噴霧装置
【課題】消費電力を大きくすることなく、電解水濃度を管理することができる噴霧装置を提供する。
【解決手段】噴霧装置10はハウジングを含み、タンク40がハウジング内で水道水を貯留する。電解電極120mによって水道水を電気分解することによって、タンク内の水は電解水となる。タンク内の渇水を検出した後の、最初の運転では、初期電解動作時間として20分を設定するステップと渇水状態後ではなく、通常運転の再開の場合、初期電解動作時間として5分を設定するステップとで運転動作する。
【解決手段】噴霧装置10はハウジングを含み、タンク40がハウジング内で水道水を貯留する。電解電極120mによって水道水を電気分解することによって、タンク内の水は電解水となる。タンク内の渇水を検出した後の、最初の運転では、初期電解動作時間として20分を設定するステップと渇水状態後ではなく、通常運転の再開の場合、初期電解動作時間として5分を設定するステップとで運転動作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧装置に関し、特にたとえば、水道水のような塩素イオン含有水を電気分解することによって電解水を生成し、その電解水のミストを放出または放散する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解水のミストを放出するこの種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の背景技術のものは、空気除菌装置であるが、電解水のミストを放出または放散するという点では、噴霧装置と共通の技術によるものである。この背景技術では、AC電源を常時接続しており、電源スイッチがオフのときでも暗電流による電源供給で電解水生成の時間管理制御ができるようになっている。また、タンクの水がなくなったとき、フロートや電極に流れる電流値、あるいはスイッチによる直接入力による管理手段を用いてコンピュータに伝え、コンピュータは、電解水生成時間管理タイマをリセットして新たに電解水生成時間を管理するようにしている。したがって、電解水濃度を安定的に管理することができる。
【特許文献1】特開2007‐202753号公報[A61L 9/16 C02F 1/46]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のように、電解水濃度を適正に保つためには電源の常時供給が必要となる。他方、このような噴霧装置や除菌装置を持ち運び可能にするためには、バッテリから電源を供給できるようにしなければならない。バッテリ駆動の装置においては、消費電力を考慮すれば、電源を常時供給することはできず、したがって、電解水濃度の制御が難しくなる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な噴霧装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理することができる、噴霧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、塩素イオンを含む水を貯留するための水貯留手段、水貯留手段に貯留されている水を1対の電解電極によって電気分解して電解水にする電気分解手段、水貯留手段内の電解水のミストを作るミスト生成手段、ミスト生成手段によって生成されたミストを放出する放出手段、水貯留手段内の水が所定量を下回ったとき渇水状態を検出する渇水検出手段、渇水検出手段によって渇水状態が検出されたとき渇水状態を記憶する記憶手段、運転開始時に記憶手段に渇水状態が記憶されているかどうか判断する判断手段、および判断手段の判断結果によって電気分解手段による初期電解動作時間を異なる時間に設定する初期動作時間制御手段を備える、噴霧装置である。
【0009】
第1の発明では、噴霧装置(10:実施例において相当する部例示する参照符号。以下同じ。)は、タンク(40)のような水貯留手段を有し、電気分解手段は、電解電極(120p,120m)に電圧を印加することによって、そのタンク内で電気分解を行なう。ミスト生成手段は、たとえば超音波振動子(76)を含み、タンク内から電解水の供給を受けて、電解水ミストを生成して放出する。
【0010】
渇水検出手段(132,124)は、水貯留手段(40)の水が所定量以下になったとき、たとえば渇水検知電極(124)に流れる電流値が閾値以下になることに基づいて渇水状態を検出する。コンピュータ(132)は、渇水状態を検出したとき、たとえば渇水フラグのような渇水状態記憶手段に渇水状態であることを記憶させる。
【0011】
運転を開始するとき、コンピュータ(132)は、その渇水状態記憶手段を参照して、渇水状態が記憶されているかどうか判断する。渇水状態が記憶されているかどうかによって、初期電解動作時間制御手段(132,S210,S218,S224,S228)は、電気分解手段による初期電解動作時間を異ならせる。
【0012】
第1の発明によれば、運転開始時だけに初期電解動作時間を管理するので、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、判断手段が記憶手段に渇水状態が記憶されていると判断したとき、初期電解動作のために第1時間に設定し、判断手段が記憶手段に渇水状態が記憶されていると判断しなかったとき、第1時間より短い第2時間に設定するようにした、噴霧装置である。
【0014】
第2の発明では、渇水状態を記憶しているときは、たとえば水道水の補給の直後であり、したがって、電解水濃度は殆どゼロに近いと判断できるので、比較的長い、たとえば20分のような第1時間、初期電解動作を行なわせることによって、急速に電解水濃度を高める。渇水状態を記憶していないときは、たとえば通常運転の再開であるので、電解水濃度はある程度高いと判断できるので、比較的短い、たとえば5分のような第2時間、初期電解動作を行なわせる。第2の発明によれば、消費電力の抑制および電解水濃度の維持の両方が充足できる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、初期電解動作中に運転停止が指示されたとき、初期電解動作の残存時間を記憶する時間記憶手段をさらに備え、初期動作時間制御手段は、残存時間を初期電解動作時間として設定する、噴霧装置である。
【0016】
第3の発明では、初期電解動作が中断されたとき、たとえば残存時間レジスタに第1時間または第2時間に対する残存時間を記憶しておき、運転が再開されたときその残存時間だけ初期電解動作を継続させるので、電解水濃度を確実に維持できる。
【0017】
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、渇水検出手段は、1対の電解電極とは別の渇水検知電極を含み、初期電解動作中に渇水検知電極に所定以上の電流が流れるかどうかによって、渇水状態かどうかを検出する、噴霧装置である。
【0018】
第4の発明では、渇水検出手段は、渇水検知電極(124)に電流が流れるかどうかによって渇水状態かどうかを検出するが、そのときでも電解電極(120p)に電圧を印加する必要がある。初期電解動作において電解電極に電圧を印加する必要があるので、渇水検出もそのときに実行するようにすれば、渇水検出のためだけに電力を消費することがなく、消費電力の抑制が一層効果的に行なわれる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理できる、噴霧装置が得られる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照して、この実施例の噴霧装置10は、基本的には充電可能なバッテリ(図示せず)を電源として作動するもので、全体として、直径10cm、高さ20cm程度の、下方に向かうにつれてやや径小となる円筒形状に形成される。もし、この噴霧装置10の車内での使用を意図するなら、直径は、たとえば車のドア内面に形成されている穴状の、もしくはダッシュボード下方に付加されている環状のカップホルダ(いずれも図示せず)に入る大きさに選ばれる。ただし、この実施例の噴霧装置10は、持ち運び自在であるので、単に車内用途の他に、たとえば机の上、トイレの中などにも自由に設置することができる。
【0022】
また、この実施例の噴霧装置10の以下に説明する殆どの部品は、特に注釈のない限り、プラスチックの成型品であると理解されたい。
【0023】
噴霧装置10は、上記直径を決定しかつ高さのほぼ全長に亘る高さを有するハウジング12を含む。このハウジング12は、上下両端が開口されていて、下端に水貯留用のタンク40(図2)を覆う防水カバー14が着脱可能に装着される。防水カバー14は、タンクと一体化されていて、この防水カバー14を回転することによって、タンクと一緒に、ハウジング12へ装着しまたはハウジング12から取り外すことができる。防水カバー14でカバーされるタンクには後述のように、水などの液体(後述する理由で、特に水道水が好適する。)が貯められる。
【0024】
ハウジング12の上端には蓋16が回転可能に設けられる。蓋16にはその上面につまみ18が設けられ、このつまみ18を持って、蓋16を、オン位置とオフ位置との間で節動的に回転または回動することができる。つまり、蓋16を回転することによって、噴霧装置10のオン/オフを制御することができる。
【0025】
ハウジング12の前面にはスイッチ20が設けられ、このスイッチ20は、噴霧量すなわち加湿能力の強弱を切り替えるための押しボタンスイッチであり、このスイッチ20を押す毎に、「強」、「弱」を交互に設定できる。なお、この実施例では、「強」に設定された場合、ミストは連続的に放出されるが、「弱」の場合には、たとえば、1秒オン、0.5秒オフのように、間欠的にミストが放散される。しかしながら、このような強弱の設定は実施例に限るものではなく、任意の仕様が採用可能である。
【0026】
ハウジング12の前面のスイッチ20の上方に、このスイッチ20と整列して、3つのLED22a,22bおよび22cが縦一列に配置される。一番下のLED22aは、上記したバッテリが充電されているかどうかを表示するためのもので、充電しているとき点灯される。その上のLED22bおよび22cは、スイッチ20で切り替えた「強」および「弱」をそれぞれ個別に表示するように点灯される。ただし、このLED22bおよび22cは、たとえば2色発光LEDであり、後述のように、渇水状態表示(報知)手段としても機能する。
【0027】
蓋16には、図1(B)に示す平面図からよくわかるように、ミストを放出するための放出口24が形成されている。この放出口24の位置に「ON」表示26nが形成されていて、それと間隔を隔てて「OFF」表示26fが設定されている。「ON」表示26nがスイッチ20と整列する位置(オン位置)になるように蓋16を回転させたとき、後述のように、噴霧動作が行われる。
【0028】
図2は、図1(A)に示すハウジング12を取り外して噴霧装置10の内部を詳細に示す、一部破断図解図である。ハウジング12の内部には、ハウジング12の上半分とほぼ同じ高さのフレーム28が配置される。フレーム28は、図1(B)の放出口24の下方に中空部30を形成するための側壁31を有し、フレーム28の下端すなわち噴霧装置10の高さのほぼ中央には取付け部32が形成され、上端には載置部34が形成される。
【0029】
取付け部32の下面には、この図2はその前面を破断しているが、上端に天板36aを有する下端開口の円筒形状の外枠36が、たとえばねじ止めによって、天板36aが取付け部32の下面に密着するように取り付けられる。外枠36は液体貯留手段であるタンク40を取り外し可能に装着するためのものであり、内周面に、螺旋状の条溝38が形成される。タンク40の外周面にはその条溝38と螺合する螺旋状の突条42が形成される。
【0030】
上記螺旋突条42の下方のタンク40の外周面には、環状の突条44が形成される。この環状突条44は、たとえば合成ゴムなどの弾性材料によって両端開放の円筒形に形成されるパッキン46の内周面に形成された環状の条溝48と嵌り合う。図2では2点鎖線で簡単に図示しているが、このパッキン46の外側に、図1で示した防水カバー14がねじ50によって固着される。
【0031】
また、パッキン46の上端に、外方に突出するシール部としてのフランジ52が形成され、このフランジ52は径方向に比較的肉厚であり、このフランジ52の内面に上述の環状条溝48が形成される。シール部52の外面には段差54が形成される。この段差54が防水カバー14の上端内面に形成された段差(図示せず)と嵌り合うことによって、防水カバー14を安定的にパッキン46に取り付けることができる。
【0032】
このように、防水カバー14がパッキン46と一体化され、パッキン46とタンク40とが嵌合部すなわち突条44および条溝48によって一体化されているので、結局、防水カバー14とタンク40とが一体化される。したがって、防水カバー14を回すことによってタンク40を一緒に回転させることができる。そのため、防水カバー14をたとえば反時計方向(噴霧装置10の底面から見て)に回転することによって、螺旋条溝38から突条42を離脱させることができ、タンク40を外枠36から取り外すことができる。逆に、防水カバー14を時計方向(噴霧装置10の底面から見て)に回転することによって、螺旋突条42を条溝38に螺入させることができ、タンク40を外枠36に装着することができる。したがって、タンク40の水がなくなって渇水状態になったら、防水カバー14を回してタンク40を外枠36から取り外し、タンク内に水(水道水)を補給した後、再び防水カバー14を持ってタンク40を外枠36内にねじ込めばよい。このように、タンク40は有底円筒のコップ状であり、その中に水道水が入れられた状態で外枠36に取り付けられる。
【0033】
タンク40の側壁の上端縁には、たとえば合成ゴムのような弾性体からなるリング状のパッキン41が被せられる。タンク40を外枠36内に螺入したとき、パッキン41が外枠36の天板36aに強く押し付けられる。したがって、このパッキン41と天板36aとによってタンク40のためのシール手段が構成される。
【0034】
フレーム28の中空部30すなわち側壁31は、特に図9からよく分かるように、取付け部32の下方にも形成されていて、したがって、中空部30はタンク40の上端開口からさらにタンク40の内部にまで延びて形成される。取付け部32の下方の中空部側壁31(図9)の一部に窓(図示せず)が形成されている。したがって、中空部30はその窓を通してタンク40内の水(図示せず)と連通する。つまり、タンク40内の水が中空部30の内部に浸入する。
【0035】
中空部30には、その高さのほぼ全長に相当する長さの、たとえばフェルト(繊維を重ね合わせて縮充したもの)からなる給水棒56が収容される。給水棒56を形成するフェルト素材は繊維の積層物であるため、液体に対しては毛細管機能を発揮する。タンク40の水が中空部30に浸入し、他方この中空部30に給水棒56が収納されているので、水が給水棒56の毛細管機能によって、給水棒56の上部へ供給される。
【0036】
給水棒56の保持機構について詳しくいうと、有底円筒形状のキャップ58が、たとえばその上端の楔形の係合部60が中空部30の側面に形成された被係合部(図示せず)と係合することによって、中空部30の側壁の下端に着脱自在に装着される。ただし、図2ではこの被係合部が形成されるべき中空部側壁は図示されてないが、この側壁31は図9によく示されている。
【0037】
キャップ58内には上下に凹部を有する縦断面「H」字形状のホルダ62が収納される。このホルダ62の上凹部64aが上述の給水棒56の下端を受け、下凹部64bにはコイルばね66が収納される。コイルばね66の下端はキャップ58の底面に接触しているので、このコイルばね66の弾発力によって、ホルダ62が上方に押し上げられる。したがって、ホルダ62のよって下端が支持された給水棒56が上方に押し上げられる。
【0038】
フレーム28の上端には前述のように、載置部34が形成されている。載置部34は外面形状が漏斗形状とされ、上面に凹部68が形成される。凹部68には、図3から特によく見える、たとえば合成ゴムなどの弾性材料からなるドーナツ形状の下部パッキン70が載置される。下部パッキン70の開口72には前述の給水棒56の上端が臨まされる。ただし、この開口72の位置は、図1(B)の放出口24の位置と対応している。
【0039】
下部パッキン70の上面には、上方に突出する断面三角形でかつ平面的にはドーナツ形状の全周に亘る環状のシール部74が形成され、このシール部74の上に、ミスト生成手段の一例としての円盤形状の超音波振動子(単に「振動子」ということもある。)76が載置される。振動子76は圧電セラミックに電圧を印加することによって高周波(超音波)振動を発生させるものであり、その中心部に振動部76aが形成される。ただし、この種の振動子の詳細はすでによく知られたところであるため、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0040】
中空部30の上に載置部68が形成され、その載置部68において下部パッキン70上に振動子76が載置されるのであるから、振動子76は中空部30すなわち給水棒56の上に配置されることになる。
【0041】
下部パッキン70の開口72と重なる位置に形成された開口80を有する、かつ合成ゴムなどの弾性材料からなる上部パッキン78が、たとえば接着剤による接着によって、下部パッキン70と一体的に組み立てられる。つまり、下部パッキン70の外周上面に上方に突出して形成された環状の突起82が形成され、この突起82の内周面に、上部パッキン78の外周下面に下方に突出して形成された環状の突起84の外周面が密接に嵌り合い、かつ突起82の上面に形成された突条と突起84の下面に形成された条溝とが嵌り合うことによって、下部パッキン70と上部パッキン78とが強固に一体化され得る。
【0042】
上部パッキン78の開口80は、下方に向かうにつれて内方に出るように傾斜された漏斗状の傾斜部86によって規定され、この傾斜部86の中心が開口80として形成されている。
【0043】
上部パッキン78の上記した傾斜部86と上述の突起84との間において、断面三角形状でかつ平面環状のシール部88が下方に突出して形成される。前述のように、振動子76が下部パッキン70のシール部74の上に載置され、したがって、シール部74の頂部が振動子74の下面に当接する。他方、上述のように下方に突出した上部パッキン78のシール部88の頂部が振動子76の上面に、シール部74が下面と当接した位置より内方において、当接する。つまり、振動子74がシール部88および74によって挟持されることによって、この載置部68上に固定的に保持される。
【0044】
前述のように給水棒56がコイルばね66(図2)によって押し上げられるので、給水棒56の上端が下部パッキン70の開口72を通して、振動子76の中心部下面に安定的に当接する。給水棒56は、たとえばフェルト素材であるため前述したように、タンク40の内の水を徐々にかつ間断なくその上端に導き上げる。給水棒56の上端に達した水は振動子76によってミストにされ、上部パッキン78の開口80および蓋16の放出口24を通って放出(噴霧)され、加湿機能を発揮する。ただし、このとき放出口24が開口80に位置的に重なっていることが条件である。
【0045】
図3に示し上で説明したように、振動子76の振動部76aが振動子76の下面において下部パッキン70の上向きのシール部74で囲繞され、かつ振動部76aが上面においた上部パッキン78の下向きシール部88によって囲繞されるので、振動子76の上下面において水が振動子の周囲に漏れたり、ミストが不所望に飛散したりするのが確実に防止できる。
【0046】
たとえば、給水棒56をコイルばね66によって押し上げる力をF1とし、振動子76を下部パッキン70に押し当てる上部パッキン78のシール部88から付与される下向きの力F2としたとき、F2>F1の関係を満足するように各力を設定することによって、振動子76を下部パッキン70に確実に押し当て、水漏れを防止することができる。
【0047】
フレーム28の上端には図4に平面図を示す固定板90が固着される。この固定板90の上には回路基板92が取り付けられ、その回路基板92上には電気回路を構成するための電子部品が取り付けられ所定のように配線されるのであるが、この図4では図面の簡略化のために、これらはいずれも図示していない。
【0048】
固定板90には、上記開口80(図3)と重なる位置に開口94が形成されている。したがって、ミストは結局、開口80、開口94および放出口24を通って、外部に放出または噴霧される。
【0049】
固定板90の上面には、蓋16の前述した節動的回転(クリックストップ)を実現するための回転ガイド96が形成される。このガイド96は、連絡部材であり、固定板90の外周に近い周方向の所定位置に形成され、両側の傾斜辺96aおよび96bならびにそれら傾斜辺96a,96bに挟まれた連結辺96cを含む。連結辺96cは固定板90の外周縁と同じように、両端側が径方向にやや内側で中央部分が外側になるように湾曲している。さらに、両端傾斜辺96aおよび96bの基端部(外周側)の外側には凹部98aおよび98bが形成される。逆に言えば、凹部98aおよび98bがガイド96によって連絡される。
【0050】
図2からよく分かるように、蓋16の下面には2層の下面板100がこの蓋16と一体的に組み立てられる。この下面板100は元々蓋16と一体成型されてもよいのだが、成型の容易性から、この実施例では蓋16とは別々に準備したものである。この意味で下面板100は蓋16の一部とみなすことができる。
【0051】
図5に示すように、下面板100すなわち蓋16の下面にはほぼ長方形でその長手方向が中心から放射方向に沿うように凹部102が形成される。この凹部102には追従部材104が収容される。この追従部材104は、本体104a、その本体104aの先端に設けられる先端が円形の突子104b、および本体104aの後端に設けられる突子104cを含み、突子104cと凹部102の底辺に形成された突子106との間にコイルばね108が介挿される。したがって、追従部材104の本体104aすなわち突子104bがコイルばね108によって定常的に前方へ弾発的に付勢される。そのため、突子104bがその前方に設けられた上述の回転ガイド96の方向へ押し付けられる。
【0052】
図4に示す固定板90と図5に示す下面板100とは対応する同じ位置関係にあり、蓋16の図1(B)に示す「オン」表示26nがオン位置つまり、図1(A)に示すスイッチ20と整列する位置にある状態に相当する。このとき、追従部材104の先端突子104bはガイド96の両端外側に形成されている一方の凹部98aに落ち込んでいる状態である。追従部材104の本体104aがコイルばね108によって前方方向へ押されている状態なので、蓋16はその位置で安定する。
【0053】
他方、基板92(図4)には運転スイッチとして機能するリミットスイッチ110が取り付けられていて、このリミットスイッチ110のアクチュエータ110aは基板92から突出してガイド96の方向へ向けられている。
【0054】
図5に点線で示す作用部112は下面部材100の下面に、下方に突出するように形成されている突起であり、図4および図5に示すオン位置でリミットスイッチ110のアクチュエータ110aに作用してそれを押す。したがって、このオン位置でリミットスイッチ110がオン状態となり、後に説明するように噴霧装置10が作動状態すなわち運転状態となる。
【0055】
オン状態から、図1(B)に示す矢印方向に、つまみ18を持って蓋16をある程度以上の力で回すと、追従部材104の突子104bが凹部98aとの係合を外れて、傾斜辺96aの内面に当たりながら傾斜辺96aに沿って移動する。この状態で、リミットスイッチ110のアクチュエータ110aの、蓋16の突起すなわち作用部112による押圧が解除されるので、リミットスイッチ110はオフ状態になり、噴霧装置10の動作(運転)が停止する。
【0056】
ガイド96の傾斜辺96aが内方に傾斜しているので、追従部材104の突子104bすなわち本体104aが、コイルばね108の弾発力に抗して後方に押され、蓋16の持続的な回転に応じて、追従部材104の突子104bがガイド96の連結辺96cに乗って移動する。このとき、コイルばね108は最も圧縮された状態にある。
【0057】
蓋16がさら回転または回動され続けると、追従部材104の突子104bはやがて、ガイド96のもう一方の傾斜辺96bに沿って移動する。それとともに、コイルばね108の圧縮が徐々に開放され、追従部材104の本体104が前方に押し出される。回転の継続に応じて、追従部材104の先端突子104bがもう一方の凹部98bに嵌まり合い、コイルばね108の押圧力でそこへ落ち込み、蓋16の回転が停止して、蓋16がその位置で安定する。その状態は、蓋16の「オフ」表示26fがスイッチ20と整列したオフ状態である。オフ状態の追従部材104の突子104bとガイド96の位置関係を図6に示す。
【0058】
このように、蓋16は、追従手段として機能するばね108、追従部材104すなわち突起104b、および凹部98a,98bを含むガイド96によって、節動的に回転してオン/オフを切り替えられる。そして、オン状態およびオフ状態のいずれにおいても、凹部に突起が嵌り合った状態であるので、オン状態およびオフ状態を安定的に保持することができる。したがって、この実施例の噴霧装置10が仮に車内のカップホルダ(図示せず)に保持されていても、車から伝わる振動などよって不所望にオン状態になったりオフ状態になったりすることはない。
【0059】
ただし、凹部98a,98bおよび突起104bは、図4および図5に示す実施例とは逆に、凹部98a,98bを蓋16すなわち下面板100に形成し、それらに係合する突起104bを固定板90に形成するようにしてもよい。
【0060】
図3に戻って、上で説明した上部パッキン78が振動子76に付与する力F2は、蓋16の下面板100によって維持される。つまり、下面板100の下面の、上部パッキン78の頂部78aに対応する位置に、下向きの環状突条114を形成する。そして、蓋16によってこの環状突条114が上部パッキン78の頂部78aに押し付けられると、上記力F2が上部パッキン78に与えられるとともに、上部パッキン78と下面板100すなわち蓋16との間の水シールが実現され、そこからの水漏れが効果的に防止できる。ただし、図3のように、下面板100の突条による上パッキン78の頂部78aの封止は、蓋16をオン位置に回転させたときにだけ実現できればよい。蓋16がオフ位置にあるときには運転停止状態であり、ミストは発生していないので、開口80を封止していなくても、ミストがハウジング12(図1)内に侵入することはない。また、蓋16の下面板100に対する押圧力は、蓋16を固定的に保持する保持手段(図示せず)と、蓋16と下面板100とを一体化するねじのような一体化手段(図示せず)によって付与される。
【0061】
図1に示す実施例の噴霧装置10はさらに、別の特徴を備える。それは、タンク40に貯留した水道水のような塩化物イオンを含む水を電気分解(電解)処理して電解水を作り、その電解水をミストとして放散することによって、加湿器としての機能を発揮させるとともに、ウィルス抑制(除菌)効果をも発揮させることである。つまり、タンク40内の水道水に電気分解を施し、ウィルスを抑制する2種類の活性酸素「次亜塩素酸」および「OHラジカル」を生成し、これらの活性酸素をタンク40内の水の中に高密度に保持しておき、水とともにミストとして放出することによって、噴霧装置10の周囲において除菌効果を発揮させようとするものである(http://www.sanyo.co.jp/vw/concept/index.html)。
【0062】
このような電気分解処理のために、この実施例では、図7および図8に示すような電極ユニット116を用いる。
【0063】
電極ユニット116は、ほぼ長方形であり、その両面に電極保持に必要なたとえば溝や突起など電極保持部を形成してなる保持板118を含む。保持板118の一方主面には正極としての電極120pが、たとえばねじ止めあるいはかしめ止めなどの適宜の手段によって取り付けられる。保持板118の他方主面には負極としての電極120mが同様の取り付け手段によって取り付けられる。これら電極120pおよび120mはいずれもたとえば銅のような導電材料によって平板状に加工されていて、同じような導電材料からなる丸棒状の接続部材122pおよび122mによって、それぞれ、後述の電極駆動回路144(図10)に接続され、そこから直流電源の供給を受けて、電気分解を生ぜしめる。
【0064】
電極ユニット116には、上記電極120pおよび120mと同様の導電材料で形成された別に設けられる渇水検知電極124が、この実施例では、保持板118の他方主面上に電極120mと平行に取り付けられる。この第3の電極124は、タンク40内に一定量以上の水が溜められているかどうかを検出するためのもので、それの下端が特に図8からよく分かるように、上記電極120pおよび120mの下端より距離Dだけ高くなるように設定されている。渇水検知電極124は、平板状の接続部材125によって上記電極駆動回路144に接続される。
【0065】
このような電極ユニット116は図2に示すように、フレーム28の取付け部32の下面に組み込まれるが、その状態においても、渇水検知電極124の下端が電解用電極120pおよび120mの下端より距離D高くなるように取り付けられている。
【0066】
電気分解をするときは、よく知られているように、2つの電極120pおよび120mの間に直流電圧を印加するが、そのとき、もし電極124も水中にあれば、この電圧印加時に電極120pと渇水検知電極124との間にもその水を通して閉回路が形成される。しかしながら、渇水検知電極124が水に浸かっていなければ、電極120pに電圧を印加したとしても、両電極120pおよび124の間には電気回路が形成されることはない。したがって、電極120pに電圧を印加したとき渇水検知電極124に電流が流れるかどうかを検出することによって、タンク40内に所定量以上の水が残っているかどうかが検出できる。この渇水検知電極124に流れる電流によってタンク40内の渇水状態を検出する渇水検出手段はコンピュータ132(図10)である。
【0067】
明らかに理解されるように、この「所定量」は上記距離Dによって設定されるものであり、距離Dを任意に設定することによって、「所定量」を任意に設定することができるのである。タンク40内の水が所定量を下回った状態を渇水状態と呼ぶので、したがって、電極124が渇水検知電極なのである。
【0068】
実施例の噴霧装置10では、先に説明したように、タンク40内に水を入れた状態で、タンク40を外枠36内に螺入するようにしている。このとき、タンク40内が全て水で満たされているということはなく、当然、タンク40内にはその上層に空気が存在する。その状態でタンク40を外枠36の内部にねじ入れると、残存する空気が圧縮されてタンク40から水が溢れ出す可能性がないとはいえない。
【0069】
そこで、この実施例の噴霧装置では、図9に示すような、空気通路を形成することによって、タンク40の装着時の水溢れをなくしようとするものである。
【0070】
図9は図1に示すフレーム28の取付け部32の近傍を図解するものであるが、外枠36が取付け部32に取り付けられ、その外枠36内にタンク40が装着されている。
【0071】
給水棒56を収納するための中空部30の側壁31は、実際には、図9に詳細に示すように、取付け部32に取り付けた外枠36の天板36aのために、隙間120によって、上下に分断されている。この隙間120は、給水棒56を挟む中空部30の左右の側壁31にそれぞれ形成されている。さらに、取付け部32には空間122aおよび122bを規定するための側壁124aおよび124bが形成され、その一方の側壁124bの天井126には通気孔128が形成される。通気孔128にはフィルタ130が設置される。図9では図解の目的で粗く描いているが、このフィルタ130のメッシュサイズは、水の分子は透過できないが空気の分子は透過できる、そのような大きさに設定されている。
【0072】
外枠36にタンク40を螺入するとき、タンク40内の空気は徐々に圧縮され、タンク40の上端開口を通り、最終的に、通気孔128を通って外部に出ていく。このとき、図10でタンク40の開口左側から出た空気は、中空部30の側壁31の隙間120を通って空間122bに入り、そこから通気孔128を通って出る。図10でタンク40の開口右側から出た空気は、そのまま空間122bに入り、そこから通気孔128を通って出る。つまり、この実施例では、隙間120,空間122および通気孔128を含む通路を介してタンク40内が常に大気に連通しているので、タンク40を装着する際に残存空気が圧縮されるという現象は発生せず、そのためにタンク40内の水が溢れるという不都合も生じない。
【0073】
この通気孔128には上記のようなフィルタ130が設置されているので、仮に、タンク40内の水がたとえば車の大きな揺れなどによって空間122a,122b内に溢れたとしても、水が通気孔128を通ってこぼれるという事態にはならない。
【0074】
このような構造の噴霧装置10の電気回路構成が図10のブロック図に示される。図10を参照して、噴霧装置10は、この噴霧装置10の全体の電気的動作を制御するためのコンピュータ132を含み、このコンピュータ132には、バッテリ134または136から直流電源が供給される。ただし、この図10では概略的に図解しているが、アダプタ136からの直流電源は充電回路136にも与えられる。したがって、バッテリ134は充電回路136によって充電される。なお、図2では図示していないが、バッテリ136はフレーム28の取付け部32より上方の図2では隠れる位置に収納されている。
【0075】
なお、コンピュータ132には運転スイッチ110がオフされている状態でも微小電流が流され、それによってコンピュータ132はスタンバイ状態を維持しているとともに、このコンピュータ132の内蔵メモリ(図示せず)のデータもメモリ内に保持されるものである。
【0076】
コンピュータ132には図4に示したリミットスイッチ110が運転スイッチとして接続され、切替スイッチ20(図1)もコンピュータ132に接続される。
【0077】
コンピュータ132は、振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76のオン/オフを制御する。コンピュータ132はさらに、LED駆動回路140に指令を与え、LED22a,22bおよび22cのオン/オフを制御する。
【0078】
コンピュータ132は、電極駆動回路142を制御する。電極駆動回路142は、電解電極120pおよび120mの間に電気分解用の直流電圧を印加する。コンピュータ132はさらに、電極駆動回路142からの信号に基づいて、渇水検知電極124に電流が流れたかどうか検出する。
【0079】
コンピュータ132は、先に述べた蓋16のオン位置への回動によって作用部112がリミットスイッチ110のアクチュエータ110aに作用することによって、このリミットスイッチすなわち運転スイッチ110オンされたとき、振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76をオン状態に制御する。したがって、噴霧装置10の噴霧動作が行なわれる。
【0080】
図11は渇水検知電極124によってコンピュータ132がタンク40内に所定量以上の水があるかどうか、換言すれば、タンク40内が渇水状態なのかどうかを検出するための動作を示すフロー図である。
【0081】
最初のステップS100で、コンピュータ132は電極駆動回路144に指令を与えて、電解電極120pに直流電圧を印加する。
【0082】
続くステップS102で、コンピュータ132は、ステップS100で電圧を印加した状態で、電極駆動回路144において、渇水検知電極124に流れている電流を測定する。
【0083】
そして、ステップS104で、コンピュータ132は、電流値が所定の閾値以上かどうか判断する。渇水検知電極124に所定以上の電流が流れているということは、この渇水検知電極124がタンク40内の水に没していることを意味し、タンク40内には所定量以上の水が残っていることになる。したがって、ステップS104で“YES”が判断されたときには、つまり、タンク40内の渇水状態が検出されなかったときには、この渇水検知処理は終了する。
【0084】
ステップS104で“NO”が判断されるということは、渇水検知電極124が十分にタンク40内の水の中に浸かっていないことを意味し、タンク40内が渇水状態にある。タンク40内が渇水状態であることを検出したとき、ステップS106において、コンピュータ132は、LED駆動回路142に指令を与え、たとえば2つのLED20bおよび20cをともに赤色点灯するなどして、ユーザに渇水状態であることを報知する。それとともに、コンピュータ132は、このステップS106で、コンピュータ132のメモリ(図示せず)に設定されている渇水フラグ(「1」か「0」によって渇水状態か否かを記憶する記憶手段である。)に「1」を書き込むとともに、渇水状態検出に基づく割込み(後述の「割込み2」)を出力する。
【0085】
このような渇水検知処理は、図12を参照して説明する「初期電解動作」中に並行して実行されるものである。なぜなら、上述のように渇水検知のためにも電極120pに電圧を印加しなければならず、電力を消費することになる。したがって、この実施例では、電気分解処理と並行して実行することによって、電力消費を抑制するようにしている。その意味で、ステップS100は、その初期電解動作のために電解電極120pに電圧を印加する動作と同じであり、渇水検知のための特別な処理ステップではない。
【0086】
実施例のように、初期電解動作中に並行して水検知処理を実行する場合、図11に示すプログラムはその処理動作時間中に複数回、たとえば2回実行する。
【0087】
渇水検知を別のタイミングで行なうことも可能であるが、その場合には、電極120pに印加する電圧の大きさを、電解動作のためのものから変更することも可能である。
【0088】
図12を参照して、この図12はユーザによって蓋16がオン位置へ回動され、それに伴って運転スイッチ110オンされたとき、実行される運転動作を示すフロー図である。
【0089】
コンピュータ132は、運転スイッチ110のオンを検出すると、ステップS200で振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76をオン状態に制御する。したがって、噴霧装置10の噴霧動作が行なわれる。
【0090】
続くステップS202において、コンピュータ132は、内蔵メモリ(図示せず)の適宜の領域に設定されているタイマ(図示せず)をスタートする。
【0091】
その後、ステップS204で、コンピュータ132は、メモリ内の渇水フラグ(図示せず)の状態をみて、それがセットされているかどうか、つまり「1」が書き込まれているかどうか判断する。ここで、まずコンピュータ132が渇水フラグがセットされているかどうかを判断する理由は、今回の運転が、渇水を表示し、それに応じてユーザがタンク40内に水を入れた後の、最初の運転かどうかを判断するためである。上述のように、図11で示す水検知処理において渇水状態を検出すると、コンピュータ132は渇水フラグに「1」を書き込んでおき、その状態を保持しているので、このステップS204で渇水フラグをチェックすることによって、水補充後の最初の運転かどうか判断できるのである。
【0092】
この実施例の噴霧装置10では、電解水ミストを放出することによって、除菌機能を実行しようとするものである。したがって、タンク40内の水の電解水濃度がある程度以上なければ、除菌効果を期待することはできない。タンク40に水道水を補給しただけでは、その水道水中には次亜塩素酸などの殺菌寄与物質は何ら溶け込んでいない。そのため、この実施例では、水補充後の最初の運転においては、電解水濃度をある程度以上にするために、初期電解動作として、比較的長い第1時間、実施例では20分間、電解処理を実行する。
【0093】
ただし、渇水状態ではない場合には、初期電解動作時間は、比較的短い第2時間、たとえば5分間に設定する。通常、電解水濃度は日数(時間)の経過とともに減少するので、運転の最初には比較的短いけれども毎回、初期電解動作を実行して電解水濃度を維持するようにしている。
【0094】
ステップS204で“YES”が判断されたとき、水補給後の最初の運転であるので、上述の第1時間(たとえば20分)の初期電解動作を実行する。そこで、次のステップS206で初期電解動作の途中から始めるのかどうかを判断する。
【0095】
この実施例では、上述の第1時間または第2時間の初期電解動作を実行しているとき蓋16がオフ位置に回されて運転スイッチ110がオフされた場合には、初期電解時間が不足するので、次の運転開始では、前回の初期電解動作の残存時間だけ、初期電解動作を続けることによって、電解水濃度を確保するようにしている。たとえば、初期電解動作時間として20分が設定されていたにも拘らず10分実行したときに運転スイッチ110がオフされた場合、残存時間は10分である。初期電解動作時間として5分が設定されていたにも拘らず2分実行したときに運転スイッチ110がオフされた場合、残存時間は3分となる。初期電解動作時の電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。
【0096】
このような残存時間は、後述のように、運転スイッチ110のオフに起因する割込み1の動作において、コンピュータ132の内部メモリの残存時間レジスタ(図示せず)に記憶される(図13、ステップS304)。したがって、このステップS206では、その残存時間レジスタに残存時間が記憶されているかどうかチェックすることによって、「途中」かどうか判断する。
【0097】
ステップS206で“NO”を判断したとき、つまり、「途中」ではないとき、次のステップS208で、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を送り、電解電極120pに電圧を印加することによって、初期電解動作を実行させる。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。
【0098】
その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS210において20分経過したことを確認するまで、ステップS208での初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS210が、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0099】
そして、ステップS210で20分の経過を判断すると、コンピュータ132は、次のステップS212でタイマをリセットするとともに、ステップS214の「通常運転」での加湿動作に移行する。
【0100】
ステップS206で“YES”を判断すると、コンピュータ132は次のステップS216において、先のステップS208と同様にして、電解電極120pに電解用電圧を印加して、先に中断された初期電解動作を継続する。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS218において残り時間が経過したことを確認するまで、ステップS216で再開された初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS216も、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0101】
なお、ステップS218を判断するためには、コンピュータ132は、タイマを参照して、上で説明した残存時間レジスタに保持されている残り時間が経過したかどうか判断することになる。
【0102】
そして、ステップS218で“YES”を判断したとき、コンピュータ132は次のステップS212を実行する。
【0103】
先のステップS204で“NO”が判断されたとき、つまり、コンピュータ132が、今回の運転が、通常運転の停止後の運転(通常運転の再開)であることを判断したとき、前述の第2時間(たとえば5分)の初期電解動作を実行する。そして、ステップS206と同様の手法で、次のステップS220で「途中」かどうか、つまり、中断された初期電解動作を再開するのかどうかを判断する。
【0104】
ステップS220で“NO”を判断したとき、つまり、「途中」ではないとき、次のステップS222で、ステップS208やステップS216などと同様にして、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を送り、電解電極120pに電圧を印加することによって、初期電解動作を実行させる。この電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行できることは前述の通りである。
【0105】
その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS224において5分経過したことを確認するまで、ステップS222での初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS224もまた、初期電解動作時間制御手段として機能する。
【0106】
そして、ステップS224で5分の経過を判断すると、プロセスはステップS212およびステップS214へ進む。
【0107】
ステップS220で“YES”を判断すると、コンピュータ132は次のステップS226において、先のステップS208,S216,S222と同様にして、電解電極120pに電解用電圧を印加して、中断されていた初期電解動作を継続する。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS228において残り時間が経過したことを確認するまで、ステップS226で再開された初期電解動作が継続的に実行される。このステップS226も、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0108】
なお、ステップS228を判断するためには、コンピュータ132は、タイマを参照して、上で説明した残存時間レジスタに保持されている残り時間が経過したかどうか判断すればよい。
【0109】
図13はユーザが蓋16を回してオフ位置にしたときに、運転スイッチ110がオフされることによって生じる「割込み1」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0110】
割込み1のイベントが発生すると、コンピュータ132はまず、ステップS300で通常運転中かどうかを判断する。つまり、このステップS300では、図12のステップS208,S216,S222,S226での初期電解動作中であるのか、ステップS214の通常運転中であるのかを検出する。その検出方法としては、そのとき電極駆動回路144に電極駆動指令を自身が出力しているかどうかを判断する方法が考えられる。電極駆動指令を出力しているということは、図12のステップS208,S216,S222,S226のいずれかを実行していることを意味している。
【0111】
ステップS300で“YES”を判断したとき、コンピュータ132は次のステップS302で振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止してリターンする。
【0112】
ステップS300で“NO”を判断したときは、初期電解動作中の運転停止すなわち初期電解動作の中断であるので、コンピュータ132は続くステップS306で、残存時間レジスタ(図示せず)に上で説明したような残存時間を記憶させる。それとともに、ステップS306で、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を与え、電解電極120pへの電圧印加を停止し、振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止して、さらにタイマ(ステップS202)をリセットしてリターンする。
【0113】
図14は先に説明した初期電解動作中に渇水状態を検出したときに生じる「割込み2」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0114】
割込み2のイベントが発生すると、コンピュータ132は、ステップS400で電極駆動回路144に指令を与え、電解電極120pへの電圧印加を停止し、振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止して、さらにステップS202で説明したタイマをリセットしてリターンする。
【0115】
図15はステップS214(図12)の通常運転中に、ユーザが切り換えスイッチ20(図1,図10)を操作したときに生じる「割込み3」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0116】
割込み3のイベントが発生すると、コンピュータ132はまず、ステップS500で「強」運転中かどうかを判断する。つまり、このステップS500では、図12のステップS214において、ミストを連続的に放出する強運転モードで運転されているのか、ミストを間欠的に放出する弱運転モードで運転されているのかを、たとえば、LED駆動回路142に出力している指令を見て、判断する。つまり、LED22bが点灯されているときは「強」で、LED22cが点灯されているときは「弱」である。
【0117】
ステップS500で“YES”と判断したとき、コンピュータ132は運転モードを弱に設定する。たとえば、間欠タイマ(図示せず)に運転時間や休止時間を設定するなどして。ステップS500で“NO”を判断したとき、コンピュータ132は、たとえば、間欠タイマの設定時間をリセットするなどして、運転モードを強に設定する。
【0118】
なお、上で説明しなかったが、バッテリ134(図10)の充電は、バッテリ残量が低下しかつアダプタ136(図10)によって直流電圧が供給されているとき、たとえ運転スイッチ110がオフされていても、渇水状態が検出されていても、常に実行される。
【0119】
なお、上述の実施例では、1つの渇水検知電極124を用いて渇水状態を検出するようにしたが、電解電極とは別に複数の水検知電極(渇水検知電極)を用い、それらのレベル(具体的には、各水検知電極の下端と電解電極の下端との間の距離D(図8)に相当するもの)を段階的に設定することによって、タンク40内の水の量を段階的に判断できるようにしてもよい。その場合、検出した水の量に応じて水量フラグを設定し、その水量フラグの如何に応じて初期電解動作時間を可変的に設定することによって、一層最適な濃度の電解水を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1はこの発明の一実施例の外観を示す図解図であり、図1(A)は前面図であり、図1(B)は平面図である。
【図2】図2は図1実施例の内部構成を示すためにハウジングを取り外しかつ図1(B)に示す放出口の中心を通るように一部を破断した前面図解図である。
【図3】図3は図1実施例の振動子の部分を詳細に示す図解図である。
【図4】図4は図1実施例のハウジング上端に設けられる固定板を上から見た状態を示す図解図である。
【図5】図5は図1実施例において固定板の上方に配置される蓋の下面板を示す図解図である。
【図6】図6は図1実施例における固定板と下面板(蓋)との異なる位置関係を示す図解図である。
【図7】図7は図1実施例の電極ユニットを示す図解図である。
【図8】図8は図7の電極ユニットを示す側面図である。
【図9】図9は図1実施例の空気通路の部分を詳細に示す図解図である。
【図10】図10は図1実施例の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は実施例において、渇水状態なのかどうかを検出するための動作を示すフロー図である。
【図12】図12は実施例において、運転スイッチオンされたとき実行される運転動作を示すフロー図である。
【図13】図13は実施例において、運転スイッチがオフされることによって生じる「割込み1」があったときの動作を示すフロー図である。
【図14】図14は実施例において、渇水状態を検出したときに生じる「割込み2」があったときの動作を示すフロー図である。
【図15】図15は実施例において、通常運転中にユーザが切り換えスイッチを操作したときに生じる「割込み3」があったときの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0121】
10 …噴霧装置
16 …蓋
40 …タンク
56 …給水棒
76 …超音波振動子
110 …リミットスイッチ
120 …電解電極
124 …渇水検知電極
132 …コンピュータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧装置に関し、特にたとえば、水道水のような塩素イオン含有水を電気分解することによって電解水を生成し、その電解水のミストを放出または放散する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電解水のミストを放出するこの種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の背景技術のものは、空気除菌装置であるが、電解水のミストを放出または放散するという点では、噴霧装置と共通の技術によるものである。この背景技術では、AC電源を常時接続しており、電源スイッチがオフのときでも暗電流による電源供給で電解水生成の時間管理制御ができるようになっている。また、タンクの水がなくなったとき、フロートや電極に流れる電流値、あるいはスイッチによる直接入力による管理手段を用いてコンピュータに伝え、コンピュータは、電解水生成時間管理タイマをリセットして新たに電解水生成時間を管理するようにしている。したがって、電解水濃度を安定的に管理することができる。
【特許文献1】特開2007‐202753号公報[A61L 9/16 C02F 1/46]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のように、電解水濃度を適正に保つためには電源の常時供給が必要となる。他方、このような噴霧装置や除菌装置を持ち運び可能にするためには、バッテリから電源を供給できるようにしなければならない。バッテリ駆動の装置においては、消費電力を考慮すれば、電源を常時供給することはできず、したがって、電解水濃度の制御が難しくなる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な噴霧装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理することができる、噴霧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、塩素イオンを含む水を貯留するための水貯留手段、水貯留手段に貯留されている水を1対の電解電極によって電気分解して電解水にする電気分解手段、水貯留手段内の電解水のミストを作るミスト生成手段、ミスト生成手段によって生成されたミストを放出する放出手段、水貯留手段内の水が所定量を下回ったとき渇水状態を検出する渇水検出手段、渇水検出手段によって渇水状態が検出されたとき渇水状態を記憶する記憶手段、運転開始時に記憶手段に渇水状態が記憶されているかどうか判断する判断手段、および判断手段の判断結果によって電気分解手段による初期電解動作時間を異なる時間に設定する初期動作時間制御手段を備える、噴霧装置である。
【0009】
第1の発明では、噴霧装置(10:実施例において相当する部例示する参照符号。以下同じ。)は、タンク(40)のような水貯留手段を有し、電気分解手段は、電解電極(120p,120m)に電圧を印加することによって、そのタンク内で電気分解を行なう。ミスト生成手段は、たとえば超音波振動子(76)を含み、タンク内から電解水の供給を受けて、電解水ミストを生成して放出する。
【0010】
渇水検出手段(132,124)は、水貯留手段(40)の水が所定量以下になったとき、たとえば渇水検知電極(124)に流れる電流値が閾値以下になることに基づいて渇水状態を検出する。コンピュータ(132)は、渇水状態を検出したとき、たとえば渇水フラグのような渇水状態記憶手段に渇水状態であることを記憶させる。
【0011】
運転を開始するとき、コンピュータ(132)は、その渇水状態記憶手段を参照して、渇水状態が記憶されているかどうか判断する。渇水状態が記憶されているかどうかによって、初期電解動作時間制御手段(132,S210,S218,S224,S228)は、電気分解手段による初期電解動作時間を異ならせる。
【0012】
第1の発明によれば、運転開始時だけに初期電解動作時間を管理するので、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、判断手段が記憶手段に渇水状態が記憶されていると判断したとき、初期電解動作のために第1時間に設定し、判断手段が記憶手段に渇水状態が記憶されていると判断しなかったとき、第1時間より短い第2時間に設定するようにした、噴霧装置である。
【0014】
第2の発明では、渇水状態を記憶しているときは、たとえば水道水の補給の直後であり、したがって、電解水濃度は殆どゼロに近いと判断できるので、比較的長い、たとえば20分のような第1時間、初期電解動作を行なわせることによって、急速に電解水濃度を高める。渇水状態を記憶していないときは、たとえば通常運転の再開であるので、電解水濃度はある程度高いと判断できるので、比較的短い、たとえば5分のような第2時間、初期電解動作を行なわせる。第2の発明によれば、消費電力の抑制および電解水濃度の維持の両方が充足できる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、初期電解動作中に運転停止が指示されたとき、初期電解動作の残存時間を記憶する時間記憶手段をさらに備え、初期動作時間制御手段は、残存時間を初期電解動作時間として設定する、噴霧装置である。
【0016】
第3の発明では、初期電解動作が中断されたとき、たとえば残存時間レジスタに第1時間または第2時間に対する残存時間を記憶しておき、運転が再開されたときその残存時間だけ初期電解動作を継続させるので、電解水濃度を確実に維持できる。
【0017】
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、渇水検出手段は、1対の電解電極とは別の渇水検知電極を含み、初期電解動作中に渇水検知電極に所定以上の電流が流れるかどうかによって、渇水状態かどうかを検出する、噴霧装置である。
【0018】
第4の発明では、渇水検出手段は、渇水検知電極(124)に電流が流れるかどうかによって渇水状態かどうかを検出するが、そのときでも電解電極(120p)に電圧を印加する必要がある。初期電解動作において電解電極に電圧を印加する必要があるので、渇水検出もそのときに実行するようにすれば、渇水検出のためだけに電力を消費することがなく、消費電力の抑制が一層効果的に行なわれる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、消費電力の増大なしに、電解水濃度を管理できる、噴霧装置が得られる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照して、この実施例の噴霧装置10は、基本的には充電可能なバッテリ(図示せず)を電源として作動するもので、全体として、直径10cm、高さ20cm程度の、下方に向かうにつれてやや径小となる円筒形状に形成される。もし、この噴霧装置10の車内での使用を意図するなら、直径は、たとえば車のドア内面に形成されている穴状の、もしくはダッシュボード下方に付加されている環状のカップホルダ(いずれも図示せず)に入る大きさに選ばれる。ただし、この実施例の噴霧装置10は、持ち運び自在であるので、単に車内用途の他に、たとえば机の上、トイレの中などにも自由に設置することができる。
【0022】
また、この実施例の噴霧装置10の以下に説明する殆どの部品は、特に注釈のない限り、プラスチックの成型品であると理解されたい。
【0023】
噴霧装置10は、上記直径を決定しかつ高さのほぼ全長に亘る高さを有するハウジング12を含む。このハウジング12は、上下両端が開口されていて、下端に水貯留用のタンク40(図2)を覆う防水カバー14が着脱可能に装着される。防水カバー14は、タンクと一体化されていて、この防水カバー14を回転することによって、タンクと一緒に、ハウジング12へ装着しまたはハウジング12から取り外すことができる。防水カバー14でカバーされるタンクには後述のように、水などの液体(後述する理由で、特に水道水が好適する。)が貯められる。
【0024】
ハウジング12の上端には蓋16が回転可能に設けられる。蓋16にはその上面につまみ18が設けられ、このつまみ18を持って、蓋16を、オン位置とオフ位置との間で節動的に回転または回動することができる。つまり、蓋16を回転することによって、噴霧装置10のオン/オフを制御することができる。
【0025】
ハウジング12の前面にはスイッチ20が設けられ、このスイッチ20は、噴霧量すなわち加湿能力の強弱を切り替えるための押しボタンスイッチであり、このスイッチ20を押す毎に、「強」、「弱」を交互に設定できる。なお、この実施例では、「強」に設定された場合、ミストは連続的に放出されるが、「弱」の場合には、たとえば、1秒オン、0.5秒オフのように、間欠的にミストが放散される。しかしながら、このような強弱の設定は実施例に限るものではなく、任意の仕様が採用可能である。
【0026】
ハウジング12の前面のスイッチ20の上方に、このスイッチ20と整列して、3つのLED22a,22bおよび22cが縦一列に配置される。一番下のLED22aは、上記したバッテリが充電されているかどうかを表示するためのもので、充電しているとき点灯される。その上のLED22bおよび22cは、スイッチ20で切り替えた「強」および「弱」をそれぞれ個別に表示するように点灯される。ただし、このLED22bおよび22cは、たとえば2色発光LEDであり、後述のように、渇水状態表示(報知)手段としても機能する。
【0027】
蓋16には、図1(B)に示す平面図からよくわかるように、ミストを放出するための放出口24が形成されている。この放出口24の位置に「ON」表示26nが形成されていて、それと間隔を隔てて「OFF」表示26fが設定されている。「ON」表示26nがスイッチ20と整列する位置(オン位置)になるように蓋16を回転させたとき、後述のように、噴霧動作が行われる。
【0028】
図2は、図1(A)に示すハウジング12を取り外して噴霧装置10の内部を詳細に示す、一部破断図解図である。ハウジング12の内部には、ハウジング12の上半分とほぼ同じ高さのフレーム28が配置される。フレーム28は、図1(B)の放出口24の下方に中空部30を形成するための側壁31を有し、フレーム28の下端すなわち噴霧装置10の高さのほぼ中央には取付け部32が形成され、上端には載置部34が形成される。
【0029】
取付け部32の下面には、この図2はその前面を破断しているが、上端に天板36aを有する下端開口の円筒形状の外枠36が、たとえばねじ止めによって、天板36aが取付け部32の下面に密着するように取り付けられる。外枠36は液体貯留手段であるタンク40を取り外し可能に装着するためのものであり、内周面に、螺旋状の条溝38が形成される。タンク40の外周面にはその条溝38と螺合する螺旋状の突条42が形成される。
【0030】
上記螺旋突条42の下方のタンク40の外周面には、環状の突条44が形成される。この環状突条44は、たとえば合成ゴムなどの弾性材料によって両端開放の円筒形に形成されるパッキン46の内周面に形成された環状の条溝48と嵌り合う。図2では2点鎖線で簡単に図示しているが、このパッキン46の外側に、図1で示した防水カバー14がねじ50によって固着される。
【0031】
また、パッキン46の上端に、外方に突出するシール部としてのフランジ52が形成され、このフランジ52は径方向に比較的肉厚であり、このフランジ52の内面に上述の環状条溝48が形成される。シール部52の外面には段差54が形成される。この段差54が防水カバー14の上端内面に形成された段差(図示せず)と嵌り合うことによって、防水カバー14を安定的にパッキン46に取り付けることができる。
【0032】
このように、防水カバー14がパッキン46と一体化され、パッキン46とタンク40とが嵌合部すなわち突条44および条溝48によって一体化されているので、結局、防水カバー14とタンク40とが一体化される。したがって、防水カバー14を回すことによってタンク40を一緒に回転させることができる。そのため、防水カバー14をたとえば反時計方向(噴霧装置10の底面から見て)に回転することによって、螺旋条溝38から突条42を離脱させることができ、タンク40を外枠36から取り外すことができる。逆に、防水カバー14を時計方向(噴霧装置10の底面から見て)に回転することによって、螺旋突条42を条溝38に螺入させることができ、タンク40を外枠36に装着することができる。したがって、タンク40の水がなくなって渇水状態になったら、防水カバー14を回してタンク40を外枠36から取り外し、タンク内に水(水道水)を補給した後、再び防水カバー14を持ってタンク40を外枠36内にねじ込めばよい。このように、タンク40は有底円筒のコップ状であり、その中に水道水が入れられた状態で外枠36に取り付けられる。
【0033】
タンク40の側壁の上端縁には、たとえば合成ゴムのような弾性体からなるリング状のパッキン41が被せられる。タンク40を外枠36内に螺入したとき、パッキン41が外枠36の天板36aに強く押し付けられる。したがって、このパッキン41と天板36aとによってタンク40のためのシール手段が構成される。
【0034】
フレーム28の中空部30すなわち側壁31は、特に図9からよく分かるように、取付け部32の下方にも形成されていて、したがって、中空部30はタンク40の上端開口からさらにタンク40の内部にまで延びて形成される。取付け部32の下方の中空部側壁31(図9)の一部に窓(図示せず)が形成されている。したがって、中空部30はその窓を通してタンク40内の水(図示せず)と連通する。つまり、タンク40内の水が中空部30の内部に浸入する。
【0035】
中空部30には、その高さのほぼ全長に相当する長さの、たとえばフェルト(繊維を重ね合わせて縮充したもの)からなる給水棒56が収容される。給水棒56を形成するフェルト素材は繊維の積層物であるため、液体に対しては毛細管機能を発揮する。タンク40の水が中空部30に浸入し、他方この中空部30に給水棒56が収納されているので、水が給水棒56の毛細管機能によって、給水棒56の上部へ供給される。
【0036】
給水棒56の保持機構について詳しくいうと、有底円筒形状のキャップ58が、たとえばその上端の楔形の係合部60が中空部30の側面に形成された被係合部(図示せず)と係合することによって、中空部30の側壁の下端に着脱自在に装着される。ただし、図2ではこの被係合部が形成されるべき中空部側壁は図示されてないが、この側壁31は図9によく示されている。
【0037】
キャップ58内には上下に凹部を有する縦断面「H」字形状のホルダ62が収納される。このホルダ62の上凹部64aが上述の給水棒56の下端を受け、下凹部64bにはコイルばね66が収納される。コイルばね66の下端はキャップ58の底面に接触しているので、このコイルばね66の弾発力によって、ホルダ62が上方に押し上げられる。したがって、ホルダ62のよって下端が支持された給水棒56が上方に押し上げられる。
【0038】
フレーム28の上端には前述のように、載置部34が形成されている。載置部34は外面形状が漏斗形状とされ、上面に凹部68が形成される。凹部68には、図3から特によく見える、たとえば合成ゴムなどの弾性材料からなるドーナツ形状の下部パッキン70が載置される。下部パッキン70の開口72には前述の給水棒56の上端が臨まされる。ただし、この開口72の位置は、図1(B)の放出口24の位置と対応している。
【0039】
下部パッキン70の上面には、上方に突出する断面三角形でかつ平面的にはドーナツ形状の全周に亘る環状のシール部74が形成され、このシール部74の上に、ミスト生成手段の一例としての円盤形状の超音波振動子(単に「振動子」ということもある。)76が載置される。振動子76は圧電セラミックに電圧を印加することによって高周波(超音波)振動を発生させるものであり、その中心部に振動部76aが形成される。ただし、この種の振動子の詳細はすでによく知られたところであるため、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0040】
中空部30の上に載置部68が形成され、その載置部68において下部パッキン70上に振動子76が載置されるのであるから、振動子76は中空部30すなわち給水棒56の上に配置されることになる。
【0041】
下部パッキン70の開口72と重なる位置に形成された開口80を有する、かつ合成ゴムなどの弾性材料からなる上部パッキン78が、たとえば接着剤による接着によって、下部パッキン70と一体的に組み立てられる。つまり、下部パッキン70の外周上面に上方に突出して形成された環状の突起82が形成され、この突起82の内周面に、上部パッキン78の外周下面に下方に突出して形成された環状の突起84の外周面が密接に嵌り合い、かつ突起82の上面に形成された突条と突起84の下面に形成された条溝とが嵌り合うことによって、下部パッキン70と上部パッキン78とが強固に一体化され得る。
【0042】
上部パッキン78の開口80は、下方に向かうにつれて内方に出るように傾斜された漏斗状の傾斜部86によって規定され、この傾斜部86の中心が開口80として形成されている。
【0043】
上部パッキン78の上記した傾斜部86と上述の突起84との間において、断面三角形状でかつ平面環状のシール部88が下方に突出して形成される。前述のように、振動子76が下部パッキン70のシール部74の上に載置され、したがって、シール部74の頂部が振動子74の下面に当接する。他方、上述のように下方に突出した上部パッキン78のシール部88の頂部が振動子76の上面に、シール部74が下面と当接した位置より内方において、当接する。つまり、振動子74がシール部88および74によって挟持されることによって、この載置部68上に固定的に保持される。
【0044】
前述のように給水棒56がコイルばね66(図2)によって押し上げられるので、給水棒56の上端が下部パッキン70の開口72を通して、振動子76の中心部下面に安定的に当接する。給水棒56は、たとえばフェルト素材であるため前述したように、タンク40の内の水を徐々にかつ間断なくその上端に導き上げる。給水棒56の上端に達した水は振動子76によってミストにされ、上部パッキン78の開口80および蓋16の放出口24を通って放出(噴霧)され、加湿機能を発揮する。ただし、このとき放出口24が開口80に位置的に重なっていることが条件である。
【0045】
図3に示し上で説明したように、振動子76の振動部76aが振動子76の下面において下部パッキン70の上向きのシール部74で囲繞され、かつ振動部76aが上面においた上部パッキン78の下向きシール部88によって囲繞されるので、振動子76の上下面において水が振動子の周囲に漏れたり、ミストが不所望に飛散したりするのが確実に防止できる。
【0046】
たとえば、給水棒56をコイルばね66によって押し上げる力をF1とし、振動子76を下部パッキン70に押し当てる上部パッキン78のシール部88から付与される下向きの力F2としたとき、F2>F1の関係を満足するように各力を設定することによって、振動子76を下部パッキン70に確実に押し当て、水漏れを防止することができる。
【0047】
フレーム28の上端には図4に平面図を示す固定板90が固着される。この固定板90の上には回路基板92が取り付けられ、その回路基板92上には電気回路を構成するための電子部品が取り付けられ所定のように配線されるのであるが、この図4では図面の簡略化のために、これらはいずれも図示していない。
【0048】
固定板90には、上記開口80(図3)と重なる位置に開口94が形成されている。したがって、ミストは結局、開口80、開口94および放出口24を通って、外部に放出または噴霧される。
【0049】
固定板90の上面には、蓋16の前述した節動的回転(クリックストップ)を実現するための回転ガイド96が形成される。このガイド96は、連絡部材であり、固定板90の外周に近い周方向の所定位置に形成され、両側の傾斜辺96aおよび96bならびにそれら傾斜辺96a,96bに挟まれた連結辺96cを含む。連結辺96cは固定板90の外周縁と同じように、両端側が径方向にやや内側で中央部分が外側になるように湾曲している。さらに、両端傾斜辺96aおよび96bの基端部(外周側)の外側には凹部98aおよび98bが形成される。逆に言えば、凹部98aおよび98bがガイド96によって連絡される。
【0050】
図2からよく分かるように、蓋16の下面には2層の下面板100がこの蓋16と一体的に組み立てられる。この下面板100は元々蓋16と一体成型されてもよいのだが、成型の容易性から、この実施例では蓋16とは別々に準備したものである。この意味で下面板100は蓋16の一部とみなすことができる。
【0051】
図5に示すように、下面板100すなわち蓋16の下面にはほぼ長方形でその長手方向が中心から放射方向に沿うように凹部102が形成される。この凹部102には追従部材104が収容される。この追従部材104は、本体104a、その本体104aの先端に設けられる先端が円形の突子104b、および本体104aの後端に設けられる突子104cを含み、突子104cと凹部102の底辺に形成された突子106との間にコイルばね108が介挿される。したがって、追従部材104の本体104aすなわち突子104bがコイルばね108によって定常的に前方へ弾発的に付勢される。そのため、突子104bがその前方に設けられた上述の回転ガイド96の方向へ押し付けられる。
【0052】
図4に示す固定板90と図5に示す下面板100とは対応する同じ位置関係にあり、蓋16の図1(B)に示す「オン」表示26nがオン位置つまり、図1(A)に示すスイッチ20と整列する位置にある状態に相当する。このとき、追従部材104の先端突子104bはガイド96の両端外側に形成されている一方の凹部98aに落ち込んでいる状態である。追従部材104の本体104aがコイルばね108によって前方方向へ押されている状態なので、蓋16はその位置で安定する。
【0053】
他方、基板92(図4)には運転スイッチとして機能するリミットスイッチ110が取り付けられていて、このリミットスイッチ110のアクチュエータ110aは基板92から突出してガイド96の方向へ向けられている。
【0054】
図5に点線で示す作用部112は下面部材100の下面に、下方に突出するように形成されている突起であり、図4および図5に示すオン位置でリミットスイッチ110のアクチュエータ110aに作用してそれを押す。したがって、このオン位置でリミットスイッチ110がオン状態となり、後に説明するように噴霧装置10が作動状態すなわち運転状態となる。
【0055】
オン状態から、図1(B)に示す矢印方向に、つまみ18を持って蓋16をある程度以上の力で回すと、追従部材104の突子104bが凹部98aとの係合を外れて、傾斜辺96aの内面に当たりながら傾斜辺96aに沿って移動する。この状態で、リミットスイッチ110のアクチュエータ110aの、蓋16の突起すなわち作用部112による押圧が解除されるので、リミットスイッチ110はオフ状態になり、噴霧装置10の動作(運転)が停止する。
【0056】
ガイド96の傾斜辺96aが内方に傾斜しているので、追従部材104の突子104bすなわち本体104aが、コイルばね108の弾発力に抗して後方に押され、蓋16の持続的な回転に応じて、追従部材104の突子104bがガイド96の連結辺96cに乗って移動する。このとき、コイルばね108は最も圧縮された状態にある。
【0057】
蓋16がさら回転または回動され続けると、追従部材104の突子104bはやがて、ガイド96のもう一方の傾斜辺96bに沿って移動する。それとともに、コイルばね108の圧縮が徐々に開放され、追従部材104の本体104が前方に押し出される。回転の継続に応じて、追従部材104の先端突子104bがもう一方の凹部98bに嵌まり合い、コイルばね108の押圧力でそこへ落ち込み、蓋16の回転が停止して、蓋16がその位置で安定する。その状態は、蓋16の「オフ」表示26fがスイッチ20と整列したオフ状態である。オフ状態の追従部材104の突子104bとガイド96の位置関係を図6に示す。
【0058】
このように、蓋16は、追従手段として機能するばね108、追従部材104すなわち突起104b、および凹部98a,98bを含むガイド96によって、節動的に回転してオン/オフを切り替えられる。そして、オン状態およびオフ状態のいずれにおいても、凹部に突起が嵌り合った状態であるので、オン状態およびオフ状態を安定的に保持することができる。したがって、この実施例の噴霧装置10が仮に車内のカップホルダ(図示せず)に保持されていても、車から伝わる振動などよって不所望にオン状態になったりオフ状態になったりすることはない。
【0059】
ただし、凹部98a,98bおよび突起104bは、図4および図5に示す実施例とは逆に、凹部98a,98bを蓋16すなわち下面板100に形成し、それらに係合する突起104bを固定板90に形成するようにしてもよい。
【0060】
図3に戻って、上で説明した上部パッキン78が振動子76に付与する力F2は、蓋16の下面板100によって維持される。つまり、下面板100の下面の、上部パッキン78の頂部78aに対応する位置に、下向きの環状突条114を形成する。そして、蓋16によってこの環状突条114が上部パッキン78の頂部78aに押し付けられると、上記力F2が上部パッキン78に与えられるとともに、上部パッキン78と下面板100すなわち蓋16との間の水シールが実現され、そこからの水漏れが効果的に防止できる。ただし、図3のように、下面板100の突条による上パッキン78の頂部78aの封止は、蓋16をオン位置に回転させたときにだけ実現できればよい。蓋16がオフ位置にあるときには運転停止状態であり、ミストは発生していないので、開口80を封止していなくても、ミストがハウジング12(図1)内に侵入することはない。また、蓋16の下面板100に対する押圧力は、蓋16を固定的に保持する保持手段(図示せず)と、蓋16と下面板100とを一体化するねじのような一体化手段(図示せず)によって付与される。
【0061】
図1に示す実施例の噴霧装置10はさらに、別の特徴を備える。それは、タンク40に貯留した水道水のような塩化物イオンを含む水を電気分解(電解)処理して電解水を作り、その電解水をミストとして放散することによって、加湿器としての機能を発揮させるとともに、ウィルス抑制(除菌)効果をも発揮させることである。つまり、タンク40内の水道水に電気分解を施し、ウィルスを抑制する2種類の活性酸素「次亜塩素酸」および「OHラジカル」を生成し、これらの活性酸素をタンク40内の水の中に高密度に保持しておき、水とともにミストとして放出することによって、噴霧装置10の周囲において除菌効果を発揮させようとするものである(http://www.sanyo.co.jp/vw/concept/index.html)。
【0062】
このような電気分解処理のために、この実施例では、図7および図8に示すような電極ユニット116を用いる。
【0063】
電極ユニット116は、ほぼ長方形であり、その両面に電極保持に必要なたとえば溝や突起など電極保持部を形成してなる保持板118を含む。保持板118の一方主面には正極としての電極120pが、たとえばねじ止めあるいはかしめ止めなどの適宜の手段によって取り付けられる。保持板118の他方主面には負極としての電極120mが同様の取り付け手段によって取り付けられる。これら電極120pおよび120mはいずれもたとえば銅のような導電材料によって平板状に加工されていて、同じような導電材料からなる丸棒状の接続部材122pおよび122mによって、それぞれ、後述の電極駆動回路144(図10)に接続され、そこから直流電源の供給を受けて、電気分解を生ぜしめる。
【0064】
電極ユニット116には、上記電極120pおよび120mと同様の導電材料で形成された別に設けられる渇水検知電極124が、この実施例では、保持板118の他方主面上に電極120mと平行に取り付けられる。この第3の電極124は、タンク40内に一定量以上の水が溜められているかどうかを検出するためのもので、それの下端が特に図8からよく分かるように、上記電極120pおよび120mの下端より距離Dだけ高くなるように設定されている。渇水検知電極124は、平板状の接続部材125によって上記電極駆動回路144に接続される。
【0065】
このような電極ユニット116は図2に示すように、フレーム28の取付け部32の下面に組み込まれるが、その状態においても、渇水検知電極124の下端が電解用電極120pおよび120mの下端より距離D高くなるように取り付けられている。
【0066】
電気分解をするときは、よく知られているように、2つの電極120pおよび120mの間に直流電圧を印加するが、そのとき、もし電極124も水中にあれば、この電圧印加時に電極120pと渇水検知電極124との間にもその水を通して閉回路が形成される。しかしながら、渇水検知電極124が水に浸かっていなければ、電極120pに電圧を印加したとしても、両電極120pおよび124の間には電気回路が形成されることはない。したがって、電極120pに電圧を印加したとき渇水検知電極124に電流が流れるかどうかを検出することによって、タンク40内に所定量以上の水が残っているかどうかが検出できる。この渇水検知電極124に流れる電流によってタンク40内の渇水状態を検出する渇水検出手段はコンピュータ132(図10)である。
【0067】
明らかに理解されるように、この「所定量」は上記距離Dによって設定されるものであり、距離Dを任意に設定することによって、「所定量」を任意に設定することができるのである。タンク40内の水が所定量を下回った状態を渇水状態と呼ぶので、したがって、電極124が渇水検知電極なのである。
【0068】
実施例の噴霧装置10では、先に説明したように、タンク40内に水を入れた状態で、タンク40を外枠36内に螺入するようにしている。このとき、タンク40内が全て水で満たされているということはなく、当然、タンク40内にはその上層に空気が存在する。その状態でタンク40を外枠36の内部にねじ入れると、残存する空気が圧縮されてタンク40から水が溢れ出す可能性がないとはいえない。
【0069】
そこで、この実施例の噴霧装置では、図9に示すような、空気通路を形成することによって、タンク40の装着時の水溢れをなくしようとするものである。
【0070】
図9は図1に示すフレーム28の取付け部32の近傍を図解するものであるが、外枠36が取付け部32に取り付けられ、その外枠36内にタンク40が装着されている。
【0071】
給水棒56を収納するための中空部30の側壁31は、実際には、図9に詳細に示すように、取付け部32に取り付けた外枠36の天板36aのために、隙間120によって、上下に分断されている。この隙間120は、給水棒56を挟む中空部30の左右の側壁31にそれぞれ形成されている。さらに、取付け部32には空間122aおよび122bを規定するための側壁124aおよび124bが形成され、その一方の側壁124bの天井126には通気孔128が形成される。通気孔128にはフィルタ130が設置される。図9では図解の目的で粗く描いているが、このフィルタ130のメッシュサイズは、水の分子は透過できないが空気の分子は透過できる、そのような大きさに設定されている。
【0072】
外枠36にタンク40を螺入するとき、タンク40内の空気は徐々に圧縮され、タンク40の上端開口を通り、最終的に、通気孔128を通って外部に出ていく。このとき、図10でタンク40の開口左側から出た空気は、中空部30の側壁31の隙間120を通って空間122bに入り、そこから通気孔128を通って出る。図10でタンク40の開口右側から出た空気は、そのまま空間122bに入り、そこから通気孔128を通って出る。つまり、この実施例では、隙間120,空間122および通気孔128を含む通路を介してタンク40内が常に大気に連通しているので、タンク40を装着する際に残存空気が圧縮されるという現象は発生せず、そのためにタンク40内の水が溢れるという不都合も生じない。
【0073】
この通気孔128には上記のようなフィルタ130が設置されているので、仮に、タンク40内の水がたとえば車の大きな揺れなどによって空間122a,122b内に溢れたとしても、水が通気孔128を通ってこぼれるという事態にはならない。
【0074】
このような構造の噴霧装置10の電気回路構成が図10のブロック図に示される。図10を参照して、噴霧装置10は、この噴霧装置10の全体の電気的動作を制御するためのコンピュータ132を含み、このコンピュータ132には、バッテリ134または136から直流電源が供給される。ただし、この図10では概略的に図解しているが、アダプタ136からの直流電源は充電回路136にも与えられる。したがって、バッテリ134は充電回路136によって充電される。なお、図2では図示していないが、バッテリ136はフレーム28の取付け部32より上方の図2では隠れる位置に収納されている。
【0075】
なお、コンピュータ132には運転スイッチ110がオフされている状態でも微小電流が流され、それによってコンピュータ132はスタンバイ状態を維持しているとともに、このコンピュータ132の内蔵メモリ(図示せず)のデータもメモリ内に保持されるものである。
【0076】
コンピュータ132には図4に示したリミットスイッチ110が運転スイッチとして接続され、切替スイッチ20(図1)もコンピュータ132に接続される。
【0077】
コンピュータ132は、振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76のオン/オフを制御する。コンピュータ132はさらに、LED駆動回路140に指令を与え、LED22a,22bおよび22cのオン/オフを制御する。
【0078】
コンピュータ132は、電極駆動回路142を制御する。電極駆動回路142は、電解電極120pおよび120mの間に電気分解用の直流電圧を印加する。コンピュータ132はさらに、電極駆動回路142からの信号に基づいて、渇水検知電極124に電流が流れたかどうか検出する。
【0079】
コンピュータ132は、先に述べた蓋16のオン位置への回動によって作用部112がリミットスイッチ110のアクチュエータ110aに作用することによって、このリミットスイッチすなわち運転スイッチ110オンされたとき、振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76をオン状態に制御する。したがって、噴霧装置10の噴霧動作が行なわれる。
【0080】
図11は渇水検知電極124によってコンピュータ132がタンク40内に所定量以上の水があるかどうか、換言すれば、タンク40内が渇水状態なのかどうかを検出するための動作を示すフロー図である。
【0081】
最初のステップS100で、コンピュータ132は電極駆動回路144に指令を与えて、電解電極120pに直流電圧を印加する。
【0082】
続くステップS102で、コンピュータ132は、ステップS100で電圧を印加した状態で、電極駆動回路144において、渇水検知電極124に流れている電流を測定する。
【0083】
そして、ステップS104で、コンピュータ132は、電流値が所定の閾値以上かどうか判断する。渇水検知電極124に所定以上の電流が流れているということは、この渇水検知電極124がタンク40内の水に没していることを意味し、タンク40内には所定量以上の水が残っていることになる。したがって、ステップS104で“YES”が判断されたときには、つまり、タンク40内の渇水状態が検出されなかったときには、この渇水検知処理は終了する。
【0084】
ステップS104で“NO”が判断されるということは、渇水検知電極124が十分にタンク40内の水の中に浸かっていないことを意味し、タンク40内が渇水状態にある。タンク40内が渇水状態であることを検出したとき、ステップS106において、コンピュータ132は、LED駆動回路142に指令を与え、たとえば2つのLED20bおよび20cをともに赤色点灯するなどして、ユーザに渇水状態であることを報知する。それとともに、コンピュータ132は、このステップS106で、コンピュータ132のメモリ(図示せず)に設定されている渇水フラグ(「1」か「0」によって渇水状態か否かを記憶する記憶手段である。)に「1」を書き込むとともに、渇水状態検出に基づく割込み(後述の「割込み2」)を出力する。
【0085】
このような渇水検知処理は、図12を参照して説明する「初期電解動作」中に並行して実行されるものである。なぜなら、上述のように渇水検知のためにも電極120pに電圧を印加しなければならず、電力を消費することになる。したがって、この実施例では、電気分解処理と並行して実行することによって、電力消費を抑制するようにしている。その意味で、ステップS100は、その初期電解動作のために電解電極120pに電圧を印加する動作と同じであり、渇水検知のための特別な処理ステップではない。
【0086】
実施例のように、初期電解動作中に並行して水検知処理を実行する場合、図11に示すプログラムはその処理動作時間中に複数回、たとえば2回実行する。
【0087】
渇水検知を別のタイミングで行なうことも可能であるが、その場合には、電極120pに印加する電圧の大きさを、電解動作のためのものから変更することも可能である。
【0088】
図12を参照して、この図12はユーザによって蓋16がオン位置へ回動され、それに伴って運転スイッチ110オンされたとき、実行される運転動作を示すフロー図である。
【0089】
コンピュータ132は、運転スイッチ110のオンを検出すると、ステップS200で振動子駆動回路138に指令を与えて振動子76をオン状態に制御する。したがって、噴霧装置10の噴霧動作が行なわれる。
【0090】
続くステップS202において、コンピュータ132は、内蔵メモリ(図示せず)の適宜の領域に設定されているタイマ(図示せず)をスタートする。
【0091】
その後、ステップS204で、コンピュータ132は、メモリ内の渇水フラグ(図示せず)の状態をみて、それがセットされているかどうか、つまり「1」が書き込まれているかどうか判断する。ここで、まずコンピュータ132が渇水フラグがセットされているかどうかを判断する理由は、今回の運転が、渇水を表示し、それに応じてユーザがタンク40内に水を入れた後の、最初の運転かどうかを判断するためである。上述のように、図11で示す水検知処理において渇水状態を検出すると、コンピュータ132は渇水フラグに「1」を書き込んでおき、その状態を保持しているので、このステップS204で渇水フラグをチェックすることによって、水補充後の最初の運転かどうか判断できるのである。
【0092】
この実施例の噴霧装置10では、電解水ミストを放出することによって、除菌機能を実行しようとするものである。したがって、タンク40内の水の電解水濃度がある程度以上なければ、除菌効果を期待することはできない。タンク40に水道水を補給しただけでは、その水道水中には次亜塩素酸などの殺菌寄与物質は何ら溶け込んでいない。そのため、この実施例では、水補充後の最初の運転においては、電解水濃度をある程度以上にするために、初期電解動作として、比較的長い第1時間、実施例では20分間、電解処理を実行する。
【0093】
ただし、渇水状態ではない場合には、初期電解動作時間は、比較的短い第2時間、たとえば5分間に設定する。通常、電解水濃度は日数(時間)の経過とともに減少するので、運転の最初には比較的短いけれども毎回、初期電解動作を実行して電解水濃度を維持するようにしている。
【0094】
ステップS204で“YES”が判断されたとき、水補給後の最初の運転であるので、上述の第1時間(たとえば20分)の初期電解動作を実行する。そこで、次のステップS206で初期電解動作の途中から始めるのかどうかを判断する。
【0095】
この実施例では、上述の第1時間または第2時間の初期電解動作を実行しているとき蓋16がオフ位置に回されて運転スイッチ110がオフされた場合には、初期電解時間が不足するので、次の運転開始では、前回の初期電解動作の残存時間だけ、初期電解動作を続けることによって、電解水濃度を確保するようにしている。たとえば、初期電解動作時間として20分が設定されていたにも拘らず10分実行したときに運転スイッチ110がオフされた場合、残存時間は10分である。初期電解動作時間として5分が設定されていたにも拘らず2分実行したときに運転スイッチ110がオフされた場合、残存時間は3分となる。初期電解動作時の電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。
【0096】
このような残存時間は、後述のように、運転スイッチ110のオフに起因する割込み1の動作において、コンピュータ132の内部メモリの残存時間レジスタ(図示せず)に記憶される(図13、ステップS304)。したがって、このステップS206では、その残存時間レジスタに残存時間が記憶されているかどうかチェックすることによって、「途中」かどうか判断する。
【0097】
ステップS206で“NO”を判断したとき、つまり、「途中」ではないとき、次のステップS208で、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を送り、電解電極120pに電圧を印加することによって、初期電解動作を実行させる。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。
【0098】
その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS210において20分経過したことを確認するまで、ステップS208での初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS210が、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0099】
そして、ステップS210で20分の経過を判断すると、コンピュータ132は、次のステップS212でタイマをリセットするとともに、ステップS214の「通常運転」での加湿動作に移行する。
【0100】
ステップS206で“YES”を判断すると、コンピュータ132は次のステップS216において、先のステップS208と同様にして、電解電極120pに電解用電圧を印加して、先に中断された初期電解動作を継続する。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS218において残り時間が経過したことを確認するまで、ステップS216で再開された初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS216も、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0101】
なお、ステップS218を判断するためには、コンピュータ132は、タイマを参照して、上で説明した残存時間レジスタに保持されている残り時間が経過したかどうか判断することになる。
【0102】
そして、ステップS218で“YES”を判断したとき、コンピュータ132は次のステップS212を実行する。
【0103】
先のステップS204で“NO”が判断されたとき、つまり、コンピュータ132が、今回の運転が、通常運転の停止後の運転(通常運転の再開)であることを判断したとき、前述の第2時間(たとえば5分)の初期電解動作を実行する。そして、ステップS206と同様の手法で、次のステップS220で「途中」かどうか、つまり、中断された初期電解動作を再開するのかどうかを判断する。
【0104】
ステップS220で“NO”を判断したとき、つまり、「途中」ではないとき、次のステップS222で、ステップS208やステップS216などと同様にして、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を送り、電解電極120pに電圧を印加することによって、初期電解動作を実行させる。この電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行できることは前述の通りである。
【0105】
その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS224において5分経過したことを確認するまで、ステップS222での初期電解動作が継続的に実行される。その意味で、このステップS224もまた、初期電解動作時間制御手段として機能する。
【0106】
そして、ステップS224で5分の経過を判断すると、プロセスはステップS212およびステップS214へ進む。
【0107】
ステップS220で“YES”を判断すると、コンピュータ132は次のステップS226において、先のステップS208,S216,S222と同様にして、電解電極120pに電解用電圧を印加して、中断されていた初期電解動作を継続する。このときの電圧印加に応じて渇水検出動作(図11)を実行することは前述の通りである。その後、ステップS202でトリガしたタイマを参照することによって、コンピュータ132がステップS228において残り時間が経過したことを確認するまで、ステップS226で再開された初期電解動作が継続的に実行される。このステップS226も、初期電解動作時間制御手段として機能している。
【0108】
なお、ステップS228を判断するためには、コンピュータ132は、タイマを参照して、上で説明した残存時間レジスタに保持されている残り時間が経過したかどうか判断すればよい。
【0109】
図13はユーザが蓋16を回してオフ位置にしたときに、運転スイッチ110がオフされることによって生じる「割込み1」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0110】
割込み1のイベントが発生すると、コンピュータ132はまず、ステップS300で通常運転中かどうかを判断する。つまり、このステップS300では、図12のステップS208,S216,S222,S226での初期電解動作中であるのか、ステップS214の通常運転中であるのかを検出する。その検出方法としては、そのとき電極駆動回路144に電極駆動指令を自身が出力しているかどうかを判断する方法が考えられる。電極駆動指令を出力しているということは、図12のステップS208,S216,S222,S226のいずれかを実行していることを意味している。
【0111】
ステップS300で“YES”を判断したとき、コンピュータ132は次のステップS302で振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止してリターンする。
【0112】
ステップS300で“NO”を判断したときは、初期電解動作中の運転停止すなわち初期電解動作の中断であるので、コンピュータ132は続くステップS306で、残存時間レジスタ(図示せず)に上で説明したような残存時間を記憶させる。それとともに、ステップS306で、コンピュータ132は、電極駆動回路144に指令を与え、電解電極120pへの電圧印加を停止し、振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止して、さらにタイマ(ステップS202)をリセットしてリターンする。
【0113】
図14は先に説明した初期電解動作中に渇水状態を検出したときに生じる「割込み2」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0114】
割込み2のイベントが発生すると、コンピュータ132は、ステップS400で電極駆動回路144に指令を与え、電解電極120pへの電圧印加を停止し、振動子駆動回路140に指令を与えて、振動子76の駆動を停止して、さらにステップS202で説明したタイマをリセットしてリターンする。
【0115】
図15はステップS214(図12)の通常運転中に、ユーザが切り換えスイッチ20(図1,図10)を操作したときに生じる「割込み3」があったときのコンピュータ132の動作を示すフロー図である。
【0116】
割込み3のイベントが発生すると、コンピュータ132はまず、ステップS500で「強」運転中かどうかを判断する。つまり、このステップS500では、図12のステップS214において、ミストを連続的に放出する強運転モードで運転されているのか、ミストを間欠的に放出する弱運転モードで運転されているのかを、たとえば、LED駆動回路142に出力している指令を見て、判断する。つまり、LED22bが点灯されているときは「強」で、LED22cが点灯されているときは「弱」である。
【0117】
ステップS500で“YES”と判断したとき、コンピュータ132は運転モードを弱に設定する。たとえば、間欠タイマ(図示せず)に運転時間や休止時間を設定するなどして。ステップS500で“NO”を判断したとき、コンピュータ132は、たとえば、間欠タイマの設定時間をリセットするなどして、運転モードを強に設定する。
【0118】
なお、上で説明しなかったが、バッテリ134(図10)の充電は、バッテリ残量が低下しかつアダプタ136(図10)によって直流電圧が供給されているとき、たとえ運転スイッチ110がオフされていても、渇水状態が検出されていても、常に実行される。
【0119】
なお、上述の実施例では、1つの渇水検知電極124を用いて渇水状態を検出するようにしたが、電解電極とは別に複数の水検知電極(渇水検知電極)を用い、それらのレベル(具体的には、各水検知電極の下端と電解電極の下端との間の距離D(図8)に相当するもの)を段階的に設定することによって、タンク40内の水の量を段階的に判断できるようにしてもよい。その場合、検出した水の量に応じて水量フラグを設定し、その水量フラグの如何に応じて初期電解動作時間を可変的に設定することによって、一層最適な濃度の電解水を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1はこの発明の一実施例の外観を示す図解図であり、図1(A)は前面図であり、図1(B)は平面図である。
【図2】図2は図1実施例の内部構成を示すためにハウジングを取り外しかつ図1(B)に示す放出口の中心を通るように一部を破断した前面図解図である。
【図3】図3は図1実施例の振動子の部分を詳細に示す図解図である。
【図4】図4は図1実施例のハウジング上端に設けられる固定板を上から見た状態を示す図解図である。
【図5】図5は図1実施例において固定板の上方に配置される蓋の下面板を示す図解図である。
【図6】図6は図1実施例における固定板と下面板(蓋)との異なる位置関係を示す図解図である。
【図7】図7は図1実施例の電極ユニットを示す図解図である。
【図8】図8は図7の電極ユニットを示す側面図である。
【図9】図9は図1実施例の空気通路の部分を詳細に示す図解図である。
【図10】図10は図1実施例の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は実施例において、渇水状態なのかどうかを検出するための動作を示すフロー図である。
【図12】図12は実施例において、運転スイッチオンされたとき実行される運転動作を示すフロー図である。
【図13】図13は実施例において、運転スイッチがオフされることによって生じる「割込み1」があったときの動作を示すフロー図である。
【図14】図14は実施例において、渇水状態を検出したときに生じる「割込み2」があったときの動作を示すフロー図である。
【図15】図15は実施例において、通常運転中にユーザが切り換えスイッチを操作したときに生じる「割込み3」があったときの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0121】
10 …噴霧装置
16 …蓋
40 …タンク
56 …給水棒
76 …超音波振動子
110 …リミットスイッチ
120 …電解電極
124 …渇水検知電極
132 …コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素イオンを含む水を貯留するための水貯留手段、
前記水貯留手段に貯留されている水を1対の電解電極によって電気分解して電解水にする電気分解手段、
前記水貯留手段内の電解水のミストを作るミスト生成手段、
前記ミスト生成手段によって生成されたミストを放出する放出手段、
前記水貯留手段内の水が所定量を下回ったとき渇水状態を検出する渇水検出手段、
前記渇水検出手段によって前記渇水状態が検出されたとき渇水状態を記憶する記憶手段、
運転開始時に前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されているかどうか判断する判断手段、および
前記判断手段の判断結果によって前記電気分解手段による初期電解動作時間を異なる時間に設定する初期動作時間制御手段を備える、噴霧装置。
【請求項2】
前記初期動作時間制御手段は、前記判断手段が前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されていると判断したとき、前記初期電解動作のために第1時間に設定し、前記判断手段が前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されていると判断しなかったとき、前記第1時間より短い第2時間に設定するようにした、請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記初期電解動作中に運転停止が指示されたとき、前記初期電解動作の残存時間を記憶する時間記憶手段をさらに備え、
前記初期動作時間制御手段は、前記残存時間を前記初期電解動作時間として設定する、請求項2記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記渇水検出手段は、前記1対の電解電極とは別の渇水検知電極を含み、前記初期電解動作中に前記渇水検知電極に所定以上の電流が流れるかどうかによって、渇水状態かどうかを検出する、請求項1ないし3のいずれかに記載の噴霧装置。
【請求項1】
塩素イオンを含む水を貯留するための水貯留手段、
前記水貯留手段に貯留されている水を1対の電解電極によって電気分解して電解水にする電気分解手段、
前記水貯留手段内の電解水のミストを作るミスト生成手段、
前記ミスト生成手段によって生成されたミストを放出する放出手段、
前記水貯留手段内の水が所定量を下回ったとき渇水状態を検出する渇水検出手段、
前記渇水検出手段によって前記渇水状態が検出されたとき渇水状態を記憶する記憶手段、
運転開始時に前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されているかどうか判断する判断手段、および
前記判断手段の判断結果によって前記電気分解手段による初期電解動作時間を異なる時間に設定する初期動作時間制御手段を備える、噴霧装置。
【請求項2】
前記初期動作時間制御手段は、前記判断手段が前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されていると判断したとき、前記初期電解動作のために第1時間に設定し、前記判断手段が前記記憶手段に前記渇水状態が記憶されていると判断しなかったとき、前記第1時間より短い第2時間に設定するようにした、請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記初期電解動作中に運転停止が指示されたとき、前記初期電解動作の残存時間を記憶する時間記憶手段をさらに備え、
前記初期動作時間制御手段は、前記残存時間を前記初期電解動作時間として設定する、請求項2記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記渇水検出手段は、前記1対の電解電極とは別の渇水検知電極を含み、前記初期電解動作中に前記渇水検知電極に所定以上の電流が流れるかどうかによって、渇水状態かどうかを検出する、請求項1ないし3のいずれかに記載の噴霧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−168329(P2009−168329A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6925(P2008−6925)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]