問題分析支援システム、方法およびプログラム
【課題】適用される対策によって事象の発生が防止されるか否かを容易に判断が出来るようにする。
【解決手段】問題分析支援システム1において、事象を示すノードを有する木構造を表示する表示部23と、事象に対する対策状況情報をノードに関連付けて保持する情報保持部24と、子事象に係る対策状況情報を参照することで、子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定部25と、を備え、判定部25は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、子事象の何れかに対して対策が適用されている場合に親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に親事象の発生が防止されると判定し、表示部23は、判定結果を木構造上に表示することとした。
【解決手段】問題分析支援システム1において、事象を示すノードを有する木構造を表示する表示部23と、事象に対する対策状況情報をノードに関連付けて保持する情報保持部24と、子事象に係る対策状況情報を参照することで、子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定部25と、を備え、判定部25は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、子事象の何れかに対して対策が適用されている場合に親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に親事象の発生が防止されると判定し、表示部23は、判定結果を木構造上に表示することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、問題分析支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事象ごとの発生確率に基づいて故障木(Fault Tree)の頂上事象に対する不信頼度を計算する故障木作成装置がある(特許文献1を参照)。また、故障木において、故障木に含まれる事象の発生基準値と点検結果とを比較し、異常条件が満たされるか否かを判定することで、発生する異常を予知する設備異常検知装置がある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194561号公報
【特許文献2】特開平8−190681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、事故・トラブル事例の分析手法に関連する分析支援システムにおいて、事象同士の連鎖を把握するための事象関連図、発生した事象の背後にある要因を分析するための背後要因図、および事象の要因に対して適用される対策を評価するための対策評価シート、等が用いられている。特に、背後要因図は、頂上事象の発生を防止するために背後要因に施された対策が十分であるか否かを確認するために用いることが出来る。
【0005】
しかし、上記事象関連図や背後要因図、対策評価シート等を用いたとしても、対策を検討し、評価し、採用しただけでは、適用した対策によって頂上事象に繋がる背後要因の連鎖が断たれていることを論理的に検証して確認しなければ、対策の頂上事象発生防止に寄与する関係が不透明となり、これらの図表を作成するメリットを得ることは出来ない。この点、対策の適用によって事象に繋がる背後要因の連鎖が切断できているか否かの判断は、分析者が自らの経験と知識に基づいて判断する必要があった。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑み、適用される対策によって、所定の事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として所定の事象の発生が防止されるか否かを、分析のための経験や知識を有さないユーザにも容易に判断が出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を備えることで、上記した課題を解決することとした。即ち、本発明は、事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を表示する表示手段と、前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて保持する対策状況情報保持手段と、子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、問題分析支援シス
テムである。
【0008】
ここで、事象とは、最終的に解決したい事故・トラブル等の問題としての事象や、このような問題を派生させる要因としての事象である。事象は、本発明において木構造のノードとして表現され、例えば、最終的に解決したい問題点である事象は、頂上事象として木構造の根ノードに配置され、その他の事象は、要因事象としてその他のノードに配置される。また、事象発生の原因と結果との関係を有する事象は、結果として発生する事象が親事象として親ノードに表示され、原因として発生する事象が子事象として子ノードに表示される。
【0009】
本発明では、事象が表示されるノードに関連付けて、このノードに係る事象に対策が施されるか否かを示す対策状況情報が保持される。このような対策状況情報は例えば、事象に係るノードに表示される対策適用マークや対策済みマーク、または対策状況フラグ”1”として保持される。
【0010】
本発明では、親事象にぶら下がる1または複数の子事象についての対策状況情報を参照することで、現在の子事象への対策情況で、親事象の発生が防止されるか否かを判定することとしている。この際、子事象には、全ての子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理積が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、何れかの子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理和が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、がある。このため、本発明では、全ての子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定する。また、何れかの子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定する。
【0011】
そして、本発明は、親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を木構造上に表示する。これによって、本発明によれば、分析のための経験や知識を有さないユーザであっても、適用される対策によって、事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、事象の発生が防止されるか否かを、容易に判断することが出来る。
【0012】
また、本発明において、前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示してもよい。
【0013】
事象の発生が防止されることを示す印としては、例えば、発生が防止される事象に係るノードに重ねて表示される対策済みマーク等を用いることが出来る。また、このような印として、文字や記号、アイコン等が用いられてもよいし、印は、ノードに重畳表示されてもよいし、ノード近傍に表示されてもよい。親事象の発生が防止されることを示す印が表示されることで、本発明によれば、ユーザに対して事象の連鎖の断絶および対策の問題解決への貢献を視覚的に把握させることが出来る。また、ユーザが適用した現時点での対策が不十分である場合にも、どの部分に対して追加の対策を講じればよいか再検討の方向を示すことが出来るため、問題分析に要する時間を短縮することも可能である。
【0014】
また、本発明において、前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、前記判定手段は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定することとしても
よい。
【0015】
即ち、本発明では、論理積によって親事象を発生させる子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されているか否かを、対策状況の論理和によって判定し、
論理和によって親事象を発生させる子事象の全てに対して対策が適用されているか否かを、対策状況の論理積によって判定する。
【0016】
本発明によれば、このような論理計算を用いて対策の可否を判定することで、複雑な判定処理を行うことなく、適用される対策によって、事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として事象の発生が防止されるか否かを簡易に判定することが出来る。
【0017】
更に、本発明は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適用される対策によって、所定の事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として所定の事象の発生が防止されるか否かを、分析のための経験や知識を有さないユーザにも容易に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る問題分析支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る問題分析支援システムの機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態において表示装置に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。
【図4】実施形態において作成された背後要因図の表示イメージを示す図である。
【図5】実施形態に係る対策チェック処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施形態において作成された、対策チェック処理完了後の論理計算表を示す図である。
【図7A】実施形態に係る、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートAである。
【図7B】実施形態に係る、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートBである。
【図8】実施形態において表示される判定結果ダイアログのイメージを示す図である。
【図9】実施形態において生成される、対策済みマークが重畳表示された背後要因図の表示イメージを示す図である。
【図10】実施形態において、除外マークによって一部の枝が対策チェックの対象から除外された状態の背後要因図を示す図である。
【図11】実施形態において、図10に示した背後要因図に基づいて作成された論理計算表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る問題分析支援システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係る問題分析支援システム1のハードウェア構成を示す図である。問題分析支援システム1は、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置14、表示装置15としてのディスプレイ、および、入力装置16としてのキーボードやマウス等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。
【0022】
図2は、本実施形態に係る問題分析支援システム1の機能構成の概略を示す図である。図1に示された構成を有するコンピュータは、補助記憶装置14に記録されている問題分析支援プログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されることで、入力受付部21、論理計算表作成部22、表示部23、情報保持部24、および判定部25を備える問題分析支援システム1として機能する。なお、このうち表示部23、情報保持部24、および判定部25は、夫々、本発明に係る表示手段、対策状況情報保持手段、および判定手段に相当する。
【0023】
本実施形態に係る問題分析支援システム1では、発生した事象の背後にある要因を分析するために、背後要因図3が用いられる。背後要因図3は、解決すべき問題点としての頂上事象、および頂上事象が発生する背後要因である要因事象をノードとして含み、頂上事象を基点(根ノード)として各事象の背後要因となる事象が子ノードとして接続された木構造の図である。
【0024】
図3は、本実施形態において表示装置15に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。なお、図3では、頂上事象として「問題点1」との文言が表示されているが、頂上事象のノードには、事故・トラブルの具体的な名称等、解決すべき事象の内容(例えば、「停電」等)が表示されてもよい。同様に、図3では、要因事象として「要因1」、「要因2」等の文言が表示されているが、要因事象のノードには、親事象の発生要因(発生条件)となった事象の具体的な名称等、対策が施されるべき事象の内容(例えば、「断線」等)が表示されてもよい。
【0025】
背後要因図3に表示される頂上事象や要因事象等のノードは、キーボードやマウス等を用いたユーザの入力操作によって入力され、表示装置15に表示される。背後要因図3は、最終的に発生を防止したい事故やトラブル等の事象が頂上事象として最上位に配置された木構造であり、頂上事象発生の背後要因となる要因事象が、下位のノードとして頂上事象に関連付けられている。また、要因事象には、これらの要因事象が発生する背後要因である他の要因事象が、より下位のノードとして関連付けられている。即ち、背後要因図3においては、頂上事象および要因事象が、多層の親子関係をもって関連付けられている。頂上事象および要因事象のうち、ある事象を親事象としたとき、この親事象が発生する要因である事象であって該親事象に対して枝で直接接続されている事象を子事象と称する。換言すると、親事象とは、枝で直接接続された子事象を要因として発生する事象である。
【0026】
ユーザは、背後要因図3を新規に作成する場合、背後要因図3を用いて解決したい問題を頂上事象として木構造の根ノードに配置し(図3の「問題点1」を参照)、以下、頂上事象が発生する背後要因である要因事象を、親事象と、親事象の発生の背後要因である子事象との親子関係に従ってツリー状に配置していくことで、木構造を有する背後要因図3を生成する。このような背後要因図3の作成は、背後要因図3に重ねて表示される操作パレット40や操作パネル50を、ユーザにマウス等を用いて選択させ、必要であればキーボードを用いて文字を入力させる等の操作を行うことで行われる。
【0027】
なお、本実施形態では、操作パレット40には、操作パネル50を呼び出して事象(ノ
ード)を追加するための操作パネル呼出ボタン41、選択された要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかを設定するための要因種別設定ボタン42、選択された要因事象に対して該要因事象に対策が適用されることを示す対策適用マーク63を設定するための対策適用ボタン43、後述する対策チェック処理を実行開始するための対策チェックボタン44、対策チェックにおいて考慮しない枝を指定するための除外ボタン45(除外ボタン45の機能の詳細については後述する)等の各種ボタンが配置されている。また、操作パネル50には、事象の内容入力ボックス51、色選択欄52、OKボタン(決定ボタン)およびキャンセルボタン等が配置されている。
【0028】
事象の入力の際、ユーザは、背後要因図3において事象を追加する位置を指定し、事象のノード内に表示される事象の名称や内容(上記説明した「問題点1」や「停電」、「要因1」、「断線」等)を内容入力ボックス51へ入力し、また、事象の種類に応じて、事象のノードの色を指定する。ユーザは、入力される事象の種類が要因事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「背後要因」を選択し、入力される事象の種類が要因事象と推定される事象である場合には、図3の色選択欄52から「背後要因 推定」を選択し、入力される事象の種類が頂上事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「問題点」を選択する。
【0029】
また、ユーザは、操作パレット40の要因種別設定ボタン42を操作することで、背後要因図3に含まれる各要因事象がAND要因であるのか、OR要因であるのかを指定する。ここで、AND要因とは、親事象にとって、複数ある子事象が全て発生した場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。また、OR要因とは、複数ある子事象の何れかが発生する場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。なお、一の親事象に対して、AND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられてもよい。一の親事象に対してAND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられている場合、親事象は、OR要因である子事象の少なくとも何れかが満たされるか、AND要因である子事象の全てが満たされた場合に発生する。
【0030】
なお、本実施形態では、AND要因であるのかOR要因であるのかが指定されていない要因事象(子事象)は、親事象に対してOR要因であるとして扱われる。このようにすることで、ユーザがAND要因であるのかOR要因であるのかを判断することが困難であるような場合にも、その事象を、対策しなければ親事象が発生してしまう事象として扱い、対策をより確実にすることが出来る。
【0031】
また、ユーザは、マウス等を操作して対策が適用される要因事象を指定し、操作パレット40に設けられた対策適用ボタン43を操作することで、その要因事象に対して対策適用マーク63を設定し、該要因事象を対策適用状態に設定することが出来る。ユーザによって設定された対策適用マーク63は、情報保持部24によって保持され、判定部25による対策状況チェック処理に用いられる。
【0032】
図4は、本実施形態において作成された背後要因図3の表示イメージを示す図である。上記説明した通り、背後要因図3に含まれる各要因事象には、その要因事象(子事象)が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかが設定されており、また、各要因事象に対策が適用されているか否かが設定されている。本実施形態では、親事象にとってAND要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に四角形状のAND要因マーク61を付すことで設定され、親事象にとってOR要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に円形状のOR要因マーク62を付すことで設定される。また、本実施形態では、対策が適用されている要因事象には、その要因事象に対策が適用され、もはや親事象の発生要因としての
連関性が断たれていることを示す対策適用マーク63が付される。
【0033】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る問題分析支援システム1によって実行される対策チェック処理の流れを説明する。本実施形態に係る問題分析支援システム1は、対策チェック処理を実行することで、上記説明したような方法で作成された背後要因図3の頂上事象の発生が、対策適用マーク63が付された要因事象に対する対策によって確実に防止されるか否かを判断する。
【0034】
図5は、本実施形態に係る対策チェック処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係る対策チェック処理は、上記説明した問題分析支援システム1において、ユーザによる背後要因図3の作成が完了した後、表示装置15に表示された対策チェックボタン44がマウス等を用いたユーザ操作によって選択、押下操作されたことを契機として開始される。
【0035】
ステップS101では、論理計算表4のチェックが行われる。入力受付部21がユーザ操作による対策チェックボタン44の押下を検知すると、はじめに、論理計算表作成部22は、既設の論理計算表4が存在するか否かを確認し、既設の論理計算表4が存在する場合、この論理計算表4を削除する。これは、対策チェック処理の開始にあたって、前回実行された対策チェック処理において生成された古い論理計算表4を削除するための処理である。その後、処理はステップS102へ進む。
【0036】
ステップS102では、論理計算表4が新規に作成される。論理計算表作成部22は、既設の論理計算表4が削除されると、現在の背後要因図3に基づいて、論理計算表4を新規作成する。なお、論理計算表4は、背後要因図3において事象が配置されたノードに対応するセルに、対応する事象(ノード)の状態が記録される、行列形式の表であり、情報保持部24によって保持される。
【0037】
図6は、本実施形態において作成された、対策チェック処理完了後の論理計算表4を示す図である。図6の論理計算表4によれば、図4の背後要因図3に示された事象に対応するセルに、対応する事象の状態が記録されていることが分かる。はじめに、論理計算表作成部22は、論理計算表4の、背後要因図3に要因事象が入力されているノードに対応するセルに、対策状況フラグ”0”を設定する。
【0038】
背後要因図3に設定されている全ての要因事象に対応するセルへの対策状況フラグ”0”の入力が完了すると、論理計算表作成部22は、これらの要因事象を参照し、各要因事象に対策適用マーク63が設定されているか否かを判断する。そして、論理計算表作成部22は、論理計算表4に設定された対策状況フラグ”0”のうち、対応する要因事象に対策適用マーク63が設定されている対策状況フラグを”1”に変更する。即ち、ここまでの処理が終了した時点で、論理計算表4には、対策適用マーク63が付された要因事象に対応するセルに対策状況フラグ”1”が、対策適用マーク63が付されていない要因事象に対応するセルに対策状況フラグ”0”が、設定されている(図6を参照)。
【0039】
更に、論理計算表作成部22は、背後要因図3に設定されたAND要因マーク61およびOR要因マーク62を参照して、各要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかを判断する。そして、論理計算表作成部22は、AND要因である要因事象については、論理計算表4の対応セルに、この要因事象がAND要因であることを示す情報(本実施形態では、文字列”and”)を設定し、OR要因である要因事象については、論理計算表4の対応セルに、この要因事象がOR要因であることを示す情報(本実施形態では、文字列”or”)を設定する(図6を参照)。論理計算表4が完成すると、処理
はステップS103へ進む。
【0040】
ステップS103では、背後要因図3から対策済みマーク64(図9を参照)が削除される。ここで、対策済みマーク64は、本フローチャートに示す対策チェック処理が実行された結果、子事象に対して施された対策が適切であるために発生が防止されると判断された事象に対して付されるマークであり、ユーザ操作によって付される対策適用マーク63とは異なる。より具体的には、対策済みマーク64は、ある親事象(頂上事象または要因事象)に対して、AND要因である子事象の何れかまたはOR要因である子事象の全てに対策が施されている(具体的には、対策適用マーク63または対策済みマーク64が付されている)ために、この親事象が発生しないことを示すマークである。表示部23は、本ステップにおいて、前回実行された対策チェック処理の結果付された対策済みマーク64を削除する。その後、処理はステップS104へ進む。
【0041】
ステップS104では、各要因事象に対して施された対策が、事象の発生を防止するのに十分であるか否か、換言すると、全ての親事象について、子事象に施された対策によって親事象の発生が防止されるか否か、のチェックが行われる。判定部25は、背後要因図3の最下層のノード(図4における最も右側)にある要因事象から頂上事象に向けて、ボトムアップで対策チェックを行う。チェックの結果、親事象が対策済みであるといえる場合は、判定部25は、論理計算表4において、この親事象に対応するセルに対策状況フラグ”1”を設定する(図6を参照)。
【0042】
図7Aおよび図7Bは、図5のステップS104に示された、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートである。以下、図7Aおよび図7Bを用いて、ステップS104におけるチェック方法のより具体的な内容について説明する。
【0043】
ステップS201は、論理計算表4においてチェック対象セルの列を特定するための列ループの開始端であり、ステップS202は、論理計算表4においてチェック対象セルの行を特定するための行ループの開始端である。また、行ループの終端はステップS223であり、列ループの終端はステップS224である。
【0044】
本実施形態では、論理計算表4は、行列形式の表のセルに対策状況フラグ(”0”または”1”)や”and”、”or”等の文字列が入力されることで構成されている。このため、本実施形態では、列ループと行ループによってチェック対象セルの行および列が特定されることで、所定の順序でチェック対象のセルが特定され、セルの内容についてのチェックが行われる。より具体的には、本実施形態では、最終列から先頭列(最下層の要因事象から頂上事象)に向けてチェックを行うための列ループと、列ループの列(階層)毎に先頭行から最終行(同一階層における一番上の要因事象から一番下の要因事象)に向けてチェックを行うための行ループと、が実行されることで、最下層の要因事象から頂上事象に向けてのボトムアップチェックを行うこととしている。
【0045】
但し、各要因事象に対策が施されているか否か、各要因事象がAND事象であるかOR事象であるか、等のチェックは、本実施形態において説明するような、表形式の論理計算表4と行ループおよび列ループとを用いる方法でなくともよい。対策状態チェックの具体的な方法としては、ノード同士を関連づける枝を辿りながら子事象への対策適用が十分であるか否かを判断する方法等、木構造の内容をチェックするためのその他の方法が、実施の形態に応じて採用されてもよい。
【0046】
ステップS203では、行ループおよび列ループによって特定されたチェック対象のセルに対して、親事象に相当するセルへの入力があるか否か、即ち、親事象が存在するか否かが判定される。親事象が存在しない場合、対策済みか否かを判断すべき親事象がないた
め、処理はステップS222へ進む。なお、ステップS222では、行ループおよび列ループに従って、チェック対象が次のセルへ進められる。これに対して、親事象が存在する場合、ステップS204で、ステップS205以降の処理で用いられる変数が初期化される。ここで、ステップS205以降の処理で用いられる変数としては、例えば、AND要因対策状況フラグ、OR要因カウンタ、およびOR要因対策状況カウンタ等がある。
【0047】
ここで、AND要因対策状況フラグは、ある親事象に対するAND要因である子事象の少なくとも何れかに対策が施されている(対策状況フラグが”1”である)場合にONに設定されるフラグであり、OR要因カウンタは、ある親事象に対するOR要因である子事象の総数を数えるためのカウンタであり、OR要因対策状況カウンタは、ある親事象に対するOR要因である子事象のうち、対策が施されている(対策状況フラグが”1”である)子事象の数を数えるためのカウンタである。変数の初期化が終了すると、処理はステップS205へ進む。
【0048】
ステップS205からステップS211までの項目ループでは、現在のチェック対象セルに対応する子事象が接続されている親事象が、現在の背後要因図3の状態で、対策済みといえるか否かを判断するための情報が収集される。ここでは、項目ループを用いて、現在のチェック対象セルに対応する子事象の親事象に接続されている全ての子事象がチェックされる。はじめに、判定部25は、チェック対象となっているセルに対応する子事象が存在するか否かを、チェック対象セルに対応する背後要因図3のノードを参照することで確認する(ステップS206)。対応する子事象が存在しない場合、チェック対象セルは次のセルへ移行する(ステップS211)。対応する子事象が存在する場合、判定部25は、この子事象がAND要因であるかOR要因であるかを示す情報が記録されているセル(図6に示した例では、1つ左のセル)に文字列”and”および”or”の何れが記録されているかを確認する(ステップS207)。
【0049】
対応セルに”and”が入力されている場合、判定部25は、この子事象の対策状況フラグが”1”であるか否か、換言すると、AND要因である子事象が対策済みまたは対策適用されているか否か、を確認する(ステップS208)。そして、対策状況フラグが”1”である場合、判定部25は、AND要因対策済みフラグを”ON”に設定する(ステップS209)。
【0050】
ステップS207における確認の結果、対応セルに”or”が入力されている場合、判定部25は、OR要因カウンタに1加算(インクリメント)する。また、判定部25は、この子事象の対策状況フラグが”1”であるか否か、換言すると、OR要因である子事象が対策済みまたは対策適用されているか否か、を確認する。そして、対策状況フラグが”1”である場合、OR要因対策状況カウンタに1加算(インクリメント)する(ステップS210)。ステップS210に示された処理が、項目ループ内で、ある親事象に接続された全てのOR要因子事象について実行されることで、親事象に接続されたOR要因子事象の数がOR要因カウンタに計上され、更に、このうち対策状況フラグが”1”であるOR要因子事象の数がOR要因対策状況カウンタに計上される。親事象に接続された子事象に対応するセルが全てチェックされると、項目ループは終了し(ステップS211)、処理はステップS212へ進む。
【0051】
ステップS212からステップS220では、ステップS205からステップS211までの項目ループで収集された情報に基づいて、親事象が対策済みといえるか否かが判断される。
【0052】
OR要因カウンタが”0”であり、且つAND要因対策済みフラグが”ON”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、AND要因は、複数ある子事象が全て発生し
た場合に親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象が全てAND要因であり、且つ少なくとも何れかのAND要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを、対策済みであることを意味する”1”に設定する(ステップS212、S213、S214)。
【0053】
OR要因カウンタが”1”以上であり、OR要因カウンタがOR要因対策状況カウンタと等しく、且つ、AND要因が1以上存在するがAND要因対策済みフラグが”ON”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、OR要因は、複数ある子事象の何れかが発生すれば親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象としてOR要因とAND要因とが混在していても、全てのOR要因事象に対策が施されており、且つ少なくとも何れかのAND要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを”1”に設定する(ステップS212、S216、S217)。
【0054】
OR要因カウンタが”1”以上であり、OR要因カウンタがOR要因対策状況カウンタと等しく、且つ、AND要因が存在せずAND要因対策済みフラグが”OFF”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、OR要因は、複数ある子事象の何れかが発生すれば親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象が全てOR要因であり、且つ全てのOR要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを”1”に設定する(ステップS212、S218、S219、S220)。
【0055】
上記何れの条件にも当てはまらなかった場合、即ち、子事象として対策が施されていないOR要因事象が存在する場合や、1つでも未対策のAND要因事象がある場合には、親事象に対応するセルの対策状況フラグは”0”のまま変更されない。
【0056】
親事象が対策済みといえるか否かの判断処理が終了すると、処理はステップS221へ進む。ステップS221では、チェック対象セルが次のセルへ進められ、処理がステップS223へ進む。ステップS223は、行ループの終端であり、ステップS224は、列ループの終端である。即ち、本フローチャートに示された処理では、列ループおよび行ループが実行されることで、最下層の要因事象から頂上事象に向けてチェック対象のセルが順次特定され、木のボトムアップチェックが行われる。列ループおよび行ループによって、全てのセルについてのチェックが終了すると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
以上、図7Aおよび図7Bを用いて説明した処理の流れは、ステップS104における、親事象が対策済みであるといえるか否かをチェックする処理の詳細である。ステップS104に示された処理が終了した時点において、対策が施されているために事象の発生が防止される事象に対する対策状況フラグには”1”が設定されている。その後、処理はステップS105へ進む。
【0058】
ステップS105では、チェック結果が表示される。図8は、本実施形態において表示される判定結果ダイアログ60のイメージを示す図である。表示部23は、ステップS104までの処理で生成された論理計算表4の内容を参照し、頂上事象に対応するセルの対策状況フラグが”1”に設定されている場合(図6を参照)、設定された対策内容で頂上事象の発生防止が可能であることをユーザに通知するための、「対策OK」の判定結果ダイアログ60を表示する(図8を参照)。
【0059】
また、ステップS105では、対策済みマーク64が表示される。図9は、本実施形態
において生成される、対策済みマーク64が重畳表示された背後要因図3の表示イメージを示す図である。表示部23は、ステップS104までの処理で生成された論理計算表4の内容を参照し、背後要因図3に示されている事象のうち、対策状況フラグが”1”に設定されているセルに対応する事象に対策済みマーク64を重畳表示する(図9を参照)。なお、本実施形態では、対策済みマーク64として丸形状のマークが用いられる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0060】
本実施形態に係る問題分析支援システム1によれば、適用される対策によって、背後要因図3における頂上事象に繋がる事象の連鎖が断たれているか否かを、論理的にユーザに容易に把握させることが可能となる。また、本実施形態に係る問題分析支援システム1は、ユーザに対して事象の連鎖の断絶および対策の問題解決への貢献を視覚的に把握させるため、問題分析の専門的な知識を有さないユーザに対しても、問題の発生が防止出来るか否かを容易に把握させることが可能である。また、ユーザが適用した現時点での対策が不十分である場合にも、どの部分に対して追加の対策を講じればよいか再検討の方向を示すことが出来るため、問題分析に要する時間を短縮することも出来る。
【0061】
図10は、本実施形態において、除外マーク65によって一部の枝が対策チェックの対象から除外された状態の背後要因図3を示す図である。ユーザは、操作パレット40の除外ボタン45を用いて、背後要因図に示された木構造のうち、対策チェックの対象から所望する枝を指定して除外することができる。例えば、図10に示された例では、「要因2」のノード以下の枝が対策チェックから除外される。この場合、ステップS102において説明した論理計算表4の新規作成において、除外マーク65が付された枝にぶら下がるノードが無視される。
【0062】
図11は、本実施形態において、図10に示した背後要因図3に基づいて作成された論理計算表4を示す図である。図11によれば、図10に示した背後要因図3のうち、除外マーク65が付された枝が除外されていることが分かる。このため、本来であれば「要因1」および「要因2」はOR要因であるために、その両方について対策適用マーク63が付されていなければ「問題点1」が対策済みとならない。しかし、図11に示した例では、「要因1」および「要因2」のうち、「要因1」のみに対策適用マーク63が付されているが、「要因2」の枝が除外されているため、「問題点1」の対策状況フラグが”1”となっている。
【0063】
本実施形態に係る問題分析支援システム1によれば、除外マーク65を用いた除外機能を用いて、ユーザが任意に様々な状況を想定して、問題解決のための分析を行うことが出来る。なお、本実施形態では、所定の枝が対策チェックの対象から除外されることを表示するための方法として、禁止や通行止めを想起させる除外マーク65のような記号が用いられるが、このような記号に代えて、除外される枝を網掛け表示する、半透明表示する、淡色で表示する、等のその他の表示方法が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 問題分析支援システム
3 背後要因図
4 論理計算表
23 表示部
24 情報保持部
25 判定部
61 AND要因マーク
62 OR要因マーク
63 対策適用マーク
64 対策済みマーク
65 除外マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、問題分析支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事象ごとの発生確率に基づいて故障木(Fault Tree)の頂上事象に対する不信頼度を計算する故障木作成装置がある(特許文献1を参照)。また、故障木において、故障木に含まれる事象の発生基準値と点検結果とを比較し、異常条件が満たされるか否かを判定することで、発生する異常を予知する設備異常検知装置がある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194561号公報
【特許文献2】特開平8−190681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、事故・トラブル事例の分析手法に関連する分析支援システムにおいて、事象同士の連鎖を把握するための事象関連図、発生した事象の背後にある要因を分析するための背後要因図、および事象の要因に対して適用される対策を評価するための対策評価シート、等が用いられている。特に、背後要因図は、頂上事象の発生を防止するために背後要因に施された対策が十分であるか否かを確認するために用いることが出来る。
【0005】
しかし、上記事象関連図や背後要因図、対策評価シート等を用いたとしても、対策を検討し、評価し、採用しただけでは、適用した対策によって頂上事象に繋がる背後要因の連鎖が断たれていることを論理的に検証して確認しなければ、対策の頂上事象発生防止に寄与する関係が不透明となり、これらの図表を作成するメリットを得ることは出来ない。この点、対策の適用によって事象に繋がる背後要因の連鎖が切断できているか否かの判断は、分析者が自らの経験と知識に基づいて判断する必要があった。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑み、適用される対策によって、所定の事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として所定の事象の発生が防止されるか否かを、分析のための経験や知識を有さないユーザにも容易に判断が出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を備えることで、上記した課題を解決することとした。即ち、本発明は、事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を表示する表示手段と、前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて保持する対策状況情報保持手段と、子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、問題分析支援シス
テムである。
【0008】
ここで、事象とは、最終的に解決したい事故・トラブル等の問題としての事象や、このような問題を派生させる要因としての事象である。事象は、本発明において木構造のノードとして表現され、例えば、最終的に解決したい問題点である事象は、頂上事象として木構造の根ノードに配置され、その他の事象は、要因事象としてその他のノードに配置される。また、事象発生の原因と結果との関係を有する事象は、結果として発生する事象が親事象として親ノードに表示され、原因として発生する事象が子事象として子ノードに表示される。
【0009】
本発明では、事象が表示されるノードに関連付けて、このノードに係る事象に対策が施されるか否かを示す対策状況情報が保持される。このような対策状況情報は例えば、事象に係るノードに表示される対策適用マークや対策済みマーク、または対策状況フラグ”1”として保持される。
【0010】
本発明では、親事象にぶら下がる1または複数の子事象についての対策状況情報を参照することで、現在の子事象への対策情況で、親事象の発生が防止されるか否かを判定することとしている。この際、子事象には、全ての子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理積が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、何れかの子事象が発生する場合(事象発生の真偽の論理和が真である場合)に親事象を発生させる子事象と、がある。このため、本発明では、全ての子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定する。また、何れかの子事象が発生する場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定する。
【0011】
そして、本発明は、親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を木構造上に表示する。これによって、本発明によれば、分析のための経験や知識を有さないユーザであっても、適用される対策によって、事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、事象の発生が防止されるか否かを、容易に判断することが出来る。
【0012】
また、本発明において、前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示してもよい。
【0013】
事象の発生が防止されることを示す印としては、例えば、発生が防止される事象に係るノードに重ねて表示される対策済みマーク等を用いることが出来る。また、このような印として、文字や記号、アイコン等が用いられてもよいし、印は、ノードに重畳表示されてもよいし、ノード近傍に表示されてもよい。親事象の発生が防止されることを示す印が表示されることで、本発明によれば、ユーザに対して事象の連鎖の断絶および対策の問題解決への貢献を視覚的に把握させることが出来る。また、ユーザが適用した現時点での対策が不十分である場合にも、どの部分に対して追加の対策を講じればよいか再検討の方向を示すことが出来るため、問題分析に要する時間を短縮することも可能である。
【0014】
また、本発明において、前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、前記判定手段は、事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定することとしても
よい。
【0015】
即ち、本発明では、論理積によって親事象を発生させる子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されているか否かを、対策状況の論理和によって判定し、
論理和によって親事象を発生させる子事象の全てに対して対策が適用されているか否かを、対策状況の論理積によって判定する。
【0016】
本発明によれば、このような論理計算を用いて対策の可否を判定することで、複雑な判定処理を行うことなく、適用される対策によって、事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として事象の発生が防止されるか否かを簡易に判定することが出来る。
【0017】
更に、本発明は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適用される対策によって、所定の事象に繋がる要因の連鎖が断たれ、結果として所定の事象の発生が防止されるか否かを、分析のための経験や知識を有さないユーザにも容易に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る問題分析支援システムのハードウェア構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る問題分析支援システムの機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態において表示装置に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。
【図4】実施形態において作成された背後要因図の表示イメージを示す図である。
【図5】実施形態に係る対策チェック処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施形態において作成された、対策チェック処理完了後の論理計算表を示す図である。
【図7A】実施形態に係る、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートAである。
【図7B】実施形態に係る、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートBである。
【図8】実施形態において表示される判定結果ダイアログのイメージを示す図である。
【図9】実施形態において生成される、対策済みマークが重畳表示された背後要因図の表示イメージを示す図である。
【図10】実施形態において、除外マークによって一部の枝が対策チェックの対象から除外された状態の背後要因図を示す図である。
【図11】実施形態において、図10に示した背後要因図に基づいて作成された論理計算表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る問題分析支援システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係る問題分析支援システム1のハードウェア構成を示す図である。問題分析支援システム1は、CPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置14、表示装置15としてのディスプレイ、および、入力装置16としてのキーボードやマウス等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。
【0022】
図2は、本実施形態に係る問題分析支援システム1の機能構成の概略を示す図である。図1に示された構成を有するコンピュータは、補助記憶装置14に記録されている問題分析支援プログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されることで、入力受付部21、論理計算表作成部22、表示部23、情報保持部24、および判定部25を備える問題分析支援システム1として機能する。なお、このうち表示部23、情報保持部24、および判定部25は、夫々、本発明に係る表示手段、対策状況情報保持手段、および判定手段に相当する。
【0023】
本実施形態に係る問題分析支援システム1では、発生した事象の背後にある要因を分析するために、背後要因図3が用いられる。背後要因図3は、解決すべき問題点としての頂上事象、および頂上事象が発生する背後要因である要因事象をノードとして含み、頂上事象を基点(根ノード)として各事象の背後要因となる事象が子ノードとして接続された木構造の図である。
【0024】
図3は、本実施形態において表示装置15に表示される背後要因図作成画面のイメージを示す図である。なお、図3では、頂上事象として「問題点1」との文言が表示されているが、頂上事象のノードには、事故・トラブルの具体的な名称等、解決すべき事象の内容(例えば、「停電」等)が表示されてもよい。同様に、図3では、要因事象として「要因1」、「要因2」等の文言が表示されているが、要因事象のノードには、親事象の発生要因(発生条件)となった事象の具体的な名称等、対策が施されるべき事象の内容(例えば、「断線」等)が表示されてもよい。
【0025】
背後要因図3に表示される頂上事象や要因事象等のノードは、キーボードやマウス等を用いたユーザの入力操作によって入力され、表示装置15に表示される。背後要因図3は、最終的に発生を防止したい事故やトラブル等の事象が頂上事象として最上位に配置された木構造であり、頂上事象発生の背後要因となる要因事象が、下位のノードとして頂上事象に関連付けられている。また、要因事象には、これらの要因事象が発生する背後要因である他の要因事象が、より下位のノードとして関連付けられている。即ち、背後要因図3においては、頂上事象および要因事象が、多層の親子関係をもって関連付けられている。頂上事象および要因事象のうち、ある事象を親事象としたとき、この親事象が発生する要因である事象であって該親事象に対して枝で直接接続されている事象を子事象と称する。換言すると、親事象とは、枝で直接接続された子事象を要因として発生する事象である。
【0026】
ユーザは、背後要因図3を新規に作成する場合、背後要因図3を用いて解決したい問題を頂上事象として木構造の根ノードに配置し(図3の「問題点1」を参照)、以下、頂上事象が発生する背後要因である要因事象を、親事象と、親事象の発生の背後要因である子事象との親子関係に従ってツリー状に配置していくことで、木構造を有する背後要因図3を生成する。このような背後要因図3の作成は、背後要因図3に重ねて表示される操作パレット40や操作パネル50を、ユーザにマウス等を用いて選択させ、必要であればキーボードを用いて文字を入力させる等の操作を行うことで行われる。
【0027】
なお、本実施形態では、操作パレット40には、操作パネル50を呼び出して事象(ノ
ード)を追加するための操作パネル呼出ボタン41、選択された要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかを設定するための要因種別設定ボタン42、選択された要因事象に対して該要因事象に対策が適用されることを示す対策適用マーク63を設定するための対策適用ボタン43、後述する対策チェック処理を実行開始するための対策チェックボタン44、対策チェックにおいて考慮しない枝を指定するための除外ボタン45(除外ボタン45の機能の詳細については後述する)等の各種ボタンが配置されている。また、操作パネル50には、事象の内容入力ボックス51、色選択欄52、OKボタン(決定ボタン)およびキャンセルボタン等が配置されている。
【0028】
事象の入力の際、ユーザは、背後要因図3において事象を追加する位置を指定し、事象のノード内に表示される事象の名称や内容(上記説明した「問題点1」や「停電」、「要因1」、「断線」等)を内容入力ボックス51へ入力し、また、事象の種類に応じて、事象のノードの色を指定する。ユーザは、入力される事象の種類が要因事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「背後要因」を選択し、入力される事象の種類が要因事象と推定される事象である場合には、図3の色選択欄52から「背後要因 推定」を選択し、入力される事象の種類が頂上事象である場合には、図3に示した色選択欄52から「問題点」を選択する。
【0029】
また、ユーザは、操作パレット40の要因種別設定ボタン42を操作することで、背後要因図3に含まれる各要因事象がAND要因であるのか、OR要因であるのかを指定する。ここで、AND要因とは、親事象にとって、複数ある子事象が全て発生した場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。また、OR要因とは、複数ある子事象の何れかが発生する場合、即ち、子事象の事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象が発生すると考えられる要因事象を意味する。なお、一の親事象に対して、AND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられてもよい。一の親事象に対してAND要因である子事象と、OR要因である子事象とが混在して関連付けられている場合、親事象は、OR要因である子事象の少なくとも何れかが満たされるか、AND要因である子事象の全てが満たされた場合に発生する。
【0030】
なお、本実施形態では、AND要因であるのかOR要因であるのかが指定されていない要因事象(子事象)は、親事象に対してOR要因であるとして扱われる。このようにすることで、ユーザがAND要因であるのかOR要因であるのかを判断することが困難であるような場合にも、その事象を、対策しなければ親事象が発生してしまう事象として扱い、対策をより確実にすることが出来る。
【0031】
また、ユーザは、マウス等を操作して対策が適用される要因事象を指定し、操作パレット40に設けられた対策適用ボタン43を操作することで、その要因事象に対して対策適用マーク63を設定し、該要因事象を対策適用状態に設定することが出来る。ユーザによって設定された対策適用マーク63は、情報保持部24によって保持され、判定部25による対策状況チェック処理に用いられる。
【0032】
図4は、本実施形態において作成された背後要因図3の表示イメージを示す図である。上記説明した通り、背後要因図3に含まれる各要因事象には、その要因事象(子事象)が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかが設定されており、また、各要因事象に対策が適用されているか否かが設定されている。本実施形態では、親事象にとってAND要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に四角形状のAND要因マーク61を付すことで設定され、親事象にとってOR要因である要因事象は、親事象に繋がる枝に円形状のOR要因マーク62を付すことで設定される。また、本実施形態では、対策が適用されている要因事象には、その要因事象に対策が適用され、もはや親事象の発生要因としての
連関性が断たれていることを示す対策適用マーク63が付される。
【0033】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る問題分析支援システム1によって実行される対策チェック処理の流れを説明する。本実施形態に係る問題分析支援システム1は、対策チェック処理を実行することで、上記説明したような方法で作成された背後要因図3の頂上事象の発生が、対策適用マーク63が付された要因事象に対する対策によって確実に防止されるか否かを判断する。
【0034】
図5は、本実施形態に係る対策チェック処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態に係る対策チェック処理は、上記説明した問題分析支援システム1において、ユーザによる背後要因図3の作成が完了した後、表示装置15に表示された対策チェックボタン44がマウス等を用いたユーザ操作によって選択、押下操作されたことを契機として開始される。
【0035】
ステップS101では、論理計算表4のチェックが行われる。入力受付部21がユーザ操作による対策チェックボタン44の押下を検知すると、はじめに、論理計算表作成部22は、既設の論理計算表4が存在するか否かを確認し、既設の論理計算表4が存在する場合、この論理計算表4を削除する。これは、対策チェック処理の開始にあたって、前回実行された対策チェック処理において生成された古い論理計算表4を削除するための処理である。その後、処理はステップS102へ進む。
【0036】
ステップS102では、論理計算表4が新規に作成される。論理計算表作成部22は、既設の論理計算表4が削除されると、現在の背後要因図3に基づいて、論理計算表4を新規作成する。なお、論理計算表4は、背後要因図3において事象が配置されたノードに対応するセルに、対応する事象(ノード)の状態が記録される、行列形式の表であり、情報保持部24によって保持される。
【0037】
図6は、本実施形態において作成された、対策チェック処理完了後の論理計算表4を示す図である。図6の論理計算表4によれば、図4の背後要因図3に示された事象に対応するセルに、対応する事象の状態が記録されていることが分かる。はじめに、論理計算表作成部22は、論理計算表4の、背後要因図3に要因事象が入力されているノードに対応するセルに、対策状況フラグ”0”を設定する。
【0038】
背後要因図3に設定されている全ての要因事象に対応するセルへの対策状況フラグ”0”の入力が完了すると、論理計算表作成部22は、これらの要因事象を参照し、各要因事象に対策適用マーク63が設定されているか否かを判断する。そして、論理計算表作成部22は、論理計算表4に設定された対策状況フラグ”0”のうち、対応する要因事象に対策適用マーク63が設定されている対策状況フラグを”1”に変更する。即ち、ここまでの処理が終了した時点で、論理計算表4には、対策適用マーク63が付された要因事象に対応するセルに対策状況フラグ”1”が、対策適用マーク63が付されていない要因事象に対応するセルに対策状況フラグ”0”が、設定されている(図6を参照)。
【0039】
更に、論理計算表作成部22は、背後要因図3に設定されたAND要因マーク61およびOR要因マーク62を参照して、各要因事象が親事象に対してAND要因であるかOR要因であるかを判断する。そして、論理計算表作成部22は、AND要因である要因事象については、論理計算表4の対応セルに、この要因事象がAND要因であることを示す情報(本実施形態では、文字列”and”)を設定し、OR要因である要因事象については、論理計算表4の対応セルに、この要因事象がOR要因であることを示す情報(本実施形態では、文字列”or”)を設定する(図6を参照)。論理計算表4が完成すると、処理
はステップS103へ進む。
【0040】
ステップS103では、背後要因図3から対策済みマーク64(図9を参照)が削除される。ここで、対策済みマーク64は、本フローチャートに示す対策チェック処理が実行された結果、子事象に対して施された対策が適切であるために発生が防止されると判断された事象に対して付されるマークであり、ユーザ操作によって付される対策適用マーク63とは異なる。より具体的には、対策済みマーク64は、ある親事象(頂上事象または要因事象)に対して、AND要因である子事象の何れかまたはOR要因である子事象の全てに対策が施されている(具体的には、対策適用マーク63または対策済みマーク64が付されている)ために、この親事象が発生しないことを示すマークである。表示部23は、本ステップにおいて、前回実行された対策チェック処理の結果付された対策済みマーク64を削除する。その後、処理はステップS104へ進む。
【0041】
ステップS104では、各要因事象に対して施された対策が、事象の発生を防止するのに十分であるか否か、換言すると、全ての親事象について、子事象に施された対策によって親事象の発生が防止されるか否か、のチェックが行われる。判定部25は、背後要因図3の最下層のノード(図4における最も右側)にある要因事象から頂上事象に向けて、ボトムアップで対策チェックを行う。チェックの結果、親事象が対策済みであるといえる場合は、判定部25は、論理計算表4において、この親事象に対応するセルに対策状況フラグ”1”を設定する(図6を参照)。
【0042】
図7Aおよび図7Bは、図5のステップS104に示された、事象の対策状態チェック処理の詳細な流れを示すフローチャートである。以下、図7Aおよび図7Bを用いて、ステップS104におけるチェック方法のより具体的な内容について説明する。
【0043】
ステップS201は、論理計算表4においてチェック対象セルの列を特定するための列ループの開始端であり、ステップS202は、論理計算表4においてチェック対象セルの行を特定するための行ループの開始端である。また、行ループの終端はステップS223であり、列ループの終端はステップS224である。
【0044】
本実施形態では、論理計算表4は、行列形式の表のセルに対策状況フラグ(”0”または”1”)や”and”、”or”等の文字列が入力されることで構成されている。このため、本実施形態では、列ループと行ループによってチェック対象セルの行および列が特定されることで、所定の順序でチェック対象のセルが特定され、セルの内容についてのチェックが行われる。より具体的には、本実施形態では、最終列から先頭列(最下層の要因事象から頂上事象)に向けてチェックを行うための列ループと、列ループの列(階層)毎に先頭行から最終行(同一階層における一番上の要因事象から一番下の要因事象)に向けてチェックを行うための行ループと、が実行されることで、最下層の要因事象から頂上事象に向けてのボトムアップチェックを行うこととしている。
【0045】
但し、各要因事象に対策が施されているか否か、各要因事象がAND事象であるかOR事象であるか、等のチェックは、本実施形態において説明するような、表形式の論理計算表4と行ループおよび列ループとを用いる方法でなくともよい。対策状態チェックの具体的な方法としては、ノード同士を関連づける枝を辿りながら子事象への対策適用が十分であるか否かを判断する方法等、木構造の内容をチェックするためのその他の方法が、実施の形態に応じて採用されてもよい。
【0046】
ステップS203では、行ループおよび列ループによって特定されたチェック対象のセルに対して、親事象に相当するセルへの入力があるか否か、即ち、親事象が存在するか否かが判定される。親事象が存在しない場合、対策済みか否かを判断すべき親事象がないた
め、処理はステップS222へ進む。なお、ステップS222では、行ループおよび列ループに従って、チェック対象が次のセルへ進められる。これに対して、親事象が存在する場合、ステップS204で、ステップS205以降の処理で用いられる変数が初期化される。ここで、ステップS205以降の処理で用いられる変数としては、例えば、AND要因対策状況フラグ、OR要因カウンタ、およびOR要因対策状況カウンタ等がある。
【0047】
ここで、AND要因対策状況フラグは、ある親事象に対するAND要因である子事象の少なくとも何れかに対策が施されている(対策状況フラグが”1”である)場合にONに設定されるフラグであり、OR要因カウンタは、ある親事象に対するOR要因である子事象の総数を数えるためのカウンタであり、OR要因対策状況カウンタは、ある親事象に対するOR要因である子事象のうち、対策が施されている(対策状況フラグが”1”である)子事象の数を数えるためのカウンタである。変数の初期化が終了すると、処理はステップS205へ進む。
【0048】
ステップS205からステップS211までの項目ループでは、現在のチェック対象セルに対応する子事象が接続されている親事象が、現在の背後要因図3の状態で、対策済みといえるか否かを判断するための情報が収集される。ここでは、項目ループを用いて、現在のチェック対象セルに対応する子事象の親事象に接続されている全ての子事象がチェックされる。はじめに、判定部25は、チェック対象となっているセルに対応する子事象が存在するか否かを、チェック対象セルに対応する背後要因図3のノードを参照することで確認する(ステップS206)。対応する子事象が存在しない場合、チェック対象セルは次のセルへ移行する(ステップS211)。対応する子事象が存在する場合、判定部25は、この子事象がAND要因であるかOR要因であるかを示す情報が記録されているセル(図6に示した例では、1つ左のセル)に文字列”and”および”or”の何れが記録されているかを確認する(ステップS207)。
【0049】
対応セルに”and”が入力されている場合、判定部25は、この子事象の対策状況フラグが”1”であるか否か、換言すると、AND要因である子事象が対策済みまたは対策適用されているか否か、を確認する(ステップS208)。そして、対策状況フラグが”1”である場合、判定部25は、AND要因対策済みフラグを”ON”に設定する(ステップS209)。
【0050】
ステップS207における確認の結果、対応セルに”or”が入力されている場合、判定部25は、OR要因カウンタに1加算(インクリメント)する。また、判定部25は、この子事象の対策状況フラグが”1”であるか否か、換言すると、OR要因である子事象が対策済みまたは対策適用されているか否か、を確認する。そして、対策状況フラグが”1”である場合、OR要因対策状況カウンタに1加算(インクリメント)する(ステップS210)。ステップS210に示された処理が、項目ループ内で、ある親事象に接続された全てのOR要因子事象について実行されることで、親事象に接続されたOR要因子事象の数がOR要因カウンタに計上され、更に、このうち対策状況フラグが”1”であるOR要因子事象の数がOR要因対策状況カウンタに計上される。親事象に接続された子事象に対応するセルが全てチェックされると、項目ループは終了し(ステップS211)、処理はステップS212へ進む。
【0051】
ステップS212からステップS220では、ステップS205からステップS211までの項目ループで収集された情報に基づいて、親事象が対策済みといえるか否かが判断される。
【0052】
OR要因カウンタが”0”であり、且つAND要因対策済みフラグが”ON”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、AND要因は、複数ある子事象が全て発生し
た場合に親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象が全てAND要因であり、且つ少なくとも何れかのAND要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを、対策済みであることを意味する”1”に設定する(ステップS212、S213、S214)。
【0053】
OR要因カウンタが”1”以上であり、OR要因カウンタがOR要因対策状況カウンタと等しく、且つ、AND要因が1以上存在するがAND要因対策済みフラグが”ON”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、OR要因は、複数ある子事象の何れかが発生すれば親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象としてOR要因とAND要因とが混在していても、全てのOR要因事象に対策が施されており、且つ少なくとも何れかのAND要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを”1”に設定する(ステップS212、S216、S217)。
【0054】
OR要因カウンタが”1”以上であり、OR要因カウンタがOR要因対策状況カウンタと等しく、且つ、AND要因が存在せずAND要因対策済みフラグが”OFF”である場合、この親事象の発生は防止される。即ち、OR要因は、複数ある子事象の何れかが発生すれば親事象が発生すると考えられる要因事象であるため、親事象の発生要因である子事象が全てOR要因であり、且つ全てのOR要因事象に対策が施されている場合、親事象の発生は防止される。このため、判定部25は、親事象に対応するセルの対策状況フラグを”1”に設定する(ステップS212、S218、S219、S220)。
【0055】
上記何れの条件にも当てはまらなかった場合、即ち、子事象として対策が施されていないOR要因事象が存在する場合や、1つでも未対策のAND要因事象がある場合には、親事象に対応するセルの対策状況フラグは”0”のまま変更されない。
【0056】
親事象が対策済みといえるか否かの判断処理が終了すると、処理はステップS221へ進む。ステップS221では、チェック対象セルが次のセルへ進められ、処理がステップS223へ進む。ステップS223は、行ループの終端であり、ステップS224は、列ループの終端である。即ち、本フローチャートに示された処理では、列ループおよび行ループが実行されることで、最下層の要因事象から頂上事象に向けてチェック対象のセルが順次特定され、木のボトムアップチェックが行われる。列ループおよび行ループによって、全てのセルについてのチェックが終了すると、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
以上、図7Aおよび図7Bを用いて説明した処理の流れは、ステップS104における、親事象が対策済みであるといえるか否かをチェックする処理の詳細である。ステップS104に示された処理が終了した時点において、対策が施されているために事象の発生が防止される事象に対する対策状況フラグには”1”が設定されている。その後、処理はステップS105へ進む。
【0058】
ステップS105では、チェック結果が表示される。図8は、本実施形態において表示される判定結果ダイアログ60のイメージを示す図である。表示部23は、ステップS104までの処理で生成された論理計算表4の内容を参照し、頂上事象に対応するセルの対策状況フラグが”1”に設定されている場合(図6を参照)、設定された対策内容で頂上事象の発生防止が可能であることをユーザに通知するための、「対策OK」の判定結果ダイアログ60を表示する(図8を参照)。
【0059】
また、ステップS105では、対策済みマーク64が表示される。図9は、本実施形態
において生成される、対策済みマーク64が重畳表示された背後要因図3の表示イメージを示す図である。表示部23は、ステップS104までの処理で生成された論理計算表4の内容を参照し、背後要因図3に示されている事象のうち、対策状況フラグが”1”に設定されているセルに対応する事象に対策済みマーク64を重畳表示する(図9を参照)。なお、本実施形態では、対策済みマーク64として丸形状のマークが用いられる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0060】
本実施形態に係る問題分析支援システム1によれば、適用される対策によって、背後要因図3における頂上事象に繋がる事象の連鎖が断たれているか否かを、論理的にユーザに容易に把握させることが可能となる。また、本実施形態に係る問題分析支援システム1は、ユーザに対して事象の連鎖の断絶および対策の問題解決への貢献を視覚的に把握させるため、問題分析の専門的な知識を有さないユーザに対しても、問題の発生が防止出来るか否かを容易に把握させることが可能である。また、ユーザが適用した現時点での対策が不十分である場合にも、どの部分に対して追加の対策を講じればよいか再検討の方向を示すことが出来るため、問題分析に要する時間を短縮することも出来る。
【0061】
図10は、本実施形態において、除外マーク65によって一部の枝が対策チェックの対象から除外された状態の背後要因図3を示す図である。ユーザは、操作パレット40の除外ボタン45を用いて、背後要因図に示された木構造のうち、対策チェックの対象から所望する枝を指定して除外することができる。例えば、図10に示された例では、「要因2」のノード以下の枝が対策チェックから除外される。この場合、ステップS102において説明した論理計算表4の新規作成において、除外マーク65が付された枝にぶら下がるノードが無視される。
【0062】
図11は、本実施形態において、図10に示した背後要因図3に基づいて作成された論理計算表4を示す図である。図11によれば、図10に示した背後要因図3のうち、除外マーク65が付された枝が除外されていることが分かる。このため、本来であれば「要因1」および「要因2」はOR要因であるために、その両方について対策適用マーク63が付されていなければ「問題点1」が対策済みとならない。しかし、図11に示した例では、「要因1」および「要因2」のうち、「要因1」のみに対策適用マーク63が付されているが、「要因2」の枝が除外されているため、「問題点1」の対策状況フラグが”1”となっている。
【0063】
本実施形態に係る問題分析支援システム1によれば、除外マーク65を用いた除外機能を用いて、ユーザが任意に様々な状況を想定して、問題解決のための分析を行うことが出来る。なお、本実施形態では、所定の枝が対策チェックの対象から除外されることを表示するための方法として、禁止や通行止めを想起させる除外マーク65のような記号が用いられるが、このような記号に代えて、除外される枝を網掛け表示する、半透明表示する、淡色で表示する、等のその他の表示方法が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 問題分析支援システム
3 背後要因図
4 論理計算表
23 表示部
24 情報保持部
25 判定部
61 AND要因マーク
62 OR要因マーク
63 対策適用マーク
64 対策済みマーク
65 除外マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を表示する表示手段と、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて保持する対策状況情報保持手段と、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項1に記載の問題分析支援システム。
【請求項3】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項1または2に記載の問題分析支援システム。
【請求項4】
表示装置および記憶装置に接続されたコンピュータが、
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記表示装置に表示する表示ステップと、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて前記記憶装置に保持する対策状況情報保持ステップと、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定ステップと、を実行し、
前記判定ステップでは、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示ステップでは、前記判定ステップによって親事象の発生が防止されると判定さ
れた場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援方法。
【請求項5】
前記表示ステップでは、前記判定ステップによって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項4に記載の問題分析支援方法。
【請求項6】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定ステップでは、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項4または5に記載の問題分析支援方法。
【請求項7】
表示装置および記憶装置に接続されたコンピュータを、
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記表示装置に表示する表示手段と、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて前記記憶装置に保持する対策状況情報保持手段と、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、として機能させ、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援プログラム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項7に記載の問題分析支援プログラム。
【請求項9】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項7または8に記載の問題分析支援プログラム。
【請求項1】
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を表示する表示手段と、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて保持する対策状況情報保持手段と、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項1に記載の問題分析支援システム。
【請求項3】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項1または2に記載の問題分析支援システム。
【請求項4】
表示装置および記憶装置に接続されたコンピュータが、
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記表示装置に表示する表示ステップと、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて前記記憶装置に保持する対策状況情報保持ステップと、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定ステップと、を実行し、
前記判定ステップでは、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示ステップでは、前記判定ステップによって親事象の発生が防止されると判定さ
れた場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援方法。
【請求項5】
前記表示ステップでは、前記判定ステップによって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項4に記載の問題分析支援方法。
【請求項6】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定ステップでは、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項4または5に記載の問題分析支援方法。
【請求項7】
表示装置および記憶装置に接続されたコンピュータを、
事象を示すノードを有する木構造であって、親ノードと、該親ノードに係る親事象の発生原因である子事象を示す子ノードと、を含む木構造を前記表示装置に表示する表示手段と、
前記事象に対する対策状況を示す対策状況情報を、夫々の事象に係るノードに関連付けて前記記憶装置に保持する対策状況情報保持手段と、
子事象に係る前記対策状況情報を参照することで、該子事象を発生原因とする親事象の発生が防止されるか否かを判定する判定手段と、として機能させ、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の少なくとも何れかに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の全てに対して対策が適用されている場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
前記表示手段は、前記判定手段によって親事象の発生が防止されると判定された場合、該判定結果を前記木構造上に表示する、
問題分析支援プログラム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記判定手段によって発生が防止されると判定された親事象を示すノードに対して、該親事象の発生が防止されることを示す印を表示する、
請求項7に記載の問題分析支援プログラム。
【請求項9】
前記対策状況情報には、事象に対策が施されている場合には真が、事象に対策が施されていない場合には偽が設定され、
前記判定手段は、
事象発生の真偽の論理積が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理和が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定し、
事象発生の真偽の論理和が真である場合に親事象を発生させる子事象については、その子事象の対策状況情報の論理積が真である場合に、該親事象の発生が防止されると判定する、
請求項7または8に記載の問題分析支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−14014(P2011−14014A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158658(P2009−158658)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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