数値あるいはインジケータ)をディスプレイ102に描画する。
【0054】
ゲーム性を高めるために、コンピュータ4のプロセッサは、時間の管理を行ってもよい。つまり、あるモンスター200を倒す時間、あるいはあるステージをプレイする時間には制限が設けられ、コンピュータ4のプロセッサは、残り時間208を示す数値あるいはインジケータの画像を、ディスプレイ102上に描画する。
【0055】
ユーザ2が一旦吹いた矢は、ユーザ2が吹き矢型デバイス10から空気を吸い込むことによってユーザの手元に戻ってくる。すなわちユーザ2は、無尽蔵に吹き矢を所有しているわけではなく、単一の、あるいは複数の有限の吹き矢を利用して、ゲームに臨む。
【0056】
プロセッサは、吹き矢がユーザの手元にあるか否かを示すフラグを管理する。ユーザ2が一旦吹き矢を吐くと、フラグの値は0となる。
ユーザ2が、吹き矢を吹いたあと、吹き矢型デバイス10から空気を吸い込む。このとき、吹き矢型デバイス10からは、比較的低い温度を示す温度データDTと、ある程度大きな流量データDFが出力されるであろう。プロセッサは、温度データDTと流量データDTを参照し、所定の条件を満たすとき、ユーザ2が空気を吸い込んだものと判定する。この判定がなされると、プロセッサは、ディスプレイ102上に吹き矢がユーザ2の方向に戻ってくる映像を描画し、フラグの値を1にセットする。
【0057】
ユーザ2は、フラグの値が1ときのみ、つまり吹き矢が手元に存在する状況でのみ、モンスター200に対して吹き矢を吹くことができる。この構成によれば、ユーザは息を吐いたり吸ったりする動作を繰り返すことになるが、上述の吹き矢型デバイス10を用いれば、吐く動作と吸う動作を好適に判別することができる。
【0058】
実施の形態に係るゲーム装置100によれば、ユーザ2はモンスター200を倒すために夢中で飲食を行うことになる。たとえばユーザ2として想定される子供が嫌いな食べ物や飲み物を、モンスター200の弱点に設定すれば、その子供はモンスターを倒すために必死で嫌いな物を飲食することになる。本発明者らの実験によれば、このゲームをプレイする子供は、気づかないうちに嫌いな食べ物を食べることができたという事例が多く見られている。つまり、このゲーム装置100によれば、ゲームを楽しみながらユーザの好き嫌いを解消することができる。この観点から、上述したにおいデータベースは、プレイヤ以外の人間、たとえばプレイヤの保護者が任意に設定可能としてもよい。
【0059】
以上、実施の形態を説明した。実施の形態は例示であり、さまざまな変形例が可能であり、そうした変形例も本発明に含まれることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0060】
2…ユーザ、4…コンピュータ、10…吹き矢型デバイス、12…筐体、14…入力部、16…流露、18…換気穴、20…においセンサ、30…呼吸センサ、40…方向センサ、50…温度センサ、100…ゲーム装置、102…ディスプレイ、104…飲食物、106…テーブル、108…構造体、110…送風用ファン、200…モンスター、202…照準、204…背景、206…ライフパラメータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが息を吹き込みあるいは空気を吸い出すための開口部を有する入力部と、
前記入力部の前記開口部と連通する流露と、
前記入力部に吹き込まれた息のにおいを検出し、においに関連する情報を示すにおいデータを出力するにおいセンサと、
前記流露を流通する空気の流量を検出し、検出した流量を示す流量データを出力する呼吸センサと、
前記流露を流通する空気の温度を検出し、検出した温度を示す温度データを出力する温度センサと、
を備えることを特徴とする吹き矢型デバイス。
【請求項2】
当該吹き矢型デバイスの向きを検出し、検出した方向を示すデータを出力するための方向センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の吹き矢型デバイス。
【請求項3】
前記流露の前記においセンサの近傍には、においが滞留しないように、においを除去するための換気穴が設けられることを特徴とする請求項1に記載の吹き矢型デバイス。
【請求項4】
ディスプレイと、
請求項1に記載の吹き矢型デバイスと、
前記吹き矢型デバイスおよび前記ディスプレイと接続され、前記吹き矢型デバイスから出力されるデータにもとづいて、所定のプログラムを実行するコンピュータと、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
前記プログラムにもとづき、
前記コンピュータのプロセッサが、前記ディスプレイにターゲットとなるキャラクタの画像を表示するステップと、
前記ユーザが、吹き矢を吹くことに模して、前記吹き矢型デバイスを前記ディスプレイに表示される前記キャラクタの方向に向け、前記開口部に息を吹き込んだとき、前記コンピュータのプロセッサが、前記吹き矢型デバイスから前記においデータ、前記流量データおよび前記温度データを取得するステップと、
前記コンピュータのプロセッサが、取得した前記においデータが、前記キャラクタに設定された条件を満たすかを判定するステップと、
前記コンピュータのプロセッサが、前記においデータが前記条件を満たすとき、前記キャラクタに設定されるライフパラメータに所定の演算処理を施すステップと、
を実行することを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−162122(P2010−162122A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5830(P2009−5830)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月13日・14日 日本バーチャルリアリティ学会共催の「第16回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC2008)」に出展、平成20年10月29日発行の「エンタテインメントコンピューティング2008論文集」に発表
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】