説明

噴射ノズル

【課題】きめの細かい泡を噴出させることができる噴出器の噴射ノズルを提案する。
【解決手段】排出経路を通り抜けた液体を、メッシュシートを経て泡状にして外界へと噴出させる噴射ノズルにおいて、外周壁5bを噴射ノズルの内周壁に連係させて固定保持するノズルチップ5bを設ける。そして、該ノズルチップ5bの外周壁5bに、その前面から後端に向けて外気導入路Tを形成する少なくとも1つの溝部6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出器に装着して好適な噴射ノズルに関するものであり、噴出に係る液体と外気(エアー)との混合の促進を図り、該液体をきめの細かい泡にして噴出させようとするものである。
【背景技術】
【0002】
トリガー式噴出器やスプレー式噴出器等、容器内の液体を噴射ノズルを通して勢いよく噴出させる噴出器は、噴射ノズルを連結したボディに、液体の吸引、加圧、圧送を司るポンプ機構が組み込まれ、操作レバーの引き動作あるいはヘッドの押圧動作を繰り返しピストンをシリンダー内で往復動させることによって容器内の液体を噴射ノズルから噴出させる仕組みになっており、住居用洗剤、黴取り剤や整髪剤、芳香剤等を入れた容器に多用されている。
【0003】
近年、この種の噴出器にあっては、容器内の液体を発泡させて噴出させることを可能とした商品も多数流通してきており、この点に関する先行技術としては、噴射ノズルの出側近傍域で噴出に係る液体を衝壁に衝突させる構造のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】実用新案登録第2602636号明細書
【0004】
ところで、液体を発泡させて噴出させるタイプの噴出器は、泡の付着性の向上を図る観点等から、泡のより一層微細化が求められ、その手段の一つとして噴出ノズルの前面にインサート成形によってメッシュシートを配置する試みもなされているところ、この場合、インサート成形時にメッシュシートがその表裏で金型に挟み込まれるため、その部位における開孔が変形したり潰れてしまうことがしばしば見受けられ、噴射ノズルの噴出口における開口面積が減少して外気との混合を促進させることが困難となる不具合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、メッシュシートを備えた噴射ノズルにつき、該メッシュシートの開口面積が減少することがあっても、外気を十分に取り入れて液体をきめの細かい泡にして噴出させることができる噴射ノズルを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、排出経路を通りぬけた液体を、メッシュシートを経て泡状にして外界へと噴出させる噴射ノズルであって、
外周壁を噴射ノズルの内周壁に連係させて固定保持するノズルチップを設け、
該ノズルチップの外周壁に、その前面から後端に向けて外気導入路を形成する少なくとも1つの溝部を設けたことを特徴とする噴射ノズルである。
【0007】
前記排出経路は、水平配置になる噴射筒にて形成することが可能であり、
前記噴射ノズルの本体部分に、噴射筒の排出経路につながる開孔を有し、ノズルチップの外周壁をその内周壁に連係させる凹部を設けるのが好ましい。
【0008】
また、前記ノズルチップは、外周壁と噴出路との相互間に、該噴出路に沿って伸延しその前面からノズルの本体部分の開孔へ向けて外気を誘導する少なくとも1つの外気導入通路を設けることができる。
【0009】
本発明における噴出器とは、手動操作によって噴射ノズルから液体を泡状にして噴出させるトリガー式やスプレー式等、全ての形式の噴出器を含むものとし、液体を吸引、加圧、圧送する手段はポンプ機構には限定されない。
【発明の効果】
【0010】
メッシュシートの付いたノズルチップを成形(インサート成形)するに際してノズルチップの外周壁に溝部を設けるか、あるいはノズルチップの外周壁とその噴出経路の相互間に通路を設けることで、メッシュシートの開孔が潰れることがあってもその分の面積を確保することができるので、そこから外気を導入して液体との十分な混合が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。
図1はトリガー式の噴出器に本発明にしたがう噴射ノズルを適用した実施の形態を示した図であり、図2は図1の要部断面を拡大して示した図であり、さらに図3は図2の正面を示した図である。
【0012】
図における1は液体噴出器の主要部分をなすカバー付きのボディである。このボディ1には液体の排出経路を形成する水平配置の噴射筒1aと、この噴射筒1aに一体的につながる縦筒1bが設けられている。また、2はボディ1を容器の口部に固定保持されるベースキャップ、3はボディ1に組み込まれたポンプ、4はボディ1の側壁に枢支軸Sを介して取り付けられ、その引き操作によってポンプ3を駆動する操作レバーである。
【0013】
また、5はボディ1の噴射筒1aにつながり該噴射筒1aを通り抜けた液体を泡状にして外界へ噴出させる噴射ノズルである。この噴射ノズル5はノズルの本体部分5aとノズルチップ5bとからなる。
【0014】
ノズルの本体部分5aには図2に示すように、噴射筒1aの排出経路につながる開孔hを有する凹部5aが設けられている。また、その背面部分には同心二重の筒体5a、5aが形成されていて、この筒体5a、5aよって区画された環状溝部に噴射筒1aの先端部を嵌合させてそれらを相互に連結する。
【0015】
ノズルチップ5bはそれを前後において貫通する噴出路5bを有しており、ノズルの本体部分5aの凹部5a(噴射ノズルの内周壁に対応する)にその外周壁5bを連係(アンダーカット係合等)させて固定保持する。
【0016】
また、6はノズルチップ5bの外周壁5b2 に設けられた溝部である。この溝部6は図示の例では図3に示す如く外周壁5bの周りで90°おきに4つ設けた場合について示してあり、ノズルチップ5bの前面からノズルの本体部分5aの開孔hに向けて外気導入路Tを形成する。
【0017】
さらに、7はノズルチップ5bの前面にインサート成形により噴出路5bを塞ぐように設けられたメッシュシートである。このメッシュシート7に容器内の液体を衝突させることできめの細かい泡にして外界へと噴出させる。
【0018】
ノズルチップ5bの前面にメッシュシート7が配置された噴射ノズルにあっては、その成形過程でメッシュシート7の開孔が部分的に変形したり、潰れるようなことがあっても外気導入路Tを通して外気が開孔hへと十分に取り入れられるので、噴出に係る液体との混合が促進され、きめの細かな泡となる。
【0019】
図4、図5は本発明にしたがう噴射ノズルの他の実施の形態を示した図である。ノズルチップ5bの外周壁5bと噴出路5bとの相互間には、該噴出路5bに沿って伸延しその前面からノズルの本体部分5aの開孔hへ向けて外気を誘導する外気導入路8を少なくとも1つ設けることも可能であり、この外気導入路8を付加することにより液体との混合がさらに促進される。
【0020】
外気導入路8を設けた上掲図4に示すような噴射ノズルにおいては、その成形に際しては該外気導入路8に位置する部位のメッシュシート7も金型により挟み込まれるためその部位が変形したり潰れが生じることも懸念されるので、その分を見込んで外気導入路Tの面積を確保する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
きめの細かい泡を噴出させることを可能とした噴射ノズルが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にしたがう噴射ノズルの実施の形態を、トリガー式噴出器の全体の断面で示した図である。
【図2】図1の要部断面を拡大して示した図である。
【図3】図2の正面を示した図である。
【図4】本発明にしたがう噴射ノズルの他の実施の形態を示した図である。
【図5】図4に示した噴射ノズルの正面を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ボディ
1a 噴射筒
1b 縦筒
2 ベースキャップ
3 ポンプ
4 操作レバー
5 噴射ノズル
5a ノズルの本体部分
5b ノズルチップ
6 溝部
7 メッシュシート
8 外気導入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出経路を通り抜けた液体を、メッシュシートを経て泡状にして外界へと噴出させる噴射ノズルであって、
外周壁を噴射ノズルの内周壁に連係させて固定保持するノズルチップを設け、
該ノズルチップの外周壁に、その前面から後端に向けて外気導入路を形成する少なくとも1つの溝部を設けたことを特徴とする噴射ノズル。
【請求項2】
前記排出経路を、水平配置になる噴射筒にて形成してなり、
前記噴射ノズルの本体部分に、噴射筒の排出経路につながる開孔を有しノズルチップの外周壁をその内周壁に連係させる凹部を設けた、請求項1に記載の噴射ノズル。
【請求項3】
前記ノズルチップは、外周壁と噴出路との相互間に、該噴出路に沿って伸延しその前面からノズルの本体部分の開孔へ向けて外気を誘導する少なくとも1つの外気導入通路を有する、請求項1または2に記載の噴射ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate