説明

噴出装置、ポンプ式噴出器、およびエアゾール式噴出器

【課題】不使用時にトリガーレバーの回動を阻止するストッパ部材の操作性を向上する。
【解決手段】ステム27を貫挿して、そのステムまわりに回動可能に円筒状のストッパ部材25を取り付ける。ストッパ部材には、鍔部25cを設けて、その鍔部の外周にローレットを形成する。そして、ローレットに手を触れて回動して、ストッパ部材をロック解除位置としたときにのみステムが突き当たることなくステムの押し下げを可能とし、トリガーレバー26を回動することによりステムを押し下げ、出口弁20を開いて容器10の内容物をステム内を通して先端の噴口30aから吐出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物をステム内を通して先端の噴口から外部へと吐出する、化粧用・消毒用・洗浄用・薬用・塗装用などのトリガー式噴出装置に関する。および、そのようなトリガー式噴出装置を容器の口部に取り付けて備え、使用時にトリガーレバーを回動操作することにより出口弁を開いて噴出装置のシリンダ室の内容物を吐出するとともに、容器の内容物をシリンダ室に吸い上げるポンプ式噴出器に関する。および、同じく上述したようなトリガー式噴出装置を容器の口部に取り付けて備え、使用時にトリガーレバーを回動操作することにより出口弁を開いて容器の内容物を噴射剤の圧力で吐出するエアゾール式噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トリガー式噴出装置を備える噴出器の中には、例えば特許文献1に記載されるように、不使用時にノズルまわりに、ストッパ部材であるロック部材を外付けし、そのロック部材でトリガーレバーの回動を阻止するものがある。また、特許文献2に記載のように、ノズルまわりに、ストッパ部材であるロック部材を回動自在に組み付け、不使用時にはロック部材を回動してその操作部をカバーの割溝を通して外部に突出し、トリガーレバーの回動を阻止するものがある。
【0003】
ところが、これらのいずれの噴出器も、見栄えが悪く、使用時はストッパ部材を外したり、またストッパ部材が外れやすい構成であったりしたから、ストッパ部材を紛失するおそれがあった。しかも、片手で簡単に操作することができず、操作性が悪いという問題点があった。
【0004】
そこで、従来の噴出器の中には、例えば図14に示すように、容器1の口部にトリガー式噴出装置2を取り付け、その噴出装置2に、ステム3を貫挿してそのステム3まわりに回動可能に円筒状のストッパ部材4を取り付け、そのストッパ部材4を回動してロック解除位置としたときにのみ、トリガーレバー6を回動したときステム3が突き当たることなくその押し下げを可能とするものがある(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−210601公報
【特許文献2】特開2000−233145公報
【特許文献3】特開2003−170978公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような噴出器では、ストッパ部材4に取手部5を設け、その取手部5を持ってストッパ部材4を回動するようになっているので、ストッパ部材4を取り囲むトリガーレバー6や、そのトリガーレバー6を支持する支柱7が邪魔になってストッパ部材4の操作性が悪い問題があった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、不使用時にトリガーレバーの回動を阻止するストッパ部材の操作性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、請求項1および2に記載の発明は、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記ステムを貫挿してそのステムまわりに回動可能に取り付け、回動してロック解除位置としたときにのみ前記ステムが突き当たることなくその押し下げを可能とする円筒状のストッパ部材を設け、
そのストッパ部材を回動するときに手が触れる該ストッパ部材の外周にローレットを有する、ことを特徴とする。
【0009】
そして、ストッパ部材の外周のローレットに手を触れて回動することにより、使用時は、ストッパ部材をロック解除位置とし、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物をステム内を通して先端の噴口から吐出する一方、不使用時は、ストッパ部材をロック位置とし、そのストッパ部材に突き当ててステムの押し下げを不能とすることによりトリガーレバーの回動を阻止する。
【0010】
ローレットは、例えば、円筒状のストッパ部材に鍔部を設けて、その鍔部の外周に形成する。
【0011】
請求項3または4に記載の発明は、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
外部操作により揺動可能にレバー状のストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、それに前記トリガーレバーを突き当ててその回動を阻止するロック位置とそのトリガーレバーの回動阻止を解除するロック解除位置とに揺動自在とする、ことを特徴とする。
【0012】
そして、外部操作によりストッパ部材を揺動することにより、使用時は、ストッパ部材をロック解除位置としてトリガーレバーの回動阻止を解除し、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物をステム内を通して先端の噴口から吐出する一方、不使用時は、ストッパ部材をロック位置としてそのストッパ部材にトリガーレバーを突き当ててその回動を阻止する。
【0013】
レバー状のストッパ部材は、例えば、先端をトリガーレバーの開口から突出して外部操作により揺動可能とする。
【0014】
請求項5および6に記載の発明は、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記トリガーレバーに取り付けて外部操作により回動可能にレバー状のストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、他の部材に突き当てて前記トリガーレバーの回動を阻止するロック位置とそのトリガーレバーの回動阻止を解除するロック解除位置とに回動自在とする、ことを特徴とする。
【0015】
そして、外部操作によりストッパ部材を回動することにより、使用時は、ストッパ部材をロック解除位置としてトリガーレバーの回動阻止を解除し、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物をステム内を通して先端の噴口から吐出する一方、不使用時は、ストッパ部材をロック位置とし、トリガーレバーを回動したときそのトリガーレバーに取り付けるストッパ部材を他の部材に突き当ててトリガーレバーの回動を阻止する。
【0016】
レバー状のストッパ部材は、例えば、外部操作レバーと、他の部材に突き当てる突き当てレバーと、それら外部操作レバーと突き当てレバーとを連結してトリガーレバーに取り付けることによりそれらを一体的に回動する支軸とで構成する。
【0017】
請求項7および8に記載の発明は、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記ステムの作動方向と直交する方向に外部操作によりスライド可能にストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、それに前記ステムを突き当ててその押し下げを阻止するロック位置とそのステムの押し下げ阻止を解除するロック解除位置とにスライド自在とする、ことを特徴とする。
【0018】
そして、ステムの作動方向と直交する方向にストッパ部材を外部操作によりスライドすることにより、使用時は、ストッパ部材をロック解除位置としてステムの押し下げ阻止を解除し、トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物をステム内を通して先端の噴口から吐出する一方、不使用時は、ストッパ部材をロック位置とし、そのストッパ部材にステムを突き当ててその押し下げを阻止することによりトリガーレバーの回動を阻止する。
【0019】
ストッパ部材には、例えば、ロック位置としたときステムの突き当て突部と係合し、ロック解除位置としたとき突き当て突部との係合を解除する係合リブを備える。
【0020】
請求項9に記載の発明は、ポンプ式噴出器に、請求項1ないし8に記載の噴出装置を備え、トリガーレバーを回動操作することにより噴出装置のシリンダ室の内容物を吐出して後、容器の内容物をシリンダ室に吸い上げる、ことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、エアゾール式噴出器に、請求項1ないし8に記載の噴出装置を備え、トリガーレバーを回動操作することにより容器の内容物を噴射剤の圧力で吐出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1および2に記載の発明によれば、ストッパ部材の外周にローレットを有し、そのローレットに手を触れてストッパ部材を回動してトリガーレバーの回動を阻止したりその回動阻止を解除したりするので、トリガーレバーや、それを支持する支柱が邪魔にならないところで手を触れてストッパ部材を回動し、しかもローレットで滑りなくストッパ部材を確実に回動することにより、ストッパ部材の操作性を向上することができる。特に、円筒状のストッパ部材に鍔部を設けてその鍔部の外周にローレットを形成すると、手を触れる部分の径を大きくして一層ストッパ部材の操作性を向上することができる。
【0023】
請求項3および4に記載の発明によれば、外部操作によりストッパ部材を揺動するだけの簡単な操作で、トリガーレバーの回動を阻止したりその回動阻止を解除したりするので、ストッパ部材の操作性を向上することができる。特に、レバー状のストッパ部材の先端をトリガーレバーの開口から突出して外部操作により揺動可能とすると、突出する先端に手を触れることによりストッパ部材の揺動を容易として一層ストッパ部材の操作性を向上することができる。
【0024】
請求項5および6に記載の発明によれば、外部操作によりストッパ部材を回動するだけの簡単な操作で、トリガーレバーの回動を阻止したりその回動阻止を解除したりするので、ストッパ部材の操作性を向上することができる。ストッパ部材を、外部操作レバーと、他の部材に突き当てる突き当てレバーと、それら外部操作レバーと突き当てレバーとを連結してトリガーレバーに取り付けることによりそれらを一体的に回動する支軸とで構成すると、外部操作する部分と、他の部材に突き当てる部分とを分けてそれぞれの機能に適した形状とすることができる。
【0025】
請求項7および8に記載の発明によれば、外部操作によりストッパ部材をスライドするだけの簡単な操作で、トリガーレバーの回動を阻止したりその回動阻止を解除したりするので、ストッパ部材の操作性を向上することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、ポンプ式噴出器において、不使用時にトリガーレバーの回動を阻止するストッパ部材の操作性を向上することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、エアゾール式噴出器において、不使用時にトリガーレバーの回動を阻止するストッパ部材の操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1にはこの発明によるポンプ式噴出器の噴出装置の外観を、図2にはその縦断面を示す。
【0029】
図中符号10は、容器である。容器10は、プラスチック材料でボトル形状につくり、その口部10a外周に雄ねじを設け、内部に内容物として、この例では化粧液を収納してなる。
【0030】
その容器10の口部10aには、噴出装置Pを取り付ける。
噴出装置Pには、ねじキャップ12を設ける。ねじキャップ12は、内周に雌ねじを有するとともに、頂部12a中央に中心孔をあけてなる。そして、頂部12aをシリンダ13のフランジ13a上に乗せ、容器10の口部10aに被せてねじ付け、口部10aとの間でパッキン11を圧縮して取り付ける。
【0031】
シリンダ13は、下方に向けて段階的に順次小径とし、上部に、前述したフランジ13aを設けるとともに、そのすぐ下に径方向に貫通する空気吸込み孔13bをあけ、またねじキャップ12の中心孔を通して上端部を上向きに突出する。他方、シリンダ13の下部には、内部に、下方に向けて漸次小径となる弁座13cを設ける。弁座13cの下には、管状の管取付口13dを続けて設ける。そして、その管取付口13d内に吸上げパイプ14の上端部を圧入する。
【0032】
このようなシリンダ13内には、ボール状の逆止弁16を入れて弁座13c上に乗せてから、コイルバネ17を挿入して段部上に乗せる。その後、コイルバネ17上に載せて第1ピストン18をシリンダ13内に挿入する。
【0033】
図2に示すように、そのような第1ピストン18上には出口弁20を載せ、これによりシリンダ13内にシリンダ室Sを区画する。出口弁20は、断面H型のものを環状に設けてなり、外周下端をシリンダ13の内周面に押し当てるとともに、その外周下端よりやや短い内周下端を第1ピストン18に押し当て、上向きに突出する内周筒部を第1ピストン18の外周に小さな間隙を隔てて沿わせてなる。
【0034】
第1ピストン18上には、その第1ピストン18とともにピストン21を構成する第2ピストン22を載せる。第2ピストン22には、第1ピストン18の上部を挿入し、内周面に出口弁20の内周筒部の上端を押し当てる。
【0035】
第2ピストン22のまわりには、止めキャップ23を取り付ける。止めキャップ23は、キャップ部23aと、その頂部から同心にて上向きに突出する筒部23bと、キャップ部23aの肩部から斜め上向きにのびる支柱部23cとからなる。
【0036】
キャップ部23aは、シリンダ13の上端部まわりに被せるようにはめ付け、ねじキャップ12の頂部12aを挟んでそのねじキャップ12を抜け止めするとともに、シリンダ13との間でパッキン24を圧縮する。パッキン24には、出口弁20の外周上端を接触している。
【0037】
筒部23bには、外周の支柱部23c側から上向きにクリック係合部23dを突出する。そして、上からストッパ部材25を回動自在にはめ付ける。ストッパ部材25は、図3からも判るとおり、筒部23bにはめ付けるスカート部25aと、そのスカート部25a上に同心に設ける円筒部25bと、その円筒部25bの周囲に設ける鍔部25cとからなる。
【0038】
円筒部25bには、内周面上縁に段部25dを形成するとともに、その段部25dから180度の間隔をあけて2つ、下向きに逃げ凹部25eを縦溝状にのばしてなり、入口にはテーパ25fを設けている。また、外周面の下縁には、クリック突部25gを90度の間隔をあけて3つ設ける。そして、そのうちの1つのクリック突部25gをクリック係合部23dにクリック感をもって弾性的にはめ付け、ストッパ部材25の回動位置をロック位置とロック解除位置とに位置決めする。また、鍔部25cの外周には、ローレットを有する。
【0039】
他方、止めキャップ23の支柱部23cは、先端にトリガーレバー26の基端を回動自在に取り付ける。トリガーレバー26は、直角に折れ曲がり、その曲げ部に切欠き26aを有する周面部26bと、その両側に対向するように設ける側面部26cとからなる。側面部26cの内面には、下向きに係合凹部26dを形成する。
【0040】
係合凹部26dは、ステム27の円形の係合突部27aに係合する。ステム27は、エルボ状にほぼ90度に折り曲げて、垂直に設ける基端側の一重パイプ部27bと、水平に設ける先端側の二重パイプ部27cとで構成する。そして、図4に示すように、一重パイプ部27bの上部両側には、上述した円形の係合突部27aと、それから下向きにのびる細長リブ状の突き当て突部27dを設ける。
【0041】
二重パイプ部27cは、外筒部とそれよりやや突出する内筒部とからなり、図2に示すようにそれらの間にノズルホルダ28の円筒基端28a側をはめ付ける。ノズルホルダ28には、先端側にノズル部材30を取り付け、そのノズル部材30に設ける噴口30aを、二重パイプ部27cの内筒部内の吐出流路27eに連通する。
【0042】
ステム27は、一重パイプ部27bを、ストッパ部材25の円筒部25bに貫挿してから止めキャップ23の筒部23b内に挿入して第2ピストン22に被せ、ノズルホルダ28をトリガーレバー26の切欠き26aを通して外に向けて突出する。そして、ステム27の吐出流路27eを、第2ピストン22内の流路22aと連通するとともに、係合突部27a上に係合凹部26dを乗せる。これにより、ストッパ部材25は、ステム27まわりに回動可能に取り付ける。
【0043】
そして、不使用時は、ストッパ部材25の鍔部25c外周のローレットに手を触れて回動することにより、ストッパ部材25を図1および図2に示すロック位置とし、3つのうちの真ん中のクリック突部25gをクリック係合部23dにクリック感をもってはめ付け、ストッパ部材25をロック位置とする。すると、このとき指掛け部26eに指を掛け、トリガーレバー26を回動しようとしても、ステム27の突き当て突部27dがストッパ部材25の段部25dに突き当たり、ステム27の押し下げを不能としてトリガーレバー26の回動を規制し、ピストン21の押し込みを妨げる。
【0044】
いま、この噴出器を使用するときは、容器10を持って鍔部25c外周のローレットに手を触れてストッパ部材25を回動することにより、クリック係合部23dにはめ付けていない別のクリック突部25gのいずれか一方をクリック係合部23dにクリック感をもってはめ付け、ストッパ部材25をロック解除位置とする。
【0045】
その後、指掛け部26eに指を掛け、図5に示すようにトリガーレバー26を反時計方向に回動すると、ステム27の突き当て突部27dがストッパ部材25の逃げ凹部25e内に入り込み、ステム27が突き当たることなくステム27の押し下げを可能として出口弁20をともなってピストン21をコイルバネ17に抗して押し込み、シリンダ室Sの圧力を上昇する。
【0046】
シリンダ室Sの圧力が一定以上となると、出口弁20を開いて第1ピストン18との間に隙間をつくり、シリンダ室Sの内容物を第2ピストン22内に入れ、第2ピストン22の流路22aを通してステム27の吐出流路27eに入れ、ステム27内を通して先端の噴口30aから外部へと吐出する。そして、やがて第1ピストン18を、シリンダ13に当てて止める。
【0047】
そして、シリンダ室Sの内容物を吐出してシリンダ室Sの圧力が低下すると、出口弁20を押し下げて、再び第1ピストン18に出口弁20を押し当て、指掛け部26eから指を離すとともに、コイルバネ17の付勢力によりピストン21およびステム27を上昇し、トリガーレバー26を時計方向に回動して元の状態に戻す。
【0048】
すると、シリンダ室Sの圧力が負圧化してボール弁16を開き、容器10の内容物を吸上げパイプ14を通してシリンダ室Sに吸い上げる。そして、シリンダ室Sの圧力が大気圧となったところで、再びボール弁16が弁座13c上に落下して吸込み口を塞ぐ。
【0049】
そこで、トリガーレバー26を回動すると、内容物を噴口30aから再度噴出することができる。この繰り返しにより、容器10の内容物がなくなるまで何度でも吐出することができる。
【0050】
使用を中断するときは、鍔部25c外周のローレットに手を触れてストッパ部材25をピストン21の往復動方向まわりに回動し、再び図1や図2に示すロック位置としてステム27の押し下げを阻止し、トリガーレバー26の回動を規制する。
【0051】
図6にはこの発明による他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観を、図7にはその縦断面を示す。この例で示す噴出装置Pは、基本的には上述した図1ないし図5に示す噴出装置と同様であり、対応部分には同一の符号を付してなる。
【0052】
この図6および図7に示す例では、上述した図1ないし図5に示す噴出装置Pの円筒状のストッパ部材25に代えて、レバー状のストッパ部材35を用いる。すなわち、片側の途中に凸部35aを設けて真っ直ぐにのびるストッパ部材35を、ステム27の作動方向、つまり一重パイプ部27bと平行に配置して、下端を止めキャップ23のキャップ部23a上に載せ、先端をトリガーレバー26の周面部26bにあけた長孔状の開口26fを通して上向きに突出し、その突出する先端に指を掛けて下端を支点として外部操作により揺動可能に設ける。
【0053】
そして、不使用時は、外部操作によりストッパ部材35を揺動して、図中実線で示すロック位置とすることにより、そのストッパ部材35の凸部35aにトリガーレバー26のリブ26gを突き当ててそのトリガーレバー26の回動を阻止する。使用時は、外部操作によりストッパ部材35を揺動して、図中鎖線で示すロック解除位置とすることにより、凸部35aを退避してトリガーレバー26の回動阻止を解除し、トリガーレバー26を回動してステム27を押し下げ、出口弁20を開いて容器10の内容物をステム27内を通して先端の噴口30aから吐出する。
【0054】
なお、この例では、図1ないし図5に示す例で、ステム27に形成した突き当て突部27dをなくし、またその突き当て突部27dを突き当てた段部25dをなくしており、ストッパ部材25の位置に止めキャップ23の筒部23bにはめ付けて、ステム27を貫挿してそのステム27まわりに回転しても回転しなくても良い単なる筒状部材36を設けてなる。図1ないし図5に示す例で、止めキャップ23に形成したクリック係合部23dなども不要とすることができる。
【0055】
図8にはこの発明によるさらに他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観を、図9にはそのストッパ部材を取り付けるトリガーレバーの縦断面を、図10にはその噴出装置全体の縦断面を示す。この例で示す噴出装置Pも、基本的には上述した図1ないし図5に示す噴出装置と同様であり、対応部分には同一の符号を付してなる。
【0056】
この図8ないし図10に示す例では、上述した図1ないし図5に示す噴出装置Pの円筒状のストッパ部材25に代えて、レバー状のストッパ部材45を用いる。ストッパ部材45は、外部操作レバー46と、円筒部材47に突き当てる突き当てレバー48と、それら外部操作レバー46と突き当てレバー48とを連結してトリガーレバー26の両側の側面部26cに取り付けることによりそれらを一体的に回動する支軸49とで構成する。外部操作レバー46は側面部26cの外側に設け、突き当てレバー48は内側に設けて、両側の突き当てレバー48は連結部50で連結してなる。
【0057】
円筒部材47は、ストッパ部材25の位置に止めキャップ23の筒部23bにはめ付けて、ステム27を貫挿してそのステム27まわりに設けてなる。回転しても回転しなくても良い。
【0058】
そして、不使用時は、外部操作レバー46を外部操作することにより全体を回動して、ストッパ部材45を図示するロック位置とすることにより、トリガーレバー27を回動したときそのトリガーレバー27に取り付けるストッパ部材45の突き当てレバー48を円筒部材47に突き当ててトリガーレバー26の回動を阻止する。使用時は、外部操作レバー46を外部操作により回動して、ストッパ部材45をロック解除位置とすることにより、トリガーレバー26の回動阻止を解除し、トリガーレバー26を回動してステム27を押し下げ、出口弁20を開いて容器10の内容物をステム27内を通して先端の噴口30aから吐出する。
【0059】
図11にはこの発明によるまたさらに他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観を、図12にはそのストッパ部材をロック解除位置としたときの噴出装置全体の縦断面を、図13にはストッパ部材をロック位置としたときの噴出装置全体の縦断面を示す。この例で示す噴出装置Pも、基本的には上述した図1ないし図5に示す噴出装置と同様であり、対応部分には同一の符号を付してなる。
【0060】
この図11ないし図13に示す例では、上述した図1ないし図5に示す噴出装置Pの円筒状のストッパ部材25に代えて、ストッパ部材55を用いる。ストッパ部材55は、平行な一対の矩形板状の外部操作部材56と、その内面に形成する直線状の係合リブ57と、同じく外部操作部材56の内面に係合リブ57とほぼ平行に形成する直線レール58と、それらの直線レール58の一端間をつないで両側の外部操作部材56を一体化する連結部59とで構成する。
【0061】
そのストッパ部材55は、両側の直線レール58を溝60にはめ付けてストッパ支持部材61に取り付け、両側の外部操作部材56をトリガーレバー26の両側の側面部26c外側に配置する。そして、外部操作部材56を持って外部操作することにより直線レール58を溝60で案内して、ストッパ部材55をステム27の作動方向と直交する方向にスライド可能に設ける。
【0062】
これにより、ストッパ部材55を外部操作によりスライドすることにより、使用時は、ストッパ部材55を図12に示すロック解除位置として係合リブ57を突き当て突部27dの移動範囲から退避してステム27の押し下げ阻止を解除し、トリガーレバー26を回動してステム27を押し下げ、出口弁20を開いて容器10の内容物をステム27内を通して先端の噴口30aから吐出する。
【0063】
一方、不使用時は、ストッパ部材55を図13に示すロック位置として係合リブ57を突き当て突部27dの移動範囲に入れ、そのストッパ部材55にステム27の突き当て突部27dを突き当ててステム27の押し下げを阻止することによりトリガーレバー26の回動を阻止する。
【0064】
ところで、上述したすべての例では、ポンプ式噴出器において、ストッパ部材25の操作性を向上した。しかし、ポンプ式ではなく、エアゾール式噴出器に適用し、同様に図1から図13に示すストッパ部材25、35、45、55を設けることにより、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明によるポンプ式噴出器の噴出装置の外観図である。
【図2】その縦断面図である。
【図3】同噴出装置で使用するストッパ部材の斜視図である。
【図4】同噴出装置で使用するステムの斜視図である。
【図5】トリガーレバーを回動した状態における同噴出装置の縦断面図である。
【図6】この発明による他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観図である。
【図7】その縦断面図である。
【図8】この発明によるさらに他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観図である。
【図9】その噴出装置で使用するトリガーレバーの縦断面図である。
【図10】同噴出装置全体の縦断面図である。
【図11】この発明によるまたさらに他例のポンプ式噴出器の噴出装置の外観図である。
【図12】そのストッパ部材をロック解除位置としたときの噴出装置全体の縦断面図である。
【図13】そのストッパ部材をロック位置としたときの噴出装置全体の縦断面図である。
【図14】従来の噴出装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 容器
20 出口弁
25 ストッパ部材
25c ストッパ部材の鍔部
26 トリガーレバー
26f トリガーレバーの開口
27 ステム
27d 突き当て突部
30a 噴口
35 ストッパ部材
35a ストッパ部材の凸部
45 ストッパ部材
46 外部操作レバー
47 円筒部材(他の部材)
48 突き当てレバー
49 支軸
55 ストッパ部材
57 係合リブ
P 噴出装置
S シリンダ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記ステムを貫挿してそのステムまわりに回動可能に取り付け、回動してロック解除位置としたときにのみ前記ステムが突き当たることなくその押し下げを可能とする円筒状のストッパ部材を設け、
そのストッパ部材を回動するときに手が触れる該ストッパ部材の外周にローレットを有することを特徴とする噴出装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材に鍔部を設け、その鍔部の外周に前記ローレットを有することを特徴とする、請求項1に記載の噴出装置。
【請求項3】
トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
外部操作により揺動可能にレバー状のストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、それに前記トリガーレバーを突き当ててその回動を阻止するロック位置とそのトリガーレバーの回動阻止を解除するロック解除位置とに揺動自在とすることを特徴とする噴出装置。
【請求項4】
前記ストッパ部材の先端を前記トリガーレバーの開口から突出して外部操作により揺動可能とすることを特徴とする、請求項3に記載の噴出装置。
【請求項5】
トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記トリガーレバーに取り付けて外部操作により回動可能にレバー状のストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、他の部材に突き当てて前記トリガーレバーの回動を阻止するロック位置とそのトリガーレバーの回動阻止を解除するロック解除位置とに回動自在とすることを特徴とする噴出装置。
【請求項6】
前記ストッパ部材を、外部操作レバーと、他の部材に突き当てる突き当てレバーと、それら外部操作レバーと突き当てレバーとを連結して前記トリガーレバーに取り付けることによりそれらを一体的に回動する支軸とで構成することを特徴とする、請求項5に記載の噴出装置。
【請求項7】
トリガーレバーを回動してステムを押し下げ、出口弁を開いて容器の内容物を前記ステム内を通して先端の噴口から吐出する噴出装置において、
前記ステムの作動方向と直交する方向に外部操作によりスライド可能にストッパ部材を設け、そのストッパ部材を、それに前記ステムを突き当ててその押し下げを阻止するロック位置とそのステムの押し下げ阻止を解除するロック解除位置とにスライド自在とすることを特徴とする噴出装置。
【請求項8】
前記ストッパ部材に、前記ロック位置としたとき前記ステムの突き当て突部と係合し、前記ロック解除位置としたとき前記突き当て突部との係合を解除する係合リブを備えることを特徴とする、請求項7に記載の噴出装置。
【請求項9】
請求項1ないし8に記載の噴出装置を備え、前記トリガーレバーを回動操作することにより前記噴出装置のシリンダ室の内容物を吐出して後、容器の内容物を前記シリンダ室に吸い上げることを特徴とする、ポンプ式噴出器。
【請求項10】
請求項1ないし8に記載の噴出装置を備え、前記トリガーレバーを回動操作することにより容器の内容物を噴射剤の圧力で吐出することを特徴とする、エアゾール式噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−30798(P2008−30798A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206014(P2006−206014)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】