説明

噴霧されたポリウレタン層を有する成形製品の製造方法

本発明は、ポリウレタン反応混合物を噴霧することにより、ポリウレタン層を製造する方法に関する。反応混合物を加圧下で噴霧ノズルに供給し、小さい断面積を有するチャンネルに通すことによって加速し、噴霧ノズルから噴霧開口を通して予め定められた量の運動エネルギーで表面上に噴霧させる。噴霧ノズルから噴霧させる反応混合物の運動エネルギーを増大させるために、チャンネルは1.0よりも小さい値総最小断面積Smm2を有し、反応混合物を10×S〜80×Sg/秒の流量で噴霧ノズルから噴霧し、反応混合物1グラム当たり0.05〜2.5mモルの加圧ガスを反応混合物と一緒に噴霧ノズルから噴霧開口を通して噴霧する。予め定められたガスを反応混合物に加えることによって、良好な噴霧パターンを達成することができ、反応混合物をより小さい流量で噴霧することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのポリウレタン層を備えた製品を製造する方法であって、ポリウレタン反応混合物を加圧下で噴霧ノズルに供給し、反応混合物を1又は2以上のチャンネルを通過させることによって、反応混合物を噴霧ノズル内で加速させ、反応混合物の流れは、その流れに対して垂直に測定される最小断面積を達成し、加速させた反応混合物を噴霧開口から噴霧ノズルの外に且つポリウレタン層を形成すべき面に予め定められた運動エネルギーで噴霧し、反応混合物を硬化させる方法に関する。
【0002】
このような方法は、欧州特許EP−B−0303305及び欧州特許EP−B−0389014に開示されている。既知の方法では、光安定性のポリウレタン反応混合物を予め定められた噴霧パターンに従ってエアなし2成分噴霧ノズルによって噴霧することによって、0.3mmよりも厚い厚さ、好ましくは0.5〜2mmの厚さを有するエラストマーポリウレタンスキン層を製造する。更に具体的に言えば、反応混合物を、中空円錐形を構成するフィルムの形態でノズルの外に噴霧する。反応混合物の噴霧は、フィルムが落下して、ASTM E799−81に従って決定される中間容積直径(Medium Volume Diameter; M.V.D.)が少なくとも100μm、好ましくは少なくとも500μmである液滴に分離するように制御される。反応混合物が噴霧される成形表面は、例えばダッシュボードのスキンを製造するために設計され且つ特に狭いキャビティ及び/又はアンダーカットを有する複雑な型の表面である。欧州特許EP−B−0303305によれば、上述した最小平均寸法の液滴を一定の噴霧距離のところに形成するように反応混合物を噴霧することは、形成される層の密度及びその他の物理的性質、例えば、色に重要な差を生じさせることなしに、反応混合物を種々の噴霧距離から噴霧することができるという利点を提供する。このことは、勿論、狭いキャビティを有する複雑な型の中にポリウレタン層を噴霧しなければならず、その結果、噴霧距離を一定に保つことができないとき、特に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この既知の方法、特にその中で使用される噴霧ノズルの欠点は、実際には、反応混合物を噴霧することができる最小流量の下限が存在することである。この下限は、実際に実行可能な噴霧ノズルの最小寸法によって、及び、安定な噴霧パターンを得るために必要な反応混合物の最小流量によって決定される。噴霧ノズルの最小寸法は、例えば、高粘性反応混合物中で結晶が形成されるときにノズルの目詰まりを回避するために必要な、反応混合物の流路の最小断面積によって特に決定される。特に、反応混合物が加速されるチャンネルの断面寸法が重要である。これらのチャンネルは、噴霧ノズルの中を通る流路の最小断面積を定める。欧州特許EP−B−0303305の実施例1に示されているように、反応混合物を噴霧ノズルから噴霧する前に反応混合物を加速し且つ噴霧ノズルのキャビティ中で反応混合物の旋回運動を生じさせるために噴霧ノズル内に配置されたインサートに、0.5×0.5mmの4つの溝又はチャンネルを有するノズルは、反応混合物を25g/秒の流量で噴霧するのに使用される。しかし、実施例2に示されているように、反応混合物の流量を10g/秒まで低減するために、2つの溝又はチャンネルだけがインサートに設けられ、溝又はチャンネルの寸法は、0.3×0.3mmまで更に小さくされている。このような狭い溝では詰りのリスクが更に増大すること、及び、2つの溝だけの使用は噴霧パターンの均一性に悪影響を及ぼし得ることが明らかである。
【0004】
特に反応混合物を短い噴霧距離から噴霧する複雑な型の狭い型キャビティー内で、より薄いポリウレタン層及び/又はより均一な厚さのポリウレタン層を噴霧することが可能であるために、反応混合物を充分に小さい流量で噴霧することが可能でなければならない。小さい流量であっても、噴霧パターンは、充分に均一且つ安定であるべきである。更に、小さい流量は、許容できない目詰まりの問題が生じる程度まで反応混合物を加速させるようにチャンネルの寸法を縮小させる必要なしに達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するためにの本発明による解決手段は、ノズルから噴霧される反応混合物の運動エネルギーを増大させるために、反応混合物の流れが、反応混合物が加速されるチャンネル内において、総最小断面積Smm2(Sは1.0未満、好ましくは0.9未満の値)を有すること、反応混合物をノズルから10×S〜80×Sg/秒の流量で噴霧すること、及び反応混合物1g当たり0.05〜2.5mモルの加圧ガスをノズルから噴霧開口を通して反応混合物と一緒に噴霧することからなる。
【0006】
反応混合物が加速される1又は2以上のチャンネルの比較的小さい断面積に起因して、反応混合物を比較的小さい流量で噴霧することができる。反応混合物に加圧ガスを加えると、反応混合物の運動エネルギーを増大させ、反応混合物がより小さい流量であっても安定した噴霧パターンを達成することを可能にするので、反応混合物がノズルから噴霧される前に反応混合物にガスを加えることによって、反応混合物の流量を更に低下させることができる。現存の霧化ノズル又は空気補助霧化ノズルと比較すると、加圧ガスは、本発明に従って、比較的少ない量しか加えられず、その結果、反応混合物の液滴は、過剰の運動エネルギーを受取らず、型の表面に噴霧される反応混合物の層は、ノズルから噴霧されるガス及び反応混合物の流れによって邪魔され、そうでなければ少なくとも多すぎない。このような少量のガスが可能であるのは、反応混合物が、反応混合物が加速されるチャンネルを通る最小流量よりも高い流量で噴霧される事実による。
【0007】
従って、上述した欧州特許に開示された方法との本質的な相違は、反応混合物だけを噴霧する代りに、反応混合物を加圧ガスと一緒にノズルから噴霧開口を通して噴霧することである。発明者等は、ノズルを通る反応混合物の流量を低下させても、ガスを反応混合物に加えて、より少ない量の反応混合物を補償することによって、同じ安定した噴霧パターンを維持できることを見出した。同じ噴霧パターンとは、液滴が実質的に同じ寸法のものであり且つ液的が実質的に同じ運動エネルギー量で噴霧されることを意味する。これら2つの特性は、特に色、密度及び/又は機械的性質の特徴を備えたポリウレタン層を達成するのに重要であり、色、密度及び/又は機械的性質は、噴霧距離と実質的に独立している。本発明によれば、単位時間当たり及びチャンネルの単位面積当たりに噴霧される反応混合物の量並びにノズルに供給される加圧ガスの量が、予め定められた範囲内にある。実際、単位面積当たり及び単位時間当たり更に多量の反応混合物を噴霧するとき、チャンネルが目詰まりするか又はチャンネルをもはや実際に形成することができない程度までチャンネルの寸法を小さくすることなしに、望ましい低い流量を得ることはできない。他方、より少ない量の反応混合物を噴霧するとき、安定な噴霧パターンを形成するために過大な量のガスが必要とされ、その結果、反応混合物は過大な運動エネルギーを受取り且つ/又は小さ過ぎる液滴に霧化される。肉眼で見えるポリウレタンスキン層を生成するとき、異なる噴霧距離から噴霧すると、上記高い運動エネルギー及び小さい液滴寸法により、色及び密度の変化が生じる。最初に、所謂型内コーティングを仕上げ層として型の表面に塗布するときでさえも、反応混合物を短い噴霧距離から噴霧しなければならないときに問題が生じる。実際、高い運動エネルギー量のため、型の表面に噴霧される反応混合物は、型の表面に噴霧される反応混合物の力によって横に逸れて噴霧され、その結果、均一な厚さを得ることが不可能である。型内コーティングでさえも、特に3次元噴霧パターンの代りに平面パターンを使用するとき、反応混合物の衝撃によって損傷を受ける可能性がある。
【0008】
空気霧化によるポリウレタンコーティングの噴霧は、米国特許US−A−3,923,253に既に開示されている。本発明とは対照的に、ポリウレタン材料をチャンネル内で、特に、比較的大きな断面積を有する円筒形インペラーの周りの環状スペース内で加速させ、その結果、反応混合物がノズルから出るときに霧化されるように、比較的多量のガスをノズル内に注入して、環状チャンネルからを出る反応混合物を加速させなければならない。直径1.5mmの噴霧開口をもったノズルを用いる同様の方法が、米国特許US−A−4,649,162に開示されている。この米国特許に示された実施例では、ポリウレタン材料を1分当たり350リットルの空気によって、即ち、本発明による方法よりもずっと多量のガスによって、420g/分の流量でノズルから霧化する。しかしながら、ノズルは、コーティングされる表面から充分な距離、特に0.3〜0.8mの距離に保たれる。
【0009】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、ノズル中での反応混合物の流れが少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つのチャンネルに分けられ、その中で反応混合物を加速させる。
【0010】
この実施例の利点は、より均一又は均質な噴霧パターンを得られることである。
【0011】
本発明による方法の更に好ましい実施形態において、反応混合物を1以上のチャンネルによって加速させる前に、好ましくは、反応混合物の反応成分をノズルの上流に配置されたミキサー内で混合した後に、加圧ガスを反応混合物に加える。
【0012】
この実施形態の利点は、加圧ガス及び反応混合物をチャンネル内において同様の速度まで加速させることにあり、その結果、加圧ガスを、反応混合物の運動エネルギーを増大させる最適な方法で使用できる。このことは、安定な噴霧パターンを達成するためには少量のガスしか必要としないことを意味し、その結果、反応混合物をより小さい運動エネルギーで型の表面に噴霧することができる。
【0013】
本発明による方法の好ましい実施形態において、ASTEM・E799−81に従って決定される中間容積直径が50μmよりも大きい液滴の形態で、又は、噴霧ノズルから一定の距離のところで上記液滴に分離するように落ちるフィルムの形態で、反応混合物を噴霧ノズルから噴霧するように、反応混合物の流量及び/又は加圧ガスの量を制御することによって、ノズルから噴霧される反応混合物の運動エネルギーの予め定められた量を制御する。
【0014】
この方法で反応混合物を噴霧するとき、変動する噴霧距離の結果として、噴霧されたポリウレタン層の色、密度及び/又は機械的性質の変動を顕著に低減し又は回避することがてきることがわかった。反応混合物をフィルムの形態で噴霧ノズルから噴霧するとき、噴霧ノズルを、型の表面からの噴霧距離が噴霧パターンのフィルム部分の高さよりも小さくなるように維持してもよく、即ち、反応混合物は、フィルムの形態で型の表面に到達してもよい。
【0015】
本発明による方法の更に好ましい実施形態において、ASTEM・E799−81に従って決定される中間容積直径が500μmよりも小さい、好ましくは200μmよりも小さい、最も好ましくは100μmよりも小さい液滴の形態で、又は、噴霧ノズルから一定の距離のところで上記液滴に分離するように落ちるフィルムの形態で、反応混合物を噴霧ノズルから噴霧するように反応混合物の流量及び/又は加圧ガスの量を制御することによって、ノズルから噴霧される反応混合物の運動エネルギーの予め定められた量を制御する。
【0016】
液滴の寸法が、反応混合物の流量だけで決定されるのではなく、反応混合物に加えられるガスの流量によっても決定されるという事実のため、本発明による方法で制御される液滴の寸法は、より良好に保たれる。より小さい且つより良好に制御された液滴の寸法を使用することによって、ポリウレタン層に閉じ込めらる空気泡の寸法を小さくし、機械的強度を改善し、その結果、ポリウレタン層の厚さを、「脆弱な」箇所を形成することなしに、更にはポリウレタン層に孔を形成することなしに、薄くすることが可能である。ポリウレタン層の厚さは、例えば0.6mm以下、特に0.5mm以下に薄くされるのがよい。薄いポリウレタン層の製造は、材料を節約することになるだけでなく、所謂「柔らかい触覚」を得るためにポリウレタン(スキン)層の裏面に付けられる選択的な発泡体層の効果を増大させる。より小さい且つより良好に制御された液滴の形態で反応混合物を噴霧することの更なる利点は、非常に薄いポリウレタンの層を噴霧ノズルの通過ごとに噴霧することができ、その結果、局部的な厚さの増大を生じることなしに噴霧ノズルを1つの箇所に2回以上通過させてもよく、換言すれば、噴霧ノズルの移動についてより多くの自由度が存在し、かくして、噴霧ノズルロボットのプログラミングをより容易にする。
【0017】
本発明による方法の有利な実施形態において、ガス源からのガスを反応混合物に加え、ガス源は加圧ガスを単位時間当たり実質的に一定のモル数で供給する。
【0018】
この方法では、例えば、ノズルを通る反応混合物の流れが流路内の障害物によって妨げられるとき、障害物は直ちにガス圧を増大させるので、ガスダクト内への液体反応混合物の流れが回避される。
【0019】
本発明の更なる利点及び詳細は、以下で説明する本発明の幾つかの特定の実施形態から明らかになるであろう。この説明は例示的に与えられるに過ぎず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。以下の説明において使用される参照番号は、添付の図面を参照するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、少なくとも一つのポリウレタン層を有する成形製品を製造するための方法に関する。ポリウレタン層は、ポリウレタンを生じさせる反応混合物成分を噴霧することによって得られ、かかる反応混合物を、ポリウレタン反応混合物と称する。この反応混合物は、通常、2つの成分、即ち、イソシアネート成分とポリオール成分とを混合することによって得られるが、3つ以上の成分の流れを使用することも可能である。噴霧されるポリウレタン反応混合物は、それが噴霧されたときに比較的高い粘度を有するように、好ましくは、溶媒を含んでいないか、又は、少量の溶媒、好ましくは、10重量%未満の溶媒、更に好ましくは、5重量%未満の溶媒しか含んでいない。
【0021】
噴霧されたポリウレタン層は、発泡層であってもよい。この発泡層は、物理的及び/又は化学的発泡剤を反応混合物に加えることによって得られる。しかしながら、本発明による方法は、平均密度が300g/リットルよりも高い、好ましくは400g/リットルよりも高い、最も好ましくは600g/リットルよりも高いポリウレタン層を噴霧するために適用されることが最も好ましい。ポリウレタン層は、剛性のポリウレタン層であってもよいが、好ましくは、可撓性のエラストマーポリウレタン層、特に好ましくは、所謂ポリウレタンスキン層であり、ポリウレタンスキン層は、平均厚さが0.1〜3mm、好ましくは、0.3〜2mmである。実際には、特にダッシュボード、ドアパネル、コンソール等のような自動車内装部品を製造するために、スキン層の背面に、剛性の裏打ち層が付けられ、好ましくは、これら2つの層の間に中間発泡層が設けられる。欧州特許EP−B−0642411に開示されているように、剛性の裏打ち層及び中間発泡体層を、ポリウレタン反応混合物を噴霧することによって生成することが可能である。これを本発明に従って行うこともでき、その更なる説明は、可撓性ポリウレタンスキンの噴霧を参照して後述する。
【0022】
ポリウレタンスキンを噴霧するための反応混合物は、例えば、欧州特許EP−B−0379246に開示されている。これらの反応混合物は、反応混合物を噴霧する直前に、イソシアネート成分とポリオール成分とを混合することによって構成される。このイソシアネート成分は、光安定性ポリウレタンスキンを達成するために、脂肪族イソシアネートをベースにしている。しかし、実際には、光安定性でないポリウレタンスキンを噴霧することも可能である。光安定性でないポリウレタンスキンのための反応混合物においては、より反応性のある芳香族ポリイソシアネートが使用される。それらは光安定性でないから、スキン層を生成した後、又は、スキン層のための反応混合物が噴霧される塗料層を内部コーティングとして塗布することによって、スキン層の上に塗料層を付けるのがよい。
【0023】
図1は、ポリウレタン反応混合物を噴霧するための基本原理を示す。
【0024】
第1の工程において、2つの成分、即ち、ポリオール成分及びイソシアネート成分を、撹拌タンク1A、1Bからポンプ2A、2Bによって出し、第2の工程において、2つの成分を熱交換器3A、3B内で所望の温度に加熱した後、2つの成分を、噴霧ノズル5を有する可動スプレーガン4内で混合する。この噴霧ノズル5から、反応混合物を予め定められた噴霧パターンに従って型の表面6に噴霧する。反応混合物を硬化させ、選択的には噴霧されたポリウレタン層の裏面に1以上の追加の層を塗布した後、形成されたポリウレタン層9を型の表面6から取り外す。上述したように、ポリウレタン層を、必ずしも型の表面に噴霧しなけければならないわけではなく、製造すべき成形製品の層に向かって噴霧してもよい。
【0025】
粘性反応混合物をノズル5から噴霧するとき、通常はフィルム7からなる噴霧パターンが得られ、フィルム7は、一定の距離d、例えば0.5〜20cmのところで分離して液滴8になるように落ちる。反応混合物の噴霧、特にノズルから放出される反応混合物の運動エネルギーは、好ましくは、反応混合物が、ASTEM・E799−81に従って決定される中間容積直径(medium volume diameter)が50μmよりも大きい液滴8の形態を直接なすように制御され、或いは、反応混合物が離れるように落ちてノズル5からの一定の距離のところで液滴8になるフィルム7の形態をなすように制御される。反応混合物の噴霧は、更に好ましくは、液滴8の中間容積直径が、500μmよりも小さく、好ましくは200μmよりも小さく、最も好ましくは100μmよりも小さくなるように制御される。狭いキャビティ内で噴霧するとき、噴霧距離Dは、フィルムが落ちて液滴に分離する距離dよりも小さくてもよく、その結果、反応混合物は、フィルム7の形態をなして型の表面6に到達する。
【0026】
反応混合物は、平坦な扇形、又は、好ましくは中空の、円錐形又は楕円錐形で噴霧されるのがよい。中空円錐形の噴霧パターンを図4に示し、この噴霧パターンは、噴霧された反応混合物の運動エネルギーがより迅速に低下するという事実の観点から好ましく、反応混合物は、比較的低い運動エネルギーを有しており、反応混合物が同じ噴霧距離で型の表面に到達するときにより均一なポリウレタン層9を噴霧することを可能にする。
【0027】
本発明による方法の本質的な特徴は、噴霧ノズルから噴霧される反応混合物の運動エネルギーが、反応混合物に加圧ガスを加えることによって増大することにあり、その結果、反応混合物は、加圧ガスと共に噴霧ノズル5から噴霧される。加圧ガスを加えることの利点は、望ましい噴霧パターンを生じさせるのに必要な運動エネルギーを反応混合物に与えることを維持しながら、噴霧ノズルを通過する反応混合物の流量を減少させることができることにある。
【0028】
図1において、加圧ガスを収容したガスボンベ10は、配管11を介して、スプレーガン4、更に詳細には、スプレーガンの混合ヘッド14に接続されている。配管11は、ガスの流れを遮断することが可能な弁13を有しており、弁13は、選択的には、ガスの圧力を低下させることが可能である。好ましくは、噴霧ノズルへのガスの流量を一定にすることを可能にする流れ制御装置が、配管11に設けられる。この方法では、幾らかの反応混合物が噴霧ノズルのガスチャンネル内を流れるとき、反応混合物をガスチャンネルから放出させ且つ一定のガス流量を維持することを可能にする圧力を生じさせることができる。
【0029】
加圧ガスは、好ましくは、窒素ガスであるが、その他のガスを使用してもよく、その他のガスは、例えば、空気、酸素又はガス混合物である。加圧ガスは、ガスボンベの中に液体状態で貯蔵され、噴霧ノズルに移送されるのがよい。好ましくは、ガスは、噴霧ノズルに達するまでに、気体状態に変換される。ガスは、好ましくは、10〜80バール、より好ましくは、15〜50バールの圧力で噴霧ノズルに供給される。
【0030】
図1に示すスプレーガンの実施形態においては、2つの成分流が、スプレーガン4の混合ヘッド14内で一緒にされ、バー形状の静的ミキサー15の中で更に混合され、次いで噴霧ノズル5によって噴霧される。
【0031】
本発明による方法の第1の実施形態では、スプレーガン4の混合ヘッドの中で、即ち、反応混合物の手前で、加圧ガスを反応混合物に加え、この場合、加圧ガスは静的ミキサーの中で混合される。加圧ガスを第3の成分として反応混合物に追加することを可能にする混合ヘッド14の例を、図5に示す。混合ヘッドは、先ず、静的ミキサー15を接続するためのコネクタ54を有している。更に、混合ヘッド14は、混合チャンバ50を有し、混合チャンバ50は、ポリオール成分のための入口51と、イソシアネート成分のための入口52とを有している。両方の入口51,52は、ボール弁によって閉鎖されるのがよい。加圧ガスを加えることを可能にするために、混合チャンバは、加圧ガスのための更なる入口53を有している。この入口は、ガス配管11を接続するためのアダプタがねじ込まれるねじ山が形成されている。ガスを追加の成分流と考えることができるようにガスを混合チャンバの中に注入する代わりに、加圧ガスを、ポリオール流又はイソシアネート流の中に注入してもよい。
【0032】
混合ミキサー15内での反応混合物の実際の混合の前に、加圧ガスを反応混合物に注入してもよいけれども、本発明者は、ガスの早期の混合は、噴霧されたポリウレタン層の密度を低下させることを見出した。従って、より高い密度を望むとき、好ましくは、加圧ガスを、図2に概略的に示すように、反応混合物の流れの中にミキサー自体の中で注入し、更に好ましくは、加圧ガスを、図3に概略的に示すように、反応混合物が混合ミキサー15から離れた後、即ち、噴霧ノズル5自体の中で注入する。
【0033】
図6は、噴霧ノズルの第1の実施形態を示しており、噴霧ノズル5は、その中を通る反応混合物の流れの中に加圧ガスを注入するように構成されている。この噴霧ノズル5は、ハウジング16を有し、このハウジング16は、雌ねじを設けた管状端部17を有し、噴霧ノズル5は、この雌ねじによって静的ミキサー15の遠位端部に螺合される。ハウジング16は、更に、長手方向ボア19を有し、この長手方向ボア19は、それよりも大きい横方向ボア20で終端する供給チャンネルを形成している。横方向ボア20の内面は、噴霧ピース21を横方向ボア20にねじ込むためのねじ山を有している。噴霧ピース21は中空ピースであり、その底部は、コアピース22が挿入されるように開口し、また、噴霧ピース21は、コアピース22の頂部が係合する閉じた頂部を有し、その結果、噴霧ピース21がハウジング16の横方向ボア20にねじ込まれるとき、コアピース22は噴霧ピース21の中に固定される。コアピース22の頂部と噴霧ピース21の内面23との間には、噴霧ノズル5の出口キャビティ24が形成されている。このキャビティ24は、円錐形部分と、円筒形チャンネル25とからなり、円筒形部分は、噴霧開口26を形成するように噴霧ピース21の頂部を貫いて延び、反応混合物は、噴霧ノズル5から噴霧開口26を通して噴霧される。円錐形部分及び円筒形チャンネル25の寸法、及び、噴霧ピース21の内面23の形状及び傾斜は、望ましい噴霧パターンに応じて調節されるのがよい。
【0034】
コアピース22は、長手方向ボア19を通って供給される反応混合物を、出口キャビティ24の角度をなして噴射するように構成され、その結果、反応混合物が出口キャビティ24を通過するとき及び反応混合物が噴霧ノズルから噴霧されるとき、反応混合物は、旋回運動を受ける。図11〜図13に示すように、コアピース22は、例えば円筒形部分27と、中空の噴霧ピース21に嵌合する円錐台形部分28とからなり、更に詳細には、円錐台形部分28は、噴霧ピース21の円錐形内面23に当接して嵌合する。円錐台形部分の上面には、4つの溝29が形成されている。溝29の各々は、コアピース22の底面の中心で終端する円筒形ボア30によって、供給チャンネル19に接続され、その結果、反応混合物の流れは、4つのボア30及び溝29にわたって分割される。供給チャンネル19の断面積は、溝29の総断面積よりも大きく、その結果、反応混合物を溝29に通すことによって、反応混合物が更に高い速度にされ、即ち、加速される。従って、溝29は、その中を通る反応混合物を加速させるチャンネル29を形成する。
【0035】
本発明による方法に使用されるノズルは、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、更に好ましくは、少なくとも3つ、最も好ましくは、少なくとも4つのチャンネル29を有し、反応混合物は、それが噴霧ノズルから噴霧される前、チャンネル29の中で加速される。より多くのチャンネル29があれば、より均一な噴霧パターンを達成することを可能にするけれども、より多くのチャンネルを設ければ設けるほど、これらチャンネルの最大断面積をより小さくしなければならない。チャンネル29の各々は、好ましくは、0.6mm2よりも小さく、より好ましくは0.4mm2よりも小さい断面積、又は、チャンネルの断面積が一定でないときは、最小断面積を有する。各チャンネル29の最小断面積、即ち、各チャンネルの断面が最小である場所で測定されたチャンネルの断面積は、例えば約0.085mm2であるが、好ましくは、0.04mm2よりも大きくすべきである。異なるチャンネルの総最小断面積、即ち、異なるチャンネルの最小断面積の合計は、好ましくは、0.10mm2よりも大きく、より好ましくは、0.20mm2よりも大きく、その結果、より安定な噴霧パターンを達成するより多くのチャンネルを設けることができる。図示の実施形態では、反応混合物の流れは、チャンネル29の断面積全体にわたって生じ、その結果、これらチャンネルの最小断面積は、これらのチャンネル内の反応混合物流の最小断面積と等しい。
【0036】
本発明による方法において、チャンネル29内の反応混合物の流れの総最小断面積(Smm2)は、1.0mm2より小さくすべきであり、好ましくは、0.9mm2よりも小さく、更に好ましくは、0.7mm2よりも小さい。この方法では、噴霧ノズルの中を通る反応混合物の流量が比較的小さくても、反応混合物は、チャンネル29の中を通ることによって、既にかなりの量の運動エネルギーを受取っている。反応混合物が噴霧ノズルから噴霧されるところの流量は、好ましくは、1〜25g/秒の範囲内にあり、より好ましくは、1〜13g/秒の範囲内にあり、最も好ましくは、2〜10g/秒の範囲内にある。本発明によれば、反応混合物を10×S〜80×Sg/秒の流量で噴霧ノズルから噴霧すべきである。この流量は、好ましくは、60×Sg/秒よりも小さく、より好ましくは、50×Sg/秒よりも小さく、最も好ましくは、40×Sg/秒よりも小さい。この流量は、更に、14×Sg/秒よりも大きいことが好ましい。上述した概念は、小さい又は狭い型のキャビティに挿入される小型スプレーノズルである。
【0037】
図6〜図10に示す噴霧ノズルの概念は、チャンネル網内の目詰まり又は材料の堆積の危険を最小にするように設計されている。
【0038】
図7に示すノズルでは、望ましい噴霧パターンを達成するために、更に運動エネルギーが、チャンネル29を通過した反応混合物に加えられる。これは、ボンベ10からの加圧ガスを、噴霧ピース21の中の少なくとも1つのボア31を通して出口キャビティ24に注入することによって行われ、その結果、加圧ガスが、反応混合物と一緒に噴霧開口26を通して噴霧ノズルから噴霧される。ボア31は、出口キャビティ24内で一定の角度をなす溝29によって注入された反応混合物の渦巻又は旋回運動、即ち、運動エネルギーを増大させる角度に差し向けられる。加圧ガスは、ボア31のレベルのところに噴霧ピース21内に設けられた管状キャビティ32に、ボア12によって供給され、ボア12は、ねじ山付き円筒形外キャビティ42で終端し、ガス配管11を噴霧ノズル5に接続するためのアダプタが、外キャビティ42にねじ込まれる。
【0039】
本発明によれば、反応混合物の運動エネルギーを増大させるために、比較的少量の、特に反応混合物1グラム当たり0.05〜2.5mモルの加圧ガスしか使用しない。窒素ガスについては、これらの量は、反応混合物1グラム当たり窒素約1.4〜70mgに相当する。このような少量のガスの利点は、噴霧開口を通って噴霧ノズルから離れるガスの運動エネルギーが、噴霧すべき表面に到達する運動エネルギーの総量に実質的に寄与しないことである。加圧ガスが、好ましくは、反応混合物1グラム当たり少なくとも0.075mモル、好ましくは、少なくとも0.15mモルの量で噴霧ノズルに供給され、且つ、加圧ガスが、好ましくは、反応混合物1グラム当たり1.5mモル未満、より好ましくは、反応混合物1グラム当たり1.1mモル未満、最も好ましくは、反応混合物1グラム当たり0.75mモル未満の量で噴霧ノズルに供給される。
【0040】
反応混合物の運動エネルギーを増大させるように加圧ガスの量をより効率的に使用するために、反応混合物がチャンネル29によって加速される前、加圧ガスが反応混合物に加えられることが好ましい。上述したように、加圧ガスは、噴霧ノズルに供給されことが好ましく、即ち、混合工程が終了した後に反応混合物に加えられることが好ましい。
【0041】
図8は、反応混合物がチャンネル又は溝29内で加速される前に反応混合物に加圧ガスが加えられる、図7に示した噴霧ノズル5の第1の変形例を示す。この実施形態では、噴霧ノズルのハウジング16内に、供給チャンネル19で終端するボア33が設けられている。配管11がねじ山付き外キャビティ42を介してボア33に接続され、その結果、加圧ガスが反応混合物の流れに直接注入される。反応混合物中のガスのより良好な混合を達成するために、供給チャンネル内の別の箇所で終端する、より多くの且つより小さいボア33を設けることが可能である。
【0042】
図9では、2つの円筒形アダプタピース、即ち、反応混合物のための1つのアダプタピース34と加圧ガスのための1つのアダプタピース35とによって、加圧ガス及び反応混合物のより良好な混合が得られる。両方のアダプタピース34、35は、軸方向ボア36、37を有しており、コアピース22の下に位置するハウジング内の円筒形キャビティの中で相互に積み重ねられ、その結果、軸方向ボア36、37は、コアピース22のボア30で終端するチャンネルを形成する。両方のアダプタピースは、更に、その周縁に環状溝38、39を有しており、これらの環状溝38、39は、ボア40、41によって軸方向ボア36、67に接続されている。異なるアダプタピース及びコアピースの下及びこれらの間に、図9に示していない平坦なシールが設けられることが好ましい(図7及び図8にも、異なる構成要素間の平坦なシールを示していない)。
【0043】
図9の実施形態においては、加圧ガスは、配管11によって噴霧ノズルに供給されず、配管11は、混合ヘッドに接続されている。混合ヘッドは、静的ミキサーの周りに設けられた同軸チャンネル60で終端するガスチャンネルを収容している。この静的ミキサーは、噴霧ノズル5のコネクタ部分62にシールされた内管61に収容されている。同軸チャンネル60は、噴霧ノズルのコネクタ部分64の上にシールされた外管63によって構成されている。コネクタ部分64は、キャビティが形成されるように、平らな側面65を有し、キャビティは、一方の側で同軸ガスチャンネル60と流通し、他方の側でボア66を介して最も下のアダプタ35の環状溝39と流通している。アダプタ35のボア41は、加圧ガスが軸方向ボア内で旋回する角度をなして差し向けられている。次いで、この旋回ガスの流れは、ボア37からボア36に入り、反応混合物は、供給チャンネル19及び環状溝38から、ボア41と同様の角度をなして差し向けられたボア40を通して注入され、その結果、反応混合物は、加圧ガスと同じ方向の旋回を形成する。このように形成された乱流により、加圧ガス及び反応混合物は、それらが溝29に供給される前により良好に混合される。
【0044】
図10では、1つだけのアダプタピース、即ち、加圧ガスのためのアダプタピース35だけによって、加圧ガスと反応混合物との良好な混合が達成される。この実施形態でも、加圧ガスは、静的ミキサーの内管61及び外管63の周りに形成された同軸チャンネル60を通して供給される。外管63のためのコネクタ部分64も、加圧ガスのためのボア66が終端するキャビティを形成する平らな側面65を有している。反応混合物のための供給チャンネル19は、アダプタ35の軸方向ボア37の底部に接続され、その結果、反応混合物の流れは、今や、軸方向ボアの中を通る。アダプタ35では、加圧ガスは、4つのボア41から反応混合物の流れに注入される。この実施形態では、反応混合物の旋回がないことが必要であり、最良の混合が、加圧ガスを半径方向ボア41から注入することによって得られることが分かった。
【0045】
図10の実施形態に使用される噴霧ピース21及びコアピース22は、上述した実施形態に使用される噴霧ピース及びコアピースの形状と幾分異なる形状を有している。図14〜図16に示すように、コアピース22はまた、中空の噴霧ピース21内に嵌合した円筒形部分27と円錐台形部分28とからなっている。しかしながら、相違点は、コアピース22がその平坦な頂部表面で噴霧ピース21の平坦な内側頂部表面に係合すること、及びコアピースの頂部表面に円筒形の凹部67が設けられ、コアピースの平坦な頂部表面に設けられた溝29が凹部67で終端することである。かくして、反応混合物は、これら溝29の中を通して、噴霧開口26の面と実質的に平行な方向に案内される。溝の深さは、凹部67に向って徐々に減少し、その結果、溝の断面積は、溝29の下流端で、即ち、溝が凹部67の中で終端する末端で最小値に達する。このコアピース22の中の凹部67は、噴霧ピース21内の小さい円錐形のキャビティ及び噴霧開口26に通じた円筒形チャンネル25と共に、外部キャビティ24を形成する。
【0046】
上述した実施形態において、反応混合物が通って加速されるチャンネルは、コアピース22内の別々の溝によって形成され、反応混合物がコアピースの横方向の円筒形側面に沿って通ることはない。しかしながら、他のノズル概念においては、反応混合物が、円筒形キャビティの内壁とその中に挿入され且つ円筒形キャビティの内径よりも幾分小さい直径を有する円筒形コアピースとの間に形成された、1つの狭い環状チャンネル又はキャビティの中で加速されてもよい。例えば、米国特許US−A−3,923,253におけるインペラーの周りの環状キャビティを参照すべきであるが、この環状キャビティは1mm2よりも大きい断面積を有している。円筒形のコアピースが、例えば5mmの直径を有し、少なくとも反応混合物がコアピースを軸方向に通過するとき、円筒形キャビティの内径を、例えば約5.6mmよりも小さくすべきである。しかし、反応混合物を環状チャンネルの中に横方向に注入して、円筒形コアピースの周りで旋回運動を形成し、環状チャンネルを出るときに渦を形成するようにすることも可能である。その場合、このチャンネル内における反応混合物の流れの断面積のみが測定されねばならないだけであり、これは反応混合物の流れに対して垂直であるから、コアピースとキャビティの内壁との間の隙間はより大きくてもよい。更に、この環状キャビティもまた、出口キャビティに向って円錐状に狭くなっていてもよいので、環状キャビティの出口における最小断面積が考慮されなければならない。
【0047】
噴霧パターンを、反応混合物の流量を調節することによって制御できるだけでなく、加圧ガスの流量を調節することによっても制御できるので、本発明による方法の利点は、噴霧パターンをより良好に制御できることである。この方法において、噴霧された反応混合物の液滴寸法は、噴霧された層の均一性に悪影響を及ぼすことなしに、小さくされ、特に100μmまで小さくされるのがよい。更に、ポリウレタン層を噴霧するようにプログラムされたロボットを、噴霧距離に応じて反応混合物の流量を変化させるようにプログラムすることもできる。
【0048】
本発明の幾つかの特定の実施形態についての上記説明から、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲を逸脱することなく、全ての種類の変形が適用できることは明らかであろう。
【0049】
特に、ノズルに更なる加圧ガスの供給を提供すること、より具体的には、噴霧パターン形状の追加の制御を得るために、噴霧された反応混合物の周りに「ガスカーテン」を発生させることが可能である。これは、例えば欧州特許EP−B−0303305の図20の例に示されている方法で、噴霧ノズルの小さい出口オリフィスから加圧ガスを噴射することによって達成される。この方法においてノズルから噴射されるガスの量は、噴霧された反応混合物の運動エネルギーに対して影響を及ぼさない、或いは、最小の影響しか及ぼさないので、反応混合物に添加されるガス量に含まれない。
【0050】
〔例〕
加圧窒素ガスを図10に示した方法と同じ方法でポリウレタン反応混合物中に混合させる噴霧ノズルによって、可撓性エラストマーポリウレタン層を型の表面に厚さ0.7mmで噴霧した。反応混合物の供給チャンネル19は、直径約1mmであり、4つの溝29の下流端において測定した溝29の総最小断面積は、約0.35mm2であった。
【0051】
反応混合物を約8g/秒で噴霧し、窒素ガスを約4g・N2/分の流量で注入したとき、安定な噴霧パターンが得られ、噴霧されたポリウレタン層は、密度が約950g/リットルであった。
【0052】
ガスを供給する可能性のない同様の従来技術のノズルを使用したとき、反応混合物の流量が約14g/秒であるときだけ、同じ安定な噴霧パターンを達成できた。このことは、非常に制限された加圧ガスの添加により、反応混合物の流量の実質的な低下及び噴霧された液滴の面上への良好な分布を可能にし、最適化されたスキン特性をもたらすことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に従って、ポリウレタン反応混合物を型表面に噴霧する原理を示す概略図ある。
【図2】図1の噴霧装置の変形例を示す概略図である。
【図3】図1の噴霧装置の変形例を示す概略図である。
【図4】噴霧ノズルから噴霧される中空円錐形の反応混合物の噴霧パターンの概略的な側面図である。
【図5】図1に示した噴霧装置の混合ヘッドの概略的な断面図である。
【図6】本発明による方法に使用される噴霧ノズルの平面図である。
【図7】図6の線VII−VIIにおける断面図である。
【図8】図7に示した噴霧ノズルの変形例を示す、図7と同様の図である。
【図9】図7に示した噴霧ノズルの変形例を示す、図7と同様の図である。
【図10】図7に示した噴霧ノズルの変形例を示す、図7と同様の図である。
【図11】図7〜図9に示した噴霧ノズルのコアチップの平面図である。
【図12】図7〜図9に示した噴霧ノズルのコアチップの側面図である。
【図13】図7〜図9に示した噴霧ノズルのコアチップの底面図である。
【図14】図10に示した噴霧ノズルのコアチップの平面図である。
【図15】図10に示した噴霧ノズルのコアチップの側面図である。
【図16】図10に示した噴霧ノズルのコアチップの底面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン反応混合物を加圧下で噴霧ノズルに供給し、
前記噴霧ノズル内において、反応混合物を1以上のチャンネルの中に通すことによって、反応混合物を加速させ、
反応混合物の流れは、その流れに対して垂直方向に測定される最小断面積を有し、
加速させた反応混合物を、前記噴霧ノズルから噴霧開口を通して、ポリウレタン層が形成される面に予め定められた量の運動エネルギーで噴霧し、
反応混合物を硬化させる、少なくとも一つのポリウレタン層を含む製品を製造する方法であって、
反応混合物の流れは、前記1以上のチャンネル内において、総最小断面積Smm2を有し、Sの値は、1.0より小さく、好ましくは0.9よりも小さく、
反応混合物を、10×S〜80×Sg/秒の流量で前記噴霧ノズルから噴霧し、
加圧ガスを、前記噴霧ノズルから噴霧開口を通して反応混合物と一緒に反応混合物1g当たり0.05〜2.5mモルの量で噴霧し、
前記噴霧ノズルから噴霧される反応混合物の運動エネルギーを増大させることを特徴とする方法。
【請求項2】
反応混合物は、60×Sg/秒よりも小さい、好ましくは40×Sg/秒よりも小さい、より好ましくは30×Sg/秒よりも小さい流量で、前記噴霧ノズルから噴霧される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応混合物は、14×Sg/秒よりも大きい流量で前記噴霧ノズルから噴霧される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応混合物は、1〜25g/秒、好ましくは1〜13g/秒、より好ましくは2〜10g/秒の流量で前記噴霧ノズルから噴霧される、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1以上のチャンネル内における反応混合物の流れの総最小断面積は0.6mm2よりも小さく、好ましくは0.4mm2よりも小さく、
前記1以上のチャンネル内における反応混合物の流れの総最小断面積は、好ましくは0.10mm2よりも大きく、より好ましくは0.20mm2よりも大きい、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
加圧ガスは、反応混合物1グラム当たり少なくとも0.075mモル、好ましくは反応混合物1グラム当たり少なくとも0.15mモルの量で前記噴霧ノズルに供給され、
加圧ガスは、好ましくは反応混合物1グラム当たり1.5mモル未満、より好ましくは反応混合物1グラム当たり1.1mモル未満、最も好ましくは反応混合物1グラム当たり0.75mモル未満の量で前記噴霧ノズルに供給される、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
加圧ガスをガス源から供給し、このガス源は、加圧ガスを単位時間当たり実質的に一定のモル数で供給する、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記噴霧ノズル内の反応混合物の流れを、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つのチャンネルに分け、反応混合物を加速させる、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記1以上のチャンネルによって加速される反応混合物を、前記噴霧ノズルの出口キャビティの中で一定の角度をなして注入し、反応混合物を前記出口キャビティの中で旋回させ、
前記出口キャビティは、噴霧開口を有し、それにより、反応混合物を前記噴霧ノズルの噴霧開口を通して噴霧するとき、反応混合物は旋回運動状態にある、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応混合物を前記1以上のチャンネルによって加速させた後であって、反応混合物を前記噴霧開口から噴霧する前に、加圧ガスを反応混合物に加える、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
加圧ガスを、前記出口キャビティ内における反応混合物の旋回運動を増大させる角度で前記出口キャビティ内に注入する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
反応混合物を前記1以上のチャンネルによって加速させる前に、加圧ガスを反応混合物に加える、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
ポリウレタン反応混合物を前記噴霧ノズルに供給する前、少なくとも2つのポリウレタン反応混合物成分をミキサー内で混合することによって、ポリウレタン反応混合物を準備し、
加圧ガスを前記ミキサーを離れた後、加圧ガスを反応混合物に加える、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
ポリウレタン反応混合物を前記噴霧ノズルに供給する前、少なくとも2つのポリウレタン反応混合物成分をミキサー内で混合することによって、ポリウレタン反応混合物を準備し、
加圧ガスを前記ミキサーを離れた後、特に、反応混合物を前記ミキサーに導入する前、加圧ガスを反応混合物に加える、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
ASTEM・E799−81に従って決定される中間容積直径が50μmよりも大きい液滴の形態で、又は、前記噴霧ノズルから一定の距離のところで前記液滴に分離するように落ちるフィルムの形態で、反応混合物が前記噴霧ノズルから噴霧されるように、反応混合物の流量及び/又は加圧ガスの量を制御することによって、運動エネルギーの前記予め定められた量を制御する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
ASTEM・E799−81に従って決定される中間容積直径が500μmよりも小さい、好ましくは200μmよりも小さい、最も好ましくは100μmよりも小さい液滴の形態で、又は、前記噴霧ノズルから一定の距離のところで前記液滴に分離するように落ちるフィルムの形態で、反応混合物が前記噴霧ノズルから噴霧されるように、反応混合物の流量及び/又は加圧ガスの量を制御することによって、運動エネルギーの前記予め定められた量を制御する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
反応混合物を噴霧して、平均密度が300g/リットルよりも大きい、好ましくは400g/リットルよりも大きい、最も好ましくは600g/リットルよりも大きいポリウレタン層を製造し、
前記ポリウレタン層は、好ましくは、可撓性のエラストマーポリウレタン層である、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記噴霧距離が変化し又はそれを変化させるとき、ポリウレタン反応混合物の流量及び/又はそれに加える加圧ガスの量を変化させる、請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
ポリウレタン反応混合物を、平均厚さ0.1〜2mmの層をなして噴霧する、請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
反応混合物を、円錐形、楕円錐形又は平坦な扇形の形状で前記噴霧ノズルから噴霧し、好ましくは、中空の円錐形又は楕円錐形の形状で噴霧する、請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
加圧ガスを、ガス状態で反応混合物に加え、
加圧ガスを、特に10〜80バール、より好ましくは15〜50バールの圧力で加える、請求項1〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
加圧ガスは窒素ガスである、請求項1〜21の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−513316(P2009−513316A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516178(P2006−516178)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051211
【国際公開番号】WO2005/000481
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501163451)レクティセル (5)
【Fターム(参考)】