説明

喫煙停止キットおよび方法

血清中抗ニコチン抗体レベルに基づいて、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定し、かつ/または禁煙の継続期間を延ばすための、喫煙中止のためのデバイスおよびキットを記載する。関連する方法もまた記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、35 U.S.C.§119(e)の下、2008年6月13日出願の米国仮出願第61/129,247号(この内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる)に基づく優先権の恩典を主張する。
【0002】
本発明における政府の権利
本明細書に開示された発明は、一部、助成金による資金提供を受けた。従って、そのような発明に対する権利が米国政府に発生する可能性があるという点で、37 C.F.R.§401.14(f)(4)の下で必要とされる以下の記述があてはまる:本発明は、National Institute on Drug Abuseによって授与された助成金番号5R01DA17894-2の下で政府助成を受けて行われた。政府は、本発明においてある程度の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、喫煙停止の分野に関し、喫煙停止のための方法、デバイス、およびキットを提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
喫煙は世界的な医療問題である。World Health Organizationは、今日、世界中に13億人の喫煙者がおり、毎年ほぼ500万人がタバコに関連して死亡していると推定している。現在の喫煙パターンが継続すれば、喫煙は、2020年までに毎年およそ1000万人の死亡を引き起こすであろう。U.S. Center for Disease Control(CDC)によると、タバコ使用は、米国における一つの主要な防止可能な死因であり、毎年およそ438,000人の死亡の原因となっている。さらに、喫煙は、およそ1570億ドルという年間健康関連経済コストをもたらすと推定されている。CDCは、米国内の4500万人の成人喫煙者のうち、70%が中止することを望んでいるが、中止を試みた者のうち、12ヶ月後に禁煙したままであるのは、5パーセントに満たないと推定している。
【0005】
喫煙を中止するのが困難である一つの理由は、紙巻きタバコおよびその他のタバコ製品に含まれるニコチンによる中毒である。ニコチンは、体内へ吸引されると、急速に血流へと移行し、続いて、血液脳関門を通過することにより脳に到達する低分子である。一旦脳内に入ると、ニコチンはニコチン受容体に結合し、ドーパミンのような刺激物質の放出をもたらして喫煙者に前向きな感覚を提供し、それにより、中毒をもたらす。
【0006】
従って、喫煙停止のための方法、デバイス、およびキットが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
概要
一つの態様において、本発明は、
(a)抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質;
(b)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するために前記作用物質を使用するための説明書;ならびに
(c)少なくとも第1の指定閾値レベルである血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すこと、および/または第1の指定閾値レベル未満の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるとは示さないことを示す説明書
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのキットを提供する。
【0008】
いくつかの態様において、第1の指定閾値レベルは、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、および少なくとも約25μg/mlからなる群より選択される。
【0009】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択される。
【0010】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。例えば、抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、過去の投与回数が2回までである場合の少なくとも25μg/ml、過去の投与回数が3回である場合の少なくとも50μg/ml、過去の投与回数が4回である場合の少なくとも75μg/ml、および過去の投与回数が5回である場合の少なくとも100μg/mlより選択され得る。
【0011】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0012】
さらに他の態様において、第1の指定閾値レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0013】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる。例えば、第1の指定閾値レベルは、1日に喫煙する紙巻きタバコの本数が30本以上である対象について、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されてもよいし、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0014】
さらに他の態様において、作用物質はニコチンまたはニコチン誘導体を含む。例えば、作用物質は3'アミノメチルニコチンを含み得る。
【0015】
いくつかの態様において、キットは、抗ニコチン抗体を含有している抗ニコチン抗体標準液を含む。
【0016】
他の態様において、キットは、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物が対象に投与されるべきであることを示す説明書を含む。例えば、第2の指定閾値レベルは、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されてもよいし、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0017】
いくつかの態様において、血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定して、血清中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルと相関する信号を生じる分析試験デバイス中に、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質が提供される。従って、例えば、分析試験デバイスは、以下の因子のうちの少なくとも一つに関するデータをユーザーが入力することができるデバイスを含み得る:抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数;対象のニコチン中毒の程度、および対象が受けるカウンセリングの量。
【0018】
キットのいくつかの態様において、分析試験デバイスは、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数をユーザーが入力することができるデバイスを含み、かつ信号は、測定された抗ニコチン抗体のレベルが少なくとも、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関する抗体の閾値レベルであるか否か、を示す。
【0019】
他の態様において、キットはニコチン免疫原性組成物を含む。キットの例示的な態様において、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む。
【0020】
本発明は、
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;および
(b)血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを、対象が喫煙を中止するのに有利な時と相関させる工程
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時を決定する方法も提供する。
【0021】
いくつかの態様において、第1の指定閾値レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0022】
いくつかの態様において、第1の指定閾値レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0023】
他の態様において、方法は、工程(b)の前に、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングの量、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数に関連する因子からなる群より選択される少なくとも一つの因子を決定する工程をさらに含む。
【0024】
他の態様において、方法は、工程(b)の前に、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数を決定する工程をさらに含む。
【0025】
方法の他の態様において、第1の指定閾値レベルは、上に概説された通り、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる。
【0026】
さらに他の態様において、第1の指定閾値レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。
【0027】
他の態様は、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物の投与を受けるよう対象にカウンセリングを行う工程を提供する。
【0028】
他の態様において、方法は、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに含む。例えば、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含み得る。
【0029】
いくつかの態様において、方法は、工程(a)の前に、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに含む。例えば、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含み得る。
【0030】
本発明は、
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;ならびに
(b)対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第1の指定閾値レベル以上である場合、喫煙を中止するのに有利な時であること、および/または、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第1の指定閾値レベル未満である場合、喫煙を中止するのに有利な時でないことについて対象にカウンセリングを行う工程
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法をさらに提供する。
【0031】
さらに、本発明は、
(a)抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質;
(b)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するために前記作用物質を使用するための説明書;ならびに
(c)最低レベル未満の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象がニコチン免疫原性組成物の投与を受けるべきであることを示すことを示す説明書、および/または最低レベル以上の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象がニコチン免疫原性組成物の投与を受けるべきでないことを示すことを示す説明書
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を延ばすためのキットを提供する。
【0032】
キットのいくつかの態様において、最低閾値は、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも35μg/mL、および少なくとも45μg/mLより選択されるものである。
【0033】
他の態様において、キットは、対象が喫煙を中止した後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、および少なくとも24ヶ月からなる群より選択される時点で対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するための説明書を含む。
【0034】
いくつかの態様において、最低レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0035】
他の態様において、最低レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0036】
さらに他の態様において、最低レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。
【0037】
キットのいくつかの態様において、キットは、ニコチン免疫原性組成物をさらに含む。例えば、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む。
【0038】
本発明は、
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルが最低レベル未満であるか否かを決定する工程;および
(b)対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが最低レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を延ばす方法も提供する。
【0039】
いくつかの態様において、対象が喫煙を中止した後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、および少なくとも24ヶ月からなる群より選択される時点で対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが測定される。
【0040】
他の態様において、最低閾値レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0041】
さらに他の態様において、最低レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0042】
または、他の態様において、最低レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。
【0043】
他の態様は、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに提供する。例えば、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む。
【0044】
本発明は、
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;および
(b)測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であること、または測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを決定する工程
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法も提供する。
【0045】
いくつかの態様において、方法は、工程(b)の前に、
(a')対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルに変換する工程
をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、工程(a')は、文書(電子化もしくは印刷されたもの)、機械、またはコンピュータの使用を含む。機械またはコンピュータは、測定された、前記対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを受け取るための機械的または電子的なデバイスを含み得る。
【0046】
または、他の態様において、機械またはコンピュータは、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを受け取るための機械的または電子的なデバイスを含む。
【0047】
さらに他の態様において、機械またはコンピュータは血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを出力するための機械的または電子的なデバイスを含む。
【0048】
さらに他の態様において、機械またはコンピュータは、測定されたレベルが少なくとも抗体の閾値レベルであることを示す信号、および/または測定されたレベルが抗体の閾値レベル未満であることを示す信号を生ずる。
【0049】
方法のいくつかの態様において、文書は、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと相関させる。
【0050】
方法の他の態様において、工程(b)は、文書(電子化もしくは印刷されたもの)、機械、またはコンピュータの使用を含む。
【0051】
方法は、
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;および
(b)(i)測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であること、または(ii)測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを決定する工程
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法をさらに提供する。
【0052】
さらに、本発明は、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルに変換する工程を含む、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定する方法を提供する。
【0053】
いくつかの態様において、変換は電子処理回路によって行われる。
【0054】
本発明は、
対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数のうちの少なくとも一つを示す少なくとも一つのユーザー入力を受け取るよう構成されているユーザー・インターフェース;
少なくとも一つの前記ユーザー入力に基づいて血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを計算するよう構成されている電子処理回路;ならびに
血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを示す出力信号を提供するよう構成されている出力デバイス
を含む、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するためのデバイスも提供する。
【0055】
また、本発明は、
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定するよう構成されている処理回路;および
生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルに基づいて出力を生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスも提供する。
【0056】
例えば、いくつかの態様において、処理回路は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを、抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較するようさらに構成されており、かつ出力デバイスは、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成されている。
【0057】
さらに他の態様において、デバイスは、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を示す少なくとも一つのユーザー入力を受け取るよう構成されているユーザー・インターフェースをさらに含み、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、少なくとも一つのユーザー入力に基づく。
【0058】
デバイスの他の態様は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するようさらに構成される処理回路、および(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第3の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第4の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成される出力デバイスを提供する。
【0059】
本発明は、
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスも提供する。
【0060】
デバイスのいくつかの態様において、出力要素は、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第3の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第4の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成されている。
【0061】
本発明は、
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するよう構成されている処理回路;ならびに
(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、ニコチン免疫原性組成物を1用量投与された対象が、次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスも提供する。
【0062】
本発明は、
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、ニコチン免疫原性組成物を1用量投与された対象が、次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスも提供する。
【0063】
さらに、本発明は、
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて前記生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを、最低レベルと比較するよう構成されている処理回路;ならびに
(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベル以上でない場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベルより上である場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を増加させるためのデバイスを提供する。
【0064】
本発明は、
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベル以上でない場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベルより上である場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を増加させるためのデバイスを提供する。
【0065】
いくつかの態様において、本明細書に記載されたデバイスは、ユーザーが感知要素を生物学的試料と便利に接触させることを可能にするため、本体の、感知要素とは通常反対側の端に位置するハンドル部分を有する、感知要素および出力要素を支持するための本体をさらに含む。
【0066】
他の態様において、感知要素は、生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに応答性の出力信号を生ずる化学物質を含み、かつ出力要素は、感知要素の出力信号に応答して変色する化学物質である。
【0067】
本明細書に記載されたデバイスのいくつかの態様において、第1の指定閾値レベルは、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、および少なくとも約25μg/mlからなる群より選択される。
【0068】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。例えば、抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、過去の投与回数が2回までである場合の少なくとも25μg/ml、過去の投与回数が3回である場合の少なくとも50μg/ml、過去の投与回数が4回である場合の少なくとも75μg/ml、および過去の投与回数が5回である場合の少なくとも100μg/mlより選択される。
【0069】
本明細書に記載されたデバイスのさらに他の態様において、第1の指定閾値レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0070】
他の態様において、第1の指定閾値レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0071】
または、第1の指定閾値レベルは、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる。例えば、第1の指定閾値レベルは、1日に喫煙する紙巻きタバコの本数が30本以上である対象について、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0072】
デバイスのさらに他の態様において、第1の指定閾値レベルは、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択される。
【0073】
本明細書に記載されたデバイスのいくつかの態様において、第2の指定閾値レベルは、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0074】
ニコチン免疫原性組成物を提供するデバイスのいくつかの態様において、ニコチン免疫原性組成物は、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む。
【0075】
本明細書に記載されたデバイスの他の態様において、最低レベルは、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも35μg/mL、および少なくとも45μg/mLより選択されるものである。
【0076】
または、最低レベルは、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0077】
いくつかの態様において、最低レベルは、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる。
【0078】
または、最低レベルは、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる。
【0079】
本発明は、いくつかの態様において、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法における、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用をさらに提供する。
【0080】
他の態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための診断用組成物の調製のための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用を提供する。
【0081】
もう一つの態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法において使用するための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質を提供する。
【0082】
さらにもう一つの態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法における免疫原性組成物の使用を提供する。
【0083】
他の態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための診断用組成物の調製のための免疫原性組成物の使用を提供する。
【0084】
さらにもう一つの態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法において使用するための免疫原性組成物を提供する。
【0085】
本発明は、さらにもう一つの態様において、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法における免疫原性組成物の使用を提供する。
【0086】
もう一つの態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行うための診断用組成物の調製のための免疫原性組成物の使用を提供する。
【0087】
もう一つの態様において、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法において使用するための免疫原性組成物を提供する。
【0088】
さらにもう一つの態様において、本発明は、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法における、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用を提供する。
【0089】
もう一つの態様において、本発明は、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばすための診断用組成物の調製のための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用を提供する。
【0090】
もう一つの態様において、本発明は、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法において使用するための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質を提供する。
【0091】
もう一つの態様において、本発明は、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、組成物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法におけるニコチン免疫原性組成物の使用を提供する。
【0092】
もう一つの態様において、本発明は、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、調製物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばすための薬学的組成物の調製のためのニコチン免疫原性組成物の使用を提供する。
【0093】
もう一つの態様において、本発明は、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、ニコチン免疫原性組成物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止または禁煙の継続期間を延ばす方法において使用するためのニコチン免疫原性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施例に記載した無作為化二重盲験プラセボ対照第IIb相臨床試験の設計を示す図である。
【図2A】前記臨床試験における第0〜第52週間の被験者の、被験者血清中抗体レベル(μg/mL)の幾何平均濃度(GMC)を示す図である(△:200μg/スケジュール1群;□:400μg/スケジュール1群;▲:200μg/スケジュール2群;■:400μg/スケジュール2群)。
【図2B】目標とする中止日の後の第0〜第45週の被験者血清中抗体レベル(GMC Ab、μg/mL)を示す図である。エラーバーは個人抗体レベルの変動を反映している。
【図3】用量群毎の第6ヶ月、第9ヶ月および第12ヶ月時点までに完全禁煙(「連続禁煙率」)を達成した被験者の数およびパーセンテージを示す図である。
【図4A】治療群および被験者血清中抗体レベル(高 対 低血清中抗体レベル)に基づいた12ヶ月間連続禁煙(喫煙停止(smoking cessation))の数およびパーセンテージを示す図である。
【図4B】注射5回レジメン(―:プラセボ群、・・・:AUCによる下位70%群;---:AUCによる上位30%群)を受けたNicVAX試験被験者についての4ヶ月後の抗体レベルの関数としての、少なくとも8週間の持続禁煙の開始までの期間の分析を示す図である。この分析は、最高抗体群が1年後に40%の禁煙を達成する高度に有意な結果を証明している。
【図5】目標とする中止日(TQD)での被験者血清中抗体レベルに基づいて、少なくとも4週間にわたり喫煙を中止する確率を示す図であり、さらに1ヶ月間以上にわたる中止の50%の見込みを支える目標抗ニコチン抗体レベル(20〜25μg/mL)を示している。
【図6A】被験者49例のスライディング(sliding)三分位数についての抗体閾値の決定を示す図である(□-プラセボ群;◆-NicVAX(登録商標)群)。この図は、目標とする中止日(TQD)から6ヶ月後までの、メジアンのパーセンテージ総禁煙日数 対 TQDから1ヶ月間以内の血清中抗体レベルをプロットしている。
【図6B】被験者49例のスライディング(sliding)三分位数についての抗体閾値の決定を示す図である(□-プラセボ群;◆-NicVAX(登録商標)群)。この図は、目標とする中止日(TQD)から6ヶ月後までの、平均のパーセンテージ総禁煙日数 対 TQDから1ヶ月間以内の血清中抗体レベルをプロットしている。
【図7】目標とする中止日でのスケジュール2試験群被験者における血清中抗ニコチン抗体レベルの関数としての、各週について第1週〜第4週、第2週〜第5週、第49週〜第52週までの本試験 - 浮動4週間喫煙中止ウィンドウ - における、1ヶ月間増分での喫煙停止率を示す図である(◆;Ab≧25群(N=16);---:Ab≧15群(N=32);― ―:Ab≧10群(N=45);―:Ab≧群(N=67);□:プラセボ群(N=100))。
【図8】4ヶ月後の血清中抗ニコチン抗体レベルと相関している連続的禁煙の最長期間を示している図である(―:Nix VAX群(N=201);▲:4ヶ月後に、≧50μg/mL群(N=30);●:≧40μg/mL群(N=49);×:≧20μg/mL群(N=95);◆:≧70μg/mL群(N=12);---:プラセボ群((N=100))。
【図9】目標とする中止日から6ヶ月後(第9週〜第26週を含む)の間で測定された、本試験の被験者において観察された最低血清中抗ニコチン抗体レベル(Cmin)の関数としての、各週について第1週〜第16週、第2週〜第17週、第37週〜第52週までの本試験 - 浮動16週間喫煙中止ウィンドウ - における、4ヶ月間増分での喫煙停止率を示す図である(×:全NicVAX試験完了者群(N=129);■:プラセボ群(N=69);◆:≧15μg/mL群(N=22);▲:≧10μg/mL群(N=37);●:▲:≧5μg/mL群(N=69);◇:GMC Cmin15群;□:GMC NicVAX試験完了者群)。この分析は、高い4ヶ月間禁煙率が、少なくとも15μg/mLのCminレベルと関連することを証明している。
【図10】一つの例示的態様に従う、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するためのデバイスを示す図である。
【図11】一つの例示的態様に従う、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスを示す図である。
【図12】また別の例示的態様に従う、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスを示す図である。
【図13】一つの例示的態様に従う、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
詳細な説明
ニコチンワクチンは、喫煙停止補助剤として当技術分野において開示されてきた。典型的には、そのようなワクチンには、抗ニコチン抗体を誘導するために投与されるニコチン担体コンジュゲートが含まれる。「ニコチン担体コンジュゲート」は、第2の分子または担体に共有結合したニコチン(またはニコチン誘導体)を含む化合物を示す。そのような結合は、直接的であっても、またはリンカーもしくは結合成分を介していてもよい。そのようなコンジュゲートの例およびそれらの調製方法は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第6,232,082号(Ennifar)、米国特許出願第2007/0129551(A1)号(Ennifar)、米国特許第5,876,727号(Swain)、および米国特許第6,932,971号(Bachmann)(ニコチン-ウイルス様粒子コンジュゲートについて記載している)参照。ニコチンワクチンの背後にある一般理論は、それらがニコチンに結合するニコチン特異的抗体を誘導し、脳へのその分散を減少させ、ニコチン中毒の原因となる作用を含むニコチン薬物作用を遮断するというものである。例えば、Hatsukani et al., Clin. Pharm. & Ther. 78:456-67(2005)参照。
【0096】
本発明者らは、対象の抗ニコチン抗体の抗体レベル(例えば血清中抗体レベル、または、例えば唾液中で測定された抗体レベルを含む粘膜中抗体レベルなどの分泌抗体のレベル)を使用して、対象が喫煙を中止することに成功しかつ長期の禁煙を達成するより大きな見込みを有するように、喫煙を中止するのに有利な時を決定すること、喫煙を中止するおよび/または禁煙を維持する(もしくは継続期間を延ばす)のに有利な時であるか否かを決定することが可能であることを見いだした。本発明は、例えば、喫煙停止および長期の禁煙のための補助手段として有用である。
【0097】
したがって、例えば、本明細書において記載した方法、デバイス、およびキットに従って、ニコチン担体コンジュゲートを含むワクチンなどの抗ニコチン抗体を誘導するワクチンで治療されてきた対象に、喫煙を中止するのに有利な時についてカウンセリングを行うことができる、ならびに/または、喫煙を中止するのに有利な時を達成するため、および/もしくは禁煙の継続期間を延ばすために1用量のワクチンを投与すべきか否か、もしくはいつ投与すべきかについて、カウンセリングを行うことができる。
【0098】
本明細書において使用する技術用語および科学用語は、他に特に規定されない限り、本発明が関係する当技術分野の当業者によって一般に理解されている意味を有する。本明細書においては、当業者には公知の様々な方法が参照される。本発明を実施する際には、当業者には公知の任意の適切な材料および/または方法を利用することができる。しかし、特定の材料および方法について記載する。
【0099】
本明細書において使用する場合、単数形「一つの(「a」「an」)」および「その(「the」)」は、単数のみを示すよう記載されていない限り、単数および複数の両方を示す。
【0100】
一般に「約」という用語および範囲の使用は、「約」という用語によって修飾されているかどうかに関わらず、包含される数が本明細書に記載された厳密な数には限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに、実質的に引用された範囲内の範囲を示すことが企図されていることを意味する。本明細書において使用する場合、「約」は、当業者には理解され、それが使用される状況によって、ある程度は変動する。それが使用される状況を前提にすると当業者には明白ではない用語が使用される場合は、「約」は、特定の用語の±10%までを意味する。
【0101】
一部の態様に従って、喫煙を中止するのに有利な時を決定するため、および有利な時に喫煙を中止するための方法、デバイス、およびキットが提供される。本出願において使用する「喫煙を中止するのに有利な時」は、対象が少なくとも4週間にわたり禁煙する少なくとも20%の見込みを有する時である。4週間は、喫煙停止を測るために一般に認められている期間である。したがって、一部の態様において、本明細書において記載した方法、デバイス、およびキットは、対象が少なくとも4週間にわたり禁煙する少なくとも20%の見込みを有するように、喫煙を中止する時を決定する。一部の態様において、対象は、少なくとも4週間にわたり禁煙する少なくとも25%の見込み、少なくとも30%の見込み、少なくとも35%の見込み、少なくとも40%の見込み、少なくとも45%の見込み、少なくとも50%以上の見込みを有する。
【0102】
一部の態様において、本明細書において記載した方法、デバイス、およびキットは、対象が少なくとも4ヶ月間にわたり禁煙する、少なくとも20%の見込み、少なくとも25%の見込み、少なくとも30%の見込み、少なくとも35%以上の見込みを含む、少なくとも4ヶ月間にわたり禁煙する少なくとも15%の見込みを有するように、喫煙を中止する時を決定する。4ヶ月間は、長期禁煙を測るために認められている期間である。
【0103】
一部の態様において、本明細書において記載した方法、デバイス、およびキットは、対象が少なくとも12ヶ月間にわたり禁煙する少なくとも15%の見込み、少なくとも20%の見込み、少なくとも25%以上の見込みを含む、少なくとも12ヶ月間にわたり禁煙する少なくとも10%の見込みを有するように、喫煙を中止する時を決定する。一部の態様において、本明細書において記載した方法、デバイス、およびキットは、少なくとも4週間、少なくとも6ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間にわたって、喫煙停止治療を必要とする本明細書において記載した方法によって指導されていない同等の対象と比較して少なくとも1.25、1.5、1.75、2、2.5、3、3.5倍またはそれ以上の禁煙確率などの、有意に向上した禁煙確率を対象が有するように、喫煙を中止する時を決定する。
【0104】
本明細書において使用する場合、喫煙停止治療を必要とする、または禁煙を開始する必要がある対象は、紙巻きタバコもしくは他のタバコ製品を吸うまたは噛みタバコを噛む、または他のニコチン製品を使用するヒト対象である。そのような対象は、ニコチンへ肉体的に依存しているかもしくは依存していなくてもよく、および/または紙巻きタバコを吸うこと、もしくは他のタバコもしくは他のニコチン製品を使用することに心理的に中毒であるかもしくは中毒でなくてもよい。喫煙停止治療を必要とする典型的な対象は、1日に紙巻きタバコを少なくとも1本以上、例えば、10本未満、10〜20本、20〜30本、30〜40本、または40本以上を含む、1日に紙巻きタバコを少なくとも約5本、少なくとも約10本、少なくとも約15本、少なくとも約20本以上吸うなど、タバコまたは他のニコチン製品を毎日吸うかまたは使用する(または他のタバコもしくは他のニコチン製品の同等の使用)。他のニコチン製品には、噛みタバコ、パイプ、葉巻、電子紙巻きタバコ、およびその他のニコチン送達デバイスが含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0105】
本明細書において使用する「血清」には、血液または血漿が含まれる。本明細書において記載した方法を実施する、ならびにキットおよびデバイスを使用する際には、対象由来の血液試料を使用して血清中抗体レベルを評価することができる。さらにまたはあるいは、本明細書において記載した方法、キット、およびデバイスは、分泌物中抗体レベルを評価するために対象由来の唾液試料を用いて実施することができる。便宜上、本発明は、以下では血清中抗体レベルに関して記載するが、各態様は分泌物中抗体レベルを参照して実施できることを理解されたい。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0106】
本出願で使用する場合、「抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質」は、抗ニコチン抗体に特異的に結合する任意の化合物を意味する。そのような作用物質には、ニコチンおよびニコチン誘導体、例えば3'-アミノメチルニコチン、3'-ヒドロキシメチルニコチン、5-アミノニコチン、6-アミノニコチン、5位または6位でハロゲン(例えば、臭素)で置換されたニコチン、およびピリジンまたはピロリジン環で誘導体化されたニコチンなどの他のニコチン誘導体が含まれるがそれらに限定されるわけではない。そのような作用物質は、BSAなどのタンパク質に対する、または、rEPA、ポリグルタミン酸、ポリアミノ酸とは血清学的に別個でありかつそれらと非交差反応性である任意の他のタンパク質に対するコンジュゲーションもしくは複合体形成を通して、またはマトリックスへの固定化を促進するための他の手段を通して、マトリックスへ固定化することができる。免疫学分野の当業者であれば、「特異的に結合する」が何を意味するのかを容易に理解できる。例えば、作用物質は、一般に、または使用される特定試験条件下のいずれかで、作用物質が別の分子に結合しない条件下で作用物質が抗ニコチン抗体に結合する場合、抗ニコチン抗体に「特異的に結合する」。
【0107】
上述したように、本発明者らは、血清中または分泌物中の抗ニコチン抗体レベルが閾値レベルに達する場合は、中止の試みに成功する見込みが有意に増加することを見いだした。任意の理論に縛られることを望むわけではないが、血清中または分泌物中の抗ニコチン抗体レベルが高いほど、中止の試みに成功する見込みが高くなると考えられる。したがって、一部の態様において、少なくとも約6μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルは喫煙を中止するのに有利な時を示す。他の態様において、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、または少なくとも約50μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルは、喫煙を中止するのに有利な時を示す。したがって、例えば、少なくとも約6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも30μg/mL、少なくとも35μg/mL、少なくとも40μg/mL、少なくとも45μg/mL、または少なくとも50μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルは、喫煙を中止するのに有利な時を示す可能性がある。他の態様において、対象が1日当たりに吸う紙巻きタバコの本数の少なくとも約1.5倍〜少なくとも約2.0倍の血清中抗ニコチン抗体レベル(μg/mL)は、喫煙を中止するのに有利な時を示す。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0108】
血清または唾液試料などの試料中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質は、試料中の抗ニコチン抗体の存在およびレベルを検出するための様々な方法で使用できる。ある検出方法は、いわゆるELISA(酵素結合免疫吸着検定法)であり、抗体レベルを定量するための方法として当技術分野において周知である。実施例において示すように、ポリグルタミン酸にコンジュゲートした3'-アミノメチルニコチンは、ヒト血清中の抗ニコチン抗体のレベルを決定するためにELISAにおいて使用できる。米国特許第6,232,082号の実施例10は、抗ニコチン抗体のための類似のELISAについて記載している。米国特許第6,932,971号の実施例2は、抗ニコチン抗体を検出するためにニコチン-ウシ血清アルブミンコンジュゲートを使用するELISAについて記載している。米国特許第5,876,727号の実施例26もまた、抗ニコチン抗体ELISAについて記載している。これらまたは類似の方法は、本発明の状況において使用できる。そのようなアッセイを実行するための、ディップスティック型デバイスを含む比色アッセイ実施用デバイス等のデバイスは、当技術分野において公知である。
【0109】
ニコチンまたはその化学誘導体へ結合させることによる、抗ニコチン抗体を検出してレベルを定量するためのその他の方法は、相違する検出方法、例えばラジオイムノアッセイ法、分光法、量子ドット法、蛍光法、生物発光法、クロマトグラフィ法、質量分析法、または抗体による結合後の物理的特性(例えば、サイズ、移動度、輸送、拡散など)の変化を測定する方法を含むがそれらに限定されない、抗体/抗原相互作用を検出するために有用な他の方法などの様々な検出方法を使用できる。実際に、抗ニコチン抗体を検出してレベルを定量するために有用な任意の方法を使用できる。
【0110】
ニコチン中毒は、多因子性の行動的、社会的、および化学的中毒である;したがって、本明細書において記載した閾値抗体レベルは、喫煙を中止する意志があって動機のある中等度から重度の喫煙者にとってのガイドラインと見なすことができる。例えば、本明細書において記載したキット、デバイス、および方法と関連する閾値抗体レベルは、個人がニコチンに耽溺もしくは依存している程度および/または該個人が紙巻きタバコもしくはその他のニコチン源を何本消費するのかに依存して変動する可能性があり、中毒の程度が高い対象ほど関連するレベルが高くなる。所定の対象が喫煙を中止することに成功する、および/または長期の禁煙を達成するために必要とされる閾値抗体レベルもまた、該対象が喫煙を中止する/禁煙する意志、ならびに、電話、インターネットによる、および/または本人が直接受ける等の、対象が受ける行動カウンセリングの量に依存し、より大きな喫煙を中止する意志および/またはより大量のカウンセリングを受けた対象ほど関連するレベルが低くなる。
【0111】
したがって、一部の態様において、閾値抗体レベルは、対象の中毒の程度、対象の喫煙を中止する/禁煙する意志、および対象が受ける行動カウンセリングの量を含むがそれらに限定されない様々な因子の一つまたは複数と相関している。例えば、閾値抗体レベルは、例えば、より高い閾値抗体レベルがより高度の中毒を備える対象と関連するように、ニコチン中毒と関連する以下の因子のうちの一つまたは複数と直接的に相関しうる:
(i)1日に喫煙される紙巻きタバコの平均本数などの、ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)本明細書に記載した抗ニコチン抗体の測定前の数日間から1週間にわたって1日に喫煙される紙巻きタバコの本数などの、抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)Fagerstrom試験などの、ニコチン中毒の程度を識別することが企図された、任意のサブスケールを含む一つまたは複数の質問表によって測定される中毒の程度(KO Fagerstrom et al., J. Behav. Med. 12(1989)159-181;TF Heatherton et al., Brit. J. Addict. 86(1991)1119-1127参照)、
(iv)1ヶ月間以内、3ヶ月間以内、6ヶ月間以内、1年間以内、3年間以内、または5年間以内などの、特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総持続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【0112】
追加的にまたは代替的に、閾値抗体レベルは、例えば、より低い閾値抗体レベルが行動カウンセリングを受ける患者に関連するように、該対象が受ける行動カウンセリングの量と逆相関しうる。
【0113】
一部の態様において、閾値は、目標とする中止日の前日(または、目標とする中止日の1〜3日前などの数日間以内の1日)など、1日当たりに喫煙された紙巻きタバコの本数、または対象が1日当たりに喫煙された紙巻きタバコの平均本数(例えば、目標とする中止日前の1週間にわたって平均する)に伴って変動する。例えば、所望のエンドポイントと関連する、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の閾値レベル(例えば、少なくとも4週間にわたって禁煙する20%の見込み)は、1日当たり約10本未満、約10〜20本、約20〜30本、約30〜40本、または約40本以上の紙巻きタバコを吸う対象間で変動する可能性があるが、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の閾値レベルは一般に1日当たりより少ない本数の紙巻きタバコを吸う対象についてより低い。例えば、少なくとも約6μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、もしくは少なくとも約25μg/mL(少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、および少なくとも25μg/mLを含む)より選択される閾値血清レベルは、1日当たり約10本未満、約10〜20本、または約20〜30本の紙巻きタバコ(1日当たり10本未満、10〜20本、および20〜30本の紙巻きタバコを含む)など、1日当たり約30本未満の紙巻きタバコを吸う対象と相関する可能性があるが、少なくとも約25μg/mL(上記に例示したより低いレベルを含む)、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、またはそれ以上までの閾値抗体レベルは、1日当たり約30〜40本または約40本以上の紙巻きタバコ(30〜40本または40本以上を含む)などの1日当たり30本以上の紙巻きタバコを吸う対象と相関する可能性がある。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0114】
一部の態様によると、閾値血清中または唾液中の抗ニコチン抗体レベルは、目標とする中止日の前日(または、目標とする中止日の1〜3日前)に喫煙された紙巻きタバコの本数、または1日当たりに喫煙された紙巻きタバコの最近の平均本数(例えば、目標とする中止日前の1週間にわたって平均する)などの、1日当たりに喫煙された紙巻きタバコの本数に直接相関する。例えば、血清中抗ニコチン抗体の閾値レベル(μg/mL)は、1日に喫煙される紙巻きタバコの本数の約1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、および2.0倍を含む、目標とする中止日の前日に喫煙された紙巻きタバコの本数などの1日に喫煙される紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍であってもよい。例えば、目標とする中止日の前日に紙巻きタバコ10本を喫煙した対象は、約18μg/mLを含む約15〜約20μg/mLの血清中抗ニコチン抗体閾値レベルを有する可能性がある;他方、目標とする中止日の前日に紙巻きタバコ20本を喫煙した対象は、約36μg/mLを含む約30〜約40μg/mLの血清中抗ニコチン抗体閾値レベルを有する可能性がある。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0115】
一部の態様によると、本発明は、対象にニコチン免疫原性組成物(例えば、対象における抗ニコチン抗体を誘導する、または対象における抗ニコチン抗体のレベルを上昇させる組成物)を投与すべきかどうかを決定すること、例えば1用量のニコチン免疫原性組成物が投与されていた対象にとって次回の1用量のニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であるか否かを決定することなどの、ニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であるか否かを決定することに関する。例えば、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが閾値以上ではない場合は、該対象にニコチン免疫原性組成物を投与すべきであるという決定を下すことができるが、該対象の抗ニコチン抗体レベルが少なくとも閾値レベルにある場合は、該対象にニコチン免疫原性組成物を投与すべきではないという決定を下すことができる。適切な閾値レベルには、上述したレベル、例えば約6μg/mL、約10μg/mL、約12μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、もしくは以上、または血清中抗体レベルについて対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍が含まれる。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0116】
喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための閾値レベルは、ニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であるか否かを決定するための閾値レベルと同一の場合も相違する場合もある。便宜上、喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための閾値レベルは、本明細書において「第1の指定閾値レベル」と呼ばれ、一方ニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であるか否かを決定するための閾値レベルは、本明細書において「第2の指定閾値レベル」と呼ばれる。
【0117】
一部の態様において、ニコチン免疫原性組成物は、上述したようにニコチン担体コンジュゲートを含むニコチンワクチンである。例えば、米国特許第6,232,082号(Ennifar)、米国特許出願第2007/0129551(A1)号(Ennifar)、米国特許第5,876,727号(Swain)および米国特許第6,932,971号(Bachmann)に記載された、Nabi Biopharmaceuticals(Rockville, MD)によって製造されたNicVAX(登録商標)製品を含む、組換えエキソプロテインAにコンジュゲートした3'アミノメチルニコチンなどの、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含むニコチン担体コンジュゲートのいずれかを使用できる。
【0118】
一部の態様において、対象は以前にニコチン免疫原性組成物が投与されており、本明細書において記載した方法は、ニコチン免疫原性組成物の次回の、または「ブースター」投与を施す工程(または投与を受けるようにカウンセリングする工程)を含んでいる。他の態様において、対象には以前に第1のニコチン免疫原性組成物が投与されており、本明細書において記載した方法は、様々な抗原成分(例えば、様々なニコチン-担体コンジュゲート)または相違する調製物を含むことによるなどの、第1のニコチン免疫原性組成物とは相違する第2のニコチン免疫原性組成物を投与する工程(または投与を受けるようにカウンセリングする工程)を含んでいる。同一または相違する免疫原性組成物のどちらが使用されるのかとは無関係に、本明細書において記載した方法によって投与された(または投与を受けるようカウンセリングされた)ニコチン免疫原性組成物の用量は、該対象に以前に投与された任意のニコチン免疫原性組成物の用量と同一であるか、より多いか、またはより少ない可能性がある。
【0119】
一部の態様において、本明細書において記載した方法の前に、対象にニコチン免疫原性組成物が上述のように投与される。
【0120】
デバイス
一部の態様によると、本発明は、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するためのデバイスを提供する。一部の態様において、本デバイスは、(a)対象のニコチン中毒の程度(上記の因子の一つまたは複数など)、該対象が受けるカウンセリングのレベル、および該対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を示す入力などの少なくとも一つのユーザー入力を受け取るように構成されたユーザー・インターフェース;(b)少なくとも一つの前記ユーザー入力に基づいて血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを計算するように構成されている処理回路; ならびに(c)血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを示す出力信号を提供するように構成された出力デバイスを含んでいる。本デバイスは、上述したように、血清中もしくは唾液中の抗ニコチン抗体の第1および/または第2の指定閾値レベルを決定するように構成することができる。
【0121】
血清中もしくは唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するためのデバイス100の一態様は、図10に描出されている。デバイス100は、ユーザー・インターフェース102、処理回路104、および出力デバイス106を含む。ユーザー・インターフェース102、処理回路104、および出力デバイス106は、通信リンク108によって通信可能に接続される。一部の態様において、ユーザー・インターフェース102は、任意の適切な機械的、電子的、またはコンピュータのインターフェースであってもよい。例えば、ユーザー・インターフェース102は、キーボード、マウス、バーコード・リーダー、ダイアルなどの任意の適切な入力デバイスを含むことができる。他の態様において、ユーザー・インターフェース102は、ネットワーク(例えば、インターネット、LANなど)を介する、ユーザーに対しサーバーによって供給される形態であってもよい。ユーザー・インターフェース102は、対象のニコチン中毒の程度(例えば、上述した一つまたは複数の因子)、該対象が受けるカウンセリングのレベル、および/または該対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数を指す一つまたは複数の入力を受け取ることができる。処理回路104は、ユーザー・インターフェース102が受け取ったユーザー入力に基づいて血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを計算する。出力デバイス106は、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを示す出力信号を提供するために適合する任意のデバイスであってもよい。一態様において、出力デバイス106は、処理回路104により計算された、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを表示するためのディスプレイデバイス(例えば、モニター、スクリーンなど)であってもよい。他の態様において、出力デバイス106は、プリンター、スピーカー、ディスクドライブ、CD/DVDライターなどであってもよい。さらに別の態様において、出力デバイス106は、データベースまたは他のコンピュータメモリ構造内に保管するために出力信号を送信するための電子出力デバイスであってもよい。また別の態様において、出力デバイス106は、以下で考察するように、処理のために血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを提供するために図11および12に関連付けて図示および記載したようにデバイスの一つと直接的に通信するよう構成することができる。
【0122】
また別の態様において、中に組み込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ可読プログラムコードは、本明細書に開示した一つまたは複数の態様または方法を行うよう実行されるように適合させられる。そのような一態様において、コンピュータ可読プログラムコードは、対象のニコチン中毒の程度(上述した一つまたは複数の因子など)、対象が受けるカウンセリングのレベル、および/または対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数を示す一つまたは複数の入力を受け取るように実行することができる。次に、プログラムコードは、入力に基づいて血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを計算し、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを示す出力信号を生成するために実行することができる。出力信号は、表示する、プリントする、メモリ内に保存するなどできる。
【0123】
一部の態様によると、本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスを提供する。一部の態様において、本デバイスは、(a)あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料(血清、血液または唾液試料など)と接触するように構成されており、かつ生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するように構成されたセンサー;(b)該センサーに通信可能に接続されており、かつ該センサー出力信号に基づいて該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定するように構成されている処理回路;ならびに(c)該生物学的試料中に存在する該抗ニコチン抗体の決定されたレベルに基づいて出力を生成するように構成された出力デバイスを含んでいる。
【0124】
一部の態様において、処理回路は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較するようにさらに構成されており、かつ出力デバイスは、(i)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合は対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1出力、および(ii)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合は、対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するようにさらに構成される。
【0125】
図11を参照すると、デバイス120が示されている。デバイス120は、センサー122、処理回路124、および出力デバイス126を含む。一部の態様において、デバイス120は、ユーザー・インターフェース130(例えば、任意の適切な機械的、電子的、またはコンピュータのインターフェース)を含む。デバイス120の要素を通信可能に接続するのは通信リンク128である。
【0126】
デバイス120は、本明細書に記載した任意の他のデバイスと同様に、電力をデバイスの一つまたは複数のコンポーネントへ供給するために適した電源装置(例えば、電池、AC電源装置、光電池など)を任意で含む。
【0127】
センサー122は、あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料(例えば、血清、血液、唾液試料など)に接触するように構成され、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいて出力信号を提供するように構成された、任意のセンサーであってもよい。センサー122は、電子センサー、化学センサーなどであってもよい。センサー122は、電子出力信号、化学出力信号、光をベースにする出力信号などを生成できる。出力信号が処理回路124によって容易に使用可能な形態にない場合は、デバイス120は、該出力信号を使用可能な形態に変換させるために適切なコンポーネントを含むことができる。例えば、デバイス120は、光をベースにする出力信号を電子信号へ変換するために感光要素(例えば、電荷結合素子(CCD)など)を含むことができる。
【0128】
出力信号は、処理回路124によって受け取られる。一態様において、処理回路124は、センサー出力信号に基づいて生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定するように構成される。出力デバイス126は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルに基づいて出力を生成するように構成される。以下で考察するように、出力デバイス126は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを示すために、視覚的、電子的、光学的、聴覚(可聴)的、または磁気的信号などの観察可能な信号を生成することができる。
【0129】
また別の態様において、処理回路124は、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較するように構成される。この態様において、出力デバイス126は、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1出力、および(ii)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合は、該対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成される。そのような一態様において、処理回路124は、出力デバイス126が第1または第2出力のいずれかを生成するように出力デバイス126へ制御信号を提供するように構成される。
【0130】
様々な態様において、血清中もしくは唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、様々な方法でデバイス120へ提供することができる。一態様において、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、ユーザー・インターフェース130が受け取った少なくとも一つのユーザー入力に基づいて計算することができる。この態様において、処理回路124は、デバイス100に関して上記で考察したように閾値レベルを決定するよう構成することができる。また別の態様において、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、データベースから取り出すか、または図10のデバイス100などのまた別のデバイスから受け取ることができる。
【0131】
一部の態様において、デバイス120の要素は、適切な材料(例えば、プラスチック、金属など)から製造された単一のハウジングまたは本体に統合することができる。一態様において、デバイス120は、対象の口腔内に挿入するためにセンサー122が一方の端部に配置され、処理回路124がデバイス120の本体内に配置されている、口腔デジタル体温計に類似するように形成される。この態様において、出力デバイス126は、出力を表示するためのLEDスクリーンおよび/または可聴出力を生成するためのスピーカーを含むことができる。また別の態様において、デバイス120は、少量の血液をセンサー122と接触させるために対象の皮膚を穿刺するためのニードル(デジタル血糖測定計のニードルまたはピンに類似する)を含むことができ、または、該デバイスは以下でより詳細に記載するように接触させるためのディップスティックを含むことができる。
【0132】
さらに、他の態様において、デバイス120は、分散した、または物理的に離れたコンポーネントを含むことができる。例えば、センサー122は、適切な材料(例えば、紙、繊維、厚紙など)の試験ストリップ上に包埋された化学薬品であってもよく、処理回路124および出力デバイス126は、センサー122によって生成された信号を検出するように構成された別個のデバイス(例えば、スキャナー、リーダーなど)であってもよい。また別の態様において、処理回路124および出力デバイス126は、試験ストリップを(例えば、郵便、手渡しなどによって)受け取る中心の場所(例えば、検査室、医師の診察室など)または分析のためのセンサー122を含む他のハウジング内に配置することができる。そのような態様において、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、中心の場所にある、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較し、その後に結果を適切な手段(例えば、電話、郵便、e-メールなど)によって対象に連絡することができる。
【0133】
また別の態様において、処理回路124は、デバイス120が適正に機能しているか否か、および/または特定検出試験が正しく実施されたか否かを決定するために様々な診断試験を実施するように構成することができる。そのような態様において、出力デバイス126は、デバイス120が適正に機能しているか否か、および/または特定検出試験が正しく実施されたか否かを示す出力を生成するように構成することができる。例えば、出力デバイス126は、誤差が検出された場合は特定の色(例えば、赤色)またはアイコン(例えば、「error(エラー)」)を表示するLEDディスプレイであってもよい。また別の態様において、出力デバイス126は、発生したエラータイプの表示を提供することができる。例えば、出力デバイス126は、試料量が少なすぎる、処理が中断された、などのメッセージを表示することができる。また別の態様において、出力デバイス126は、ユーザーがエラーを修正するために取るべき適切な行動を示す出力を生成するようにさらに構成することができる。例えば、出力デバイス126は、ユーザーにセンサーを取り替える、電池を取り替える、ソフトウエアアップデートをダウンロードする、より多くの量の試料を使用することなどを指導するメッセージを生成することができる。さらに、処理回路124は、デバイス120を較正するための較正方法を実施するように構成することができる。
【0134】
他の態様において、図12に示したように、本デバイスは、(a)対象由来の生物学的試料と接触するように構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生成するように構成されている感知要素;ならびに(b)該感知要素によって生成された出力信号に応答性であって、かつ(i)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1出力、および(ii)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合は、対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成された出力要素を含んでいる。
【0135】
図12を参照すると、また別の例示的態様によるデバイス150が示されている。デバイス150は、出力要素154と連絡している感知要素152を含む。感知要素152は、対象由来の生物学的試料に接触するように構成されており、出力要素154は、生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生成するように構成される。例えば、出力要素154は、抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合は対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すよう第1出力を生成するため、感知要素152によって生成される出力信号に応答性でありうる。追加的または代替的に、出力要素154は、抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合は対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことを示すよう第2出力を生成するため、感知要素152によって生成される出力信号に応答性でありうる。そのような一態様において、感知要素152は、生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに反応性である化学物質である。感知要素152によって生成される出力信号は、上記で考察したように出力要素154が第1および/または第2出力を生成することを誘発できる任意の変化であってもよい。例えば、感知要素152によって生成される出力信号は、出力要素154によって出力が生成されることを引き起こす形状、pH、導電度などの変化であってもよい。
【0136】
一態様において、感知要素152は、適切な材料(例えば、紙、厚紙、繊維、プラスチックなど)から製造された試験ストリップまたは適切な材料(例えば、厚紙、プラスチックなど)から製造されたディップスティックの上または内に包埋された化学薬品である。そのような態様において、出力要素154は、感知要素152の反応に応答して色を変化させる化学薬品であってもよい。デバイス150は、感知要素152および出力要素154を支持するための適切な材料(例えば、プラスチック、厚紙など)の本体156またはスティックを含むことができる。この態様において、デバイス150の本体は、ユーザーが生物学的試料の適用中または出力の読み取り中にデバイス150を便宜的に保持できるようにハンドル部分160を含むことができる(例えば、ハンドル部分160は、本体156の、感知要素152を含む末端158とは通常反対側の末端に配置することができる)。そのような一態様において、デバイス150は、生物学的試料を含有する容器内に感知要素152を挿入しながらユーザーがデバイス150をしっかりと掴むことができるようにハンドル部分160を有するディップスティックであってもよい。また別の態様において、デバイス150は、対象の口腔内へ感知要素152を直接的に配置するための口腔体温計に似せて成形される。さらにまた別の態様において、デバイス150は、比色アッセイを含むことができる。
【0137】
上記の態様のいずれかでは、本デバイスは、対象のニコチン中毒の程度(上述した因子の一つまたは複数など)、対象が受けるカウンセリングのレベル、対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を示す入力などの、機械的、電子的、またはコンピュータのインターフェース等の、少なくとも一つのユーザー入力を受け取るように構成されたユーザー・インターフェース102または130などの、ユーザー・インターフェース(例えば、機械的、電子的、もしくはコンピュータのインターフェース)を含むことができる。そのような態様によると、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルは、例えば少なくとも一つの因子と相関している少なくとも一つのユーザー入力に基づいていてもよい。また別の態様において、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルは、データベースから取り出すか、または例えば図10のデバイスなどのまた別のデバイスから受け取ることができる。
【0138】
一部の態様によると、本発明は、1用量のニコチン免疫原性組成物が投与されていた患者が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスを提供する。一部の態様において、本デバイスは、(a)あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するように構成されている、センサー122などのセンサーであって、該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するように構成されたセンサー;(b)該センサーに通信可能に接続されている処理回路124などの処理回路であって、該センサー出力信号に基づいて該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するように構成されている処理回路;ならびに(c)(i)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上ではない場合は、対象が1用量の次回のニコチン免疫原生組成物の投与を受けるのに有利でないことを示すための第1出力、および(ii)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合は、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成されている、出力デバイス126などの出力デバイスを含んでいる。
【0139】
他の態様において、本デバイスは、(a)対象由来の生物学的試料と接触するように構成されている、感知要素152などの感知要素であって、該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生成するように構成された感知要素;ならびに(b)該感知要素によって生成された出力信号に応答性である、出力要素154などの出力要素であって、(i)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上ではない場合は、対象が1用量の次回のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1出力、および(ii)該抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合は、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成される出力要素を含んでいる。
【0140】
一部の態様において、本明細書において考察したデバイスの一つまたは複数の機能を組み合わせた単一のデバイスが提供される。例えば、一態様において、デバイス120は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するために生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較するように、および対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するために該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するように構成される。この態様において、出力デバイス126は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを示すための一つもしくは2つの出力、および/または対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを示すための一つもしくは2つの出力などの、2〜4つの出力に構成することができる。同様に、また別の例示的態様において、デバイス150は、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを示すための一つもしくは2つの出力、および/または対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを示すための一つもしくは2つの出力などの、2〜4つの出力を生成するように構成される。
【0141】
一部の態様によると、(i)血清中もしくは唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するため、および/または(ii)対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するため、および/または(iii)1用量のニコチン免疫原性組成物が投与されていた対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイスなどの、上記で略述した2つ以上のデバイスの機能を含むデバイスが提供される。
【0142】
本明細書において記載したデバイスは、臨床医が、または対象などの一般人が使用するために設計できる。特定の一態様において、本デバイスは、該デバイスの一部分を該対象由来の血液または唾液試料と接触させること、および該デバイスがディップスティックタイプのデバイスである場合、または該対象の血清もしくは唾液と接触させるためにディックスティップタイプの要素を含む場合などでは、分析結果を観察することによって使用される。特定の態様において、ユーザーは、比色アッセイの結果または該デバイスによって生成される他の信号などの分析結果が観察可能となる前に、接触させることさえ実施すればよい。
【0143】
一部の態様において、本デバイスは、上記で略述したように、試料中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルと相関している、視覚的、電子的、光学的、聴覚(可聴)的、または磁気的信号などの観察可能な信号(出力)を生じさせる。一部の態様において、信号(出力)は、比色アッセイにおいて発生し得るような化学的または生化学的反応によって生成される。一部の態様において、信号は、数値表示(例えば、μg/mLで)を通してなどの、試料中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルを示す。他の態様において、信号は、指定範囲もしくは指定閾値レベルと相関する数字または視覚記号を表示することなどによって、抗ニコチン抗体の測定されたレベルが特定範囲内にある、または少なくとも第1もしくは第2の指定閾値レベル(例えば、少なくとも約6μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、または少なくとも約25μg/mL、約25μg/mL超)などの少なくとも一つの指定閾値レベルにあることを示す。例えば、所定の数、文字、色、強度、形状(例えば、「+」もしくは「-」)、もしくは他の視覚記号、または可聴音、または他の観察可能な信号は、指定範囲または指定閾値レベルと相関付けることができる。試料中に存在する抗体を検出および定量するために有用な分析試験デバイスは、当技術分野において公知である。
【0144】
一部の態様において、本デバイスは、上記に略述したように、測定されたレベルが少なくとも閾値抗体レベルであることを示す信号、および/または測定されたレベルが閾値抗体レベル未満であることを示す信号を生じさせる。
【0145】
一部の態様において、本デバイスは、対象のニコチン中毒の程度(上記に記載した因子の一つまたは複数など)、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を示す入力をユーザーが入力できる機械的または電子的またはコンピュータデバイスを含む。例えば、本デバイスは、例えば機械的ダイアルまたはキーパッドまたは電子入力デバイス(例えば、電子キーパッド)などの、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数を示す入力をユーザーが入力できる機械的または電子的またはコンピュータのデバイスまたはインターフェースを含むことができる。一部の態様において、そのようなデバイスは、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数と相関する閾値抗体レベルを表示する機械的ダイアルまたは電子出力デバイス(例えば、電子ディスプレイスクリーン)などの、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数と相関する閾値抗体レベルの機械的または電子的ディスプレイをさらに含む。他の態様において、本デバイスは、抗体の測定されたレベルが1日当たりに対象が喫煙した紙巻きタバコの本数と相関する少なくとも閾値抗体レベルであるかどうかを示す、上述した視覚的、光学的、可聴的、磁気的、または電子的信号などの観察可能な信号を生じさせる。
【0146】
本明細書において考察した処理回路は、汎用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ(ASIC)、一つまたは複数の処理コンポーネントを含有する回路、1群の分散処理コンポーネント、本明細書において考察した機能性を提供するように構成された1群の処理用に構成された分散型コンピュータなどであってもよい。処理回路は、必要に応じてメモリを含むか、またはメモリに通信可能に接続されてもよい。メモリ(例えば、メモリ装置、メモリデバイス、記憶デバイスなど)は、本開示に記載された様々なプロセスを完了および/もしくは促進するためのデータ(例えば、決定された閾値、測定された工程レベルなどと関連するデータ)ならびに/またはコンピュータコードを保存するための一つまたは複数のデバイスであってもよい。メモリは、揮発性メモリおよび/または非揮発性メモリを含むことができる。メモリは、データベース・コンポーネント、オブジェクトコード・コンポーネント、スクリプト・コンポーネント、および/または本開示に記載された様々な活動を支持するための任意の他のタイプの情報構造を含むことができる。過去、現在、または未来の任意の分散および/またはローカル・メモリデバイスは、本開示のシステムおよび方法とともに利用することができる。単一メモリ装置は、様々な個別メモリデバイス、チップ、ディスク、および/またはその他の格納構造もしくはシステムを含むことができる。本明細書において考察したデバイスのいずれも、デバイス間のデータの移送を促進するための取り外し可能なメモリコンポーネントを含むことができる。
【0147】
本明細書において考察した処理回路は、本明細書において考察した機能、計算などを実施するためのコンピュータコード(例えば、オブジェクトコード、プログラムコード、コンパイル済みコード、スクリプトコード、実行可能コード、またはそれらの組み合わせ)を含むことができる。
【0148】
本明細書において考察したデバイスのコンポーネントのいずれも、通信リンクを介してコンポーネントを通信可能に接続するための一つまたは複数の通信インターフェース・コンポーネントを含むことができる。通信リンクは、回路もしくは任意の他の有線リンク、無線リンク、またはネットワーク接続を含むことができる。通信インターフェースは、相互のコンポーネントへ通信リンクを物理的に連結するための一つまたは複数のジャックもしくは他のハードウエア、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器、信号処理回路、および/または他の適切なコンポーネントを含むことができる。通信インターフェースは、無線接続を介してコンポーネントを接続するように構成されたハードウエアを含むことができる。本明細書において考察したデバイスは、様々なコンポーネント間の通信(例えば、交渉接続、標準または専有プロトコルを介した通信など)を支持するために必要とされる任意の他のソフトウエアまたはハードウエアをさらに含むことができる。
【0149】
本開示の範囲内の態様は、機械で実行可能な説明書を運ぶもしくは有するための機械可読媒体またはその上に保存されたデータ構造を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用もしくは専用コンピュータまたはプロセッサを備える他の機械によってアクセスできる任意の利用可能な媒体であってよい。例えば、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、もしくは他の光学ディスク記憶デバイス、磁気ディスク記憶デバイス、もしくは他の磁気記憶デバイス、または機械実行可能な説明書の形態にある所望のプログラムコードを運ぶもしくは保存するために使用でき、汎用もしくは専用コンピュータまたはプロセッサを備える他の機械によってアクセスできる任意の他の媒体を含むことができる。情報がネットワークまたは他の通信接続(有線、無線、または有線もしくは無線の組み合わせのいずれか)を越えて機械に移送または提供されると、機械はこの接続を適正に機械可読媒体であると見なす。したがって、任意のそのような接続は、正しくは機械可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせもまた機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械で実行可能な説明書には、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理機械に所定の機能または機能群を実施させる説明書およびデータが含まれる。
【0150】
図13を参照すると、対象についての閾値または最小の抗体レベルを決定するためのデバイス161が示されている。デバイス161は、第1ホイール162、第2ホイール164、第3ホイール166、および第4ホイール168を含む。ホイール162、164、166、および168は、ホイール162、164、166、および168の各々がハブ170の周囲で個別に回転することを許容するように、ハブ170を介して回転可能に一緒に据え付けられる。図示した態様において、ホイール162は、ボトムホイールである。ホイール164は、ホイール162の上に据え付けられる。ホイール166は、ホイール164の上に据え付けられる。ホイール168は、ホイール166の上に据え付けられる。
【0151】
ホイール162、164および166は、表示172、174、および176を各々含む。表示172、174、および176は各々、本明細書において詳細に考察するように、対象についての閾値または最小の抗体レベルの決定が行われる因子の一つを表す。例えば、表示172は、ベースラインの喫煙レベル、抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数、または質問表によって測定される中毒の程度;特定の期間内に行われた以前の中止の試みの回数;総喫煙年数;総持続喫煙年数;または所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さを表し得る。ホイール上で表示される他の因子は、対象が受けたカウンセリングのレベルおよび/または対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数の一つまたは複数であってもよい。
【0152】
一態様において、各ホイールは、ホイールと関連する因子を示す表題または他のラベルを有する。さらに、各表示172、174、および176は、ホイールの表示と関連する因子の特定値を表す複数の個別マークを含む。例えば、表示172がヒトが喫煙した年数の因子を表す場合は、頂点マーク178は10年間の喫煙と関連する可能性があり、マーク178のすぐ左のマーク179は9年間の喫煙と関連する可能性がある。
【0153】
図13から明らかなように、各ホイールの直径は、表示172、174、および176を表示する各ホイールの部分が隣接ホイールによって被覆されないように、その下にあるホイールより小さい。さらに、ホイール164、166、および168は、アラインメントマーク180、182、および184を各々含む。ホイール168は、アンサーウィンドウ186をさらに含む。
【0154】
対象が喫煙を中止するための閾値または最小の抗体レベルを決定するためには、デバイス161のユーザーは、対象についてアラインメントマーク180を表示172内の適切なマークと整列させるために、ホイール162に対してホイール164を回転させる(例えば、アラインメントマーク180は、対象が10年間喫煙していた場合は、マーク178と整列させられる)。次にユーザーは、アラインメントマーク182を表示174内の適切なマークと整列させるために、ホイール164に対してホイール166を回転させ、次にアラインメントマーク184を表示176内の適切なマークと整列させるために、ホイール166に対してホイール168を回転させる。ホイールの各々を表示172、174、および176内の適切なマークと整列させると、アンサーウィンドウ186は抗体レベルの数値表現などの、第1の閾値抗体レベル、第2の閾値抗体レベル、および最小の抗体レベルのうちの少なくとも一つの指示を提供するためにホイール168の下のホイールの一つの上に印刷された情報と整列する。
【0155】
一部の態様において、ホイールの一つは対象の測定された抗体レベルを表し、本デバイスは、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否か、対象が1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するために使用できる。例えば、本デバイスは上記で考察したように使用され、アンサーウィンドウは対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否か、および/または対象が1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かの指示を提供するために、イエス/ノーの指示、喫煙を中止する/中止しないの指示、禁煙を中止する/待機する指示、投与する/投与しないの指示など、赤/緑色の指示によって、または決定を示すための任意の他のインジケータによって、下のホイールの一つの上に印刷された情報と整列する。
【0156】
デバイス161のホイールは、任意の適切な材料(例えば、紙、厚紙、プラスチックなど)から製造することができる。図13は4つのホイールを含むデバイス161を示しているが、デバイス161は、決定を下す際に使用できる因子の数に依存して任意の他の数のホイールを含むことができる。さらに、デバイス161は閾値または最小の抗体レベルを決定するために記載されているが、デバイス161は、本明細書において開示した任意の他の例示的態様において考察された任意の他の決定を下すために設計することができる。例えば、上記のように、また別の態様によると、本デバイス161は、1用量のニコチン免疫原性組成物が投与されていた患者が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するように構成することができる。さらにまた別の態様において、デバイス161は、喫煙を中止している対象において禁煙を延長する(禁煙期間を増加する)ように構成することができる。
【0157】
デバイス161は、対象などの一般の人が自宅で使用するように構成できる。そのような態様において、デバイス161は、使用を単純化するためにより少数のホイールを含む、または医師などの専門家の助けがなくても対象が扱うことのできる因子と関連するホイールだけを含むことができる。また別の態様において、デバイス161は、臨床医または他の専門家による使用のために構成することができる。そのような態様において、デバイス161は、より多くのホイールを含むことができる、または専門家が回答できる因子(例えば、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の測定されたレベル)と関連するホイールを含むことができる。
【0158】
キット
本発明は、対象が喫煙を中止するのに有利な時、および対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのキットを含む。一部の態様において、本キットは、(a)抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質;(b)対象由来の血清中または唾液中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するために該作用物質を使用するための説明書;ならびに(c)少なくともある閾値レベルである血清中または唾液中抗ニコチン抗体レベルが、喫煙を中止するのに有利な時であることを示すこと、および/または第1の指定閾値レベル未満である血清中もしくは唾液中の抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるとは示さないことを示す説明書を含んでいる。
【0159】
一部の態様において、血清中抗体の閾値レベルは、少なくとも約6μg/mLの抗ニコチン抗体である。他の態様において、閾値レベルは、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、または少なくとも約25μg/mLである。したがって、例えば、説明書は、少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、または少なくとも25μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルは、喫煙を中止するのに有利な時を示すことを示す可能性がある。医師は、ルーチン法を使用して対応する分泌抗体レベルを決定することができる。
【0160】
上記で考察したように、閾値抗体レベルは、対象の中毒の程度、対象の喫煙を中止する/禁煙する意志、および対象が受ける行動カウンセリングの量を含むがそれらに限定されない様々な因子の一つまたは複数と相関している可能性がある。したがって、例えば、説明書は、1日に喫煙される紙巻きタバコの本数の約1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0倍を含む、1日に喫煙される紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である閾値血清中抗ニコチン抗体レベル(μg/mL)を設定することなどにより、閾値血清中または唾液中の抗ニコチン抗体レベルを対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数と相関付けることができる。
【0161】
一部の態様において、本キットは、上述したように、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質を含んでいる。一部の態様において、本キットは、公知の量の抗ニコチン抗体を含有する標準溶液を含む、抗ニコチン抗体を含有する抗ニコチン抗体標準溶液を含んでいる。
【0162】
一部の態様において、本明細書において記載した本キットは、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが上述した第2の指定閾値レベルなどの閾値レベル以上ではない場合は、ニコチン免疫原性組成物を該対象に投与すべきであることを示すガイドラインまたは説明書を含むことができる。適切な閾値レベルには、上述したレベル、例えば約6μg/mL、約10μg/mL、約12μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、もしくは以上、または対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍が含まれる。上記で考察したように、喫煙を中止するのに有利な時を決定するための閾値レベルは、ニコチン免疫原性組成物を投与すべきであることを決定するための閾値レベルと同一の場合も相違する場合もある。
【0163】
一部の態様において、本キットは上述したデバイスを含む。上述した任意のデバイス、および当業者には明白であるそれらの変形は、臨床使用または自宅使用のために適切なキットとして提供することができる。キットは、使用説明書と一緒に単一デバイスを含むことができる、または、複数(例えば、2、3、4、5つ、またはそれ以上)の該デバイスを含むことができる。一態様において、各デバイスは水不浸透性ラッピング内に個別にラッピングされる。一特定態様において、各デバイスは、適切な使用説明書と一緒に梱包される。
【0164】
方法
さらに、対象が喫煙を中止するのに有利な時を決定するため、または喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための方法もまた本明細書において記載される。便宜上、本明細書での考察は、血清中抗ニコチン抗体レベルに関する。上記で考察したように、本発明は、唾液中で検出できるように分泌抗ニコチン抗体レベルを参照して実施される平行法を含む。
【0165】
一部の態様において、本方法は、(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体レベルを測定する工程;(b)抗ニコチン抗体の閾値レベルを、該対象が喫煙を中止するのに有利な時と相関させる工程を含んでいる。一部の態様において、閾値レベルは、少なくとも約6μg/mLの抗ニコチン抗体である。一部の態様において、本方法は、(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体レベルを測定する工程;および(b)測定されたレベルが、例えば喫煙を中止するのに有利な時を示す、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であること、または測定されたレベルが、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことを決定する工程を含んでいる。一部の態様において、閾値レベルは、少なくとも約6μg/mLの抗ニコチン抗体である。
【0166】
他の態様において、閾値レベルは、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、または少なくとも約25μg/mLである。したがって、例えば、本方法は、血清中抗ニコチン抗体レベルが少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、および少なくとも約50μg/mLである場合は喫煙を中止するのに有利な時であることを決定する工程、または血清中抗ニコチン抗体レベルがそのような閾値レベル未満の場合は喫煙を中止するのに有利な時ではないことを決定する工程を含むことができる。他の態様において、閾値レベルは、目標とする中止日の前日に喫煙された紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0167】
さらに、対象に、対象が喫煙を中止するのに有利な時、または対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かをカウンセリングするための方法も記載されている。一部の態様において、本方法は、(a)対象の血清中の抗ニコチン抗体レベルを測定する工程;および(b)該対象に、該対象の抗ニコチン抗体レベルが閾値レベル以上である場合は該対象が喫煙を中止するのに有利な時であること、および/または該対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが閾値レベル以上ではない、もしくは閾値レベル未満である場合は、該対象が喫煙を中止するのに有利な時ではないことをカウンセリングする工程を含んでいる。
【0168】
一部の態様において、閾値レベルは、少なくとも約6μg/mLの抗ニコチン抗体である。他の態様において、閾値レベルは、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、少なくとも約25μg/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、および少なくとも約50μg/mLである。したがって、例えば、本方法は、対象に、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも30μg/mL、少なくとも35μg/mL、少なくとも40μg/mL、少なくとも45μg/mL、および少なくとも50μg/mLである場合は喫煙を中止するのに有利な時であることをカウンセリングする工程、または血清中抗ニコチン抗体レベルがそのような閾値レベル未満である場合は喫煙を中止するのに有利な時ではないことをカウンセリングする工程を含むことができる。
【0169】
上述したように、一部の態様において、閾値抗体レベルは、対象の中毒の程度、対象の喫煙を中止する意志、および該対象が受ける行動カウンセリングの量を含むがそれらに限定されない様々な因子の一つまたは複数と相関している。例えば、閾値抗体レベルは、例えば、より高い閾値抗体レベルがより高度の中毒の程度を持つ対象と関連するように、ニコチン中毒と関連する上述した因子の一つまたは複数と直接的に相関しうる。追加的にまたは代替的に、閾値抗体レベルは、例えば、より低い閾値抗体レベルが行動カウンセリングを受ける患者と関連するように、対象が喫煙を中止する意志および/または該対象が受ける行動カウンセリングの量と逆相関しうる。これらの態様によると、上述した方法は、工程(b)の前に、少なくとも一つのそのような因子を決定する工程をさらに含むことができる。例えば、本方法は、例えばニコチン中毒と関連する上述した因子の一つまたは複数によって示されうる対象の中毒の程度を決定する工程、および/または該対象が受ける行動カウンセリングの量を決定する工程を含む場合があり、工程(b)で言及した血清中抗ニコチン抗体の閾値レベルは、該対象の中毒の程度(直接相関)および/または該対象が受ける行動カウンセリングの量(逆相関)に基づいてもよい。
【0170】
上述したように、一部の態様において、閾値血清中抗ニコチン抗体レベルは、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数に伴って変動する。これらの態様によると、上述した方法は、工程(b)の前に、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数を決定する工程をさらに含むことができ、工程(b)で言及した、血清中抗ニコチン抗体の閾値レベルは、対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数に基づいていてもよく、血清中抗ニコチン抗体の閾値レベルは、一般には1日当たりに吸う紙巻きタバコの本数がより少ない対象ではより低くなる。例えば、少なくとも約6μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約12μg/mL、少なくとも約15μg/mL、少なくとも約20μg/mL、または少なくとも約25μg/mL(少なくとも6μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも12μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、および少なくとも25μg/mLを含む)より選択される閾値レベルは、1日当たり約10本未満、約10〜20本、または約20〜30本の紙巻きタバコ(1日当たり10本未満、10〜20本、および20〜30本の紙巻きタバコを含む)など1日当たりに約30本未満の紙巻きタバコを吸う対象のために使用でき、一方、少なくとも約25μg/mL(上記に例示した、より低いレベルを含む)、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約35μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約45μg/mL、少なくとも約50μg/mL、またはそれ以上までの閾値レベルは、1日当たり約30〜40本または約40本以上の紙巻きタバコ(30〜40または40本以上)など1日当たり30本超の紙巻きタバコを吸う対象のために使用できる。他の態様において、閾値レベルは、上記でより詳細に考察したように、目標とする中止日の前日に喫煙された紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍など、1日に喫煙される紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である。
【0171】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが閾値レベル(例えば、「第2の」閾値抗体レベル)以上ではない場合は、上述した方法は、対象にニコチン免疫原性組成物(例えば、該対象において抗ニコチン抗体を誘導する、または該対象において抗ニコチン抗体のレベルを上昇させる組成物)を投与する工程、および/または該対象にそのような組成物の投与を受けるようにカウンセリングする工程をさらに含むことができる。適切な閾値レベルには、上述したレベル、例えば約6μg/mL、約10μg/mL、約12μg/mL、約15μg/mL、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、約50μg/mL、もしくはそれ以上、または対象が1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍が含まれる。上記で考察したように、喫煙を中止するのに有利な時を決定するための閾値レベルは、ニコチン免疫原性組成物を投与すべきであることを決定するための閾値レベルと同一の場合も相違する場合もある。
【0172】
適切なニコチン免疫原性組成物は、上述されている。
【0173】
上述したように、他の態様では、対象は以前に第1のニコチン免疫原性組成物が投与されており、本明細書において記載した方法は、例えば相違する抗原成分(例えば、相違するニコチン-担体コンジュゲート)または相違する調製物を含むことによるなどの、第1のニコチン免疫原性組成物と同一であるかまたは相違する第2のニコチン免疫原性組成物を投与する工程(または投与を受けるようにカウンセリングする工程)を含んでいる。本明細書において記載した方法によって投与された(または投与すべきとカウンセリングされた)ニコチン免疫原性組成物の用量は、該対象に以前に投与された任意のニコチン免疫原性組成物の用量と同一、より多い、またはより少ない可能性がある。
【0174】
上述したように、一部の態様において、本明細書において記載した方法の前に、上述したように対象にニコチン免疫原性組成物が投与される。
【0175】
一般に、対象が単一の治療経過(例えば、6ヶ月間以内)に摂取するニコチン免疫原性組成物の用量が多いほど、個人の抗体レベルはより高くなる。したがって、閾値抗体レベルによって評価されるように、所定の対象が喫煙を中止するのに有利な時は、該対象が既に受けた投与回数に依存する可能性がある。したがって、本明細書において記載したキット、デバイス、および方法の一部の態様において、閾値抗体レベルは該対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接的に相関しているので、例えば、より高い閾値抗体レベルはより多数回の投与を受けた対象と関連し、より低い閾値抗体レベルはより少数回の投与を受けた対象と関連する。例えば、閾値抗体レベルは、2回までの投与を受けた対象については少なくとも約25μg/mL;3回の投与を受けた対象については少なくとも約50μg/mL;4回の投与を受けた対象については少なくとも約75μg/mL;および5回の投与を受けた対象については少なくとも約100μg/mLを含む可能性がある。したがって、対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数は、本明細書において記載した方法、キット、およびデバイスにしたがって対象についての閾値抗体レベルを決定するために使用される追加的または代替的な因子であってもよい。したがって、本明細書に記載した最小レベルは、本明細書において考察した一つまたは複数の他の因子を考察して上方または下方に調整することができる。
【0176】
本明細書において記載した方法のいずれも、機械もしくはコンピュータ、または上述したデバイスのいずれかと結び付けて使用できる。例えば、コンピュータは、本明細書を通して記載した任意の非限定的因子(例えば、ニコチン中毒、喫煙を中止する意志、カウンセリング、および受けた投与回数、対象が喫煙を中止した以降の期間の長さに関する)と関連するデータを指定閾値または最小の血清中抗ニコチン抗体レベル(以下でより詳細に考察する)に変換するために使用することができ、そのようなデータを受け取るための機械的または電子デバイスを含むことができる。一部の態様において、機械もしくはコンピュータは、出力として第1、第2、および/または最小の血清中抗ニコチン抗体閾値レベルを生成することができる。したがって、一部の態様において、機械またはコンピュータは、数値、比色、記号、および/または可聴出力などの第1、第2、および/または最小の血清中抗ニコチン抗体閾値レベルと関連する信号を出力するための機械的または電子デバイスを含む。
【0177】
一部の態様において、機械またはコンピュータは、対象における抗ニコチン抗体の測定されたレベルを入力として受け取るように構成される。一部の態様において、機械またはコンピュータは、測定された血清中抗ニコチン抗体レベルの数値出力などの、測定された血清中抗ニコチン抗体レベルを出力するための機械デバイスまたは電子デバイスを含む。他の態様において、機械またはコンピュータは、測定されたレベルが本明細書において記載した少なくとも第1、第2、もしくは最小の閾値レベルであること、またはそのようなレベルより低い、または高いことを示す信号を生じさせる。
【0178】
他の態様において、機械またはコンピュータは、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否か、および/または1用量のニコチン免疫原性組成物が投与されていた対象が、上記および下記で考察したように次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのキット、デバイス、および方法において使用される。
【0179】
これらの態様の全ては、印刷物または電子的にのみ存在する資料などの文書資料の任意使用を企図している。そのような印刷物は、指定閾値または最小の血清中抗ニコチン抗体レベルとともに本明細書を通して記載した任意の非限定的因子(例えば、ニコチン中毒、喫煙を中止する意志、カウンセリング、および受けた投与回数に関する)と相関する可能性がある。
【0180】
禁煙の維持
本発明は、喫煙を中止した対象における、(例えば、再発を防止することによって)禁煙の期間を増加させる(禁煙を維持する)ためのキット、デバイス、および方法をさらに提供する。抗ニコチン抗体の最小レベル(Cmin)を所定レベルより高く維持することによって、対象の禁煙期間を延長させられ得ることが見いだされている。本発明のこの局面による方法は、対象の血清(または唾液)中の抗ニコチン抗体のレベルを決定する工程、および該レベルを最小レベルと比較する工程を含む。対象の抗ニコチン抗体レベルが最小レベル以上ではない場合は、次に本方法は、対象にニコチン免疫原性組成物を投与する工程、または該対象にニコチン免疫原性組成物の投与を受けるようにカウンセリングする工程を含む。
【0181】
所定の対象にとっての最小レベルは、本明細書を通して考察した多数の非限定的因子の一つまたは複数に依存する可能性がある。例示的最小血清中抗体レベルには、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも35μg/mL、および少なくとも45μg/mLが含まれるがそれらに限定されるわけではなく、これらはそのような因子にしたがって上方または下方に調整することができる。一部の態様において、対象の抗ニコチン抗体レベルは、対象が喫煙を中止した後に、少なくとも1ヶ月後、少なくとも2ヶ月後、少なくとも3ヶ月後、少なくとも4ヶ月後、少なくとも6ヶ月後、少なくとも9ヶ月後、少なくとも12ヶ月後、少なくとも18ヶ月後、少なくとも24ヶ月後以降などのように1回以上測定される。一部の態様において、例えば、喫煙を中止してから2ヶ月後に評価される対象についての最小レベルは喫煙を中止してから6ヶ月後に評価される対象についての最小レベルより高いように、最小レベルは経時的に減少する。
【0182】
本発明のこの局面によるデバイス、例えば、喫煙を中止している対象において禁煙を延長する(禁煙期間を増加する)ためのデバイスもまた提供される。一部の態様において、本デバイスは、(a)あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するように構成されている、上記で考察したセンサー122などのセンサーであって、該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するように構成されたセンサー;(b)該センサーに通信可能に接続されている、上記で考察した処理回路124などの処理回路であって、該センサー出力信号に基づいて該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを最小レベルと比較するように構成されている処理回路;ならびに(c)(i)抗ニコチン抗体の該決定されたレベルが最小レベル以上ではない場合は、禁煙の期間を増加させるよう該対象に1用量のニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であることを示す第1出力、および(ii)抗ニコチン抗体の該決定されたレベルが該最小レベルより上である場合は、禁煙の期間を増加させるよう該対象に1用量のニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成されている出力デバイスを含む。
【0183】
他の態様において、本デバイスは、(a)対象由来の生物学的試料と接触するように構成されている、上記で考察した感知要素152などの感知要素であって、該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生成するように構成された感知要素;ならびに(b)該感知要素によって生成された出力信号に応答性である、上記で考察した出力要素154などの出力要素であって、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最小レベル以上ではない場合は、禁煙の期間を増加させるよう該対象に1用量のニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時であることを示す第1出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが該最小レベルより上である場合は、禁煙の期間を増加させるよう該対象に1用量のニコチン免疫原性組成物を投与するのに有利な時ではないことを示すための第2出力のうちの少なくとも一つを生成するように構成された出力要素を含む。
【0184】
上記の任意の態様では、本デバイスは、評価時点での対象の禁煙期間を示す入力、ならびに任意で対象のニコチン中毒の程度(上述した因子の一つまたは複数など)、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子などの、少なくとも一つのユーザー入力を受け取るように構成されたユーザー・インターフェース(例えば、上述したユーザー・インターフェース102、またはユーザー・インターフェース130)を含むことができる。そのような態様によると、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の最小閾値レベルは、例えば対象の禁煙期間、および任意で一つまたは複数の他の因子と相関している少なくとも一つのユーザー入力に基づいている可能性がある。そのような態様において、本デバイスの処理回路(例えば、上述した処理回路104、処理回路124)は、少なくとも一つのユーザー入力に基づいて血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の最小閾値レベルを計算するように構成される。この態様において、本デバイスは、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の計算された最小閾値レベルを示す出力を提供するために出力デバイス(例えば、上述した出力デバイス106、または出力デバイス126)を含むことができる。
【0185】
これらのデバイスは、図10、11、および12のデバイスを含む他のデバイスを参照して上述したように、一つまたは複数の機能、コンポーネント、または局面を含むことができる。
【0186】
一部の態様において、対象は、NicVAX禁煙療法プログラムに登録される。例えば、NicVAXは、喫煙を中止する望みを有する、かつ中止期間中に追加のアドバイス、サポート、および/またはカウンセリングが提供される喫煙者については成功する可能性がより高い。このため、NicVAX受容者には、彼らの中止の試みをサポートするために適切なアドバイスおよびカウンセリングを提示することができる。
【0187】
例示的な態様において、NicVAX(1.1μgのアルミニウムに吸着した400mg)は、1用量につき1.0mLなどの筋肉内注射を介して対象に投与される。典型的な注射部位には、上腕の三角筋部および大腿上方の前外側領域が含まれる。対象は、0、4、8、12、16、および26週に投与される計6回のNicVAX注射を受ける。禁煙の成功は、抗ニコチン抗体レベルが本明細書において記載した少なくとも閾値レベルにある場合に発生する可能性が高く、対象は、NicVAXの第4回投与の2週間後などの時点に目標とする中止日を設定するように指導することができる。対象には、該対象が目標とする中止日後に喫煙してしまった場合でさえ喫煙を止め続けるように奨励される。
【0188】
本明細書において記載した態様は、限定的であることは企図されていない。したがって、例えば、詳細に記載した態様のいずれも、同様に具体的に記載した一つまたは複数の他の態様と組み合わせることができる。これらの組み合わせおよび並べ換えの全てが、本発明の一部であると意図されている。
【0189】
以下の特定の実施例は、例示するためにのみ含まれる。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図されていない。本発明の他の局面は、本発明が関係する当業者には明白である。
【実施例】
【0190】
実施例1:臨床試験
ニコチン担体コンジュゲート-NicVAX(登録商標)(Nabi Biopharmaceuticals, Rockville, MD)は、組換えエキソプロテインAにコンジュゲートした3'アミノメチルニコチンを含むニコチン担体コンジュゲートを含む治験中のワクチンである。NicVAX(登録商標)は、先行技術において公知の方法によって製造できる。例えば、米国特許第6,232,082号(Ennifar)および米国特許出願公開第2007/0129551(A1)号(Ennifar)参照。
【0191】
ELISA
ELISA試験は、ヒト血清または血漿試料中の抗ニコチン抗体を定量するために使用した。この方法は、ポリグルタミン酸にコンジュゲートした3'-アミノメチルニコチン(3'AMNic-pGlu、抗原)がコーティングされたマイクロタイタープレート・ウエル内での抗原-抗体特異的相互作用を測定する。マイクロタイタープレート上にコーティングされた抗原に結合した抗体の量は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートした抗ヒト免疫グロブリン(IgGγ)抗体とのその後の反応、さらにペルオキシダーゼ基質との発色反応によって決定する。発色は、450nmで測定する。
【0192】
マイクロタイタープレートは、コーティングバッファ(0.1Mリン酸バッファー)中の50または100ng/mLの3'AMNic-pGluを使用して3'AMNic-pGluでコーティングし、2〜8℃で少なくとも10時間保存する。プレートは周囲温度(20〜26℃)で1〜2.5時間にわたりブロッキング溶液(1%脱脂粉乳/PBS)を用いてブロックするか、2〜8℃で一晩保存する。ブロッキング後、ブロッキング溶液を取り除く。様々な量のブロッキング溶液(希釈液として使用)中の血漿の試料および標準抗ニコチン抗体溶液は、マイクロタイタープレートのウエルに加える。プレートを被覆し、45(±5)分間にわたり37℃(±2℃)でインキュベートする。試料および標準物質を取り除き、プレートを洗浄し、HRP標識ヤギ抗ヒトIgGγ(ブロッキング溶液希釈液中で調製)を加える。プレートは、30(±3)分間にわたり37℃(±2℃)でインキュベートする。発色性基質(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)を調製し、プレートに加え、15(±1)分間にわたる周囲温度(20〜26℃)でインキュベートする。この反応は、1.0Mリン酸を用いて停止させる。プレート内のウエルの吸光度値を450ナノメーターで読み取る。標準曲線に基づいて、抗ニコチン抗体のレベルを計算する。
【0193】
臨床試験
無作為化二重盲験臨床試験を301例のヒト被験者を対象に実施した。全被験者はヘビースモーカーであった - 1日に喫煙される紙巻きタバコの平均本数は24本であり、1日当たりに喫煙した紙巻きタバコの本数が15本未満の被験者はいなかった。201例の被験者はNicVAX(登録商標)を用いて治療し、100例はプラセボ治療を受けた。試験の設計は、図1に示した。図1に示したように、2種の投与スケジュールおよび2種の用量レベルのNicVAX(登録商標)を試験した。プラセボ群は、リン酸緩衝食塩液およびミョウバンを摂取した。本試験の臨床的エンドポイントは、初回ワクチン接種後19〜29週間中の持続禁煙であった。
【0194】
スケジュール1の下では、被験者50例に0、6、12、および26週間後に400μgまたは200μgのNicVAX(登録商標)(およびミョウバンアジュバント)を静脈内投与した。スケジュール2の下では、被験者51および50例に0、4、8、16、および26週間後に400μgまたは200μgのNicVAX(登録商標)(およびミョウバンアジュバント)を投与した。各投与スケジュールについて、50例のプラセボ患者はPBSおよびミョウバンを摂取した。TQD=第2回投与の1週間後である目標とする中止日。本試験の被験者は、TQDに喫煙を中止するように奨励された。被験者はさらにまた、TQDの前後の5回の来院時に短時間の行動カウンセリングを受けた。
【0195】
図2Aおよび2Bは、第0〜第52週中の、スケジュール1およびスケジュール2の200μg/mL群および400μg/mL群における被験者の抗体レベル(μg/mL)を示している(図2Aおよび2B)。データは、スケジュール2がより早期に高い血清中抗体レベルを達成すること、およびスケジュール2の血清中抗体レベルは52週間の試験期間を通してスケジュール1の抗体レベルより高いままであることを示している。図2Bのエラーバーは、抗体反応の被験者間変動性もまた図示している。本発明は、被験者の固有の抗体レベルに基づいて、喫煙を中止するのに有利な時の、個人に合わせた決定を提供することによって抗体反応の変動性を管理することに役立つ。
【0196】
図3は、様々な治療群における連続禁煙率を示している。持続禁煙は、NicVAX(登録商標)の初回注射の6、9、または12ヶ月後までの、目標とする中止日の2週間後からの禁煙として測定した。電子手帳は、初期6ヶ月間にわたっては毎日、および第2の6ヶ月間にわたっては毎週、紙巻きタバコの使用を記録した。被験者が吐き出した一酸化炭素レベルを測定し、≦8ppmのレベルが持続禁煙を確証した。これらのデータは、包括解析(ITT)ベースで分析した;本試験から脱落した志願者または欠測値点は喫煙者として計数する。パーセンテージは、20週間;34週間、および44週間にわたり禁煙を維持した禁煙者(quitters)の数を本試験に募集かつ登録された人数で割ることによって導き出した。データは、400μgのNicVAX(登録商標)の投与を行うスケジュール2が最高の禁煙率を生じさせることを示している。
【0197】
図4Aは、最高抗体レベルを有する被験者が最高12ヶ月間の連続禁煙率も有したことを証明している。「高抗体」群は、初期6ヶ月間にわたる血清中抗体レベルの曲線下面積(AUC)に基づいて、免疫スケジュールまたは投与とは関係なく全被験者の中の、抗体応答者の上位30%を含む。「低抗体」群は、NicVAX(登録商標)ワクチン接種被験者の残りの70%を含んでいる。データは、「高抗体」群の25%(全スケジュール/用量にわたって)は、低抗体群の10%のみおよびプラセボ群の13%と比較して、6ヶ月後に持続禁煙を示したことを示している。したがって、「高抗体」群における被験者は、6ヶ月後に持続禁煙の確率を有しており、これはプラセボ群の約2倍であった。このデータは、「高抗体」群の16%(全スケジュール/用量にわたって)は、低抗体群の8%のみおよびプラセボ群の6%と比較して、12ヶ月後に持続禁煙を示したことをさらに示している。したがって、「高抗体」群における被験者は、12ヶ月後に持続禁煙の確率を有しており、これはプラセボ群の2.5倍より高かった。
【0198】
図4Bにおいて、12ヶ月後までに喫煙を中止することのCox比例ハザード分析(12ヶ月後までの少なくとも8週間の持続禁煙として測定した)は、プラセボ群(5回の注射を受けた全被験者にわたって、スケジュール2)における12%の禁煙率と比較して、「高抗体」群では40%の禁煙率を示した。
【0199】
図5は、目標とする中止日(TQD)での被験者の血清中抗体レベル、および臨床試験の結果に基づいて、少なくとも4週間にわたって喫煙を中止する確率を示している。喫煙停止に抗体レベルが及ぼす閾値効果は約6μg/mLの血清中抗体レベルで始まることが観察され、少なくとも4週間にわたって喫煙を中止する50%の見込みは約20〜25μg/mLの血清中抗体レベルで始まることが観察されている。
【0200】
図6Aおよび6Bは、被験者49例のスライディング三分位数についての抗体閾値決定を示している。喫煙停止に抗体レベル(目標とする中止日から1ヶ月間以内に測定)が及ぼす閾値効果(試験初期6ヶ月間中のメジアンおよび平均%総累積禁煙日数によって測定する)は、最初に約6μg/mLの血清中抗体レベルで観察され、さらに少なくとも約10〜12μg/mLの血清中抗体レベルを有する被験者において向上した喫煙停止が観察され、さらに少なくとも約20〜25μg/mLの血清中抗体レベルを有する被験者についていっそう向上した喫煙停止が観察され、この際、全抗体レベルは、目標とする中止日から1ヶ月間以内に測定した。
【0201】
高抗体群(6ヶ月間にわたるAUCによる上位30%)にある被験者の血清中抗ニコチン抗体レベルを測定した。TQDでの抗ニコチン抗体レベルの幾何平均濃度は、この群については19.4μg/mLであった。
【0202】
TQD後の少なくとも初期4週間にわたり喫煙を中止した高抗体群(6ヶ月間にわたるAUCによる上位方30%)中の被験者の血清中抗ニコチン抗体レベルを測定した。TQDでのこれらの患者についての抗ニコチン抗体レベルの幾何平均濃度は、23.3μg/mLであった。
【0203】
試験開始日から4ヶ月後に最高抗体レベル(>50μg/mL)を有していた被験者17例中10例の被験者は、本試験の最終8週間(第45〜52週)中に禁煙を維持していた。これらの被験者は、TQDで23.6μg/mLの抗ニコチン抗体レベルの幾何平均濃度を有していた。
【0204】
本試験はさらに、長期間の禁煙の成功(例えば、12ヶ月間の持続禁煙)を達成した高抗体群(TQDで上位30%)における被験者は、TQDで目標とする中止日の前日に喫煙した紙巻きタバコの本数の約1.78倍(目標とする中止日前の1週間中に喫煙した紙巻きタバコの平均本数に基づく)であった抗ニコチン抗体レベルを有することも明らかにした。
【0205】
その後の分析は、本試験の結果に基づいて喫煙停止および長期禁煙の用量依存性を証明できることを決定した。
【0206】
用量依存性
図7は、目標とする中止日での試験被験者における血清中抗ニコチン抗体レベルの関数としての月間増分 - 浮動4週間喫煙中止ウィンドウ - での喫煙停止率を示している。データは、少なくとも5μg/mL(n=67)、少なくとも10μg/mL(n=45)、少なくとも15μg/mL(n=32)、および少なくとも25μg/mL(n=16)の血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者、ならびにプラセボ被験者(n=100)について示されている。これらの結果は、禁煙者、すなわち喫煙停止のパーセンテージと、様々な閾値レベルの抗ニコチン抗体との間の強度の相関を示している。したがって、例えば、任意の所定期間では、目標とする中止日に少なくとも5μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者の約25%が喫煙を中止するが、他方少なくとも10μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者の30%近くが喫煙を中止し、少なくとも15μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者の約35%までが喫煙を中止し、および少なくとも25μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者の35%超が喫煙を中止する。この分析は、目標とする中止日の抗ニコチン抗体の閾値レベルが高いほど、少なくとも1ヶ月間にわたり、増加した喫煙停止率を生じさせることを証明している。この分析は、これらの結果がカウンセリングとはあまり関係していない(例えば、16週間後)こともまた示している。さらに、これらの結果は、より低い喫煙停止率、すなわち喫煙再発が、第12〜16週などに抗体レベルが下降する時間枠中に観察されることを示している。
【0207】
長期間の禁煙
図8は、4ヶ月目(第4ワクチン投与後)の様々な血清中抗ニコチン抗体レベルと相関する持続禁煙の最長期間を示している。少なくとも70μg/mL(n=12)、少なくとも50μg/mL(n=30)、少なくとも40μg/mL(n=49)の血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者、およびプラセボ被験者(n=100)についてのデータが示されている。さらにまた、全ワクチン接種被験者(NicVAX、N=201)、50μg/mL(n=171)未満の血清中抗ニコチン抗体レベルを備える全ワクチン接種被験者、および20μg/mL超の血清中抗ニコチン抗体を備える全ワクチン接種被験者についてのデータが示されている。例えば、少なくとも70μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有した被験者の40%は、少なくとも50μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有した被験者の約30%、および少なくとも約40μg/mLの血清中抗ニコチン抗体レベルを有した被験者の20%と比較して、44週間にわたり禁煙した。(70μg/mL群における被験者についての目標とする中止日での幾何平均抗体レベルは36μg/mLであった)。これらの結果は、抗体レベルが個人によって達成される禁煙期間と相関することを示している。
【0208】
図9は、長期の禁煙、例えば本試験の経過にわたる少なくとも16週間の持続禁煙を達成する被験者のパーセンテージが、目標とする中止日と6ヶ月後との間に観察される最小血清中抗ニコチン抗体レベルと直接相関することを示している。図9では、少なくとも5μg/mL(n=69)、少なくとも10μg/mL(n=37)、および少なくとも15μg/mL(n=22)の最小血清中抗ニコチン抗体レベルを有する被験者についてのデータが示されており、長期の禁煙(例えば、少なくとも16週間の持続禁煙)を達成する被験者のパーセンテージは各抗体レベルに伴って増加する。さらにまた、プラセボ被験者(n=69)および全ワクチン接種被験者(n=129)についてのデータも示されており、さらに5μg/mL、10μg/mL、および15μg/mL群の各々についてのCminレベルの幾何平均、ならびに全体としてのワクチン接種被験者についてのデータもまた示されている。これらの結果は、最小抗体レベルを維持する利点および最小抗体レベルと長期の禁煙(例えば、少なくとも16週間の持続禁煙)を達成する能力との間の相関を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのキットであって、以下を含むキット:
(a)抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質;
(b)前記対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するために前記作用物質を使用するための説明書;ならびに
(c)少なくとも第1の指定閾値レベルである血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すこと、および/または第1の指定閾値レベル未満の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるとは示さないことを示す説明書。
【請求項2】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、および少なくとも約25μg/mlからなる群より選択される、請求項1記載のキット。
【請求項3】
第1の指定閾値レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の用量と直接相関させられる、請求項1〜2のいずれか一項記載のキット。
【請求項4】
抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルが、過去の投与回数が2回までである場合の少なくとも25μg/ml、過去の投与回数が3回である場合の少なくとも50μg/ml、過去の投与回数が4回である場合の少なくとも75μg/ml、および過去の投与回数が5回である場合の少なくとも100μg/mlより選択される、請求項3記載のキット。
【請求項5】
第1の指定閾値レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項1〜4のいずれか一項記載のキット:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項6】
第1の指定閾値レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項1〜5のいずれか一項記載のキット。
【請求項7】
第1の指定閾値レベルが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる、請求項1〜6のいずれか一項記載のキット。
【請求項8】
第1の指定閾値レベルが、1日に喫煙する紙巻きタバコの本数が30本以上である対象について、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項7記載のキット。
【請求項9】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載のキット。
【請求項10】
作用物質がニコチンまたはニコチン誘導体を含む、請求項1〜9のいずれか一項記載のキット。
【請求項11】
作用物質が3'アミノメチルニコチンを含む、請求項10記載のキット。
【請求項12】
抗ニコチン抗体を含有している抗ニコチン抗体標準液をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項記載のキット。
【請求項13】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物が対象に投与されるべきであることを示す説明書をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項記載のキット。
【請求項14】
第2の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項13記載のキット。
【請求項15】
血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定して、血清中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルと相関する信号を生じる分析試験デバイス中に、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質が提供される、請求項1〜14のいずれか一項記載のキット。
【請求項16】
分析試験デバイスが、以下の因子のうちの少なくとも一つに関するデータをユーザーが入力することができるデバイスを含む、請求項15記載のキット:
抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数;対象のニコチン中毒の程度、および対象が受けるカウンセリングの量。
【請求項17】
分析試験デバイスが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数をユーザーが入力することができるデバイスを含み、かつ信号が、測定された抗ニコチン抗体のレベルが少なくとも、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関する抗体の閾値レベルであるか否か、を示す、請求項15記載のキット。
【請求項18】
ニコチン免疫原性組成物をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項記載のキット。
【請求項19】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項18記載のキット。
【請求項20】
対象が喫煙を中止するのに有利な時を決定する方法であって、以下を含む方法:
(a)前記対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;および
(b)血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを、対象が喫煙を中止するのに有利な時と相関させる工程。
【請求項21】
第1の指定閾値レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項20記載の方法:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項22】
第1の指定閾値レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項20〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
工程(b)の前に、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングの量、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数に関連する因子からなる群より選択される少なくとも一つの因子を決定する工程をさらに含む、請求項20〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
工程(b)の前に、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数を決定する工程をさらに含む、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
第1の指定閾値レベルが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる、請求項20〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
第1の指定閾値レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項20〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物の投与を受けるよう対象にカウンセリングを行う工程をさらに含む、請求項20〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが第2の指定閾値レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに含む、請求項20〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
工程(a)の前に、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに含む、請求項20〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法であって、以下を含む方法:
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;ならびに
(b)対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第1の指定閾値レベル以上である場合、喫煙を中止するのに有利な時であること、および/または対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが、第1の指定閾値レベル未満である場合、喫煙を中止するのに有利な時でないことについて、対象にカウンセリングを行う工程。
【請求項33】
喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を延ばすためのキットであって、以下を含むキット:
(a)抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質;
(b)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するために前記作用物質を使用するための説明書;ならびに
(c)最低レベル未満の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象がニコチン免疫原性組成物の投与を受けるべきであることを示すことを示す説明書、および/または最低レベル以上の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象がニコチン免疫原性組成物の投与を受けるべきでないことを示すことを示す説明書。
【請求項34】
最低閾値が、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも35μg/mL、および少なくとも45μg/mLより選択されるものである、請求項33記載のキット。
【請求項35】
対象が喫煙を中止した後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、および少なくとも24ヶ月からなる群より選択される時点で対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定するための説明書を含む、請求項33〜34のいずれか一項記載のキット。
【請求項36】
最低レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項33〜35のいずれか一項記載のキット:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項37】
最低レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項33〜36のいずれか一項記載のキット。
【請求項38】
最低レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項33〜37のいずれか一項記載のキット。
【請求項39】
ニコチン免疫原性組成物をさらに含む、請求項33〜38のいずれか一項記載のキット。
【請求項40】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項39記載のキット。
【請求項41】
喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を延ばす方法であって、以下を含む方法:
(a)対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルが最低レベル未満であるか否かを決定する工程;および
(b)対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが最低レベル以上でない場合、ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程。
【請求項42】
対象が喫煙を中止した後、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、および少なくとも24ヶ月からなる群より選択される時点で、対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが測定される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
最低閾値レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項41〜42のいずれか一項記載の方法:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項44】
最低レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項41〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
最低レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項41〜44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
ニコチン免疫原性組成物を対象に投与する工程をさらに含む、請求項41〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法であって、以下を含む方法:
(a)前記対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程;および
(b)測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であること、または測定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを決定する工程。
【請求項49】
工程(b)の前に、
(a')対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルに変換する工程をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
工程(a')が、文書(電子化もしくは印刷されたもの)、機械、またはコンピュータの使用を含む、請求項48〜49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
機械またはコンピュータが、前記対象由来の血清中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルを受け取るための機械的または電子的なデバイスを含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
機械またはコンピュータが、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを受け取るための機械的または電子的なデバイスを含む、請求項50〜51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
機械またはコンピュータが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを出力するための機械的または電子的なデバイスを含む、請求項50〜52のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
機械またはコンピュータが、測定されたレベルが少なくとも抗体の閾値レベルであることを示す信号、および/または測定されたレベルが抗体の閾値レベル未満であることを示す信号を生ずる、請求項50〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
文書が、対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと相関させる、請求項50記載の方法。
【請求項56】
工程(b)が、文書(電子化もしくは印刷されたもの)、機械、またはコンピュータの使用を含む、請求項48〜55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子に関するデータを、血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルに変換する工程を含む、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定する方法。
【請求項58】
変換が電子処理回路によって行われる、請求項57記載の方法。
【請求項59】
対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数のうちの少なくとも一つを示す少なくとも一つのユーザー入力を受け取るよう構成されているユーザー・インターフェース;
少なくとも一つの前記ユーザー入力に基づいて、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを計算するよう構成されている電子処理回路;ならびに
血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルを示す出力信号を提供するよう構成されている出力デバイス
を含む、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の指定閾値レベルを決定するためのデバイス。
【請求項60】
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定するよう構成されている処理回路;および
生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルに基づいて出力を生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイス。
【請求項61】
処理回路が、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを、抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルと比較するようさらに構成されており、かつ出力デバイスが、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成されている、請求項60記載のデバイス。
【請求項62】
対象のニコチン中毒の程度、対象が受けるカウンセリングのレベル、および対象が受けたニコチン免疫原性組成物の回数からなる群より選択される少なくとも一つの因子を示す少なくとも一つのユーザー入力を受け取るよう構成されているユーザー・インターフェースをさらに含み、血清中または唾液中の抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルが少なくとも一つの前記ユーザー入力に基づく、請求項60〜61のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項63】
処理回路が、生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを、血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するようさらに構成されており、かつ出力デバイスが、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第3の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第4の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成されている、請求項60〜61のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項64】
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル以上である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベル未満である場合、対象が喫煙を中止するのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイス。
【請求項65】
出力要素が、(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第3の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第4の出力のうちの少なくとも一つを生ずるようさらに構成されている、請求項64記載のデバイス。
【請求項66】
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて前記生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルと比較するよう構成されている処理回路;ならびに
(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、ニコチン免疫原性組成物を1用量投与された対象が、次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイス。
【請求項67】
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベル以上でない場合、対象が次の用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが血清中抗ニコチン抗体の第2の指定閾値レベルより上である場合、対象が次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、ニコチン免疫原性組成物を1用量投与された対象が、次回の1用量のニコチン免疫原性組成物の投与を受けるのに有利な時であるか否かを決定するためのデバイス。
【請求項68】
あるレベルの抗ニコチン抗体を含有している対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに基づいてセンサー出力信号を提供するよう構成されているセンサー;
センサーに通信可能に接続されており、かつ前記センサー出力信号に基づいて前記生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体のレベルを決定して、該生物学的試料中に存在する抗ニコチン抗体の決定されたレベルを、最低レベルと比較するよう構成されている処理回路;ならびに
(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベル以上でない場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベルより上である場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力デバイス
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を増加させるためのデバイス。
【請求項69】
対象由来の生物学的試料と接触するよう構成されており、かつ該生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルを示す出力信号を生ずるよう構成されている感知要素;ならびに
前記感知要素により生じた出力信号に応答性であって、かつ(i)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベル以上でない場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時であることを示すための第1の出力、および(ii)抗ニコチン抗体の決定されたレベルが最低レベルより上である場合、対象がニコチン免疫原性組成物の1用量の投与を受けるのに有利な時でないことを示すための第2の出力のうちの少なくとも一つを生ずるよう構成されている出力要素
を含む、喫煙を中止した対象において禁煙の継続期間を増加させるためのデバイス。
【請求項70】
ユーザーが感知要素を生物学的試料と便利に接触させることを可能にするため、本体の、感知要素とは通常反対側の端に位置するハンドル部分を有する、感知要素および出力要素を支持するための本体をさらに含む、請求項64、67、または69のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項71】
感知要素が、生物学的試料中の抗ニコチン抗体のレベルに応答性の出力信号を生ずる化学物質を含み、かつ出力要素が、感知要素の出力信号に応答して変色する化学物質である、請求項70記載のデバイス。
【請求項72】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、および少なくとも約25μg/mlからなる群より選択される、請求項59または64記載のデバイス。
【請求項73】
第1の指定閾値レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項59または64記載のデバイス。
【請求項74】
抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルが、過去の投与回数が2回までである場合の少なくとも25μg/ml、過去の投与回数が3回である場合の少なくとも50μg/ml、過去の投与回数が4回である場合の少なくとも75μg/ml、および過去の投与回数が5回である場合の少なくとも100μg/mlより選択される、請求項73記載のデバイス。
【請求項75】
第1の指定閾値レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項59、61、または64記載のデバイス:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項76】
第1の指定閾値レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項61、63、または66記載のデバイス。
【請求項77】
第1の指定閾値レベルが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる、請求項59、61、または66記載のデバイス。
【請求項78】
第1の指定閾値レベルが、1日に喫煙する紙巻きタバコの本数が30本以上である対象について、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項77記載のデバイス。
【請求項79】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択される、請求項59、61、または64記載のデバイス。
【請求項80】
第2の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項66または67記載のデバイス。
【請求項81】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項61、62、63、65、66、67、および68のいずれか一項記載のデバイス。
【請求項82】
最低レベルが、少なくとも5μg/mL、少なくとも10μg/mL、少なくとも15μg/mL、少なくとも20μg/mL、少なくとも25μg/mL、少なくとも35μg/mL、および少なくとも45μg/mLより選択されるものである、請求項68または69記載のデバイス。
【請求項83】
最低レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項68または69記載のデバイス:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項84】
最低レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項68または69記載のデバイス。
【請求項85】
最低レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項68または69記載のデバイス。
【請求項86】
ニコチン免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項85記載のデバイス。
【請求項87】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法における、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用。
【請求項88】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための診断用組成物の調製のための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用。
【請求項89】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法において使用するための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質。
【請求項90】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法における免疫原性組成物の使用。
【請求項91】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定するための診断用組成物の調製のための免疫原性組成物の使用。
【請求項92】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かを決定する方法において使用するための免疫原性組成物。
【請求項93】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法における免疫原性組成物の使用。
【請求項94】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行うための診断用組成物の調製のための、免疫原性組成物の使用。
【請求項95】
対象が喫煙を中止するのに有利な時であるか否かに関して対象にカウンセリングを行う方法において使用するための免疫原性組成物。
【請求項96】
喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法における、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用。
【請求項97】
喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばすための診断用組成物の調製のための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質の使用。
【請求項98】
喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法において使用するための、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質。
【請求項99】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、ニコチン免疫原性組成物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばす方法におけるニコチン免疫原性組成物の使用。
【請求項100】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、調製物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止の継続期間を延ばすための薬学的組成物の調製のためのニコチン免疫原性組成物の使用。
【請求項101】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが予め定義された最低レベル以上でない場合に、ニコチン免疫原性組成物が対象に投与される、喫煙を中止した対象において喫煙停止または禁煙の継続期間を延ばす方法において使用するためのニコチン免疫原性組成物。
【請求項102】
対象由来の血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定する工程をさらに含み、少なくとも第1の指定閾値レベルである血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であることを示すか、または第1の指定閾値レベル未満の血清中抗ニコチン抗体レベルが、対象が喫煙を中止するのに有利な時であるとは示さない、請求項87〜101のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項103】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、および少なくとも約25μg/mlからなる群より選択される、請求項102記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項104】
第1の指定閾値レベルが、抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数と直接相関させられる、請求項101〜103のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項105】
抗ニコチン抗体の第1の指定閾値レベルが、過去の投与回数が2回までである場合の少なくとも25μg/ml、過去の投与回数が3回である場合の少なくとも50μg/ml、過去の投与回数が4回である場合の少なくとも75μg/ml、および過去の投与回数が5回である場合の少なくとも100μg/mlより選択される、請求項101〜104のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項106】
第1の指定閾値レベルが、以下の因子のうちの少なくとも一つによって測定される対象のニコチン中毒の程度と直接相関させられる、請求項101〜105のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物:
(i)ベースラインの喫煙レベルによって測定される中毒の程度;
(ii)抗ニコチン抗体の測定の直前に喫煙された紙巻きタバコの本数によって測定される中毒の程度;
(iii)質問表によって測定される中毒の程度;
(iv)特定の期間内になされた以前の中止の試みの回数;
(v)総喫煙年数;
(vi)総連続喫煙年数;および
(vii)所定の日の起床後午前中に、対象が最初の紙巻きタバコを渇望するかもしくは実際に点火する早さ、またはその他の形態のニコチンを消費する早さ。
【請求項107】
第1の指定閾値レベルが、対象が受けるカウンセリングの量と逆相関させられる、請求項101〜106のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項108】
第1の指定閾値レベルが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関させられる、請求項101〜107のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項109】
第1の指定閾値レベルが、1日に喫煙する紙巻きタバコの本数が30本以上である対象について、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項101〜108のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項110】
第1の指定閾値レベルが、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択される、請求項101〜109のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項111】
作用物質がニコチンまたはニコチン誘導体を含む、請求項87〜89、96〜98、および101〜110のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項112】
作用物質が3'アミノメチルニコチンを含む、請求項87〜89、96〜98、および101〜111のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項113】
抗ニコチン抗体を含有している抗ニコチン抗体標準液の使用をさらに含む、請求項87〜89、96〜98、および101〜112のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項114】
対象の血清中抗ニコチン抗体レベルが第2の指定閾値レベル以上でない場合に対象へ投与するためのニコチン免疫原性組成物の使用をさらに含む、請求項87〜113のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項115】
第2の指定閾値レベルが、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約12μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、および少なくとも約50μg/mlからなる群より選択されるか、または対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数の約1.5倍〜約2.0倍である、請求項87〜114のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項116】
血清中の抗ニコチン抗体のレベルを測定して、血清中の抗ニコチン抗体の測定されたレベルと相関する信号を生ずる分析試験デバイス中に、抗ニコチン抗体に特異的に結合する作用物質が提供される、請求項87〜115のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項117】
分析試験デバイスが、以下の因子のうちの少なくとも一つに関するデータをユーザーが入力することができるデバイスを含む、請求項116記載の作用物質の使用、作用物質、または免疫原性組成物:
抗ニコチン抗体のレベルの測定前に対象が受けたニコチン免疫原性組成物の投与回数;対象のニコチン中毒の程度、および対象が受けるカウンセリングの量。
【請求項118】
分析試験デバイスが、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数をユーザーが入力することができるデバイスを含み、かつ信号が、測定された抗ニコチン抗体のレベルが少なくとも、対象の1日に喫煙する紙巻きタバコの本数と相関する抗体の閾値レベルであるか否か、を示す、請求項116または117記載の作用物質の使用、作用物質、または免疫原性組成物。
【請求項119】
免疫原性組成物が、3'アミノメチルニコチンを含むニコチン-担体コンジュゲートを含む、請求項87〜118のいずれか一項記載の使用、作用物質、または免疫原性組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−524521(P2011−524521A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513637(P2011−513637)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/046769
【国際公開番号】WO2009/152164
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(500175130)ナビ バイオファーマシューティカルズ (7)
【Fターム(参考)】