説明

噴霧器

【課題】エアーを混合して内容物を霧状に噴出させるに当たって噴霧粒子を寄り細かくできるコンパクトな噴霧器を提供する。
【解決手段】噴霧器を、内容物を充填する空間領域mを有する内容器1と、この内容器1を内側に収めるとともに胴体2bにおけるスクイズにて空気を加圧し加圧に係る空気を内容器1へ送給可能な外容器2と、この外容器2の口部2aに装着されその押し込みにより弁部3cの開放を可能とする押圧ヘッド3と、この押圧ヘッド3の本体3a内に組み込まれ該弁部3cの開放にて内容物を霧状にして外界へ噴出するノズル4とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の内容物を霧状にして噴出させるのに適した噴霧器に関するものであり、内容物を圧縮空気と混合して噴出させるに当たって噴霧粒子のより一層の微細化を実現しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
内容物を微細噴霧する噴霧器としては、従来、分散媒を加圧媒体とともに容器に充填した、いわゆるエアゾールタイプの噴霧器が使用されている。ところで、このような噴霧器は、製造コストが嵩むうえ、分散媒を全て使いきった後においても容器内に加圧媒体が残存しているのが普通であり、その破棄に際しては容器の胴体を穿孔して加圧媒体を排出しておくことが不可欠で、廃棄処理に手間がかかるだけでなく、加圧媒体の大気中への放出が環境汚染につながることが懸念されていた。
【0003】
このため、最近では、エアゾールタイプの噴霧器で使用されているような加圧媒体を使用せず、エアーポンプにより容器内の圧力を高めることによって、その圧力で内容物を霧状に噴出させる液面加圧式噴出器が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2560854号明細書
【0004】
しかしながら、エアーポンプを利用した従来の噴出器は、容器内の圧力を高める操作が別途に必要であり、部品点数の増加することから容器のサイズが大きくなるのが避けられない状況にあり、その点に関する改善の余地が残されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、エアーを混合して内容物を霧状に噴出させるに当たって噴霧粒子をより細かくできるコンパクトな噴霧器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を充填する空間領域を有する内容器と、この内容器を内側に収めるとともに胴体におけるスクイズにて空気を加圧し加圧に係る空気を内容器へ送給可能な外容器と、この外容器の口部に装着されその本体の押し込みにより弁部の開放が可能な押圧ヘッドと、この押圧ヘッドの本体内に組み込まれ該弁部の開放にて内容物を微細粒子にして外界へ噴出するノズルとを備え、
前記押圧ヘッドは、外容器の口部に着脱自在に保持され該外容器の口部側壁下端に当接してその内側に密閉空間を形成するベースキャップと、このベースキャップに固定保持され内容器の口部内において垂下される弁部を有し、
前記弁部は、内容器の空間領域につながる開口を有するシリンダーと、ノズルにつながる送給経路を有し押圧ヘッドの本体を支える中空ステムと、シリンダー内にて弾性支持され押圧ヘッドの押し込み操作に帯同させてスライド可能で、かつその押し込み動作によって開放されて内容器内の内容物を圧縮空気とともに中空ステムの送給経路へ排出する弁体からなることを特徴とする噴霧器である。
【0007】
上記の構成になる噴霧器においては、前記ベースキャップに、外容器の胴体のスクイズによる復元過程で開放されて外容器の内側に外気を導入する逆止弁を設ける。
【0008】
また、前記外容器の口部側壁には、その内外において貫通させ胴体のスクイズにて加圧された空気を排出する貫通孔を設け、前記シリンダーには内容器の空間領域につながる通路を設け、前記貫通孔と通路とをベースキャップの内側において形成される空間を介して連結し、該通路には、加圧に係る空気が通過するときにのみ開放する逆止弁を設ける。
【0009】
前記外容器は、スクイズにて変形(容積の減容化)、復元可能な材質にて構成することができ、内容器についても、外容器の胴体のスクイズに合せて変形、復元可能な材質にて構成することもできる。
【0010】
前記シリンダーは、その開口に、内容器の底部に向けて伸延しその内部通路を通して内容物を送給するパイプを設けるか、あるいは、先端部分に計量カップを有し該計量カップ内の内容物のみをその内部通路を通して送給するパイプを配置する。
【発明の効果】
【0011】
外容器の胴体をスクイズすると、外容器内の空気は加圧されて圧縮空気として内容器内へと送給される。この状態で押圧ヘッドを押し込むと、内容器内の内容物が空気と混在して微細粒子となってノズルから噴出される。
【0012】
圧縮空気は、外容器の胴体をスクイズすることで生成することができ、しかも、内容物を微細粒子にする機構は押圧ヘッドのベースキャップに組み入れることが可能なので、容器の大型化を伴うことがない(コンパクト化が可能)。
【0013】
内容器内にパイプによって保持された計量カップを配置しておくことで、内容物の定量的な噴出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従う噴霧器の全体を示した図であり、図2はその要部を拡大して示した図である。
【0015】
図1、2において1は内容物を充填する空間領域mを有する内容器、2は内容器1を内側に収める復元可能な材質からなる外容器である。外容器2はその口部2aにおいて内容器1の口部1aを係止、固定するようになっていて、その胴体2bにおけるスクイズにて空気を加圧、圧縮することができるようになっている。
【0016】
また、3は外容器2の口部2aに着脱自在にねじ止め(アンダーカットでもよい)された押圧ヘッドである。この押圧ヘッド3は押し込み部分となる本体3aと、外容器2の口部2aにねじ係合し該口部側壁下端2a′に当接してその内側に密閉空間を形成するベースキャップ3bと、このベースキャップ3bの裏面に固定保持され内容器1の口部1a内において垂下される弁部3cからなっている。
【0017】
弁部3cは内容器1の空間領域mにつながる開口hを有するシリンダー3cと、ノズルにつながる送給経路Aを有し押圧ヘッド3の本体3aを支える中空ステム3cと、シリンダー3c内にてスプリングSにより弾性支持され押圧ヘッド3の押し込み操作に帯同させてスライド可能で、かつその押し込み動作によって開放されて内容物を加圧に係る空気とともに貫通孔Pを通して中空ステム3cの送給経路Aへ排出する弁体3cからなる。
【0018】
さらに、4は押圧ヘッド3の本体3a内に組み込まれたノズル、5はベースキャップ3bに設けられ、外容器2の胴体2bのスクイズによる復元過程で開放されることで外容器2の内側に外気を導入する逆止弁、6は外容器2の口部側壁に設けられ、胴体2bのスクイズにて加圧された空気を排出する貫通孔、7はシリンダー3cの縁部に設けられ、内容器1の空間領域mにつながる通路、8は通路7の入側に配置され、加圧に係る空気が通過するときにのみ開放する逆止弁、そして、9はベースキャップ3bの内側において形成され、貫通孔6及び通路7をつなぐ密閉空間である。
【0019】
内容器1内の内容物を微細粒子にして噴出(霧状)させるには、まず、外容器2の胴体2bを図3に示すようにスクイズする。そうすると、その内側に存在する空気は図2の矢印の如く加圧、圧縮され、外容器2の口部側壁の貫通孔6、密閉空間9、逆止弁8さらに通路7を経て内容器1内へ流入する。スクイズ後、内容器1は加圧状態にあるので押圧ヘッド3の本体3aを図4に示すように押し込むこと、内容器1内の内容物はパイプeを通り図中の矢印に従い圧縮空気とともに微細粒子となってノズル4から排出される。
【0020】
外容器2はスクイズを可能とするため元の形状に復元可能な材質(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ゴム、エラストマー等)にて構成される。
【0021】
内容器1については、軟材質にて構成することもできる。この場合、加圧に係る空気が内容器1に流入すると、内容物の充填及び圧縮空気の流入に伴って膨張した該内容器1自体が元の形状に復元しようとする力(収縮力)が作用するため、内容物の噴出圧をより一層高めることができる利点がある。
【0022】
図5は内容器1を軟材質にて構成し、開口hにつながるパイプeの先端に計量カップ10を取り付けた、本発明に従う他の実施の形態を示した図である。
【0023】
かかる構成の噴出器は、図6に示すように外容器2の胴体2bのスクイズとともに内容器1が変形、復元するものであり、スクイズによって内容器1内を加圧したのちに、容器自体を反転させ、計量カップ10内に内容物を注入し図7に示す如く押圧ヘッド3を押し込むことにより、該計量カップ10内の内容物のみを微細粒子(霧状)として噴出させることができるもので、この噴出器は、容器を反転させて計量カップ10にまず内容物を入れ、その後に外容器2を内容器1とともにスクイズして、圧縮空気を内容物1へ送り込んでも同様に微細粒子を噴出させることもでき、これにより内容物の定量噴出が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
圧縮空気を利用して内容物を微細粒子にして霧状に噴出させることができるコンパクトな噴霧器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従う噴霧器の実施の形態を示した図である。
【図2】図1に示した噴霧器の要部を拡大して示した図である。
【図3】図1に示した噴霧器をスクイズした状態を示した図である。
【図4】図1に示した噴霧器にて内容物を噴出させた状態を示した図である。
【図5】本発明に従う噴霧器の他の実施の形態を示した図である。
【図6】図5に示した噴霧器をスクイズした状態を示した図である。
【図7】図5に示した噴霧器にて内容物を噴出させた状態を示した図である。
【符号の説明】
【0026】
1 内容器
1a 口部
2 外容器
2a 口部
2b 胴体
3 押圧ヘッド
3a 本体
3b ベースキャップ
3c 弁部
3cシリンダー
3c中空ステム
3c弁体
4 ノズル
5 逆止弁
6 貫通孔
7 通路
8 逆止弁
9 密閉空間
10 計量カップ
m 空間領域
A 送給経路
e パイプ
h 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填する空間領域を有する内容器と、この内容器を内側に収めるとともに胴体におけるスクイズにて空気を加圧し加圧に係る空気を内容器へ送給可能な外容器と、この外容器の口部に装着されその押し込みにより弁部の開放を可能とする押圧ヘッドと、この押圧ヘッドの本体内に組み込まれ該弁部の開放にて内容物を微細粒子にして外界へ噴出するノズルとを備え、
前記押圧ヘッドは、外容器の口部に着脱自在に保持され該外容器の口部側壁下端に当接させてその内側に密閉空間を形成するベースキャップと、このベースキャップに固定保持され内容器の口部内において垂下される弁部を有し、
前記弁部は、内容器の空間領域につながる開口を有するシリンダーと、前記ノズルにつながる送給経路を有し押圧ヘッドの本体を支える中空ステムと、前記シリンダー内にて弾性支持され押圧ヘッドの押し込み操作に帯同させてスライド可能で、かつその押し込み動作によって開放されて内容器内の内容物を圧縮空気とともに中空ステムの送給経路へ排出する弁体からなることを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
前記ベースキャップに、外容器の胴体のスクイズによる復元過程で開放されて外容器の内側に外気を導入する逆止弁を有する請求項1記載の噴霧器。
【請求項3】
前記外容器の口部側壁に、その内外において貫通し胴体のスクイズにて加圧された空気を排出する貫通孔を設け、前記シリンダーに、内容器の空間領域につながる通路を設け、
前記貫通孔と通路とをベースキャップの内側において形成される空間を介して連結してなり、前記通路は、加圧に係る空気が通過するときにのみ開放する逆止弁を有する、請求項1又は2記載の噴霧器。
【請求項4】
前記内容器は、外容器の胴体のスクイズに合せて変形、復元可能な軟材質からなる、請求項1〜3の何れかに記載の噴霧器。
【請求項5】
前記シリンダーは、その開口に、内容器の底部に向けて伸延し内部通路を通して内容物を送給するパイプを有する、請求項1〜4の何れかに記載の噴霧器。
【請求項6】
前記シリンダーは、その開口に、先端部分に計量カップを有し該計量カップ内の内容物のみを内部通路を通して送給するパイプを有する、請求項1〜4の何れかに記載の噴霧器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−196163(P2007−196163A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19366(P2006−19366)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】