説明

品質分析のためのカラムプレス

【課題】品質分析のためのカラムプレスを提供する。
【解決手段】本発明は、ポリマー結合ゴム添加剤の品質を試験するための方法および装置に関する。
その方法によれば、ポリマー結合ゴム添加剤(3)をEPDMマスターバッチ(2)と混合する。得られた試験混合物(5)を強制的に試験シーブ(10)を通過させ、シービングによって除去された未分散粒子(14)の数を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー結合ゴム添加剤の品質を試験するための方法および装置に関する。ポリマー結合ゴム添加剤の品質の試験は、ポリマー結合ゴム添加剤を含む、製造された試験混合物を試験することによって、間接的に実施される。このタイプのポリマー結合ゴム添加剤の一例は、Rhenogran(登録商標)として市場で入手することができる。Rhenogran(登録商標)には、少なくとも1種のゴム添加剤および少なくとも1種のポリマーバインダーが包含されている。使用することが可能なゴム添加剤の例としては、硫黄、加硫促進剤たとえばMBTS、抗酸化剤たとえばMBI、さらには酸化亜鉛のような活性化剤などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
Rhenogran(登録商標)という表現は、たとえば、架橋剤の助けを借りて、ゴムからエラストマーを製造する目的で加えられる架橋剤をその対象として含む。「Rhenogran(登録商標)S−80」は、このタイプの架橋剤であって、80%の硫黄と20%のポリマーバインダーとからなっている。
【0003】
Rhenogran(登録商標)製品系列の中のまた別な例はRhenogran(登録商標)MBI−80であって、これは抗酸化剤のMBIをベースとしている。Rhenogran MBI−80には、80%の活性成分MBIと20%のバインダーとが含まれている。その活性成分のMBIは、メルカプトベンズイミダゾールである。
【0004】
Rhenogran(登録商標)添加剤は、たとえば、ゴムからなる製品を製造するために使用される。
【0005】
ポリマー結合ゴム添加剤の品質の関数としては、未分散粒子を挙げることができるが、これはすなわち、最終的な加硫製品において、材料中で目に見える変化である。それに伴う技術的な欠陥が存在している可能性がある。最終製品の中に存在する未分散粒子の数が少ないほど、そのポリマー結合ゴム添加剤の品質は高い。
【0006】
公報の(特許文献1)には、ブタジエン−アクリロニトリルゴムとポリ塩化ビニルとからなるブレンド物を製造するための方法が開示されているが、このものは、ブタジエン−アクリロニトリル格子とポリ塩化ビニル格子とを混合することにより製造される。前記公報によれば、同伴された沈殿粒子のために、最終的な固体製品の中に未分散粒子が形成されうるが、それは、製品の品質を低下させ、さらなる加工の際に困難をもたらす。公報の(特許文献2)にも、未分散粒子が製品品質を低下させることが開示されている。
【0007】
公報の(特許文献3)には、反応器から直接採取したポリエチレン粉体の混合特性を、試験片の薄片(ミクロトーム切片)を光学顕微鏡下で評価することによって、試験することができることが開示されている。未分散粒子として知られる混在物の数が少なくなるほど、そしてそれらが小さくなるほど、ポリマーの混合特性がより良好となる。ポリマーの混合特性は、ISO 13949によって定量的に求められる。その試験規格では、ポリマーの試験片からなるミクロトーム切片を調製し、計数法を用いてその混在物の数とサイズを求め、所定の評価系に従ってそのポリマーの混合特性の等級を決める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DD 159718
【特許文献2】DE 10 2004 048 098 A1
【特許文献3】DE 10 2005 019 395 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ポリマー結合ゴム添加剤の品質を高い信頼性で試験することが可能な方法、およびさらにはその方法を実施するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するためには、試験するべきポリマー結合ゴム添加剤と試験用マスターバッチとを含む、試験混合物を製造する。その試験用マスターバッチには、1種または複数のゴム、カーボンブラック、淡色充填剤、可塑剤オイル、架橋活性化剤、および/または加工助剤を含んでいるのが好ましい。具体的には、試験混合物を製造するのに、ポリマー結合ゴム添加剤(たとえば100g)と、黒色EPDMマスターバッチ(たとえば300g)とを用いる。黒色EPDMマスターバッチには、ポリマーEPDMすなわち、エチレン−プロピレン−ジエンゴムだけではなく、さらなる添加剤、とりわけ、具体的には、相当な量のカーボンブラック、およびさらに可塑剤としてのオイルもまた含まれる。試験用マスターバッチを使用する目的は、実際に使用される材料の可能な限り最良のシミュレーションを提供して、それにより、信頼性の高い品質試験法を可能とするためである。この目的は、たとえば、試験用マスターバッチとしてEPDMマスターバッチを準備することにより達成される。EPDMに代えて、たとえば以下のようなゴムを使用することも可能である:天然ゴム(NR)またはその他の合成ゴムたとえば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)および水素化NBR(HNBR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、アクリレートゴム(AEM、ACM)、フルオロゴム(FKM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)または、上述のゴムの混合物。
【0011】
ポリマー結合ゴム添加剤をまず、試験用マスターバッチの中、特に黒色EPDMマスターバッチの中に混合により組み入れるが、本明細書においては特に、すべての品質試験において同一の手順を採用する。ポリマー結合ゴム添加剤は、試験用マスターバッチ、たとえば黒色EPDMマスターバッチの中に、所定のニップ幅を有する温度調節したローラー上で混合することによって組み入れるのが好ましい。加工に適した粘度を得るために、ローラーは念入りに温度調節する。その温度調節したプロセスでは、50〜80℃の温度が一般的に適しているが、黒色EPDMマスターバッチの場合にはその温度範囲がとりわけ適している。
【0012】
温度調節したローラーの手段によって得られる混合結果に影響を及ぼす、四つのパラメーターが存在する。一つのパラメーターは、ローラーを温度調節する目標の温度である。第二のパラメーターはニップの幅であり、第三のパラメーターは混合時間である。第四のパラメーターは、ポリマー結合ゴム添加剤および試験用マスターバッチをフィードするのに使用する処理方法である。前記四つのパラメーターは、品質管理手順の実施では変化させないが、その目的は、比較することが可能な結果を得て、それによって、検討したそれぞれの試験混合物の品質について直ちに結論を導くことができるようにするためである。この理由から、なかんずくフィード手順は常に同じであり、その目的は、比較することが困難な処理手順が原因で、結果に差が出ることを避けるためである。
【0013】
予め規定されたニップの幅は、その混合物に加えられる剪断エネルギーに対して決定的な効果を有している。所望の分散結果が得られるようにニップの幅を選択する。このようにしてニップの幅を選択したら、以後の検討においてもそれを維持する。
【0014】
予め規定された混合時間が経過したら、その混合物を、たとえばスクリューの力を用いて、シーブ(以下においては、「試験シーブ」と呼ぶこともある)の中に強制的に通過させる。この目的に適した、シーブおよびスクリューを有するエクストルーダーは、たとえば、Buchen,GermanyのGOETTFERT Werkstoff−Pruefmaschinenから入手できる。エクストルーダーにはフィードスクリューが含まれていて、それによって試験混合物がシーブへと輸送され、シーブの中を強制的に通過させられる。試験混合物を完全に押し出したら、シーブ(ストレーナー部品とも呼ばれる)を分解する。ストレーナー部品の中に残っているシーブケーキを除く、すなわちシーブから取り出して、顕微鏡で観察し、計数法を用いて、未分散粒子のサイズと数を求める。見出される未分散粒子の数が多い程、そしてそのサイズが大きいほど、その結果は不十分である。その評価手順では特に、標準化評価法を使用する。このタイプの標準化評価法の文脈においては、未分散粒子のサイズに従って、区分が予め規定され、特別かつ具体的に細分化される。たとえば、第一の区分は、そのサイズが75μm〜175μmである未分散粒子を指し、第二の区分は、そのサイズが175μm〜250μmである未分散粒子を指し、そして第三の区分は、そのサイズが250μmを超える未分散粒子を指す。たとえば、それぞれの区分においては、ある限定された数だけの未分散粒子しか許容されない。この予め規定された数を超えているような場合には、そのポリマー結合ゴム添加剤は、たとえば、要求品質を満たしておらず、当初の目的のための販売を進めることはできない。
【0015】
このタイプの輸送機能には、従来技術においては通常スクリューを使用するが、その理由は、スクリューがこのタイプの機能には特に良好な適合性を有しているからであるが、その理由については後に説明する。
【0016】
スクリューの食い込みゾーンに試験混合物がフィードできるようにするには、まずたとえば条片に切断することによって、試験混合物の寸法を適切とする。試験混合物が冷えていると、通常その粘度が高くなりすぎて、スクリューが極めて強い力を特に発生させることが可能であるものの、試験混合物を輸送して、その混合物をシーブに強制的に通過させることができない。したがって、広い面積で試験混合物に熱を移動させる目的で、スクリューを特に温度調節しておく。このことによって特に、スクリューによって輸送される試験混合物全体を加熱することが可能となるが、その理由は、その輸送過程の際に起きる反力のために、試験混合物の一部が逆方向に流れ、その結果、エクストルーダーの内部で試験混合物にさらなる混合がかかり、所望の粘度を得るために必要とされる熱が速やかに分散されるからである。この過程で、さらに摩擦熱も発生し、試験混合物の粘度が過度に高くなることを防ぐのにさらなる貢献をしている。
【0017】
粘度の変動に打ち勝たねばならないような場合であってさえも、スクリューを使用した輸送は、問題なく達成することができる。変動によって粘度が局部的に高くなるようなことが起きても、スクリューを使用していれば、材料の逆向きの流れによってこれを打ち消すことができる。粘度の変動によって、スクリューが停止したり、スクリューを損傷させたりすることはない。
【0018】
この過程を実施するための性能の点からは、その中でスクリューを介して輸送が行われる装置の内部で材料が逆方向に流れることに付随していくつかの重要なメリットが存在するものの、逆方向への流れによる混合物の混合が、予想できない。スクリューを使用して輸送することによって起きる前記の混合が、望んでいる結果を、再現不能でかつ不利な方向へと変化させる。
【0019】
そのため、本発明の一つの特に好ましい実施態様においては、その混合物を、シリンダー中で、ピストンによって、シリンダーの一端にあらかじめしっかりと取付られたシーブの中を強制的に通過させる。
【0020】
ピストンおよびシリンダーを使用して混合物を輸送するのは、多くの理由から問題があるということは間違いない。たとえば、粘度が上昇した結果として輸送が妨害されることを防止するために、試験混合物の適切な温度調節を行うことが不可能であるが、その理由は、ピストンと同時にシリンダーを使用すると、外側から試験混合物の方向へと熱を一方的にしか伝達できないからである。この理由だけからも、試験混合物の中へ十分な速度で熱を均質に伝えることは不可能である。試験混合物が一旦シリンダーの中に入ったら、輸送されるだけであって、逆方向の流れによるさらなる混合が与えられず、その結果、そのプロセスに付随する熱交換がまったく存在しないが、その熱交換は、エクストルーダーの場合においては、試験混合物の所望の温度調節を促進させる。
【0021】
その場合には、材料の逆方向への流れを増大させることによって、粘度の変化を補償させる可能性は存在しない。したがって、ピストンおよびシリンダーの手段による輸送は、停止の影響および駆動装置またはシーブに対する損傷の影響を受けやすい。
【0022】
しかしながら、シリンダーにおいて輸送することに伴う、顕著な利点も存在する。試験混合物は、輸送の際にさらなる混合にさらされることがとりわけ一切ないので、輸送が原因の各種の混合によって品質調節の結果が左右されることはない。
【0023】
驚くべきことには、ピストンおよびシリンダーの手段による輸送に付随する問題点を解決することが可能であることが見出された。たとえば、シリンダーを使用した場合に、その基部の全領域を、試験混合物をシリンダーに仕込むために利用することができる。したがって、輸送装置(すなわち、たとえばエクストルーダー)にその試験混合物を仕込む目的で、従来技術から公知の方法で試験混合物をいくつかに分割する、たとえば切断して条片にする必要はない。そのため、検討するべき試験混合物を適切なシリンダー状の形状とし、それをシリンダーの中に挿入するのが好ましい。これはきわめて速やかに実施することができるので、その試験混合物はきわめてわずかしか冷めることがなく、そのため、この操作では粘度が極端に上昇するようなことはない。そのようにしてシリンダーに仕込んだ試験混合物は、はるかに迅速に、試験シーブの中を強制的に通過させることができることが判った。このようになる第一の理由は、輸送の際に混合がまったく起きないからである。エクストルーダーの場合とのもう一つに違いは、輸送の際に輸送速度を上げても、混合が増大し、品質調節の結果におけるひずみを増大させ、結果として輸送速度に上限を生じるようなことにはならない。輸送過程の際に可能な加工速度は、試験混合物の粘度を、比較的迅速な輸送を妨げる程に上昇させることはないということもまた見出された。さらに、粘度における変化は、所望の速度または必要とされる速度を妨げるほど大きなものではないということも見出された。
【0024】
本発明の一つの実施態様においては、ポリマー結合ゴム添加剤を、上述のようにして、ダブルロール系を用いて試験用マスターバッチと共に混合する。得られる試験混合物は最終的には、マット(混合物のミルドシート)の形態で得ることができる。そのマット(混合物のミルドシート)は、直ちに巻いて、所望のシリンダー形状とすることができる。その所望のシリンダー形状は、必要な速度で容易に得ることができ、そのため、ローラーを介して温度調節された試験混合物を過度に冷却することもない。しかしながら、これに代わる方法として、また別な混合方法を使用することもまた可能であって、その場合、ローラーを用いて、試験混合物をまずマットの形態に転換させ、次いでロールの形態とする。しかしながら、この変法では、追加の操作が必要となる。いずれにしても、前記の二つの実施態様は、シリンダーおよびピストンの手段による輸送に伴う問題点を克服する、特に信頼性の高い方法を提供することができる。
【0025】
輸送過程にピストンと組み合わせたシリンダーを使用した場合、このことによって、クリーニングコストを抑制することも可能となるが、その理由は、ピストンと組み合わせたシリンダーが、スクリューの場合よりも容易にクリーニングできるばかりではなく、ピストンの掻き取り作用がシリンダーの内壁上の析出物を除去するために、汚染が起きる可能性もまた低くなるからである。
【0026】
シリンダーは一般的には垂直とする。次いで、最も上側にあるシーブは、150μmの典型的なメッシュ幅を有しているが、それより下に位置するシーブはすべて補助シーブとして機能し、より大きなメッシュ幅を有している。典型的な構造としては多孔プレートが挙げられるが、それがブロッキングを防止する役目を果たす。したがって、150μmより大きい未分散粒子はすべて、メッシュ幅150μmを有するシーブ(最小のメッシュ幅を有するシーブ)の中に捕捉される。
【0027】
この後に、150μmシーブの下側に、メッシュ幅250μmを有する補助シーブを設けることができる。それに続けて、250μmシーブの下側に、メッシュ幅500μmを有する補助シーブを設けることができる。最後に、全部のシーブの下に多孔プレートを置くこともできる。
【0028】
本発明には、ポリマー結合ゴム添加剤を試験するための方法が包含されるが、それによれば、ポリマー結合ゴム添加剤を試験用マスターバッチ、特にEPDMマスターバッチと混合し、得られた試験混合物を強制的に試験シーブを通過させ、そのシービング作用によって除去された未分散粒子の数を求める。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、市販されている温度調節したダブルロール系を示す。
【図2】図2は、ロール(5)、シリンダー(6)及びピストン(7)の使用を示す。
【図3】図3は、シリンダーの低端の構造を示す。
【図4】図4は、Rhenogran TBzTD−70の場合に得られた結果を示す。
【図5】図5は、シリンダーの低端の構造の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
その方法の一つの実施態様においては、その試験混合物を、ピストン(7)およびシリンダー(6)を用いて、強制的に試験シーブ(10)を通過させる。
【0031】
その方法のまた別な実施態様においては、加熱した試験混合物(5)をまず、ロールまたはシリンダーの形状に二次加工し、そのように成形した試験混合物(5)をシリンダー(6)の中に挿入し、ピストン(7)を用いて、強制的に試験シーブ(10)を通過させる。
【0032】
その方法のまた別な実施態様においては、少なくとも1本のローラー(1、1a)を使用して試験混合物を成形して、マットを得る。そのマットを巻いて、その巻き上げた形のもの(5)を、強制的に試験シーブ(10)を通過させる。
【0033】
本発明にさらに、方法の一つの実施態様をも包含するが、そこでは、ポリマー結合ゴム添加剤(3)および試験用マスターバッチ(2)をダブルロール系(1、1a)の手段によって混合する。
【0034】
本発明はさらに、方法の一つの実施態様を提供するが、そこでは、複数のシーブおよび/またはシーブの形態にあるプレート(8、9、10)を、加圧の方向から見て試験シーブ(10)の後側に、相互に隣接させながら配置し、そこのシーブ(8、9、10)それぞれのメッシュサイズを、加圧の方向に大きくしていく。
【0035】
本発明には、リング(11)が試験シーブ(10)の前に配置されているような、方法の一つの実施態様も包含される。
【0036】
本発明はさらに、シリンダー(6)およびその中に導入されるピストン(7)と、そのシリンダーの一端に複数のシーブ(8、9、10)と、シーブ(10)に隣接させたリングとを有する、その方法を実施するための装置もまた提供する。
【0037】
本発明には、シーブ(10)が150μm以下のメッシュ幅を有し、外側に向けてそれに隣接させるシーブ(8、9)のメッシュがより大きい、装置の実施態様を包含する。
【0038】
本発明は、デリミッタープレートと共にダブルロール系(1a、1b)を含む装置の実施態様を提供する。
【0039】
それらの部品のサイズによって、試験手順で使用することが可能な量が決まる。シリンダーのサイズから、最大量が限定される。
【実施例】
【0040】
実施例を使用して本発明をさらに説明するが、本発明がいかなる面においても、それに限定されるものではない。
【0041】
図1には市販されている温度調節したダブルロール系を示すが、これは相互に前後させた、2本の鋼製シリンダー(1aおよび1b)とからなっている。その鋼製シリンダーの上には、第一のEPDMマスターバッチ(2)と、第二のRhenogran(登録商標)製品系列からの製品(3)とが存在している。その2本のローラーの間のニップ幅は一般的に、ミリメートルの範囲、たとえば1〜10mm、好ましくは3mmまでである。品質調節手順の実施で、ニップ幅を一旦選択したら、その後での品質調節手順においてもそれを保持する。
【0042】
使用したEPDMマスターバッチ(マスターバッチNo.9−318EPDM)は以下の組成を有していた:
【0043】
【表1】

【0044】
Buna(登録商標)は、LANXESS Deutschland GmbHから入手可能なエチレン−プロピレン−ジエンゴムであって、エチレン含量が52±4重量%、ムーニー粘度ML(1+4)が125℃で46±5MUである。
【0045】
「phr」(100部のゴムあたりの部数)という用語は、当業者には身近な用語であって、組成物中の重量部を表す。
【0046】
300gのEPDMマスターバッチを秤量し、ローラーに仕込む。100gのそれぞれのRhenogran製品(たとえば、Rhenogran TBzTD−70)=テトラベンジルチウラムジスルフィド、Rhein Chemie Rheinau GmbHから入手可能)を顆粒物の形態で導入する。その顆粒物は、マスターバッチが十分な温度に達して、その粘度が十分に低くなると、すぐに材料の中に分散される。
【0047】
ローラー1a、1bの上にはそれらに接して、2枚のデリミッタープレート(4)が存在しているが、それらの役割は、材料(2、3)が調節不能に広がってしまうのを防止することである。
【0048】
その混合手順は、以下の方法に従って手で実施する。ナイフを用いて、人が、たとえば斜めに切り取ることによって部分的に取り出し、フロントローラー1aの他の位置にそれを置き直す。
【0049】
全部の材料(2、3)について、組み込みおよび分散過程を実施すると、得られる試験混合物は、均質な黒色を有する。ロールの方向に平行にその試験混合物を切断して、剥がし、巻き上げてシリンダーの形状とする。しかしながら、剥がして巻き上げた試験混合物、または混合物の巻き上げたミルドシートを、中間段階において、1対のローラーの間に1回または数回さらに通過させて、結果としてさらに均質化させることも可能である。次いでその試験混合物を、最終的にマット(混合物のミルドシート)の形態として、それを巻き上げる。そこで、前記ロールの温度は典型的には、約60℃である。
【0050】
その温度が一般的には約60℃である、その得られたロール(5)を、図2に示したように、この目的のために準備したシリンダー(6)の中に挿入する。図2に示したピストン(7)を使用して、そのロールの形状の試験混合物(5)を、強制的にシーブを通過させる。図示したシリンダーの直径は、たとえば3〜10cmである。シリンダーの長さは、たとえば、20〜60cmである。
【0051】
図3および5に、シリンダーの低端の構造を示すが、その端部にはシーブが包含されている。図5には、その構造の断面を示す。
【0052】
その下端には、まずシーブの形状をした鋼鉄製の比較的厚いプレート(8)が備わっており、このプレートが、発生する圧力に耐えるための第一の支持体として機能する。プレート(8)には、比較的大きな孔が備わっている。そのシーブの形状をしたプレート(8)の上に、比較的薄いプレート(9)を設けるが、それのメッシュ幅は約500μmとすることができ、このものもまた支持体として機能する。試験シーブ(10)も同様に比較的薄く、メッシュ幅が約150μmであり、これを補助プレート(9)の上に置く。試験シーブ(10)のメッシュ幅は一般的に、許容可能であるとみなしうる未分散粒子が通過できるようなメッシュになるよう、選択する。補助シーブで、シーブの形状のプレートは、段々と厚くなるようなメッシュを有している。そのようにしてシービングによって除かれた未分散粒子は、極端に大きいとみなされるものだけである。
【0053】
輸送手順の間に、試験シーブ(10)に極めて高い圧力を加えるが、それは、10〜100バールの高さとすることも可能である。試験シーブ(10)は、その下にシーブの形状の補助プレート(9)およびプレート(8)があるために、前記圧力にも耐えることができる。
【0054】
試験シーブ(10)の前に金属リング(11)を配置する。試験混合物を、(可能な限りにおいて)実際的に完全に試験シーブ(10)の中を通過させると、試験混合物中に存在していた未分散粒子が、金属リング(11)の内部の空間(12)の領域に最終的に残る。その空間の内部に残った試験片の部分(13)、すなわちシーブケーキは、容易に取り出して、試験にかけることができる。そのシーブケーキ(13)のサイズと厚みは既に、顕微鏡下でそれの検査と分析を可能とするのには適したものとなっている。
【0055】
図4に、Rhenogran TBzTD−70の場合に得られた結果を示す。示した例においては、直径が150〜175μmである区分1の未分散粒子が1個見つかり、直径が175〜250μmである区分2の未分散粒子が3個見つかり、図4で十分に認識されるくらい大きい、直径が250μmを超える区分3の未分散粒子(14)が4個見つかった。
【0056】
したがってその試験混合物は、その混合物中にポリマー結合ゴム添加剤がさらに存在していたので、欠陥品であった。
【0057】
この実施例で使用した試験量は、少なくとも全部で200g、多くとも全部で640gであった。たとえばより大きなシリンダーを使用するように、異なった寸法を有する他の系を使用するならば、他の量とすることも可能である。
【0058】
本発明においては、使用した量比は、試験するべきRhenogranが100gに対して、黒色EPDMマスターバッチが300gであった。従って、その量比は(1:3)であった。しかしながら、他の量比、たとえば(1:2)または(1:4)とすることもまた可能である。Rhenogran(登録商標)の濃度が過剰であると、未分散粒子の数が多すぎるために誤差が生じることがあり得て、そのために検査者が評価することができなくなるが、その理由は、未分散粒子からなる析出物が形成され、そのため計数手順が不可能となるためである。Rhenogranの濃度が低すぎると、発生する未分散粒子の数が少なすぎることになり得る。未分散粒子の数が少なすぎると、その結果は統計的な信頼性を失う可能性がある。
【符号の説明】
【0059】
1a、1b ローラー
2 マスターバッチ
3 ポリマー結合ゴム添加剤
4 デリミッタープレート
5 試験混合物
6 シリンダー
7 ピストン
8、9、10 シーブ
11 リング
12 空間
13 シーブケーキ
14 未分散粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー結合ゴム添加剤(3)を試験するための方法であって、ポリマー結合ゴム添加剤(3)を試験用マスターバッチ、特にEPDMマスターバッチ(2)と混合し、得られた試験混合物(5)を、強制的に試験シーブ(10)を通過させ、シービングによって除去された未分散粒子(14)の数を求める、方法。
【請求項2】
前記試験混合物(5)を、ピストン(7)およびシリンダー(6)を用いて、強制的に試験シーブ(10)を通過させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱した試験混合物(5)をまず、ロールまたはシリンダーの形状に二次加工し、そのように成形した前記試験混合物(5)をシリンダー(6)の中に挿入し、ピストン(7)を用いて、強制的に前記試験シーブ(10)を通過させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験混合物を、少なくとも1本のローラー(1a、1b)を使用して成形してマットとし、前記マットを巻き上げて、巻き上げた形態(5)で、強制的に前記試験シーブ(10)を通過させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー結合ゴム添加剤(3)および試験用マスターバッチ(2)を、ダブルロール系(1a、1b)の手段により混合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
シーブの形態にある複数のシーブおよび/またはプレート(8、9、10)を、加圧の方向から見て前記試験シーブ(10)の後側に、相互に隣接させながら配置しておき、ここで前記シーブ(8、9、10)それぞれのメッシュサイズを、加圧の方向に大きくしていく、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試験シーブ(10)の手前にリング(11)を配置しておく、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、シリンダー(6)およびその中に導入されるピストン(7)、前記シリンダーの一端の複数のシーブ(8、9、10)、およびシーブ(10)に隣接するリング(11)を備えた、装置。
【請求項9】
シーブ(10)が150μm以下のメッシュ幅を有し、外側に向けてそれに隣接するシーブ(8、9)のメッシュがそれよりも大きい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
デリミッタープレート(4)と共にダブルロール系(1a、1b)を包含する、請求項8および9のいずれか一項に記載の装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−95723(P2010−95723A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238272(P2009−238272)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(509286422)ライン・ケミー・ライノー・ゲーエムベーハー (13)
【Fターム(参考)】