説明

周波数オフセット補償装置及び周波数オフセット補償方法

【課題】伝送レートの遅いシステムにおいて、大きい周波数オフセットが発生した場合であっても、正しい同期位置を検出する。
【解決手段】基準信号検出部301は、単一トーン周波数変調の信号である基準信号を受信信号から検出し、第1周波数オフセット算出部302は、検出された基準信号の先頭位置を基準に、受信信号に含まれる第1周波数オフセットを算出し、第1周波数オフセット補償部303は、算出された第1周波数オフセットを補償する。ユニークワード検出部304は、第1周波数オフセットが補償された受信信号からユニークワードを検出し、第2周波数オフセット算出部307は、検出されたユニークワードを用いて、第1周波数オフセットが補償された受信信号の第2周波数オフセットを算出する。周波数オフセット算出部308は、算出された第1周波数オフセット及び第2周波数オフセットを用いて、受信信号の周波数オフセットを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信装置間の周波数オフセットを補償する周波数オフセット補償装置及び周波数オフセット補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
0.技術の背景と課題
0.1.従来の装置構成
TDMA(Time Division Multiple Access)方式のディジタル移動通信における受信装置は、時分割された自局宛の信号を受信し、データを復号する際、送信側が変調に用いた搬送波周波数と受信側が復調に用いる発振周波数との間に周波数誤差(周波数オフセット)があると、正しく復号することができない。そこで、受信装置では、周波数オフセットを補償して、データを復号している。
【0003】
0.2.特許文献1に開示の受信装置
例えば、特許文献1には、ベースバンド遅延検波後の受信データと、既知の同期ワードとの相関をとり、その複素相関値及び相関パワーの値を用いて高精度な自動周波数制御を行う技術が開示されている。
【0004】
0.3.特許文献2に開示の受信装置
また、特許文献2には、相関回路でマルチパス伝搬による遅延波の作動符号系列を考慮して相関出力を算出することにより、マルチパスフェージング条件において、遅延波の影響が無視できない場合においても精度よく周波数オフセットを推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−297870号公報
【特許文献2】特開平7−66842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
0.4.本発明の課題
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示の技術では、周波数オフセットの影響を大きく受ける伝送レートの遅いシステムとして想定されておらず、伝送レートの遅いシステムでは、許容周波数偏差が小さくなり、大きい周波数オフセットが発生した場合には、同期位置の複素相関ベクトルが大きくならず、正しく同期位置を検出することができなくなる。
【0007】
0.5.本発明の目的
本発明の目的は、伝送レートの遅いシステムにおいて、大きい周波数オフセットが発生した場合であっても、正しい同期位置を検出する周波数オフセット補償装置及び周波数オフセット補償方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の周波数オフセット補償装置は、受信信号に含まれる単一トーン周波数変調の信号である基準信号に基づいて、前記受信信号から第1周波数オフセットを補償する第1周波数オフセット補償手段と、前記受信信号に含まれる既知信号を用いて、前記第1周波数オフセットが補償された前記受信信号から第2周波数オフセットを補償する第2周波数オフセット補償手段と、を具備する構成を採る。
【0009】
本発明の周波数オフセット補償方法は、受信信号に含まれる単一トーン周波数変調の信号である基準信号に基づいて、前記受信信号から第1周波数オフセットを補償する第1周波数オフセット補償工程と、前記受信信号に含まれる既知信号を用いて、前記第1周波数オフセットが補償された前記受信信号から第2周波数オフセットを補償する第2周波数オフセット補償工程と、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝送レートの遅いシステムにおいて、大きい周波数オフセットが発生した場合であっても、正しい同期位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフレームフォーマットを示す図
【図2】基準信号をグラフに表した図
【図3】本発明の一実施の形態に係る送信装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態に係る受信装置の構成を示すブロック図
【図5】図4に示した周波数オフセット推定部の内部構成を示すブロック図
【図6】図4に示した周波数オフセット推定部の動作手順を示すフロー図
【図7】図6に示した基準信号検出処理手順を示すフロー図
【図8】受信信号R(k)の波形を示す図
【図9】D(x)の波形を示す図
【図10】Dsum(x)の波形を示す図
【図11】DDarg(x)の波形を示す図
【図12】C(x)の波形を示す図
【図13】図6に示した第1周波数オフセット補償処理手順を示すフロー図
【図14】D’(x)の波形を示す図
【図15】E(x)の波形を示す図
【図16】CUW(k)の波形を示す図
【図17】図6に示した第2周波数オフセット補償処理手順を示すフロー図
【図18】マルチパス検出の様子を示す図
【図19】マルチパスがある場合の相関演算範囲を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(一実施の形態)
1.一実施の形態
1.1.一実施の形態のフレームフォーマット
図1は、本発明の一実施の形態に係るフレームフォーマットを示す図である。図1に示すように、フレーム先頭からXシンボルに既知信号であるユニークワードが配置され、ユニークワードに後続してYシンボルの基準信号が配置されてフレームが構成されている。ここで、基準信号としては、単一トーン周波数変調(例えば、fHz、デビエーション(周波数偏移)が±βHz)の信号を用いる。基準信号を一般式で表すと式(1)、式(2)のようになる。
【数1】

【数2】

【0014】
ただし、βはデビエーション、fは単一トーン周波数、tは時刻、kはサンプル番号、fはサンプリング周波数をそれぞれ示している。なお、式(1)に示した基準信号をグラフに表したものを図2に示す。また、式(2)を微分すると次式(3)のように、周波数表記される。
【数3】

【0015】
基準信号を用いて初期同期を行う場合は、上記FPM(k)のaシンボル区間の平均値が0となることを利用して周波数オフセットを推定及び補償する。
【0016】
1.2.一実施の形態の送信装置の構成
図3は、本発明の一実施の形態に係る送信装置100の構成を示すブロック図である。以下、図3を用いて送信装置100の構成について説明する。
【0017】
符号化部101は、送信データを符号化し、符号化データを選択部103に出力する。基準信号生成部102は、基準信号(Reference Signal:RS)を生成して、選択部103に出力する。選択部103は、符号化部101から出力された符号化データ又は基準信号生成部102から出力された基準信号のいずれかを選択し、選択した信号を変調部104に出力する。変調部104は、選択部103から出力された信号に変調処理を施し、変調データを無線送信部105に出力する。無線送信部105は、変調部104から出力された変調データにD/A変換、アップコンバート等の無線送信処理を施して、アンテナ106を介して送信する。
【0018】
1.3.一実施の形態の受信装置の構成
図4は、本発明の一実施の形態に係る受信装置200の構成を示すブロック図である。以下、図4を用いて受信装置200の構成について説明する。
【0019】
無線受信部202は、アンテナ201を介して受信した信号にA/D変換、ダウンコンバート等の無線受信処理を施して、周波数オフセット推定部203及び復調部204に出力する。
【0020】
周波数オフセット推定部203は、無線受信部202から出力された受信信号に含まれる基準信号を抽出し、抽出した基準信号を用いて第1周波数オフセット(粗調値)を推定及び除去する。また、周波数オフセット推定部203は、受信号に含まれるユニークワードを用いて、第1周波数オフセットが除去された信号からさらに第2周波数オフセット(精調値)を推定し、第1周波数オフセット及び第2周波数オフセットを用いて周波数オフセットを算出して、復調部204に出力する。なお、周波数オフセット推定部203の詳細については後述する。
【0021】
復調部204は、周波数オフセット推定部203から出力された周波数オフセットを用いて、無線受信部202から出力された信号の周波数オフセットを補償して復調する。復調部204は、この結果得られた復調データを復号化部205に出力する。復号化部205は、復調部204から出力された復調データを復号し、受信データを出力する。
【0022】
1.4.一実施の形態の周波数オフセット推定部の構成
図5は、図4に示した周波数オフセット推定部203の内部構成を示すブロック図である。以下、周波数オフセット推定部203の構成について説明する。
【0023】
基準信号検出部301は、無線受信部202から出力された受信信号から基準信号を検出し、検出した基準信号を第1周波数オフセット算出部302に出力する。
【0024】
第1周波数オフセット算出部302は、基準信号検出部301から出力された基準信号を用いて、第1周波数オフセットを算出し、算出した第1周波数オフセットを第1周波数オフセット補償部303及び周波数オフセット算出部308に出力する。
【0025】
第1周波数オフセット補償部303は、第1周波数オフセット算出部302から出力された第1周波数オフセットを受信信号から除去し、第1周波数オフセットが除去された受信信号をユニークワード検出部304及び相関演算部306に出力する。
【0026】
ユニークワード検出部304は、第1周波数オフセット補償部303から出力された受信信号からユニークワードを検出し、検出したユニークワードをマルチパス検出部305に出力する。
【0027】
マルチパス検出部305は、ユニークワード検出部304から出力されたユニークワードに基づいて、マルチパスの有無を検出し、検出結果を相関演算部306に出力する。
【0028】
相関演算部306は、マルチパス検出部305から出力されたマルチパス検出結果に応じて、相関演算を行う範囲を適応的に設定して、第1周波数オフセット補償部303から出力された受信信号のユニークワードとユニークワードのレプリカとの複素相関ベクトルを算出し、算出した複素相関ベクトルを第2周波数オフセット算出部307に出力する。
【0029】
第2周波数オフセット算出部307は、相関演算部306から出力された複素相関ベクトルから第2周波数オフセットを算出し、算出した第2周波数オフセットを周波数オフセット算出部308に出力する。
【0030】
周波数オフセット算出部308は、第1周波数オフセット算出部302から出力された第1周波数オフセット及び第2周波数オフセット算出部307から出力された第2周波数オフセットを加算し、算出した周波数オフセットを復調部204に出力する。
【0031】
1.5.周波数オフセット推定部の処理
次に、図4に示した周波数オフセット推定部203の動作手順について、図6を用いて説明する。図6において、ステップ(以下、「ST」と省略する)401では、受信信号から基準信号を検出し、ST402では、検出された基準信号を用いて、第1周波数オフセットを補償する。ST403では、受信信号からユニークワードを検出し、ST404では、検出されたユニークワードを用いて、第2周波数オフセットを補償する。
【0032】
1.6.基準信号検出処理
次に、図6に示したST401の基準信号検出処理手順について、図7を用いて詳細に説明する。ここでは、図1のフレームフォーマットに従った受信信号をR(k)として、1シンボル当たりのオーバーサンプル数をbとする。図7において、ST501では、基準信号検出部301が受信信号R(k)の1シンボル離れの位相差を算出し、1シンボル区間で加算する。この加算結果をD(x)とすると、D(x)は次式(4)のように表される。ただし、xはシンボル単位を表し、lはサンプル番号を表す。
【数4】

【0033】
なお、参考のため、図8に受信信号R(k)の波形を示す。図8(a)は受信信号R(k)の実部の波形、図8(b)は受信信号R(k)の虚部の波形をそれぞれ示している。
【0034】
ST502では、ST501において算出したD(x)のaシンボル区間の加算値Dsum(x)を基準信号検出部301が算出する。基準信号の周波数はaシンボル周期で変化する(図9参照)ため、Dsum(x)は基準信号区間では一定のベクトルとなる(図10参照)。Dsum(x)は次式(5)のように表される。
【数5】

【0035】
ST503では、基準信号検出部301がDsum(x)の1シンボル離れの位相差DDarg(x)を算出する。DDarg(x)は基準信号区間では一定のベクトルであるため、DDarg(x)=0となる(図11参照)。DDarg(x)は次式(6)のように表される。
【数6】

【0036】
ST504では、基準信号検出部301がDDarg(x)の絶対値をY−aシンボル区間で加算する。加算結果をC(x)とすると、C(x)は次式(7)のように表される。ただし、Yは基準信号区間のシンボル長を表す。
【数7】

【0037】
ST505では、C(x)の最小値が所定の閾値より小さければ、基準信号検出部301は基準信号が受信信号に含まれると判断し、ST506では、図12に示すように、基準信号検出部301はC(x)が最小となる位置を基準信号の先頭位置とし、基準信号検出処理を終了する。
【0038】
1.7.第1周波数オフセット補償処理
次に、図6に示したST402の第1周波数オフセット補償処理手順について、図13を用いて詳細に説明する。なお、以下の数式において、基準信号検出処理で検出された基準信号の先頭位置をx=0としている。
【0039】
図13において、ST601では、第1周波数オフセット算出部302がD(x)をaシンボル間隔でY/a回加算し、加算結果をD’(x)とする(図14参照)。D’(x)は次式(8)のように表される。ただし、Y/aの結果、小数点以下は無視する。
【数8】

【0040】
ST602では、第1周波数オフセット算出部302がD’(x)の逆正接(arc tangent)を算出する。この算出結果をE(x)とすると、E(x)は次式(9)のように表される(図15参照)。
【数9】

【0041】
ST603では、|E(x)−E(x−1)|又は|E(x)−E(x+1)|が所定の閾値よりも大きい場合、第1周波数オフセット算出部302はE(x)を特異点として扱い、第1周波数オフセット算出には用いない。また、この特異点と対称に位置する点、ここでは、周期的に逆位相に当たる点(対称点)も同様に第1周波数オフセット算出には用いない。これは、基準信号の周波数が滑らかに変化する性質を持つため、位相の変動が不自然に大きい場合、D’(x)の振幅が小さく、E(x)がランダムに近い値となり、正確に位相が求められなかったと見なすことができるからである。
【0042】
ST604では、第1周波数オフセット算出部302がE(x)の平均値から周波数オフセットfoff[Hz]を求める。foffは次式(10)のように表される。ただし、αはST603においてE(x)=0とされたデータ数であり、baud rateは1秒当たりのシンボル数である。
【数10】

【0043】
1.8.ユニークワード検出処理
次に、図6に示したST403のユニークワード検出処理手順について詳細に説明する。ユニークワード検出部304は、まず、フェージングによる受信電力の落ち込みを考慮し、相関演算を行う区間の受信信号の平均電力R’ave(k)を算出し、その値から振幅補正利得G(k)を求める。第1周波数オフセットが補償された受信信号をR’(k)、区間をKサンプルとすると、R’ave(k)は次式(11)のように表され、G(k)は次式(12)のように表される。
【数11】

【数12】

【0044】
続いて、ユニークワード検出部304は、第1周波数オフセットが補償された受信信号R’(k)とユニークワードのレプリカP(k)との複素相関演算を行う。この演算結果をCUW(k)とすると、CUW(k)は次式(13)のように表される(図16参照)。
【数13】

【0045】
そして、ユニークワード検出部304は、CUW(k)の複素相関パワーの最大値を探索し、最大値が検出された位置をユニークワードの先頭位置とする。
【0046】
1.9.第2周波数オフセット補償処理
次に、図6に示したST404の第2周波数オフセット補償処理手順について、図17を用いて詳細に説明する。図17において、ST701では、マルチパス検出部305がCUW(k)の複素相関パワーの最大値が検出された位置の前後数シンボル(例えば、前後2シンボル)の範囲で複素相関パワーが2番目に大きい位置を探索し、マルチパス波の先頭位置とする。ただし、CUW(k)の複素相関パワーの最大値が検出された位置の前後0.5シンボルの範囲は探索から除外する。マルチパス検出の様子を図18に例示する。図18では、矢印で示した箇所がマルチパス波を示している。
【0047】
ST702では、相関演算部306がST701においてマルチパスを検出したか否かを判定し、マルチパスを検出していない場合(NO)には、ST703に移行し、マルチパスを検出した場合(YES)には、ST704に移行する。
【0048】
ST703では、ユニークワードのレプリカをP(k)(0≦k≦X×b−1、ただし、Xはユニークワードのシンボル数、bはオーバーサンプル数を表す)とすると、第1周波数オフセットを補償した受信信号R’(k)のユニークワード区間及びP(k)を前後半それぞれX/2シンボルずつに分け、相関演算部306がR’(k)のユニークワード区間の前半とP(k)の前半の複素相関ベクトルCp(式(14)参照)、R’(k)のユニークワード区間の後半とP(k)の後半の複素相関ベクトルCs(式(15)参照)を求める。次に、相関演算部306は、CpとCsの複素相関ベクトルC(式(16)参照)を算出する。
【数14】

【数15】

【数16】

【0049】
ST704では、ユニークワードのレプリカをP(k)(0≦k≦X×b−1、ただし、Xはユニークワードのシンボル数、bはオーバーサンプル数を表す)、ユニークワード長をLUW、主波とマルチパス波の時間差をLとすると、図19に示すように、主波の先頭位置(同期位置)を基準に受信信号R’(k)のユニークワード区間及びP(k)を前後半それぞれX/2シンボルずつに分け、相関演算部306がR’(k)のユニークワード区間の前半とP(k)の前半の複素相関ベクトルCp(式(17)参照)、R’(k)のユニークワード区間の後半とP(k)の後半の複素相関ベクトルCs(式(18)参照)を求める。次に、相関演算部306は、CpとCsの複素相関ベクトルC(式(19)参照)を算出する。このとき、ユニークワード区間の先頭L区間にはマルチパス波の基準信号が重畳されているため、複素相関演算から除外する。
【数17】

【数18】

【数19】

【0050】
また、図19に示すように、マルチパス波の先頭位置を基準に受信信号R’(k)のユニークワード区間及びP(k)を前後半それぞれX/2シンボルずつに分け、相関演算部306がR’(k)のユニークワード区間の前半とP(k)の前半の複素相関ベクトルCp(式(20)参照)、R’(k)のユニークワード区間の後半とP(k)の後半の複素相関ベクトルCs(式(21)参照)を求める。次に、相関演算部306は、CpとCsの複素相関ベクトルC(式(22)参照)を算出する。このとき、ユニークワード区間の先頭L区間には主波の基準信号が重畳されているため、複素相関演算から除外する。
【数20】

【数21】

【数22】

【0051】
相関演算部306は、求めた複素相関ベクトルC及びCをマルチパス合成する(式(23)参照)。
【数23】

【0052】
ST705では、第2周波数オフセット算出部307がST704において求められた複素相関ベクトルCの逆正接(arc tangent)Eを求める(式(24)参照)ことにより、CpとCsとの間の相対的な位相差を得る。
【数24】

【0053】
ST706では、第2周波数オフセット算出部307がST705において求められたEから第2周波数オフセットfoff[Hz]を求める(式(25)参照)。
【数25】

【0054】
1.10.本実施の形態の効果
このように、本実施の形態によれば、1フレーム内にユニークワードと単一トーン周波数変調の信号である基準信号とを含む受信信号から基準信号を検出し、検出した基準信号の先頭位置を基準に、受信信号に含まれる第1周波数オフセットを補償し、第1周波数オフセットを補償した受信信号からユニークワードを検出し、検出したユニークワードを用いて、第1周波数オフセットを補償した受信信号から第2周波数オフセットを補償する。これにより、伝送レートの遅いシステムにおいて、大きい周波数オフセットが発生した場合であっても、複素相関により同期位置を良好に検出することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、1フレームでの処理を例に説明しているが、本発明はこれに限らず、フレーム数を多くしてもよく、これにより、母数が増えるので周波数オフセット補償精度をより向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、既知信号としてユニークワードを例に説明したが、本発明はユニークワードに限らず、既知信号であれば問わない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる周波数オフセット補償装置及び周波数オフセット補償方法は、ディジタル移動通信における受信装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
101 符号化部
102 基準信号生成部
103 選択部
104 変調部
105 無線送信部
106、201 アンテナ
202 無線受信部
203 周波数オフセット推定部
204 復調部
205 復号化部
301 基準信号検出部
302 第1周波数オフセット算出部
303 第1周波数オフセット補償部
304 ユニークワード検出部
305 マルチパス検出部
306 相関演算部
307 第2周波数オフセット算出部
308 周波数オフセット算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号に含まれる単一トーン周波数変調の信号である基準信号に基づいて、前記受信信号から第1周波数オフセットを補償する第1周波数オフセット補償手段と、
前記受信信号に含まれる既知信号を用いて、前記第1周波数オフセットが補償された前記受信信号から第2周波数オフセットを補償する第2周波数オフセット補償手段と、
を具備する周波数オフセット補償装置。
【請求項2】
前記受信信号から得られるパラメータに基づいて、前記基準信号を検出する基準信号検出手段を具備する請求項1に記載の周波数オフセット補償装置。
【請求項3】
前記基準信号検出手段は、前記パラメータが最小となる位置を前記基準信号の先頭と判定する請求項2に記載の周波数オフセット補償装置。
【請求項4】
前記受信信号において位相の変動が所定値より大きいシンボルである特異点及び前記特異点と逆位相の対称点を除いて、前記第1周波数オフセットを算出する第1周波数オフセット算出手段を具備する請求項1に記載の周波数オフセット補償装置。
【請求項5】
前記受信信号がマルチパスを含むか否かを検出するマルチパス検出手段と、
前記受信信号がマルチパスを含むか否かに応じて、前記第1周波数オフセットが補償された前記受信信号と既知信号との相関演算を行う範囲を制御して、前記相関演算を行う相関演算手段と、
を具備する請求項1に記載の周波数オフセット補償装置。
【請求項6】
受信信号に含まれる単一トーン周波数変調の信号である基準信号に基づいて、前記受信信号から第1周波数オフセットを補償する第1周波数オフセット補償工程と、
前記受信信号に含まれる既知信号を用いて、前記第1周波数オフセットが補償された前記受信信号から第2周波数オフセットを補償する第2周波数オフセット補償工程と、
を具備する周波数オフセット補償方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−129923(P2012−129923A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281693(P2010−281693)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【特許番号】特許第4781482号(P4781482)
【特許公報発行日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】