説明

周辺装置、LANへの接続方法及びプログラム

【課題】有線通信装置及び無線通信装置の双方を装備したプリンターなどの電子機器が有線LANまたは無線LANのいずれかのLANを用いて、途切れることなく通信を行う。
【解決手段】有線通信の設定情報を通信設定情報記憶部209に保存する(S101)。有線通信装置206による有線通信を終了すると(S102)、無線通信装置207が無線LANへの接続処理を開始する(S104)。無線通信装置207が無線LANへの接続に失敗したときに(S106)、通信設定情報記憶部209に保存されている有線通信の設定情報に基づいて、有線通信装置206が有線LANへ再接続する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな電子機器に搭載が可能な無線通信装置のための技術に関し、特に周囲に多数の無線通信装置があるときに、その中から通信相手を簡単に選択するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)を利用可能な無線通信装置が広く普及している。通常、ある無線通信装置を無線LANに接続しようとする場合、その無線通信装置は周囲に存在する他の無線通信装置を検索し、見つかったすべての無線通信装置を、通信相手候補のリストとして表示する。そして、ユーザーによってそのリスト内のいずれかの無線通信装置が選択されると、その選択された無線通信装置と接続する。
【0003】
また、近年は所定の条件下でSSID(Service Set Identifier)及び暗号キーなどの無線通信に必要なデータの交換を自動的に行って、無線接続のためのユーザーの負担を軽減させるいわゆる簡単設定も普及している。
【0004】
また、設定情報を知らなくても、無線LANへの接続を設定できるようにする技術が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−303565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有線通信装置と無線通信装置の双方を備えた電子機器の場合、有線LANを用いた通信を行うか、または無線LANを用いた通信を行うかを、その時々で使い分けたいというニーズがある。そのため、LANの切り替えを行うためには、いずれか一方のLANで通信を行っているとき、その通信中のLANの接続を終了して、他方のLANへの接続が開始される。このときに、何らかの理由でLANの切り替えが不成功に終わると、その電子機器はLANから切り離され、通信ができない状態となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、有線通信装置及び無線通信装置の双方を装備した周辺装置などの電子機器が有線LANまたは無線LANのいずれかのLANを用いて、途切れることなく通信を行うための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施態様に従う周辺装置は、有線LANを介して有線通信を行う有線通信部と、無線LANを介して無線通信を行う無線通信部と、前記有線通信部の有線通信の設定情報を記憶する記憶部と、有線LAN接続と無線LAN接続との切り替えを管理する通信管理部とを備える。前記通信管理部は、前記有線通信の設定情報を前記記憶部に保存させた後、前記有線通信部による有線通信を終了させ、前記有線通信部による有線通信の終了後に、前記無線通信部が無線LANへの接続処理を開始させ、前記無線通信部が無線LANへの接続に失敗したときは、前記記憶部に保存されている前記有線通信の設定情報に基づいて、前記有線通信部に有線LANへ再接続させる。
【0009】
これにより、有線LANに接続した状態から無線LANへの切り替えを行ったときに、その切り替えに失敗しても自動的に以前の設定のままで有線LANに再接続することができる。
【0010】
好適な実施態様では、前記通信管理部は、前記有線通信部が前記有線LANに再接続した後、所定のタイミングで有線LAN接続から無線LAN接続への切り替えにリトライするようにしてもよい。
【0011】
これにより、無線LANへ接続できなかった理由が偶発的なものであったとき、リトライすることにより無線LANへの切り替えができる可能性がある。
【0012】
好適な実施態様では、前記記憶部に記憶される前記有線通信の設定情報には、IPアドレス、サブネットマスク及びデフォルトゲートウェイに関する情報を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンター100の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る通信設定情報記憶部209の構成の一例を示す。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線通信装置207の機能構成図である。
【図4】簡単設定を用いて無線接続に切り替える処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ユーザーの手動設定によって無線接続に切り替える処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一つの実施形態に係る無線通信装置を備えた周辺装置の一例としての印刷装置(プリンター)について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態における無線通信は、無線LAN規格(IEEE802.11)に準拠するものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター100の構成図である。同図に示すように、プリンター100は、印刷機構201と、印刷制御部202と、表示部203と、入力部204と、通信I/F205と、通信管理部208と、通信設定情報記憶部209を備えている。そして、通信I/F205は、有線通信装置206と、無線通信装置207とを備えている。
【0016】
印刷機構201は、印刷ヘッド及び印刷媒体の搬送機構などを備え、印刷制御部202の制御に基づき、紙などの印刷媒体に印刷を行う。
【0017】
印刷制御部202は、予め定められている各種設定及び通信I/F205を介して取得した印刷データに基づき、印刷機構201を制御して印刷を実行する。
【0018】
表示部203は、液晶パネルなどの表示装置を有し、プリンター100の様々な情報を表示する。例えば、表示部203には、印刷状況、印刷データの受信状況、及びインクの残量など印刷に関する情報が表示される。この他に、表示部203には、後に説明するように、無線通信装置207が無線通信を行うための各種設定に関する画面が表示される。
【0019】
入力部204は、操作ボタンなどの入力装置を有し、ユーザーの入力操作を受け付ける。例えば、入力部204は、表示部203に無線通信に関する各種設定画面が表示されているときに、その各種設定を行うための入力操作を受け付ける。なお、表示部203及び入力部204は、いわゆるタッチパネルのように両者が外見上一体となるように構成されていてもよい。
【0020】
通信I/F205は、有線通信装置206と無線通信装置207とを備え、有線LANまたは無線LANで他の通信機能を有する装置と所定のデータ通信を行う。例えば、通信I/F205は、有線LAN通信または無線LAN通信を介して、ホスト装置であるPCなどを通信相手として、印刷データを受信したり、印刷状況あるいはプリンター100のステータスを示すデータを送信したりする。
【0021】
有線通信装置206は、LANケーブルなどを介して、有線LANに接続されている他の装置と通信を行う。
【0022】
無線通信装置207は、無線信号を介して、無線LANに接続されている他の装置と通信を行う。例えば、後述する通信相手の選択画面で選択されたAPと無線通信を行って印刷データ等を取得する。
【0023】
通信管理部208は、通信設定情報記憶部209に保存されている情報に基づいて、有線通信装置206を用いた通信と、無線通信装置207を用いた通信との切替制御等を行う。例えば、有線通信装置206を用いて通信を行っている間に、無線通信装置207を用いた通信に切り替える旨の指示を受けたとき、通信管理部208は、有線通信装置206の通信を停止させて、無線通信装置207に通信を開始させる。また、これとは反対に、無線通信装置207を用いて通信を行っている間に、有線通信装置206を用いた通信に切り替える旨の指示を受けたとき、通信管理部208は、無線通信装置207の通信を停止させて、有線通信装置206に通信を開始させる。
【0024】
さらに、通信管理部208は、有線通信装置206から無線通信装置207または無線通信装置207から有線通信装置206へ切り替えを行う際、何らかの理由で新たに通信を開始させようとした通信装置で通信を行うことができないときは、以前に通信していた通信装置で再び接続を行うように指示してもよい。特に、有線LAN通信から無線LAN通信に切り替える場合、無線LANでの通信相手となるAP(Access Point)などの無線通信装置を検出できない場合もある。このようなときは、通信管理部208は、通信が途切れた状態が継続しないよう、再び有線LANによる通信に切り替えるように制御する。
【0025】
なお、プリンター100はMACアドレスを一つだけ有している。通信管理部208は、その一つのMACアドレスを管理する。有線通信装置206及び無線通信装置207は、共通のMACアドレスを使用して通信を行う。
【0026】
図2は、通信設定情報記憶部209の構成の一例を示す。通信設定情報記憶部209は、例えば、同図に示すように、有線通信に関する情報を記憶する有線領域209Aと、無線通信に関する情報を記憶する無線領域209Bと、有線通信及び無線通信に共通する情報を記憶する共通領域209Cとを有する。通信設定情報記憶部209は、例えばフラッシュメモリーによって構成されていてもよい。通信管理部208が有線通信装置206及び無線通信装置207から取得した各種情報を通信設定情報記憶部209に保存する。さらに、通信管理部208が通信設定情報記憶部209から各種情報を取得して、有線通信装置206及び無線通信装置207へ通知する。有線通信装置206及び無線通信装置207は、例えば、通信設定情報記憶部209から通知された情報に基づく設定を行って、通信を行う。
【0027】
有線領域209Aには、例えば、有線での接続方式(10/100baseなど)を記憶する。
【0028】
無線領域209Bには、例えば、無線通信のためのSSID、セキュリティー方式、暗号キーなどを記憶する。
【0029】
共通領域209Cには、有線及び無線で共通に利用する設定、例えば、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどを記憶する。
【0030】
通信管理部208の指示に基づいて、有線通信と無線通信とを切り替える処理の詳細については後述する。
【0031】
図3は、無線通信装置207の機能構成図である。同図に示すように、無線通信装置207は、無線通信部301と、スキャン制御部302と、記憶部303と、通信相手選択部304と、接続制御部305と、簡単設定処理部307とを備えている。
【0032】
無線通信部301は、無線通信信号の送受信など、無線通信信号を処理する。例えば、無線通信部301は、IEEE802.11a/b/g/n等に対応する信号処理、通信データ処理、通信データの暗号化処理及び複合化処理、及び通信速度制御処理などを行う。
【0033】
無線通信部301は、例えば、無線通信信号の送受信アンテナなどのハードウェアと、そのハードウェアを制御するための所定のプロセッサーなどにより実現してもよい。また、以下の各制御部及び記憶部等の構成ないし機能は、プロセッサー及びメモリーを用いて所定のコンピュータープログラムを実行させることにより実現することができる。
【0034】
スキャン制御部302は、無線通信部301を制御して、無線通信部301の無線信号が届く範囲(通信可能範囲)内に存在する無線通信可能なAP(通信可能装置)のスキャンを行う。例えば、アクティブスキャンのときは、ユーザーから指示されたタイミング、あるいは周期的に、無線通信部301にプローブリクエストフレームをブロードキャストさせ、その応答として返ってきたプローブレスポンスフレームの有無によって通信可能なAPを検出する。パッシブスキャンのときは、無線通信部301がビーコンフレームを受信することにより通信可能なAPを検出する。スキャン制御部302は、受信したプローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームに含まれる情報を記憶部303に保存する。
【0035】
記憶部303は、スキャン制御部302の指示に従って行われたスキャンにより取得したプローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームに含まれる情報(以下、AP属性情報と称する)を記憶する。複数のAPに関するプローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームが取得されたときは、すべてのプローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームに含まれるAP属性情報が記憶部303に記憶される。例えば、AP属性情報には、そのプローブレスポンスフレームを発行したAPの識別情報(SSID)、IPアドレス、MACアドレス、サポートしているセキュリティー方式、暗号化方式、通信速度などの情報が含まれている。記憶部303には、上述したようなプローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームに含まれる情報とともに、プローブレスポンスフレームあるいはビーコンフレームの受信時刻も対応付けて記憶されるようにしてもよい。
【0036】
通信相手選択部304は、スキャン制御部302が検出した複数のAPの中から通信相手となるAPを選択する処理を行う。通信相手となるAPはユーザーに選択させてもよいし、所定のルールに従って自動的に選択してもよい。例えば、通信相手選択部304は、記憶部303を参照して、通信相手となり得る無線通信装置(通信可能装置)を含む通信相手候補のリストを生成して、表示部203に表示させる。ユーザーは、通信相手候補リストから所望の通信相手となるAPを選択する。通信相手選択部304は、セキュリティーまたは通信速度などに関する所定の条件に従って、通信相手候補リストを生成するようにしてもよい。
【0037】
接続制御部305は、通信相手選択部304で選択されたAPまたは簡単設定処理部307から指示されたAPとの接続開始処理を行う。具体的には、APとのAuthentication及びAssociation処理等を行う。接続制御部305は、さらに、APとの接続終了処理も行う。
【0038】
簡単設定処理部307は、接続制御部305を制御して、特定のAPと無線通信を開始するために必要な処理を自動的に実行する。例えば、スキャン制御部302が受信した信号を解析して、簡単設定のための専用信号を出力したAPが存在すれば、簡単設定処理部307は、接続制御部305を制御して、そのAPとの間で簡単設定の手順に従って無線接続を開始させる。なお、この簡単設定は、例えば公知の簡単設定技術を利用してもよい。
【0039】
上記のような構成を備えたプリンター100がホスト装置等と通信を行う際に、有線通信で行うか、または無線通信で行うかの切替を行う際の処理手順について、フローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0040】
図4は、プリンター100が有線で通信を行っている状態から、簡単設定を用いて無線接続に切り替える処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0041】
通信管理部208は、入力部204を介して、ユーザーからの簡単設定による無線接続の開始要求を受ける(S100)。この要求を受け付けると、以下に説明する有線LAN接続から無線LAN接続への切替処理を開始する。
【0042】
通信管理部208は、有線LAN通信を行っている有線通信装置206から、現在のネットワークの設定に関する情報を取得し、通信設定情報記憶部209に保存する(S101)。このとき、有線通信に固有の情報が有線領域209Aに保存され、有線及び無線に共通の情報が共通領域209Cに保存される。
【0043】
有線通信装置206は、通信管理部208からの指示に従って有線LAN接続を切断する。これによって、有線通信装置206が使用してMACアドレスが解放される(S102)。
【0044】
無線通信装置207は、通信管理部208からの指示に従って、簡単設定による無線LAN通信の接続を開始する(S104)。このとき、共通領域209Cに保存されている有線及び無線に共通の情報は無線通信装置207に通知され、無線通信装置207はこれを用いて無線LANへの接続を開始する。これにより、無線LANへの接続が成功した場合は、以前の有線LANでの通信状態を継続することができる。
【0045】
通信管理部208は、無線通信装置207が簡単設定で無線LAN接続に成功したか否かを判定する(S106)。この判定を行う際には、簡単設定での接続に要する所定時間が経過した後に行ってもよい。
【0046】
無線通信装置207が無線接続に成功したときは(S106:Yes)、そのまま処理を終了する。
【0047】
これにより、有線接続をしている状態から簡単設定を用いて無線接続へ切り替えることができる。
【0048】
無線通信装置207が無線LANに接続できないときは(S106:No)、通信管理部208は、ステップS101で通信設定情報記憶部209に保存した情報を有線通信装置206へ通知し、再度有線LANによる接続を開始させる(S108)。ここで、無線LANに接続できない理由には、通信相手となるAPが見つからない、あるいは、通信相手となるAPとセキュリティーの設定が適合しない場合などがある。また、無線の接続開始処理を開始してある程度まで進んだが、途中で途切れてしまった場合などは、ステップS108で有線LANへの再接続を行う前に、無線LANへの接続をリトライしてもよい。
【0049】
これにより、有線LAN接続から簡単設定を用いた無線LAN接続への切替が成功しなかったときでも、自動的に有線接続へ復帰することができる。
【0050】
なお、ステップS108で有線通信装置206が有線LANに再接続した後、通信管理部208は、所定のタイミングでステップS101以降の処理を再び実行し、有線LAN接続から無線LAN接続への切り替えにリトライするようにしてもよい。これは、無線LANへ接続できなかった理由が何らかの偶発的なものであったときには、無線LANへの接続をリトライすることにより切り替えに成功する可能性があるからである。
【0051】
図5は、簡単設定ではなく、通常のユーザーの手動設定によって無線接続に切り替える処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0052】
通信管理部208は、入力部204を介して、ユーザーからの手動(マニュアル)設定による無線接続の開始要求を受ける(S200)。この要求を受け付けると、通信管理部208は、以下に説明する有線LAN接続から無線LAN接続への切替処理を開始する。
【0053】
通信管理部208は、有線通信を行っている有線通信装置206から、現在のネットワークの設定に関する情報を取得し、通信設定情報記憶部209に保存する(S201)。このとき、有線通信に固有の情報が有線領域209Aに保存され、有線及び無線に共通の情報が共通領域209Cに保存される。
【0054】
有線通信装置206は、通信管理部208からの指示に従って有線接続を切断する。これによって、有線通信装置206が使用してMACアドレスが解放される(S202)。
【0055】
無線通信装置207は、通信管理部208からの指示に従って、通信相手の候補となりうるAPをスキャンする(S204)。無線通信装置207は、このスキャンにより検出されたAPのSSIDを表示部203に表示させて、ユーザーに通信相手を選択させる(S206)。
【0056】
通信相手のAPが選択されると、無線通信装置207は、そのAPとの無線LANでの接続を開始する(S208)。このとき、共通領域209Cに保存されている有線及び無線に共通の情報が無線通信装置207に通知され、無線通信装置207はこれを用いて無線接続を開始する。これにより、無線LAN接続が成功した場合は、LAN上で同じIPアドレスを用いた、以前の有線LANでの接続と同じ装置として通信を継続することができる。
【0057】
通信管理部208は、無線通信装置207が選択されたAPと無線接続に成功したか否かを判定する(S210)。この判定は、無線LANを確立するのに要する所定時間が経過した後に行ってもよい。
【0058】
無線通信装置207が無線接続に成功したときは(S210:Yes)、そのまま処理を終了する。
【0059】
これにより、有線接続をしている状態から、ユーザーが手動で通信相手のAPを選択して無線接続へ切り替えることができる。
【0060】
無線通信装置207が無線接続できないときは(S210:No)、通信管理部208は、ステップS201で通信設定情報記憶部209に保存した情報を有線通信装置206へ通知し、再度有線LANによる接続を開始させる(S212)。ここで、無線LANに接続できない理由には、通信相手となるAPが見つからない、あるいは、通信相手となるAPとセキュリティーの設定が適合しない場合などがある。また、無線の接続開始処理を開始してある程度まで進んだが、途中で途切れてしまった場合などは、ステップS212で有線LANへの再接続を行う前に、無線LANへの接続をリトライしてもよい。
【0061】
なお、ステップS212で有線通信装置206が有線LANに再接続した後、通信管理部208は、所定のタイミングでステップS201以降の処理を再び実行し、有線LAN接続から無線LAN接続への切り替えにリトライするようにしてもよい。
【0062】
これにより、有線接続から手動設定を用いた無線接続への切替が成功しなかったときでも、自動的に有線接続へ復帰することができる。
【0063】
上述した本発明の実施形態では、無線通信装置を備えたプリンターを例に説明しているが、無線通信装置又は無線通信機能を備えた電子機器であれば適用することが可能である。例えば、コンピューター、コンピューターの周辺装置、製造装置、電化製品等に適用することも可能である。すなわち、上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、無線通信装置がAPとインフラストラクチャ型の通信を行う場合を例にとって説明したが、本発明は無線通信装置同士が直接通信を行うアドホック型通信にも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 プリンター
201 印刷機構
202 印刷制御部
203 表示部
204 入力部
206 有線通信装置
207 無線通信装置
208 通信管理部
209 通信設定情報記憶部
301 無線通信部
302 スキャン制御部
303 記憶部
304 通信相手選択部
305 接続制御部
307 簡単設定処理部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線LANを介して有線通信を行う有線通信部と、
無線LANを介して無線通信を行う無線通信部と、
前記有線通信部の有線通信の設定情報を記憶する記憶部と、
有線LAN接続と無線LAN接続との切り替えを管理する通信管理部とを備えた周辺装置であって、
前記通信管理部は、
前記有線通信の設定情報を前記記憶部に保存させた後、前記有線通信部による有線通信を終了させ、
前記有線通信部による有線通信の終了後に、前記無線通信部が無線LANへの接続処理を開始させ、
前記無線通信部が無線LANへの接続に失敗したときは、前記記憶部に保存されている前記有線通信の設定情報に基づいて、前記有線通信部に有線LANへ再接続させる、周辺装置。
【請求項2】
前記通信管理部は、
前記有線LANへの再接続を行う前に、無線LANへの接続をリトライする、ことを特徴とする請求項1記載の周辺装置。
【請求項3】
前記通信管理部は、
前記有線通信部が前記有線LANに再接続した後、所定のタイミングで有線LAN接続から無線LAN接続への切り替えにリトライする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の周辺装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶される前記有線通信の設定情報には、IPアドレス、サブネットマスク及びデフォルトゲートウェイに関する情報を含む、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の周辺装置。
【請求項5】
有線LANを介して有線通信を行う有線通信部と、無線LANを介して無線通信を行う無線通信部と、前記有線通信部の有線通信の設定情報を記憶する記憶部と、を備えた周辺装置が行うLANへの接続方法であって、
前記有線通信の設定情報を前記記憶部に保存するステップと、
前記有線通信部による有線通信を終了するステップと、
前記有線通信部による有線通信の終了後に、前記無線通信部が無線LANへの接続処理を開始するステップと、
前記無線通信部が無線LANへの接続に失敗したときに、前記記憶部に保存されている前記有線通信の設定情報に基づいて、前記有線通信部が有線LANへ再接続するステップと、を行う方法。
【請求項6】
有線LANを介して有線通信を行う有線通信部と、無線LANを介して無線通信を行う無線通信部と、前記有線通信部の有線通信の設定情報を記憶する記憶部と、を備えた周辺装置のためのコンピュータープログラムであって、
前記プリンターに、
前記有線通信の設定情報を前記記憶部に保存するステップと、
前記有線通信部による有線通信を終了するステップと、
前記有線通信部による有線通信の終了後に、前記無線通信部が無線LANへの接続処理を開始するステップと、
前記無線通信部が無線LANへの接続に失敗したときに、前記記憶部に保存されている前記有線通信の設定情報に基づいて、前記有線通信部が有線LANへ再接続するステップと、を実行させるコンピュータープログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−90026(P2012−90026A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234253(P2010−234253)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】