説明

周辺見切材、および、それを設置した周辺見切材の設置構造

【課題】運搬および設置作業を容易に行うことができる周辺見切材を提供する。
【解決手段】床暖房パネルが設置されている所定の床材設置域と他の区域との間を仕切る周辺見切材8を、両端に長手方向に対して45度傾斜した傾斜面Fを有する2本の第1の分割見切部材9aと、一端側に長手方向に対して45度傾斜した傾斜面Fを有し他端側に長手方向に対して直角となる端面を有する4本の第2の分割見切部材9bとに分割して構成する。第1および第2の分割見切部材9a,9bが、設置状態で隣接する順番になるように、かつ、設置状態では第1および第2の分割見切部材9a,9bの長手方向に沿った側面より外側方にはみ出さない状態で、伸縮部材としてのゴム材10で連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、既存のフローリング床などに部分的に床暖房パネルや畳といった床材を設置するときに、その床材設置域に配置される床材を他の区域から仕切るための周辺見切材、および、それを設置した周辺見切材の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床暖房を設置したり、床の一部箇所を畳にするなどといったリフォームのニーズがある。この場合、床全面を張替えることも考えられるが、その際、既存の床を剥がして床暖房パネルを設置することになり、施工に時間がかかるとともに、床の張替え面積が広くなって高価になる不都合があった。
そこで、既存の床の上の所定の床材設置域(例えば、暖房したい部屋の中央範囲など)にだけ、床暖房パネルや畳などを設置することが考えられる。このような場合、床材設置域だけに床暖房パネルや畳などの床材を設置し、この床材を他の区域から仕切るために周辺見切材が設置される。
この周辺見切材としては、通常、床暖房パネルや畳の大きさに合わせて比較的長尺の部材、例えば、一辺が2mを超える長さの部材が用いられる。したがって、設置対象の部屋への運搬や、設置作業の際の取回しが不便である、という問題があった。
【0003】
このような不都合を解消するために、次のように周辺見切材を分割したものが存在している。
A.第1従来例(特許文献1、図5および図7参照)
畳の周囲に対応する4つのコーナ部材と、これらをつなぐ複数の辺部材とを連結部材を介してボルト止めする構成である。
B.第2従来例(特許文献2、図1および図10参照)
枠体の角部分を構成する一対の枠材が可撓性を有する保持部材で連結された構成であり、保持部材が撓みなくほぼ延展されて緊張した状態になった状態で、1組の枠材によって枠体のひとつの角部分が構成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−220981号公報
【特許文献2】特開2004−218389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述従来例の場合、次のような不都合があった。
a.第1従来例
コーナ部材と辺部材とを連結するためにボルトをレンチ等の工具で締め付けなければならず、工具が必要な上に締め付け作業を要し、設置作業が煩雑になって時間がかかる不都合があった。
b.第2従来例
設置状態で、保持部材が発熱体やその構成部材といった床材を設置した既存の床材の上に位置することになり、保持部材を、既存の床材の上面とその上に設置した床材との間に撓みなくほぼ延展されて緊張した状態で精度良く配置しなければならず、施工の手間がかかったり施工の仕上げに不具合が生じる不都合があった。
また、保持部材が位置する箇所では、たとえ保持部材の厚みが薄くても、保持部材自体の厚み分だけ段差を生じることになり、保持部材の上に設置される床材が浮きやすくなったり変形しやすい不都合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、運搬が容易でかつ容易に設置できる周辺見切材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、
床に設置されて所定の床材設置域に配置される床材を他の区域から仕切るための周辺見切材であって、
前記床材の周縁に沿う長手方向において分割された複数の分割見切部材と、
前記分割見切部材どうしを前記長手方向にてつなぐ伸縮部材と、を備え、
前記伸縮部材は、短縮状態において、前記長手方向に沿った前記分割見切部材の側面より外側方にはみ出さない状態で、隣り合う前記分割見切部材の対向する端面を接合するとともに、伸張状態において、前記対向する端面が離間するように構成され、
前記隣り合う分割見切部材の対向する端面に、前記伸縮部材の短縮状態で面方向の相対移動を阻止する位置決め手段が設けられたことを特徴としている。
【0008】
(作用・効果)
請求項1に係る発明の周辺見切材の構成によれば、伸縮部材を伸張状態として、隣り合う分割見切部材の対向する端面を離間させることにより、長尺物である周辺見切材を分割して複数の分割見切部材として短くした状態で運搬することができる。したがって、長尺物の状態での運搬が不要になって運搬を容易に行うことができる。
また、この周辺見切部材を設置する際には、伸縮部材を短縮状態として、隣り合う分割見切部材の対向する端面を接合することにより、周辺見切材を組み立てることができる。
このとき、隣り合う分割見切部材の対向する端面に設けられた位置決め手段により、これら隣り合う分割見切部材を相互に位置決めした状態とすることができる。
したがって、隣り合って設置された分割見切部材どおしが伸縮部材により引っ張り状態にて連結されているから、周辺見切材の全体が分散しない状態に容易に設置できる。
また、この周辺見切材では、伸縮部材が、分割見切部材の長手方向に沿った側面より外側方にはみ出さず、床材設置域に設置した床材に干渉しない位置に伸縮部材を設置できる。よって、伸縮部材と床材との干渉により施工に不具合を生じることが無く、床材の浮き上がりも防止できる。
この結果、専門の業者によらなくても、床暖房パネルや畳などを容易にかつ短期でしかも安価に設置することができる利点を有している。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記伸縮部材で連結された前記分割見切部材の長さが、前記床材設置域の床材を全周にわたって囲む長さに構成され、連結状態で両端に位置される分割見切部材どうしを、前記長手方向に沿った前記分割見切部材の側面より外側方にはみ出さない状態で連結解除自在に連結する連結部材で連結してあることを特徴とする請求項1に記載の周辺見切材である。
【0010】
(作用・効果)
請求項2に係る周辺見切材の構成によれば、周辺見切材全体を構成する分割見切部材を伸縮部材で連結し、その連結状態で両端に位置される分割見切部材どうしを連結部材で連結するから、運搬の際には、周辺見切材の全体を一連につながった状態にすることができ、分割見切部材がバラバラにならず運搬が容易となる。
また、周辺見切材の設置の際には、連結部材が周辺見切材の両端を連結することにより、伸縮部材が短縮しようとする力を周辺見切材で床材設置域に設置された床材を締め付ける力として作用させることができる。
このため、床材設置域に床材を設置するときに、床材に周辺見切材を一体化するようにして容易に固定でき、床暖房パネルや畳などを一層容易にかつ短期でしかも安価に設置することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、
前記伸縮部材が、相互に隣接する前記分割見切部材どうしを連結解除自在につなぐ伸縮連結部材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の周辺見切材である。
【0012】
(作用・効果)
請求項3に係る周辺見切材の構成によれば、隣接する前記分割見切部材どうしを伸縮連結部材で連結することにより、伸縮連結部材が短縮しようとする力を周辺見切材で床材設置域に設置された床材を締め付ける力として作用させることができる。
また、周辺見切材の運搬の際には、分割見切部材を相互にバラバラにでき、例えば、運搬用の段ボール箱に収納する等を容易に行うことができる。
この分割見切材では、伸縮部材が比較的短い複数の伸縮連結部材であるから、分割見切部材の長手方向全長にわたって挿通させるように伸縮部材を設ける必要がなく、周辺見切材の製作が容易なものとなる。
【0013】
請求項4に係る発明は、
前記分割見切部材の上部に、設置状態で隣接する前記床材の上面を水平方向の相対移動を許容するように覆うカバー部分を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の周辺見切材である。
【0014】
(作用・効果)
設置状態で、例えば、床暖房の場合であれば、床暖房を使用しているときには、床材設置域に設置された床材から水分が抜けて床材が収縮し、一方、梅雨時などの湿度が高いときには、水分を吸収して床材が膨張する。また、畳の場合でも、暖房機器の使用時や外気が乾燥状態にあるときには床材である畳が収縮し、一方、梅雨時には畳が膨張する。また、その膨張収縮は分割見切部材でも発生する。
その結果、設置状態において、収縮状態では分割見切部材とそれに隣接して床材設置域に設置された床材との間に隙間が発生し、見映えが悪くなる。
しかしながら、請求項4に係る発明の周辺見切材の構成によれば、上述のような隙間が発生したとしても、カバー部分により隙間が見えなくでき、設置状態での見映えを良くできる。
【0015】
請求項5に係る発明は、
前記長手方向における前記分割見切部材の一方の端面が前記長手方向に対して45度傾斜した傾斜面に構成され、隣り合う分割見切部材の一方を前記長手方向の軸芯周りで天地反転させることにより、前記隣り合う分割見切部材を、直線状に連なるI字形と、直角に曲がるL字形とに配置できるように構成してあることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の周辺見切材である。
【0016】
(作用・効果)
請求項5に係る発明の周辺見切材の構成によれば、同じ形状の分割見切部材によって、周辺見切材を構成する直線部分と角部分のいずれをも構成できるから、分割見切部材の種類を少なくでき、材料加工費を低減できて周辺見切材を安価にできる。
【0017】
請求項6に係る発明は、
請求項1から5の何れかに記載の周辺見切材を床に設置した周辺見切材の設置構造であって、
前記隣り合う分割見切部材の前記端面間に、その対向距離の変動に追随して伸縮することにより前記端面間の隙間を埋めるクッション材を介装してあることを特徴としている。
【0018】
(作用・効果)
請求項6に係る発明の周辺見切材の設置構造の構成によれば、分割見切部材が膨張して隣り合って対向する分割見切部材の端面間の対向距離が短くなっても、クッション材が短縮し、一方、分割見切部材が収縮して隣り合って対向する分割見切部材の端面間の対向距離が長くなっても、クッション材が伸張し、分割見切部材の端面間の隙間を埋めることができる。
したがって、床暖房パネルや畳などの床材を設置した状態で分割見切部材が膨張収縮しても、分割見切部材の端面間で隙間が発生してそのまま見えることを防止できるから、設置状態での見映えを良くできる。
【0019】
請求項7に係る発明は、
請求項1から5の何れかに記載の周辺見切材を床に設置した周辺見切材の設置構造であって、
前記分割見切部材の側面とそれに対向する床材側面との間に水平方向での相対移動を許容する隙間を設けて、前記分割見切部材を設置してあることを特徴としている。
【0020】
(作用・効果)
設置状態で、例えば、床暖房の場合であれば、床暖房を使用しているときには、床材設置域に設置された床材から水分が抜けて床材が収縮し、一方、梅雨時などの湿度が高いときには、水分を吸収して床材が膨張する。このような膨張収縮は分割見切部材でも発生する。
その結果、床暖房パネルなどの床材を設置した状態において、分割見切部材やそれと隣接する床材設置域に設置された床材が膨張したときに、互いに突っ張り合う力が発生し、床材や周辺見切材が変形して見映えが悪くなったり破損したりする。
この請求項7に係る発明の周辺見切材の設置構造の構成によれば、周辺見切材や床材の膨張を、分割見切部材の側面と隣接する床材設置域に設置された床材の側面との間に設けた隙間で吸収して両者で力を及ぼしあうことを防止できるから、床材設置域に設置された床暖房パネルや畳などの床材や分割見切部材自体などの膨張収縮に起因して、床材や周辺見切材が変形することを防止して、設置状態での見映えを良くできるとともに破損を防止できる。
【0021】
請求項8に係る発明は、
前記隣り合う分割見切部材の前記端面間に、その対向距離の変動に追随して伸縮することにより前記端面間の隙間を埋めるクッション材を介装してあることを特徴とする請求項7に記載の周辺見切材の設置構造である。
【0022】
(作用・効果)
請求項8に係る発明の周辺見切材の設置構造の構成によれば、分割見切部材が膨張して隣り合って対向する分割見切部材の端面間の対向距離が短くなっても、クッション材が短縮し、一方、分割見切部材が収縮して隣り合って対向する分割見切部材の端面間の対向距離が長くなっても、クッション材が伸張し、分割見切部材の端面間の隙間を埋めることができる。
したがって、床暖房パネルや畳などの床材を設置した状態で分割見切部材が膨張収縮しても、分割見切部材の端面間で隙間が発生してそのまま見えることを防止できるから、上記請求項7に係る発明の構成と合わせて、設置状態での見映えを一層良くできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る実施例1の周辺見切材の設置構造を示す全体概略斜視図である。
【図2】周辺見切材の構成を示す全体平面図である。
【図3】ゴム材の端部の固定状態を示す図であり、(a)は要部の一部切欠拡大平面図、(b)は図3の(a)の第2の分割見切部材9bのA−A線矢視図である。
【図4】分割見切部材の連結状態を説明する図であり、(a)は連結箇所の側面図、(b)は図4の(a)のB−B線拡大断面図である。
【図5】本発明に係る実施例2の周辺見切材の設置構造を示す図であり、(a)は要部の平面図、(b)は、図5の(a)のC−C線断面図、(c)は、図5の(a)のD−D線矢視図である。
【図6】本発明に係る実施例3の周辺見切材の設置構造を示す平面図である。
【図7】(a)は実施例3の要部の横断面図、(b)は要部の一部切欠平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明に係る実施例1の周辺見切材の設置構造を示す全体概略斜視図であり、室内の床には他の区域としての既存のフローリング床4が設置されるとともに、所定の床材設置域である室内の中央側箇所において、フローリング床4上に、表面に化粧板5aを一体化するとともに温水チューブ(図示せず)を内蔵した床暖房パネル5が設置されている。
【0026】
室内の壁に温水コンセント6が設けられ、その温水コンセント6と床暖房パネル5とが温水配管7を介して接続されている。
床暖房パネル5の外周には、周辺見切材8が設置されている。
【0027】
周辺見切材8は、図2の周辺見切材の全体平面図に示すように、2本の第1の分割見切部材9aと4本の第2の分割見切部材9bとに分割して構成されている。第1の分割見切部材9aは、両端に長手方向に対して45度傾斜した傾斜面Fを有している。第2の分割見切部材9bは、一端側に長手方向に対して45度傾斜した傾斜面Fを有し他端側に長手方向に対して直角となる端面を有している。第1および第2の分割見切部材9a,9bの長さの総和が、床材設置域の床材である床暖房パネル5を全周にわたって囲む長さに構成されている。
【0028】
第1および第2の分割見切部材9a,9bは、設置状態で隣接する順番になるように、かつ、設置状態では第1および第2の分割見切部材9a,9bの長手方向に沿った側面より外側方にはみ出さない状態で、伸縮部材としてのゴム材10で連結され、ゴム材10の短縮状態では、隣り合う第1の分割見切部材9aと第2の分割見切部材9bが対向する端面、および、第2の分割見切部材9bどうしが対向する端面が接合され、伸張状態ではそれらの対向する端面が離間するように構成されている。運搬時には、ゴム材10を伸張状態にし、第1および第2の分割見切部材9a,9bを重ねて束ねることができるようになっている。
【0029】
図3は、ゴム材の端部の固定状態を示す図であり、(a)は要部の一部切欠拡大平面図、(b)は図3の(a)の第2の分割見切部材9bのA−A線矢視図であり、ゴム材10の両端それぞれに金属製の筒11が取り付けられ、その筒11がボックス形状の留め金具12に挿通され、その挿通状態で筒11がカシメによってゴム材10に固着され、カシメ部分11aによって留め金具12から抜け止めされている。この留め金具12を取り付けた第2の分割見切部材9b以外の第1および第2の分割見切部材9a,9bでは、その中心箇所を長手方向全長にわたってゴム材10が挿通されている。
【0030】
連結状態で両端に位置する第2の分割見切部材9b,9bそれぞれの第1の分割見切部材9aに対向する側の端部に、筒11を嵌入する幅狭の第1の凹部13と、その第1の凹部13に連通するとともに第1の凹部13よりも幅が広くて留め金具12を嵌入する第2の凹部14が形成されている。
この構成により、筒11を第1の凹部13に嵌入しながら留め金具12を第2の凹部14に嵌入し、抜け止め部材15を第2の凹部14内に嵌入(圧入)保持させることにより留め金具12を抜け止めし、ゴム材10の両端それぞれを第2の分割見切部材9b,9bそれぞれに固定するようになっている。
【0031】
4本の第2の分割見切部材9bの傾斜面Fと、2本の第2の分割見切部材9bの長手方向に直交する端面それぞれに、長手方向に突出するように一対の突起16,16が設けられている。一方、残りの2本の第2の分割見切部材9bの長手方向に直交する端面と、2本の第1の分割見切部材9aの長手方向の両端傾斜面F,Fそれぞれに、一対の突起16,16を嵌入する係合凹部17が設けられ、ゴム材10の短縮状態で、隣り合う分割見切部材9a,9b、又は9b,9bが長手方向の端面の面方向での相対移動を阻止するように位置決め手段が構成されている。
【0032】
図4は、分割見切部材の連結状態を説明する図であり、(a)は連結箇所の側面図、(b)は図4の(a)のB−B線拡大断面図である。
長手方向一端側にゴム材10が固定された第2の分割見切部材9b,9bそれぞれの端部が連結部材18を介して連結されている。連結部材18は、図4の(b)に示すように、連結用ゴム材19と連結用筒20と連結用留め金具21とから構成されている。
すなわち、連結用ゴム材19の両端それぞれに金属製の連結用筒20が取り付けられ、その連結用筒20がボックス形状の連結用留め金具21に挿通され、その挿通状態で連結用筒20がカシメによって連結用ゴム材19に固着され、カシメ部分20aによって連結用留め金具21から抜け止めされている。
【0033】
第2の分割見切部材9b,9bそれぞれの端部には、図4の(a)に示すように、連結用筒20を嵌入する幅狭の第1の連結用凹部22と、その第1の連結用凹部22に連通するとともに第1の連結用凹部22よりも幅が広くて連結用留め金具21を嵌入する第2の連結用凹部23が形成されている。
連結用留め金具21は、平面視において、第2の連結用凹部23に嵌入した状態でその端面が第2の分割見切部材9bの側面と面一になり、設置状態で床暖房パネル5の側面に当接して抜け止めされるようになっている。
この構成により、連結用筒20を第1の連結用凹部22に嵌入しながら連結用留め金具21を第2の連結用凹部23に嵌入し、第2の分割見切部材9b,9bを、その長手方向に沿った側面より連結部材18を外側方にはみ出させない状態で連結解除自在に連結するようになっている。
【実施例2】
【0034】
図5は、本発明に係る実施例2の周辺見切材の設置構造を示す図であり、(a)は要部の平面図、(b)は、図5の(a)のC−C線断面図、(c)は、図5の(a)のD−D線矢視図であり、実施例1と異なるところは次の通りである。
すなわち、第2の分割見切部材9bの側面とそれに対向する床暖房パネル5の側面との間に水平方向での相対移動を許容する隙間Sを設けて第2の分割見切部材9bが設置されている。
また、第2の分割見切部材9b,9bの上面に、設置状態で隣接する床暖房パネル5(化粧板5a)の上面を水平方向の相対移動を許容するように覆うカバー部分31が備えられている。図示していないが、第1の分割見切部材9aについても同様に隙間Sを設けて設置されるとともにカバー部分31が備えられている。
【0035】
上記構成により、床暖房パネル5や第1および第2の分割見切部材9a,9b自体などの膨張を隙間Sで吸収し、互いに力を及ぼしあうことを防止できる。このため、隣接する床暖房パネル5や第1および第2の分割見切部材9a,9b自体などの膨張に起因して、床暖房パネル5や第1および第2の分割見切部材9a,9bが変形することを防止し、見映えを良くできるとともに破損を防止できる。
また、床暖房パネル5や第1および第2の分割見切部材9a,9b自体などの膨張収縮に起因する隙間Sの大小変化にかかわらず、隙間Sが見えることをカバー部分31で防止でき、見映えを良くできる。
【0036】
また、第2の分割見切部材9b,9bの端面間にクッション材32が介装され、第2の分割見切部材9b,9bの端面の対向距離の変動に追随してクッション材32が伸縮し、端面間の隙間を埋めるように構成されている。
クッション材32は、図5の(c)に示すように、第2の分割見切部材9bの横断面形状と同一の形状に形成されている。
クッション材32の下部側には、ゴム材10および突起16,16を外嵌する切込み33が形成され、第2の分割見切部材9b,9bの端面間に介装した状態で、クッション材32の上面と第2の分割見切部材9b,9bの上面とが面一になるように構成されている。
【0037】
これにより、第2の分割見切部材9bが膨張して隣り合って対向する第2の分割見切部材9bの端面間の対向距離が短くなっても、クッション材32が短縮し、一方、第2の分割見切部材9bが収縮して隣り合って対向する第2の分割見切部材9bの端面間の対向距離が長くなっても、クッション材32が伸張し、第2の分割見切部材9b,9bの端面間の隙間を埋め、隙間が発生してそのまま見えることを防止でき、設置状態における見映えを良くできる。図示しないが、第1の分割見切部材9aと第2の分割見切部材9bとが対向する傾斜面F間にも同様の構成のクッション材32が介装されている。他の構成は実施例1と同じであり、同一図番を付しその説明は省略する。
【実施例3】
【0038】
図6は、本発明に係る実施例3の周辺見切材の設置構造を示す平面図であり、図7の(a)は実施例3の要部の横断面図、図7の(b)は要部の一部切欠平面図であり、実施例1と異なるところは次の通りである。
すなわち、両端を壁面下部に当接させた周辺見切材が、長手方向の一端側の端面が長手方向に対して45度傾斜した傾斜面Fで他方の端面が長手方向に直交する端面F1に形成された同一形状の2種類の第1および第2の分割見切部材41a,41bを1本のゴム材42で交互に連結して構成されている。ゴム材42の両端それぞれの第1および第2の分割見切部材41a,41bへの固定構成は実施例1と同じである。
【0039】
第1の分割見切部材41aは、傾斜面Fに位置決め手段としての突起43を、そして、端面F1に、突起43を嵌入する係合凹部44をそれぞれ設けて構成されている。
一方、第2の分割見切部材41aは、端面F1に突起43を、そして、傾斜面Fに、突起43を嵌入する係合凹部44をそれぞれ設けて構成されている。
図7の(a)に示すように、第1および第2の分割見切部材41a,41bそれぞれの中央部を貫通してゴム材42が挿通され、突起43および係合凹部44それぞれが、ゴム材42を通る仮想直線上でかつゴム材42から等距離の位置に設けられている。
また、係合凹部44が、図7の(b)に示すように、第1および第2の分割見切部材41a,41bそれぞれの長手方向に向かう凹部とそれに直交する方向に向かう凹部とで形成されている。
【0040】
上記構成により、例えば、第1の分割見切部材41aに対して第2の分割見切部材41bを、その長手方向の軸芯周りで天地反転させることにより、直線状に連なるI字形と、直角に曲がるL字形とを得ることができるようになっている。
壁面に当接する第2の分割見切部材41b’は、第2の分割見切部材41bの端面F1の突起を切り取ったものである。
この実施例3による場合、例えば、床材設置域が正方形あるいは長方形で、各辺それぞれが偶数に分割されるときには、第1および第2の分割見切部材41a,41bで周辺見切材を構成できる。
この実施例3における第1および第2の分割見切部材41a,41bは、実施例1および実施例2と異なり、横断面形状四角形に構成される。
【0041】
上記実施例では、すべての分割見切部材9a,9b,41a,41b,41b’をゴム材10,42で連結しているが、例えば、2本づつとか3本づつなど一部を連結するものでも良い。
【0042】
また、上記実施例では、伸縮部材をゴム材10,42で、そして、連結部材23を連結用ゴム材24でそれぞれ構成しているが、本発明としては、例えば、圧縮コイルスプリングなどのバネ材で構成するものでも良い。
【0043】
また、上記実施例では、伸縮部材として、分割見切部材9a,9b,41a,41b,41b’の長手方向全長に挿通するゴム材10,42を用いているが、本発明としては、分割見切部材9a,9b,41a,41b,41b’の長手方向全長に挿通するような連結部材を用いずに、例えば、連結用ゴム材24による伸縮自在な連結部材23、すなわち、伸縮連結部材を連結部材として用い、相互に隣接する分割見切部材9a,9b,41a,41b,41b’どうしのすべてを伸縮連結部材で連結解除自在に連結するように構成するものでも良い。
【0044】
分割見切部材9a,9b,41a,41b,41b’それぞれとしては、木材、木屑とプラスチック材を混合した合板、中密度繊維材(MDF)などが使用される。
なお、上記実施例において、構成の説明上、図面相互での寸法比は適宜変えている。
【符号の説明】
【0045】
4…フローリング床(他の区域)
5…床暖房パネル(床材設置域)
8…周辺見切材
9a,41a…第1の分割見切部材(分割見切部材)
9b,41b,41b’…第2の分割見切部材(分割見切部材)
10,42…ゴム材
16,43…突起(位置決め手段)
17,44…係合凹部(位置決め手段)
18…連結部材
31…カバー部分
32…クッション材
S…隙間
F…傾斜面
F1…端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に設置されて所定の床材設置域に配置される床材を他の区域から仕切るための周辺見切材であって、
前記床材の周縁に沿う長手方向において分割された複数の分割見切部材と、
前記分割見切部材どうしを前記長手方向にてつなぐ伸縮部材と、を備え、
前記伸縮部材は、短縮状態において、前記長手方向に沿った前記分割見切部材の側面より外側方にはみ出さない状態で、隣り合う前記分割見切部材の対向する端面を接合するとともに、伸張状態において、前記対向する端面が離間するように構成され、
前記隣り合う分割見切部材の対向する端面に、前記伸縮部材の短縮状態で面方向の相対移動を阻止する位置決め手段が設けられたことを特徴とする周辺見切材。
【請求項2】
前記伸縮部材で連結された前記分割見切部材の長さが、前記床材設置域の床材を全周にわたって囲む長さに構成され、連結状態で両端に位置される分割見切部材どうしを、前記長手方向に沿った前記分割見切部材の側面より外側方にはみ出さない状態で連結解除自在に連結する連結部材で連結してあることを特徴とする請求項1に記載の周辺見切材。
【請求項3】
前記伸縮部材は、相互に隣接する前記分割見切部材どうしを連結解除自在につなぐ伸縮連結部材からなることを特徴とする請求項1に記載の周辺見切材。
【請求項4】
前記分割見切部材の上部に、設置状態で隣接する前記床材の上面を水平方向の相対移動を許容するように覆うカバー部分を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の周辺見切材。
【請求項5】
前記長手方向における前記分割見切部材の一方の端面が前記長手方向に対して45度傾斜した傾斜面に構成され、隣り合う分割見切部材の一方を前記長手方向の軸芯周りで天地反転させることにより、前記隣り合う分割見切部材を、直線状に連なるI字形と、直角に曲がるL字形とに配置できるように構成してあることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の周辺見切材。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の周辺見切材を床に設置した周辺見切材の設置構造であって、
前記隣り合う分割見切部材の前記端面間に、その対向距離の変動に追随して伸縮することにより前記端面間の隙間を埋めるクッション材を介装してあることを特徴とする周辺見切材の設置構造。
【請求項7】
請求項1から5の何れかに記載の周辺見切材を床に設置した周辺見切材の設置構造であって、
前記分割見切部材の側面とそれに対向する床材側面との間に水平方向での相対移動を許容する隙間を設けて、前記分割見切部材を設置してあることを特徴とする周辺見切材の設置構造。
【請求項8】
前記隣り合う分割見切部材の前記端面間に、その対向距離の変動に追随して伸縮することにより前記端面間の隙間を埋めるクッション材を介装してあることを特徴とする請求項7に記載の周辺見切材の設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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