呼吸インピーダンス測定装置及び呼吸インピーダンス表示方法
【課題】ノイズ除去を行って極めて高精度で呼吸インピーダンスの連続測定を可能とする。
【解決手段】ラウドスピーカ21により口腔内に複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたオシレーション波であって呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号によるオシレーション波による空気振動圧を加え、口腔内の圧力を検出し、呼吸の流量を検出し、この得られた信号をフーリエ変換手段32にてフーリエ変換してスペクトルを得て、このフーリエ変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより雑音として寄与する呼吸高周波成分を抽出手段33にて求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算してオシレーション波成分を抽出し、この抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算を演算手段34において行って呼吸インピーダンスを得る。
【解決手段】ラウドスピーカ21により口腔内に複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたオシレーション波であって呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号によるオシレーション波による空気振動圧を加え、口腔内の圧力を検出し、呼吸の流量を検出し、この得られた信号をフーリエ変換手段32にてフーリエ変換してスペクトルを得て、このフーリエ変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより雑音として寄与する呼吸高周波成分を抽出手段33にて求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算してオシレーション波成分を抽出し、この抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算を演算手段34において行って呼吸インピーダンスを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人などの呼吸インピーダンスを連続測定することが可能な呼吸インピーダンス測定装置及び呼吸インピーダンス表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置は、呼吸器系に正弦波空気振動圧を負荷するための正弦波加圧装置と、呼吸器系の気流速度を検出するための気流速度検出器と、呼吸器系の気圧を検出するための気圧検出器と上記気流速度検出器および気圧検出器で検出した気流速度および気圧から呼吸抵抗を算出する抵抗演算部とを有したものが知られている。
【0003】
上記従来の装置は、正弦波加圧装置が負荷する正弦波空気振動圧の信号を基準信号に変換するための基準信号変換器と、この基準信号変換器からの正弦波空気振動圧の基準信号により気流速度の信号を処理して上記基準信号と同じ周波数の成分のみを取り出すベクトル演算器とが設けられ、このベクトル演算器で得られた気流速度の信号と上記気圧検出器で検出した気圧の信号とから抵抗演算部で呼吸抵抗を算出するように構成したものである。
【0004】
この装置は上記の通り、ベクトル演算器で得られた気流速度の信号と上記気圧検出器で検出した気圧の信号とから抵抗演算部で呼吸抵抗を測定するようにしているので、換気量が少なくまた換気数が多い呼吸であってもノイズを除去することができ、精度の高い呼吸抵抗の測定を行うことができる利点を有するものである(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記従来の装置によってもノイズ除去は十分とは言えず、更に高性能な呼吸インピーダンス測定装置の実現が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−39140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような呼吸インピーダンス測定における現状に鑑みてなされたもので、その目的は、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能であり、呼吸系の疾患の判定に広く応用可能な呼吸インピーダンス測定装置及び呼吸インピーダンス表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置は、口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段と、口腔内の圧力を検出する圧力検出手段と、呼吸による流量を検出する流量検出手段と、前記加圧手段を呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号であって、複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたパルス信号であるオシレーション波による空気振動圧を生じさせる制御手段と、前記加圧手段による加圧状態下において前記圧力検出手段と前記流量検出手段により得られる信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出す抽出手段と、この抽出手段による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、制御手段は周波数間引きとして、周期T1のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、制御手段は、加圧手段の入力信号と出力信号及び前記加圧手段の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望の圧波形のオシレーション波が出力信号となるように前記加圧手段へ入力信号を与える信号入力手段を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、信号入力手段は、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を前記加圧手段へ入力信号を与えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に呼吸インピーダンスの値をとって三次元の表示を行い、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元の表示に含めた画像を作成して表示を行い、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、インピーダンス値の大小を、色の変化及び/または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、口腔内に周波数間引きされたオシレーション波による空気振動圧を加え、口腔内の圧力を検出し、呼吸の流量を検出し、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得て、このフーリエ変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより雑音として寄与する呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算してオシレーション波成分を抽出し、この抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算を行って呼吸インピーダンスを得るので、呼吸高周波成分を確実に除去したオシレーション波成分を用いて呼吸インピーダンスを得ることができる上に、オシレーション波による空気振動圧にパルス信号を採用し、該パルスの正負を呼気時と吸気時に応じて異ならせて駆動するので、吸気と呼気で生理学的に同一条件において呼吸抵抗を測定することができ、適切な測定により極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0019】
本発明によれば、周期T1のパルスを与えることにより、n/T1(n:整数T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるので、間引いた周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応(n/T1周波数以外)のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算して呼吸高周波成分を確実に除去し、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0020】
本発明によれば、異なる複数周波数の正弦波を複数合成することにより、周波数成分間引きされたオシレーション波による空気振動圧を生じさせるので、間引きした周波数成分対応のスペクトルは呼吸高周波成分のみが含まれる。従って、オシレーション信号に含まれる呼吸高周波成分を、この呼吸高周波成分信号から推定できる。この推定した信号を用いて呼吸高周波成分を確実に除去し、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0021】
本発明によれば、加圧の入力信号と出力信号及び加圧実行部分の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望波形のオシレーション波が出力信号となるように加圧実行部分へ入力信号を与えるので、所望の圧波形のオシレーション波を用いて測定を行うことが可能となり、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0022】
本発明によれば、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を入力信号とするので、逆演算の結果の信号波形を安定させ、これによって所望波形のオシレーション波を用いて測定を行うことが可能となり、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0023】
本発明によれば、信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うので、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルと、間引きされた周波数成分対応のスペクトルとを適切に得て所要の処理を行うことができる。
【0024】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法によれば、呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に値をとって三次元の表示を行い、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元に値をとって表示する場合に含めた画像を作成して表示を行い、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示するので、補間処理の結果についても画像化して表示するため、インピーダンス値の変化がきめ細かく滑らかに表示され、周波数全体についてインピーダンスの把握を適切に行うことが可能となり、呼気フローと吸気フローによるフロー波形が共に表示されており、呼吸系の疾患の判定に広く応用可能である。
【0025】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うので、呼吸インピーダンスの表示において呼気の期間と吸気の期間が一目瞭然となり、呼吸系の疾患の判定などに便利である。
【0026】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示するので、各呼吸毎に異なる呼吸インピーダンスを平均化して文字により取得でき、比較などに便利である。
【0027】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うので、突発的な変化ではなくある程度のスパンをもった観測が可能となり、適切な観測が確保される。
【0028】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、インピーダンス値の大小を、色の変化または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うので、インピーダンス値の大小を一目瞭然に識別することが容易に可能となり、呼吸インピーダンスによる各種の研究、検査、更には患者への視角的な説明(アピール)に極めて役立つことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置の構成図。
【図2】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波である三角パルス波の一例を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波であるハニングパルス波の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置において、パルスの正負を呼気時と吸気時に応じて異ならせて駆動する例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波を逆演算により生成する過程を説明するための図。
【図6】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に採用されているフィルタの周波数特性を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置により得られた呼吸インピーダンスを示す図。
【図12】本発明の手法を用いない呼吸インピーダンス測定装置により得られた呼吸インピーダンスを示す図。
【図13】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いてCOPD患者(stage1)について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図14】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて正常者について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図15】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いてCOPD患者(stage2)について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図16】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて喘息患者について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図17】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて呼吸同期毎に加算平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示した一例を示す図。
【図18】図17の三次元画像の表示について、所定数の周波数における平均値を、それぞれ線分として表示した一例を示す図。
【図19】図18の表示について、所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示した一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置及びその測定方法の実施例を説明する。図1に、本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置の実施例構成図を示す。この呼吸インピーダンス測定装置は、人の口腔に先端が取り付けられ、呼吸流が流れるチューブ11と、チューブ11に取り付けられ口腔内の圧力を検出する圧力検出手段を構成する圧力センサ12と、圧力センサ12と同位置において呼吸による流量を検出する流量検出手段を構成する流量センサ13と、口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段を構成するラウドスピーカ21と、コンピュータ30とを主な構成要素とする。
【0031】
圧力センサ12の出力信号はアンプ14により増幅され、A/D変換器15によりディジタル化されてコンピュータ30に取り込まれる。また、流量センサ13の出力信号はアンプ16により増幅され、A/D変換器17によりディジタル化されてコンピュータ30に取り込まれる。
【0032】
コンピュータ30には、制御手段31、フーリエ変換手段32、抽出手段33、演算手段34が備えられている。また、制御手段31は、信号入力手段35を備えている。制御手段31は、加圧手段であるラウドスピーカ21を駆動する信号を出力し、奇数周波数成分または偶数周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるものである。制御手段31の出力はD/A変換器22によりディジタル化されてドライバ23へ送られ、ドライバ23がラウドスピーカ21を駆動して、口腔内に空気振動圧が加えられる。
【0033】
上記において、制御手段31は、T1秒周期のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分を有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるものである(周波数間引き)。パルス波としては様々な波形を用いることができる。例えば三角パルスは、図2(a)に示すようにベースレベルの時間幅が25ms程度のものである。この三角パルスを例えばT1=0.5 秒周期で出力すると2,4,6,8Hz,・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる(図2(b))。また、上記の三角パルスを例えばT1=0.333 秒周期で出力すると3,6,9,12Hz, ・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる。勿論、T1=0.25秒周期で出力するようにしても良く、この場合には4,8,12,16Hz, ・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる。
【0034】
また、他のパルス波の例としてのハニングパルスは、図3に示すようにベースレベルの時間幅が25ms程度のものである。三角パルス波の場合と同様にして作成され、出力される。
【0035】
制御手段31に備えられている信号入力手段は、ラウドスピーカ21の入力信号と出力信号及びラウドスピーカ21の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望波形のオシレーション波が出力信号となるようにラウドスピーカ21へ入力信号を与えるものである。
【0036】
上記において、パルス波の正負とフロー(呼吸流)の方向との関係は生理学的に重要である。今、フロー曲線において負の領域にある呼気フローの方向(下に凸)とパルス波が同一方向で負のパルス(下に凸)とする。この場合、フローは加速され、その速度は大きくなる。このため、気管支内圧がパルス波によるオシレーション波の影響で減衰し、気管支の径は短縮する。結果として得られる呼吸抵抗は増大する。一方、この負のパルスを吸気においても使用した場合、吸気フローはフロー曲線の正の領域にあり、方向は上に凸であり、呼気と逆向きであるから上記負のパルス波はフローを減速する方向に働き、気管支内圧は高くなり気管支径は拡張する。結果として得られる呼吸抵抗は小さくなる。
【0037】
斯して、呼気と吸気に拘りなく同一方向に凸のパルスを用いた場合には、測定される呼吸抵抗はオシレーション波として加えられるパルスの呼吸フローに対する方向性に依存してしまい、吸気と呼気で生理学的に異なる条件において呼吸抵抗の測定をしたことになり、正しい測定とならない。これを避けるために、制御手段31は、呼気と吸気とに応じてパルスの正負を異ならせてパルスを出力する。
【0038】
その第1の手法は、パルス波の方向(上に凸または下に凸)を吸気、呼気のいずれにおいてもフローと同一方向とする。即ち、フロー曲線(図4(c))が負の領域となる呼気の場合には、負のパルス波を用い、フロー曲線が正の領域となる吸気の場合には、正のパルス波を用いるようにする。図4(a)に、このようにしてパルス波の正負を切り換えた場合を示す。
【0039】
その第2の手法は、パルス波の方向(上に凸または下に凸)を吸気、呼気のいずれにおいてもフローと逆方向とする。即ち、フロー曲線(図4(c))が負の領域となる呼気の場合には、正のパルス波を用い、フロー曲線が正の領域となる吸気の場合には、負のパルス波を用いるようにする。図4(b)に、このようにしてパルス波の正負を切り換えた場合を示す。
【0040】
制御手段31は、流量センサ13の出力に基づき、呼気と吸気についてその切り替わり時点を検出する。すなわち、流量センサ13の出力は、呼吸に対応して基本的に図4(c)に示されるように変化するものであるから、上記流量センサ13の出力信号のゼロクロス点を境にしてパルス波の正負を切り換える。
【0041】
具体的に、例えば三角パルスを用いて測定を行う動作について詳細に説明する。以下では、正のパルス波についての説明であるが、負のパルス波についても正のパルス波と同様の処理が行われる。図5(a)に示されるような三角パルスを入力してラウドスピーカ21を駆動した場合には、ラウドスピーカ21の出力信号は、図5(b)に示されるようなゼロレベルの上下に極大点を有する信号となる。そこで、図5(c)に示されるようなモデルを考える。ラウドスピーカ21の伝達関数をH(ω)、入力信号をX(ω)、出力信号をY(ω)とすると、以下のようになるので、逆変換によりx’(t)を求めて駆動信号とする。
【0042】
【数1】
【0043】
求めたY(ω)は、高い周波数までの成分を持たないので、(式1)から得られるx’(t)は不安定となる。このため(式2)のように分母に定数A0 を加えたものをフーリエ逆変換してx’(t)を求めて駆動信号とする。これはまた、図5(b)に示されるようなラウドスピーカ21の出力信号に対し、図5(d)に示されるようにオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して図5(e)に示される信号x’(t)を得ることも出来る。
【0044】
以上の説明では、三角パルスの場合を説明したが、ハニングパルスについても同様にして逆演算により信号を得て、この信号によりラウドスピーカ21を駆動することができる。
【0045】
パルス波のいずれを用いるかに関しては、図示しないキーボードなどによりコンピュータ30へ指示を与えることができ、これに応じて制御手段31が選択した信号波形を出力する。
【0046】
コンピュータ30に備えられているフーリエ変換手段32、抽出手段33、演算手段34について説明する。フーリエ変換手段32は、ラウドスピーカ21が上記のようにして駆動されることによって生じる口腔内の加圧状態下において、圧力センサ12と流量センサ13により信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るものである。フーリエ変換手段32の前段には、CICフィルタ36が設けられ、圧力センサ12と流量センサ13により得られる呼吸信号とオシレーション成分との分離が行われる。また、フーリエ変換手段32は処理の前に必要であれば、ハニング窓により信号の取り出しを行う。
【0047】
抽出手段33は、フーリエ変換手段32による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出すものである。周波数間引きに対応して、フーリエ変換手段32により得られたスペクトルについてn/T1(n:整数)の周波数成分を除く他の周波数対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分(n/T1の周波数成分)対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出すものである。
【0048】
演算手段34は、抽出手段33による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算することにより呼吸インピーダンスを算出するものである。即ち、呼吸インピーダンスをZ(ω)、口腔内圧力のオシレーション波成分をP(ω)、流量のオシレーション波成分をF(ω)とし、呼吸インピーダンスZ(ω)が抵抗成分R(ω)とリアクタンス成分X(ω)からなるものとすると、次の式により呼吸インピーダンスをZ(ω)が求められる。
【0049】
【数2】
【0050】
演算手段34により求められた呼吸インピーダンスZ(ω)は、コンピュータ30に接続されたLCDなどの表示部40用の表示信号とされて表示部40へ出力され、表示がなされる。
【0051】
以上の通りに構成された呼吸インピーダンス測定装置による動作を説明する。この例では、三角パルス波が選択されて測定動作が開始される。制御手段31及び信号入力手段35により、逆演算された波形によりスピーカ21がT1秒周期で(例えば0.5秒間隔で)駆動される。
【0052】
このとき、圧力センサ12と流量センサ13により得られる信号の波形は、いずれも図6(a)または図6(b)に示されるように、呼吸信号に三角パルス波が重畳した波形となっており、これがCICフィルタ36を通過させられて呼吸波とオシレーション波(三角パルス波)の分離が行われる。図7にCICフィルタ36の周波数特性を示す。CICフィルタ36により位相の変化なく、分離を行うことができる。但し、呼吸信号には高周波成分(オシレーション信号と同一の周波数帯)が含まれるために完全には分離できない。
【0053】
CICフィルタ36による分離の後には図6(c)に示されるように、負のパルスが反転されてすべて正のパルスとされたオシレーション波について、二つの三角パルスの中間点から1秒間(信号処理区間T2)の間を取り出し、信号処理に用いる。次に図8に示されるように、T2秒の区間を取り出した各パルスにハニング窓による処理を行い、パルスの取出しを行う。
【0054】
ハニング窓による処理に続き、フーリエ変換手段32によるフーリエ変換が行われてスペクトルが得られる。このとき、得られるスペクトルについては、例えば、T1=0.5秒、T2=1.0秒の場合(一般的には、T2=mT1(mは1以上の整数))の場合、図9に示されるように、間引きした周波数成分対応の1、3、5、・・・の奇数周波数のスペクトルにはオシレーション波成分が含まれない呼吸信号スペクトルとなっている。また、間引きにより残った周波数成分対応の2、4、6、・・・の偶数周波数のスペクトルにはオシレーション波成分と呼吸信号成分が含まれている。
【0055】
そこで、抽出手段33では、図10に示すように上記偶数周波数のスペクトルから、奇数周波数のスペクトルより推定された雑音成分を減算し、オシレーション波成分を取り出す。
【0056】
上記抽出手段33による処理によって、従来、呼吸信号に含まれていないとされていた3Hz以上の呼吸高周波信号が除去され、高精度な呼吸インピーダンス測定が可能となっている。次に演算手段34は、抽出手段33による抽出結果について周波数毎に式(3)により示した通り、圧力成分を流量成分で除算することにより呼吸インピーダンスを算出する。算出された呼吸インピーダンスの表示信号が作成され、表示部40へ出力され、表示がなされる。
【0057】
このようにして測定され表示された健常者の呼吸インピーダンスを図11に示す。また、図12に呼吸高周波信号の除去を行わない場合の呼吸インピーダンスを示す。これらの図では、横軸は1目盛りが1Hzの周波数軸であり、縦軸がインピーダンスである。斜めの軸が時間軸であり、図の上側に純抵抗分を表示し、図の下側にリアクタンス分を表示している。ここでは0.5秒毎に三角パスル波を与え続けることにより、新たなインピーダンスの表示が次々に現れ更新されることによりインピーダンスの連続測定が行われる。この図11と図12から明らかな通り、本実施例の装置によればノイズが除去され高精度な呼吸インピーダンス測定が可能となっていることが分かる。なお、上記抽出手段33による減算処理から明らかな通り、減算により残る成分は、間引きにより残った周波数成分対応の2、4、6、・・・の偶数周波数の成分であり、間引きした周波数成分対応の1、3、5、・・・の奇数周波数の成分は存在しない。そこで、演算手段34が補間処理を行い、存在しない成分に関しても呼吸インピーダンス表示が可能となっている。
【0058】
本発明の実施例では、演算手段34が表示装置に表示を行うための画像を作成して、表示を行うことにより、呼吸インピーダンス表示方法が実現される。即ち、演算手段34は、自らが前述の通りに算出した呼吸インピーダンスについて、例えば、各周波数を画面の奥側から手前側に値をとるように座標を定め(Y軸)、各周波数毎に抵抗成分Rrsを取り出し、これを表示装置の画面における高さ方向にプロットし(Z軸)、測定時間を画面の右方向として(X軸)、図13に示すような三次元画像を作成して表示装置に表示する。即ち、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に値をとって三次元の表示を行うものである。
【0059】
上記の画像作成に際しては、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを上記三次元に値をとって表示する場合に含めた画像を作成して表示を行う。例えば、奇数の周波数を間引いた場合には、間引いた奇数に隣接する偶数の周波数に対応する2つの呼吸インピーダンス値が求まっているから、この2つの呼吸インピーダンス値の平均を求め、これを間引いた周波数対応の呼吸インピーダンス値とする。このようにして、補間処理の結果についても画像化して表示するため、呼吸インピーダンス値の変化がきめ細かく滑らかに表示され、周波数全体について呼吸インピーダンスの把握を適切に行うことが可能となる。
【0060】
信号処理の時間分解能は0.5秒であり、図13〜図16に示すように、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行う。図13〜図16の例では、呼気と吸気との組を六組繰り返す長さとしている。また、この場合において、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行う。更に、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段である流量センサ13や圧力センサ12により得られるフロー波形(呼吸信号波形)BSを上記呼吸インピーダンス値と共に表示する。
【0061】
更に、呼吸インピーダンス値の大小を、色の変化及び(または)濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行う。図13〜図16では、抵抗値Rrsについて、図13〜図16の下側に示すカラースケールCLによる色付けを行い、画像を作成して表示している。
【0062】
以上の各処理により得られる画像を表示するので、被検者は安静呼吸を繰り返しているだけで、自動的に図13〜図16に示されるような画像が時系列に作成されて表示され、しかも呼吸インピーダンスの変化を間引いた周波数対応の部分を含めて、色の変化及び(または)濃淡変化により表現した画像として目視観察することができる。
【0063】
呼吸抵抗は計測される呼吸インピーダンスの実部であり、その虚部はリアクタンスである。本実施例に係る装置ではこの両者を三次元カラー表示し、さらにフロー波形BSと対比して見ることができるようにしている(図13〜図16)。図14は正常者について測定を行った結果を示し、図15はCOPD患者(慢性閉塞性肺疾患)について測定を行った結果を示し、図16は喘息患者について測定を行った結果の表示例を示している。
【0064】
図13は、COPD患者について測定を行った結果の表示例であるが吸気区間における呼吸抵抗が緑色を呈して表示されており、これは正常者と同じ状態の色により表示されている。よって、該患者は吸気期間において呼吸困難を感じないと思料される。これによりCOPDのstage1 の患者と判断できる。図15もCOPD患者について測定を行った結果の表示例であるが、吸気期間において赤色に近い色によって抵抗が高いことが表示されている。よって、重症でありCOPDにおけるstage2の患者であると判断できる。このように本表示法(3Dカラーグラフィック表示)により呼吸インピーダンスの周波数依存性と呼吸周期依存性が同時に表現され、呼吸系に関する正常、異常の判定はもとより、異常の程度の判定も容易に行い得ることが理解できる。
【0065】
本実施例により表示がなされた画面を示す図13は、前述の通りCOPD患者の呼吸インピーダンスを三次元表示した例である。図13の表示例では、吸気の呼吸抵抗は緑色であり健常者と同一色で表示されているのであるが、呼気の部分においては赤色となって表示されており呼吸抵抗が非常に高い値となっていることが分る。よって、該図13により表示された呼吸インピーダンスを呈する患者は、呼気の場合に困難を伴うことがこの実測データ(表示)から確認することができる。一方、斯様な呼気の場合に困難を伴う患者について気管支のCTスキャンを撮り、気管支の径を調べて見ると吸気時において気管支が拡張し、呼気時においては狭窄していることが確認されるという知見が、例えば、文献(Kurosawa, et al. N Engl J Med.350:1036, 2004)などに紹介されている。よって、この呼吸抵抗の呼吸周期依存性は気管支の径の変化や狭窄などをかなり反映していると解釈でき、これが本実施例の装置により確認できるようになり、臨床上非常に有益である。
【0066】
ところで、臨床ではこれらの変化をできる限り少数のパラメータで表現し数値化することの要求がなされている。そこで、本実施例の装置においては、演算手段34が複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示装置に表示を行う。即ち、呼吸インピーダンスは1呼吸毎に多少変化するため、呼吸毎の加算平均を行って三次元画像化して表示装置に図17に示すように表示を行う。これにより、一呼吸に対する平均的な呼吸インピーダンスを視覚的に把握することができ、比較検討などの場合に好適である。
【0067】
更に、演算手段34は、所定数の周波数における上記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、上記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示装置に表示する。この表示例を図18、図19に示す。具体的には、上記において得られた加算平均パターンを用いて、その代表値として5[Hz]、20[Hz]、共振周波数(resと表現)の抵抗値の時間変化を算出したものである。なお、ここで共振周波数とはリアクタンスが零(式(2)でX(ω)=0)となる周波数の値である。
【0068】
実際の表示にあっては、緑色のR5が5[Hz]を示し、赤色のR20が20[Hz]を示し、青色のRresが共振周波数における抵抗値を示している。図19のテーブルはそれらの抵抗値の呼吸周期における最小値(min)、最大値(max)、さらに両者の差(sub)を現すものである。これらの数値は生体の生理学的意味合いを表現しており、臨床上極めて有益である。図19のテーブルにおいて、Fresは共振周波数を表すものである。
【0069】
演算手段34は、例えば、図17に示される一呼吸に対する平均的な呼吸インピーダンスを一画面の左半分側に表示し、図18のグラフを一画面の右半分側上部に表示し、図19のテーブルを一画面の右半分側下部に表示するように機能する。このような表示により、呼吸インピーダンスの変動傾向を平均表示やグラフより把握し、実際の数値についてはテーブルを参照して確認できるので、臨床の場などにおいて有効に利用され得るものである。
【符号の説明】
【0070】
11 チューブ
12 圧力センサ
13 流量センサ
21 ラウドスピーカ
30 コンピュータ
31 制御手段
32 フーリエ変換手段
33 抽出手段
34 演算手段
35 信号入力手段
36 CICフィルタ
40 表示部
【技術分野】
【0001】
この発明は、人などの呼吸インピーダンスを連続測定することが可能な呼吸インピーダンス測定装置及び呼吸インピーダンス表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置は、呼吸器系に正弦波空気振動圧を負荷するための正弦波加圧装置と、呼吸器系の気流速度を検出するための気流速度検出器と、呼吸器系の気圧を検出するための気圧検出器と上記気流速度検出器および気圧検出器で検出した気流速度および気圧から呼吸抵抗を算出する抵抗演算部とを有したものが知られている。
【0003】
上記従来の装置は、正弦波加圧装置が負荷する正弦波空気振動圧の信号を基準信号に変換するための基準信号変換器と、この基準信号変換器からの正弦波空気振動圧の基準信号により気流速度の信号を処理して上記基準信号と同じ周波数の成分のみを取り出すベクトル演算器とが設けられ、このベクトル演算器で得られた気流速度の信号と上記気圧検出器で検出した気圧の信号とから抵抗演算部で呼吸抵抗を算出するように構成したものである。
【0004】
この装置は上記の通り、ベクトル演算器で得られた気流速度の信号と上記気圧検出器で検出した気圧の信号とから抵抗演算部で呼吸抵抗を測定するようにしているので、換気量が少なくまた換気数が多い呼吸であってもノイズを除去することができ、精度の高い呼吸抵抗の測定を行うことができる利点を有するものである(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記従来の装置によってもノイズ除去は十分とは言えず、更に高性能な呼吸インピーダンス測定装置の実現が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−39140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような呼吸インピーダンス測定における現状に鑑みてなされたもので、その目的は、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能であり、呼吸系の疾患の判定に広く応用可能な呼吸インピーダンス測定装置及び呼吸インピーダンス表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置は、口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段と、口腔内の圧力を検出する圧力検出手段と、呼吸による流量を検出する流量検出手段と、前記加圧手段を呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号であって、複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたパルス信号であるオシレーション波による空気振動圧を生じさせる制御手段と、前記加圧手段による加圧状態下において前記圧力検出手段と前記流量検出手段により得られる信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出す抽出手段と、この抽出手段による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、制御手段は周波数間引きとして、周期T1のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、制御手段は、加圧手段の入力信号と出力信号及び前記加圧手段の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望の圧波形のオシレーション波が出力信号となるように前記加圧手段へ入力信号を与える信号入力手段を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、信号入力手段は、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を前記加圧手段へ入力信号を与えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置では、信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に呼吸インピーダンスの値をとって三次元の表示を行い、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元の表示に含めた画像を作成して表示を行い、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、インピーダンス値の大小を、色の変化及び/または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、口腔内に周波数間引きされたオシレーション波による空気振動圧を加え、口腔内の圧力を検出し、呼吸の流量を検出し、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得て、このフーリエ変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより雑音として寄与する呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算してオシレーション波成分を抽出し、この抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算を行って呼吸インピーダンスを得るので、呼吸高周波成分を確実に除去したオシレーション波成分を用いて呼吸インピーダンスを得ることができる上に、オシレーション波による空気振動圧にパルス信号を採用し、該パルスの正負を呼気時と吸気時に応じて異ならせて駆動するので、吸気と呼気で生理学的に同一条件において呼吸抵抗を測定することができ、適切な測定により極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0019】
本発明によれば、周期T1のパルスを与えることにより、n/T1(n:整数T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるので、間引いた周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応(n/T1周波数以外)のスペクトルからこの呼吸高周波成分を減算して呼吸高周波成分を確実に除去し、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0020】
本発明によれば、異なる複数周波数の正弦波を複数合成することにより、周波数成分間引きされたオシレーション波による空気振動圧を生じさせるので、間引きした周波数成分対応のスペクトルは呼吸高周波成分のみが含まれる。従って、オシレーション信号に含まれる呼吸高周波成分を、この呼吸高周波成分信号から推定できる。この推定した信号を用いて呼吸高周波成分を確実に除去し、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0021】
本発明によれば、加圧の入力信号と出力信号及び加圧実行部分の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望波形のオシレーション波が出力信号となるように加圧実行部分へ入力信号を与えるので、所望の圧波形のオシレーション波を用いて測定を行うことが可能となり、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0022】
本発明によれば、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を入力信号とするので、逆演算の結果の信号波形を安定させ、これによって所望波形のオシレーション波を用いて測定を行うことが可能となり、極めて高精度で呼吸インピーダンス測定が可能となる。
【0023】
本発明によれば、信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うので、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルと、間引きされた周波数成分対応のスペクトルとを適切に得て所要の処理を行うことができる。
【0024】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法によれば、呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に値をとって三次元の表示を行い、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元に値をとって表示する場合に含めた画像を作成して表示を行い、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示するので、補間処理の結果についても画像化して表示するため、インピーダンス値の変化がきめ細かく滑らかに表示され、周波数全体についてインピーダンスの把握を適切に行うことが可能となり、呼気フローと吸気フローによるフロー波形が共に表示されており、呼吸系の疾患の判定に広く応用可能である。
【0025】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うので、呼吸インピーダンスの表示において呼気の期間と吸気の期間が一目瞭然となり、呼吸系の疾患の判定などに便利である。
【0026】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法では、複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示するので、各呼吸毎に異なる呼吸インピーダンスを平均化して文字により取得でき、比較などに便利である。
【0027】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うので、突発的な変化ではなくある程度のスパンをもった観測が可能となり、適切な観測が確保される。
【0028】
本発明に係る呼吸インピーダンス表示方法は、インピーダンス値の大小を、色の変化または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うので、インピーダンス値の大小を一目瞭然に識別することが容易に可能となり、呼吸インピーダンスによる各種の研究、検査、更には患者への視角的な説明(アピール)に極めて役立つことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置の構成図。
【図2】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波である三角パルス波の一例を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波であるハニングパルス波の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置において、パルスの正負を呼気時と吸気時に応じて異ならせて駆動する例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に用いるオシレーション波を逆演算により生成する過程を説明するための図。
【図6】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置に採用されているフィルタの周波数特性を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置によりオシレーション波である三角パルス波を用いて呼吸インピーダンスを求める過程を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置により得られた呼吸インピーダンスを示す図。
【図12】本発明の手法を用いない呼吸インピーダンス測定装置により得られた呼吸インピーダンスを示す図。
【図13】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いてCOPD患者(stage1)について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図14】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて正常者について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図15】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いてCOPD患者(stage2)について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図16】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて喘息患者について呼吸インピーダンスを表示した一例を示す図。
【図17】本発明の実施例に係る呼吸インピーダンス測定装置を用いて呼吸同期毎に加算平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示した一例を示す図。
【図18】図17の三次元画像の表示について、所定数の周波数における平均値を、それぞれ線分として表示した一例を示す図。
【図19】図18の表示について、所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示した一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置及びその測定方法の実施例を説明する。図1に、本発明に係る呼吸インピーダンス測定装置の実施例構成図を示す。この呼吸インピーダンス測定装置は、人の口腔に先端が取り付けられ、呼吸流が流れるチューブ11と、チューブ11に取り付けられ口腔内の圧力を検出する圧力検出手段を構成する圧力センサ12と、圧力センサ12と同位置において呼吸による流量を検出する流量検出手段を構成する流量センサ13と、口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段を構成するラウドスピーカ21と、コンピュータ30とを主な構成要素とする。
【0031】
圧力センサ12の出力信号はアンプ14により増幅され、A/D変換器15によりディジタル化されてコンピュータ30に取り込まれる。また、流量センサ13の出力信号はアンプ16により増幅され、A/D変換器17によりディジタル化されてコンピュータ30に取り込まれる。
【0032】
コンピュータ30には、制御手段31、フーリエ変換手段32、抽出手段33、演算手段34が備えられている。また、制御手段31は、信号入力手段35を備えている。制御手段31は、加圧手段であるラウドスピーカ21を駆動する信号を出力し、奇数周波数成分または偶数周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるものである。制御手段31の出力はD/A変換器22によりディジタル化されてドライバ23へ送られ、ドライバ23がラウドスピーカ21を駆動して、口腔内に空気振動圧が加えられる。
【0033】
上記において、制御手段31は、T1秒周期のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分を有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせるものである(周波数間引き)。パルス波としては様々な波形を用いることができる。例えば三角パルスは、図2(a)に示すようにベースレベルの時間幅が25ms程度のものである。この三角パルスを例えばT1=0.5 秒周期で出力すると2,4,6,8Hz,・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる(図2(b))。また、上記の三角パルスを例えばT1=0.333 秒周期で出力すると3,6,9,12Hz, ・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる。勿論、T1=0.25秒周期で出力するようにしても良く、この場合には4,8,12,16Hz, ・・・のスペクトルを有する三角パルス波を与えることができる。
【0034】
また、他のパルス波の例としてのハニングパルスは、図3に示すようにベースレベルの時間幅が25ms程度のものである。三角パルス波の場合と同様にして作成され、出力される。
【0035】
制御手段31に備えられている信号入力手段は、ラウドスピーカ21の入力信号と出力信号及びラウドスピーカ21の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望波形のオシレーション波が出力信号となるようにラウドスピーカ21へ入力信号を与えるものである。
【0036】
上記において、パルス波の正負とフロー(呼吸流)の方向との関係は生理学的に重要である。今、フロー曲線において負の領域にある呼気フローの方向(下に凸)とパルス波が同一方向で負のパルス(下に凸)とする。この場合、フローは加速され、その速度は大きくなる。このため、気管支内圧がパルス波によるオシレーション波の影響で減衰し、気管支の径は短縮する。結果として得られる呼吸抵抗は増大する。一方、この負のパルスを吸気においても使用した場合、吸気フローはフロー曲線の正の領域にあり、方向は上に凸であり、呼気と逆向きであるから上記負のパルス波はフローを減速する方向に働き、気管支内圧は高くなり気管支径は拡張する。結果として得られる呼吸抵抗は小さくなる。
【0037】
斯して、呼気と吸気に拘りなく同一方向に凸のパルスを用いた場合には、測定される呼吸抵抗はオシレーション波として加えられるパルスの呼吸フローに対する方向性に依存してしまい、吸気と呼気で生理学的に異なる条件において呼吸抵抗の測定をしたことになり、正しい測定とならない。これを避けるために、制御手段31は、呼気と吸気とに応じてパルスの正負を異ならせてパルスを出力する。
【0038】
その第1の手法は、パルス波の方向(上に凸または下に凸)を吸気、呼気のいずれにおいてもフローと同一方向とする。即ち、フロー曲線(図4(c))が負の領域となる呼気の場合には、負のパルス波を用い、フロー曲線が正の領域となる吸気の場合には、正のパルス波を用いるようにする。図4(a)に、このようにしてパルス波の正負を切り換えた場合を示す。
【0039】
その第2の手法は、パルス波の方向(上に凸または下に凸)を吸気、呼気のいずれにおいてもフローと逆方向とする。即ち、フロー曲線(図4(c))が負の領域となる呼気の場合には、正のパルス波を用い、フロー曲線が正の領域となる吸気の場合には、負のパルス波を用いるようにする。図4(b)に、このようにしてパルス波の正負を切り換えた場合を示す。
【0040】
制御手段31は、流量センサ13の出力に基づき、呼気と吸気についてその切り替わり時点を検出する。すなわち、流量センサ13の出力は、呼吸に対応して基本的に図4(c)に示されるように変化するものであるから、上記流量センサ13の出力信号のゼロクロス点を境にしてパルス波の正負を切り換える。
【0041】
具体的に、例えば三角パルスを用いて測定を行う動作について詳細に説明する。以下では、正のパルス波についての説明であるが、負のパルス波についても正のパルス波と同様の処理が行われる。図5(a)に示されるような三角パルスを入力してラウドスピーカ21を駆動した場合には、ラウドスピーカ21の出力信号は、図5(b)に示されるようなゼロレベルの上下に極大点を有する信号となる。そこで、図5(c)に示されるようなモデルを考える。ラウドスピーカ21の伝達関数をH(ω)、入力信号をX(ω)、出力信号をY(ω)とすると、以下のようになるので、逆変換によりx’(t)を求めて駆動信号とする。
【0042】
【数1】
【0043】
求めたY(ω)は、高い周波数までの成分を持たないので、(式1)から得られるx’(t)は不安定となる。このため(式2)のように分母に定数A0 を加えたものをフーリエ逆変換してx’(t)を求めて駆動信号とする。これはまた、図5(b)に示されるようなラウドスピーカ21の出力信号に対し、図5(d)に示されるようにオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して図5(e)に示される信号x’(t)を得ることも出来る。
【0044】
以上の説明では、三角パルスの場合を説明したが、ハニングパルスについても同様にして逆演算により信号を得て、この信号によりラウドスピーカ21を駆動することができる。
【0045】
パルス波のいずれを用いるかに関しては、図示しないキーボードなどによりコンピュータ30へ指示を与えることができ、これに応じて制御手段31が選択した信号波形を出力する。
【0046】
コンピュータ30に備えられているフーリエ変換手段32、抽出手段33、演算手段34について説明する。フーリエ変換手段32は、ラウドスピーカ21が上記のようにして駆動されることによって生じる口腔内の加圧状態下において、圧力センサ12と流量センサ13により信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るものである。フーリエ変換手段32の前段には、CICフィルタ36が設けられ、圧力センサ12と流量センサ13により得られる呼吸信号とオシレーション成分との分離が行われる。また、フーリエ変換手段32は処理の前に必要であれば、ハニング窓により信号の取り出しを行う。
【0047】
抽出手段33は、フーリエ変換手段32による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出すものである。周波数間引きに対応して、フーリエ変換手段32により得られたスペクトルについてn/T1(n:整数)の周波数成分を除く他の周波数対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分(n/T1の周波数成分)対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出すものである。
【0048】
演算手段34は、抽出手段33による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算することにより呼吸インピーダンスを算出するものである。即ち、呼吸インピーダンスをZ(ω)、口腔内圧力のオシレーション波成分をP(ω)、流量のオシレーション波成分をF(ω)とし、呼吸インピーダンスZ(ω)が抵抗成分R(ω)とリアクタンス成分X(ω)からなるものとすると、次の式により呼吸インピーダンスをZ(ω)が求められる。
【0049】
【数2】
【0050】
演算手段34により求められた呼吸インピーダンスZ(ω)は、コンピュータ30に接続されたLCDなどの表示部40用の表示信号とされて表示部40へ出力され、表示がなされる。
【0051】
以上の通りに構成された呼吸インピーダンス測定装置による動作を説明する。この例では、三角パルス波が選択されて測定動作が開始される。制御手段31及び信号入力手段35により、逆演算された波形によりスピーカ21がT1秒周期で(例えば0.5秒間隔で)駆動される。
【0052】
このとき、圧力センサ12と流量センサ13により得られる信号の波形は、いずれも図6(a)または図6(b)に示されるように、呼吸信号に三角パルス波が重畳した波形となっており、これがCICフィルタ36を通過させられて呼吸波とオシレーション波(三角パルス波)の分離が行われる。図7にCICフィルタ36の周波数特性を示す。CICフィルタ36により位相の変化なく、分離を行うことができる。但し、呼吸信号には高周波成分(オシレーション信号と同一の周波数帯)が含まれるために完全には分離できない。
【0053】
CICフィルタ36による分離の後には図6(c)に示されるように、負のパルスが反転されてすべて正のパルスとされたオシレーション波について、二つの三角パルスの中間点から1秒間(信号処理区間T2)の間を取り出し、信号処理に用いる。次に図8に示されるように、T2秒の区間を取り出した各パルスにハニング窓による処理を行い、パルスの取出しを行う。
【0054】
ハニング窓による処理に続き、フーリエ変換手段32によるフーリエ変換が行われてスペクトルが得られる。このとき、得られるスペクトルについては、例えば、T1=0.5秒、T2=1.0秒の場合(一般的には、T2=mT1(mは1以上の整数))の場合、図9に示されるように、間引きした周波数成分対応の1、3、5、・・・の奇数周波数のスペクトルにはオシレーション波成分が含まれない呼吸信号スペクトルとなっている。また、間引きにより残った周波数成分対応の2、4、6、・・・の偶数周波数のスペクトルにはオシレーション波成分と呼吸信号成分が含まれている。
【0055】
そこで、抽出手段33では、図10に示すように上記偶数周波数のスペクトルから、奇数周波数のスペクトルより推定された雑音成分を減算し、オシレーション波成分を取り出す。
【0056】
上記抽出手段33による処理によって、従来、呼吸信号に含まれていないとされていた3Hz以上の呼吸高周波信号が除去され、高精度な呼吸インピーダンス測定が可能となっている。次に演算手段34は、抽出手段33による抽出結果について周波数毎に式(3)により示した通り、圧力成分を流量成分で除算することにより呼吸インピーダンスを算出する。算出された呼吸インピーダンスの表示信号が作成され、表示部40へ出力され、表示がなされる。
【0057】
このようにして測定され表示された健常者の呼吸インピーダンスを図11に示す。また、図12に呼吸高周波信号の除去を行わない場合の呼吸インピーダンスを示す。これらの図では、横軸は1目盛りが1Hzの周波数軸であり、縦軸がインピーダンスである。斜めの軸が時間軸であり、図の上側に純抵抗分を表示し、図の下側にリアクタンス分を表示している。ここでは0.5秒毎に三角パスル波を与え続けることにより、新たなインピーダンスの表示が次々に現れ更新されることによりインピーダンスの連続測定が行われる。この図11と図12から明らかな通り、本実施例の装置によればノイズが除去され高精度な呼吸インピーダンス測定が可能となっていることが分かる。なお、上記抽出手段33による減算処理から明らかな通り、減算により残る成分は、間引きにより残った周波数成分対応の2、4、6、・・・の偶数周波数の成分であり、間引きした周波数成分対応の1、3、5、・・・の奇数周波数の成分は存在しない。そこで、演算手段34が補間処理を行い、存在しない成分に関しても呼吸インピーダンス表示が可能となっている。
【0058】
本発明の実施例では、演算手段34が表示装置に表示を行うための画像を作成して、表示を行うことにより、呼吸インピーダンス表示方法が実現される。即ち、演算手段34は、自らが前述の通りに算出した呼吸インピーダンスについて、例えば、各周波数を画面の奥側から手前側に値をとるように座標を定め(Y軸)、各周波数毎に抵抗成分Rrsを取り出し、これを表示装置の画面における高さ方向にプロットし(Z軸)、測定時間を画面の右方向として(X軸)、図13に示すような三次元画像を作成して表示装置に表示する。即ち、インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に値をとって三次元の表示を行うものである。
【0059】
上記の画像作成に際しては、間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを上記三次元に値をとって表示する場合に含めた画像を作成して表示を行う。例えば、奇数の周波数を間引いた場合には、間引いた奇数に隣接する偶数の周波数に対応する2つの呼吸インピーダンス値が求まっているから、この2つの呼吸インピーダンス値の平均を求め、これを間引いた周波数対応の呼吸インピーダンス値とする。このようにして、補間処理の結果についても画像化して表示するため、呼吸インピーダンス値の変化がきめ細かく滑らかに表示され、周波数全体について呼吸インピーダンスの把握を適切に行うことが可能となる。
【0060】
信号処理の時間分解能は0.5秒であり、図13〜図16に示すように、時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行う。図13〜図16の例では、呼気と吸気との組を六組繰り返す長さとしている。また、この場合において、呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行う。更に、呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段である流量センサ13や圧力センサ12により得られるフロー波形(呼吸信号波形)BSを上記呼吸インピーダンス値と共に表示する。
【0061】
更に、呼吸インピーダンス値の大小を、色の変化及び(または)濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行う。図13〜図16では、抵抗値Rrsについて、図13〜図16の下側に示すカラースケールCLによる色付けを行い、画像を作成して表示している。
【0062】
以上の各処理により得られる画像を表示するので、被検者は安静呼吸を繰り返しているだけで、自動的に図13〜図16に示されるような画像が時系列に作成されて表示され、しかも呼吸インピーダンスの変化を間引いた周波数対応の部分を含めて、色の変化及び(または)濃淡変化により表現した画像として目視観察することができる。
【0063】
呼吸抵抗は計測される呼吸インピーダンスの実部であり、その虚部はリアクタンスである。本実施例に係る装置ではこの両者を三次元カラー表示し、さらにフロー波形BSと対比して見ることができるようにしている(図13〜図16)。図14は正常者について測定を行った結果を示し、図15はCOPD患者(慢性閉塞性肺疾患)について測定を行った結果を示し、図16は喘息患者について測定を行った結果の表示例を示している。
【0064】
図13は、COPD患者について測定を行った結果の表示例であるが吸気区間における呼吸抵抗が緑色を呈して表示されており、これは正常者と同じ状態の色により表示されている。よって、該患者は吸気期間において呼吸困難を感じないと思料される。これによりCOPDのstage1 の患者と判断できる。図15もCOPD患者について測定を行った結果の表示例であるが、吸気期間において赤色に近い色によって抵抗が高いことが表示されている。よって、重症でありCOPDにおけるstage2の患者であると判断できる。このように本表示法(3Dカラーグラフィック表示)により呼吸インピーダンスの周波数依存性と呼吸周期依存性が同時に表現され、呼吸系に関する正常、異常の判定はもとより、異常の程度の判定も容易に行い得ることが理解できる。
【0065】
本実施例により表示がなされた画面を示す図13は、前述の通りCOPD患者の呼吸インピーダンスを三次元表示した例である。図13の表示例では、吸気の呼吸抵抗は緑色であり健常者と同一色で表示されているのであるが、呼気の部分においては赤色となって表示されており呼吸抵抗が非常に高い値となっていることが分る。よって、該図13により表示された呼吸インピーダンスを呈する患者は、呼気の場合に困難を伴うことがこの実測データ(表示)から確認することができる。一方、斯様な呼気の場合に困難を伴う患者について気管支のCTスキャンを撮り、気管支の径を調べて見ると吸気時において気管支が拡張し、呼気時においては狭窄していることが確認されるという知見が、例えば、文献(Kurosawa, et al. N Engl J Med.350:1036, 2004)などに紹介されている。よって、この呼吸抵抗の呼吸周期依存性は気管支の径の変化や狭窄などをかなり反映していると解釈でき、これが本実施例の装置により確認できるようになり、臨床上非常に有益である。
【0066】
ところで、臨床ではこれらの変化をできる限り少数のパラメータで表現し数値化することの要求がなされている。そこで、本実施例の装置においては、演算手段34が複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示装置に表示を行う。即ち、呼吸インピーダンスは1呼吸毎に多少変化するため、呼吸毎の加算平均を行って三次元画像化して表示装置に図17に示すように表示を行う。これにより、一呼吸に対する平均的な呼吸インピーダンスを視覚的に把握することができ、比較検討などの場合に好適である。
【0067】
更に、演算手段34は、所定数の周波数における上記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、上記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示装置に表示する。この表示例を図18、図19に示す。具体的には、上記において得られた加算平均パターンを用いて、その代表値として5[Hz]、20[Hz]、共振周波数(resと表現)の抵抗値の時間変化を算出したものである。なお、ここで共振周波数とはリアクタンスが零(式(2)でX(ω)=0)となる周波数の値である。
【0068】
実際の表示にあっては、緑色のR5が5[Hz]を示し、赤色のR20が20[Hz]を示し、青色のRresが共振周波数における抵抗値を示している。図19のテーブルはそれらの抵抗値の呼吸周期における最小値(min)、最大値(max)、さらに両者の差(sub)を現すものである。これらの数値は生体の生理学的意味合いを表現しており、臨床上極めて有益である。図19のテーブルにおいて、Fresは共振周波数を表すものである。
【0069】
演算手段34は、例えば、図17に示される一呼吸に対する平均的な呼吸インピーダンスを一画面の左半分側に表示し、図18のグラフを一画面の右半分側上部に表示し、図19のテーブルを一画面の右半分側下部に表示するように機能する。このような表示により、呼吸インピーダンスの変動傾向を平均表示やグラフより把握し、実際の数値についてはテーブルを参照して確認できるので、臨床の場などにおいて有効に利用され得るものである。
【符号の説明】
【0070】
11 チューブ
12 圧力センサ
13 流量センサ
21 ラウドスピーカ
30 コンピュータ
31 制御手段
32 フーリエ変換手段
33 抽出手段
34 演算手段
35 信号入力手段
36 CICフィルタ
40 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段と、
口腔内の圧力を検出する圧力検出手段と、
呼吸による流量を検出する流量検出手段と、
前記加圧手段を呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号であって、複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたパルス信号であるオシレーション波による空気振動圧を生じさせる制御手段と、
前記加圧手段による加圧状態下において前記圧力検出手段と前記流量検出手段により得られる信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るフーリエ変換手段と、
このフーリエ変換手段による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出す抽出手段と、
この抽出手段による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算手段と
を具備することを特徴とする呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項2】
制御手段は周波数間引きとして、周期T1のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項3】
制御手段は、加圧手段の入力信号と出力信号及び前記加圧手段の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望の圧波形のオシレーション波が出力信号となるように前記加圧手段へ入力信号を与える信号入力手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項4】
信号入力手段は、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を前記加圧手段へ入力信号を与えることを特徴とする請求項3に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項5】
信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項6】
呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、
インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に呼吸インピーダンスの値をとって三次元の表示を行い、
間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元の表示に含めた画像を作成して表示を行い、
呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示することを特徴とする呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項7】
呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うことを特徴とする請求項5に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項8】
複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、
所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項9】
時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項10】
インピーダンス値の大小を、色の変化及び/または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項1】
口腔内に空気振動圧を加えるための加圧手段と、
口腔内の圧力を検出する圧力検出手段と、
呼吸による流量を検出する流量検出手段と、
前記加圧手段を呼気時と吸気時に応じてパルスの正負を異ならせて駆動するパルス信号であって、複数の異なる周波数から間引きして残った周波数成分のみを有するように周波数間引きされたパルス信号であるオシレーション波による空気振動圧を生じさせる制御手段と、
前記加圧手段による加圧状態下において前記圧力検出手段と前記流量検出手段により得られる信号を得て、この得られた信号をフーリエ変換してスペクトルを得るフーリエ変換手段と、
このフーリエ変換手段による変換結果について間引きした周波数成分対応のスペクトルにより呼吸高周波成分を求め、間引きにより残った周波数成分対応のスペクトルから減算してオシレーション波成分を取り出す抽出手段と、
この抽出手段による抽出結果について周波数毎に圧力成分を流量成分で除算する演算手段と
を具備することを特徴とする呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項2】
制御手段は周波数間引きとして、周期T1のパルス波を与えることにより、n/T1(n:整数、T1:実数)の周波数成分のみを有するオシレーション波による空気振動圧を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項3】
制御手段は、加圧手段の入力信号と出力信号及び前記加圧手段の伝達関数を用いた逆演算に基づき所望の圧波形のオシレーション波が出力信号となるように前記加圧手段へ入力信号を与える信号入力手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項4】
信号入力手段は、逆演算により得られた信号の各周波数成分に一定の値を加えるか、前記出力信号のオンセット部分にインパルスを加えた信号を逆演算して、得られた信号を前記加圧手段へ入力信号を与えることを特徴とする請求項3に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項5】
信号処理区間T2(T2=mT1(mは1以上の整数))において、信号処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス測定装置。
【請求項6】
呼吸インピーダンス測定装置により測定された呼吸インピーダンスに基づき表示装置に表示を行う呼吸インピーダンス表示方法において、
インピーダンス軸と周波数軸と時間軸とにより三次元に呼吸インピーダンスの値をとって三次元の表示を行い、
間引かれた周波数について補間処理を行って得られる呼吸インピーダンスを前記三次元の表示に含めた画像を作成して表示を行い、
呼気フローと吸気フローを検出するフロー検出手段により得られるフロー波形を前記インピーダンスと共に表示することを特徴とする呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項7】
呼気の期間と吸気の期間を、画面の背景において縦方向に帯状に色分けして表示を行うことを特徴とする請求項5に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項8】
複数回の呼吸における呼吸インピーダンスを経過時間毎に平均して平均値を求め、この平均値を三次元画像化して表示し、
所定数の周波数における前記平均値を、それぞれ線分として表示すると共に、前記所定数の周波数における最大値、最小値、最大最小差を求めて、文字により表示することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項9】
時間軸方向の長さを、呼気と吸気との組を少なくとも二組繰り返す長さとして、画像を作成して表示を行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【請求項10】
インピーダンス値の大小を、色の変化及び/または濃淡変化により表現した画像を作成して表示を行うことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の呼吸インピーダンス表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−264235(P2010−264235A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91789(P2010−91789)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(597129229)チェスト株式会社 (31)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(597129229)チェスト株式会社 (31)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】
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