咬合平面分析器および咬合器並びに咬合平面分析方法
【課題】咬合平面を容易に描くことができ、且つ、咬合平面分析点を容易に定めることができる咬合平面分析器を提供する。
【解決手段】咬合平面分析器5は、下顎模型2の上方に保持される磁性材料からなる分析板7と、分析板7に磁力により吸着可能であり、磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴15が形成された磁石8と、磁性材料からなり、支持穴15の内径より大きな直径を有し、支持穴15に吸着され得る球体部17と、球体部17から延伸する延設部18と、延設部18の先端からさらに延伸して球体部17と同心の円弧を描く球面再現部19とからなるモンソンカーブ付与具9とを含む。
【解決手段】咬合平面分析器5は、下顎模型2の上方に保持される磁性材料からなる分析板7と、分析板7に磁力により吸着可能であり、磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴15が形成された磁石8と、磁性材料からなり、支持穴15の内径より大きな直径を有し、支持穴15に吸着され得る球体部17と、球体部17から延伸する延設部18と、延設部18の先端からさらに延伸して球体部17と同心の円弧を描く球面再現部19とからなるモンソンカーブ付与具9とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定に用いる咬合平面分析器および咬合器並びに咬合平面分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の咬合面が連続して作る咬合平面は、概ね、半径4インチの球面(モンソン球面)を描くことが知られている。
【0003】
咬合平面を分析する咬合平面分析器として、ブロードリック咬合平面分析板が用いられている。ブロードリック咬合平面分析板は、先ず、非特許文献1および2に記載されているように、下顎模型の上部に保持される平面板に、コンパスを用いて、犬歯遠心隅角部と、最後臼歯遠心頬側咬頭頂または咬合器の顆頭球とから4インチの円弧を描記し、その交点を咬合平面分析点(モンソンカーブの中心点)とする。そして、咬合平面分析点から、コンパスを用いて、下顎模型に4インチの円弧を描記し、この円弧を頬側咬頭頂を連ねた咬合平面(咬合彎曲)とする。ブロードリック咬合平面分析板では、咬合平面を描く際に、コンパスの支点がずれないように、慎重に作業する必要がある。
【0004】
また、この咬合平面分析器では、咬合平面上の一点を指し示すことができるだけで、複数の歯が正しい咬合平面上に配置されているか否かを直感的に確認することができない。
【0005】
特許文献1乃至3には、顎模型の上方にロッドを設け、ロッドの上端に3次元的に回動自在にアームの一端を接続し、アームの他端に円弧状の爪を設けたことで、爪の先端で咬合平面を容易に描ける咬合平面分析器が記載されている。これらの咬合平面分析器では、ロッド上端のアームの回動中心が、顎模型の犬歯遠心隅角部と、最後臼歯遠心頬側咬頭頂または咬合器の顆頭球とから4インチに位置するように、顎模型の固定位置や、ロッドの位置を調節する必要があるが、この作業が容易ではないという問題がある。
【特許文献1】特許第3680139号公報
【特許文献2】特開2003−190186号公報
【特許文献3】特開2003−245291号公報
【非特許文献1】今田喬士編「月刊歯科技工別冊 図解咬合の基礎知識」医歯薬出版株式会社、昭和59年6月30日、p118−121
【非特許文献2】藤田勝治編「月刊歯科技工別冊 目で見る咬合の基礎知識」医歯薬出版株式会社、2002年6月25日、p102
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記問題点に鑑みて、本発明は、咬合平面を容易に描くことができ、且つ、咬合平面分析点を容易に定めることができる咬合平面分析器および咬合器並びに咬合平面分析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明による咬合平面分析器は、顎模型の上方に保持される磁性材料からなる分析板と、前記分析板に磁力により吸着可能であり、前記磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴が形成された磁石と、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有し、前記支持穴に吸着され得る球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸し、前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具とを含むものとする。
【0008】
この構成によれば、球体部を分析板に吸着した磁石の支持穴上で摺動回転させることにより、モンソンカーブ付与具の球面再現部を3次元的に揺動させ、咬合平面を描くことができる。また、分析板にコンパスなどで顎模型の2つの基準点からモンソン球面の半径を有する円を描くことで、モンソンカーブ付与具の揺動の中心位置を容易に、モンソン球面の中心である咬合平面分析点に位置決めすることができる。また、球体部を中心に自在に揺動する円弧状の球面再現部により、歯列状態を一度に確認することができる。
【0009】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記分析板は、自身の厚みの中心、その表面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心、および、その裏面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心のいずれかを選択的に前記顎模型の左右中心線の直上に配置できる位置決め手段を備えてもよい。
【0010】
この構成によれば、球体部および磁石の厚みによる咬合平面分析点の微小なずれを補正して、より正確な咬合平面を描くことができる。
【0011】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記延設部は、途中で屈曲していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、上顎模型および上顎模型を支持する構造を迂回して、球面再現部を顎模型上に配置することができ、容易に咬合平面を描くことができる。
【0013】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記磁石は、高摩擦のシートを介して前記分析板に吸着することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、モンソンカーブ付与具を操作する際、磁石が分析板上で位置ずれしない。
【0015】
また、本発明の咬合器は、前記咬合平面分析板を備えるものとする。
【0016】
この構成によれば、咬合平面分析点を容易に定めることができ、咬合平面を描くことが容易である。
【0017】
また、本発明による咬合平面分析方法は、顎模型の上方に磁性材料からなる分析板を保持し、前記分析板に、前記顎模型上の2つの基準点を中心として所定半径の円弧をそれぞれ描記し、表裏に貫通する円形の支持穴が形成された磁石を前記分析板に、前記分析板に描かれた2つの円弧の交点に前記支持穴の中心を合わせて吸着させ、前記支持穴に、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有する球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具の、前記球体部を吸着させ、前記球体部を前記支持穴上で摺動回転させて、前記球面再現部で前記顎模型上に咬合平面を描く方法とする。
【0018】
この方法によれば、モンソンカーブ付与具の揺動の中心となる球体部を磁石で保持するので、咬合平面分析点の位置決めが容易であり、自在に揺動する円弧状の球面再現部により複数の歯の咬合状態を一度に確認できる。
【0019】
また、本発明による咬合平面分析方法において、前記分析板への円弧の描記は、前記分析板の板面に感圧紙を当てて、前記顎模型上の基準点に前記球面再現部を当接させた状態で前記感圧紙上に前記球体部を圧接することで行ってもよい。
【0020】
この方法によれば、コンパスを用いることなく、モンソンカーブ付与具で咬合平面分析点の位置を定めることができる。モンソンカーブ付与具は、円弧状の球面再現部の何処を顎模型の基準位置に当接させてもよいので、作業も容易である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モンソンカーブ付与具の揺動の中心となる球体部を磁石で保持するので、咬合平面分析点の位置決めが容易であり、円弧状の球面再現部により歯列状態を一度に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である咬合器1を示す。咬合器1は、下顎模型2を保持する下弓3と、上顎模型(不図示)を保持できる上弓4と、下顎模型2および上顎模型の咬合平面を確認する咬合平面分析器5とを有する。上弓4は、下弓3に対して揺動して顎関節の動きを再現できるようになっている。
【0023】
図2に示すように、咬合平面分析器5は、上弓4の上に固定される保持部6を備え、上弓4の上に直立して取り付けられた磁性体からなる分析板7と、分析板7に磁力によって吸着する磁石8と、磁石8に吸着されるモンソンカーブ付与具9とを有する。
【0024】
分析板7は、保持部6の後端の嵌合部10が上弓4の後端上部の受け部11に嵌合し、前端の係止部12が、上弓4にねじ13で位置決め固定される。また、分析板7の垂直に保持される有効部分の表裏面には、描記用紙14が貼着される。また、分析板7の有効な板面の前後方向の幅は、モンソンカーブの半径と同じ4インチに形成されている。
【0025】
磁石8は、中央を貫通する例えば内径4mmの円形の支持穴15が形成された円板型をしている。磁石8は、その磁力によって、描記用紙14の上から、さらに、シリコンシート16を介して分析板7に吸着することができる。このシリコンシート16は、摩擦係数が高いので、磁石8が分析板上で滑りにくくする。また、シリコンシート16は、描記用紙14が透けて見える透明性を有する。
【0026】
モンソンカーブ付与具9は、図3に示すように、磁性体からなり、磁石8に吸着され得る球形の球体部17と、球体部17から直線的に延伸して、途中で屈曲した延設部18と、延設部18の先端から球体部17と同心の円弧を描いて延伸する球面再現部19とからなっている。
【0027】
球体部17は、支持穴15の内径(4mm)より大きな例えば10mmの直径を有し、磁石8に吸着されたときに支持穴15の口部の全周に亘って当接して、姿勢が安定する。球体部17の径が支持穴15に比して大きすぎると、球体部17に回転力が加わったときに、球体部17が支持穴15から転がりでてしまう。逆に、球体部17が支持穴15に比して小さいと、磁石8の磁束を十分に捕捉することができず、吸着力が小さくなって脱落しやすくなる。
【0028】
また、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19は、延設部18の延伸する平面に対して、球体部17の中心と延設部18の先端とを結ぶ直線Aを軸に75°傾斜した平面内を延伸するように形成されている(図3参照)。
【0029】
続いて、咬合器1における咬合平面分析器5の使用方法を説明する。先ず、図4に示すように、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂にコンパス20の針を当接させ、コンパス20と揺動させることで、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂を中心として、描記用紙14に半径4インチの円弧を描く。このとき、コンパス20で分析板7を幅方向に広げることで、コンパス20の幅をモンソンカーブの半径である4インチに調整できるようになっている。
【0030】
続いて、図5に示すように、下顎模型2の犬歯遠心隅角部にコンパス20の針を当接させ、犬歯遠心隅角部を中心として、描記用紙14に半径4インチの円弧を描く。こうして描いた2本の円弧の交点は、下顎模型2の咬合平面の中心である咬合平面分析点を示す。
【0031】
このように、互いに交差する2本の円弧を描いたなら、図6に示すように、支持穴15を覗きながら、支持穴15の中心に描記用紙14に描いた2本の円弧の交点が位置するように、シリコンシート16を介して磁石8を分析板7に吸着させる。
【0032】
そして、図7に示すように、磁石8の支持穴15に、モンソンカーブ付与具9の球体部17を吸着させる。延設部18は屈曲しているので、咬合器1の上弓4(および上顎模型)を迂回して、球面再現部19を下弓の上の下顎模型2上に配置することを可能にしている。
【0033】
モンソンカーブ付与具9の延設部18または球面再現部19に力を加えると、球体部17は、磁石8の磁力によって吸着されたまま、中心位置を保持しながら支持穴15上で摺動回転し、延設部18および球面再現部19を3次元的に揺動および軸回転させる。このため、咬合平面分析器5は、下顎模型2上に咬合平面分析点を中心とした半径4インチの球面である咬合平面を、球面再現部19の先端に限らず、どの部分ででも示すことができる。
【0034】
また、モンソンカーブ付与具9は、図7に示すように、球面再現部19を歯列の一部に沿って配置したり、図8に示すように、球面再現部19を歯列の左右に横断するように配置するなど、自由に揺動回転することができる。つまり、咬合平面分析器5を使用すれば、複数の歯が咬合平面上に配列されているか否かを同時に確認することもできる。
【0035】
このように、本発明に係る咬合器1を使用すれば、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定を、容易且つ正確に行うことができる。
【0036】
また、図9に示すように、咬合器1では、モンソンカーブ付与具9の球体部17に磁石8を吸着させ、球面再現部19を犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とに当接させた状態で、犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とを中心にモンソンカーブ付与具9を揺動させることで、図10に示すように、球体部17に吸着した磁石8を分析板7に当接させ、磁石8を分析板7に吸着させることができる。
【0037】
このように、咬合器1では、コンパス20を用いて描記用紙14に円弧を描くことなく、より簡単に咬合平面分析点を定め、磁石8によってモンソンカーブ付与具9の球体部17を分析板7に保持させることもできる。この方法によれば描画用紙14も不要となるが、モンソンカーブ付与具9の操作中に磁石8の位置がずれないように注意を払う必要がある。
【0038】
また、図11に示すように、下顎模型2の最後臼歯が欠損している場合、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19を犬歯遠心隅角部に当接させるとともに、先端を咬合器1の顆頭球(下弓3と上弓4との揺動中心となる球体)に当接させて、球体部17を分析板7に位置決めして磁石8により保持させてもよい。
【0039】
さらに、図12および図13に、本発明の第2実施形態の咬合器1を示す。以下の説明において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態の咬合器1の咬合平面分析器5は、上弓4の上に固定される保持板21を備え、保持板21の上に分析板7を取り付けるようになっている。保持板21は、上方に突出する位置決めピン22とねじ穴23とが設けられている。
【0041】
分析板7は、位置決めピン22に係合可能な3つの前部スリット24と、ねじ穴23に螺合するねじ25に係合可能な、互いに接続された3つの後部スリット26を有し、保持板21上の左右方向の3つの異なる位置に固定できるようになっている。
【0042】
分析板7の前部スリット16および後部スリット18による保持板21に対する3つの固定位置は、分析板7の板圧の中心を咬合器1、つまり、下弓3に保持する下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置と、保持部7の表面に磁石8によりモンソンカーブ付与具9を保持したときの球体部17の中心を下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置と、保持部7の裏面に磁石8によりモンソンカーブ付与具9を保持したときの球体部17の中心を下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置とである。
【0043】
本実施形態では、先ず、図14に示すように、分析板7の板圧の中心が咬合器1の中心線上に位置するように、分析版7を保持板21上に取り付ける。分析板7の描記用紙14の上にさらにカーボン紙(感圧紙)27を当てて保持する。そして、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂にモンソンカーブ付与具9の球面再現部19を当接させ、球体部17を分析板7に押し当ててカーボン紙25を挟み込む。さらに、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂を支点として、モンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17で円弧を描くようにカーボン紙27を分析板7に押圧する。
【0044】
続いて、図15に示すように、下顎模型2の犬歯遠心隅角部にモンソンカーブ付与具9の球面再現部19を当接させて、モンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17で円弧を描くようにカーボン紙27を分析板7に押圧する。
【0045】
カーボン紙25を取り除くと、図16に示すように、描記用紙14上に、2本の円弧が描かれている。この2本の円弧は、下顎模型2の咬合平面の中心である咬合平面分析点を示す。
【0046】
このように、互いに交差する2本の円弧を描いたなら、図17に示すように、分析板7の円弧を描いた面の反対側にずらすように、分析板7の保持位置を変更する。そして、支持穴15を覗きながら、支持穴15の中心に描記用紙14に描いた2本の円弧の交点が位置するように、シリコンシート16を介して磁石8を分析板7に吸着させる。
【0047】
そして、図18に示すように、磁石8の支持穴15に、モンソンカーブ付与具9の球体部17を吸着させれば、延設部18および球面再現部19を3次元的に揺動させて、球面再現部19により下顎模型2上に咬合平面を示すことができるため、球体部および磁石の厚みによる咬合平面分析点の微小なずれを補正して、より正確な咬合平面を描くことができる。
【0048】
また、本実施形態の咬合器1では、図19に示すように、分析板7に貼着した描記用紙14の上にカーボン紙27を当てて保持し、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19を犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂(または咬合器1の顆頭球に)とに当接させた状態で、犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とを中心にモンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17を分析板7に押圧することで、図20に示すように、分析板7上に咬合平面分析点を示す点を描記することもできる。
【0049】
このように、本発明に係る咬合器1を使用すれば、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定を、容易且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態の咬合平面分析器を備える咬合器の斜視図。
【図2】図1の咬合器の分解斜視図。
【図3】図1の咬合平面分析器のモンソンカーブ付与具の展開図。
【図4】図1の咬合平面分析器の使用の第1のステップを示す斜視図。
【図5】図1の咬合平面分析器の使用の第2のステップを示す斜視図。
【図6】図1の咬合平面分析器の使用の第3のステップを示す斜視図。
【図7】図1の咬合平面分析器の使用の第4のステップを示す斜視図。
【図8】図1の咬合平面分析器のモンソンカーブ付与具の可能な配置を示す斜視図。
【図9】図1の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップを示す斜視図。
【図10】図1の咬合平面分析器の簡易な使用の第2のステップを示す斜視図。
【図11】図9の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップの代案を示す斜視図。
【図12】本発明の第2実施形態の咬合器の斜視図。
【図13】図9の咬合器の分解斜視図。
【図14】図9の咬合平面分析器の使用の第1のステップを示す斜視図。
【図15】図9の咬合平面分析器の使用の第2のステップを示す斜視図。
【図16】図9の咬合平面分析器の使用の第3のステップを示す斜視図。
【図17】図9の咬合平面分析器の使用の第4のステップを示す斜視図。
【図18】図9の咬合平面分析器の使用の第5のステップを示す斜視図。
【図19】図12の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップを示す斜視図。
【図20】図12の咬合平面分析器の簡易な使用の第2のステップを示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
1 咬合器
2 下顎模型
3 上弓
4 下弓
5 咬合平面分析器
6 保持部
7 分析板
8 磁石
9 モンソンカーブ付与具
14 描記用紙
15 支持穴
16 シリコンシート
17 球体部
18 延設部
19 球面再現部
20 コンパス
24 前部スリット
26 後部スリット
27 カーボン紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定に用いる咬合平面分析器および咬合器並びに咬合平面分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の咬合面が連続して作る咬合平面は、概ね、半径4インチの球面(モンソン球面)を描くことが知られている。
【0003】
咬合平面を分析する咬合平面分析器として、ブロードリック咬合平面分析板が用いられている。ブロードリック咬合平面分析板は、先ず、非特許文献1および2に記載されているように、下顎模型の上部に保持される平面板に、コンパスを用いて、犬歯遠心隅角部と、最後臼歯遠心頬側咬頭頂または咬合器の顆頭球とから4インチの円弧を描記し、その交点を咬合平面分析点(モンソンカーブの中心点)とする。そして、咬合平面分析点から、コンパスを用いて、下顎模型に4インチの円弧を描記し、この円弧を頬側咬頭頂を連ねた咬合平面(咬合彎曲)とする。ブロードリック咬合平面分析板では、咬合平面を描く際に、コンパスの支点がずれないように、慎重に作業する必要がある。
【0004】
また、この咬合平面分析器では、咬合平面上の一点を指し示すことができるだけで、複数の歯が正しい咬合平面上に配置されているか否かを直感的に確認することができない。
【0005】
特許文献1乃至3には、顎模型の上方にロッドを設け、ロッドの上端に3次元的に回動自在にアームの一端を接続し、アームの他端に円弧状の爪を設けたことで、爪の先端で咬合平面を容易に描ける咬合平面分析器が記載されている。これらの咬合平面分析器では、ロッド上端のアームの回動中心が、顎模型の犬歯遠心隅角部と、最後臼歯遠心頬側咬頭頂または咬合器の顆頭球とから4インチに位置するように、顎模型の固定位置や、ロッドの位置を調節する必要があるが、この作業が容易ではないという問題がある。
【特許文献1】特許第3680139号公報
【特許文献2】特開2003−190186号公報
【特許文献3】特開2003−245291号公報
【非特許文献1】今田喬士編「月刊歯科技工別冊 図解咬合の基礎知識」医歯薬出版株式会社、昭和59年6月30日、p118−121
【非特許文献2】藤田勝治編「月刊歯科技工別冊 目で見る咬合の基礎知識」医歯薬出版株式会社、2002年6月25日、p102
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記問題点に鑑みて、本発明は、咬合平面を容易に描くことができ、且つ、咬合平面分析点を容易に定めることができる咬合平面分析器および咬合器並びに咬合平面分析方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明による咬合平面分析器は、顎模型の上方に保持される磁性材料からなる分析板と、前記分析板に磁力により吸着可能であり、前記磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴が形成された磁石と、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有し、前記支持穴に吸着され得る球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸し、前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具とを含むものとする。
【0008】
この構成によれば、球体部を分析板に吸着した磁石の支持穴上で摺動回転させることにより、モンソンカーブ付与具の球面再現部を3次元的に揺動させ、咬合平面を描くことができる。また、分析板にコンパスなどで顎模型の2つの基準点からモンソン球面の半径を有する円を描くことで、モンソンカーブ付与具の揺動の中心位置を容易に、モンソン球面の中心である咬合平面分析点に位置決めすることができる。また、球体部を中心に自在に揺動する円弧状の球面再現部により、歯列状態を一度に確認することができる。
【0009】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記分析板は、自身の厚みの中心、その表面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心、および、その裏面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心のいずれかを選択的に前記顎模型の左右中心線の直上に配置できる位置決め手段を備えてもよい。
【0010】
この構成によれば、球体部および磁石の厚みによる咬合平面分析点の微小なずれを補正して、より正確な咬合平面を描くことができる。
【0011】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記延設部は、途中で屈曲していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、上顎模型および上顎模型を支持する構造を迂回して、球面再現部を顎模型上に配置することができ、容易に咬合平面を描くことができる。
【0013】
また、本発明の咬合平面分析器において、前記磁石は、高摩擦のシートを介して前記分析板に吸着することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、モンソンカーブ付与具を操作する際、磁石が分析板上で位置ずれしない。
【0015】
また、本発明の咬合器は、前記咬合平面分析板を備えるものとする。
【0016】
この構成によれば、咬合平面分析点を容易に定めることができ、咬合平面を描くことが容易である。
【0017】
また、本発明による咬合平面分析方法は、顎模型の上方に磁性材料からなる分析板を保持し、前記分析板に、前記顎模型上の2つの基準点を中心として所定半径の円弧をそれぞれ描記し、表裏に貫通する円形の支持穴が形成された磁石を前記分析板に、前記分析板に描かれた2つの円弧の交点に前記支持穴の中心を合わせて吸着させ、前記支持穴に、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有する球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具の、前記球体部を吸着させ、前記球体部を前記支持穴上で摺動回転させて、前記球面再現部で前記顎模型上に咬合平面を描く方法とする。
【0018】
この方法によれば、モンソンカーブ付与具の揺動の中心となる球体部を磁石で保持するので、咬合平面分析点の位置決めが容易であり、自在に揺動する円弧状の球面再現部により複数の歯の咬合状態を一度に確認できる。
【0019】
また、本発明による咬合平面分析方法において、前記分析板への円弧の描記は、前記分析板の板面に感圧紙を当てて、前記顎模型上の基準点に前記球面再現部を当接させた状態で前記感圧紙上に前記球体部を圧接することで行ってもよい。
【0020】
この方法によれば、コンパスを用いることなく、モンソンカーブ付与具で咬合平面分析点の位置を定めることができる。モンソンカーブ付与具は、円弧状の球面再現部の何処を顎模型の基準位置に当接させてもよいので、作業も容易である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モンソンカーブ付与具の揺動の中心となる球体部を磁石で保持するので、咬合平面分析点の位置決めが容易であり、円弧状の球面再現部により歯列状態を一度に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である咬合器1を示す。咬合器1は、下顎模型2を保持する下弓3と、上顎模型(不図示)を保持できる上弓4と、下顎模型2および上顎模型の咬合平面を確認する咬合平面分析器5とを有する。上弓4は、下弓3に対して揺動して顎関節の動きを再現できるようになっている。
【0023】
図2に示すように、咬合平面分析器5は、上弓4の上に固定される保持部6を備え、上弓4の上に直立して取り付けられた磁性体からなる分析板7と、分析板7に磁力によって吸着する磁石8と、磁石8に吸着されるモンソンカーブ付与具9とを有する。
【0024】
分析板7は、保持部6の後端の嵌合部10が上弓4の後端上部の受け部11に嵌合し、前端の係止部12が、上弓4にねじ13で位置決め固定される。また、分析板7の垂直に保持される有効部分の表裏面には、描記用紙14が貼着される。また、分析板7の有効な板面の前後方向の幅は、モンソンカーブの半径と同じ4インチに形成されている。
【0025】
磁石8は、中央を貫通する例えば内径4mmの円形の支持穴15が形成された円板型をしている。磁石8は、その磁力によって、描記用紙14の上から、さらに、シリコンシート16を介して分析板7に吸着することができる。このシリコンシート16は、摩擦係数が高いので、磁石8が分析板上で滑りにくくする。また、シリコンシート16は、描記用紙14が透けて見える透明性を有する。
【0026】
モンソンカーブ付与具9は、図3に示すように、磁性体からなり、磁石8に吸着され得る球形の球体部17と、球体部17から直線的に延伸して、途中で屈曲した延設部18と、延設部18の先端から球体部17と同心の円弧を描いて延伸する球面再現部19とからなっている。
【0027】
球体部17は、支持穴15の内径(4mm)より大きな例えば10mmの直径を有し、磁石8に吸着されたときに支持穴15の口部の全周に亘って当接して、姿勢が安定する。球体部17の径が支持穴15に比して大きすぎると、球体部17に回転力が加わったときに、球体部17が支持穴15から転がりでてしまう。逆に、球体部17が支持穴15に比して小さいと、磁石8の磁束を十分に捕捉することができず、吸着力が小さくなって脱落しやすくなる。
【0028】
また、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19は、延設部18の延伸する平面に対して、球体部17の中心と延設部18の先端とを結ぶ直線Aを軸に75°傾斜した平面内を延伸するように形成されている(図3参照)。
【0029】
続いて、咬合器1における咬合平面分析器5の使用方法を説明する。先ず、図4に示すように、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂にコンパス20の針を当接させ、コンパス20と揺動させることで、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂を中心として、描記用紙14に半径4インチの円弧を描く。このとき、コンパス20で分析板7を幅方向に広げることで、コンパス20の幅をモンソンカーブの半径である4インチに調整できるようになっている。
【0030】
続いて、図5に示すように、下顎模型2の犬歯遠心隅角部にコンパス20の針を当接させ、犬歯遠心隅角部を中心として、描記用紙14に半径4インチの円弧を描く。こうして描いた2本の円弧の交点は、下顎模型2の咬合平面の中心である咬合平面分析点を示す。
【0031】
このように、互いに交差する2本の円弧を描いたなら、図6に示すように、支持穴15を覗きながら、支持穴15の中心に描記用紙14に描いた2本の円弧の交点が位置するように、シリコンシート16を介して磁石8を分析板7に吸着させる。
【0032】
そして、図7に示すように、磁石8の支持穴15に、モンソンカーブ付与具9の球体部17を吸着させる。延設部18は屈曲しているので、咬合器1の上弓4(および上顎模型)を迂回して、球面再現部19を下弓の上の下顎模型2上に配置することを可能にしている。
【0033】
モンソンカーブ付与具9の延設部18または球面再現部19に力を加えると、球体部17は、磁石8の磁力によって吸着されたまま、中心位置を保持しながら支持穴15上で摺動回転し、延設部18および球面再現部19を3次元的に揺動および軸回転させる。このため、咬合平面分析器5は、下顎模型2上に咬合平面分析点を中心とした半径4インチの球面である咬合平面を、球面再現部19の先端に限らず、どの部分ででも示すことができる。
【0034】
また、モンソンカーブ付与具9は、図7に示すように、球面再現部19を歯列の一部に沿って配置したり、図8に示すように、球面再現部19を歯列の左右に横断するように配置するなど、自由に揺動回転することができる。つまり、咬合平面分析器5を使用すれば、複数の歯が咬合平面上に配列されているか否かを同時に確認することもできる。
【0035】
このように、本発明に係る咬合器1を使用すれば、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定を、容易且つ正確に行うことができる。
【0036】
また、図9に示すように、咬合器1では、モンソンカーブ付与具9の球体部17に磁石8を吸着させ、球面再現部19を犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とに当接させた状態で、犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とを中心にモンソンカーブ付与具9を揺動させることで、図10に示すように、球体部17に吸着した磁石8を分析板7に当接させ、磁石8を分析板7に吸着させることができる。
【0037】
このように、咬合器1では、コンパス20を用いて描記用紙14に円弧を描くことなく、より簡単に咬合平面分析点を定め、磁石8によってモンソンカーブ付与具9の球体部17を分析板7に保持させることもできる。この方法によれば描画用紙14も不要となるが、モンソンカーブ付与具9の操作中に磁石8の位置がずれないように注意を払う必要がある。
【0038】
また、図11に示すように、下顎模型2の最後臼歯が欠損している場合、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19を犬歯遠心隅角部に当接させるとともに、先端を咬合器1の顆頭球(下弓3と上弓4との揺動中心となる球体)に当接させて、球体部17を分析板7に位置決めして磁石8により保持させてもよい。
【0039】
さらに、図12および図13に、本発明の第2実施形態の咬合器1を示す。以下の説明において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態の咬合器1の咬合平面分析器5は、上弓4の上に固定される保持板21を備え、保持板21の上に分析板7を取り付けるようになっている。保持板21は、上方に突出する位置決めピン22とねじ穴23とが設けられている。
【0041】
分析板7は、位置決めピン22に係合可能な3つの前部スリット24と、ねじ穴23に螺合するねじ25に係合可能な、互いに接続された3つの後部スリット26を有し、保持板21上の左右方向の3つの異なる位置に固定できるようになっている。
【0042】
分析板7の前部スリット16および後部スリット18による保持板21に対する3つの固定位置は、分析板7の板圧の中心を咬合器1、つまり、下弓3に保持する下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置と、保持部7の表面に磁石8によりモンソンカーブ付与具9を保持したときの球体部17の中心を下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置と、保持部7の裏面に磁石8によりモンソンカーブ付与具9を保持したときの球体部17の中心を下顎模型2の左右中心線の直上に保持する位置とである。
【0043】
本実施形態では、先ず、図14に示すように、分析板7の板圧の中心が咬合器1の中心線上に位置するように、分析版7を保持板21上に取り付ける。分析板7の描記用紙14の上にさらにカーボン紙(感圧紙)27を当てて保持する。そして、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂にモンソンカーブ付与具9の球面再現部19を当接させ、球体部17を分析板7に押し当ててカーボン紙25を挟み込む。さらに、下顎模型2の最後臼歯遠心頬側咬頭頂を支点として、モンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17で円弧を描くようにカーボン紙27を分析板7に押圧する。
【0044】
続いて、図15に示すように、下顎模型2の犬歯遠心隅角部にモンソンカーブ付与具9の球面再現部19を当接させて、モンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17で円弧を描くようにカーボン紙27を分析板7に押圧する。
【0045】
カーボン紙25を取り除くと、図16に示すように、描記用紙14上に、2本の円弧が描かれている。この2本の円弧は、下顎模型2の咬合平面の中心である咬合平面分析点を示す。
【0046】
このように、互いに交差する2本の円弧を描いたなら、図17に示すように、分析板7の円弧を描いた面の反対側にずらすように、分析板7の保持位置を変更する。そして、支持穴15を覗きながら、支持穴15の中心に描記用紙14に描いた2本の円弧の交点が位置するように、シリコンシート16を介して磁石8を分析板7に吸着させる。
【0047】
そして、図18に示すように、磁石8の支持穴15に、モンソンカーブ付与具9の球体部17を吸着させれば、延設部18および球面再現部19を3次元的に揺動させて、球面再現部19により下顎模型2上に咬合平面を示すことができるため、球体部および磁石の厚みによる咬合平面分析点の微小なずれを補正して、より正確な咬合平面を描くことができる。
【0048】
また、本実施形態の咬合器1では、図19に示すように、分析板7に貼着した描記用紙14の上にカーボン紙27を当てて保持し、モンソンカーブ付与具9の球面再現部19を犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂(または咬合器1の顆頭球に)とに当接させた状態で、犬歯遠心隅角部と最後臼歯遠心頬側咬頭頂とを中心にモンソンカーブ付与具9を揺動させ、球体部17を分析板7に押圧することで、図20に示すように、分析板7上に咬合平面分析点を示す点を描記することもできる。
【0049】
このように、本発明に係る咬合器1を使用すれば、咬合平面の分析および補綴物の制作に際する咬合平面の決定を、容易且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態の咬合平面分析器を備える咬合器の斜視図。
【図2】図1の咬合器の分解斜視図。
【図3】図1の咬合平面分析器のモンソンカーブ付与具の展開図。
【図4】図1の咬合平面分析器の使用の第1のステップを示す斜視図。
【図5】図1の咬合平面分析器の使用の第2のステップを示す斜視図。
【図6】図1の咬合平面分析器の使用の第3のステップを示す斜視図。
【図7】図1の咬合平面分析器の使用の第4のステップを示す斜視図。
【図8】図1の咬合平面分析器のモンソンカーブ付与具の可能な配置を示す斜視図。
【図9】図1の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップを示す斜視図。
【図10】図1の咬合平面分析器の簡易な使用の第2のステップを示す斜視図。
【図11】図9の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップの代案を示す斜視図。
【図12】本発明の第2実施形態の咬合器の斜視図。
【図13】図9の咬合器の分解斜視図。
【図14】図9の咬合平面分析器の使用の第1のステップを示す斜視図。
【図15】図9の咬合平面分析器の使用の第2のステップを示す斜視図。
【図16】図9の咬合平面分析器の使用の第3のステップを示す斜視図。
【図17】図9の咬合平面分析器の使用の第4のステップを示す斜視図。
【図18】図9の咬合平面分析器の使用の第5のステップを示す斜視図。
【図19】図12の咬合平面分析器の簡易な使用の第1のステップを示す斜視図。
【図20】図12の咬合平面分析器の簡易な使用の第2のステップを示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
1 咬合器
2 下顎模型
3 上弓
4 下弓
5 咬合平面分析器
6 保持部
7 分析板
8 磁石
9 モンソンカーブ付与具
14 描記用紙
15 支持穴
16 シリコンシート
17 球体部
18 延設部
19 球面再現部
20 コンパス
24 前部スリット
26 後部スリット
27 カーボン紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎模型の上方に保持される磁性材料からなる分析板と、
前記分析板に磁力により吸着可能であり、前記磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴が形成された磁石と、
磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有し、前記支持穴に吸着され得る球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具とを含むことを特徴とする咬合平面分析器。
【請求項2】
前記分析板は、自身の厚みの中心、その表面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心、および、その裏面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心のいずれかを選択的に前記顎模型の左右中心線の直上に配置できる位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の咬合平面分析器。
【請求項3】
前記延設部は、途中で屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載の咬合平面分析器。
【請求項4】
前記磁石は、高摩擦のシートを介して前記分析板に吸着することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の咬合平面分析器。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれかに記載の咬合平面分析板を備えることを特徴とする咬合器。
【請求項6】
顎模型の上方に磁性材料からなる分析板を保持し、
前記分析板に、前記顎模型上の2つの基準点を中心として所定半径の円弧をそれぞれ描記し、
表裏に貫通する円形の支持穴が形成された磁石を前記分析板に、前記分析板に描かれた2つの円弧の交点に前記支持穴の中心を合わせて吸着させ、
前記支持穴に、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有する球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具の、前記球体部を吸着させ、
前記球体部を前記支持穴上で摺動回転させて、前記球面再現部で前記顎模型上に咬合平面を描くことを特徴とする咬合平面分析方法。
【請求項7】
前記分析板への円弧の描記は、前記分析板の板面に感圧紙を当てて、前記顎模型上の基準点に前記球面再現部を当接させた状態で前記感圧紙上に前記球体部を圧接することで行うことを特徴とする請求項6に記載の咬合平面分析方法。
【請求項1】
顎模型の上方に保持される磁性材料からなる分析板と、
前記分析板に磁力により吸着可能であり、前記磁力による吸着方向に貫通する円形の支持穴が形成された磁石と、
磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有し、前記支持穴に吸着され得る球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具とを含むことを特徴とする咬合平面分析器。
【請求項2】
前記分析板は、自身の厚みの中心、その表面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心、および、その裏面に前記磁石が吸着した場合の前記支持穴に吸着する前記球体部の中心のいずれかを選択的に前記顎模型の左右中心線の直上に配置できる位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の咬合平面分析器。
【請求項3】
前記延設部は、途中で屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載の咬合平面分析器。
【請求項4】
前記磁石は、高摩擦のシートを介して前記分析板に吸着することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の咬合平面分析器。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれかに記載の咬合平面分析板を備えることを特徴とする咬合器。
【請求項6】
顎模型の上方に磁性材料からなる分析板を保持し、
前記分析板に、前記顎模型上の2つの基準点を中心として所定半径の円弧をそれぞれ描記し、
表裏に貫通する円形の支持穴が形成された磁石を前記分析板に、前記分析板に描かれた2つの円弧の交点に前記支持穴の中心を合わせて吸着させ、
前記支持穴に、磁性材料からなり、前記支持穴の内径より大きな直径を有する球体部と、前記球体部から延伸する延設部と、前記延設部の先端からさらに延伸して前記球体部と同心の円弧を描く球面再現部とからなるモンソンカーブ付与具の、前記球体部を吸着させ、
前記球体部を前記支持穴上で摺動回転させて、前記球面再現部で前記顎模型上に咬合平面を描くことを特徴とする咬合平面分析方法。
【請求項7】
前記分析板への円弧の描記は、前記分析板の板面に感圧紙を当てて、前記顎模型上の基準点に前記球面再現部を当接させた状態で前記感圧紙上に前記球体部を圧接することで行うことを特徴とする請求項6に記載の咬合平面分析方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−50301(P2009−50301A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217122(P2007−217122)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】
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