説明

吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法

【課題】 アルカリの使用量を低減しつつ、急結性や強度発現性に優れ、高耐久性を付与することが可能な急結剤を提供する。
【解決手段】 カルシウムアルミネートと石膏とアルカリ金属アルミン酸塩を含有する吹付け用急結剤において、前記カルシウムアルミネートは、ガラス化率が80%以上、かつCaO/Al23モル比が1.9〜3.0であり、前記アルカリ金属アルミン酸塩は、吹付け用急結剤100部中の含有量が、1.5〜10部であることを特徴とする吹付け用急結剤とアミン類と高炉セメントからなる吹付け材料である。この吹付け材料を使用した吹付け用コンクリートをトンネルや法面の地山に吹付ける吹付け工法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの掘削作業等において露出した地山の崩落を防止するために、粉体の急結剤をコンクリートに混合した急結性コンクリートを吹付ける工法が用いられている。
そのような吹付け工法に使用する急結剤として、カルシウムアルミネートと石膏とアルカリ金属アルミン酸塩を含有するものが知られている(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平11−12008号公報
【特許文献2】特開平11−130498号公報
【特許文献3】特開2003−12356号公報
【0003】
上記発明は、アルカリを多量に含む急結剤である。そこで、アルカリフリー急結剤が開発されているが、アルカリを多量に含む急結剤に比べ初期の急結性能が低くなるので、特定のカルシウムアルミネートと石膏を含有させることが行われている(特許文献4、5参照)。
【特許文献4】特開平11−130499号公報
【特許文献5】特開平11−130500号公報
【0004】
一方、アミン類や、アミン類とカルシウムアルミネート、セッコウを併用してセメントの強度発現を向上させることが検討されている(特許文献6、7参照)。
【特許文献6】特開平9−142900号公報
【特許文献7】特開平9−255387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルカリの使用量を低減しつつ、急結性や強度発現性に優れ、高耐久性を付与することが可能な急結剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)カルシウムアルミネートと石膏とアルカリ金属アルミン酸塩を含有する吹付け用急結剤において、前記カルシウムアルミネートは、ガラス化率が80%以上、かつCaO/Al23モル比が1.9〜3.0であり、前記アルカリ金属アルミン酸塩の吹付け用急結剤100部中の含有量が1.5〜15部であることを特徴とする吹付け用急結剤と、アミン類と、高炉セメントからなる吹付け材料、(2)前記カルシウムアルミネートは、ガラス化率が90%以上、かつCaO/Al23モル比が2.0〜2.3であることを特徴とする(1)の吹付け材料、(3)前記アルカリ金属アルミン酸塩中のR2O/Al23モル比(Rはアルカリ金属)が、0.8〜1.2であることを特徴とする(1)又は(2)の吹付け材料、(4)吹付け用急結剤100部中の含有量が、カルシウムアルミネート30〜60部、石膏30〜60部、アルカリ金属アルミン酸塩1.5〜15部であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの吹付け材料、(5)吹付け用急結剤100部中の含有量が、カルシウムアルミネート40〜50部、石膏40〜50部、アルカリ金属アルミン酸塩3〜12部であることを特徴とする(4)の吹付け材料、(6)セメント100部中、高炉スラグ含有量が5〜70部であるセメントと、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吹付け用急結剤を含有してなることを特徴とする吹付け材料、(7)(6)の吹付け材料を使用した吹付け用コンクリートをトンネルや法面の地山に吹付けることを特徴とする吹付け工法、である。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吹付け材料を使用することで、従来の急結剤よりもアルカリの使用量が少なくても急結性や強度発現性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明でいうコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートの総称である。
【0009】
本発明の吹付け用急結剤(以下急結剤という)は、急結剤中に少なくともガラス化率80%以上、かつCaO/Al23モル比が1.9〜3.0のカルシウムアルミネートと石膏とアルカリ金属アルミン酸塩を含有するものである。
【0010】
カルシウムアルミネートは、カルシア原料やアルミナ原料等を混合したものをキルンでの焼成、電気炉での溶融等の熱処理をし、粉砕して得られるものである。
【0011】
電気炉で溶融後は急冷しガラス化することが好ましく、ガラス化率は好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上が望ましい。ガラス化率が80%未満では、優れた急結性が得られない場合がある。ガラス化率は、加熱前のサンプルの粉末X線回折法により結晶鉱物のメインピーク面積Sをあらかじめ測定し、1000℃で2時間加熱後、5℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法により加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積Sを求め、さらに、これらのS及びSの値を用い、下記の式を用いてガラス化率Xを算出する。ガラス化率X(%)=100×(1−S/S
【0012】
カルシウムアルミネートのCaOとAl23のモル比は、CaO/Al23モル比で1.9〜3.0であり、1.9〜2.5が好ましく、2.0〜2.3がより好ましい。モル比がこの範囲外では、優れた急結性が得られない場合がある。
【0013】
カルシウムアルミネートの主成分はCaO、Al23であるが、その他、SiO2、CaF2、Mg、Si等をミネライザーとして含有させることも可能である。
また、急結性をより高める目的でカルシウムアルミネートに5%未満のアルカリ金属元素を固溶させることも可能である。
【0014】
カルシウムアルミネートの粒度やその分布は特に限定されないが、急結性の観点からブレーン値で4000cm2/g以上が好ましく、6000cm2/g以上がより好ましい。
【0015】
カルシウムアルミネートの使用量は、特に限定されないが、急結剤100部中、30〜60部が好ましく、40〜50部がより好ましい。30部未満では、優れた急結性が得られない場合があり、60部を超えると長期強度発現性が損なわれる場合がある。
【0016】
本発明の石膏としては、無水石膏、半水石膏、及び二水石膏等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用可能である。無水石膏には、弗酸副生無水石膏や天然無水石膏が含まれる。
【0017】
石膏の粒度は、ブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上が強度発現性の観点からより好ましい。
【0018】
石膏の使用量は、特に限定されないが、急結剤100部中、30〜60部が好ましく、40〜50部がより好ましい。30部未満では、長期強度発現性が損なわれる場合があり、60部を超えると優れた急結性が得られない場合がある。
【0019】
本発明のアルカリ金属アルミン酸塩は、アルミナ原料とアルカリ金属原料とを混合して得られるものであり、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等が挙げられる。
【0020】
アルカリ金属アルミン酸塩のR2O(Rはアルカリ金属元素)とAl23のモル比は、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。0.8未満では、優れた急結性が得られない場合があり、1.2を超えると、長期強度発現性が損なわれる場合がある。アルカリ金属アルミン酸塩の粒度はカルシウムアルミネートや石膏と同等か、それ以上であることが急結性を向上させる観点から好ましい。
【0021】
アルカリ金属アルミン酸塩の使用量は、急結剤100部中、1.5〜15部であり、好ましくは、3〜12部、より好ましくは、5〜10部である。1.5部未満では優れた急結性が得られない場合があり、15部を超えると急結性は飽和し、強度発現性は損なわれる場合がある。
【0022】
本発明で使用するアミン類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、及びトリイソプロパノールアミン等が使用可能であり、本発明の急結剤と併用することで、強度発現性を向上させるものである。これらの中では、急結性を向上させる観点からトリイソプロパノールアミンが好ましい。
アミン類は、急結剤の各原料を微粉化する際に添加し、粉体表面をアミン類でコーティングすることが好ましいが、別々にコンクリートに添加することも可能である。
【0023】
アミン類の使用量は、セメント100部に対して、0.01〜5部が好ましく、0.05〜2部がより好ましい。急結剤に予め添加する場合には、これらの使用量に相当するアミン類を急結剤に加えることが望ましい。
【0024】
本発明の急結剤は、これらの材料以外にアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、生石灰、消石灰、水酸化アルミニウム等を含有させることが可能である。
【0025】
本発明で使用するセメントは、高炉セメントが好ましく、高炉スラグの含有量はセメント100部中、5〜70部が好ましい。本発明の高炉スラグ微粉末は、溶鉱炉で鉄鋼石から銑鉄をつくる際に副生する溶融スラグを水や空気などで急冷してガラス化したものを粉砕又は粉砕・分級して得られるアルミノケイ酸塩を主成分とする微粉末であり、JIS A 6206に規定されるものが好ましい。高炉スラグの粒度は、強度発現性の観点からブレーン値で3000cm/g以上が好ましい。高炉スラグと混合されるセメントは特に限定されない。
【0026】
さらに、本発明では、pH調整剤、分散剤、安定化剤、防凍剤、水溶性促進剤、AE剤、減水剤、AE減水剤、凝結遅延剤、増粘剤、繊維、及び微粉等の添加剤を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0027】
本急結剤の使用量は、セメント100部に対して5〜15部が好ましい。使用量が5部未満では優れた急結性が得られない場合があり、15部を超えた場合、施工コストが嵩み好ましくない。
【0028】
本吹付けコンクリート中のセメントの使用量は、330〜500kg/m3が好ましく、水セメント比は40〜65%が好ましい。
また、吹付けコンクリートのスランプやフロー値に関しては特に限定されない。
【0029】
本吹付け工法としては、一般的に行われている湿式の吹付け工法及び乾式の吹付け工法が使用可能である。湿式工法としては、吹付けセメントコンクリートに本急結剤を混合する方法等が挙げられ、乾式の吹付け工法としては、セメント、砂、及び砂利の組成物に水及び本急結剤を混合する方法やセメント、砂、砂利、及び本急結剤組成物に水を混合する
方法が挙げられる。
本急結剤を吹付けコンクリートに混合する方法としては、Y字管等を用いて吹付け直前に混合することが好ましい。具体的には、圧送されてきたコンクリートに急結剤を添加し、本吹付けコンクリートが吐出されるまでの時間を10秒以内にすることが好ましく、2秒以内がより好ましい。
【0030】
また、本吹付けコンクリートをトンネルの地山の他、法面の地山に直接、又はフレーム骨格を配置した個所に吹付けることも可能である。ここで、フレーム骨格とは、金網、鉄筋、及び鉄骨等を組み合わせて壁面に固定したものであり、該フレーム骨格に本吹付け材を吹付け、鉄筋類含有コンクリートフレームとする。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
C/S(セメント/砂比)=1/3、W/C(水/セメント比)=55%のモルタルを用いた。
急結剤100部中、表1に示すカルシウムアルミネート50部、石膏40部、アルカリ金属アルミン酸塩10部を含有してなる急結剤をセメント100部に対して、10部使用し、さらにアミン類をセメント100部に対して表1に示す量使用してプロクター貫入抵抗と圧縮強度(28日強度)を測定した。試験環境温度は20℃である。
結果を表1に併記する。
【0032】
<使用材料>
セメント:市販品の普通ポルトランドセメントと高炉スラグ(新日鐵高炉社製、ブレーン4000cm/g)を55:45の重量比で混合したもの
カルシウムアルミネート:カルシア原料とアルミナ原料を所定割合混合し、電気炉で1600℃で溶融して得られたもの、冷却速度をコントロールし種々のガラス化率のものを合成、ブレーン10000cm2/g
石膏:天然無水石膏、ブレーン5000cm2/g
アルカリ金属アルミン酸塩:アルミン酸ナトリウム、Na2O/Al23モル比1.1、ブレーン6000cm2/g
アミン類(A):市販品、トリイソプロパノールアミン
アミン類(B):市販品、ジエタノールアミン
水:水道水
減水剤:市販品、ポリカルボン酸系減水剤
砂:新潟県姫川産川砂、密度2.62g/cm3
【0033】
<測定方法>
プロクター貫入抵抗値(凝結性状):ASTM C 403「貫入抵抗によるコンクリートの凝結時間試験方法」に準拠。モルタル及び急結剤を混合後5分の凝結性状を評価した。
圧縮強度:4×4×16cmサイズの供試体を作製し、材齢28日で圧縮強度を測定した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1から、CaO/Al23モル比が2.0〜2.3で、ガラス化率が80%以上であるカルシウムアルミネートを使用した実験No.1−3〜1−7の急結剤は、プロクター貫入抵抗値が大きく、急結性に優れたものであることが分かる。実験No.1−1のように、カルシウムアルミネートのCaO/Al23モル比が1.7と低くなるにしたがって、プロクター貫入抵抗値は小さくなり、急結性が悪くなるので、CaO/Al23モル比は1.9以上とする。CaO/Al23モル比が3.0までのカルシウムアルミネートを使用し得るが、実験No.1−10のように、CaO/Al23モル比が3.0以上であると、プロクター貫入抵抗値は小さくなるから、好ましくは2.5までとする。
実験No.1−8、1−11のように、カルシウムアルミネートのガラス化率が75%以下であると、プロクター貫入抵抗値は小さくなり、急結性が悪くなるので、ガラス化率は80%以上とする。
実験No.1−4、1−12〜1−17のように、アミン類を使用した場合、圧縮強度の向上が認められる。実験No.1−5のように、アミン類を使用しないと圧縮強度が小さくなる。実験No.1−12のようにアミン類が0.01部だと圧縮強度が小さくなるから、好ましくは0・05部以上とする。実験No.1−5のように、アミン類を使用しないと圧縮強度が小さくなる。実験No.1−16のようにアミン類が5部だと圧縮強度が小さくなるから、好ましくは2部までとする。実験No.1−17のように、アミン類としてジエタノールアミンを使用するとプロクター貫入抵抗値が小さくなるので、アミン類としてトリイソプロパノールアミンが好ましい。
【実施例2】
【0036】
急結剤100部中、CaO/Al23モル比が2.3、ガラス化率90%以上のカルシウムアルミネート50部、石膏40部、及び表2に示すアルカリ金属アルミン酸塩10部を含有してなる急結剤をセメント100部に対して、10部使用し、さらにアミン類(A)をセメント100部に対して0.1部使用してプロクター貫入抵抗と圧縮強度を測定したこと以外は実施例1と同様に試験した。
結果を表2に併記する。
【0037】
<使用材料>
アルカリ金属アルミン酸塩:一級試薬のNaOHとAl(OH)3を使用して合成したもの、ブレーン6000cm2/g
【0038】
【表2】

【0039】
表2から、R2O/Al23モル比(Rはアルカリ金属)が0.8〜1.2のアルカリ金属アルミン酸塩を使用した実験No.2−2〜2−5、1−4の急結剤は、プロクター貫入抵抗値や圧縮強度が大きく、急結性に優れたものであることが分かる。
【実施例3】
【0040】
急結剤100部中、CaO/Al23モル比が2.3、ガラス化率90%以上のカルシウムアルミネート、石膏、及びアルカリ金属アルミン酸塩をそれぞれ表3に示す量を使用し、この急結剤をセメント100部に対して、10部使用し、さらにアミン類(A)をセメント100部に対して0.1部使用してプロクター貫入抵抗と圧縮強度を測定したこと以外は実施例1と同様に試験した。
結果を表3に併記する。
【0041】
【表3】

【0042】
表3から、本発明の急結剤は、実験No.3−2、3−3、1−4、3−6、3−11のように、プロクター貫入抵抗値は大きく、強度発現性に優れたものであることが分かる。実験No.3−9、3−8のように、アルカリ金属アルミン酸塩の使用量が少なくなると急結性が悪くなるので、急結剤100部中、アルカリ金属アルミン酸塩は3部(実験No.3−10)以上が好ましい。実験No.3−13、3−14のように、急結剤100部中、アルカリ金属アルミン酸塩が12部(実験No.3−12)より増加すると、プロクター貫入抵抗値が小さくなり、急結性は損なわれるから、アルカリ金属アルミン酸塩は12部以下が好ましい。
実験No.3−1、3−7のように、石膏の使用量が多いか、カルシウムアルミネートの使用量が少ないと、プロクター貫入抵抗値が小さくなり、実験No.3−4、3−5のように、石膏の使用量が少ないか、カルシウムアルミネートの使用量が多いと、圧縮強度が小さくなる。従って、急結剤100部中、石膏は30〜60部、カルシウムアルミネートは30〜60部、アルカリ金属アルミン酸塩1.5〜15部とするのが好ましい。
【実施例4】
【0043】
急結剤100部中、CaO/Al23モル比が2.3、ガラス化率90%以上のカルシウムアルミネート50部、石膏40部、及びアルカリ金属アルミン酸塩10部を含有してなる急結剤をセメント100部に対して、表4に示す量を使用し、さらにアミン類(A)をセメント100部に対して0.1部使用してプロクター貫入抵抗を測定したこと以外は実施例1と同様に試験した。
結果を表4に併記する。
【0044】
【表4】

【0045】
表4から、プロクター貫入抵抗値を大きくして急結性を発揮させ、強度発現性を向上させるためには、実験No.4−2〜4−4、1−4のように、急結剤をセメント100部に対して、5部以上添加するのが好ましいことが分かる。
【実施例5】
【0046】
急結剤100部中、CaO/Al23モル比が2.3、ガラス化率90%以上のカルシウムアルミネート50部、石膏40部、及びアルカリ金属アルミン酸塩10部を含有してなる急結剤を表5に示す種類のセメント100部に対して、10部使用し、さらにアミン類(A)をセメント100部に対して0.1部使用してプロクター貫入抵抗を測定したこと以外は実施例1と同様に試験した。
結果を表5に併記する。
【0047】
<使用材料>
セメント(イ):市販品の普通ポルトランドセメントと高炉スラグ(新日鐵高炉社製、ブレーン4000cm/g)を95:5の重量比で混合したもの
セメント(ロ):市販品の普通ポルトランドセメントと高炉スラグ(新日鐵高炉社製、ブレーン4000cm/g)を80:20の重量比で混合したもの
セメント(ハ):市販品の普通ポルトランドセメントと高炉スラグ(新日鐵高炉社製、ブレーン4000cm/g)を55:45の重量比で混合したもの
セメント(二):市販品の普通ポルトランドセメントと高炉スラグ(新日鐵高炉社製、ブレーン4000cm/g)を30:70の重量比で混合したもの
【0048】
【表5】

【0049】
表5から、高炉スラグ含有量が多くなると、プロクター貫入抵抗値が大きく、急結性に優れたものになることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネル、並びに法面において、露出した地山
面に急結性のコンクリートの吹付けに使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムアルミネートと石膏とアルカリ金属アルミン酸塩を含有する吹付け用急結剤において、前記カルシウムアルミネートは、ガラス化率が80%以上、かつCaO/Al23モル比が1.9〜3.0であり、前記アルカリ金属アルミン酸塩の吹付け用急結剤100部中の含有量が1.5〜15部であることを特徴とする吹付け用急結剤と、アミン類と、高炉セメントからなる吹付け材料。
【請求項2】
前記カルシウムアルミネートは、ガラス化率が90%以上、かつCaO/Al23モル比が1.9〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載の吹付け材料。
【請求項3】
前記アルカリ金属アルミン酸塩中のR2O/Al23モル比(Rはアルカリ金属)が、0.8〜1.2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の吹付け材料。
【請求項4】
吹付け用急結剤100部中の含有量が、カルシウムアルミネート30〜60部、石膏30〜60部、アルカリ金属アルミン酸塩1.5〜15部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吹付け材料。
【請求項5】
吹付け用急結剤100部中の含有量が、カルシウムアルミネート40〜50部、石膏40〜50部、アルカリ金属アルミン酸塩3〜12部であることを特徴とする請求項4に記載の吹付け材料。
【請求項6】
セメント100部中、高炉スラグ含有量が5〜70部であるセメントと、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吹付け用急結剤を含有してなることを特徴とする吹付け材料。
【請求項7】
請求項6に記載の吹付け材料を使用した吹付け用コンクリートをトンネルや法面の地山に吹付けることを特徴とする吹付け工法。

【公開番号】特開2007−51021(P2007−51021A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236646(P2005−236646)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】