説明

味付早炊米、釜飯セット、釜飯用味付早炊米の製造方法、および釜飯の製造方法

【課題】炊飯時間が短く、かつ、粘り気のある美味しい釜飯が得られる釜飯用の味付早炊米、釜飯セット、釜飯用味付早炊米の製造方法、および釜飯の製造方法を提供する。
【解決手段】生の米と、炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ、真空包装する。そののち、生の米と調味料とを包装容器から取り出して釜11に入れ、そこにお湯と具材とを入れて、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料13を用い、18分から20分で炊飯する。粘り気があり、味も均一についた美味しい釜飯が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯時間が短く、かつ、粘り気のある美味しいご飯が得られる釜飯用の味付早炊米、釜飯セット、釜飯用味付早炊米の製造方法、および釜飯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
釜飯を作る際に炊飯時間を短くする方法としては、例えば、アルファー化した早炊米を用いることが考えられる。この早炊米は、例えば、米を蒸したり炊飯したりしてアルファー化したのち、乾燥させたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−121792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アルファー化した早炊米は米の粘り気がないので、普通米に比べると風味および食感が劣るという問題があった。粘り気をだすために米粉を混ぜて炊いてみたが、粘り気は出せたものの、米粒が小さく、十分な風味および食感を得ることはできなかった。そこで、普通米を早く炊く方法として、例えば、生の米を水に浸し、脱水機で水分をとり乾燥させて炊飯する方法、生の米を水に浸して一旦冷凍して炊飯する方法、玄米を2度突きした上白米を水に浸して炊飯する方法を検討したが、いずれも炊飯時間を短くして美味しい釜飯を得ることはできなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、炊飯時間が短く、かつ、粘り気のある美味しい釜飯が得られる釜飯用の味付早炊米、釜飯セット、釜飯用味付早炊米の製造方法、および釜飯の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の味付早炊米は、釜飯用のものであって、生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装したものであり、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにしたものである。
【0007】
本発明の釜飯セットは、釜飯用の炊飯道具と、釜飯用の味付早炊米とを備えたものであって、炊飯道具は、釜と、釜を載置する支持台と、釜の下方に固形燃料を置く固形燃料台とを有し、味付早炊米は、生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装したものであり、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにしたものである。
【0008】
本発明の釜飯用味付早炊米の製造方法は、生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れて真空包装したのち、4時間以上保持するものである。
【0009】
本発明の釜飯の製造方法は、生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れて真空包装し、4時間以上保持したのち、包装容器から生のお米と調味料とを取り出して、お湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生の米と味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装することにより、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにしたので、例えば20分程度で、粘り気があり、かつ、ご飯に芯が残らず、味も均一についた美味しい釜飯を炊くことができる。よって、短い炊飯時間で、普通に炊いた場合と同じように美味しい釜飯を得ることができる。
【0011】
また、炊飯道具において、固形燃料台の固形燃料載置面と釜の底部との間の距離を4cm以上4.8cm以下とするようにすれば、釜との接触部分にお焦げをつくることができ、釜飯の風味をより向上させることができる。
【0012】
更に、生の米と調味料とを包装容器に入れて真空包装したのち、4時間以上保持するようにすれば、ご飯に芯が残らず、味も均一な釜飯を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る釜飯セットの炊飯道具の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施の形態に係る釜飯セットは、本発明の一実施の形態に係る釜飯用の味付早炊米と、釜飯用の炊飯道具とを備えている。この味付早炊米は、生の米と、炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ、真空包装したものである。これにより、この味付早炊米は、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようになっている。なお、約20gの固形燃料というのは、20gと表示して市販されている固形燃料を意味している。味付け用の調味料は、例えば、味付だし汁であり、酒、昆布だし、かつおだし、醤油、砂糖、みりん等の1種または2種以上が混合して用いられる。調味料には必要に応じて水を混合してもよい。包装容器には、例えば、真空包装用のビニール製等の袋を用いる。
【0016】
この味付早炊米は、例えば、規定量の洗った生の米を包装容器に入れると共に、規定量の調味料を入れて、真空包装することにより得られる。真空包装後は、例えば、包装の状態を4時間以上保持することが好ましい。炊いた時にご飯に芯が残らず、味も均一につけることができるからである。保持時間は保存可能な期間内であれば、長くてもよい。米は、洗った後の水を含んだ状態で包装容器に入れてもよい。
【0017】
図1は、炊飯道具10の断面構造を表すものである。この炊飯道具10は、釜11と、釜11を載置する支持台12と、釜11の下方に固形燃料13を置く固形燃料台14とを有している。固形燃料台14の固形燃料載置面14Aと、釜11の底部11Aとの間の距離hは、4cm以上4.8cm以下の範囲内とすることが好ましい。この範囲内において釜11との接触部分にお焦げをつくることができ、釜飯の風味をより向上させることができるからである。
【0018】
本実施の形態に係る味付早炊米は、この炊飯道具10を用いて簡単に美味しく炊くことができる。例えば、包装容器から生のお米と調味料とを取り出して釜11に入れ、お湯および必要に応じて具材を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯する。炊飯時間は、例えば、18分から20分程度である。お湯は、例えば、90℃以上の熱湯が好ましい。より美味しく炊くことができるからである。また、「直ちに」というのは、浸す時間を取ることなくという意味である。すなわち、この味付早炊米を用いれば、炊飯時間を短くすることができると共に、炊飯前に米に水分を吸わせる浸漬時間が不要となる。
【0019】
このように、本実施の形態によれば、生の米と味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装することにより、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにしたので、例えば18分から20分程度で、粘り気があり、かつ、ご飯に芯が残らず、味も均一についた美味しい釜飯を炊くことができる。よって、短い炊飯時間で、普通に炊いた場合と同じように美味しい釜飯を得ることができる。
【0020】
また、炊飯道具10において、固形燃料台14の固形燃料載置面14Aと釜11の底部との間の距離hを4cm以上4.8cm以下とするようにすれば、釜11との接触部分にお焦げをつくることができ、釜飯の風味をより向上させることができる。
【0021】
更に、生の米と調味料とを包装容器に入れて真空包装したのち、4時間以上保持するようにすれば、ご飯に芯が残らず、味も均一な釜飯を得ることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1〜3)
生の米1合(140g)を洗い、水を含んだ状態で160gを包装容器に入れ、そこに調味料として味付だし汁30gを入れ、真空包装した。真空包装したのち、実施例1では4時間、実施例2では7時間、実施例3では1時間それぞれそのまま保持した。次いで、この味付早炊米を炊飯道具10を用いて炊いた。具体的には、包装容器から生の米と調味料とを取り出して釜11に入れ、そこに、熱湯150ml〜180mlと、具材とを入れ、約20gの固形燃料13を用い、約20分間で炊いた。できた釜飯を試食したところ、実施例1,2では、粘り気があり、芯が残っておらず、味も均一についており、美味しかった。また、焦げもできており、風味がよかった。実施例3も、実施例1,2と同様に、粘り気があり、焦げもできて、美味しかった。しかし、味に少し偏りがあった。
【0023】
(比較例)
生の米と調味料とを包装容器に入れ、真空包装せずに、そのまま冷蔵庫で2日から3日保存したことを除き、他は実施例1〜3と同様にして釜飯を作った。できた釜飯を試食したところ、芯が残り、粘り気が十分でなく、風味が良くなかった。すなわち、生の米と味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装するようにすれば、米1合に対して約20gの固形燃料で、粘り気があり、ご飯に芯が残らず、味も均一につき、焦げもできた美味しい釜飯を炊くことができることがわかった。
【0024】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、味付早炊米と具材とを包装容器に入れ真空包装するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
釜飯に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10…炊飯道具、11…釜、11A…底部、12…支持台、13…固形燃料、14…固形燃料台、14A…固形燃料載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釜飯用の味付早炊米であって、
生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装したものであり、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにしたことを特徴とする味付早炊米。
【請求項2】
釜飯用の炊飯道具と、釜飯用の味付早炊米とを備えた釜飯セットであって、
前記炊飯道具は、釜と、釜を載置する支持台と、釜の下方に固形燃料を置く固形燃料台とを有し、
前記味付早炊米は、生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れ真空包装したものであり、包装容器から取り出してお湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することができるようにした
ことを特徴とする釜飯セット。
【請求項3】
前記固形燃料台の固形燃料載置面と前記釜の底部との間の距離は、4cm以上4.8cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項2記載の釜飯セット。
【請求項4】
生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れて真空包装したのち、4時間以上保持することを特徴とする釜飯用味付早炊米の製造方法。
【請求項5】
生の米と炊き込む際に必要となる規定量の味付け用の調味料とを包装容器に入れて真空包装し、4時間以上保持したのち、包装容器から生のお米と調味料とを取り出して、お湯を加え、直ちに、米1合に対して約20gの固形燃料で炊飯することを特徴とする釜飯の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−229418(P2011−229418A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100310(P2010−100310)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(310006604)
【Fターム(参考)】