説明

商品判別装置、商品判別方法、及び、プログラム

【課題】
食品等の商品を判別するのに好適な、商品判別装置、商品判別方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】
商品別波数吸光度格納部101は、検査対象物の分光分析を行った波数値とその波数値における吸光度値とを含む複数の分光分析結果を格納する。相関比計算制御部110は当該分光分析結果に基づいて相関比を算出する。説明変数選択部106は相関比が十分大きい波数値を選別し、選別結果を説明変数候補格納部107に格納する。正準判別分析式生成部108は前記分光分析結果と前記波数値の選別結果とに基づいて、分光分析によって商品を判別することができる判別分析式を生成し、正準判別分析式格納部109に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品等の商品を判別するのに好適な、商品判別装置、商品判別方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品等の成分を分析するためには幾つかの手法がある。例えば、食品の成分を分析する場合、これらの手法は、化学センサー等を用いて食品を味わう人間の味覚をシミュレートする化学的手法と、光学センサー等を用いて食品の成分分析をする物理的手法とに大別することができる。
【0003】
前記化学的手法の1つに、非特許文献1がある。この手法では、化学センサーは、食品を入力として与えられると、その食品の味覚値(例えば、甘味、塩味、苦味、酸味、旨味など)をそれぞれ計量し、食品の味覚を擬似的に表現する。具体的には、例えば、幾つかの異なるブランドのビールやコーヒーの味覚の差を、味覚値を用いて表現することができる。また、例えば、うにの味覚値は「しょうゆ+プリン」の味覚値と似ている、という事例がある。
【0004】
しかし、この手法では、食品に対する味覚の推定はできても、食品の成分分析を行うことはできない。この点において、食品の成分分析のためには有効な手法ではない。
【0005】
一方、前記物理的手法は一般に分光分析法と呼ばれる。この手法では、計測対象である物質に対して、種々の電磁波(例えば、赤外線、X線など)を照射して、その対象物質に含まれる成分が何であるかを識別し、その成分の有無を判別し、また、その含有量を定量化する手法である。この原理は、物質は各々固有の波数の電磁波を放出又は吸収するという性質に基づいている。ここで、波数とは、1cmの間の波の数を示す。
【0006】
例えば、分光分析法を用いてメロンの糖度を推定する手法は、すでに実用化がなされている。また、別の事例として、同じ原理に基づいた、食品工場で品質を安定させるための生産管理システムがある。さらに、別の事例として、米の食味計は、測定して得られる点数が米の卸流通価格に影響を与えるほどの信頼性を得ている。例えば、米の成分分析を行う手法として、特許文献1及び特許文献2がある。
【特許文献1】特開平6−313754号公報
【特許文献2】特開平8−029335号公報
【非特許文献1】九州大学都甲潔研究室WEBサイト、http://ultrabio.ed.kyushu-u.ac.jp/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した事例における分析装置は、特定の食品に特化したものである。また、それら特定の食品に関する成分分析のノウハウを組み込んだものであるため、上述した事例における分析装置は1台あたり数百万円から数千万円の価格であるのが現状である。また、従来の利用方法では、食品の食味や成分分析が目的であり、対象の品名(商品名)を推定するという商品判別装置は存在していない。
【0008】
分光分析法を用いて、食品の商品名を推定するためには、一般に以下のような手法が考えられる。すなわち、複数のサンプルの食品(例えば、ワインなど)に対する分光分析スペクトル(例えば、赤外線スペクトルなど)を予め測定し、スペクトル全体を保存しておく。次に、計測対象である食品の分光分析スペクトルを測定する。そして、予め採取したスペクトルと、新たに測定したスペクトルとの全体を比較する。その結果、最も近いスペクトルの波形パターンの品種が、新たに測定した食品である、と推定することができる。
この方法では、商品名を知りたい検査対象商品のスペクトルと、既に測定し登録されているスペクトルとを比較する。しかし、登録されているスペクトルが多数存在する場合、スペクトルを比較するために膨大な時間がかかるという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、食品等の商品を判別するのに好適な、商品判別装置、商品判別方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る商品判別装置は、
商品識別データと、各商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件、及び、当該測定条件において測定された分光分析結果と、を含むデータを複数個格納する分光分析結果格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果の統計データを算出する統計値計算部と、
前記統計値計算部によって算出された統計データを格納する統計値格納部と、
測定条件別に分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納された前記分光分析結果と、前記統計値格納部に格納された統計データと、前記測定条件選択・格納部に格納された測定条件候補データと、に基づいて、分光分析により商品を判別するための判別分析式を生成する判別分析式生成部と、
前記判別分析式生成部によって生成された判別分析式を格納する判別分析式格納部と、
を備える。
【0011】
また、商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件及び当該測定条件において測定された分光分析結果を含むデータを複数個格納する分光分析結果格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納部と、
商品を判別するための判別分析式を格納する判別分析式格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納された分光分析結果と、前記測定条件候補格納部に格納された測定条件候補データと、前記判別分析式格納部に格納された判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品判別計算部と、
前記商品判別計算部によって算出された商品識別データを格納する商品判別結果格納部と、を備えることができる。
【0012】
また、商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを格納する商品種類格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件の中から所定の条件を満たす測定条件を抽出し、さらに、当該測定条件と、前記商品種類識別データと、前記判別分析式格納部に格納された判別分析式と、を含むデータを算出する商品種類別測定条件組判別式組計算部と、
前記商品種類別測定条件組判別式組計算部によって算出されたデータを複数個格納する商品種類別測定条件組判別式組格納部と、を備えることができる。
【0013】
また、商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品識別データを算出するための判別分析式と、を含むデータを複数個格納する商品種類別測定条件組判別式組格納部と、
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを格納する商品種類格納部と、
前記商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、分光分析により商品を判別するための判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品種類別商品判別計算部と、
前記商品種類別商品判別計算部によって算出された商品識別データを格納する商品種類別商品判別結果格納部と、を備えることができる。
【0014】
また、本発明の第2の観点に係る商品判別方法は、
商品識別データと、商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件と、当該測定条件において測定された分光分析結果と、を含むデータを所定の格納場所に格納する分光分析結果格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果の統計データを算出する統計値計算手段と、
前記統計値計算手段によって算出された統計データを格納する統計値格納手段と、
測定条件別に前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納手段と、
前記分光分析結果格納手段により格納された分光分析結果と、前記統計値格納手段により格納された統計データと、前記測定条件選択・格納手段により格納されたデータと、に基づいて、分光分析により商品を判別するための判別分析式を生成する判別分析式生成手段と、
前記判別分析式生成手段によって生成された判別分析式を格納する判別分析式格納手段と、を備える。
【0015】
また、商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを算出し、所定の格納場所に格納する商品種類格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件の中から所定の条件を満たす測定条件を抽出し、さらに、当該測定条件、前記商品種類識別データ、及び、前記判別分析式を含むデータを算出する商品種類別測定条件組判別式組計算手段と、
前記商品種類別測定条件組判別式組計算手段によって算出されたデータを所定の格納場所に格納する商品種類別測定条件組判別式組格納手段と、を備えることができる。
【0016】
また、本発明の第3の観点に係る商品判別方法は、
商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件、及び、当該測定条件において測定された分光分析結果を含むデータを所定の格納場所に格納する分光分析結果格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件において、前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納手段と、
商品を判別するための判別分析式を格納する判別分析式格納手段と、
前記分光分析結果格納手段により格納された分光分析結果と、前記測定条件選択・格納手段により格納されたデータと、前記判別分析式格納手段により格納された判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品判別計算手段と、
前記商品判別計算手段によって算出された商品識別データを格納する商品判別結果格納手段と、を備える。
【0017】
また、商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品識別データを算出するための判別分析式と、を含むデータを所定の格納場所に格納する商品種類別測定条件組判別式組格納手段と、
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを算出し、所定の格納場所に格納する商品種類格納手段と、
前記商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品を判別するための判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品種類別商品判別計算手段と、
前記商品種類別商品判別計算手段によって算出された商品識別データを所定の格納場所に格納する商品種類別商品判別結果格納手段と、を備えることができる。
【0018】
また、本発明の第4の観点に係る商品判別プログラムは、分光分析装置と記録装置と入力装置と出力装置とに接続されるコンピュータを、前記分光分析装置に対し、任意の測定条件において分光分析を行わせる分光分析制御手段として機能させ、さらに、
前記記録装置に対し、前記分光分析装置によって測定された分光分析結果と、当該分光分析結果に基づいて算出された統計データと、当該統計データに基づいて算出された判別分析式と、当該判別分析式に基づいて算出された商品判別結果データと、を所定の格納場所に格納させる記録手段として機能させ、さらに、
前記入力装置に対し、商品識別データ入力信号および商品種類識別データ入力信号を受け付ける入力信号受付手段として機能させ、さらに、
前記出力装置に対し、商品判別結果を出力する判別結果出力手段として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、食品等の商品を判別するのに好適な、商品判別装置、商品判別方法、及び、プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
商品判別装置100は、制御部10と、入力部11と、出力部12と、分光分析器13と、記録部14と、RAM15と、ROM16と、を含む。
【0021】
制御部10は、商品判別装置100の全体の制御を行う。例えば、制御部10は、分光分析器13に対して検査対象物の分光分析(具体的には、例えば、吸光度測定など)を行わせるための制御を行う。また、例えば、制御部10は、前記分光分析結果データに基づいて、各種の統計データ(具体的には、例えば、級内変動値、相関値等)の算出や、分光分析によって商品識別データ(具体的には、例えば、商品名等)を判別するための判別分析式の算出等を行う。級内変動値、相関値、判別分析式については後述する。
【0022】
入力部11は、ボタン・キーボード41に接続されており、ユーザから入力される商品識別データ入力信号21、商品種類識別データ入力信号22を受け付ける。入力部11は、前記商品識別データ入力信号21を受け付けると、制御部10に対して当該商品識別データ入力信号21に対応する商品識別名(具体的には、例えば、商品名等)を送出する。また、入力部11は、前記商品種類識別データ入力信号22を受け付けると、制御部10に対して当該商品種類識別データ入力信号22に対応する商品種類識別名(具体的には、例えば、ワイン、ビール、コーヒー等)を送出する。つまり、ユーザは、ボタン・キーボード41を用いて、商品判別装置100に対して、例えば、商品名や商品種類名の入力を行うことができる。
【0023】
出力部12は、表示装置であるモニタ42に接続されている。出力部12は、前記表示装置に対して、商品判別装置100によって判別された結果等を示す判別結果信号23を出力する。そして、商品判別装置100に接続された前記モニタ42によって、前記判別結果信号23に基づいた判別結果等が表示される。つまり、ユーザは、モニタ42によって、商品判別装置100による商品判別結果等を知ることができる。
【0024】
分光分析器13は、検査対象商品43に対して分析光(具体的には、例えば、赤外線、近赤外線、中赤外線など)を照射し、分光分析結果(具体的には、例えば、吸光度値等)を得る装置である。また、分光分析器13は、ユーザからの分光分析要求24を受け付ける。例えば、分光分析器13は、ユーザからの分光分析要求24によって、検査対象商品43のサンプルを所定の計測ポジションにセットし、分光分析を開始する。尚、分光分析器13は、本発明によって限定される物ではない。したがって、当業者であればこれと均等な物に置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0025】
記録部14は、分光分析器13によって測定された分光分析結果や、制御部10によって算出された商品判別結果データ等を保存する。例えば、記録部14は、ハードディスクドライブ等の記録装置から構成される。また、記録部14はデータベース31を含む。記録部14は、前記分光分析器13からの入力による前記分光分析結果や、前記制御部10からの入力による前記商品判別結果データ等を所定の格納場所に保存する。データベース31に含まれる所定の格納場所の詳細については後述する。
【0026】
RAM(Random Access Memory)15は、制御部10によって算出された算出データ等を一時的に保存するための揮発性メモリである。制御部10は、RAM15を用いることによって、例えば商品判別装置100の全体の制御に必要なデータに対し、記録部14に比べて高速にアクセスすることが可能である。
【0027】
ROM(Read Only Memory)16は、制御部10が商品判別装置100の全体を制御するためのプログラムを保存する不揮発性メモリである。例えば、ROM16は、制御部10が分光分析器13によって測定された分光分析結果に基づいて、検査対象商品43の商品名を判別するための判別分析式を算出するためのプログラムが保存される。
【0028】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100が分光分析を行い商品を判別する動作を説明する。図2は、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作を説明するためのブロック図である。
【0029】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0030】
商品判別装置100は、商品別波数吸光度格納部101と、相関比格納部105と、説明変数選択部106と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式生成部108と、正準判別分析式格納部109と、相関比計算制御部110と、検査物分光分析器120と、を含む。さらに、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102と、偏差平方計算部103と、相関比計算部104と、を含む。
【0031】
検査物分光分析器120は、検査対象商品に対して分析光(具体的には、例えば、赤外線、近赤外線、遠赤外線等)を照射し、当該分析光による分光分析結果(本実施の形態では、吸光度値)を測定する装置である。尚、検査物分光分析器120は、本発明によって限定される物ではない。したがって、当業者であればこれと均等な物に置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0032】
商品別波数吸光度格納部101には、検査物分光分析器120を用いて分光分析された、波数値ごとの吸光度値が保存される。例えば、商品別波数吸光度格納部101には、1サンプルのワインの商品名に対して、波数値ごとに吸光度値が計測された分光分析結果が、1レコードの形式で格納される。そして、商品別波数吸光度格納部101には、複数のサンプルのワインに対して得られた分光分析結果が格納される。本図の場合、商品名「ワイン1」は、波数値1000では吸光度値0.2、波数値1010では吸光度値0.3、のように格納されている。
また、商品別波数吸光度格納部101には、1つの波数値に対して、1つの列IDが付与されている。例えば、本図の場合、列IDが1の波数値は1000である。また、サンプルである商品の分光分析結果の1レコードに対して、1つの行IDが付与されている。例えば、行IDが1のレコードは、商品名「ワイン1」に対する波数値ごとの吸光度値が格納されているレコードに対応する。
尚、本実施の形態においては、上述のように、前記商品名と前記波数値ごとに測定された分光分析結果とが1レコードの形式で格納されるが、これを複数のレコードに分割し、例えば正規化を行い、これらの分割したレコードを対応づけてもよい。
【0033】
一般に、吸光度値は、1つのサンプルに対して複数回(実用レベルでは5回程度)測定されることが好ましい。もし1回の測定しか行わないと、そのときの測定の状況が特殊な場合に、測定された吸光度値は正しくない値になってしまうからである。また、同じブランドの商品でも少しずつ品質が異なる場合、正しい商品名を判別することができない可能性がある。したがって、吸光度値を測定する際、1つの商品のサンプルに対して複数回の測定を行うことが好ましい。そして、それら同一の商品に対して得られた吸光度値は同一のグループである、と表現する。
【0034】
図4は、横軸に波数値を、縦軸に測定された吸光度値を取り、プロットした図の例である。サンプル1(例えば、ワイン1)は、複数回の測定がされている。ここで、複数回測定されたサンプル1の測定値は、同一グループに属する。同様に、サンプル2、3(例えば、ワイン2、3)も複数回の測定がされている。ここで、同一グループに属する測定値は、同一の商品に対して測定された物であるため、本来ばらつきはないはずである。しかし、実際には、測定の条件や、商品そのものの品質のばらつきが原因で、同一グループ内における測定値のばらつきが起こる。このグループ内におけるばらつきを級内変動と呼ぶ。一方、異なるグループ間では、サンプルが異なるため、一般にばらつきが起こる。このグループ間でのばらつきを級間変動と呼ぶ。
【0035】
例えば、本図のBの点線で囲まれる測定値では、級内変動が小さく、級間変動も小さい。このような場合、グループ間での差異が小さいため、商品を判別するための測定点としては相応しくない。また、例えば、本図のCの点線で囲まれる測定値では、級内変動が大きく、級間変動も大きい。このような場合、異なるグループ間での差異は大きいものの、同一グループ内での差異も大きく、商品を判別するための測定点としては相応しくない。一方、本図のAの点線で囲まれる測定値では、級内変動が小さく、級間変動が大きい。このような場合、同一グループ内での差異が小さく、異なるグループ間での差異が大きいため、商品を判別するための測定点として相応しい。このように、実際の吸光度値の測定においては、グループ間のばらつき(級間変動)が大きく、かつ、グループ内のばらつき(級内変動)が小さい波数値を選択して測定を行う。
【0036】
次に、級内変動計算部102は、制御部10に含まれ、商品別波数吸光度格納部101の中の列IDの1つを入力として、級内変動値を出力する。すなわち、まず、級内変動計算部102は、相関比計算制御部110によって商品別波数吸光度格納部101の中の列IDの1つに対応する波数値が与えられる。次に、級内変動計算部102は、商品別波数吸光度格納部101に保持されたレコードを、商品名が同値のレコードごとにグループ化する。さらに、級内変動計算部102は、グループ化された商品名ごとに前記波数値における偏差平方値を算出し、当該偏差平方値を総和した値を級内変動値として相関比計算部104に出力する。
【0037】
ここで、本実施の形態において統計データとして用いる、級内変動値、相関比等について説明する。級内変動値Swは、グループ内の個別要素の値と平均値との間の偏差平方の和である。
【0038】
例えば、グループがグループ1(G1)からグループn(Gn)まであるとする。あるグループGjの中に、グループの構成要素が構成要素1(Ej1)から構成要素m(Ejm)まであり、それらの平均値がGjaであるとする。このとき、グループGjの偏差平方和Sjは、[数1]のように表される。
【0039】
【数1】

【0040】
また、級内変動値Swは、すべてのグループごとの偏差平方和を合計したものであり、[数2]のように表される。
【0041】
【数2】

【0042】
一方、級間変動値Sbは、全体平均値Taと各グループの平均値の偏差平方値に、各グループの構成要素の数を乗じて算出される。つまり、グループjの構成要素数をNjとすると、[数3]のように表される。
【0043】
【数3】

【0044】
前述のように、吸光度値を測定するためには、級内変動が小さく、級間変動が大きい波数値が商品を判別するための波数値として適している。
【0045】
ここで、分光分析を行う波数値としてどの程度適しているかを示す指標として、相関比という概念を導入する。相関比Seは、[数4]で表される。
【0046】
【数4】


【0047】
例えば、同一グループ内の変動が全くない場合には、相関比Seは1になる。また、グループ間での変動が大きいほど、分子が大きくなり、1に近づく。一方、例えば、グループ内に属する要素がすべて同じになれば、相関比Seは0(ゼロ)になる。また、グループ平均が同じになると、グループ間の判別ができなくなり、このときの相関比Seは0(ゼロ)になる。つまり、相関比Seが1に近いほど、その波数値は商品を判別するために良質な波数値であると言える。経験的には、相関比Seが0.8以上の場合、非常に強い相関があり、0.5以上の場合、ある程度の相関があり、0.25以下だと相関なし、と言える。
【0048】
さらに、すべての構成要素全体の偏差平方値をSとすると、偏差平方値Sは[数5]で表される。
【0049】
【数5】

【0050】
したがって、相関比Seは、[数6]で表される。
【0051】
【数6】


【0052】
つまり、ある波数値における級内変動値Swを求めると、級間変動値Sbを計算しなくても、その波数値における相関比Seを求めることができる。
【0053】
図5は、10種類のワインを使い、対象波数値が814から3986までの1646点において、ワインの種類ごとにそれぞれ3回ずつ吸光度値の測定を行った場合の例である。この場合、相関比Seが0.999以上の波数値が23点ある。したがって、測定する波数値を20点程度選択すべき時は、これらの点を用いるべきである。また、さらに多くの波数値を用いる時には、相関比Seが0.998以上まで条件を緩めれば、合計74点選択することができる。統計の分野においては、一般に、判別すべきグループの数がN個ある場合、サンプルの数は当然N個よりも多ければ多いほど良く、一方、測定に使われる点はN点より少ないのが良い、とされている。したがって、ワインの種類として10種類あれば、測定点としては10点以下が望ましい。つまり、相関比Seが0.999以上の23点からさらに10点を選択して測定するのが望ましい。ただし、これらは絶対的な方法ではなく、経験的に得られた方法である。
【0054】
このように、級内変動計算部102は、級内変動値Swを計算する。例えば、図2の例において、相関比計算制御部110によって列IDが1の列、すなわち波数値が1000の列が与えられた場合、商品名「ワイン1」乃至「ワイン4」の平均値、偏差平方値、および、波数値1000における級内変動値Swは、級内変動計算部102によって次のように求められる。
【0055】
【数7】



【数8】



【数9】



【数10】


【0056】
【数11】


【数12】


【数13】


【数14】

【0057】
【数15】

【0058】
偏差平方計算部103は、制御部10に含まれ、相関比計算制御部110から列IDを与えられると、当該列IDに対応する波数値においてすべてのレコードの値の偏差平方和Sを計算して、相関比計算部104に出力する。例えば、図2の例において、列IDが1の列、すなわち波数値が1000の列が与えられた場合、偏差平方計算部103は、[数16]および[数17]のように平均値、偏差平方値Sを算出する。
【0059】
【数16】



【数17】

【0060】
相関比計算部104は、制御部10に含まれ、相関比計算制御部110から列IDを与えられると、級内変動計算部102からの入力と、偏差平方計算部103からの入力を受け取り、相関比Seを計算する。そして、得られた相関比Seを、相関比格納部105の対応する列IDの波数値の格納場所に格納する。例えば、図2の例において、波数値1000における偏差平方和Swは0.01であり、偏差平方値Sは0.15である。したがって、相関比Seは[数18]のように表される。
【0061】
【数18】


【0062】
すなわち、相関比計算部104は、得られた相関比Se=0.93を、相関比格納部105の列IDが1の部分の格納場所に格納する。
【0063】
相関比格納部105は、商品別波数吸光度格納部101の列IDに対応して、相関比Seを格納する場所をもつメモリであり、記録部14の中に存在する。この格納場所は、商品別波数吸光度格納部101の列IDの数だけ存在する。
【0064】
相関比計算制御部110は、制御部10に含まれ、級内変動計算部102、偏差平方計算部103、相関比計算部104に対して、所定の計算の指示を与える制御部の役割をもつ。具体的には、まず、相関比計算制御部110は、商品別波数吸光度格納部101の列IDを順に1つずつ取り出して級内変動計算部102に渡し、級内変動計算部102に対してその列IDに相当する波数値の級内変動値Swを計算するように指示する。また、相関比計算制御部110は、偏差平方計算部103に対して、前記列IDに対応する波数値の偏差平方値Sを計算するように指示する。次に、相関比計算制御部110は、相関比計算部104に対して、級内変動計算部102と偏差平方計算部103とによる計算結果を受け取るように指示する。さらに、相関比計算制御部110は、相関比計算部104に対して、相関比Seを計算させ、対応する相関比格納部105の格納場所に計算結果を格納するように指示する。このように、相関比計算制御部110は、商品別波数吸光度格納部101のすべての列IDに対して、順に処理を行うように制御する。したがって、相関比計算制御部110によってすべての列IDに対する処理が行われると、相関比格納部105には、すべての列IDに対応する格納場所に相関比Seの計算結果が格納されていることになる。
【0065】
説明変数選択部106は、制御部10に含まれ、相関比格納部105が格納している値を見て、相関比Seの値が予め決められたしきい値より大きい値をもつか否かを判別する。さらに、説明変数候補選択部106は、判別した列IDに対応する説明変数候補格納部107の格納場所に、判別した結果を示す値を格納する。例えば、本実施の形態においては、相関比Seが予め与えられたしきい値より大きい場合に真値(1)を格納し、それ以外の場合に偽値(0;ゼロ)を格納する。ここで、当該しきい値は、対象とする商品の特性や分光分析装置の性能によって異なる値である。
【0066】
説明変数候補格納部107は、商品別波数吸光度格納部101の列IDに対応して、前記説明変数選択部106が算出した値を格納する場所をもつメモリであり、記録部14の中に存在する。この格納場所は、商品別波数吸光度格納部101の列IDの数だけ存在する。
【0067】
正準判別分析式生成部108は、制御部10に含まれ、商品別波数吸光度格納部101と説明変数候補格納部107の値を入力として、正準判別分析式を生成する。具体的には、まず、正準判別分析式生成部108は、商品別波数吸光度格納部101の行IDに対応するレコードのうち、説明変数候補格納部107の格納場所に真値(1)が格納されている列IDの波数値を取り出す。次に、正準判別分析式生成部108は、取り出した波数値の組を説明変数とし、さらに、商品名の列の値を目的変数とした組を行IDに対応するレコードのすべてに対して生成する。例えば、図2の例において、波数値1010、波数値1030、波数値1050に対応する説明変数候補格納部107には、真値(1)が格納されている。したがって、得られる説明変数と目的変数の組は、図6のようになる。正準判別分析式については後述する。
【0068】
正準判別分析式格納部109は、正準判別分析式生成部108によって生成された正準判別分析式を格納するメモリであり、記録部14の中に存在する。
【0069】
次に、正準判別分析式について説明する。
本発明においては、統計学の分野で多変量データの分析手法の1つとして確立されている、正準判別分析技法(canonical correlation analysis)を用いる。これは、一般的には、重回帰分析と呼ばれる技法である。重回帰分析では、入力が複数あり、それらの入力値によって出力値が決定する場合に、その入力と出力との関係を線形一次式で近似する。統計学では、入力を説明変数、出力を目的変数と呼ぶ。以下、詳述する。
【0070】
複数の説明変数をX1、X2、X3、のように表し、目的変数をYで表すと、目的変数Yは[数19]のように表される。一般に、[数19]は回帰式と呼ばれる。
【0071】
【数19】

【0072】
ここで、a0をY切片、b1、b2、・・・bkを回帰係数と呼ぶ。この回帰式のY切片と各回帰係数は、最小自乗法を用いて求められる。
【0073】
例えば、本実施の形態では、説明変数Xkが吸光度値を測定する波数値であり、目的変数Yがワインの商品名である。
【0074】
次に、本実施の形態における、商品判別装置100の動作の流れを説明する。
図3は、本実施の形態における、商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
本実施の形態においては、商品判別装置100は、サンプルである商品(本実施の形態では、各種のワイン)に対して赤外線を照射し、その吸光度値を測定する場合を例に説明する。ユーザ(測定者)は、商品判別装置100に対して、得られた吸光度値に対応してその商品の商品名(具体的には、例えば、X社ボジョレーヌーボーなど)を教示する。そして、ユーザによってこれらの操作が繰り返される。これによって、商品判別装置100は、商品の吸光度特性を自動的に学習することができる。以下、この機能を「学習モード」と呼ぶ。以下、詳述する。
【0075】
まず、ユーザは、検査対象物であるワインを注いだグラスを複数個用意する。例えば、異なるワインの商品を100種類用意する。この場合、すべてのグループ数nは100である。次に、検査物分光分析器120によって、ユーザが用意したワインに対して分析光が照射され、吸光度値が測定される(ステップS301)。測定された吸光度値は、商品別波数級光度格納部101に格納される。ここで、吸光度値の測定は、1つのワインに対して複数回行われることが好ましい。次に、ユーザによって、吸光度値を測定した当該ワインの商品名が入力される(ステップS302)。そして、これらの操作(ステップS301乃至S302)は、用意されたワインすべてに対して繰り返し行われる(ステップS303でYes)。この結果、商品別波数吸光度格納部101には、すべてのサンプルのワインに対する吸光度値が格納される。
【0076】
次に、すべてのワインに対して吸光度値の測定が行われると(ステップS303でNo)、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102に対して、級内変動値Swを計算させる(ステップS304)。同様に、相関比計算制御部110は、偏差平方計算部103に対して、偏差平方値Sを計算させる(ステップS304)。
【0077】
さらに、相関比計算制御部110は、相関比計算部104に対して、級内変動計算部102によって得られた級内変動値Swと、偏差平方計算部103によって得られた偏差平方値Sとを入力として、相関比Seを計算させる(ステップS305)。これによって、相関比格納部105に、すべての列ID(すなわち、すべての測定波数)に対して、相関比Seが格納される。
【0078】
次に、説明変数選択部106は、予め決められたしきい値より大きい相関比Seが有効な値であるとみなすことによって、商品を判別するために有効な波数値を選択する。つまり、説明変数選択部106は、測定が行われた波数値が商品名を判別するために相応しい値であるか否かを示す値(真偽値)を説明変数候補格納部107に格納する(ステップS306)。選択された波数値は、上述した正準判別分析技法における説明変数となる。
【0079】
そして、正準判別分析式生成部108は、商品別波数吸光度格納部101と説明変数候補格納部107とに格納されたデータから、分光分析によって商品を判別することができる正準判別分析式を決定し、正準判別分析式格納部109に格納する(ステップS307)。
【0080】
このように、本実施の形態における商品判別装置100は、説明変数としてサンプルのワインの吸光度値を測定した波数値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名を得られる正準判別分析式[数19]を得ることができる。言い換えれば、本実施の形態における商品判別装置100は、「学習モード」機能を有する商品判別装置として構成される。そして、商品判別装置100は、サンプルのワインの商品名を判別するための正準判別分析式を用いて、ワインの商品名を判別することができる。商品名を判別するための具体例は、後述する他の実施形態において説明する。
【0081】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上述したように、第1の実施形態に係る商品判別装置100は、サンプル商品の分光分析結果を用い、商品名を判別させたい検査対象商品の商品名が得られる判別分析式を得ることができる「学習モード」機能を有する。本実施の形態における商品判別装置100は、商品名を判別したい検査対象商品の分光分析を行い、例えば予め「学習モード」を実行して得られた判別分析式に基づいて、商品名を判別することができる機能(以下、「判別モード」と呼ぶ)を有する。以下、詳述する。
【0082】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0083】
図7は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、検査物分光分析器120と、特定商品波数吸光度格納部201と、正準判別分析式計算部202と、目的変数出力格納部203と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式格納部109と、を含む。
【0084】
検査物分光分析器120は、検査対象商品43に対して分析光(具体的には、例えば、赤外線、近赤外線、遠赤外線等)を照射し、当該分析光による分光分析結果(本実施の形態では、吸光度値)を測定する装置である。具体的には、検査物分光分析器120は、特定商品波数級光度格納部201に、波数値とその波数値における吸光度値とを含むデータを複数個出力する。尚、検査物分光分析器120は、本発明によって限定される物ではない。したがって、当業者であればこれと均等な物に置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0085】
特定商品波数吸光度格納部201は、記録部14の中に存在し、検査物分光分析器120によって分光分析が行われた波数値とその波数値における吸光度値とを含むデータが入力され、格納する。また、測定直後においては、検査対象商品43の商品名はまだ判別されていないため、例えば「不明」という値が格納される。
【0086】
説明変数候補格納部107は、本発明の第1の実施形態における説明変数候補格納部と同じ物である。すなわち、特定商品波数吸光度格納部201の列IDに対応して、測定が行われた波数値が商品名を判別するために相応しい値であるか否かを示す値(真偽値)を格納する場所をもつメモリである。
【0087】
正準判別分析式格納部109は、本発明の第1の実施形態における正準判別分析式格納部と同じ物である。すなわち、説明変数としてすべてのサンプルのワインの吸光度値を測定した波数値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名が得られる正準判別分析式を格納する。
【0088】
正準判別分析式計算部202は、制御部10に含まれ、商品を判別するための正準判別分析式を用いて目的変数を算出する。すなわち、まず、正準判別分析式計算部202は、説明変数としてサンプルのワインの吸光度値を測定した波数値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名が得られる正準判別分析式が格納されている正準判別分析式格納部109から当該正準判別分析式を取り出す。次に、分光分析が行われた波数値が商品名を判別するために相応しい値であるか否かを示す値(真偽値)が格納されている説明変数候補格納部107を参照し、説明変数候補格納部107で真値(1)が格納されている列IDに対応する波数値を前記特定商品波数吸光度格納部201から取り出す。さらに、正準判別分析式計算部202は、説明変数として当該波数値を用い、前記正準判別分析式に基づいて目的変数である商品名を出力する。
【0089】
目的変数出力格納部203は、正準判別分析式計算部202が算出した判別結果データを格納するメモリであり、記録部14の中に存在する。本実施の形態の場合、目的変数出力格納部203に入力された当該判別結果データは、前記検査物分光分析器120が分光分析した検査対象商品43の商品名である。
【0090】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明する。ここでは、例えば、ワインの商品名を判別する場合を例に説明する。図8は、本実施の形態における、商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0091】
まず、ユーザ(検査者)は、ワインを注いだグラスを複数個用意し、サンプルであるワインに対して赤外線を照射し、その吸光度値を予め測定しておく。次に、商品判別装置100は、得られた吸光度値に対応してその商品名(具体的には、例えば、X社ボジョレーヌーボーなど)がユーザによって予め教示される。そして、ユーザは、用意したすべてのサンプルのワインに対して同様の測定を行っておく。この結果、商品判別装置100は、説明変数として用意したサンプルのワインの吸光度値の測定が行われた波数値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名が得られる正準判別分析式を得ることができる。すなわち、商品判別装置100は、例えば予めユーザが「学習モード」を実行することによって、説明変数候補格納部107に格納される説明変数候補と、正準判別分析式格納部109に格納される正準判別分析式とを得る(ステップS801)。尚、本実施の形態に係る商品判別装置100は、前記説明変数候補と前記正準判別分析式とが予めユーザによって所定の値に決定され格納されていてもよい。
【0092】
次に、ユーザは、検査物分光分析器120を用いて、商品名を判別させたい検査対象のワインに対して分光分析を行う。検査物分光分析器120は、波数値ごとの吸光度値を算出する(ステップS802)。これによって、商品名を判別させたい検査対象のワインに対して行った分光分析結果が、前記特定商品波数吸光度格納部201に格納される。
【0093】
一方、例えば前記「学習モード」の実行によって、説明変数候補格納部107に説明変数候補の真偽値が格納されている。また、同様に例えば前記「学習モード」の実行によって、正準判別分析式格納部109に正準判別分析式が格納されている。
正準判別分析式計算部202は、前記特定商品波数吸光度格納部201に格納された商品名を判別させたい検査対象のワインに対して行った分光分析結果を取り出す(ステップS803)。また、正準判別分析式計算部202は、説明変数候補格納部107に格納された説明変数候補の真偽値を取り出す(ステップS804)。さらに、正準判別分析式計算部202は、正準判別分析式格納部109に格納された正準判別分析式を取り出す(ステップS805)。
【0094】
正準判別分析式計算部202は、前記分光分析結果と前記真偽値とに基づいて、波数値とその波数値における吸光度値を説明変数として前記正準判別分析式に入力する。その結果、正準判別分析式計算部202は、目的変数であるワインの商品名を得る(ステップS806)。そして、正準判別分析式計算部202は、得られた商品名を目的変数出力格納部203に出力する(ステップS807)。その後、例えば商品判別装置100に接続されたモニタ等に判別結果を表示する。つまり、ユーザは、商品名を判別させたい検査対象のワインの商品名を知ることができる。
【0095】
このように、本実施の形態に係る商品判別装置100は、例えば予め「学習モード」を実行して得られた説明変数候補の真偽値と、正準判別分析式と、本実施の形態の「判別モード」を実行して得られた商品名を判別させたい検査対象商品43の分光分析結果と、に基づいて、検査対象商品の商品名を得ることができる。また、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第1の実施形態に係る商品判別装置100と組み合わせて用いることによって、有効な効果を提供することができる。
【0096】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、第1の実施形態に係る商品判別装置100が備える機能を拡張させた物である。すなわち、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第1の実施形態における「学習モード」機能を拡張させた機能を有する。第1の実施形態における「学習モード」機能では、商品判別装置100は、特定の商品種類(第1の実施形態においては、「ワイン」)に固定して正準判別分析式を得る。一方、本実施形態における拡張された「学習モード」機能では、商品判別装置100は、複数の商品種類(具体的には、例えば、ワイン、ビール、コーヒー等)を対象として正準判別分析式を得ることができる。また、商品判別装置100が学習を行う商品種類を切り替えるためのボタン等を備えている。以下、詳述する。
【0097】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記商品種類識別データとして商品種類名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0098】
図9は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、商品別波数吸光度格納部101と、相関比格納部105と、説明変数選択部106と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式生成部108と、相関比計算制御部110と、検査物分光分析器120と、商品種類別有効波数組判別式組格納部301と、商品種類格納部302と、商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303と、を含む。さらに、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102と、偏差平方計算部103と、相関比計算部104と、を含む。
これらのうち、商品別波数吸光度格納部101と、相関比格納部105と、説明変数選択部106と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式生成部108と、相関比計算制御部110と、検査物分光分析器120とは、第1の実施形態の商品判別装置が備える物と同一のため、説明は省略する。
【0099】
商品種類別有効波数組判別式組格納部301は、商品種類名、波数値の組、判別式の組、の3つを含むデータを複数個格納できるメモリであり、記録部14の中に存在する。
【0100】
商品種類格納部302は、ユーザ(検査者)からの入力によって、これから商品判別装置100が学習する商品種類名が格納されるメモリであり、記録部14の中に存在する。つまり、商品種類格納部302は、商品判別装置100が学習を行う商品種類を切り替えるためのボタン等を用いてユーザによって入力された商品種類指示入力310に対応する商品種類名を格納する。例えば、ユーザからの入力によって商品種類名として「ワイン」などが格納される。
【0101】
商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303は、制御部10に含まれ、正準判別分析式生成部108に格納された正準判別分析式と、説明変数候補格納部107に格納された波数値及び真偽値と、商品種類格納部302に格納された商品種類名と、を入力として、これら3つの入力を1つのレコードとして商品種類別有効波数組判別式組格納部301に格納するための制御を行う。尚、本実施の形態では、上述のように前記正準判別分析式と真偽値と商品種類名とを1つのレコードとして格納しているが、複数のレコードに分割して保存し、例えば正規化を行い、これらの分割したレコードを対応づけてもよい。
【0102】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明する。ここでは、例えば、ワインの商品名を判別する場合を例に説明する。図10は、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0103】
まず、商品判別装置100は、ユーザからの商品種類指示入力310を受け付ける(ステップS1001)。例えば、ユーザは、商品種類名(具体的には、例えば、ワイン、米、ビール、果物など)の中から、商品名を判別させたい商品種類名(例えば、ワイン)を選択する。入力された商品種類名は、商品種類格納部302に格納される。商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303は、商品種類格納部302から入力される商品種類名によって、商品判別装置100が学習する商品種類名を決定する(ステップS1002)。本実施の形態では、商品種類名としてワインが選択された場合を例に説明する。
【0104】
次に、第1の実施形態と同様に、検査物分光分析器120によって、ユーザが用意したワインに対して赤外線が照射され、吸光度値が測定される(ステップS1003)。ここで、吸光度値が測定されるサンプルは、上述のように決定された商品種類名「ワイン」に属するサンプルのみである。ここで、この吸光度値の測定は、1つのワインに対して複数回行われることが好ましい。そして、ユーザによって、吸光度値を測定した当該ワインの商品名が入力される(ステップS1004)。さらに、この吸光度値の測定は、用意されたワインすべてに対して繰り返し行われる(ステップS1005でYes)。この結果、商品別波数吸光度格納部101には、すべてのサンプルのワインに対する吸光度値が格納される。
【0105】
すべてのワインに対して吸光度値の測定が行われると(ステップS1005でNo)、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102に対して、級内変動値Swを計算させる(ステップS1006)。同様に、相関比計算制御部110は、偏差平方計算部103に対して、偏差平方値Sを計算させる(ステップS1006)。
【0106】
さらに、相関比計算制御部110は、相関比計算部104に対して、級内変動計算部102によって得られた級内変動値Swと、偏差平方計算部103によって得られた偏差平方値Sとを入力として、相関比Seを計算させる(ステップS1007)。これによって、相関比格納部105に、すべての列ID(すなわち、すべての測定波数)に対して、相関比Seが格納される。
【0107】
次に、説明変数選択部106は、予め決定されたしきい値より大きい相関比Seが有効な値であるとみなし、商品を判別するために有効な波数値を選択する。つまり、説明変数選択部106は、測定が行われた波数値が商品名を判別するために相応しいか否かを示す値(真偽値)を決定し、説明変数候補格納部107に格納する(ステップS1008)。これらの波数値は、上述した正準判別分析技法における説明変数となる。
【0108】
正準判別分析式生成部108は、商品別波数吸光度格納部101と説明変数候補格納部107とに格納されたデータから、正準判別分析式を算出する(ステップS1009)。そして、正準判別分析式生成部108は、算出された正準判別分析式と、説明変数候補格納部107に格納された波数値及び真偽値とを、商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303に入力する。
【0109】
一方、商品種類格納部302は、商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303に対して、商品種類格納部302に格納された商品種類名を入力する。
【0110】
商品種類別有効波数組判別式組格納制御部303は、上記3つのパラメータ(すなわち、正準判別分析式、波数値及び真偽値、及び、商品種類名)を入力として、これら3つのパラメータを1つのレコードとして対応づけて、商品種類別有効波数組判別式組格納部301に格納する(ステップS1010)。
【0111】
以上の操作によって、商品種類名「ワイン」に対応する有効波数値、判別分析式が決定される。したがって、商品判別装置100は、前記有効波数値、前記判別分析式に基づいて、ワインの商品名を判別することができる。商品名を判別するための具体例は、後述する他の実施形態において説明する。さらに他の商品種類名に対応する正準判別分析式を決定する場合(ステップS1011でYes)、商品判別装置100は商品種類名の入力を受け付け(ステップS1001)、上記動作を繰り返す。一方、さらに他の商品種類名に対応する前記有効波数値、前記判別分析式を決定しない場合(ステップS1011;No)、商品判別装置100は動作を終了する。
【0112】
このように、本実施の形態に係る商品判別装置100は、特定の商品種類に限定されず、複数の商品種類を対象として分光分析によって商品を判別することができる正準判別分析式を得ることができる。つまり、本実施の形態に係る商品判別装置100は、複数の商品種類を対象とした「学習モード」機能を備えることができる。
【0113】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、第2の実施形態に係る商品判別装置100が備える機能を拡張させた物である。すなわち、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第2の実施形態における「判別モード」機能を拡張させた機能を有する。第2の実施形態における「判別モード」機能では、商品判別装置100は、特定の商品種類(第2の実施形態においては、「ワイン」)に限定して商品を判別する。一方、本実施形態における拡張された「判別モード」機能では、商品判別装置100は、複数の商品種類(具体的には、例えば、ワイン、ビール、コーヒー等)を対象として商品を判別することができる。また、商品判別装置100は、商品の判別を行う商品種類を切り替えるためのボタン等を備えている。以下、詳述する。
【0114】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記商品種類識別データとして商品種類名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0115】
図11は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、検査物分光分析器120と、特定商品波数吸光度格納部201と、商品種類別有効波数組判別式組格納部301と、商品種類格納部302と、商品種類別正準判別分析式計算部401と、目的変数出力格納部203と、を含む。
これらのうち、検査物分光分析器120、および、特定商品波数吸光度格納部201は、第2の実施形態における検査物分光分析器、特定商品波数吸光度格納部と同一の機能を有するため説明は省略する。また、商品種類別有効波数組判別式組格納部301、および、商品種類格納部302は、第3の実施形態における商品種類別有効波数組判別式組格納部、商品種類格納部と同一の機能を有するため説明は省略する。
【0116】
商品種類別正準判別分析式計算部401は、制御部10に含まれ、検査物分光分析器120によって吸光度値が測定された、商品名を判別したい検査対象商品43に対応する商品名を出力する。すなわち、まず、商品種類別正準判別分析式計算部401は、商品種類格納部302によって指定された商品種類名が入力される。次に、商品種類別正準判別分析式計算部401は、商品種類別有効波数組判別式組格納部301の中から、前記商品種類名に対応するレコードを取りだす。つまり、商品種類別正準判別分析式計算部401は、前記商品種類名に対応する有効波数値と判別分析式とを取り出す。さらに、商品種類別正準判別分析式計算部401は、特定商品波数吸光度格納部201から、前記有効波数値に対応する測定された吸光度値を取り出す。そして、商品種類別正準判別分析式計算部401は、前記有効波数値を説明変数として前記判別分析式に入力し、目的変数を計算する。さらに、商品種類別正準判別分析式計算部401は、計算して得られた目的変数を目的変数出力格納部203に入力する。
【0117】
目的変数出力格納部203は、記録部14の中に存在し、商品種類別正準判別分析式計算部401によって算出された計算結果データを格納する。当該計算結果データは、検査物分光分析器120が分光分析し、商品種類格納部302によって指定された商品種類の中から選択された商品名である。つまり、目的変数出力格納部203は、商品名を判別したい検査対象商品の商品名を格納する。
【0118】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明する。ここでは、例えば、ワインの商品名を判別する場合を例に説明する。図12は、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0119】
まず、ユーザは、商品判別装置100によってサンプルであるワインに対して赤外線を照射し、その吸光度値を予め測定しておく。次に、商品判別装置100は、得られた吸光度値に対応してその商品の商品名(具体的には、例えば、X社ボジョレーヌーボーなど)がユーザによって予め教示される。そして、すべてのサンプルのワインに対して同様の測定が行われる。この結果、商品判別装置100は、説明変数としてすべてのサンプルのワインの吸光度値の測定が行われた波数値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名を得られる正準判別分析式と有効波数値とを得ることができる。すなわち、商品判別装置100は、例えば予め「学習モード」を実行することによって、商品種類「ワイン」に対応する有効波数値と正準判別分析式とを得る(ステップS1201)。そして、商品種類「ワイン」に対応する有効波数値と正準判別分析式は、商品種類別有効波数組判別式組格納部301に格納される。尚、本実施の形態に係る商品判別装置100は、前記有効波数と前記正準判別分析式とが予めユーザによって所定の値に決定され格納されていてもよい。
【0120】
さらに、本実施の形態に係る商品判別装置100は、上述したように、特定の商品種類に限定しないで他の商品種類に対しても商品を判別することができる。例えば、前記手順の後、さらに商品種類「ビール」を用いて分光分析を行うことによって、商品種類「ビール」に対応する有効波数値と判別分析式とを得ることができる(ステップS1201)。そして、商品種類「ビール」に対応する前記有効波数値と前記判別分析式は、同様に商品種類別有効波数組判別式組格納部301に格納される。
【0121】
次に、商品判別装置100は、ユーザからの商品種類指示入力310によって商品種類名が指定され、当該商品種類名は商品種類格納部302に格納される(ステップS1202)。そして、当該商品種類名は、商品種類格納部302によって、商品種類別正準判別分析式計算部401にを入力される。例えば、本実施の形態において、商品種類名「ワイン」が格納される。
【0122】
次に、検査物分光分析器120によって、商品名を判別させたい検査対象のワインに対して分光分析が行われ、波数値ごとの吸光度値が算出される(ステップS1203)。これによって、商品名を判別させたい検査対象のワインに対して行った分光分析結果が、前記特定商品波数吸光度格納部201に格納される。
【0123】
分光分析後、商品種類別正準判別分析式計算部401は、商品名を判別させたい検査対象のワインに対して行った前記分光分析結果を特定商品波数吸光度格納部201から取り出す(ステップS1204)。また、商品種類別正準判別分析式計算部401は、商品種類格納部302から入力された商品種類名に対応する前記有効波数値と前記判別分析式とを、商品種類別有効波数組判別式組格納部301から取り出す(ステップS1205)。
【0124】
商品種類別正準判別分析式計算部401は、商品種類格納部302から入力された商品種類名と、特定商品波数吸光度格納部201から取り出した前記分光分析結果と、商品種類別有効波数組判別式組格納部301から取り出した前記有効波数値と前記判別分析式と、に基づいて、商品名を判別させたい検査対象のワインの商品名を算出する。(ステップS1206)。そして、商品種類別正準判別分析式計算部401は、当該商品名を目的変数出力格納部203に出力する(ステップS1207)。その後、例えば商品判別装置100に接続されたモニタ等に判別結果を表示する。つまり、ユーザは、商品名を判別させたい検査対象のワインの商品名を知ることができる。また、さらに別の検査対象商品43の商品名を判別させたい場合(ステップS1208でYes)、上述した動作(ステップS1202乃至S1207)を繰り返すことができる。
【0125】
このように、本実施の形態に係る商品判別装置100は、例えば予め「学習モード」を実行して得られた商品種類に対応する有効波数値と判別分析式、及び、本実施の形態の「判別モード」を実行して得られた商品名を判別させたい検査対象商品43の分光分析結果とに基づいて、検査対象商品43の商品名を得ることができる。そして、本実施の形態に係る商品判別装置100を用いれば、特定の商品種類に限定しないで、複数の商品種類を対象として商品を判別することができる。また、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第3の実施形態に係る商品判別装置100と組み合わせて用いることによって、有効な効果を提供することができる。
【0126】
(実施の形態5)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、第1の実施形態に係る商品判別装置100が備える機能を拡張させた物である。すなわち、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第1の実施形態における「学習モード」機能を拡張させた機能を有する。第1の実施形態における「学習モード」機能では、商品判別装置100は、分光分析結果として赤外線等の吸光度値を用いている。しかし、極めて微量成分の光吸収を見る時において、吸光度スペクトルのベースラインのずれと、光吸収のピークとの区別がつきにくい場合がある。本実施の形態の商品判別装置100は、このような問題を解決するために有効な改良を行うことができる物である。すなわち、本実施の形態の商品判別装置100では、吸光度値をそのまま用いるのではなく、当該吸光度値の2次微分値を用いる。尚、分光分析の分野においては、吸光度値の2次微分値を用いる場合においても、吸光度値をそのまま用いる場合と同様の分析手法を用いることができることが知られており、その分析手法は原理的には同じである。
【0127】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記商品種類識別データとして商品種類名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値及び吸光度2次微分値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0128】
図13は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る商品判別装置100の構成は、基本的には第1の実施形態における構成と同じであるが、商品別波数吸光度格納部101を商品別波数吸光度2次微分値格納部501に置き換えた物である。以下、詳述する。
【0129】
本実施の形態に係る商品判別装置100は、商品別波数吸光度2次微分値格納部501と、吸光度2次微分値計算部502と、相関比格納部105と、説明変数選択部106と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式生成部108と、正準判別分析式格納部109と、相関比計算制御部110と、検査物分光分析器120と、を含む。さらに、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102と、偏差平方計算部103と、相関比計算部104と、を含む。
尚、商品別波数吸光度2次微分値格納部501と吸光度2次微分値計算部502とを除く各部(すなわち、級内変動計算部102、偏差平方計算部103、相関比計算部104、相関比格納部105、説明変数選択部106、説明変数候補格納部107、正準判別分析式生成部108、正準判別分析式格納部109、相関比計算制御部110、及び、検査物分光分析器120)は、第1の実施形態における各部と同一の物のため、説明は省略する。
【0130】
商品別波数吸光度2次微分値格納部501には、分析光(具体的には、赤外線、近赤外線、中赤外線など)を用いて分光分析された、波数値ごとの吸光度値の2次微分値が保存される。例えば、商品別波数吸光度2次微分値格納部501には、1サンプルのワインの商品に対して、波数値ごとに吸光度値が計測され、その2次微分値を算出して得られる分光分析結果が、1レコードの形式で格納される。そして、商品別波数吸光度2次微分値格納部501には、複数のサンプルのワインに対して得られた分光分析結果が格納される。
尚、本実施の形態においては、上述のように、前記商品名と前記波数値ごとに測定された分光分析結果とが1レコードの形式で格納されるが、これを複数のレコードに分割し、例えば正規化を行い、これらの分割したレコードを対応づけてもよい。
【0131】
吸光度2次微分値計算部502は、制御部10に含まれ、検査物分光分析器120によって分光分析が行われた波数値とその波数値における吸光度値とを含むデータが入力される。そして、吸光度2次微分値計算部502は、前記吸光度2次微分値を算出する。さらに、吸光度2次微分値計算部502は、算出して得られた前記吸光度2次微分値を商品別波数吸光度2次微分値格納部501に格納する。
【0132】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明する。ここでは、例えば、ワインの商品名を判別する場合を例に説明する。図14は、本実施の形態における、商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0133】
まず、ユーザは、ワインを注いだグラスを複数個用意する。例えば、異なるワインの商品を100種類用意する。次に、検査物分光分析器120によって、ユーザによって用意されたワインに対して分析光が照射され、吸光度が測定される(ステップS1401)。ここで、この吸光度値の測定は、1つのワインに対して複数回行われることが好ましい。さらに、吸光度2次微分値計算部502は、測定された吸光度値に基づいて、吸光度2次微分値を算出する(ステップS1402)。算出された前記吸光度2次微分値は、商品別波数吸光度2次微分値格納部501に格納される。
【0134】
次に、ユーザによって、吸光度値を測定した当該ワインの商品名が入力される(ステップS1403)。さらに、上記動作(ステップS1401乃至S1403)は、ユーザによって用意されたワインすべてに対して繰り返し行われる(ステップS1404でYes)。この結果、商品別波数吸光度2次微分値格納部501には、すべてのサンプルのワインに対する吸光度2次微分値が格納される。
【0135】
次に、用意されたすべてのワインに対して吸光度2次微分値の算出が行われると(ステップS1404でNo)、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102に対して、級内変動値Swを計算させる(ステップS1405)。同様に、相関比計算制御部110は、偏差平方計算部103に対して、偏差平方値Sを計算させる(ステップS1405)。
【0136】
さらに、相関比計算制御部110は、級内変動計算部102によって得られた級内変動値Swと、偏差平方計算部103によって得られた偏差平方値Sとを入力として、相関比計算部104に対して、相関比Seを計算させる(ステップS1406)。これによって、相関比格納部105に、すべての列ID(すなわち、すべての測定波数)に対して、相関比Seが格納される。
【0137】
次に、説明変数選択部106は、予め決定されたしきい値より大きい相関比Seが有効な値であるとみなし、分光分析によって商品を判別するために有効な波数値を選択する。つまり、説明変数選択部106は、測定が行われた波数値が商品を判別するために相応しい値であるか否かを示す値(真偽値)を決定し、説明変数候補格納部107に格納する(ステップS1407)。これらの波数値は、上述した正準判別分析技法における説明変数となる。
【0138】
そして、正準判別分析式生成部108は、商品別波数吸光度格納部101と説明変数候補格納部107とに格納されたデータとから、正準判別分析式を決定し、正準判別分析式格納部109に格納する(ステップS1408)。
【0139】
このように、本実施の形態における商品判別装置100は、説明変数としてすべてのサンプルのワインの吸光度2次微分値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名が得られる正準判別分析式を得ることができる。また、極めて微量成分の光吸収を見る時においても、吸光度2次微分値を用いることによって、商品を判別するために有効な正準判別分析式を得ることができる。言い換えれば、本実施の形態における商品判別装置100は、拡張された「学習モード」機能を有する商品判別装置として構成される。そして、商品判別装置100は、ワインの商品を判別するための正準判別分析式を用いて、ワインの商品を判別することができる。商品を判別するための具体例は、後述する他の実施形態において説明する。
【0140】
(実施の形態6)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
本実施の形態に係る商品判別装置100は、第2の実施形態に係る商品判別装置100の機能を拡張させた物である。すなわち、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第2の実施形態における「判別モード」機能を拡張させた機能を有する。第2の実施形態における「判別モード」機能では、商品判別装置100は、分光分析結果として赤外線等による吸光度値を用いて、商品を判別させたい検査対象商品43の商品名を判別している。しかし、極めて微量成分の光吸収を見る時において、吸光度スペクトルのベースラインのずれと、光吸収のピークとの区別がつきにくい場合がある。本実施の形態の商品判別装置100は、このような問題を解決するために有効な改良を行うことができる物である。すなわち、本実施の形態の商品判別装置100では、吸光度値をそのまま用いるのではなく、当該吸光度値の2次微分値を用いて、商品を判別させたい検査対象商品43の商品名を判別する。尚、分光分析の分野においては、吸光度2次微分値を用いる場合においても、吸光度値をそのまま用いる場合と同様の分析手法を用いることができることが知られており、その分析手法は原理的には同じである。
【0141】
図15は、本実施の形態に係る商品判別装置100の構成を示すブロック図である。
本実施の形態に係る商品判別装置100の構成は、基本的には第2の実施形態における構成と同じであるが、特定商品波数吸光度格納部201を特定商品波数吸光度2次微分値格納部601に置き換え、さらに、吸光度2次微分値計算部502を追加した物である。以下、詳述する。
【0142】
尚、以下の説明においては、前記商品識別データとして商品名を用い、前記商品種類識別データとして商品種類名を用い、前記測定条件として分光分析を行う波数値を用い、前記分光分析結果として吸光度値及び吸光度2次微分値を用いた場合を例に説明する。また、前記統計データとして級内変動値、偏差平方値、相関比、正準判別分析式を用いた場合を例に説明する。そして、商品判別装置100を用いて、各種のワインの商品名を判別するためにその吸光度値を測定する場合を例に説明する。
また、商品を判別するために用いる前記統計データの種類は本実施の形態で用いられる各値に限定される物ではない。したがって、当業者であればこれらと同等な統計データを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0143】
本実施の形態に係る商品判別装置100は、検査物分光分析器120と、正準判別分析式計算部202と、目的変数出力格納部203と、説明変数候補格納部107と、正準判別分析式格納部109と、吸光度2次微分値計算部502と、特定商品波数吸光度2次微分値格納部601と、を含む。
【0144】
検査物分光分析器120は、検査対象商品43に対して分析光(具体的には、例えば、赤外線、近赤外線、遠赤外線等)を照射し、当該分析光による分光分析結果(本実施の形態では、吸光度値)を測定する装置である。尚、検査物分光分析器120は、本発明によって限定される物ではない。したがって、当業者であればこれと均等な物に置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0145】
吸光度2次微分値計算部502は、制御部10に含まれ、検査物分光分析器120によって分光分析が行われた波数値とその波数値における吸光度値とを含むデータが入力される。そして、吸光度2次微分値計算部502は、前記吸光度2次微分値を算出する。さらに、吸光度2次微分値計算部502は、算出して得られた前記吸光度2次微分値を特定商品波数吸光度2次微分値格納部601に格納する。
【0146】
特定商品波数吸光度2次微分値格納部601は、記録部14の中に存在し、吸光度2次微分値計算部502によって入力された、前記吸光度2次微分値を格納する。
【0147】
尚、その他の各部(すなわち、正準判別分析式計算部202、目的変数出力格納部203、説明変数候補格納部107、及び、正準判別分析式格納部109)は、第2の実施形態における各部と同一の物のため、説明は省略する。
【0148】
次に、本実施の形態に係る商品判別装置100の動作の流れを説明する。ここでは、例えば、ワインの商品名を判別する場合を例に説明する。図16は、本実施の形態における、商品判別装置100の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0149】
まず、ユーザは、サンプルであるワインを複数個用意する。次に、商品判別装置100によって、サンプルであるワインに対して分析光が照射され、吸光度値が予め測定される。さらに、商品判別装置100は、測定された吸光度値に基づいて、当該吸光度値の2次微分値を予め算出する。次に、商品判別装置100は、得られた前記吸光度値に対応してその検査対象商品43の商品名(具体的には、例えば、X社ボジョレーヌーボーなど)がユーザによって予め教示される。そして、すべてのサンプルのワインに対して同様の測定が行われる。この結果、商品判別装置100は、説明変数としてすべてのサンプルのワインの吸光度2次微分値を用い、目的変数である判別したいワインの商品名が得られる正準判別分析式を得ることができる。すなわち、商品判別装置100は、例えば予め「学習モード」を実行することによって、説明変数候補格納部107に格納される説明変数候補と、正準判別分析式格納部109に格納される正準判別分析式とを得る(ステップS1601)。尚、本実施の形態に係る商品判別装置100は、前記説明変数候補と前記正準判別分析式とが予めユーザによって所定の値に決定され格納されていてもよい。
【0150】
次に、ユーザは、検査物分光分析器120を用いて商品名を判別させたい検査対象商品43のワインに対して分光分析を行う。検査物分光分析器120は、分光分析を行った波数値ごとの吸光度値を測定する(ステップS1602)。その後、検査物分光分析器120は、分光分析を行った波数値と、測定された吸光度値とを、吸光度2次微分値計算部502に入力する。
【0151】
吸光度2次微分値計算部502は、検査物分光分析器120からの入力によって、波数値とその波数値における吸光度値を得る(ステップS1603)。そして、吸光度2次微分値計算部502は、前記波数値に対応する吸光度2次微分値を算出する(ステップS1604)。
【0152】
一方、例えば前記「学習モード」の実行によって、説明変数候補格納部107に説明変数候補の真偽値が格納されている。また、同様に例えば前記「学習モード」の実行によって、正準判別分析式格納部109に正準判別分析式が格納されている。
正準判別分析式計算部202は、特定商品波数吸光度2次微分値格納部601に格納された商品名を判定させたい検査対象商品43のワインに対して行った分光分析結果を取り出す。また、正準判別分析式計算部202は、説明変数候補格納部107に格納された説明変数候補の真偽値を取り出す(ステップS1605)。さらに、正準判別分析式計算部202は、正準判別分析式格納部109に格納された正準判別分析式を取り出す(ステップS1606)。
【0153】
正準判別分析式計算部202は、前記分光分析結果と前記真偽値に基づいて、波数値とその波数値における吸光度値を説明変数として前記正準判別分析式に入力する。その結果、正準判別分析式計算部202は、目的変数であるワインの商品名を得る(ステップS1607)。そして、正準判別分析式計算部202は、得られた商品名を目的変数出力格納部203に出力する(ステップS1608)。その後、例えば商品判別装置100に接続されたモニタ等に判別結果を表示する。つまり、ユーザは、商品を判別させたい検査対象のワインの商品名を知ることができる。
【0154】
このように、本実施の形態に係る商品判別装置100は、例えば予め「学習モード」を実行して得られた説明変数候補の真偽値、正準判別分析式、及び、本実施の形態の「判別モード」を実行して得られた商品名を判別させたい検査対象商品43の分光分析結果に基づいて、検査対象商品43の商品名を得ることができる。そして、極めて微量成分の光吸収を見る時においても、吸光度値2次微分値を用いることによって、検査対象商品43の商品名を判別することができる。また、本実施の形態に係る商品判別装置100は、第5の実施形態に係る商品判別装置100と組み合わせて用いることによって、有効な効果を提供することができる。
【0155】
以上の複数の実施例で説明したように、本発明による商品判別装置100を用いて、商品を判別したい検査対象商品43に対して分光分析を行うことによって、商品を判別することができる。つまり、上述したように、商品の吸光度特性を自動的に学習することができる機能(学習モード)と、学習した結果に基づいて商品を判別することができる機能(判別モード)とを組み合わせることによって、商品を判別することができる。さらに、特定の商品種類に限定することなく、複数の商品種類を対象に、多くの商品種類の商品を判別することができる。また、検査対象商品43に含まれる極めて微量成分に対する分光分析を行うことによって、商品を精度よく判別することができる。
【0156】
例えば、本発明による商品判別装置100を用いると、食品や飲料水などの商品種類の異なるサンプルに対して分光分析を行い、その分光分析結果を学習データとして自動的に記憶させることができる。そして、新しい商品が発売等された場合においても、その新しい商品に対して分光分析を行い、新しく学習データとして記憶させることによって、商品を判別することができる。つまり、商品を判別できる能力を高めていくことができる。
【0157】
例えば、本発明による商品判別装置100を用いると、専門家の知識やノウハウを多数組み込む必要がない。したがって、商品判別装置の開発コストを安価に抑えることができ、低価格の商品判別装置を提供することができる。
【0158】
例えば、本発明による商品判別装置100は、多くの商品を判別することができる玩具として用いられることが可能である。
【0159】
例えば、本発明による商品判別装置100は、食事のカロリー量等に留意しなければならない糖尿病患者のような人向けの健康器具として用いられることが可能である。
【0160】
例えば、本発明による商品判別装置100を、デジタルカメラのような記録装置の付加機能として用いることによって、従来のデジタルカメラや携帯電話機のようなデジタル機器に対して一層の付加価値を提供することができる。また、持ち運びが容易な携帯機器等に用いることによって、日常生活の様々な場面において容易に商品を判別することが可能になる。
【0161】
また、上述した複数の実施形態においては、判別対象となる商品種類として食品を用いているが、本発明による商品判別装置100は、対象商品種類が食品に限定される物ではない。
例えば、本発明による商品判別装置100を、化粧品の商品名を判別するために用いることも可能である。また、人間の肌年齢を調べるような医療器具として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】商品判別装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】波数値と吸光度値との関係をプロットした図である。
【図5】吸光度値を測定した結果の例である。
【図6】正準判別分析式における説明変数と目的変数の例である。
【図7】第2の実施形態に係る商品判別装置の構成を説明するブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る商品判別装置の構成を説明するブロック図である。
【図10】第3の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】第4の実施形態に係る商品判別装置の構成を説明するブロック図である。
【図12】第4の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図13】第5の実施形態に係る商品判別装置の構成を説明するブロック図である。
【図14】第5の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図15】第6の実施形態に係る商品判別装置の構成を説明するブロック図である。
【図16】第6の実施形態に係る商品判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0163】
10 制御部
11 入力部
12 出力部
13 分光分析器
14 記録部
15 RAM
16 ROM
21 商品識別データ入力信号
22 商品種類識別データ入力信号
23 判別結果信号
24 分光分析要求
31 データベース
41 ボタン・キーボード
42 モニタ
43 検査対象商品
100 商品判別装置
101 商品別波数吸光度格納部
102 級内変動計算部
103 偏差平方計算部
104 相関比計算部
105 相関比格納部
106 説明変数選択部
107 説明変数候補格納部
108 正準判別分析式生成部
109 正準判別分析式格納部
110 相関比計算制御部
120 検査物分光分析器
201 特定商品波数吸光度格納部
202 正準判別分析式計算部
203 目的変数出力格納部
301 商品種類別有効波数組判別式組格納部
302 商品種類格納部
303 商品種類別有効波数組判別式組格納制御部
310 商品種類指示入力
401 商品種類別正準判別分析式計算部
501 商品別波数吸光度2次微分値格納部
502 吸光度2次微分値計算部
601 特定商品波数吸光度2次微分値格納部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品識別データと、各商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件、及び、当該測定条件において測定された分光分析結果と、を含むデータを複数個格納する分光分析結果格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果の統計データを算出する統計値計算部と、
前記統計値計算部によって算出された統計データを格納する統計値格納部と、
測定条件別に分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納された前記分光分析結果と、前記統計値格納部に格納された統計データと、前記測定条件選択・格納部に格納された測定条件候補データと、に基づいて、分光分析により商品を判別するための判別分析式を生成する判別分析式生成部と、
前記判別分析式生成部によって生成された判別分析式を格納する判別分析式格納部と、
を備えることを特徴とする商品判別装置。
【請求項2】
商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件及び当該測定条件において測定された分光分析結果を含むデータを複数個格納する分光分析結果格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納部と、
商品を判別するための判別分析式を格納する判別分析式格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納された分光分析結果と、前記測定条件選択・格納部に格納された測定条件候補データと、前記判別分析式格納部に格納された判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品判別計算部と、
前記商品判別計算部によって算出された商品識別データを格納する商品判別結果格納部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の商品判別装置。
【請求項3】
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを格納する商品種類格納部と、
前記分光分析結果格納部に格納される測定条件の中から所定の条件を満たす測定条件を抽出し、さらに、当該測定条件と、前記商品種類識別データと、前記判別分析式格納部に格納された判別分析式と、を含むデータを算出する商品種類別測定条件組判別式組計算部と、
前記商品種類別測定条件組判別式組計算部によって算出されたデータを複数個格納する商品種類別測定条件組判別式組格納部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の商品判別装置。
【請求項4】
商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品識別データを算出するための判別分析式と、を含むデータを複数個格納する商品種類別測定条件組判別式組格納部と、
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを格納する商品種類格納部と、
前記商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、分光分析により商品を判別するための判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品種類別商品判別計算部と、
前記商品種類別商品判別計算部によって算出された商品識別データを格納する商品種類別商品判別結果格納部と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の商品判別装置。
【請求項5】
商品識別データと、商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件と、当該測定条件において測定された分光分析結果と、を含むデータを所定の格納場所に格納する分光分析結果格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件ごとに、前記分光分析結果の統計データを算出する統計値計算手段と、
前記統計値計算手段によって算出された統計データを格納する統計値格納手段と、
測定条件別に前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納手段と、
前記分光分析結果格納手段により格納された分光分析結果と、前記統計値格納手段により格納された統計データと、前記測定条件選択・格納手段により格納されたデータと、に基づいて、分光分析により商品を判別するための判別分析式を生成する判別分析式生成手段と、
前記判別分析式生成手段によって生成された判別分析式を格納する判別分析式格納手段と、
を備えることを特徴とする商品判別方法。
【請求項6】
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを算出し、所定の格納場所に格納する商品種類格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件の中から所定の条件を満たす測定条件を抽出し、さらに、当該測定条件、前記商品種類識別データ、及び、前記判別分析式を含むデータを算出する商品種類別測定条件組判別式組計算手段と、
前記商品種類別測定条件組判別式組計算手段によって算出されたデータを所定の格納場所に格納する商品種類別測定条件組判別式組格納手段と、
を備えることを特徴とする、請求項5に記載の商品判別方法。
【請求項7】
商品識別データにより特定される商品の分光分析を行った測定条件、及び、当該測定条件において測定された分光分析結果を含むデータを所定の格納場所に格納する分光分析結果格納手段と、
前記分光分析結果格納手段によって格納される測定条件において、前記分光分析結果が所定の条件を満たしているかを判別し、所定の条件を満たしていると判別された測定条件を選択し、選択した測定条件を示すデータを格納する測定条件選択・格納手段と、
商品を判別するための判別分析式を格納する判別分析式格納手段と、
前記分光分析結果格納手段により格納された分光分析結果と、前記測定条件選択・格納手段により格納されたデータと、前記判別分析式格納手段により格納された判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品判別計算手段と、
前記商品判別計算手段によって算出された商品識別データを格納する商品判別結果格納手段と、
を備えることを特徴とする商品判別方法。
【請求項8】
商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品識別データを算出するための判別分析式と、を含むデータを所定の格納場所に格納する商品種類別測定条件組判別式組格納手段と、
商品種類指示入力を受け付け、当該商品種類指示入力に対応する商品種類識別データを算出し、所定の格納場所に格納する商品種類格納手段と、
前記商品種類識別データと、所定の条件を満たす測定条件と、商品を判別するための判別分析式と、に基づいて、商品識別データを算出する商品種類別商品判別計算手段と、
前記商品種類別商品判別計算手段によって算出された商品識別データを所定の格納場所に格納する商品種類別商品判別結果格納手段と、
を備えることを特徴とする、請求項7に記載の商品判別方法。
【請求項9】
分光分析装置と記録装置と入力装置と出力装置とに接続されるコンピュータを、
前記分光分析装置に対し、任意の測定条件において分光分析を行わせる分光分析制御手段として機能させ、さらに、
前記記録装置に対し、前記分光分析装置によって測定された分光分析結果と、当該分光分析結果に基づいて算出された統計データと、当該統計データに基づいて算出された判別分析式と、当該判別分析式に基づいて算出された商品判別結果データと、を所定の格納場所に格納させる記録手段として機能させ、さらに、
前記入力装置に対し、商品識別データ入力信号および商品種類識別データ入力信号を受け付ける入力信号受付手段として機能させ、さらに、
前記出力装置に対し、商品判別結果を出力する判別結果出力手段として機能させる、ためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−284354(P2006−284354A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104382(P2005−104382)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】