回動装置
【課題】第2筐体が第1筐体に対してヒンジ部を介して上側へ回動可能に設けられた回動装置において、スタンドに装着される弾性変形部材の片減りを防止する手段を提供する。
【解決手段】複合機10は、上段のスキャナ部12が下段のプリンタ部11に対してヒンジ部を介して上側へ回動可能に設けられている。複合機10は、プリンタ部11に第1端21が回動自在に接続されて、第1姿勢のスキャナ部12を支持するスタンド13と、スキャナ部12に設けられてスタンド13の第2端22が挿入され、スキャナ部12の回動動作に連動して、スタンド13がプリンタ部11に対して回動させるべく第2端22を案内するガイド部材14とを具備する。スタンド13の第2端22付近に断面が楕円形のネック部25が設けられ、ネック部25に、円筒形状のフリクションラバー16が装着され、フリクションラバー16が、スタンド13の内面51,52に対して摺動する。
【解決手段】複合機10は、上段のスキャナ部12が下段のプリンタ部11に対してヒンジ部を介して上側へ回動可能に設けられている。複合機10は、プリンタ部11に第1端21が回動自在に接続されて、第1姿勢のスキャナ部12を支持するスタンド13と、スキャナ部12に設けられてスタンド13の第2端22が挿入され、スキャナ部12の回動動作に連動して、スタンド13がプリンタ部11に対して回動させるべく第2端22を案内するガイド部材14とを具備する。スタンド13の第2端22付近に断面が楕円形のネック部25が設けられ、ネック部25に、円筒形状のフリクションラバー16が装着され、フリクションラバー16が、スタンド13の内面51,52に対して摺動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント機能やスキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を一体的に備えた装置が実用化されている。このように複数の機能を備えた装置は、一般に多機能装置(Multi Function Device)と呼ばれる。
【0003】
多機能装置には、プリント機能やコピー機能、ファクシミリ機能等を実現するために、記録用紙に画像記録を行う画像記録部が設けられている。このような画像記録部は、例えばインクジェットプリンタやレーザプリンタなどによって実現される。また、多機能装置には、スキャン機能やコピー機能を実現するために、原稿の画像を読み取る画像読取部が設けられている。このような画像読取部は、例えば、フラットベッドスキャナなどにより実現される。
【0004】
多機能装置において、画像読取部が画像記録部の上側に配置された上下二段構造が採用されることが一般的である。画像読取部を上側とすることによって、フラットベッドスキャナなどによる画像読取りに際して、プラテンガラス上へ原稿をセットすることが容易になり、操作性が優れるからである。一方、画像記録部においては、ジャム処理やインクカートリッジの交換などのメンテナンス作業が必要になる。このようなメンテナンス作業において画像記録部の内部にアクセスするために、画像記録部の筐体の一部が開口される必要がある。画像記録部の内部へのアクセス手段として、画像記録部に対して画像読取部が開閉される機構が挙げられる。
【0005】
メンテナンス作業の間、画像読取部は、作業者が支持することなく、画像記録部に対して開かれた状態に維持されることが望ましい。これを実現する構成として、特許文献1には、開かれた画像読取部を筋交いの如く支持するスキャナスタンドが開示されている。
【0006】
特許文献2には、第1ケースに対して第2ケースが開かれた状態を維持可能なスタンド部材が開示されている。また、スタンド部材の先端に摩擦部材が設けられることにより、第2ケースが第1ケースに対して閉じられる方向へ急回動されることが防止されている。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3093658号公報
【特許文献2】特開2007−331337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2のような摩擦部材は、例えばゴムにより実現される。しかし、第2ケースの開閉が繰り返されると、ゴムの摩耗が予想より速く進行する虞がある。
【0009】
例えば、特許文献2においては、支持部材90の摩擦部93の全周面を囲むように角筒形状の摩擦部材93Aが設けられている。この摩擦部材93Aは、摩擦部93に装着された状態において楔型形状をなしている。この摩擦部材93Aが負荷調整部材100の圧接部106に対して摺動する。圧接部106は、摩擦部材93Aの摺動摩擦が変化するように山形形状をなしている。摩擦部材93Aは、支持部材90が回動する際に圧接部106に対して摺動する。圧接部106は山形形状をなしているので、摩擦部材93Aと圧接部106とは、必ずしも面接触しない。
【0010】
図11(A)に示されるように、摩擦部93に設けられた摩擦部材93Aが負荷調整部材100の圧接部106に対して摺動する際に、摺動摩擦によって、摩擦部材93Aにおいて圧接部106と接触している接触箇所92が摺動向き91と反対向きへ引っ張られる。摩擦部材93Aの隅94は摩擦部93の隅と係合しているので、摺動向き91の前側であって圧接部106と接触していない摩擦部材93Aの一部分95が、隅94を超えて接触箇所92側へ移動することはない。その結果、図11(B)に示されるように、摩擦部材93Aにおいて隅94から接触箇所92までの一部分97が、摺動向き91と反対向きへ引っ張られて厚みが薄くなり、これに伴って、接触箇所92から摺動向き91における後方の隅96までの一部分98において摩擦部材93Aの厚みが増す。このような摩擦部材93Aの厚みの変化は、摩擦部材93Aと圧接部106との間に生じる摺動摩擦が大きいほど顕著に生じ得る。
【0011】
前述された一部分98において、厚みが増した分だけ圧接部106との摺動摩擦が増大し、一部分98において摩擦部材93Aの摩耗が大きくなる。これにより、図11(C)に示されるように、摩擦部材93Aが一部分98において片減りする。前述されたような摩擦部材93Aにおける部分的な厚みの変動は、モデル化し難いために制御が困難である。したがって、前述されたような厚みの変動が無いとして設計された摩擦部材93Aにおいて予想外の片減りが生じ、設計より速く摩擦部材93Aを交換しなければならない状況が生じる虞がある。仮に、片減りが生じた摩擦部材93Aが交換されずに継続して使用されると、最終的には摩擦部材93Aに破断が生じて、所望の摺動摩擦が得られない虞がある。
【0012】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置において、スタンドに装着される弾性変形部材の片減りを防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明は、第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置であって、上記第1筐体に第1端が回動自在に接続されて、上記第2筐体が上側へ回動された第1姿勢において当該第2筐体を支持するスタンドと、上記第2筐体に設けられて上記スタンドの第2端が挿入され、上記第2筐体の回動動作に連動して、上記スタンドを上記第1筐体に対して回動させるべく上記第2端を案内するガイド溝と、を具備する。上記スタンドの第2端付近に、当該第2端が上記ガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形の被嵌部が設けられ、上記スタンドの被嵌部に、円筒形状又は楕円筒形状の弾性変形部材が外嵌され、上記弾性変形部材が、上記スタンドの第2端が上記ガイド溝に案内される際に、当該ガイド溝の内壁に対して摺動する。
【0014】
回動装置は、例えば、プリント機能及びスキャン機能を併せ持つ複合機などにおいて実現される。回動装置において、第1筐体と第2筐体とは第2筐体を上側として上下二段に設けられている。第2筐体は、第1筐体に対してヒンジ部を介して連結されており、上側へ持ち上げられるように回動可能である。
【0015】
上側へ回動されて第1姿勢にされた第2筐体は、スタンドに支持されて第1姿勢を維持し得る。このスタンドは、例えば棒材や長尺の平板材などである。スタンドの第1端は第1筐体に回動自在に接続されている。スタンドの第2端は、第2筐体のガイド溝に挿入されている。スタンドの第2端は、第2筐体の回動動作に連動してガイド溝内を移動する。このスタンドの動作において、スタンドの第1端は第1筐体に対して回動する。
【0016】
スタンドの第2端付近には、被嵌部が設けられており、この被嵌部に弾性変形部材が外嵌されている。弾性変形部材は、被嵌部に外嵌された状態においてスタンドの第2端と共にガイド溝に挿入されており、第2端がガイド溝内を移動する際に、ガイド溝の内壁に対して摺動する。この弾性変形部材とガイド溝の内壁との摺動において摺動摩擦が生じるので、スタンドの第2端がガイド溝内を急速度で移動することが抑制され、その結果、第2筐体の急激な回動動作が抑制される。
【0017】
スタンドの被嵌部は、第2端がガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形である。また、弾性変形部材は、円筒形状又は楕円筒形状である。これにより、被嵌部に装着された弾性変形部材は、第1方向と直交する断面において、被嵌部と弾性変形部材との間に生じる摩擦力を超える力が付与されると、被嵌部に対して位置ズレし得る。したがって、ガイド溝において弾性変形部材が内壁に対して摺動する際に、弾性変形部材とガイド溝の内壁との間に生じる摺動摩擦が大きくなると、弾性変形部材が被嵌部に対して回転するように位置ズレが生じ得る。また、被嵌部に装着された弾性変形部材は、円筒形状又は楕円筒形状をなしているので、その周面において圧接部と接触している箇所以外は、圧接部から離れる方向へ湾曲している。したがって、仮に圧接部と接触している箇所より、摺動向きと反対向きの一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦が極端に増大することがない。
【0018】
(2) 上記弾性変形部材は、上記ガイド溝において対向する内壁の間に挟まれて当該対向する内壁それぞれに対して摺動するものであってもよい。
【0019】
(3) 上記ガイド溝において対向する内壁間の距離が、上記弾性変形部材が摺動する第2方向において、当該弾性変形部材と内壁との摩擦力を増減させるべく変化されたものであってもよい。
【0020】
例えば、第2筐体が第1姿勢へ姿勢変化する直前において、弾性変形部材とガイド溝の内壁との摩擦力が増大されるように、ガイド溝において対向する内壁間の距離が近くされると、第2筐体を第1姿勢へ回動させるときにクリック感を発生させることができ、また、第1姿勢の第2筐体が下側へ急激に回動され難くすることができる。
【0021】
(4) 上記弾性変形部材としてゴムがあげられる。本明細書においてゴムとは、ニトリルゴムやフッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどの総称である。
【0022】
(5) 上記第1筐体がプリンタにより構成され、上記第2筐体がスキャナにより構成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スタンドの被嵌部が、第2端がガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形であり、被嵌部に装着される弾性変形部材が、円筒形状又は楕円筒形状であるので、ガイド溝において弾性変形部材が内壁に対して摺動する際に、弾性変形部材とガイド溝の内壁との間に生じる摺動摩擦が大きくなると、弾性変形部材が被嵌部に対して回転するように位置ズレが生じる。これにより、弾性変形部材に生じ得る厚みの変化が小さくなり、弾性変形部材が圧接部に対して摺動する際に、極端に厚みが増すことがない。また、被嵌部に装着された弾性変形部材が円筒形状又は楕円筒形状をなしており、その周面において圧接部と接触している箇所以外が圧接部から離れる方向へ湾曲しているので、仮に圧接部と接触している箇所より、摺動向きと反対向きの一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦が極端に増大することがない。これらにより、スタンドに装着された弾性変形部材の片減りが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、適宜図面が参照されながら本発明の実施形態が説明される。なお、以下の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは言うまでもない。
【0025】
[図面の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。図2は、スキャナ部12を第1姿勢とした複合機10の外観構成を示す斜視図である。図3(A)は、ガイド部材14の左側面図である。図3(B)は、ガイド部材14の底面図である。図4(A)は、図3(B)におけるIVA−IVA断面を示す断面図である。図4(B)は、図3(B)におけるIVB−IVB断面を示す断面図である。図5は、スタンド13の左側面図である。図6は、図5におけるVI−VI断面を示す断面図である。図7は、スキャナ部12が第1姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図8は、スキャナ部12が第1姿勢と第2姿勢の間にあるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図9は、スキャナ部12が第2姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図10は、図8におけるX−X断面を示す断面図である。
【0026】
[複合機10の概略構成]
複合機10は、本発明に係る回動装置の一実施態様である。図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機10の下側にプリンタ部11が配置され、上側にスキャナ部12が配置されている。本発明における第1筐体は、主にプリンタ部11の筐体によって実現されており、第2筐体は、主にスキャナ部12の筐体によって実現されている。
【0027】
プリンタ部11は、スキャナ部12において読み取られた画像データや外部入力された記録データに基づいて、被記録媒体としての記録用紙などに画像や文書を記録する。プリンタ部11の内部構成は、本発明に直接関係しないので、ここでは詳細な説明が省略されるが、例えば、周知のインクジェットプリンタなどの構成が採用されうる。
【0028】
スキャナ部12は、原稿の画像や文字を光学的に読み取って電子データに変換する。スキャナ部12の内部構成は、本発明に直接関係しないので、ここでは詳細な説明が省略されるが、例えば、周知のフラットベッドスキャナなどの構成が採用されうる。
【0029】
[回動機構]
以下に、スキャナ部12がプリンタ部11に対して回動される構造が詳述される。スキャナ部12は、複合機10の背面側(図2における左側)においてヒンジ部を介してプリンタ部11に連結されている。各図においてヒンジ部が現れていないが、このヒンジ部は、周知の構成が採用されうる。このヒンジ部によって、スキャナ部12は、プリンタ部11に対して、装置の正面側を回動先端として、図2に矢印110で示されるように上側へ回動可能である。図2に示されるように、スキャナ部12が上側に回動されて、プリンタ部11の上側から内部へアクセス可能となるスキャナ部12の姿勢が、本発明において第1姿勢と称される。なお、本明細書においては、図1に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11の上側を閉じる姿勢が第2姿勢と称される。
【0030】
図2に示されるように、プリンタ部11とスキャナ部12との間にはスタンド13が設けられている。スタンド13は、装置奥行きより若干短い長さの平板形状であり、第1端21(図5参照)がプリンタ部11における装置正面側(図2における右側)に回動自在に連結されており、第2端22がスキャナ部12に設けられたガイド部材14(図3参照)に挿入されている。スタンド13は、第1姿勢とされたスキャナ部12を、筋交いの如く斜め下方から支持する。スタンド13の詳細な構成については後述される。
【0031】
図2において点線で示されるように、スキャナ部12の底面側であって装置の左側面付近にガイド部材14が収容されている。同図には詳細に現れていないが、ガイド部材14は、スキャナ部12の筐体における底面の一部が凹陥され、その凹陥箇所に嵌め込まれてスキャナ部12として組み付けられている。図3に示されるガイド部材の長尺方向111(図3参照)が、スキャナ部12の奥行き方向に一致されている。
【0032】
[ガイド部材14]
ガイド部材14は、装置高さ方向(矢印112)の断面において、底面側が開口した逆U字形状であり、スキャナ部12の筐体のおける底面側において開口するようにスキャナ部12に組み付けられている。図3及び図4においては、ガイド部材14は、同図の下側へ向いて開口されている。つまり、同図において、矢印112で示される方向が装置高さ方向であり、長尺方向111が装置奥行き方向に合致している。この開口40は、所定の離間距離L1(図3(B)参照)が隔てられて対向する2枚の側壁41,42を主要な部材として構成されている。図3(B)に示されるように、側壁41,42の各下端のほぼ全域に渡って開口40が形成されている。この開口40は、側壁41,42の長尺方向111に渡って連続する1つの開口である。この開口40が、本発明におけるガイド溝に相当し、後述されるように、開口40にスタンド13の第2端22が挿入される。
【0033】
側壁41,42は、長尺方向111の一端及び上端において、連結部材43,44によって連結されている。連結部材43は、ガイド部材14において装置の背面側に対応する端に設けられている。連結部材43には、係合突起45が形成されている。係合突起45は、連結部材43の高さ方向のほぼ中央から長尺方向111に沿って突出している。側壁41の上端付近であって、長尺方向111における係合突起45と反対側の端には、係合突起46が形成されている。係合突起46は、側壁41の上端付近の一部が長尺方向111に沿って延長されることにより、長尺方向111の外側へ突出している。
【0034】
各図には現れていないが、ガイド部材14は、係合突起45,46によってスキャナ部12の筐体に形成された凹陥箇所に嵌め込まれている。スキャナ部12の凹陥箇所の内部には、係合突起45,46にそれぞれ対応する係合孔が設けられている。その係合孔の一方に係合突起45が係合されることによって、ガイド部材14の長尺方向111の一端側が凹陥箇所の奥行き方向(スキャナ部12の高さ方向、図3における矢印112)に対して一定位置に固定される。係合孔の他方に係合突起46が係合されることによって、ガイド部材14の長尺方向111に他端側が凹陥箇所の奥行き方向(矢印112)に対して上下動可能に支持される。つまり、係合突起46は奥行き方向へ長い長孔であり、この長孔の範囲内で係合突起46が移動可能である。このようにして、ガイド部材14がスキャナ部12に組み付けられ、そのガイド部材14は、係合突起45を軸として係合突起46側が上下動可能となる。つまり、スキャナ部12に組み込まれたガイド部材14は、装置背面側を軸として装置正面側がスキャナ部12の底面から出没するように上下動可能である。この上下動により、ガイド部材14が圧接姿勢と非圧接姿勢とに姿勢変化される。
【0035】
図3及び図4に示されるように、ガイド部材14の側壁41には、概ね長尺方向111に沿ってガイド孔47が形成されている。ガイド孔47は、側壁41を厚み方向に貫通する長孔である。ガイド孔47には、スタンド13の第2端22側に設けられたピン24(図5参照)が挿通される。ガイド孔47の幅は、ピン24がガイド孔47に沿ってスライド自在となるようにピン24の外径より若干大きく設定されている。ピン24がスライドする方向は概ね長尺方向111であり、長尺方向111が本発明における第2方向に相当する。
【0036】
ガイド孔47において装置正面側に対応する端には、係止孔48がガイド孔47から連続され且つガイド孔47から斜め上方へ向かって延出されている。ピン24がガイド孔47から係止孔48へ進入することにより、図2に示されるように、スタンド13が、第1姿勢のスキャナ部12を支持する位置に保持される。
【0037】
ガイド孔47と係止孔48との境界には、ガイド孔47の溝幅を拡げる方向へ弾性変形可能なアーム49が設けられている。アーム49は、ガイド孔47の上端からガイド孔47と係止孔48との境界へ向かって突出している。アーム49の突出端はガイド孔47の溝幅を狭めるように拡幅されている。したがって、後述されるように、スタンド13のピン24がガイド孔47と係止孔48との境界を通過するには、アーム49がガイド孔47の上端側へ弾性変形される必要がある。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰によって、スタンド13のピン24がガイド孔47と係止孔48との境界を通過する際のクリック感が発生しうる。
【0038】
側壁41,42は、離間距離L1が隔てられて相互に対向する内面51,52をそれぞれ有する。各内面51,52においてガイド孔47より下側の一部が、スタンド13に設けられたフリクションラバー16と摺接しうる。この各内面51,52が、本発明における内壁に相当する。フリクションラバー16と摺接しうる各内面51,51は、長尺方向111に沿って、ガイド孔47とほぼ同じ長さに渡って形成されている。
【0039】
各内面51,52において係合突起45が設けられた側には、すなわち装置背面側に近い位置には、膨出部53,54がそれぞれ設けられている。この膨出部53,54は、各内面51,52から、各々が対向する他方の内面52,51へ向かって山形状に膨らんでいる。膨出部53,54がなす山形状の斜面は、頂上から係合突起45側へ向かって延びる斜面の方が、頂上から係合突起46側へ向かって延びる斜面より急斜面である。各膨出部53,54によって、係止孔48付近における内面51,52の離間距離L1が狭められている。離間距離L1は、各膨出部53,54の頂上において最も狭い離間距離L2(L1>L2)となる。
【0040】
[スタンド13]
複合機10が図1に示される第2姿勢にあるとき、スタンド13は、図5に示されるように、装置高さ方向(矢印112)に幅広の平板形状であり、装置奥行き方向を長尺方向111とする長尺部材である。スタンド13の第1端21側には、厚み方向に孔23が形成されている。この孔23にプリンタ部11に設けられたピン(不図示)が挿通されて、スタンド13の第1端21がプリンタ部11に回動自在に連結されている。
【0041】
スタンド13の第2端22は、長尺方向111から若干屈曲されて矢印113で示される傾斜方向上側へ突出している。第2端22は、前述されたガイド部材14の開口40に挿入され、矢印113が挿入方向に相当する。つまり、矢印113で示される方向が、本発明における第1方向に相当する。この第2端22には、厚み方向(図5における紙面と垂直な方向)へ突出するピン24が形成されている。ピン24は、前述されたガイド部材14のガイド孔47に挿入されて、ガイド孔47に沿って移動可能である。
【0042】
第2端22において、ピン24の近傍であってピン24よりスタンド13の中央側には、ネック部25(図6参照)が設けられている。図6に示されるように、ネック部25は、矢印113と直交する断面において、ほぼ楕円形状の外形をなしている。ネック部25の楕円形状は、装置の高さ方向(矢印112)に長く、装置の幅方向(図5における紙面に垂直な方向)に短い。このネック部25が、本発明における被嵌部に相当する。
【0043】
ネック部25にフリクションラバー16が外嵌されることによって、ネック部25の外周面がフリクションラバー16に覆われている。フリクションラバー16は、ゴム製の弾性変形部材である。フリクションラバー16は、ネック部25の外周面をほぼ覆うことができる長さの円筒形状のチューブである。フリクションラバー16は、拡径するように弾性変形されながらネック部25に装着されて、接着剤などによりネック部25の外周面に貼り付けられて固定されている。ネック部25及びフリクションラバー16は、前述されたガイド部材14の開口40に挿入されて、側壁41,42の内面51,52に摺接して所望の摺動摩擦を発生しうる。
【0044】
図6に示されるように、ネック部25の楕円形状の断面において、短半径幅W1は、前述されたガイド部材14の各内面51,52における膨出部53,54の離間距離L2より狭い(W1<L2)。したがって、ネック部25は膨出部53,54を容易に通過可能である。同断面において、ネック部25に装着されたフリクションラバー16の外径における短半径W2は、ガイド部材14の各内面51,52の離間距離L1より広く、かつ膨出部53,54の離間距離L2より広い(W2>L1>L2)。
【0045】
したがって、フリクションラバー16は、スタンド13のピン24がガイド部材14のガイド孔47を移動する際に、各内面51,52に常に接触して摺動摩擦を発生させる。さらに、フリクションラバー16は、ガイド部材14の膨出部53,54間を通過する際に、厚みが薄くなるように弾性変形する。この弾性変形によってフリクションラバー16と膨出部53,54との接触圧が増加されて、フリクションラバー16と膨出部53,54との摺動摩擦が膨出部53,54の頂上へ向かって増大される。換言すれば、内面51,52の離間距離L1は、膨出部53,54によって、フリクションラバー16が側壁41,42間を長尺方向111へ移動する際の摺動摩擦が増大される。
【0046】
[回動動作]
以下に、スキャナ部12の回動に伴うスタンド13及びガイド部材14の動作が説明される。
【0047】
スキャナ部12がプリンタ部11に対して回動されるに伴い、スタンド13が第1端21側の孔23を回動軸として上側へ回動される。スタンド13の第2端22側のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47に沿ってスライド移動される。ガイド部材14は、スキャナ部12の筐体底面に形成された凹陥箇所に収容されており、スキャナ部12とともに装置背面側のヒンジ部を回動軸として回動される。
【0048】
前述されたように、ガイド部材14は、係合突起45を軸として係合突起46側が上下動され、ガイド部材14が圧接姿勢と非圧接姿勢に姿勢変化される。図2に示される第1姿勢側へスキャナ部12が回動されて、ガイド部材14に外力が付与されなければ、重力によりガイド部材14の係合突起46側が降下されてスキャナ部12の底面から突出する。この突出した部分には、ガイド部材14の内面51,52の下端側、つまりスタンド13のフリクションラバー16が摺接される部位が含まれる。
【0049】
例えば、図2に示される第1姿勢から図1に示される第2姿勢へスキャナ部12が回動される際には、スタンド13のピン24を通じてガイド部材14へ上向きの外力が付与される。この上向きの外力によって、スキャナ部12の筐体底面から一部が突出したガイド部材14は、重力に抗して筐体の凹陥箇所に没入される。この没入に伴って、ガイド部材14の内面51,52もスキャナ部12の凹陥箇所に収容される。
【0050】
図1に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11に対して閉じられた状態(第2姿勢)と、図2に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11に対して開かれた状態(第1姿勢)とに姿勢変化されると、スタンド13及びガイド部材14は、第2姿勢において図7に示される状態となり、第1姿勢において図9に示される状態となる。
【0051】
スキャナ部12が第2姿勢であるとき、図7に示されるように、スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47して装置背面側(図7における左側)の端に位置される。スタンド13及びガイド部材14は、共に水平方向(図7における左右方向)を長尺方向とした姿勢にある。
【0052】
スキャナ部12が第2姿勢から第1姿勢へ向かって回動されると、図8に示されるように、ガイド部材14がスキャナ部12とともに回動される。ガイド部材14が、ヒンジ部を軸として係合突起46側を上側へ回動される動作に伴って、ガイド孔47に係合されているピン24が上側へ持ち上げられる。これにより、スタンド13が第1端21の孔23を軸として起立するように上側へ回動され、この回動に伴って、ピン24がガイド孔47を装置背面側から装置正面側へスライドされる。このピン24のスライドに伴って、フリクションラバー16は内面51,52又は膨出部53,54に対して摺動する。
【0053】
ガイド部材14が、ガイド孔47に係合されたピン24を持ち上げる反力として、ガイド部材14に下方向の負荷が生ずる。この負荷により、ガイド部材14の係合突起46側がスキャナ部12の筐体の底面から突出するように降下する。つまり、ガイド部材14が非圧接姿勢になる。
【0054】
前述されたようにガイド部材14が非圧接姿勢になることにより、フリクションラバー16がガイド部材14の内面51,52に対して摺動する際に、側壁41,42が離間距離L1が遠くなるように弾性変形し得る。これにより、フリクションラバー16と内面51,52又は膨出部53,54との摺動摩擦が、圧接姿勢に比して小さくなり、スキャナ部12を第2姿勢から第1姿勢へ回動する際の負荷が小さくなる。
【0055】
スキャナ部12が第1姿勢になると、図9に示されるように、スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47から係止孔48に進入する。ピン24は、ガイド孔47から係止孔48に進入する際にアーム49を弾性変形させ、ピン24が係止孔48に完全に進入すると、アーム49が弾性復帰する。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰により、ピン24が係止孔48へ進入した際に、スキャナ部12を回動している操作者が、クリック感を感じうる。ピン24が係止孔48へ進入した後、スキャナ部12が若干下側へ回動されることによって、ピン24が係止孔48における係合突起46側の端へ到達する。このピン24と係止孔48との係合状態においては、スキャナ部12が再び持ち上げられない限り、ピン24がガイド孔47へ戻らない。したがって、スタンド13は、図9に示される起立された状態に維持される。起立したスタンド13は、第1姿勢のスキャナ部12を筋交いの如く支持する。
【0056】
第1姿勢から第2姿勢へスキャナ部12が回動される際には、係止孔48に進入したピン24をガイド孔47へ戻すべく、スキャナ部12が一旦持ち上げられる。これにより、ピン24が係止孔48とガイド孔47との境界付近へ移動される。その後、スキャナ部12が押し下げられることにより、ピン24が、アーム49を弾性変形させてガイド孔47へ進入する。ピン24がガイド孔47へ進入すると、アーム49が弾性復帰する。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰により、ピン24がガイド孔47へ進入した際に、スキャナ部12を回動している操作者が、クリック感を感じうる。
【0057】
スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47に係合されているので、スキャナ部12が第2姿勢へ回動されると、ガイド孔47によってピン24が下側へ押し下げられる。これにより、スタンド13が第1端21の孔23を軸として倒伏するように回動され、これに伴って、ピン24は、ガイド孔47を装置正面側から装置背面側へスライドされる。
【0058】
ガイド部材14が、ガイド孔47に係合されたピン24を押し下げる反力として、ガイド部材14に上方向の負荷が生ずる。これにより、ガイド部材14は、係合突起46側が上昇されて、内面51,52も含めてスキャナ部12の筐体の凹陥箇所に没入される。つまり、ガイド部材14が圧接姿勢になる。
【0059】
ガイド部材14が圧接姿勢となることによって、フリクションラバー16がガイド部材14の内面51,52に対して摺接する際に、側壁41,42が離間距離L1を維持する。つまり、スキャナ部12の筐体の凹陥箇所内に位置決めされた側壁41,42は弾性変形し得ない。これにより、フリクションラバー16と内面51,52又は膨出部53,54との摺動摩擦が、非圧接姿勢に比して大きくなり、スキャナ部12を第1姿勢から第2姿勢へ回動する際の負荷が大きくなる。
【0060】
図8に示されるように、フリクションラバー16が膨出部53,54との間を通過する際には、内面51,52の離間距離L1より狭い離間距離L2を通過しなければならないので、フリクションラバー16が受ける圧力が大きくなり、摺動摩擦が増す。これにより、図8に示された回動状態付近において、スキャナ部12が第2姿勢へ急激に回動され難くなる。そして、フリクションラバー16が膨出部53,54の頂上を通過すると、膨出部53,54間の離間距離L2が離間距離L1へ拡がるので、フリクションラバー16に生じる摺動摩擦が減少する。そして、スキャナ部12が第2姿勢とされる。
【0061】
例えば、図8に示されるように、フリクションラバー16が膨出部53,54との間を通過する際には、大きな摺動摩擦がフリクションラバー16に生じる。図10に示されるように、スタンド13のネック部25に装着されたフリクションラバー16は、その断面形状が楕円形である。同図に示される断面において、膨出部53,54の間を通過するフリクションラバー16は、外周面における楕円の短半径方向114の両端となる部位61,62において、膨出部53,54とそれぞれ圧接する。そして、スタンド13が摺動向き115へ移動すると、フリクションラバー16は膨出部53,54に対して摺動する。この摺動において、フリクションラバー16と膨出部53,54との間に摺動摩擦F(矢印116,117)が生じる。
【0062】
前述された摺動摩擦Fが、ネック部25とフリクションラバー16との間に生じる摩擦力を超えると、フリクションラバー16がネック部25に対して回転するように位置ズレしうる。本実施形態では、各部位61,62において生ずる摺動摩擦Fが均等なので、フリクションラバー16は、ネック部25に対して回転せずに、一部の厚みが薄くなるように位置ズレする。つまり、ここでのフリクションラバー16の位置ズレは、フリクションラバー16の部位61,62より摺動向き115の前方において、楕円形状の長半径方向の端である部位63から矢印118,119で示される向きの引っ張り力が生じて、部位61,62より摺動向き115の前方においてフリクションラバー16の厚みが若干薄くなるように生じる。これに伴って、部位61,62より摺動向き115の後方においてフリクションラバー16の厚みが若干増加する。
【0063】
仮に、部位61,62より摺動向き115の直後方においてフリクションラバー16の厚みが増加したとしても、その厚みの増加によって部位61,62より大きな摺動摩擦で膨出部53,54と摺接することがない。詳細に説明するに、前述されたようにフリクションラバー16の外形は楕円形状であり、その短半径の両端となる部位61,62において膨出部53,54と接触し、部位61,62より摺動向き115の直後方においては、フリクションラバー16の外周面は、膨出部53,54から離れる方向へ湾曲している。したがって、前述されたようにフリクションラバー16の厚みが増加しても、フリクションラバー16の外周面が膨出部53,54から離れるように湾曲していることによって、フリクションラバー16の厚みが膨出部53,54側へのみ増加せずに、ネック部25側へも増加する。
【0064】
前述されたように、ネック部25が楕円形状であることによって、フリクションラバー16において、部位61,62から最も離れた部位63から部位61,62へ引っ張り力が生じることにより、部位61,62より摺動向き115の前方におけるフリクションラバー16の厚みの低下が比較的少なくなる。したがって、部位61,62より摺動向き115の後方におけるフリクションラバー16の厚みの増加も比較的少なくなる。そして、部位61,62より摺動向き115の後方においては、フリクションラバー16の厚みが膨出部53,54側のみならず、ネック部25側へも増加する。これにより、摺動摩擦Fによってフリクションラバー16の厚みが増加したとしても、その厚みの増したフリクションラバー16の一部分において摺動摩擦Fが極端に増大することがない。
【0065】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、本実施形態によれば、スタンド13のネック部25が、第2端22がガイド部材14の開口40へ挿入される113方向と直交する断面の形状が楕円形であり、ネック部25に装着されるフリクションラバー16が円筒形状であるので、ガイド部材14においてフリクションラバー16が膨出部53,54に対して摺動する際に摺動摩擦Fが大きくなると、フリクションラバー16がネック部25に対して位置ズレが生じるこの位置ズレは、フリクションラバー16における膨出部53,54との接触位置である部位61,62から最も離れた部位63から部位61,62への引っ張り力により生ずるので、フリクションラバー16に生じ得る厚みの変化が比較的小さくなり、部位61,62付近において極端に厚みが増すことがない。
【0066】
また、フリクションラバー16においては、楕円形状の外周面において短半径方向114の両端である部位61,62において膨出部53,54と接触しているので、仮に膨出部53,54と接触している部位61,62より摺動向き115より後方の一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦Fが極端に増大することがない。これらにより、スタンド13に装着されたフリクションラバー16の片減りが防止される。
【0067】
なお、本実施形態においては、ネック部25の断面形状が楕円形であり、フリクションラバー16が円筒形状のチューブとしたが、フリクションラバー16が楕円形状のチューブであってもよい。また、ネック部25の断面形状が円形であってもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、フリクションラバー16は、ガイド部材14において対向する側壁41,42の間に挟まれて内面51,52それぞれに対して摺動するものであるが、ガイド部材14は必ずしも対向する側壁41,42を有さなくてもよい。例えば、ガイド部材14により一方の壁が構成され、スキャナ部12の筐体により他方の壁が構成されてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、ガイド部材14において対向する側壁41,42の離間距離L1が、膨出部53,54により離間距離L2に狭められるものとしたが、本発明において、膨出部53,54が必ずしも設けられる必要はない。
【0070】
また、本実施形態においては、本発明における第1筐体がプリンタ部11により構成され、第2筐体がスキャナ部12により構成されているが、第1筐体及び第2筐体は他の機能を発揮する機能部分であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、スキャナ部12を第1姿勢とした複合機10の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、ガイド部材14の左側面図である。図3(B)は、ガイド部材14の底面図である。
【図4】図4(A)は、図3(B)におけるIVA−IVA断面を示す断面図である。図4(B)は、図3(B)におけるIVB−IVB断面を示す断面図である。
【図5】図5は、スタンド13の左側面図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI断面を示す断面図である。
【図7】図7は、スキャナ部12が第1姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図8】図8は、スキャナ部12が第1姿勢と第2姿勢の間にあるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図9】図9は、スキャナ部12が第2姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図10】図10は、図8におけるX−X断面を示す断面図である。
【図11】図11は、従来の摩擦部材93Aの問題点を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・複合機(回動装置)
11・・・プリンタ部(第1筐体)
12・・・スキャナ部(第2筐体)
13・・・スタンド
14・・・ガイド部材(ガイド溝)
16・・・フリクションラバー(弾性変形部材)
21・・・第1端
22・・・第2端
25・・・ネック部(被嵌部)
51,52・・・内面(内壁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント機能やスキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を一体的に備えた装置が実用化されている。このように複数の機能を備えた装置は、一般に多機能装置(Multi Function Device)と呼ばれる。
【0003】
多機能装置には、プリント機能やコピー機能、ファクシミリ機能等を実現するために、記録用紙に画像記録を行う画像記録部が設けられている。このような画像記録部は、例えばインクジェットプリンタやレーザプリンタなどによって実現される。また、多機能装置には、スキャン機能やコピー機能を実現するために、原稿の画像を読み取る画像読取部が設けられている。このような画像読取部は、例えば、フラットベッドスキャナなどにより実現される。
【0004】
多機能装置において、画像読取部が画像記録部の上側に配置された上下二段構造が採用されることが一般的である。画像読取部を上側とすることによって、フラットベッドスキャナなどによる画像読取りに際して、プラテンガラス上へ原稿をセットすることが容易になり、操作性が優れるからである。一方、画像記録部においては、ジャム処理やインクカートリッジの交換などのメンテナンス作業が必要になる。このようなメンテナンス作業において画像記録部の内部にアクセスするために、画像記録部の筐体の一部が開口される必要がある。画像記録部の内部へのアクセス手段として、画像記録部に対して画像読取部が開閉される機構が挙げられる。
【0005】
メンテナンス作業の間、画像読取部は、作業者が支持することなく、画像記録部に対して開かれた状態に維持されることが望ましい。これを実現する構成として、特許文献1には、開かれた画像読取部を筋交いの如く支持するスキャナスタンドが開示されている。
【0006】
特許文献2には、第1ケースに対して第2ケースが開かれた状態を維持可能なスタンド部材が開示されている。また、スタンド部材の先端に摩擦部材が設けられることにより、第2ケースが第1ケースに対して閉じられる方向へ急回動されることが防止されている。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3093658号公報
【特許文献2】特開2007−331337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2のような摩擦部材は、例えばゴムにより実現される。しかし、第2ケースの開閉が繰り返されると、ゴムの摩耗が予想より速く進行する虞がある。
【0009】
例えば、特許文献2においては、支持部材90の摩擦部93の全周面を囲むように角筒形状の摩擦部材93Aが設けられている。この摩擦部材93Aは、摩擦部93に装着された状態において楔型形状をなしている。この摩擦部材93Aが負荷調整部材100の圧接部106に対して摺動する。圧接部106は、摩擦部材93Aの摺動摩擦が変化するように山形形状をなしている。摩擦部材93Aは、支持部材90が回動する際に圧接部106に対して摺動する。圧接部106は山形形状をなしているので、摩擦部材93Aと圧接部106とは、必ずしも面接触しない。
【0010】
図11(A)に示されるように、摩擦部93に設けられた摩擦部材93Aが負荷調整部材100の圧接部106に対して摺動する際に、摺動摩擦によって、摩擦部材93Aにおいて圧接部106と接触している接触箇所92が摺動向き91と反対向きへ引っ張られる。摩擦部材93Aの隅94は摩擦部93の隅と係合しているので、摺動向き91の前側であって圧接部106と接触していない摩擦部材93Aの一部分95が、隅94を超えて接触箇所92側へ移動することはない。その結果、図11(B)に示されるように、摩擦部材93Aにおいて隅94から接触箇所92までの一部分97が、摺動向き91と反対向きへ引っ張られて厚みが薄くなり、これに伴って、接触箇所92から摺動向き91における後方の隅96までの一部分98において摩擦部材93Aの厚みが増す。このような摩擦部材93Aの厚みの変化は、摩擦部材93Aと圧接部106との間に生じる摺動摩擦が大きいほど顕著に生じ得る。
【0011】
前述された一部分98において、厚みが増した分だけ圧接部106との摺動摩擦が増大し、一部分98において摩擦部材93Aの摩耗が大きくなる。これにより、図11(C)に示されるように、摩擦部材93Aが一部分98において片減りする。前述されたような摩擦部材93Aにおける部分的な厚みの変動は、モデル化し難いために制御が困難である。したがって、前述されたような厚みの変動が無いとして設計された摩擦部材93Aにおいて予想外の片減りが生じ、設計より速く摩擦部材93Aを交換しなければならない状況が生じる虞がある。仮に、片減りが生じた摩擦部材93Aが交換されずに継続して使用されると、最終的には摩擦部材93Aに破断が生じて、所望の摺動摩擦が得られない虞がある。
【0012】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置において、スタンドに装着される弾性変形部材の片減りを防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明は、第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置であって、上記第1筐体に第1端が回動自在に接続されて、上記第2筐体が上側へ回動された第1姿勢において当該第2筐体を支持するスタンドと、上記第2筐体に設けられて上記スタンドの第2端が挿入され、上記第2筐体の回動動作に連動して、上記スタンドを上記第1筐体に対して回動させるべく上記第2端を案内するガイド溝と、を具備する。上記スタンドの第2端付近に、当該第2端が上記ガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形の被嵌部が設けられ、上記スタンドの被嵌部に、円筒形状又は楕円筒形状の弾性変形部材が外嵌され、上記弾性変形部材が、上記スタンドの第2端が上記ガイド溝に案内される際に、当該ガイド溝の内壁に対して摺動する。
【0014】
回動装置は、例えば、プリント機能及びスキャン機能を併せ持つ複合機などにおいて実現される。回動装置において、第1筐体と第2筐体とは第2筐体を上側として上下二段に設けられている。第2筐体は、第1筐体に対してヒンジ部を介して連結されており、上側へ持ち上げられるように回動可能である。
【0015】
上側へ回動されて第1姿勢にされた第2筐体は、スタンドに支持されて第1姿勢を維持し得る。このスタンドは、例えば棒材や長尺の平板材などである。スタンドの第1端は第1筐体に回動自在に接続されている。スタンドの第2端は、第2筐体のガイド溝に挿入されている。スタンドの第2端は、第2筐体の回動動作に連動してガイド溝内を移動する。このスタンドの動作において、スタンドの第1端は第1筐体に対して回動する。
【0016】
スタンドの第2端付近には、被嵌部が設けられており、この被嵌部に弾性変形部材が外嵌されている。弾性変形部材は、被嵌部に外嵌された状態においてスタンドの第2端と共にガイド溝に挿入されており、第2端がガイド溝内を移動する際に、ガイド溝の内壁に対して摺動する。この弾性変形部材とガイド溝の内壁との摺動において摺動摩擦が生じるので、スタンドの第2端がガイド溝内を急速度で移動することが抑制され、その結果、第2筐体の急激な回動動作が抑制される。
【0017】
スタンドの被嵌部は、第2端がガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形である。また、弾性変形部材は、円筒形状又は楕円筒形状である。これにより、被嵌部に装着された弾性変形部材は、第1方向と直交する断面において、被嵌部と弾性変形部材との間に生じる摩擦力を超える力が付与されると、被嵌部に対して位置ズレし得る。したがって、ガイド溝において弾性変形部材が内壁に対して摺動する際に、弾性変形部材とガイド溝の内壁との間に生じる摺動摩擦が大きくなると、弾性変形部材が被嵌部に対して回転するように位置ズレが生じ得る。また、被嵌部に装着された弾性変形部材は、円筒形状又は楕円筒形状をなしているので、その周面において圧接部と接触している箇所以外は、圧接部から離れる方向へ湾曲している。したがって、仮に圧接部と接触している箇所より、摺動向きと反対向きの一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦が極端に増大することがない。
【0018】
(2) 上記弾性変形部材は、上記ガイド溝において対向する内壁の間に挟まれて当該対向する内壁それぞれに対して摺動するものであってもよい。
【0019】
(3) 上記ガイド溝において対向する内壁間の距離が、上記弾性変形部材が摺動する第2方向において、当該弾性変形部材と内壁との摩擦力を増減させるべく変化されたものであってもよい。
【0020】
例えば、第2筐体が第1姿勢へ姿勢変化する直前において、弾性変形部材とガイド溝の内壁との摩擦力が増大されるように、ガイド溝において対向する内壁間の距離が近くされると、第2筐体を第1姿勢へ回動させるときにクリック感を発生させることができ、また、第1姿勢の第2筐体が下側へ急激に回動され難くすることができる。
【0021】
(4) 上記弾性変形部材としてゴムがあげられる。本明細書においてゴムとは、ニトリルゴムやフッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどの総称である。
【0022】
(5) 上記第1筐体がプリンタにより構成され、上記第2筐体がスキャナにより構成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スタンドの被嵌部が、第2端がガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形であり、被嵌部に装着される弾性変形部材が、円筒形状又は楕円筒形状であるので、ガイド溝において弾性変形部材が内壁に対して摺動する際に、弾性変形部材とガイド溝の内壁との間に生じる摺動摩擦が大きくなると、弾性変形部材が被嵌部に対して回転するように位置ズレが生じる。これにより、弾性変形部材に生じ得る厚みの変化が小さくなり、弾性変形部材が圧接部に対して摺動する際に、極端に厚みが増すことがない。また、被嵌部に装着された弾性変形部材が円筒形状又は楕円筒形状をなしており、その周面において圧接部と接触している箇所以外が圧接部から離れる方向へ湾曲しているので、仮に圧接部と接触している箇所より、摺動向きと反対向きの一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦が極端に増大することがない。これらにより、スタンドに装着された弾性変形部材の片減りが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、適宜図面が参照されながら本発明の実施形態が説明される。なお、以下の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは言うまでもない。
【0025】
[図面の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。図2は、スキャナ部12を第1姿勢とした複合機10の外観構成を示す斜視図である。図3(A)は、ガイド部材14の左側面図である。図3(B)は、ガイド部材14の底面図である。図4(A)は、図3(B)におけるIVA−IVA断面を示す断面図である。図4(B)は、図3(B)におけるIVB−IVB断面を示す断面図である。図5は、スタンド13の左側面図である。図6は、図5におけるVI−VI断面を示す断面図である。図7は、スキャナ部12が第1姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図8は、スキャナ部12が第1姿勢と第2姿勢の間にあるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図9は、スキャナ部12が第2姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。図10は、図8におけるX−X断面を示す断面図である。
【0026】
[複合機10の概略構成]
複合機10は、本発明に係る回動装置の一実施態様である。図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機10の下側にプリンタ部11が配置され、上側にスキャナ部12が配置されている。本発明における第1筐体は、主にプリンタ部11の筐体によって実現されており、第2筐体は、主にスキャナ部12の筐体によって実現されている。
【0027】
プリンタ部11は、スキャナ部12において読み取られた画像データや外部入力された記録データに基づいて、被記録媒体としての記録用紙などに画像や文書を記録する。プリンタ部11の内部構成は、本発明に直接関係しないので、ここでは詳細な説明が省略されるが、例えば、周知のインクジェットプリンタなどの構成が採用されうる。
【0028】
スキャナ部12は、原稿の画像や文字を光学的に読み取って電子データに変換する。スキャナ部12の内部構成は、本発明に直接関係しないので、ここでは詳細な説明が省略されるが、例えば、周知のフラットベッドスキャナなどの構成が採用されうる。
【0029】
[回動機構]
以下に、スキャナ部12がプリンタ部11に対して回動される構造が詳述される。スキャナ部12は、複合機10の背面側(図2における左側)においてヒンジ部を介してプリンタ部11に連結されている。各図においてヒンジ部が現れていないが、このヒンジ部は、周知の構成が採用されうる。このヒンジ部によって、スキャナ部12は、プリンタ部11に対して、装置の正面側を回動先端として、図2に矢印110で示されるように上側へ回動可能である。図2に示されるように、スキャナ部12が上側に回動されて、プリンタ部11の上側から内部へアクセス可能となるスキャナ部12の姿勢が、本発明において第1姿勢と称される。なお、本明細書においては、図1に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11の上側を閉じる姿勢が第2姿勢と称される。
【0030】
図2に示されるように、プリンタ部11とスキャナ部12との間にはスタンド13が設けられている。スタンド13は、装置奥行きより若干短い長さの平板形状であり、第1端21(図5参照)がプリンタ部11における装置正面側(図2における右側)に回動自在に連結されており、第2端22がスキャナ部12に設けられたガイド部材14(図3参照)に挿入されている。スタンド13は、第1姿勢とされたスキャナ部12を、筋交いの如く斜め下方から支持する。スタンド13の詳細な構成については後述される。
【0031】
図2において点線で示されるように、スキャナ部12の底面側であって装置の左側面付近にガイド部材14が収容されている。同図には詳細に現れていないが、ガイド部材14は、スキャナ部12の筐体における底面の一部が凹陥され、その凹陥箇所に嵌め込まれてスキャナ部12として組み付けられている。図3に示されるガイド部材の長尺方向111(図3参照)が、スキャナ部12の奥行き方向に一致されている。
【0032】
[ガイド部材14]
ガイド部材14は、装置高さ方向(矢印112)の断面において、底面側が開口した逆U字形状であり、スキャナ部12の筐体のおける底面側において開口するようにスキャナ部12に組み付けられている。図3及び図4においては、ガイド部材14は、同図の下側へ向いて開口されている。つまり、同図において、矢印112で示される方向が装置高さ方向であり、長尺方向111が装置奥行き方向に合致している。この開口40は、所定の離間距離L1(図3(B)参照)が隔てられて対向する2枚の側壁41,42を主要な部材として構成されている。図3(B)に示されるように、側壁41,42の各下端のほぼ全域に渡って開口40が形成されている。この開口40は、側壁41,42の長尺方向111に渡って連続する1つの開口である。この開口40が、本発明におけるガイド溝に相当し、後述されるように、開口40にスタンド13の第2端22が挿入される。
【0033】
側壁41,42は、長尺方向111の一端及び上端において、連結部材43,44によって連結されている。連結部材43は、ガイド部材14において装置の背面側に対応する端に設けられている。連結部材43には、係合突起45が形成されている。係合突起45は、連結部材43の高さ方向のほぼ中央から長尺方向111に沿って突出している。側壁41の上端付近であって、長尺方向111における係合突起45と反対側の端には、係合突起46が形成されている。係合突起46は、側壁41の上端付近の一部が長尺方向111に沿って延長されることにより、長尺方向111の外側へ突出している。
【0034】
各図には現れていないが、ガイド部材14は、係合突起45,46によってスキャナ部12の筐体に形成された凹陥箇所に嵌め込まれている。スキャナ部12の凹陥箇所の内部には、係合突起45,46にそれぞれ対応する係合孔が設けられている。その係合孔の一方に係合突起45が係合されることによって、ガイド部材14の長尺方向111の一端側が凹陥箇所の奥行き方向(スキャナ部12の高さ方向、図3における矢印112)に対して一定位置に固定される。係合孔の他方に係合突起46が係合されることによって、ガイド部材14の長尺方向111に他端側が凹陥箇所の奥行き方向(矢印112)に対して上下動可能に支持される。つまり、係合突起46は奥行き方向へ長い長孔であり、この長孔の範囲内で係合突起46が移動可能である。このようにして、ガイド部材14がスキャナ部12に組み付けられ、そのガイド部材14は、係合突起45を軸として係合突起46側が上下動可能となる。つまり、スキャナ部12に組み込まれたガイド部材14は、装置背面側を軸として装置正面側がスキャナ部12の底面から出没するように上下動可能である。この上下動により、ガイド部材14が圧接姿勢と非圧接姿勢とに姿勢変化される。
【0035】
図3及び図4に示されるように、ガイド部材14の側壁41には、概ね長尺方向111に沿ってガイド孔47が形成されている。ガイド孔47は、側壁41を厚み方向に貫通する長孔である。ガイド孔47には、スタンド13の第2端22側に設けられたピン24(図5参照)が挿通される。ガイド孔47の幅は、ピン24がガイド孔47に沿ってスライド自在となるようにピン24の外径より若干大きく設定されている。ピン24がスライドする方向は概ね長尺方向111であり、長尺方向111が本発明における第2方向に相当する。
【0036】
ガイド孔47において装置正面側に対応する端には、係止孔48がガイド孔47から連続され且つガイド孔47から斜め上方へ向かって延出されている。ピン24がガイド孔47から係止孔48へ進入することにより、図2に示されるように、スタンド13が、第1姿勢のスキャナ部12を支持する位置に保持される。
【0037】
ガイド孔47と係止孔48との境界には、ガイド孔47の溝幅を拡げる方向へ弾性変形可能なアーム49が設けられている。アーム49は、ガイド孔47の上端からガイド孔47と係止孔48との境界へ向かって突出している。アーム49の突出端はガイド孔47の溝幅を狭めるように拡幅されている。したがって、後述されるように、スタンド13のピン24がガイド孔47と係止孔48との境界を通過するには、アーム49がガイド孔47の上端側へ弾性変形される必要がある。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰によって、スタンド13のピン24がガイド孔47と係止孔48との境界を通過する際のクリック感が発生しうる。
【0038】
側壁41,42は、離間距離L1が隔てられて相互に対向する内面51,52をそれぞれ有する。各内面51,52においてガイド孔47より下側の一部が、スタンド13に設けられたフリクションラバー16と摺接しうる。この各内面51,52が、本発明における内壁に相当する。フリクションラバー16と摺接しうる各内面51,51は、長尺方向111に沿って、ガイド孔47とほぼ同じ長さに渡って形成されている。
【0039】
各内面51,52において係合突起45が設けられた側には、すなわち装置背面側に近い位置には、膨出部53,54がそれぞれ設けられている。この膨出部53,54は、各内面51,52から、各々が対向する他方の内面52,51へ向かって山形状に膨らんでいる。膨出部53,54がなす山形状の斜面は、頂上から係合突起45側へ向かって延びる斜面の方が、頂上から係合突起46側へ向かって延びる斜面より急斜面である。各膨出部53,54によって、係止孔48付近における内面51,52の離間距離L1が狭められている。離間距離L1は、各膨出部53,54の頂上において最も狭い離間距離L2(L1>L2)となる。
【0040】
[スタンド13]
複合機10が図1に示される第2姿勢にあるとき、スタンド13は、図5に示されるように、装置高さ方向(矢印112)に幅広の平板形状であり、装置奥行き方向を長尺方向111とする長尺部材である。スタンド13の第1端21側には、厚み方向に孔23が形成されている。この孔23にプリンタ部11に設けられたピン(不図示)が挿通されて、スタンド13の第1端21がプリンタ部11に回動自在に連結されている。
【0041】
スタンド13の第2端22は、長尺方向111から若干屈曲されて矢印113で示される傾斜方向上側へ突出している。第2端22は、前述されたガイド部材14の開口40に挿入され、矢印113が挿入方向に相当する。つまり、矢印113で示される方向が、本発明における第1方向に相当する。この第2端22には、厚み方向(図5における紙面と垂直な方向)へ突出するピン24が形成されている。ピン24は、前述されたガイド部材14のガイド孔47に挿入されて、ガイド孔47に沿って移動可能である。
【0042】
第2端22において、ピン24の近傍であってピン24よりスタンド13の中央側には、ネック部25(図6参照)が設けられている。図6に示されるように、ネック部25は、矢印113と直交する断面において、ほぼ楕円形状の外形をなしている。ネック部25の楕円形状は、装置の高さ方向(矢印112)に長く、装置の幅方向(図5における紙面に垂直な方向)に短い。このネック部25が、本発明における被嵌部に相当する。
【0043】
ネック部25にフリクションラバー16が外嵌されることによって、ネック部25の外周面がフリクションラバー16に覆われている。フリクションラバー16は、ゴム製の弾性変形部材である。フリクションラバー16は、ネック部25の外周面をほぼ覆うことができる長さの円筒形状のチューブである。フリクションラバー16は、拡径するように弾性変形されながらネック部25に装着されて、接着剤などによりネック部25の外周面に貼り付けられて固定されている。ネック部25及びフリクションラバー16は、前述されたガイド部材14の開口40に挿入されて、側壁41,42の内面51,52に摺接して所望の摺動摩擦を発生しうる。
【0044】
図6に示されるように、ネック部25の楕円形状の断面において、短半径幅W1は、前述されたガイド部材14の各内面51,52における膨出部53,54の離間距離L2より狭い(W1<L2)。したがって、ネック部25は膨出部53,54を容易に通過可能である。同断面において、ネック部25に装着されたフリクションラバー16の外径における短半径W2は、ガイド部材14の各内面51,52の離間距離L1より広く、かつ膨出部53,54の離間距離L2より広い(W2>L1>L2)。
【0045】
したがって、フリクションラバー16は、スタンド13のピン24がガイド部材14のガイド孔47を移動する際に、各内面51,52に常に接触して摺動摩擦を発生させる。さらに、フリクションラバー16は、ガイド部材14の膨出部53,54間を通過する際に、厚みが薄くなるように弾性変形する。この弾性変形によってフリクションラバー16と膨出部53,54との接触圧が増加されて、フリクションラバー16と膨出部53,54との摺動摩擦が膨出部53,54の頂上へ向かって増大される。換言すれば、内面51,52の離間距離L1は、膨出部53,54によって、フリクションラバー16が側壁41,42間を長尺方向111へ移動する際の摺動摩擦が増大される。
【0046】
[回動動作]
以下に、スキャナ部12の回動に伴うスタンド13及びガイド部材14の動作が説明される。
【0047】
スキャナ部12がプリンタ部11に対して回動されるに伴い、スタンド13が第1端21側の孔23を回動軸として上側へ回動される。スタンド13の第2端22側のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47に沿ってスライド移動される。ガイド部材14は、スキャナ部12の筐体底面に形成された凹陥箇所に収容されており、スキャナ部12とともに装置背面側のヒンジ部を回動軸として回動される。
【0048】
前述されたように、ガイド部材14は、係合突起45を軸として係合突起46側が上下動され、ガイド部材14が圧接姿勢と非圧接姿勢に姿勢変化される。図2に示される第1姿勢側へスキャナ部12が回動されて、ガイド部材14に外力が付与されなければ、重力によりガイド部材14の係合突起46側が降下されてスキャナ部12の底面から突出する。この突出した部分には、ガイド部材14の内面51,52の下端側、つまりスタンド13のフリクションラバー16が摺接される部位が含まれる。
【0049】
例えば、図2に示される第1姿勢から図1に示される第2姿勢へスキャナ部12が回動される際には、スタンド13のピン24を通じてガイド部材14へ上向きの外力が付与される。この上向きの外力によって、スキャナ部12の筐体底面から一部が突出したガイド部材14は、重力に抗して筐体の凹陥箇所に没入される。この没入に伴って、ガイド部材14の内面51,52もスキャナ部12の凹陥箇所に収容される。
【0050】
図1に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11に対して閉じられた状態(第2姿勢)と、図2に示されるように、スキャナ部12がプリンタ部11に対して開かれた状態(第1姿勢)とに姿勢変化されると、スタンド13及びガイド部材14は、第2姿勢において図7に示される状態となり、第1姿勢において図9に示される状態となる。
【0051】
スキャナ部12が第2姿勢であるとき、図7に示されるように、スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47して装置背面側(図7における左側)の端に位置される。スタンド13及びガイド部材14は、共に水平方向(図7における左右方向)を長尺方向とした姿勢にある。
【0052】
スキャナ部12が第2姿勢から第1姿勢へ向かって回動されると、図8に示されるように、ガイド部材14がスキャナ部12とともに回動される。ガイド部材14が、ヒンジ部を軸として係合突起46側を上側へ回動される動作に伴って、ガイド孔47に係合されているピン24が上側へ持ち上げられる。これにより、スタンド13が第1端21の孔23を軸として起立するように上側へ回動され、この回動に伴って、ピン24がガイド孔47を装置背面側から装置正面側へスライドされる。このピン24のスライドに伴って、フリクションラバー16は内面51,52又は膨出部53,54に対して摺動する。
【0053】
ガイド部材14が、ガイド孔47に係合されたピン24を持ち上げる反力として、ガイド部材14に下方向の負荷が生ずる。この負荷により、ガイド部材14の係合突起46側がスキャナ部12の筐体の底面から突出するように降下する。つまり、ガイド部材14が非圧接姿勢になる。
【0054】
前述されたようにガイド部材14が非圧接姿勢になることにより、フリクションラバー16がガイド部材14の内面51,52に対して摺動する際に、側壁41,42が離間距離L1が遠くなるように弾性変形し得る。これにより、フリクションラバー16と内面51,52又は膨出部53,54との摺動摩擦が、圧接姿勢に比して小さくなり、スキャナ部12を第2姿勢から第1姿勢へ回動する際の負荷が小さくなる。
【0055】
スキャナ部12が第1姿勢になると、図9に示されるように、スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47から係止孔48に進入する。ピン24は、ガイド孔47から係止孔48に進入する際にアーム49を弾性変形させ、ピン24が係止孔48に完全に進入すると、アーム49が弾性復帰する。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰により、ピン24が係止孔48へ進入した際に、スキャナ部12を回動している操作者が、クリック感を感じうる。ピン24が係止孔48へ進入した後、スキャナ部12が若干下側へ回動されることによって、ピン24が係止孔48における係合突起46側の端へ到達する。このピン24と係止孔48との係合状態においては、スキャナ部12が再び持ち上げられない限り、ピン24がガイド孔47へ戻らない。したがって、スタンド13は、図9に示される起立された状態に維持される。起立したスタンド13は、第1姿勢のスキャナ部12を筋交いの如く支持する。
【0056】
第1姿勢から第2姿勢へスキャナ部12が回動される際には、係止孔48に進入したピン24をガイド孔47へ戻すべく、スキャナ部12が一旦持ち上げられる。これにより、ピン24が係止孔48とガイド孔47との境界付近へ移動される。その後、スキャナ部12が押し下げられることにより、ピン24が、アーム49を弾性変形させてガイド孔47へ進入する。ピン24がガイド孔47へ進入すると、アーム49が弾性復帰する。このアーム49の弾性変形及び弾性復帰により、ピン24がガイド孔47へ進入した際に、スキャナ部12を回動している操作者が、クリック感を感じうる。
【0057】
スタンド13のピン24は、ガイド部材14のガイド孔47に係合されているので、スキャナ部12が第2姿勢へ回動されると、ガイド孔47によってピン24が下側へ押し下げられる。これにより、スタンド13が第1端21の孔23を軸として倒伏するように回動され、これに伴って、ピン24は、ガイド孔47を装置正面側から装置背面側へスライドされる。
【0058】
ガイド部材14が、ガイド孔47に係合されたピン24を押し下げる反力として、ガイド部材14に上方向の負荷が生ずる。これにより、ガイド部材14は、係合突起46側が上昇されて、内面51,52も含めてスキャナ部12の筐体の凹陥箇所に没入される。つまり、ガイド部材14が圧接姿勢になる。
【0059】
ガイド部材14が圧接姿勢となることによって、フリクションラバー16がガイド部材14の内面51,52に対して摺接する際に、側壁41,42が離間距離L1を維持する。つまり、スキャナ部12の筐体の凹陥箇所内に位置決めされた側壁41,42は弾性変形し得ない。これにより、フリクションラバー16と内面51,52又は膨出部53,54との摺動摩擦が、非圧接姿勢に比して大きくなり、スキャナ部12を第1姿勢から第2姿勢へ回動する際の負荷が大きくなる。
【0060】
図8に示されるように、フリクションラバー16が膨出部53,54との間を通過する際には、内面51,52の離間距離L1より狭い離間距離L2を通過しなければならないので、フリクションラバー16が受ける圧力が大きくなり、摺動摩擦が増す。これにより、図8に示された回動状態付近において、スキャナ部12が第2姿勢へ急激に回動され難くなる。そして、フリクションラバー16が膨出部53,54の頂上を通過すると、膨出部53,54間の離間距離L2が離間距離L1へ拡がるので、フリクションラバー16に生じる摺動摩擦が減少する。そして、スキャナ部12が第2姿勢とされる。
【0061】
例えば、図8に示されるように、フリクションラバー16が膨出部53,54との間を通過する際には、大きな摺動摩擦がフリクションラバー16に生じる。図10に示されるように、スタンド13のネック部25に装着されたフリクションラバー16は、その断面形状が楕円形である。同図に示される断面において、膨出部53,54の間を通過するフリクションラバー16は、外周面における楕円の短半径方向114の両端となる部位61,62において、膨出部53,54とそれぞれ圧接する。そして、スタンド13が摺動向き115へ移動すると、フリクションラバー16は膨出部53,54に対して摺動する。この摺動において、フリクションラバー16と膨出部53,54との間に摺動摩擦F(矢印116,117)が生じる。
【0062】
前述された摺動摩擦Fが、ネック部25とフリクションラバー16との間に生じる摩擦力を超えると、フリクションラバー16がネック部25に対して回転するように位置ズレしうる。本実施形態では、各部位61,62において生ずる摺動摩擦Fが均等なので、フリクションラバー16は、ネック部25に対して回転せずに、一部の厚みが薄くなるように位置ズレする。つまり、ここでのフリクションラバー16の位置ズレは、フリクションラバー16の部位61,62より摺動向き115の前方において、楕円形状の長半径方向の端である部位63から矢印118,119で示される向きの引っ張り力が生じて、部位61,62より摺動向き115の前方においてフリクションラバー16の厚みが若干薄くなるように生じる。これに伴って、部位61,62より摺動向き115の後方においてフリクションラバー16の厚みが若干増加する。
【0063】
仮に、部位61,62より摺動向き115の直後方においてフリクションラバー16の厚みが増加したとしても、その厚みの増加によって部位61,62より大きな摺動摩擦で膨出部53,54と摺接することがない。詳細に説明するに、前述されたようにフリクションラバー16の外形は楕円形状であり、その短半径の両端となる部位61,62において膨出部53,54と接触し、部位61,62より摺動向き115の直後方においては、フリクションラバー16の外周面は、膨出部53,54から離れる方向へ湾曲している。したがって、前述されたようにフリクションラバー16の厚みが増加しても、フリクションラバー16の外周面が膨出部53,54から離れるように湾曲していることによって、フリクションラバー16の厚みが膨出部53,54側へのみ増加せずに、ネック部25側へも増加する。
【0064】
前述されたように、ネック部25が楕円形状であることによって、フリクションラバー16において、部位61,62から最も離れた部位63から部位61,62へ引っ張り力が生じることにより、部位61,62より摺動向き115の前方におけるフリクションラバー16の厚みの低下が比較的少なくなる。したがって、部位61,62より摺動向き115の後方におけるフリクションラバー16の厚みの増加も比較的少なくなる。そして、部位61,62より摺動向き115の後方においては、フリクションラバー16の厚みが膨出部53,54側のみならず、ネック部25側へも増加する。これにより、摺動摩擦Fによってフリクションラバー16の厚みが増加したとしても、その厚みの増したフリクションラバー16の一部分において摺動摩擦Fが極端に増大することがない。
【0065】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、本実施形態によれば、スタンド13のネック部25が、第2端22がガイド部材14の開口40へ挿入される113方向と直交する断面の形状が楕円形であり、ネック部25に装着されるフリクションラバー16が円筒形状であるので、ガイド部材14においてフリクションラバー16が膨出部53,54に対して摺動する際に摺動摩擦Fが大きくなると、フリクションラバー16がネック部25に対して位置ズレが生じるこの位置ズレは、フリクションラバー16における膨出部53,54との接触位置である部位61,62から最も離れた部位63から部位61,62への引っ張り力により生ずるので、フリクションラバー16に生じ得る厚みの変化が比較的小さくなり、部位61,62付近において極端に厚みが増すことがない。
【0066】
また、フリクションラバー16においては、楕円形状の外周面において短半径方向114の両端である部位61,62において膨出部53,54と接触しているので、仮に膨出部53,54と接触している部位61,62より摺動向き115より後方の一部分の厚みが増しても、その厚みの増した一部分において摺動摩擦Fが極端に増大することがない。これらにより、スタンド13に装着されたフリクションラバー16の片減りが防止される。
【0067】
なお、本実施形態においては、ネック部25の断面形状が楕円形であり、フリクションラバー16が円筒形状のチューブとしたが、フリクションラバー16が楕円形状のチューブであってもよい。また、ネック部25の断面形状が円形であってもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、フリクションラバー16は、ガイド部材14において対向する側壁41,42の間に挟まれて内面51,52それぞれに対して摺動するものであるが、ガイド部材14は必ずしも対向する側壁41,42を有さなくてもよい。例えば、ガイド部材14により一方の壁が構成され、スキャナ部12の筐体により他方の壁が構成されてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、ガイド部材14において対向する側壁41,42の離間距離L1が、膨出部53,54により離間距離L2に狭められるものとしたが、本発明において、膨出部53,54が必ずしも設けられる必要はない。
【0070】
また、本実施形態においては、本発明における第1筐体がプリンタ部11により構成され、第2筐体がスキャナ部12により構成されているが、第1筐体及び第2筐体は他の機能を発揮する機能部分であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、スキャナ部12を第1姿勢とした複合機10の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、ガイド部材14の左側面図である。図3(B)は、ガイド部材14の底面図である。
【図4】図4(A)は、図3(B)におけるIVA−IVA断面を示す断面図である。図4(B)は、図3(B)におけるIVB−IVB断面を示す断面図である。
【図5】図5は、スタンド13の左側面図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI断面を示す断面図である。
【図7】図7は、スキャナ部12が第1姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図8】図8は、スキャナ部12が第1姿勢と第2姿勢の間にあるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図9】図9は、スキャナ部12が第2姿勢であるときのスタンド13及びガイド部材14の状態を示す左側面図である。
【図10】図10は、図8におけるX−X断面を示す断面図である。
【図11】図11は、従来の摩擦部材93Aの問題点を示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・複合機(回動装置)
11・・・プリンタ部(第1筐体)
12・・・スキャナ部(第2筐体)
13・・・スタンド
14・・・ガイド部材(ガイド溝)
16・・・フリクションラバー(弾性変形部材)
21・・・第1端
22・・・第2端
25・・・ネック部(被嵌部)
51,52・・・内面(内壁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置であって、
上記第1筐体に第1端が回動自在に接続されて、上記第2筐体が上側へ回動された第1姿勢において当該第2筐体を支持するスタンドと、
上記第2筐体に設けられて上記スタンドの第2端が挿入され、上記第2筐体の回動動作に連動して、上記スタンドを上記第1筐体に対して回動させるべく上記第2端を案内するガイド溝と、を具備し、
上記スタンドの第2端付近に、当該第2端が上記ガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形の被嵌部が設けられ、
上記スタンドの被嵌部に、円筒形状又は楕円筒形状の弾性変形部材が外嵌され、
上記弾性変形部材が、上記スタンドの第2端が上記ガイド溝に案内される際に、当該ガイド溝の内壁に対して摺動するものである回動装置。
【請求項2】
上記弾性変形部材は、上記ガイド溝において対向する内壁の間に挟まれて当該対向する内壁それぞれに対して摺動するものである請求項1に記載の回動装置。
【請求項3】
上記ガイド溝において対向する内壁間の距離が、上記弾性変形部材が摺動する第2方向において、当該弾性変形部材と内壁との摩擦力を増減させるべく変化されたものである請求項2に記載の回動装置。
【請求項4】
上記弾性変形部材がゴムである請求項1から3のいずれかに記載の回動装置。
【請求項5】
上記第1筐体がプリンタにより構成され、上記第2筐体がスキャナにより構成されたものである請求項1から4のいずれかに記載の回動装置。
【請求項1】
第1筐体と第2筐体とが第2筐体を上側として上下二段に設けられ、第2筐体が第1筐体とヒンジ部を介して連結されることにより、第2筐体が上側へ回動可能である回動装置であって、
上記第1筐体に第1端が回動自在に接続されて、上記第2筐体が上側へ回動された第1姿勢において当該第2筐体を支持するスタンドと、
上記第2筐体に設けられて上記スタンドの第2端が挿入され、上記第2筐体の回動動作に連動して、上記スタンドを上記第1筐体に対して回動させるべく上記第2端を案内するガイド溝と、を具備し、
上記スタンドの第2端付近に、当該第2端が上記ガイド溝へ挿入される第1方向と直交する断面の形状が円形又は楕円形の被嵌部が設けられ、
上記スタンドの被嵌部に、円筒形状又は楕円筒形状の弾性変形部材が外嵌され、
上記弾性変形部材が、上記スタンドの第2端が上記ガイド溝に案内される際に、当該ガイド溝の内壁に対して摺動するものである回動装置。
【請求項2】
上記弾性変形部材は、上記ガイド溝において対向する内壁の間に挟まれて当該対向する内壁それぞれに対して摺動するものである請求項1に記載の回動装置。
【請求項3】
上記ガイド溝において対向する内壁間の距離が、上記弾性変形部材が摺動する第2方向において、当該弾性変形部材と内壁との摩擦力を増減させるべく変化されたものである請求項2に記載の回動装置。
【請求項4】
上記弾性変形部材がゴムである請求項1から3のいずれかに記載の回動装置。
【請求項5】
上記第1筐体がプリンタにより構成され、上記第2筐体がスキャナにより構成されたものである請求項1から4のいずれかに記載の回動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−45736(P2010−45736A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210052(P2008−210052)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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