説明

吹出管構造

中子を形成する鋳型にコンテナから粒子材料を搬送する吹出管は、弾性的な弾性材料から形成される一様な弾性体を有しており、本体の調整やコンテナ及び鋳型のズレを補正することができる。吹出管本体は、微粒子材料が圧縮ガスによって本体から吹出されて、微粒子材料の密度が増加するとともにガスの体積及び粒子の流れが増加することができるように、軸方向に分離する区間を多数有する内孔を備えている。吹出管本体の弾性は、粒子材料が吹出管に詰まると端部を拡大させることができる。その結果、微粒子材料を詰まらせないで排出させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中子を形成する鋳型内に微粒子材料及びガスを吹き込むため鋳造工場内で使用される類の吹出管の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関するこの種の吹出管は、高容量保冷容器及び保温容器鋳造形成機に使われるものである。
【0003】
通常、鋳物業で使われる吹出管は鋼管から成って、その一端に着脱式にスナップ留めされたゴム状チップを有したものである。ゴム状のチップは、吹出管及び中子型の間にシールを形成するとともに管と中子型との接触部における摩擦を最小限にする。いくつかの困難が、このようなタイプの吹出管に存在する。例えば、頻繁に交換可能し得るものであるのに、時折、それらチップが管から分離してしまい、これにより停止時間が生じたりチップの交換に手間の掛かる原因となる。これは、経済上重要な問題になりかねない。
【0004】
チップが吹出管から分離寸前であることを確実に判定する方法はない。したがって、作業者は毎回のシフトの初めにそれらチップを交換しており、これにより、当該シフト中の分離はかろうじて生じ難いものとなっている。他の作業者は定期的な間隔でチップを交換するが、どのみちそれらもしばしば分離してしまい、中子の製造に影響を及ぼし、砂を鋳型外に吹き出す原因となってしまう。
【0005】
吹出し板から中子型への砂の送出に用いられる金属製吹出管の使用による他の問題は、吹出管及び中子型の間に少しでもズレが生じると、吹出管、吹出し板、及び中子型に損傷が生じる虞があるということである。吹出管が成形キャビティへの入口と一致していない場合には、吹出管、中子型、吹出し板、あるいは全ての構成要素に損傷が生じかねない。その結果、修理している間は装置を動作不能とするだけでなく、コストの掛かる修理が必要になる。
【0006】
金属製及び非弾性素材製吹出管の更なる問題は、鋳型の中身を砂で満たした後、吹出し板と中子型とが分離している間、吹出管からの砂の通路が遮断されることである。頻繁に起こるケースとしては、鋳型内に噴射される砂を結合剤と混合させる場合、砂が静止していると、つまり、砂粒子同士が接着してしまうことである。そのような接着が生じると、詰まった接着粒子群を吹出管から除去するかあるいは吹出管そのものが修理されるまで中子の製造を中断しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主目的は、前記の欠点を克服する吹出管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施形態に基づいて構成される吹出管は、軸方向に延在する孔を有する細長い管体から構成されている。管体の一端には、結合リングが設けられており、本体をコンテナの一部を形成するオリフィスプレートに固定することができる。一方、中子型の上を覆っているポートプレートはコンテナからの砂を通過させる。管体の一端は、砂中子を形成する目的で鋳型内へ挿入される。吹出管本体は、砂コンテナオリフィスプレートの放砂口及び中子型ポートプレートの入口の間に生じる虞のあるズレを補正する能力のあるゴム状且つ弾性的な弾力材から形成される。吹出管の端部は、中子型の入口に入り込むように改良されており、吹出管のチップと入口との間の密閉を容易にするよう外面的にテーパ状を成している。
【0009】
通常砂は、重力や空気のような加圧ガスの両方の影響により吹出管を通って鋳型内へと送出される。加圧ガスは、砂を鋳型内により密集かつ均一に充填することを可能にする。充填は、吹出管から放出される砂の割合を促進させるとともに鋳型内の砂密度を増加させるために吹出端部の方向に吹出管がテーパを成している本発明の吹出管によって改善される。
【0010】
吹出管を形成する弾性材料は、結果的に、砂が吹出管内で静止している期間に互いに結びついた砂粒子によって孔を詰まらせることになる。加圧ガスは、詰まった砂の粒子同士の分離を促進して排出するために吹出管本体を放射状に拡大させる。このような状況における加圧ガスの効力は、砂が通り抜けるテーパ状の孔によって増加する。
【0011】
所望範囲を砂で充填させた鋳型キャビティは、時折、中子を固めるため砂を突き固めることが好ましい。この目的のため、吹出管に多くの点で類似するタンピングピンが提供され、軸方向に貫通している内孔を有するとともに、吹出管に備えられているものと同様の結合リングを終端部に有した管体から構成されるものである。結合リングとは反対側の端部すなわちタンピングピン本体の自由端は内孔に固定される剛性スリーブを有しており、このようなスリーブは、格子をピンの自由端と同一平面に収容する。格子は、どんな結合剤にも反応して流れる空気や他のガスが通過する複数の通路を有しており、砂を混合させる。
【0012】
タンピングピンは、鋳型内の砂を垂直に固めるため振動させてもよい。したがって、格子は、ピンが振動するにつれて砂に対して圧縮力を印加することができるように構成されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る実施形態は、図4に示す従来の鋳物装置に関して使用の改善を図るものであり、好適な既存の結合剤と混合された砂のような微粒子材料の混合物を収納するためのチャンバ2を有するコンテナ1を備えている。コンテナ1の底部に取り付けられているオリフィスプレート3は、上向キャビティ4を有しており、その底部に砂を通過させる漏斗状の開口部5をポート6に連通させて設け、砂の流動方向にあるポート7は中子型ポート8を有するもので、中子型10の入口9に連通している。図4に示すように、本発明に従って構成される吹出管11は、コンテナ1から中子型の鋳型内に材料を放出するためにオリフィスプレート3及びポートプレート7の間に設けられる。
【0014】
吹出管11は、適切な弾力のあるブチル、或いはデュロメータの測定値が約80である他の弾性材料によって形成される管状の細長い本体12から成るものである。本体12の一端には連結リング13が設けられている。この結合リング13は、一般に行われているように、本体に接着して固定したり、本体内に一体的に成形することができる。本体12は、その長さの大部分が実質的に均一を成す側壁14を有している。但し、結合リング13に隣接する壁部は、オリフィスプレート3に管を固定するために使用される複数のボルト頭部(不図示)に適応するための一対の間隙15を備えた状態である。
【0015】
他端すなわち本体12の自由端の付近は、チップ16から外面的にテーパを成すよう直径及び肉厚が減少している。
【0016】
本体12には、軸方向に貫通する内孔17が形成されている。該内孔17は、長さ方向にわたって同一内径を示す第一の上方部分18を有している。また一方、この上方部分18の下端には、第1テーパ部19とされており、その下端部が同一内径をなす第2の内径部20に繋がっている。
【0017】
孔部20の下端部は、第1テーパ部19から軸方向に間隔をおいて配置されて本体12の端部に至る第2テーパ孔部21に繋がっている。
【0018】
テーパ孔部19及び21は、異なっていることが好ましい。できれば、孔部19のテーパが孔部21のテーパより急である方がよい。満足のいく結果が得られるのは、孔部19が約15°のテーパを成し、孔部21が約10°のテーパを成すときである。
【0019】
使用における吹出管の状態は、オリフィスプレート3の底部に位置されて、複数のボルト(不図示)によってオリフィスプレート3に固定されてなるもので、そのボルトのヘッドが間隙15を部分的に占有する。適切に設置された場合は、ボルトのヘッドが結合リング13に当接して、吹出管を、上位孔部18がオリフィスプレート通路6の吹出口と一致する所定位置に固定する。このように、吹出管11はコンテナ1にしっかりと固定され、オリフィスプレート3を越えて中子型10の方向へ延出する。
【0020】
コンテナ1及び中子型10は、吹出管がポートプレート7のポート8と軸方向で一致するようにして配置されることが好ましい。それによって、コンテナ1から中子型10の型への砂の流れが促進される。従来通り、砂の流れは、図4に示す矢印22の指す方向からコンテナ1内に送出される空気のような加圧ガスによって促進される。
【0021】
所定量の砂が中子型の鋳型内へ送出されると、コンテナ1及び中子型は、別の鋳型が吹出管11から砂を受ける位置であるコンテナ1の真下に位置されるようにズレる。
【0022】
吹出管11は弾性的な材料から構成され、チップ16はテーパ状を成していることにより、コンテナ1の吹出口と鋳型10の入口との間に若干のズレがあってもそれを補償することができる。吹出管の全本体12が撓むことができ、テーパ状チップ16によって鋳型の入口にシール力を形成することができるからである。チップ16を含め、本体12が可撓性を有していることにより、吹出管、コンテナ1、鋳型10の間のズレによって吹出管或いはコンテナ1及び鋳型10に損傷を与えないものとすることができる。吹出管を形成している材料は、側面や他の力の作用が終了されて初期状態に復帰させることを可能にするほどの弾力性(復元力)を有したものである。
【0023】
吹出管を通る砂の放出は、いくつかの理由のうちの一つで終了する。例えば、充満された鋳型を空の鋳型に取り替えるとき孔17内の砂は静止している。頻繁に起こるケースとして、その砂が結合剤と混合されていると、結合剤が砂微粒子同士を接着させたり孔17の側壁に接着させたりする要因となる傾向がある。吹出管を通る砂の流れの停止が長時間生じたり、温度や湿度の条件が揃ってしまったりすると、砂粒子同士或いは砂粒子が孔17へ付着して孔を詰まらせる原因となる虞がある。その場合、コンテナから吹出管11への砂の流れの再始動は、詰まった粒子に吹出管の側壁14を径方向に広げる程度の加圧ガスによって力を加えることによって可能となる。それによって、詰まらずに本体12を通り抜けることになる。本体12の側壁の厚みは、砂の粒子サイズや使用される結合剤、吹出管へ導入されるガスの圧力に依存する。おそらく、これらの特徴は、経験的に容易に決定することができる。
【0024】
図2に最も良く示されるように、テーパ状チップ16の肉厚は、間隙15の部分を除けば、本体の他の部分の肉厚よりも薄くなっている。薄い肉厚のチップは、たとえ本体12と上記ポートとの間で若干のズレが生じていようと、吸込口内へのチップの収容を容易にする。
【0025】
砂が重力と加圧ガスの影響を受けて孔17の中を流れる際、連続的にテーパ孔部19,21を通過して流れるに従って、ガスの容量は圧縮され、かつ速度が増速される。これらの特徴は、吹出管から排出される粒子材料の密度を増大させる。その結果、鋳型内で形成される中子は、従来よりも密度大となる。
【0026】
鋳型が満たされた後、時々、空隙の部分をなくすように砂を詰めることが好ましく、それによって中子の密度を高める。本発明に従って構成される装置は、吹出管本体12を形成する材料と一致するか、それと類似する弾性材料から形成される細長い管状の本体25からなるタンピングピン24を含んで構成されている。本体25の一端には結合リング26が設けられている。本体25の他端は薄肉とされた壁辺27で終端している。タンピングピン24は、実質的に一定内径をなす上位孔部28を有しており、それは小径の第2孔部29の端部に連通している。孔部28及び29の間には、ショルダを形成する環状の突出部30が設けられている。
【0027】
孔部29には、金属スリーブ31が圧入されており、該金属スリーブ31は、突出部30によって設定されるショルダに当接している。スリーブ31の端部間には、内側ショルダ32が設けられており、この内側ショルダ32には、該スリーブに押圧して嵌め込まれる環状の格子33の一端が当接する。環状格子33は、内部に軸方向へ延出する複数のガス流路34を有している。格子33の端部は、ピン24の自由端と同一平面となっている。
【0028】
開示された実施例においては、ピン24の側壁25には、図5の矢印36に示すように、圧縮された空気及び他のガスを送入する開口部35が設けられている。
【0029】
使用する際には、タンピングピン24を上位の支持材(コンテナ1でもよい)に備え付ける。タンピングピン24は、中子型10の垂直方向上方に中子型のオリフィス入口9と一致させて設けられる。タンピングピン24及び中子型10は、鋳型内の砂をタンピングピンで固めることができるよう相対振動する。必要に応じて、空気や他のガスを開口部35を介してタンピングピン本体25の内部に導入させてもよい。これにより、開口格子33の詰まりを防止し、且つ、砂と混合する結合剤とガスとが反応して結合剤の結合あるいはその他の反応に影響を及ぼすことができる。
【0030】
具体的には、現在の本発明の好ましい形態を代表するものであるが、限定的なものではなく一実施例とするものである。本発明は、請求項に規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】吹出管の等角立面図である。
【図2】図1に示す管の縦断面図であるとともに図3の2-2断面を示す。
【図3】吹出管の底面図である。
【図4】砂容器及び鋳造型枠の間の操作位置の吹出管を示す部分立面図である。
【図5】タンピングピンの等角立面図である。
【図6】図5に示すピンの縦断面図である。
【図7】図5に示すピンの底面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 コンテナ
2 チャンバ
3 オリフィスプレート
4 上向キャビティ
5 開口部
6 ポート
7 ポートプレート
8 ポート
9 入口
10 中子型
11 吹出管
12 本体
13 結合リング
14 側壁
15 間隙
16 チップ
17 内孔
18 上方孔部
19 第1テーパ部
20 第2の内径部
21 第2テーパ孔部
24 タンピングピン
25 本体
26 結合リング
27 壁部
28 上方孔部
29 孔部
30 突出部
31 金属スリーブ
32 内側ショルダ
33 格子
34 ガス流路
35 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子を形成する鋳型内に粒子材料及びガスを吹き出すために鋳造工場内における使用に適した吹出管であって、
軸方向に延在するとともに一端のチップで終端する内孔を有する一様な管状弾性本体と;
前記本体の他端に取り付けられ、該本体を前記材料及びガスの供給源へ接続固定する接続固定手段と;を備えて成り、
前記チップは前記一端の方向に外面的にテーパを成し、前記内孔は、前記チップから軸方向に間隔をおき且つ前記チップの方向に向かうテーパを形成する少なくとも一の区間を有することを特徴とする吹出管構造。
【請求項2】
前記チップは、本体のチップに隣接する領域よりも薄い肉厚を有していることを特徴とする請求項1記載の吹出管構造。
【請求項3】
前記内孔は、前記一の区間と前記本体の前記端部との間に、前記本体の前記端部の方向へとテーパを成す第2の区間を有していることを特徴とする請求項1記載の吹出管構造。
【請求項4】
前記区間のうちの一方のテーパは、他方のテーパよりも急勾配を成していることを特徴とする請求項3記載の吹出管構造。
【請求項5】
急勾配テーパ部は、前記一の区間であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の吹出管構造。
【請求項6】
前記結合手段は、前記本体に接着により取り付けられるリングを備えることを特徴とする請求項4記載の吹出管構造。
【請求項7】
前記結合手段は、前記本体に組み込まれるリングを備えて成ることを特徴とする請求項1記載の吹出管構造。
【請求項8】
前記チップは、隣接する側壁部よりも薄い肉厚であることを特徴とする請求項1記載の吹出管構造。
【請求項9】
前記ガスは圧縮され、且つ前記材料は前記砂と結合剤との混合物であって、
前記結合剤は、前記混合物が前記本体の前記孔内で静止していると砂の粒子同士を結合させる性質を有しており、前記加圧ガスによって前記混合物に付与される力、及び前記本体の弾性は、前記内孔が拡張するように設定され、それにより前記混合が静止している期間に前記成形剤によって接着した粒子同士を除去することを特徴とする請求項1記載の吹出管構造。
【請求項10】
前記本体は、デュロメータの測定値が約80のブチル・ラバーから形成されることを特徴とする請求項9記載の吹出管構造。
【請求項11】
前記チップの肉厚は、前記チップに隣接する本体の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項9記載の吹出管構造。
【請求項12】
中子を形成する鋳型内で微粒子材を固めるために鋳造工場内における使用に適した吹出管タンピングピン構造であって、
軸方向に貫通した内孔を有し、一端における壁厚が他の部分における壁厚よりも肉薄とされた管状の柔軟且つ弾性的な本体と;
前記孔の前記端部における前記本体内に固定された剛性スリーブと;
前記孔の前記端部における前記スリーブに固定された格子と;
該格子から放出するため前記孔内に圧縮されたガスを導入する前記孔と連通しているガス通路であって、前記格子の一端が、前記鋳型内を満たしている粒子材料と係合可能となるように前記本体の前記端部と同一平面となっていることを特徴とする請求項9記載の吹出管構造。
【請求項13】
前記孔部は、前記スリーブシートにおける端末部同士の間にショルダを有していることを特徴とする吹出管構造。
【請求項14】
前記本体の前記端部に設けられた前記孔は、前記スリーブの存在によって断面積が減少することを特徴とする請求項12記載の吹出管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−517149(P2006−517149A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503457(P2006−503457)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/003887
【国際公開番号】WO2004/071658
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505301103)アシュランド・ライセンシング・アンド・インテレクチュアル・プロパティー・エルエルシー (40)
【Fターム(参考)】