説明

商品販売データ処理装置

【課題】 来店客毎に有益なコマーシャル情報を提供する。
【解決手段】 コマーシャル情報の選択を受け付けて、コマーシャル情報を商品販売データ処理装置の客用表示器9に表示し、選択されたコマーシャル情報を印字情報として設定して、一取引ごとに、商品販売データ処理に伴い生ずる取引情報とこのコマーシャル情報とをプリンタによってレシート用紙に印字して発行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS端末などの商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、販売促進の一環で、POS端末などの商品販売データ処理装置の客用表示器にコマーシャル情報を表示したり、発行するレシートの一部にコマーシャル情報を印字したりすることが行われている。また、このようなコマーシャル情報を設定時間毎に切り替える技術として特許文献1に記載されているような技術がある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−198864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような技術を用いることで、営業時間帯等に応じてコマーシャル情報を切り替えて選択的に提供することができる。しかし、来店客のニーズは多様であるのに対して、提供する情報の選択はあくまで店舗側が一方的に行うため、販売促進の効果を十分に得られていなかった。
【0005】
例えば、客用表示器に一定の周期で流されるコマーシャル情報の中から来店客が必要な情報を見つけても、それを繰り返して確認することはできなかった。また多くのコマーシャル情報をレシートに印字することもできるが、印字した全ての情報が来店客にとって価値があるものではなく、さらに、レシート用紙の非効率な使用からコスト増となっていた。
【0006】
本発明の目的は、来店客に対し有益なコマーシャル情報を提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の商品販売データ処理装置は、客用表示器とプリンタとを備え、商品販売データ処理を実行する商品販売データ処理装置において、複数のコマーシャル情報を格納する記憶部と、前記コマーシャル情報の選択を受け付ける入力装置と、前記コマーシャル情報を前記客用表示器に表示する表示手段と、選択された前記コマーシャル情報を印字情報として設定する設定手段と、一取引ごとに、商品販売データ処理に伴い生ずる取引情報と前記設定された前記コマーシャル情報とを前記プリンタによってレシート用紙に印字して発行する印字発行手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、提供するコマーシャル情報を来店客自ら選択させることで、その来店客にとって有益なコマーシャル情報を提供できるため、効率的な販売促進が実現できる。また不必要なコマーシャル情報をレシートに印字することがなくなるのでコストの削減もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の一形態を図1ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態は、商品販売データ処理装置としてコンビニエンスストア等の店舗で使用されるPOS端末への適用例を示す。
【0010】
図1は、本実施の形態の商品販売データ処理装置であるPOS端末1の外観をオペレータ側から示す斜視図である。POS端末1はドロワ2の上に載置されている。POS端末1は、ハウジング3を備え、ハウジング3の上面には、キーボード4、カードリーダライタ5、プリンタカバー6が配置されている。プリンタカバー6は後述するプリンタ27を覆うカバーであり、レシート発行口7を有している。さらにハウジング3にはオペレータ用表示器8及び客用表示器9が備えられている。また、POS端末1には入力装置として商品コード等のバーコードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ10が備えられている。
【0011】
図2は、POS端末1の外観を客側から示す斜視図である。客用表示器9の画面11にはタッチパネル12が積層して設けられており、タッチパネル12は入力装置として来店客のタッチを受け付ける。
【0012】
図3は、POS端末1の電気的接続を示すブロック図である。POS端末1は、各部を集中的に制御するCPU21に、コンピュータプログラム等の固定的データを予め格納するROM22及び各種データを書き換え自在に記憶するRAM23がバスライン24を介してバス接続して構成されるPOS制御部25を保有し、通信インターフェイス26から、LAN等を介して上位装置であるストアコンピュータ(図示しない)との間で相互にオンライン通信を実行し得るように構成されている。
【0013】
POS制御部25には、バスライン24を介して、前述したドロワ2、キーボード4、カードリーダライタ5、オペレータ用表示器8、客用表示器9、バーコードスキャナ10及びタッチパネル12の他に、プリンタ27及び記憶装置28が接続されている。プリンタ27は、POS端末1のハウジング3に内蔵されたレシートプリンタであり、商品販売データ処理に伴い取引単位でレシートを発行する。また、記憶装置28は、例えばハードディスクドライブ等の外部記憶装置であり、表示用情報ファイルF1と印字用情報ファイルF2とを格納する。
【0014】
図4は、記憶装置28に格納された表示用情報ファイルF1と印字用情報ファイルF2とのデータ構成を示した模式図である。コマーシャル情報は画像表示用のコマーシャル情報である表示用コマーシャル情報とレシート印字用のコマーシャル情報である印字用コマーシャル情報とからなり、表示用情報ファイルF1には表示用コマーシャル情報が、印字用情報ファイルF2には印字用コマーシャル情報が、それぞれ格納されている。表示用コマーシャル情報はテキスト、静止画、動画、音声等のデータ形式であり、印字用コマーシャル情報はテキスト、静止画等のデータ形式である。
【0015】
なお、表示用コマーシャル情報と印字用コマーシャル情報とは、それぞれの情報が伝達する内容を同一とする。例えば、ある割引キャンペーンAについて、表示用コマーシャル情報1は、キャンペーンAの期間、割引額及び対象商品を報知する音声付のカラー動画であるのに対して、印字用コマーシャル情報1は、キャンペーンAの期間、割引額及び対象商品をテキストで記載するものである。なお、表示用情報ファイルF1と印字用情報ファイルF2とは、POS端末1とLANによって接続される図示しないストアコンピュータからの更新が可能であり、随時情報の差し替えをすることができる。
【0016】
図5は、コマーシャル情報選択の処理の際に、客用表示器9の画面11に表示される選択表示画面51の一例を示す模式図である。選択表示画面51は、商品販売データ処理によって登録される商品情報を表示する登録商品表示エリア52、コマーシャル情報の選択を可能にする選択ボタン53と選択を促すメッセージ表示54とを表示する選択ボタン表示エリア55、選択されたコマーシャル情報に基づく表示用コマーシャル情報を表示するコマーシャル表示エリア56から構成される。
【0017】
コマーシャル表示エリア56には表示用コマーシャル情報の他に、タッチされた選択ボタン53の番号を表示する選択番号表示57と、表示された情報を来店客がレシートに印字したいと思ったときにタッチする決定ボタン58とが表示される。また、選択表示画面51には、決定ボタン58のタッチを促す旨のメッセージ表示や複数の選択ボタン53のタッチによる選択が可能である旨のメッセージ等(図示しない)が随時表示される。
【0018】
図6は、コマーシャル情報選択の処理の流れを示すフローチャートである。オペレータがバーコードスキャナ10により商品のバーコードをスキャンして商品販売データ処理を開始すると(ステップS1のY)、POS端末1のCPU21は、客用表示器9の画面11に、登録商品表示エリア52、選択ボタン表示エリア55、コマーシャル表示エリア56を含む選択表示画面51を表示する(ステップS2)。
【0019】
商品販売データ処理が実行されている間、来店客は選択表示画面51に表示されたメッセージ表示54の指示に従い、選択ボタン53を任意に選んでタッチする。選択ボタン53のタッチがあると(ステップS3のY)、CPU21はタッチされた選択ボタン53に対応したコマーシャル情報の選択を実行する(ステップS4)。ここで、RAM23には、各コマーシャル情報が選択されているか否かを設定するフラグを記憶する選択テーブル(図示しない)が形成されており、フラグは選択が実行されるとONとなる。
【0020】
選択されたコマーシャル情報が既に選択実行済み(フラグがON)のものでなければ(ステップS5のN)、このコマーシャル情報に係る表示用コマーシャル情報を表示用情報ファイルF1から読み出して、コマーシャル表示エリア56に表示する(ステップS6)。このとき、表示用コマーシャル情報とともに、選択番号表示57及び決定ボタン58が表示される。
【0021】
一方で、ステップS5でコマーシャル情報が既に選択実行済み(フラグがON)であったならば、フラグをOFFにして選択実行を解除する(ステップS7)。つまり、一度タッチされた選択ボタン53を再度タッチすることでコマーシャル情報の選択が解除されることになる。これにより表示されたコマーシャル情報がその来店客にとって不必要であったときも選択の取り消しが可能となる。
【0022】
CPU21は、決定ボタン58のタッチ(ステップS8)があるまで、選択ボタンのタッチを許容する。来店客は、必要に応じて、複数個のコマーシャル情報を選択することができる。つまり、ひとつの選択ボタン53がタッチされた状態で、別の選択ボタン53がタッチされたときは、最初にタッチされた選択ボタン53に係るコマーシャル情報の選択は解除されずに、次にタッチされた選択ボタン53に係るコマーシャル情報の選択も実行される。ここで、不要なコマーシャル情報があれば、その選択ボタン53を再度タッチすれば選択は解除される。
【0023】
なお、選択ボタン53は一度のタッチによりそのボタンの色を変化して、その選択ボタン53に係るコマーシャル情報の選択が実行されていることを報知する。また、選択が実行された選択ボタンを再びタッチすることで選択が解除される旨や、複数選択が可能である旨のメッセージ(図示しない)を随時表示することで来店客をガイドしてもよい。
【0024】
次いで、選択を終えた来店客により決定ボタン58がタッチされると(ステップS8のY)、選択が実行(フラグがON)されているコマーシャル情報に係る印字用コマーシャル情報を印字用情報ファイルF2から読み取り、印字情報として設定してRAM23に記憶する(ステップS9)。
【0025】
そして、オペレータのキーボード4の操作によって商品販売データ処理の締め処理が実行されたならば(ステップS10のY)、CPU21はステップS9でRAM23に印字情報として記憶された印字用コマーシャル情報を、商品販売データ処理に伴って生じる商品や合計金額などの取引情報に付加してレシート用紙に印字してレシートとして発行する(ステップS11)。
【0026】
なお、商品販売データ処理が開始されても来店客によって選択ボタン53のタッチが行われずに(ステップS3のN)、締め処理が実行された場合は、ステップS11では予め店舗側で設定された印字用コマーシャル情報をレシートに印字してもよいし、表示用コマーシャル情報の印字を実行しなくてもよい。
【0027】
図7は、コマーシャル情報が印字されたレシートRの一例を示す模式図である。図6のフローチャートのステップS9で印字情報として設定された印字用コマーシャル情報がレシートRの下方部に印字されている。印字用コマーシャル情報は、商品や合計金額などの取引情報が印字された後にレシート用紙に印字されることで、発行されるレシートの最下部に印字される。複数個のコマーシャル情報が選択されている場合は、複数個の印字用コマーシャル情報が発行されるレシートの最下部に印字される。
【0028】
このように本実施の形態によれば、来店客自らの選択によってコマーシャルを表示させて、そのコマーシャルが必要か否かの判断をさせて、自らの選択によってレシートに印字するコマーシャルを選択させるため、来店客毎に有益なコマーシャル情報を提供できるため、効率的な販売促進を行うことができ、また、不必要な情報を提供しなくなることから、無駄なレシートを使うことがなくなり、コスト削減にもつなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態のPOS端末の外観をオペレータ側から示す斜視図である。
【図2】本実施の形態のPOS端末の外観を客側から示す斜視図である。
【図3】POS端末の電気的接続を示すブロック図である。
【図4】表示用情報ファイル及び印字用情報ファイルのデータ構成を示す模式図である。
【図5】客用表示器の表示画面に表示される選択表示画面の一例を示す模式図である。
【図6】コマーシャル情報選択の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】コマーシャル情報が印字されたレシートの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0030】
1…商品販売データ処理装置(POS端末),9…客用表示器,12…タッチパネル,27…プリンタ,28…記憶部(記憶装置),53…画像(選択ボタン),S6…表示手段,S9…設定手段,S11…印字発行手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
客用表示器とプリンタとを備え、商品販売データ処理を実行する商品販売データ処理装置において、
複数のコマーシャル情報を格納する記憶部と、
前記コマーシャル情報の選択を受け付ける入力装置と、
前記コマーシャル情報を前記客用表示器に表示する表示手段と、
選択された前記コマーシャル情報を印字情報として設定する設定手段と、
一取引ごとに、商品販売データ処理に伴い生ずる取引情報と前記設定された前記コマーシャル情報とを前記プリンタによってレシート用紙に印字して発行する印字発行手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記入力装置は、
前記客用表示器の画面上に配置されたタッチパネルと、
前記コマーシャル情報が対応づけられた複数個の画像を前記客用表示器の画面に表示する手段と、
前記画像のタッチにより前記コマーシャル情報を選択する手段と、
を備える請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記コマーシャル情報の選択は、前記画像の一度のタッチにより実行され、前記コマーシャル情報の選択の解除は、一度タッチされた前記画像の再度のタッチにより実行される請求項2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
複数個の前記画像をタッチすることで、前記コマーシャル情報の複数の選択が可能である請求項3記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記コマーシャル情報は、商品販売データ処理に伴い生ずる取引情報の印字後に印字される請求項4記載の商品販売データ処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−330838(P2006−330838A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149761(P2005−149761)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】